外史の守り手、御剣昴が、天寿を全うした後、目が覚めると、BLEACHの世界、尸魂界だったらというお話。
※ 短編である為、この世界に転生した後の御剣昴の軌跡はダイジェストとなります。
場所は空座町。もとい、空座町を模したレプリカ。
この町では既に激戦があちこちで巻き起こっており、各地で戦いの傷跡が見受けられた。
「…」
「…」
その上空に、2人の男が対峙していた。
一方は、死覇装と呼ばれる黒い着物の上に隊首羽織と呼ばれる白羽織を身に着けた長髪を髪留めで1本に束ねた青年。
一方は、かつては柔和な風貌で、常に笑みを絶やさず、その穏やかな性格から、あらゆる者から慕われていた男。今は、頭の先から爪先まで全身白色の何かに包まれ、胸の中心には崩玉が輝いている。
「随分と到着が遅かったようだね。見ての通り、護廷十三隊は既に壊滅した」
「…」
長髪の青年は辺りを見渡す。
「…京楽隊長、浮竹隊長」
地上の道路に八番隊の隊長、京楽春水が刀で斬られ、十三番隊隊長である浮竹十四郎が胸を貫かれ、倒れていた。
「冬獅郎、乱菊」
京楽隊長のすぐ近くに、十番隊副隊長である日番谷が左脚と左腕を斬り裂かれ、同隊三席である松本乱菊が脇腹を抉られ、治療半ばで倒れていた。
「…砕蜂、平子隊長」
別の場所には、二番隊の隊長、砕蜂と101年前に行方不明となった元五番隊隊長、平子真子が刀で斬られ、倒れていた。
「…狛村隊長」
さらに別の一角では、七番隊隊長、狛村左陣が左腕と胸を斬り裂かれ、倒れていた。
「っ! …山本総隊長」
少し離れた一角、大きく抉れ、焼けただれた地面の中心に、一番隊の隊長であり、護廷十三隊を束ねる総隊長にして、護廷十三隊最強、山本元柳斎重國が全身を大火傷し、さらには左腕を失って倒れ伏していた。
「…喜助、夜一……一心」
別の一角では、元十二番隊隊長にして、技術開発局の創設者、浦原喜助、元二番隊隊長、四楓院夜一、元十番隊副隊長、志波一心が倒れていた。
その他にも、各地で護廷十三隊の死神達や、仮面の軍勢(ヴァイザード)達が負傷、果ては重症を負って倒れていた。
「残った死神は、君だけだ。御剣昴」
「……藍染…!」
仲間のほとんどがやられ、御剣昴と呼ばれた青年は憤りを隠せず、藍染と呼んだ男を睨み付けた。
「思えば、君と私の因縁は、遥か昔から始まったことだったね」
藍染は、昔を懐かしむように語り始めた。
思えば、御剣昴の人生は、数奇なものであった。
※ ※ ※
彼、御剣昴は、1度その生涯を終えていた。
彼は、幾多の戦場、幾多の乱世に足を踏み入れればそこに介入し、その国を治め、戦争を終結へと導いていた。
それが、彼の役割であり、使命であり、自身の償いでもあった。昴自身も、それを受け入れ、幾度となく戦い続けていた。
だが、ある世界で、彼はそこで愛する者達と出会い、その世界の乱世を収めて後、1度はその世界を離れるも、彼女達に再会を果たす為もがき続けた。
そしてその願いが叶い、彼女達と再会を果たすと、昴は、その世界で彼女達と共に生き、そして、その世界で生涯を終えた。
その人生に昴は満足していた。血に染まった昴自身、碌な死に方をしないであろうと覚悟していたからだ。昴は人並みの幸せと人生を手に入れ、最後は笑って逝く事が出来た。
だが、昴の数奇な人生はそれでも終わらなかった。
生涯を終えた後、ふと、目を開けるとそこは、見渡す限りの荒野であった。
年老いた身体は10代後半にまで若返っており、自身が倒れていた傍らには、共に戦場を駆け抜けていった昴の1番の相棒にして愛刀、村雨があった。
状況が掴めない昴であったが、村雨を手に取ってあてもなく歩いていると、大きな集落を見つけた。そこで情報を手に入れようと考えた昴の目に飛び込んできたのは、村を襲っている黒く大きく、白い仮面のような物を付けた大きな化け物(後に大虚(メノス)と判明)の群れが集落を襲っている姿であった。
その虚は、集落に住む人間を捕まえては喰らっていた。虚の1匹が集落に向かって何かを放とうしている姿を目にすると昴の身体は勝手に動いていた。
虚の放つ虚閃(セロ)を村雨で受け止めると、昴は虚を次々と斬り捨て、全ての虚を討伐した。
自身の命が助かった事に歓喜する集落の人々。そのすぐ後に、黒い着物を身に纏い、帯刀した集団が昴を周囲を囲った。
彼らは自らを死神と称し、先ほど現れた虚の討伐にやってきたらしいのだが一足遅かったらしく、手柄を取られた憤りと戦えなかった鬱憤を晴らす為、半ば力付くで昴を拘束しようとしたのだが、昴はそれを返り討ち。その後、集落を救った礼に僅かな食糧と水を貰い、集落を後にしたのだが、僅か数時間後に別の死神達に囲まれることになった。
先ほどまでとは比べ物にならない実力を有した死神。中でも、白羽織を身に着けた死神はその中でも群を抜いていた。
『お主が虚を討伐し、死神達を退けた者で良いな?』
そう昴に尋ねたのは、白羽織を身に着け、白く長い髭を蓄え、杖を持った老人だった。
『……そうだが、集落を襲っていたのでね。あれは討ってはいけないものだったのか?』
『虚は討たねばならぬ存在。それは問題ない。だが、今問題なのは、あれを容易く討てる主の存在じゃ』
尋ねられた質問に淡々と返した昴。だが、心中ではこの老人の放つ霊圧に圧倒されていた。
老人は、瀞霊廷への同行を昴に求めた。昴はこの老人を倒すことも逃げることも不可能と判断し、これに応じた。
これが、護廷十三隊一番隊総隊長、山本元柳斎重國との出会いであり、昴の次の人生を決めるきっかけとなった。
瀞霊廷で取り調べを事情聴取のようなものを受けた後、昴は山本元柳斎重國の勧めで死神を目指すこととなり、真央霊術院への入学が決定した。
入学後は、前世での経験や記憶が生き、斬術、白打、歩法に関しては真央霊術院始まって以来の天才と称され、飛び級で1年半で卒業し、その後、護廷十三隊へ入隊、配属先はこれも異例の一番隊。当時休隊中で空席であった五席に配属となった。
これにより、良くも悪くも護廷十三隊中の死神から注目されることとなり、嫉妬に駆られた死神に絡まれ、霊圧を上げてビビらせて追い払うもその霊圧に釣られてやってきた更木剣八と戦うこととなったことは割愛。五席復帰後は十番隊に配属されることとなる。
この直後、昴は出会うことになる。
『やあ。君が御剣昴君だね』
そう、藍染惣右介との出会いだった。
昴は、一目見て感覚的にこの男が危険だと判断し、警戒した。一目で警戒されたことに気付いた藍染は、昴を評価する半面で警戒するようになる。ここから、昴と藍染の100年にも及ぶ因縁が始まった。
少しして、昴と同じように藍染を警戒している人物、五番隊隊長、平子真子と知り合うことになる。平子は、自分と同じように藍染を警戒する昴に驚いたが…。
『気付いたんは褒めたる。けどなぁ、お前はここで手を引いとき』
と、昴の身を案じて藍染から遠ざけようとした。自分も共に監視をと食い下がるが、平子に強く止められ、昴は引き下がることとなった。その数日後、平子は行方不明となった。昴は、無理矢理にでも藍染の監視をしなかったことを後悔したが、その時交わした平子の言葉の不可解さによって、藍染の斬魄刀、鏡花水月の能力が完全催眠であることと、催眠状態に入る条件に気付くこととなった。
その後、隊長及び隊長格が大勢抜けたことにより、昴は十番隊隊長に推薦され、隊首試験を受けた後、任命。同じく、五番隊副隊長から隊長になった藍染と、表では良き死神、良き隊長の関係を演じながら、裏では一方が暗躍の阻止と証拠を探り、一方が暗殺の機会を窺う関係になった。
それから80年後、現世の鳴木市で担当死神が相次いで死亡する案件があり、その原因を究明するべく当時の十番隊副隊長であった志波一心を現世へ派遣した折、藍染は昴の隙を付いて現世に赴き、改造虚の実験に巻き込まれ、行方不明になり、昴は、自身の油断を悔いることになった。
さらに20年後、昴は中央四十六室から任務を言い渡される。直々の命令に疑問を感じるも、中央四十六室の命令に従わない訳にはいかず、瀞霊廷より外、かなり距離の離れた場所にある流魂街にまで赴いた。その数日後、旅禍、黒崎一護一行が瀞霊廷内に朽木ルキア救出にやってきた。
そこで、自身の部下からの天挺空羅によって藍染が動きを見せる事を知り、急いで瀞霊廷へと戻ろうとするも、特殊な虚…破面(アランカル)の足止めに喰らう。かつてない虚に戸惑うも、これを討ち、瀞霊廷に急行した。
瀞霊廷に帰還すると、双極の丘にて藍染を含む、大勢の霊圧を感じ取った昴は現場に急行。そこで初めて藍染と斬り合いを演じることになる。戦いは互角、均衡が昴に傾きかけた所で大虚(メノスグランデ)による反膜(ネガシオン)が藍染を覆い、両者の戦いは終わった。
その後、現世、空座町での3度に渡る破面(アランカル)、十刃(エスパーダ)の来襲。井上織姫の誘拐。彼女を救出する為、死神代行、黒崎一護、滅却師、石田雨竜、茶渡泰虎と、虚圏(ウェコムンド)に向かい、そのすぐ後に十三隊、朽木ルキアと、六番隊副隊長、阿散井恋次が合流。さらに後に四番隊隊長、卯ノ花烈、六番隊隊長、朽木白哉、十一番隊隊長、更木剣八、十二番隊隊長、涅マユリ、以下、一部各隊の副隊長及び席官、そして昴が追加の救援に向かった。
朽木白哉が自身の義妹、ルキアに手をかけようとしている第7十刃(セプティマ・エスパーダ)ゾマリ・ルルーと、更木剣八が黒崎一護の霊圧の下に向かい、そこで戦っていた第5十刃(クイント・エスパーダ)ノイトラ・ジルガと、涅マユリが、石田雨竜を介して観察していた第8十刃(オクターバ・エスパーダ)ザエルアポロ・グランツの下に向かい、これを撃破した。
昴は残存する破面(アランカル)を討っていると、虚夜宮(ラス・ノーチェス)と呼ばれる城のさらに上、天蓋と呼ばれる青空の上から異質で、かつ巨大な霊圧を感じ取り、そこに向かう。すると途中、その巨大な霊圧と戦っていた黒崎一護の霊圧が変わり、その巨大な霊圧を上回るものに変わり、天蓋の上にたどり着くとそこには、下半身を吹き飛ばされた第4十刃(クアトロ・エスパーダ)ウルキオラ・シファーと、完全に虚化した黒崎一護の姿が目に飛び込んだ。
完全虚化した黒崎一護に自我がなく、衝動のまま破壊行為を行っている為、昴はやむを得ず迎撃。最後は倒された思われたウルキオラの決死の一撃によって黒崎一護の暴走は収まった。
その後、藍染の下へ駆けつける為、昴と一護は天蓋の上から降りるも、そこに第10刃(ディエス・エスパーダ)改め、第0十刃(ゼロ・エスパーダ)ヤミー・リヤルゴが共に虚圏(ウェコムンド)にやってきた仲間が倒され、朽木ルキアが危機に陥っており、それを間一髪のところで救出。僅かな交戦の後、その場にやってきた朽木白哉と更木剣八に後を任せ、涅マユリの手によって護廷十三隊の死神達と藍染達の空座町のレプリカに向かう。…が、そこに、予備十刃(リャメアル・エスパーダ)と称される破面(アランカル)が妨害に現れ、一護と卯ノ花を藍染の下へ行かせる為、昴が残って戦った。
予備十刃(リャメアル・エスパーダ)は現在の十刃(エスパーダ)の幾人かの特性を持っていた為、昴と言えど手を焼いたが、これを撃破。その後、再度、涅マユリに扉を開いてもらい、藍染の下へ急行した。そして、空座町のレプリカに駆けつけた昴の目に飛び込んできたのは、護廷十三隊の死神達と仮面の軍勢(ヴァイザード)、浦原喜助、四楓院夜一、黒崎一心が倒れ伏した姿だった。
※ ※ ※
「君はとても優秀だった。君の監視の目をかい潜るのは、至難の業だったよ」
「皮肉のつもりか? 結局俺は、お前の企みを白日の下に晒す事が出来ず、この様だ」
軽く不快を思わせる表情をする昴に対し、藍染は表情こそ窺えないが、微笑を浮かべていた。
「私の部下にも、君を早々に始末するべきだという意見もあった」
藍染は市丸ギンのいる方向に視線を向け、次に東仙要の亡骸があった方へ視線を向けた。
『あの御剣昴言う男。危険やなあ。…殺(と)ってきましょか?』
『御剣昴は藍染様の計画の障害になり得る男です。是非、私に奴の暗殺をご指示を!』
「だが、私は2人の提案を退けた。君がそれを誘引していることが明白だったからね。だが、率直な事を言わせてもらえば、この100年、君を始末する事は出来た。危険は伴うが、それでも方法を今ならいくつか思いつく。だが、私はそれをしなかった。…いや、考えようともしなかった。それがどうしてなのか、分からなかった。だが、君とこうして改めて対面することで、その答えが分かった」
藍染は視線を昴の方へ向けた。
「君と過ごした100年の日々が楽しかったからだ。表では良き関係、裏では互いに知略、策略の限りを尽くす。私は君を欺き、君は私を暴く。この歪な関係が私は楽しかった。だから、私は計画を発動させるその日まで、君を始末しなかった」
「…」
「だが、それもここで終わる。私と君の関係……いや、もはや因縁か。因縁もここで終わる。最高の舞台を以って」
「…そうだな」
「もはや、互いに隠すものも偽るものもない。邪魔も入らない。以前のように時間制限もない。私が勝てば、私の大願成就され、君が勝てばそれを防ぐ事が出来る。終幕を飾るには十分と言える。もしかするなら、このような結末になったのも崩玉の意思なのかもしれないね」
「迷惑な話だ」
「これ以上の言葉を交わすのはもはや無粋。始めよう、私と君の戦いを、そして終わらせよう。私と君の奇妙な関係を」
「…言われるまでもない。ここで終わらせる。お前の野望も、お前との因縁も……これで最後だ」
互いに言葉を交わし合うと、昴は腰に帯びた自身の斬魄刀の柄に右手を添えた。
「燦然と輝け、『村雨』」
解号を唱えると、僅かに斬魄刀に変化する。その後、右手を斬魄刀に添えたまま腰を僅かに落とした。それと同時に藍染目掛けて飛びこんだ。
「行くぞ、藍染惣右介ぇっ!!!」
「来い。私の宿敵」
それに合わせて、藍染も飛び出し、そして、激突した……。
――崩玉を取り込んだ藍染には俺でも敵わないかもしれない。だが、それでも命を賭して戦う。残された最後の刀に、俺の意志を託す為に…!
護廷十三隊、十番隊隊長、御剣昴と、元五番隊隊長にして逆賊、藍染惣右介の戦いの行方は――
to be continue………?
以上、気分転換に執筆してみた作品であります。
この主人公、御剣昴は、現在執筆中のハイスクールD×D~転生せし守り手~のスピンオフ的なものであり、ハイスクールD×Dの世界ではなく、BLEACHの世界に転生したらというお話です。連載にすると他の作品巻き込んでエタる可能性があるので、短編という形で投稿致します。
昴は十番隊の隊長になりますので、原作の隊長だった日番谷冬獅郎は副隊長になり、以下、1つずつ下にずれています。
ここでぼんやり考えておいた設定を…。
御剣昴
斬魄刀 村雨
始解 霊力を刀身に変える能力
卍解 ??(思いつかなかった)
解号 燦然と輝け
始解時の斬魄刀の形状 斬魄刀から刀身が消える。
一番隊五席代理→十番隊副隊長→十番隊隊長。
実績 対虚用の陣形を構築し、死神の負傷率、死傷率を大幅に減らす。
早い段階で藍染の野心と斬魄刀の能力に気付く。(その為、完全催眠から逃れた)
志波海燕生存。(一時、休隊するも後に復帰)
とまあ、ざっくりとこんな感じです。
感想やアドバイス等がありましたらよろしくお願いします…m(_ _)m
それでは、次は連載中の二次にて、また!