第22話「鎮まらぬ魂」
サタナエルとの攻防は続く中、戦艦ギャラルホルンとテイワズ・ギャラルホルン残党連合艦隊が血で血を洗う激闘を続ける。
ライド駆るガンダム・オリアスと刃を交えるのはかつてのタービンズで触れ合った名瀬の子供たちの成長した姿であった。
「う、うおおおおお!!」
ディープスクランブルから放たれるメガ粒子砲のビームがゲーティアを襲い、装甲に接触する直前で弾けとび、周囲のガレキやモビルスーツの残骸を焼いていく。
「ナノラミネートコートで作った装甲なんだ。これでビームなら…!!ミサはファングを!!」
「了解!このファング…サクラのものとは違って、読みやすい!!」
サクラのファングはトランザムミラージュの制御装置という意味合いが強いものの、スローネツヴァイやアルケーガンダムと同様に武器として扱うことも可能で、サクラと決闘をする中でそのファングの動きをいやというほど見てきた。
ディープスクランブルは強力なガンプラで、CPUの難易度も高く設定されているが、AIであることには変わりない。
それ故にサクラのものと比べると若干ましだ。
あとはある程度絞った軌道予測位置にビームマシンガンの弾丸をばらまくことで、ファングを撃破していく。
メガ粒子砲とファングが封じられ、ゲーティアとアザレアに攻撃を集中させたことへの付けはすぐに回ってくる。
デルタプラスの背に乗ったザクⅡ改が脚部のミサイルポッドを全弾発射しつつ、側面から接近していた。
Iフィールドでは防げない実弾のミサイルがメガ粒子砲の砲身に接触する。
ビームを放っている最中でのミサイル攻撃にはさすがの本体も耐えられずに爆発し、最大の攻撃力を失ったディープスクランブルだが、反撃のビーム砲がサブフライトシステムとなっていたデルタプラスを貫く。
爆発するデルタプラスから飛び降りたザク2改がディープスクランブルに取りつき、右手にヒートホークを握る。
先ほどの攻撃でミサイルは使い果たし、マシンガンも既に弾切れになっていることから捨てている今はこれしか武器が残っていない。
だが、ザクⅡ改のヒートホークはガンダムNT-1にとどめを刺したガンダムキラー。
頭部にとりつくことができれば、そのまま頭をつぶしてメインカメラを失わせることができたが、残念なことにとりつくことができたのは後部ユニットで、頭部には届かない。
それでも武装の大半の根元となっている後部ユニットをつぶすことができる。
しかし、ファイターにはあり、AIにはないものがあり、それがバトルでも影響を与えることを彼はあらためて思い知ることになる。
感情のあるファイターがモビルアーマーに乗り込み、敵のモビルスーツにとりつかれると、わずかに動きや判断が鈍ることがあるだろう。
それに対してAIは感情がなく、パターンがある以上は瞬時にパターン通りの動きができる。
ためらいなくストライカーユニットを強制排除し、本体であるスクランブルガンダムがビームスマートガンを手にすると排除したユニットから距離をとっていく。
そして、ユニットに内蔵されている自爆装置が起動し、それに飲み込まれる形でザクⅡ改が消し飛んでいった。
「また味方が!!」
「でも、もうこれでファングもメガ粒子砲も使えなくなったよ!スクランブルガンダムだけなら、姉ちゃんたちは負けないよ!!」
「いけー!俺たちの小遣いを守ってくれー!!」
モニターに映る勇太たちの戦いぶりに、先ほどまでは絶望に染まっていた子供たちの瞳に光がよみがえってくる。
「ええい…情けないね!さっきまでの戦いぶりはどうしたんだい!これでおしまいじゃないだろうねえ!!」
相手が勇太たち綾渡商店街ガンプラチームであるため、押されることくらいはわかっているイラトだが、まさか切り札であるディープストライカーのユニットそのものを失うことになるとまでは思わなかった。
このままでは押し切られる可能性が頭をよぎるイラトはナジーンに言われたもう1つのコードを思い出す。
これはシミュレーターにアドオンを入れてもらった後、別れ際に教えてくれたコードだ。
(いいデスか?このコードは…いわゆる隠し玉デース。1度だけシカ使えませんガ、きっとファイターも、アナタも、びっくりするこト、間違イありませーん)
「本当にびっくりさせてくれるだろう…ねぇ!!」
タブレット端末に教えられたコードが入力され、その影響は即座にディープストライカーユニットを失ったスクランブルガンダムに発生する。
「う、ウソ…」
「何これ…??」
スクランブルガンダムがバリアに包まれ、その中でまるでデビルガンダム細胞に侵食されたかのように変異をしていく。
質量を無視した巨大化にクリアパーツでできた翼の出現。
バリアが解除され、そこに現れたのはウィングゼロのような翼を生やしたPGクラスのスクランブルガンダムといえる存在。
ディープスクランブルを上回る全長となり、スクランブルガンダムをはるかに上回る性能であろうことはその出来栄えとPGの姿からも明白といえた。
「来るぞ!全機、散開しろ!!」
ロボ太の叫びが通信機に響くとともに、スクランブルガンダムがともにPG化したビームスマートガンを放つ。
PGとなったそれの破壊力はサテライトキャノンに匹敵し、エアーズ市にビルも撃破されたモビルスーツの残骸も容赦なく消し飛ばしていった。
外壁を突き抜け、宇宙の果てまでとんでいくそのビームには勇太も戦慄せざるをえなかった。
(あんな出力のビーム…グシオンリベイクアーマーでも耐えきれるかどうか…)
問題なのはあのビームスマートガンの次弾発射までのインターバルだ。
ビームスマートガンとビームライフルに違いがあるとしたら、ムーバブルフレームを介してモビルスーツに接続されているか否かといえる。
ムーバブルフレームが採用されている時代のモビルスーツの多くが装備しているビームライフルはEパック方式を採用しており、それにより戦場でもEパックを交換するだけで容易にビームライフルの再利用が可能となっている。
それに対して、ビームスマートガンは一年戦争から使われている旧来のエネルギーCAP方式を採用しており、ライフル内部に存在することから弾切れになると戦場での再チャージはできず、母艦や基地に戻ってチャージを待つか、予備のライフルを持っておくかをしておかなければならなかった。
一年戦争時代の地球連邦軍でビームライフルの仕様が少数にとどまった理由の一つがそれで、大気や何らかの塵によって遮られてエネルギーと集束性が減衰しやすいことに加え、直進性の高さゆえに稜線などの障害物を越える曲射が行えない点も相まって、本格的なビームライフルの採用はEカップ方式が採用されるグリプス戦役の直前頃まで待つことになった。
しかし、ビームスマートガンの場合はムーバブルフレームそのものにエネルギーCAPへのエネルギー供給用の動力チューブや相互のセンサーのデータをやり取りするコネクターをとりつける必要があるものの、モビルスーツとの接続を行うことで、銃身を機体本体に固定することができることから近距離から長距離までの精密かつ安定した射撃が可能な仕組みになっている。
そんなものがサテライトキャノンのような出力まで増強された状態で発射されたとなると、どれほどの脅威かは想像できるだろう。
「あんなのを撃たせるわけには…!!」
ガンダムNT-1が内蔵されている腕部ガトリング砲を展開し、ビームスマートガンを握る手に向けて発射する。
耐久性に課題があったとはいえ、ケンプファーをハチの巣にすることのできた兵装であるそれでなら、ある程度のダメージを与えることができる。
実際、その攻撃に対して警戒すべきと判断したのか、スクランブルガンダムは左腕のビーム砲を使ってガンダムNT-1に攻撃を仕掛ける。
マグネットコーティング等で引きあがった反応速度を使い、そのビームを回避するガンダムNT-1だが、ファイターはPG機体とHG機体の出力の差を身をもって味わうことになった。
確かにビームの奔流からは逃れることはできただろうが、ビームマグナム然り、ガンビットライフル然り、それだけでは安心できないのが大出力のビーム兵器の怖さだ。
かすめただけのはずのギラ・ズールが爆散し、本流から逃れたはずのデスルターの両足が消し飛んでいる。
その例が今回も示されており、本流に近い位置にあったガンダムNT-1の左腕が消し飛び、さらには頭部パーツの左半分も焦げ付き、メインカメラも損傷させた。
そのせいで全周囲モニターの左側の大部分がブラックアウトする。
「まだ…右側は見える!!」
ガトリングの残り弾数とこのダメージでは、もうこれ以上の戦闘は難しいだろう。
だが、せめて一矢は報いて見せるとガトリングによる攻撃を続け、さらにはバルカンでも攻撃する。
武装の大半を失い、それでもネオ・ジオングにバルカンを斉射しながら突撃したシルヴァ・バレトのように。
その無謀な突撃をあざ笑うようにスクランブルガンダムの左拳がガンダムNT-1の胴体を貫く。
頭部と四肢が宙を舞い、破砕された胴体パーツの残骸があたり一面に転がった。
ほんのわずかな時間で、一気に3機の味方を失うことになった。
「このエネルギー反応…まずいな。もう発射可能だなんて」
PGとなったことで小回りが若干悪くなっているとはいえ、エネルギーチャージを終えたあのビームスマートガンを発射しようと動くスクランブルガンダムにファラクトのファイターは表情を変えず、パーメットスコアを3まで引き上げて、コラキを放ちつつ、ビームアルケビュースの照準をビームスマートガンに向ける。
ガトリングの攻撃で若干損傷はしているとはいえ、それでも発射に支障のない状態の右腕だが、彼が狙っているのはそれではなく、ビームスマートガンの銃口だ。
「商店街チームのみんな、頼みがある。残念だけど、とどめは君たちに任せることになる」
「一体、どうするつもりなんです??」
モニターに映る、アスティカシア学園の通常のノーマススーツ姿のファイターの、強化人士4号をほうふつとさせる口調での通信に勇太が答える。
「この1発はどうにかして避けるけれど、またあのビームを発射する可能性がある。けれど、それが最大の好機になる。で…今の装備では…僕が一番狙撃に向いてる」
「確かに、それはそうだけど…」
フルフォースの装備であれば、狙撃能力ではファラクトと互角であろうアザレアだが、リバイブ装備となった今は違う。
火力増強と引き換えに狙撃の機能が若干犠牲になっている。
「あれはサテライトキャノンレベルの破壊力。それは、わかり切ってる話だよね」
「それはそうだけど…うわっ!!」
再び飛んでくるビームスマートガンのビームの奔流がゲーティアに直撃コースで飛んでくる。
焼き尽くされ、パーツが徐々に吹き飛んでいくが、それはグシオンリベイクアーマーのもので、それが盾となってゲーティア本体へのダメージを防いでいく。
ビームが収まると同時にもう守りとしての役割を果たせなくなったアーマーを強制排除し、バスターソードメイスから左文字を引き抜く。
本体へのダメージは最小限に収まったものの、サテライトキャノンの熱によってナノラミネートアーマーは無力化された。
すぐにでもグリモワールに戻ってバルバトスアーマーを装着したいところだが、むやみに動けばグリモワールを真っ先に狙われることになる。
「作戦はこう…。ちょうど、おとりになるものもあるし」
いつの間に作ったのかわからない、対PGスクランブルガンダムの作戦プランのデータが各機に送られる。
そして、ファラクトが射出したコラキが電磁ビームを形成してスクランブルガンダムに接近する。
本来の機体相手であれば、コラキの電磁ビームによって一時的に機体の一部に動作不良を引き起こす。
だが、スクランブルガンダムのクリアパーツから放出される青い粒子がバリアとなって電磁ビームを防ぎつつ、バルカンでコラキを撃ち落としていく。
ビームアルケビュースによる狙撃、アザレアのメガキャノン、ゲーティアの麒麟、バーサル騎士ガンダムの電磁ランス内蔵レールガンもそのバリアを貫くことができない。
接近しようにもそれは無理なようで、バリア内部へ突入しようとしているコラキがバリアに触れた瞬間、スパークを起こして爆散する。
「バリアだって、無限じゃない。それに、あのビームを撃つなら、いつまでもバリアにエネルギーを回したくないだろう?覚悟を決めるさ…」
最後の行動をとるなら、もうデメリットはあってないようなもの。
ためらわずにパーメットスコアを一気に6まで引き上げるとともに、ファラクトのシェルユニットの色が赤から青へと切り替わる。
バトルシミュレーターにおいても、パーメットスコアの引き上げについては実装されているが、さすがにデータストームによって命を落とすというところまでを再現するわけにはいかない。
パーメットスコアゲージという独自のゲージが設定され、スコア2までは動きはないものの、3以降になるとスコアを引き上げるにつれてゲージが低下していき、0になると強制的に撃墜扱いになる仕組みになっている。
今のファラクトの出来栄えでは最大のスコアは6で、それが危険であることを指し示すかのように猛スピードでパーメットスコアゲージが低下していく。
だが、彼はもう長期戦をしようという気持ちはない。
より精密な動きが可能となったコラキがバリアに阻まれて無意味だということはわかっているにもかかわらず電磁ビームを放ち続け、時折バリアへの突入を図り、爆散する。
エアーズ市の外壁を自ら破壊したことや街そのものの損傷により、月面の土であるレゴリスが市内に流入している。
電磁ビームを幾度か受けることで電磁化した機体にレゴリスが付着して動きが阻害されるというケースがあり、実際にファラクトと対決することになったディランザはそれによって動きが鈍ったところでコラキで完全拘束され、そのまま敗れていく。
PG機体の場合は若干レゴリスが付着しても動くことができるが、大量のレゴリスを受けた場合はその限りではない。
現にゲーティアは麒麟の照準をスクランブルガンダムではなく、その足元に向けていて、弾丸が道路を砕き、その下に隠れている土を巻き上げていく。
ここは倒すべき相手をファラクトとしたスクランブルガンダムがビームスマートガンの銃口をファラクトに向ける。
エネルギーをビームスマートガンに注ぐためにバリアを解除する必要があり、それによって残りのコラキの電磁ビームが当たる可能性はあるが、機体の電磁化は電磁ビームを何度も受けることで発生するイレギュラーなケースであり、バリアを解除する時間と本体であるファラクトの撃墜を考えるとリスクは低い。
「バリア解除を確認。あとは…」
スコアを6まで引き上げたことで知覚リンクの精度も引きあがっており、ビームアルケビュースの銃口をビームスマートガンの銃口に向け、ビームを発射する。
ロックオン兄弟の狙い撃ちと早撃ちを混ぜたような技は、本来であれば両立できるはずのないものだが、パーメットスコアを6まで引き上げ、機体制御に完全に思考を向けたことでそれが可能となった。
「全エネルギーをビームアルケビュースに集中…発射」
ファラクトから放たれるビームはビームスマートガンの銃口へと吸い込まれていく。
内部に大きなダメージを負うことになったビームスマートガンは蓄積されているエネルギーが暴走し、大きな爆発を引き起こす。
「はあ、はあ、はあ、はあ…これで、限界か…」
これほどの爆発を間近で、バリアなしで受けることになったのであれば、さすがのスクランブルガンダムでもダメージを避けることはできないだろう。
エネルギーを使い果たすことになったファラクトが地面に墜落し、同時にパーメットスコアを2まで低下させる。
スコアゲージを使い果たしてもいいと思っていた彼だが、まだわずかにゲージが残っており、3以上に引き上げることさえしなければ、継続戦闘は可能だ。
「無欲の結果…というもの、かな」
「いけるよ、勇太君!」
「ああ…やろう、ミサ!!」
グシオンリベイクアーマーを強制排除しているゲーティアは既にアザレアブラスターの発射態勢に入っていた。
爆発の煙が晴れていき、そこには右腕と右半分が爆発の影響でダメージを受けたスクランブルガンダムの姿があった。
まだ左腕は生き残っており、その姿はまるでスレイヴ・レイズに羽交い絞めにされた状態で自爆攻撃を受け、大ダメージを受けながらもなおも戦闘を継続しようとしたペイルライダーとも重なる。
無事な左腕に内蔵されているビームガンを放とうとする様子だが、もう遅い。
「「アザレアブラスター、発射!!」」
アザレアブラスターから放たれる大出力のビームがスクランブルガンダムの胸部へと襲う。
ダメージのせいでもはやバリアを展開することができず、撃ちぬかれたスクランブルガンダムがバラバラになる。
「な、な、な、な…なんだってえーーーーーー!!!」
イラトの叫びがこだまする中でバラバラになったスクランブルガンダムが爆散し、ゲーティアから分離したアザレアブラスターが元の状態に戻る。
「やったぁーーーー!!やったね!!」
「うん」
ゲーティアとアザレアがハイタッチを決めた後で、墜落した状態のままのファラクトの元へと向かう。
ファラクトのコックピットが開き、その中からファイターが出てくる。
「ありがとう、あの狙撃のおかげでスクランブルガンダムを倒すことができた」
「別に…このまま何もできずに負けるのが嫌だっただけだし…じゃあ」
「待って、せっかくだから…名前を教えてくれる?」
「…遠見、映司…」
名前を言い残し、エイジと名乗ったファイターとファラクトがログアウトしていった。
「希望は…あったんだ!!」
「綾渡商店街ガンプラチーム!ありがとう!!」
シミュレーターから出てきた勇太たちを子供たちの感謝の声が迎え入れる。
ロボ太には子供たちが群がり、彼らの笑顔にミサも笑顔で応える。
「かぁーーーー!!なんだいなんだい、隠し玉を出したのに、クリアしちまうなんてねえ。まあいいさ。他の客で稼いでやるさね」
一組クリアしただけなら、それを使ってクリアできる可能性があるから挑戦できると宣伝できる。
世界選手権に出場した彼らがクリアしたこの最難関ステージをクリアできたなら、彼らと肩を並べることができることの証明となる。
そうなれば、小遣い小遣いとうるさい子供たちよりも、腕に覚えのあるファイターを集められる。
その計画を練るイラトだが、モニターに新たなメッセージが入ってくる。
「真のスクランブルガンダムを倒せし者よ、君の力に敬意を表する…」
「なお、このステージのクリアをもって、このアドオンは自動的に消去される。プレイしてくれてありがとう…ええ!?」
「な、なんだってえ!?」
「ああー、遅かったかぁ」
大慌てでゲームセンターに入ってきたカドマツがモニターを見た瞬間、一歩遅かったかと肩を落とす。
「カドマツ、どうしたの?」
「いやな、最近あちこちのシミュレーターに導入されたアドオンがな、クリアしたとたんに消えるって聞いてな。そんな仕掛けなんて普通なわけないだろ?ということで、ちょっと興味があったんだが…タッチの差でクリアされて、消えちまったってわけだ」
「そうですか…なんだか、すみません…」
「いや、お前らのせいじゃない。そもそもおかしいしな、そんなアドオンなんて。おい、婆さん。アドオンのことなんだが…なぁ、婆さん、婆さん?」
隣にいるカドマツが何度も声をかけても、返事をすることがないイラト。
じっとモニターを見つめ、耳元から声をかけても応答することはない。
「婆さん…?おい、救急車を呼べ、婆さん、白目をむいてるぞ」
「ふーん、やはりクリアされましタカ。やはり、ここの場合はこの難易度が正解だったみたいデスねぇ」
とある町の個室喫茶店で茶を飲むナジールがスマホで勇太たちの戦いぶりを見る。
裏コードに仕込んでいたPGのスクランブルガンダムまで倒してしまうとは思わなかったが、ナジールにとってはそんなことは重要ではない。
問題はもう1つで、既に導入したアドオンの多くの消去を確認済みだ。
スマホに非通知の番号が入る。
「もしもし、首尾はどうでしょうカ?」
「上々だね、ナジール。パケット追跡によってガンプラバトルシミュレーターのネットワークシステムの解析。しかしまあ、よくもまあ数多くのシミュレーターにアドオンをインストールできたねえ」
「新たな敵、強い敵と聞けば、挑戦せずにはイラレナイ。ファイターのスピリットを逆手にとっただけデース」
「ははは、なるほど。これだけのデータがあれば、次の準備ができる。次の仕込みができたら、また連絡するよ」
「ふふふ、引き続き、頼みマスよ、ミスターバイラス」
機体名:ガンダム・グシオンゲーティア
形式番号:ASW-MS-00/G
使用プレイヤー:沢村勇太
使用パーツ
射撃武器:麒麟
格闘武器:バスターソードメイス(左文字を内蔵)
シールド:シザース内蔵リアアーマー
頭部:オリジナル(ユニコーンをベースとし、顔部分はバルバトスに近い)
胴体:ガンダムバルバトス(ナノラミネートコート製増加装甲装着)
バックパック:ガンダムグシオンリベイクフルシティ
腕:ガンダムグシオンリベイクフルシティ
足:ガンダムバルバトスルプスレクス(外付けホバーブースター装備)
ゲーティアにグシオンリベイクアーマーを装着したもの。
バルバトスゲーティアと比較すると重量化に伴って機動力が低下している。
それと引き換えにナノラミネートコート製の増加装甲によって高い防御力を獲得するとともに、パワー重視のOSに切り替わっていることから重量のあるバスターソードメイスを片手で軽々とふるうことができるようになっている。
そのことから、バルバトスアーマーと比較すると避けたり受け流すことは少ない。
また、サブアームも健在であり、両腕とそん色ないパワーを誇ることから仮に両腕を破壊されたとしてもサブアームによって継続戦闘が可能であり、必要であればダリルバルデのイーシュヴァラのように両腕パーツに移動させて代替することも可能である。
この機能をわざわざ搭載したのは綾渡商店街ガンプラチームの最大火力といえるアザレアブラスターを使用できるようにするためである。