夏の世界選手権以降、作業員が入るだけで一般公開されることのなかった宇宙ステーション。
人類に新しい未来を見せるための存在が再びそれを否定されようとしている中、未来を守ろうとする勇者たちを出迎える。
(お待ちしておりました、ようこそ静止軌道ステーションへ)
「こんなことでもなけりゃ、最高の出迎えのあいさつだよ」
「制御AI、ここに先に入った奴はどこにいる?」
(ステーションのコントロールができないため、各種センサーやカメラでトレースできません)
(トレースの必要はありません)
その言葉と同時に勇太たちの目の前に大きな映像が表示され、そこに仮面をつけた作業着姿の男が映る。
「お前がこうとする勇者たちを出迎える。
(お待ちしておりました、ようこそ静止軌道ステーションへ)
「こんなことでもなけりゃ、最高の出迎えのあいさつだよ」
「制御AI、ここに先に入った奴はどこにいる?」
(ステーションのコントロールができないため、各種センサーやカメラでトレースできません)
(トレースの必要はありません)
その言葉と同時に勇太たちの目の前に大きな映像が表示され、そこに仮面をつけた作業着姿の男が映る。
「お前がこの事件の犯人か!早く宇宙ステーション落下をやめろ!」
(やめろと言われて、やめるようではここにはいません。止めたいのであれば、私とがガンプラバトルで勝つこと、それだけです)
「こんなことのためにガンプラバトルを使わないでください!ガンプラバトルは…」
(楽しむためのもの、ですか。まさにその通りです。ですが…この未来を決める戦いにはガンプラバトルがふさわしい。早くシミュレーターに入ってください。そこでなら、私は逃げも隠れもしません。お待ちしておりますよ。ご安心ください。このバトルを終えるまでは、落下プログラムを停止します)
映像が消え、入れ替わるように表示されたマップにはシミュレーターまでの道のりが表示される。
ミサは窓から見える宇宙、そしてテザーの様子を見る。
「テザーの分離が止まってる…」
「どういうつもりなんだ…あいつは」
仮面の男の意図はわからないが、それでも今は彼の言う通りに進むしかなかった。
通信を終え、仮面をはずした仮面の男ナジールはフゥとため息をつくと、そばに置かれている自分のガンプラを手に取る。
「本当に来るとは思っていませんでした。観客たちと一緒に逃げてくれていればよかったのですが…」
自分から挑戦状をたたきつけておいて、いまさら何を言っているのかと自嘲しながらも、ナジールは室内に置かれているシミュレーターに入る。
確かに夏の世界選手権で軌道エレベーターを守った英雄である彼らだが、カドマツを除いては学生か子供であることには変わりない。
FBIがそんな彼らを送り出さずに一緒に避難させてくれたなら、このまま気持ちよく避難を待った後でこの宇宙ステーションを落下させることができただろう。
だが、ここまで来た以上はもう引き返す道はない。
「では、始めましょう。未来を決めるガンプラバトルを」
ハレヴィとクロスロードを中心に、FBIとNASA職員主導の下で観客の避難が進んでいく。
その中でジニンはアメリカ本土のNASAと連絡を取る。
「確かに、現在国際宇宙ステーションで宇宙飛行士帰還用のスペースシャトルが止まっているが…」
「頼みます!万が一のことが起こった時に、彼らを死なせるわけにはいかないのです」
衛星軌道上に存在する現在の国際宇宙ステーションは軌道エレベーター建造のための資材の保管および建設作業員が滞在するために建造されたもので、軌道エレベーターが完成してからも故障発生時の補修作業に対応できるようにとどめ置かれていた。
現在そこにあるスペースシャトルは作業員及び宇宙飛行士の交代のためのもので、搭載されている燃料はアメリカへの往復のための分しか入っていない。
下手をすると、シャトルに乗る乗組員まで危険にさらすことになる。
まだまだ人類はガンダム作品のように宇宙を自由にできるほど技術も人も進んでいない。
(彼らは未来を守るために命を懸けている以上、何もしないわけにはいかんのだ…!)
宇宙要塞ソロモン。
資源採掘用にアステロイドベルトから運ばれてきた小惑星がジオンによって軍事要塞化し、一年戦争終盤に陥落した後はコンペイトウと名を変えて連邦軍の要塞となった場所。
そこにはアヘッドやマスラオ、スサノオ、ジンクスⅢ、ジム・クゥエルやハンブラビなどのアロウズやティターンズ系列のモビルスーツや戦艦が数多く配備され、勇太たちを待ち構えている。
シミュレーター内の格納庫では既に勇太たちが自らのガンプラとともに出撃の時を待っていた。
(すまねえな、お前たちにこんなことをさせるのは、大人としてふがいないと思っている。だが、俺にはお前たちのようにガンプラを使いこなせねえ。お前たちに頼るしかねえんだ)
「何言ってんの!宇宙エレベーターはわたしたちにとっても大事な場所なんだから!」
「その通りだ、われらの未来を守るために、何をためらうものか」
「ここには多額の出資をしているんだ、指をくわえてみているわけにはいかないよ」
「そういうことよ、カドマツさん。ここでこうして戦うのは…私たちの意思よ」
(お前ら…)
「サポート、お願いします。カドマツさん」
勇太の言葉の直後にハッチが開き、カタパルトに電力が供給される。
夏の時とは異なり、フルアーマー化していないゲーティアではあるが、バックパックがデスティニーをベースとした新しいものに換装されており、アロンダイトと大型ビームランチャーの代わりにバスターソードメイスとレールキャノン、テイルブレードが装備され、後ろ腰に麒麟がマウントされている。
バルバトス、グシオンリベイク、フラウロス、3つのアーマーの戦闘データから作り出されたグリモワールウィングはゲーティアの一つの終着点。
「沢村勇太、ゲーティア・グリモワール、出るよ」
射出されたゲーティアのバックパックが翼のように展開され、放出される圧縮エイハブ粒子の力で一気に加速していく。
続けて、アザレアも出撃準備に入る。
「お願い、アザレア…力を貸してね」
ミサの言葉にこたえるかのようにアザレアのツインアイがかすかに光る。
それに気付いているのか気づいていないのかはわからないが、かすかに笑みを見せるミサ。
「井川美沙、アザレア、行きまーす!」
(サクラ機、ウィリアム機も出ろ!ロボ太もだ!)
「ああ…わかっている、カドマツ」
ナイトドラゴンの背中に乗るバーサル騎士ガンダムは開かれるハッチから広がるソロモン宙域の光景を見つめる。
脳裏に浮かんだのはこの宇宙ステーションへのエレベーターに乗る直前でのことだ。
勇太たちが自分たちのガンプラの最終調整をする中、制御AIと通信を行っていた。
(ロボ太さん、なぜデジタル信号通信なのでしょうか?)
(私のボディにはスピーカーがない。それに、こちらの方が高速だ)
(なるほど、要件は?)
(カドマツからどうしてもと頼まれてな、提供してほしいものがある)
これは仮に宇宙ステーションに保管されているものであれば、もうどうしようもなかった。
しかし、幸いギガフロートに保管されているものであったため、どうにか間に合わせることができた。
(これはあくまでも保険だ。これを使うにこしたことはないが…)
「おい、ロボ太!お前が出ないと僕たちが出られないぞ」
「ああ…すまん!ロボ太、バーサル騎士ガンダム、ナイトドラゴン、出撃する!」
ウィルに詫びを入れた後で出撃したナイトドラゴンがバーサル騎士ガンダムを背に乗せて飛翔する。
背中にさらなる火力増強のためのビームキャノンが2門増設されている状態で、出撃してすぐにビームキャノンが火を噴き、ジンクスⅢを撃墜する。
「こいつらをいくら相手してもだめだ!最初の見せ場だから、しっかり見せてくれよ、サクラ!」
「ええ…やってみせるわ!凜音桜、アルケードライで出るわ!」
射出されたアルケードライを見送り、最後にウェイブライダー形態の状態のセレネスにテールブースターが装着され、出撃準備を終える。
「ウィリアム・スターク、セレネスデルタ、出る!」
射出されたセレネスのテールブースターから惜しげなく放出されるミサイルが敵モビルスーツの大軍の足を止めていく。
アザレアのレーダーがつかんだ敵の種類や座標データが次々と各機に送信され、その数にさすがのウィルも冷や汗をかく。
「まったく、冗談じゃない数だな…ついさっきのやつの倍以上といったところか…」
「だからこその出番なんだ、お願いします、サクラさん!」
「分かってるわ!とにかく、粒子のチャージが終わるまで待って!!」
こんな状況では一人だけ戦闘に参加しないということなどできるはずがなく、少なくとも粒子の消費の少ないGNバスターソードとギガンティックシザースで鉄器を撃破していく。
そして、敵モビルスーツ達はそんなサクラを阻むかのように集中的に彼女へと向かっている。
「ふうう…ブレイジングストライカーへのエネルギー供給は完了…。ミサ、こんな状況だから、次にチャージができるかわからない。覚醒のタイミングには気を付けて」
「うん…勇太君、ありがとう!」
接触回線が切れ、アザレアが離れると同時に麒麟を手にしたゲーティアが延長バレルを装着された状態でこちらに接近しているエンプラスに向けて徹甲弾を発射する。
大型ビーム砲を発射しようとしていたエンプラスに巨大な穴をあけ、爆散するのを見届けることなくテイルブレードでジム・クゥエルとギャプランを串刺しにする。
「ミスターカドマツ…あなたの言葉は知っています」
ナジールからの通信が勇太たちだけでなく、カドマツのノートパソコンにも送られる。
「宇宙の時代への命綱。皆に未来を見せてやりたい。なるほど…素晴らしい。そしてとても、美しい。ある面では…ですが」
「…何が言いたい?」
含みのある言い方にカドマツのキーボードを打つ手がわずかに止まる。
フゥとため息をついたナジールは言葉を続ける。
「一方的な言い分だ、ということです。宇宙太陽光発電が発表されてから、何が起こったか知っていますか?従来の化石燃料は役目を終えたとして、価格の下落が始まったのです」
ナジールの通信を聞いたウィルの脳裏に、生前の父親の仕事の話の記憶がよみがえる。
父親の仕事に興味を持った幼いウィルは扉越しに父親の仕事の話を盗み聞きしたことがある。
もちろん、そこで聞いた話は決して他人に話していない。
そこで聞いたのは軌道エレベーターへの出資と、石油関係の事業の縮小の話だった。
父の死後、CEOとなったウィルは改めて会社の事業の動きを確認したが、そこでも石油事業関係の縮小が宇宙太陽光発電の発表の日に前後して始まっていた。
「今まで、隆盛を誇っていた世界各国の石油メジャーも、身売り先を探して必死の形相です」
「ビジネスは時代に乗ったものが勝つ。それは必然だ」
「それは、時代に乗れた者の言い分ですよ、ジュニア」
(ジュニア…だと?)
「父親の背中を見て、自らも経営者となって分かったはずです。自分に従ってきたものに対する責任というものを」
言い終わらないうちに、ナジールは仮面をはずし、自らの素顔をさらす。
顔を見たウィルの表情がゆがむ。
「あんたは…ナーイフさん!?」
「知っているの?ウィリアム?」
「ああ…だが、死んだはずだろう!?ナーイフ・ラムジ=タマイ。スライブ共和国の第一王子…」
「…。ナーイフ・ラムジ=タマイはもはやこの世に存在しない人物です」
父親に同行して中東のパーティーに参加した際に出会った、かつてのナーイフ王子と彼を誇らしげに紹介する父王の姿が脳裏によみがえる。
とても聡明な人物で、まだ日本でいうと高校に入ったばかりの年齢にもかかわらず、実業家や政治家に対して怖気ずくことなく対話をしていた彼の様子は今でも印象に残っている。
だが、2年前に乗っていたセスナ機が墜落事故を起こしてこの世を去り、実際に葬式にも出席している。
「スライブ共和国…わが祖国は石油を採ることで生きている。それも、サウジやロシアとは違い、ごくわずか…。人口も数万人の小国。それでもよかった。しかし…砂漠に囲まれた祖国で石油の価値が失われた時、それは国に死刑宣告が下るのと同じなのです。あなたたちが夢見る未来…それは、私たちにとって悪夢だ」
「だから…宇宙ステーションを地球に落として、事業を止めようと…!?」
「そうです。すべては、祖国の未来のため。そのために、私はすべてを捨ててここにいる!」
シミュレーターの中で、ホワイトファング時代のミリアルドのノーマルスーツ姿となったナジールは自らのガンプラを起動させる。
ティターンズによって指導したTR計画の終着点として開発された決戦用モビルスーツであるガンダム・インレ。
グリプス戦役の趨勢が決したことで本来の役割を果たすことができずに歴史の闇に消えた機体。
ソロモンから出撃したそれの姿をレーダーで捕らえたミサは戦慄する。
「嘘…ガンダム・インレ!?」
「あなたたちと同じ土俵で戦うために用意したガンプラです。これで、あなたたちの未来を否定する!」
万能化換装システムによって搭載された加速用ブースターが点火して一気に加速したインレの主砲であるビグウィグキャノンⅡから大出力のビームが発射される。
射線上の味方機は既に退避を済ませており、襲い掛かるビームを散会して回避した勇太たちだが、その圧倒的な火力に戦慄する。
「なんて火力のビーム…サテライトキャノンレベルじゃないか!」
「ミスターカドマツ。あなたのような技術者や科学者はいつも言うのです。明るい未来、輝かしい未来と…。未来という光は確かにあるでしょう。それは、否定しません。しかし…その強い光に向かうあなたたちの背後には深く暗い影が落ちていることに気づいていない。私たちはその影の中で、未来の姿を見ることができないのです」
宇宙太陽光発電計画が着々と進んでいく中、父王と議員、そして企業は生き残るための道を必死に模索してきた。
石油しか頼る産業のない中で、あらたな産業への進出や発電以外での石油の活用など、可能な限り模索し、実行のための予算を作ろうとした。
だが、巨大な予算を持つ大国に次々と先を越され、絶望する彼らの姿をナジールはずっと見てきた。
「だから、その光を消すために…!!」
インレから分離したキハールⅡがコンポジットシールドブースターからビームを撃ちつつ、更には増設されたファンネルラックから次々とファンネルを放出し、インレからもファンネルミサイルが次々と発射される。
縦横無尽に襲い掛かるビームとミサイルをよけつつ、キハールⅡの一機を麒麟で破砕する。
そして、バックパックのレールガンを腰だめの形で構える。
照準はインレのコアユニットであるウーンドウォート。
発射された超電磁の弾丸が一直線に襲うが、インレを構成していたTR-6シリーズのモビルスーツ達が分離してその場を離脱する形で回避する。
そして、別の位置で急速に再合体をする。
「ターンXと同じ理屈か…!」
「ナーイフさんよ、確かに…これまでの歴史の中で生み出してきた技術によって多くの不幸が生まれた。それについては否定しない。俺たちのような技術屋はバカばっかりだ。目の前にある可能性には飛びつかずにはいられないからな」
エジソンも、ライト兄弟も、キュリー夫人といった偉人と呼ばれる技術屋たちもその性質から逃れることができなかった。
そして、誰もそれが核兵器や戦闘機などが生まれるなど、思ってもみなかっただろう。
もしかしたら、飛びつかなければそれらは生まれることはなかったかもしれない。
「でもよ…俺は科学や技術が必ず人を幸せにすると信じている。時に大きな過ちを犯し、人々に恨まれるかもしれない。だがよ…それでも俺は科学の力を信じて前に進む。そこで立ち止まったら、俺が落とした影に一生光が当たらない。あきらめずに進み続けるからこそ、いつか影だった場所にも光が当たるんだ」
「カドマツ、私は信じるよ!」
「私もだ。私は…そのために生まれてきたのだから!」
「まったく…相変わらず、人をその気にさせるのがうまいね」
「ええ…その気持ちに、ガンプラも答えてくれるはずよ!」
GN粒子のチャージが完了したアルケードライの周囲にGNファングが展開されていく。
トランザムを起動し、更に生み出されるGN粒子にサクラは操縦桿を握りしめる。
「加減無しでいくわ…トランザムミラージュバースト!!」
高濃度に圧縮されたGN粒子が大量に放出されていき、それがソロモン宙域全体を包み込んでいく。
膨大な粒子を受けたCPUのモビルスーツ達が次々と停止していく。
警戒したナジールは既にキハールⅡをすべてファンネルともどもインレに収容を済ませていた。
「力技ですね…フィールド全体を埋め尽くすGN粒子とは!」
その影響はインレも受けており、モニターがブラックアウトしていく。
だが、それについてはナジールの想定の範囲内。
ヘルメットをかぶり、ケーブルでコックピットと接続する。
そして、トランザム中のアルケードライに向けて次々とファンネルミサイルを放つ。
「トランザムミラージュバーストが効かない!?」
「やらせない!!」
アルケードライの楯となるように立つアザレアがメガキャノンを発射する。
いくつかのファンネルミサイルはそれによって撃ち落されるが、それでも残ったミサイルが軌道を変えて襲い掛かる。
「ちぃ!!」
テイルブースターを分離させたセレネスデルタはそれをファンネルミサイルの一つにぶつける。
残存していた推進剤に引火したことで大爆発を起こし、それを目くらましにしている間にアザレアとアルケードライはその場を逃れる。
「はあはあはあ…奴以外の動きは止まったけど…でも、どうして?」
「インレはサイコミュを搭載することのできる機体。そして、知っているはずでしょう。サイコミュにはファンネルなどのオールレンジ攻撃やサイコフィールド以外にも使い方があることが」
「…!ザンネックか…」
勇太の脳裏に浮かんだザンネックによる大気圏外からの攻撃。
強化人間のファラ・グリフォンをパイロットとし、外界へ放出したサイコウェーブで通常センサーを遥かに越える距離の情報を拾い、パイロットに直接鉄器の位置を伝えてることでその恐ろしい攻撃を可能とした。
インレにも同じセンサーが搭載されていて、これをジャミングすることはトランザムミラージュバーストでは不可能だ。
「ですが、困りました…。これで戦うことができるのは私一人」
「もうやめてくれ、ナーイフさん。そんなことをしても…」
「私はナーイフではなく、ナジール。間違えないでください!!」
インレのツインアイが光ると同時に機体全体が赤い血のようなオーラに包まれていく。
「これは…勇太君!」
「覚えているよ、ミサ…このオーラ…」
夏の世界選手権の余暇で戦った陸戦型ガンダムが見せたオーラが勇太たちの記憶によみがえる。
ナジールのインレのフレームはそのガンプラと同じくマスフレームが使用されていた。
「負けるわけにはいかないのです、愛する祖国と国民のために!」
漏れ出す赤いオーラが機能停止しているジム・クゥエルなどを侵食する。
そして、機体の装甲が砕け散ってムーバブルフレームのみとなり、オーラによってハイゼンスレイⅡ・ラーやファイバーなどのTR計画のモビルスーツへと変わっていき、再起動する。
「なんだ、これは!!まるでブレイクデカールの効果じゃないか!!」
モビルスーツ形態となったセレネスデルタがIフィールドクローで避けきれないビームを受け止めていくが、吸収する許容量を超える可能性を否定できない。
「邪魔を…するなああああ!!」
ウィルの叫びとともにIフィールドクローに吸収されたビームが巨大なビームソードを形成し、オーラに侵食されたモビルスーツ達を切り裂いていく。
撃破された機体からオーラが霧散していき、機体そのものが消滅する。
「妙な覚醒の侵食を受けたとしても、モビルスーツであることには変わらない!やれる!!」
「でも、これを狙っても駄目よ!あのインレを…コアユニットを破壊しない限りは…!」
資格から襲い掛かるキハールⅡのファンネルの直撃を受けた麒麟が爆散し、レールガンでそのキハールⅡを撃墜した勇太は覚醒し、ゲーティアが炎のようなオーラに包まれる。
炎に包まれて接近してくるゲーティアを見たナジールは即座にインレを分離させ、コアユニットであるウーンドウォートのコンポジットシールドブースターのヒートソードで受け止める。
「ナジールさん!こんなことをしても…あなたの愛している人は悲しむだけでしょう!」
「そんなことは…いわれなくても分かっている!きっと、やめろというでしょうね。しかし…そんな彼らだからこそ、私はなんとかしたいのですよ!毎日ともに汗を流してきた、彼らはみな…私の家族。愛する家族を…私は守ってみせます!」
「くっ…!」
鍔迫り合いをしても、分離したほかの機体の攻撃を受けるだけ。
下がるゲーティアに対してファイバーⅡやダンディライアンⅡ、そして残ったキハールⅡがビームやミサイルで攻撃を仕掛け、勇太はやむなく距離をとりつつ、レールガンで攻撃する。
だが、ウーンドウォートと彼とともにインレを形成するファイバーⅡとダンディライアンⅡ、そしてファンネルのように攻撃する役割を持つキハールⅡの赤いオーラは伝染しただけのCPUの機体よりも段違いの出力を誇り、レールガンの弾丸を受けてもダメージが発生しない。
再びインレとなった各機から放たれる膨大なファンネルミサイルと拡散ビーム砲は覚醒しているゲーティアでも対応しきれるものではない。
正面に現れた拡散ビーム砲を切り裂こうとするが、左文字の刃は拡散ビーム砲の装甲を傷つけることができず、逆に刃が粉々に砕け散る。
赤いオーラの力を見誤っていたのかと勇太が砕ける刃のかけらに目を奪われ、わずかに注意がインレから外れてしまう。
そのゲーティアに更に襲い掛かるビームとミサイル。
ナノラミネートアーマーであってもしのぎ切れない弾幕は装甲を傷つけ、バックパックにも甚大なダメージを与える。
「うわあああああ!!」
「私の未来を…愛する家族の未来を、奪わせたりしない!!」
装備名:グリモワールウイング
ゲーティアにこれまで装備されたバルバトスアーマー、フラウロスアーマー、グシオンリベイクアーマーの戦闘データを元に作られたパーツ。
デスティニーのバックパックをベースとしており、バスターソードメイスとレールガンがマウントされており、それらはサブアームによって固定されている。
レールガンについてはデスティニーのビームランチャーのように腰だめする形で発射する形となっており、攻撃力は麒麟には及ばないものの、弾速についてははるかに上回る。
また、サブアーム側からの操作で発射することも可能となっており、それは背後に向けてレールガンを発射する場合に用いられる。
これまでのアーマーの集大成といえる装備だが、あくまでもこれはサポートメカを使うのが難しい状況下を想定した装備であると同時に代替装備でもあり、勇太にとっては本命の装備というわけではなかった。