とある無力の幻想郷~紅魔館の佐天さん~   作:王・オブ・王

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14,幻影殺し<ファントムブレイカー>

 最初、イヤホンをつけて立ち上がった佐天を見て神裂火織はなにを血迷ったのかと呆れた。

 少しだが期待していたと言えば嘘ではない。彼女は佐天涙子という超能力の街であまりにも物理的に強い少女に“興味を惹かれた”のだ。

 それでも恐怖か何かで血迷ったことをしだした佐天涙子に内心落胆の気を隠せなかった神裂。

 ただ涙子の口から発せられた『インデックスを助ける』という言葉だけはまだ気になっていた。少しでも期待してしまう自分がいる。天才と呼ばれるステイルを倒したという上条という少年と目の前の佐天涙子という存在。

 だから聞きたくなった、なぜ禁書目録(インデックス)を助ける気になったのか……。

 

「なにが目的で―――ッ!?」

 

 瞬間、妙なざわつきを感じてその場から退避すると佐天涙子は口元に笑みを浮かべていた。

 その紅の左目は間違いなく自分を狙っている。

 聖人と呼ばれる自分を僅かにでも警戒させる目の前の人間は、やはり超能力者なのだと実感した。

 目の前の少女、涙子は左手を前に出してから、何かを掴む動作を見せる。

 妙な違和感を感じれば、張り巡らせていたワイヤーがなにかに掴まれたかのようにひとまとめにされていた。

 

「なっ!?」

 

 驚愕する神裂。

 左手を引く涙子、同時にひとまとめにして“掴まれている”ような神裂のワイヤーは引かれて、力なく地に垂れる。

 これでただ踏まれるだけの糸となったわけだ。

 神裂は狼狽している。

 

「貴女を侮っていたようです」

 

 少しばかり眼を鋭くしてから神裂火織は佐天涙子を睨む。

 外側はそこまでダメージを追っているように見えないが内部はかなりダメージを追っている佐天涙子。

 神裂火織は勝ちを確信していた。

 

 佐天涙子の自分だけの現実(パーソナルリアリティ)は、幻想郷に行き過ごしたことでだいぶ変わったと言っていい。

 そもそも能力を持っていないのにそれはあるのか? 答えは是だ。言うなれば考え方が変わったのだから当然と言って良い。

 一度自分の持つ“現実”という世界を砕いて“幻想”というものに触れた今だからこそ能力はこれであるが、もし幻想郷に行っていない彼女が幻想御手(レベルアッパー)を使っていたら能力はまた変わっていただろうけれど、所詮はif(もしも)の話だ。

 今彼女がどんな能力を持っているにしろ、やることは変わらないのだから……。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 私なら勝てると、言い聞かせてから再び私は自分の紅い眼で神裂を捉えて左手を向ける。

 けれど神裂はそれがわかってか走り出した。さっきまで同じ場所で立っていた彼女がそこまで動くというこは私の能力をずいぶん評価してくれているのだと思う。

 フフッ、能力を得たらやっぱり気分が変わるよね。レベルはいくつなんだろ、やっぱり1かな?

 でも、インデックスと上条さんを助けられるならそんな小さなことはどうでも良い。

 レベルなんてどうでもいいこと!

 

 走り続ける神裂を視覚で捉えて左手を向けると、握る。

 瞬間、神裂と私の間にある信号がミシッ、と音を立てて“潰れる”。

 失敗ッ!

 さすがだ、さっきのステイル・マグヌスを凌ぐ魔術師なのは確かで、今の自分に勝てる可能性は万に一つもないことぐらいわかってる。

 それでも、それでも―――。

 

「それでも女にはやんなきゃいけないときがあるのよ!」

 

 能力ばかりに頼っているわけにはいかない。私の紅魔館で得た力も使ってあいつを倒す!

 左手を開いた後に私は走り出す。

 それに気づいて神裂も同じく私に向けて走り出した。

 

「潔くて結構です―――七閃!」

 

 神裂はそう言ってから刀を抜く振りをしてワイヤーを飛ばすけれど、私は左手を前に出して握る。

 ワイヤーが止まってそのまま私が引けばそれですぐに驚異は去ってまだ近づいてくる神裂に向けて私は能力を使わない。前動作が必要な私の能力は神裂に向いていない。

 だからこそ、私はジャケットの内ポケットに手を入れてナイフを出す。

 いつも投げるものよりも大きめのサバイバルナイフを右手で持ち、左手の人差し指と中指と薬指と小指の間に計3本のポケットナイフを挟む。

 

「ナイフで戦う相手が初めてというわけではありませんが、変則的ですね!」

 

 そう言うと神裂は鞘付きの刀を縦に振る。右手のナイフでその振り下ろされた刀を受け流す。

 受け止めるよりは理性的で正しい戦い方と咲夜さんは言っていた。『力の無い人間』が力の強い者と戦うためには力技よりもテクニックが求められる。

 呆気なく受け流されたことに驚いている神裂、まぁナイフで刀を受け流すなんて並じゃできないと思うし、神裂の刀を振るスピードは並じゃなかった。けど―――咲夜さんのナイフに比べればまだ遅い。

 私は左手を振るう。

 神裂は即座に背後に逃げたので致命的なダメージは与えられなかったけど、その右上腕に三本の切り傷が走った。

 

「ようやく、ダメージがしっかり通りましたね」

 

 そう言って笑みを浮かべてみる。

 紅魔館での咲夜さんの教えを思い出し、いつも余裕を持つということを大事にしてきた。

 それだけでも充分なタクティクスアドバンテージを得れるし、なによりも自分を錯覚させることができる。

 目の前の神裂は私の余裕を見て動揺しているようなふしがあった。

 右手のサバイバルナイフを空中に投げてから、私はジャケットの中に右手を入れてバタフライナイフを出すと軽く振って刃を展開し、それを口にくわえてから落ちてくるサバイバルナイフを持つ。

 

「……本当に初めてです。貴女のような相手は」

 

 そう言うと神裂が刀を腰に構えて走り出してくる。

 私も同じく走り出すと神裂が横に刀を振るう。跳んで回避してから神裂の背後を取って、右腕のサバイバルナイフを振った。

 けれど神裂は鞘付きの刀を軽く振るって背後を向いたまま私のサバイバルナイフを受け止める。

 だけど私には左手がある。左腕を振るおうとした瞬間、私は感じた違和感に背後に跳ぶ。

 

 瞬間、私の正面に銀色のワイヤーが走った。

 迫ってくるワイヤーを見極めて、当たる寸前で体をひねってなんとか回避して、また神裂に近づく。

 意外だったのか驚いた表情をしながらも私に右手首を切られる前に神裂は左手で私の右手首をおさえることで防いだ。今度は左腕を振るうけれど私の攻撃は神裂が右腕に持っていた刀と鞘で防がれた。

 だけど私の口には、くわえたバタフライナイフがある。

 首を振ってくわえたバタフライナイフで首を斬ろうとしたけど軽く回避される。殺すまではしないけど病院にすぐいかなきゃいけないぐらいにはしてやるつもりだった。

 なのに―――浅かったっ!

 

「はぁっ!」

 

 私が蹴りを出すが神裂は表情を変えるも特に大ダメージをくらったという感覚はないようだ。

 神裂が左手を離した直後、私はサバイバルナイフを神裂の肩に突き刺そうとしたけれど神裂はそれより早いスピードでその左手で私の腹に掌底を打ち込む。それによって吹き飛んだ私はなんとか両足地面に着地するけれど思った以上のダメージに咳き込みそうになる。

 ナイフをくわえている口からポタポタと血が出ているのは、たぶん内臓に傷がついたせい。

 先ほどとスピードもパワーも違いすぎる。なにがあったのかなんて簡単だ。

 本当に本気を出した……。

 神裂の首から少しばかり血が出ているがもうすでに止まってる。

 

「貴女は凄まじい、ええ……今まで私が戦ってきた相手とまるで違う」

 

 でも私にはわかる。ただ相性がいいだけ、遠距離タイプの相手だったなら私は呆気なく死んでいた。

 ステイル・マグヌスより神裂が強いのはわかるけれど、たぶん神裂の方が戦い易い。ステイル・マグヌスだったら私は一瞬で消し炭にされてるだろうと思うしね。

 それでも今回は負けるわけにはいかない。上条さんと神裂では相性が悪すぎる。

 

「だからこそこの名を、名乗ることはないと思っていた名を名乗りましょう……」

 

 腰に刀をつけると、居合の構えを取る。

 

「Saivere000!!」

 

 凛と放たれたその言葉と共に刀を抜いて神裂は走り出す。

 私は私で走り出す。振るわれる刀を右手のナイフで受け流したけど、なんだか異常に重い。

 口にくわえたナイフを使って神裂の首を狙うが受け流した刀を流れるような動きで私の足を狙う神崎、軽く飛んでから空中で横回転。

 サバイバルナイフと三本のナイフでの回転攻撃だったけれど、それらを回避してしまう神裂。

 

「ふっ!」

 

 着地した瞬間、私は神裂の蹴りを食らって少し動きが鈍る。

 これが命取りだったのだと思う。神裂は刀を一度鞘に収めると―――引き抜いた。

 一瞬の抜刀。

 私の口から落ちるナイフ、両手のナイフも落としてしまう。

 

「っ……」

 

「聖人たる私に“唯閃”まで使わせた。それは誇ってもいいことです」

 

 私の腹部から血が一度吹き出る。

 口からも血が溢れ、力が出ずに両膝を地面についてしまう。

 まだっ、こんなところで終わるわけにはいかない! いかないんだ! 私は、インデックスと上条さんをっ! せっかく、能力者になったのにこんなことでぇっ!

 血がぼたぼたとお腹から落ちていく、視界がかすむ。

 それでも目の前の神裂に向けて私は左手を向ける。驚いたような顔をする神裂。

 私は手を握り締める。

 瞬間、神裂がしゃがんだ。手は神裂も魔術師もいない場所と掴んで、そのまま私は―――。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 佐天涙子が気絶したのを確認してから立ち上がる神裂火織は怪訝な顔をした。

 まさか一般人に唯閃を使わされるとも思わなかったが、それよりも佐天涙子はやけに能力を使うタイミングを押さえられてなかったのを疑問に思う。

 格闘、ナイフでの戦いは凄まじいものだったが、能力の使い方をいまいちわかっていないようにも思える。

 しかし、それ確かならばとんでもないことだ。

 火織が振り返れば、そこには崩れた3階ほどあるビルが見えた。

 

「あれを自分にされたらと思うだけで……ぞっとしますね」

 

 目の前の血を流しながら倒れてる佐天涙子を見ながら、彼女はため息をつく。

 自分も怪我をしているけれど、目の前の少女を放って帰るというのは寝覚めが悪いのだ。

 神裂火織は基本的に困っている人をほうっておけないタイプで、それはどこか上条当麻と似ていると言って良いだろう。

 彼女は佐天涙子を背負って歩き出した。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 次に眼を覚ましたとき、私の視界には天井が映った。

 

「病……院?」

 

 体を起こすけどあの大量の血が出ていた場所から感じる痛みは僅かで、なんでだろ?

 傷は深かった気もするが、誰が病院に運んでくれたのだろうと疑問を浮かべるがそれも気絶していたのでわからない。

 どうしようかと考えながら、私は周囲を見回す。

 

「どうやら起きたみたいだね」

 

 そう言って入ってきたのは……。

 

「リアルゲコ太」

 

「ん?」

 

「いえいえなんでも」

 

 カエル顔のお医者さんだった。

 

「昨日の夜中、黒髪の女性が君を運んできてね、なにがあったのかまでは知らないの一点張りだったけど」

 

 神裂が私を運んだってこと、なのかな?

 なんで魔術結社の人間が私にそこまでしたのか、殺すのは面倒になるからとか?

 でもステイル・マグヌスを見てた限り殺すのに躊躇はないはず。じゃあなんで私を助けたのか?

 わけがわからないけど、インデックスの10万3000冊の本を狙う組織の一員なんだからロクな人間じゃないと思う。でもあの人は私を病院に……。

 とりあえず横にある時計を見て、今が昼過ぎだということを確認すると妙にお腹がすいてきた。

 

「……すいません、食堂とかありますか? あと廃棄するものとか」

 

「まぁ食堂の方は下にあるね、廃棄するものというよりいらないものならついさっき出なくなったボールペンがここにあるけど、どうするのかな?」

 

 じゃあ大丈夫だよね?

 私は医者からそのボールペンを受け取ってから、軽く投げて先にある棚の上に置く。コントロールは完璧だしいつも通り、ただここからが私なりの実験だ。

 左手を前に出して、眼でしっかりとそのボールペンを見据える。

 私の眼がしっかりとそのボールペンを狙うと、感覚だけでそれを“掴める”ことがわかった。

 左手をゆっくり握りしめてから、手を持ち上げてもボールペンが持ち上がることはない、ただ感覚だけがある。掴んでいる感覚だけが……。

 だから私はそのボールペンをベッドの上から上体を起こしたまま握りつぶした。

 

「っ!?」

 

 カエル顔のお医者さんは驚いたような顔をしてるけど、私の方がぶっちゃけ驚いている。

 能力を得たというのは気のせいじゃなかった。つまりは幻想御手を手に入れたという現実は確かにあると言えるわけで……私は自分の左手を握り締める。

 遠くのものを握りつぶす、これは?

 

「それが君の能力かい? 念動系と見て……良いのかはわからないけれど空力系でもないのは確か、やはり念動力かな? う~ん、さっぱりわからない」

 

 そう言うと、彼は何かを思い出したかのように手をポンと叩いた。

 なに? と思って見ていると人差し指を立てて言う。

 

「起きたら退院しても平気だよ」

 

 え、そういうの大丈夫なの?

 様子見とかで数日間入院が続いたりするもんじゃないの?

 でもまぁ、その方が都合が良いんだけど、食堂とか行かないですむし、自宅で御飯食べれるし……。

 とりあえずと言うことで私は患者服のまま病室から出て携帯端末にて電話をかける。

 発信先は白井さんだ。もちろん理由は空間移動(テレポート)で服を運んでもらうため、説明をするのが余儀なくされるけど致し方ないないよね。

 なぁんて考えてたら電話が繋がる。

 

『もしもし、佐天さん私あまり電話ができるような場所ではないのですけれど?』

 

「あぁ私もです。それよりもお願いがあって」

 

「ちなみにお願いを聞けるような状態でもありませんのよ、佐天さん?」

 

「え~そんなぁ、白井さんの空間移動(テレポート)でちゃちゃっと!」

 

「あら佐天さん、なら色々と聞かせてもらえるんですの?」

 

 さっきから電話から声が聞こえてくると同じに二重に反対側の耳からも声が聞こえてくる。

 私の能力の一部!?

 なぁ~んてそんなわけないよねぇ。と思いながら声のした方向を見ればそこにはおなじみのツインテール。

 風紀委員(ジャッジメント)の腕章をつけた白井さんがそこに立っていた。

 ふぅ~やれやれ。

 

「なんですのその表情は?」

 

 白井さんはジト、とした目で私を見てくるけど気にしないことにする。

 

「どうせ呼ぶのなら一緒ですわよね?」

 

 まぁ確かにそのとおり、だけど得が待っているのと待っていないのではわけが違うってわけだよね。

 最近白井さんとの絡みが妙に多いのは気のせいじゃないと思う。大概固法先輩のせいな気がしないでもないけど……。

 白井さんは私の腕をギュッと掴んでいる。

 逃がさない……というわけだ。

 

「わかったよ、話す話すよ話します!」

 

 三段活用で言うと、白井さんは頷く。

 ところでなんで白井さんもここにいるんだろう?

 まぁとりあえず解放してもらうために話ながらも、初春に服を持ってきてもらうためにメールを打った。

 腹がバッサリな服なんて着たくないもんねぇ。

 

 

 

 とりあえず白井さんには私は昔から武闘派だということを伝えた上で、固法先輩と一緒に不良たちをボコボコにしたことなどなどだ。

 結局この怪我はスキルアウトと戦ってボコボコにされたということにしたわけだけど。

 確実に信じてない。咲夜さんにも身内に嘘をつくのが下手って言われた覚えがないでもない。

 

「まぁ、とりあえず今はこれで許してさしあげますわ」

 

 意外、と思っているとベンチにて隣りで座っている白井さんがため息をついた。

 

「いつかはしっかり話してくださいましね?」

 

 初めてというのは失礼だけど、まだ出会って一週間も経ってないのに妙な親近感というか友情を感じてしまった。

 白井さんが御坂さんにあそこまでして、御坂さんが白井さんを信頼している理由がなんとなくわかる。

 それに初春だって白井さんの親友で相棒だもんね。

 

「白井さん、見直しましたよ」

 

 そう言うと、白井さんは照れくさそうにして『とうぜんですの!』というと立ち上がった。

 どうやら怪我の検査結果が出たようだ。振り返った白井さんに軽く手を振って私は自分の病室へと帰る。

 戻ればそこには昨日ぶりの頭がお花畑な初春。

 相変わらず咲き誇ってるねぇ。

 

「佐天さん、どうして怪我なんてしたんですか!」

 

 そんなに怒られてもと思うけど、今回ばかりは私の全責任ってもんだよね。

 

「ごめんなさい」

 

「なにかまた危ない道を通ったりしたんでしょうけど、佐天さんは自分が絡まれやすいってことを自覚するべきです!」

 

 なんだか胸が痛い。またって、またって初春……。

 だけれどすぐ危ない道を通ろうとする私が絡まれる確率は普通じゃないということはわかってる。

 今でこそ自分の身は自分で守れるけど少し前までだったら危なかったと思う。

 それでも今回ばかりは引くわけにはいかない戦いだったんだ。

 

「ほんと心配かけてごめん、あと荷物ありがとね」

 

「……幻想御手事件について調べなきゃいけないことで一杯なんで、私これで帰りますけど、今度しっかり事情は聞かせてもらいますよ!」

 

 夏休みがはじまったばかりなのに、面倒な予定がどんどん増えてくなぁ。

 まぁ事情を聞くなんて言いながらも遊ぶだけになるんだろうけどね。

 初春は心配そうに私を見ているので、私は軽く手を振って答えた。

 少しだけ笑ってから、初春は手を振って答えてくれると病室を出て行く。

 

「はぁ……」

 

 罪悪感に押しつぶされそうになる。

 私は自分が親友と称した初春に誰よりも嘘をついていた。

 色々知っていて気軽に話せる初春だからこそ、初春にはつくべき嘘が多すぎる。

 ほんとに疲れるけど、仕方がない。

 私は着替えを済ますと色々と済ませて病院を出ることにした。

 

 

 

 目的はインデックスで、夏休みに突入した今日からなら一日中上条さんやインデックスといられる。

 私は初春の持ってきてくれた服で、カエル顔のお医者さんに『物騒なもの持ってるね』と言われ返されたジャケットとその中身をしっかりその上から着て走った。

 私は目的地こと上条さんの担任の先生である小萌先生の家に向かう。

 眼帯も付けずに走って、時間短縮のために路地裏を駆け抜けようとしたけれど、やはり私は不良たちに道を塞がれた。

 不幸だ!

 

「へへへっ、こっから先は通行料を払ってもらわないとなぁ、わかるだろ?」

 

 男の一人が能力で廃車を持ち上げた。

 その“程度”なら私の能力でもなんとかなるってものだ。

 私は左手を廃車に向けて―――握りつぶした。

 段々と慣れてきた。ただ昨日の神裂との戦いでもっと自身の能力に慣れていればと思わされたりもする。

 とりあえず上条さんとインデックスの身が心配で、私は道を駆け出した。

 

 

 

 七月二十一日、私は不思議な能力を手に入れた。

 

 

 

 

 

 




あとがき

まぁとりあえず佐天さん能力を得たでござるな、問題はこれからでござるよぉ!
さてさて、泡と消える夢でござるからな幻想御手というものは。
ちなみに負けた理由は本編にも書いたとおり「能力に慣れてない」ということにござる。純粋に経験不足や実力不足もあるでござるが、もう少しうまく使えていたら変わっていたでござるな。
ちなみに佐天さんのナイフフル装備は閃乱カグラの日影を元にしてたりって知らなくても問題ないでござるよねうん。

次回は禁書目録でも超電磁砲でも語られざる二十四日までの話となるでござる。

では、次回もお楽しみにしていただければまさに僥倖ォッ!!

PS
それにしても本編の日数にそろそろ現実の日数が追いつきそうだったりとキングはキングは焦ってみたり

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