特に何もない素晴らしい1日だった。   作:緋月夜

11 / 14
大変お待たせしてしまって申し訳ございません((
ちょっと忙しくてしょうがなかったんですね((
なので低レベルになってしまっていて申し訳ないですが、ぜひ読んでいただけたらなと思います。

それではどうぞ。


八雲亭にて、飛我の過去。~幻想入り~

――夜中 妖怪の山 宿舎

穏やかな寝息を立てて、二人仲良く並んで添い寝をしている。

地獄の閻魔、四季映姫と謎の外来人である飛我だ。

精神状態が一時的に不安定になってしまっていた飛我ではあったが、映姫の優しさに触れ、穏やかな心境を保つことが出来ていた。

その二人の様子を、窓の外から眺める者がいた。

「…地獄の閻魔と人間の添い寝ですか……ネタとしては最高なんですけどねぇ…」

その手には少し型の古いカメラが握られていた。

「…説教じゃ済みそうにないですし、それに、こんな穏やかな寝顔を見てしまった以上、ネタになんて出来ませんね」

仕方なさそうに1枚写真を撮って、そのまま飛び去っていく。

彼女の名は、射命丸文。

烏天狗の新聞記者にして、最速の妖怪。

そんな彼女は、今日も新聞のネタを探し飛び回る。

「…それにしても、この少年誰なんですかね……?」

 

文が飛び去った後、気配を感じたためか飛我が目を覚ました。

「…なんで、映姫と添い寝してるんだ…俺は…」

横を見ると、すぐ近くに映姫の寝顔があった。

まじまじと見ると、可愛いと言うよりも、凛とした雰囲気を纏っている。

つまり、美人なのだ……と何だかよく分からないことを考えながら天井を見上げる。

精神的に不安定になってしまっていた事は、充分自覚していた。

元々人格が2つあって一つの体なのだから、それが起きても仕方がない事なのだ。

ただ、さっきのことに関しては…“俺自身”も“飛我”も、悲しかったんだ。

だから、感情が抑えきれなくなってしまったのだと推測する。

そして同時に、今隣にいてくれている映姫に、言葉ではないお礼を告げた。

「…飛我、起きましたか?」

その時、隣で寝ていた映姫が目を開き聞いてくる。

「あ…あぁ、ついさっき…な」

改めて思う、顔が近い。

意識してしまうと、顔がどんどん熱くなっていくのが分かる。

まずい、これは非常にまずい……!

「…落ち着きましたか?」

「えっ…あ、あぁ…映姫のお陰で…なんとか」

慣れない距離に異性がいるということに動揺しつつも返答すると、優しい笑みのまま、そうですか、とだけ返してきた。

「…緊張、してますね?」

そう言いながら、こちらを見て微笑む映姫。

まるで、自分のことは全て彼女に見透かされているような――そんな気がした。

「…映姫は、心でも読めるのか?」

「いいえ、私にそんな能力はありませんよ」

くすくすと微笑んで、こちらを見つめてくる映姫。

そして、ふと思い出す。

気を失う前、自分が何をしたのかを。

「さっきは…すまなかった、手荒な真似をしてしまって」

向き直りつつ、素直に謝罪する。

「いえ、私は大丈夫です、貴方が悪い訳ではありませんからね」

微笑みながらも、こちらの心奥を見透かすように目を合わせてくる。

「…そうか」

この感覚はきっと、多くの人間を見てきた映姫にだからこそ与えられるモノなのだろう。

「私は、明日も仕事ですから…ゆっくり寝ましょう」

そう言ってこちらに擦り寄り目をつぶる。

「おやすみ、映姫」

こちらも同じ様に目を閉じる。

明日は、進展があるのだろうか。

 

 

 

――翌朝

窓から差し込む朝日で目を覚ますと、隣に映姫はいなかった。

先に起きて、旧地獄へと戻ったのだろう…と寝起きの頭で考えていると、不意に耳に声が飛び込んでくる。

「起きましたか?よく眠れていたようで良かったです」

その声の主は、窓際に立っていた。

「映姫…ま、まさか……」

一つの可能性が頭をよぎり、顔が熱くなる。

「ふふ…寝ている時は随分と可愛らしいのですね」

「〜〜〜ッ///」

顔から火が上がる様な感覚に襲われた。

無防備な寝顔を見られることが、とてもではないが耐えられるものでは無い。

恥ずか死とはよく言ったものだ。

「さて、私はそろそろ戻りますね」

そう言って部屋の出口へと歩いていく。

「あ、あぁ…気をつけてな」

「えぇ、この事件の更なる進展を期待しています、それでは」

そう言って静かに出ていった。

期待を寄せられているのだから、応えなければならないだろう。

それ以上に、成し遂げなければならない事がある以上は、どうしてもこの事件は解決しなければならなかった。

それは“飛我”の新しい居場所を、直感的にここだと判断し始めたことが一番の理由である。

 

 

――数分後

身支度を終えて部屋から出ると、足元に何かが落ちているのが見えた。

「…これは、鴉の羽…か?」

艶のある黒い羽が、そこに落ちていた。

この羽を持つ者は、鴉か、もしくは烏天狗のどちらかであるが。

「おや、お目覚めですか、“飛我くん”」

と、不意に声がした。

咄嗟に妖力を察知しようとして、声の主が自分の真後ろにいることに気がつく。

「…もしかして、昨日覗いてた奴か」

振り返らずそう尋ねると、後ろから「げっ」という声が返ってきた。

「…いつから気づいていたんですか?」

「……お前が窓の外に来た辺りからだ、“昨晩は”な」

「…!」

そこで振り返り、初めて声の主と対面する。

一見すると黒髪の少女なのだが、その背中には美しい漆黒の艶羽があり、纏う衣服は天狗装束だった。

「…昨日、俺がこの山に入った辺りから尾けていただろう」

「…あやや、最初からバレていたのですか、貴方、やはり普通の人間ではありませんね?」

昨晩の映姫とは違って、こちらの正体を見極めるためにこちらの目を見つめてくる。

「…なぁ、名前はなんて言うんだ」

至極自然に、目を見据えて目の前の天狗少女に問う。

「私は射命丸文よ、“不思議な人間さん”」

そう言うなり、射命丸の目に冷たい光が宿る。

「私は“キミ”よりも“飛我くん”と話がしたいのだけど、会わせてくれないかしら?」

「…ッ」

バレている、俺が“飛我”ではないということが、そして俺の中に居るのが“飛我”であるということが。

「…はぁ、やれやれだ…誰から聞いたんだ?」

「ふふ、教えてあげてもいいですけど、お互いに情報公開、と言うのはいかがですか?」

先ほどまでの冷たい光はなく、穏やかな視線が向けられていたため、とりあえず場所を変えよう、と提案すると素直についてきた。

 

 

――妖怪の山 某所

宿舎から離れた山中の小川の辺まで歩いてきた2人は、とりあえず岩に腰掛けて話を始める。

「驚いた、まさかこんなに早く気付かれるなんてな」

岩に腰掛けて、そう切り出す飛我。

「気付いたというより、さっき貴方が言った通りに私は“誰か”から聞いたんですよ」

ふふん、と胸を張って言葉を続ける文。

「私は新聞記者です、情報を集めるのなんて簡単ですよ」

「なるほど…つまり文は情報屋ってことでいいんだな?」

そう彼女に問いながら、自分の内にいる“飛我”に向けて思念を発する。

「間違いではありませんよ、丸をあげちゃいます」

そう微笑みながらも、やはりこちらの目を見据える彼女の瞳には、若干ではあるものの冷たい光が残っていた。

「…さっき、文は“飛我”と話したいと言っていたな?」

「えぇ、言いましたね」

ここで、徐々に霊気を高めていく。

「…少しの間だけだが“飛我”と代わろう、ただ、もし“飛我”に何か余計なことをしたら――」

すっと文の耳元に寄って、こう囁いた。

「……“俺”が全力を持って、お前を排除するからな」

「…っ…は、はい…」

向き直ると文の顔が赤く染まっていた、プライドを傷付けてしまったのだろうか?

「…それじゃあ、飛我と代わる」

「…はい、お願いします」

それを聞き“俺”は、目を閉じて自分の意識を底へ底へと沈めていった。

 

 

 

 

――幻想郷

ふと目を開くと、そこは今まで見たことのないような豊かな自然と、澄んだ空気が広がっていた。

ここが“彼”の見ていた幻想郷という所なんだろう。

そんなことを考えながら辺りを見回すと、目の前に黒髪の綺麗な女の人が座っていた。

「あ、えっと、貴方が“飛我くん”ですか?」

と、唐突に目の前の女の人から声をかけられる。

「あ、はい…初めまして文さん」

そう言ってから僕は一礼をした。

「あ、ご丁寧にすみません、私、ちょっと貴方と話をしてみたくてですね」

「…彼との会話を聞いていました、文さんって天狗の新聞記者さんなんですよね」

面白い方です、と続けると、文の顔は先ほどのように頬が軽く朱に染まっていた。

「ここは、外の世界にはいない妖怪や神様、妖精なんかが沢山住んでいるんですね…まるでシェルターみたいだ」

「…シェルター…ですか?」

首を傾げ、こちらに問いの視線を向けてくる文。

「…まぁ、見たままの感想ですよ」

言うなり立ち上がった飛我は、文に視線を向け、

「それでも…ここはいい所ですね、出来るなら…もっとここにいたいです」

そこから、空を見上げた。

その時文が見た飛我の横顔は、 生涯忘れることは無かったという。

 

 

 

――その後

“飛我”が表に出てこれる時間は長くはなく、少しの間会話を交わした後、元の人格であった“彼”が出てきた。

「…」

「……恐らく、紫が話していたのを聞いていたんだな、お前は」

切り替わった直後に、文に対し確信に近い推測を投げかける。

「……」

沈黙を肯定と受け取り、そのまま歩き出す。

「あの、どちらへ……?」

背後から漸く声が掛かるが、振り返りはせずに、

「…湖に、な」

 




なんというか本当にもう……すみません((
次回予定は紅魔組との絡みがメインになります。

それではまた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。