少年少女はとある世界に呼ばれ、その世界を旅するが、勇者によって、少年少女は殺された


これは味方殺しの勇者を殺した付与術師のお話

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勇者がチート過ぎます


最強の戦闘職(クラス)?やっぱり付与術師(エンチャンター)でしょ!

俺は魔(術)王をやっているものだ。名前はあったが忘れた。いや、正確に言えば本名を忘れた。もうこの世界に来てから何千年何万年とたってるから、しょうがないよね。

 

 

さて、いきなりそんな事言われても分からないと言う人が大多数いるだろうから順番に説明していこう。まず、俺が、いや、俺たちクラスの全員三十名程の人がこの世界に呼び出された理由だが、まぁよくある勇者召喚によるものだ。今はもう滅ぼした国の王様が「魔王が攻めてくるから勇者を召喚した。頼む我を助けてくれ」だったかな。そんなことを言ってきた。当然普通の奴らはそんなこと許すわけがないだろうが、勇者として呼ばれたそいつは普通の人じゃなかった。人一倍どころか十倍は強いやつで「もちろんです!」とか言って俺たちは魔王を倒すことになった。なんでそんな簡単にみんなが受けたのかだって?それはそいつの持つクラス『勇者』のクラススキルによるものだ。この世界の勇者はかなり理不尽なスキルで効果は『HP減少無効、MP減少無効、スタミナ減少無効、疲労無効、状態異常無効、味方の経験値倍率500倍、味方戦意向上』がセットでついてくる本当に理不尽なクラスだ。そして、味方戦意向上とあるが、俺はあれを戦意向上とは言わない。あれは洗脳だ。ある時俺たちは戦闘経験を積むためにモンスターと戦うことになったのだが、その時一人がビビって動けなくなったんだがその時勇者様は「頑張って一人で戦うんだ!」と言うとその声をかけられたやつは立ち上がって、見事そのモンスターを倒したんだよ。血みどろになってな。そしてその光景を見た奴らはそうすることが当たり前のように見ていたんだ。俺は遠くから見ていたせいかその異常に早く気づいた。そこから俺は状態異常無効のエンチャントを自分にかけてから勇者を観察することにしたんだが、地獄のようだった。俺を抜いたクラス二十八人全員が勇者の言いなりになって勇者を嫌っていた奴らもその勇者様の一声で従順になって従うんだ。しかもレベリング方法も馬鹿みたいな内容だ。ただ戦うだけだ、そう本当にただ戦うだけ、目標のレベルになるまで戦い続けたんだ一切休む間もなくな、普通そんなことしてたらぶっ倒れるだろうが勇者のスキルによる戦意向上によって戦意向上した奴らはぶっ倒れることなくレベリングをしていったが、それでも死ぬ奴らはいた。それはそうだ、いくら戦意向上しているとはいえ勇者じゃない奴らは疲労無効もHP減少無効もないのだから油断したらすぐに死んでいった。そして、たちが悪いことにこの勇者、そのことを魔王のせいにしやがった。「コイツが死んだのも、魔物を生み出した魔王が悪いんだ!」とか、いやいや、お前のせいだよ。まぁ俺の声なんて勇者様は聞くわけもなく自分で、無自覚に仲間を殺しながらレベリングしていったよ。そして、クラスの半数が死んだ時、やっと魔王を倒しに行ったんだ。魔王と呼ばれる。魔導王をな。

 

そう、本当は魔王なんて居なかったんだよ、俺たちを呼び出した王様は、豊かな土地が欲しくてその国のことを魔王がいる国とか言ってただけだったんだよ。そのために王様は勇者召喚なんていう術式を作って俺たちを呼び出したんだ。そしてその事を知らない勇者やその付き人たちはその国の民を殺し尽くし、魔導王も殺したんだ。そのことを俺たちを呼び出した王様に知らせると「此度の活躍、大義であった。だが、まだ魔族の残党共が残っておるのだ。どうかそいつ等も倒してくれんか」とか言ってきたんだよ。勇者様も疑うことなく二つ返事で了承したしな。このままじゃあまずいって思って俺も行動を始めたんだよ。俺に足りなかったのは知識だけだったから、魔導王の国にあった書物を何個か拝借することでその知識も蓄えることができた。あとは術式を完成させるだけだったのだがそれがなかなか難しく完成するまで時間がかかってしまった。そして、その間に勇者によってクラスメイト全員が過労によって殺された。なんと勇者様は一年間ずっと王様の言いなりになって不眠不休で殺し続けてたんだよ。あ?なんで俺は生きてるのかって?そりゃあ頃合いを見て俺は死んだことにして勇者一味から離れたからね。そして、俺は勇者を殺したんだ。対勇者用の術式を使ってな。その後は俺を呼び出した王様も殺した。その後は各国からスラムにいる子供たちを連れて俺も国を作ったんだよ。書物でしか見たことがないが魔導王の「闘いなき国」を作るためにな。それから俺は色々なことをやった。まずは自分に『不老、不死』をエンチャントすることで長い時を生きれるようにし、さらにステータスカードを作る技術が当時はなかったから俺が作り、街にモンスターが近寄ってこないように防壁を発生される術式を作り各国に売りさばいた。他にも生活が豊かになるように色々な物を作っては売りさばいた。面倒事も何度かあったが、それでも平和な日常ではあった。

 

しかし、歴史は繰り返される

 

俺は王様を殺したあと、勇者召喚の術式が書いてあった書物を焼却したんだが、まだ未完成の勇者召喚を書いてあった、書物か石板かは知らんがそれが残っていたようで、何十年かに一人の勇者が召喚されるのだ。そして、俺の目の前には、その呼び出された勇者がいる

 

 

〜〜〜

 

「お前が魔王だな!ここであったが百年目!今日ここでお前を倒す!」

「お前とは初対面のはずなんだが、無礼な奴だ」

 

俺は傍に置いていたメガネをかける。これには『鑑定、妨害無効』がかけてあるため相手のステータスを確実に見ることができる

 

「『HP減少無効、状態異常無効、経験値倍率100倍、味方戦意向上、防御貫通、限界突破』か、ふむ、中の中といったところか、喜べここ千年くらいだったらお前が一番優等生だ」

「ほざけェ!」

 

勇者は剣を振りかざし俺めがけて特攻をしかける

 

「対象『空気』エンチャント『停滞』」

「ガ!?」

 

当然攻撃を受ける気がない俺は目の前の空気にエンチャントする、停滞をエンチャントする事により空気の動きが止まり壁となる。そしてその空気の壁に勇者は激突した

 

「お前!今何おした!」

「相手に手の内を晒すバカがどこにいるんだ?エンチャント『死』(デス)」

 

この戦いから得られるものはないと判断した俺は早々に勇者を殺すことにした。勇者のもつ状態異常無効は即死と言う状態異常は無効にするがエンチャンターによるエンチャントを無効にすることはないから、俺はエンチャント『死』を作ったのだ。そのおかげで俺は無敵の勇者を殺すことができるのだ

 

「王様?」

「どうしたミア、部屋で待っているように言っただろ?」

 

俺に声をかけてきたのはネコ耳と尻尾がはえた獣人の奴隷、ミアだ、まぁ俺は奴隷契約は解除したのだが本人が奴隷のままでいいと言うから奴隷として扱っている

 

「これどうします?」

「一応冷凍室に入れておけ、貴重な勇者の体だ。魔術の素材には最適だろう」

 

それに、俺の国に攻めてきたという無礼を働いたのだ。その魂まで汚し尽くし後悔させてやらねばなるまい。

 

「かしこまりました。では、そのように」

「あぁ頼んだぞ。それにしても最近勇者の質が上がってきたな」

「はい、配下によるとなんでも勇者召喚術式の改良に成功したとか」

「ほう、あれの改良か。最近の魔術師は優秀な者が多いようだが、どうせならもう少し話のわかりそうな奴を呼んで欲しいものだな」

「その通りでございます」

 

ミアはそう言うと勇者の遺体を担ぎ部屋を出ていった

 

「やれやれ、あの時のようなことにならなければ良いのだが」

 

俺は空を見上げ、そう思いをはせた。




続きそうな終わり方ですが、続きません


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