とある無力の幻想郷~紅魔館の佐天さん~   作:王・オブ・王

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展開が早すぎるという意見があったので、少し謝罪を、申し訳ありませんでしたで候!
ただ一言言うならば今回も早いと思いますがあくまでも仕様ですので!
『早くね?』と思ったところはしっかりと解消されることでしょう。たぶんでござるが……。

ということですが、本編、楽しんでいただければまさに僥倖ォッ!!


3,友達

 あれから一週間ほどが経過した。

 今はかの“紅霧異変”からおおよそ3ヶ月ほどであり、外来人こと佐天涙子が来てから二ヶ月と一週間ほど。

 ちなみに、紅霧異変と言えばレミリア・スカーレットが起こした異変である。

 それから博麗神社の紅白巫女やら白黒の普通の魔法使いと友人と呼べるような関係になり“昔からそこそこ仲の良かった”チルノと大妖精もよく来るようになった。

 彼女の友人が魔法使いということもあり、白黒の魔法使いは特に良く来る。それもよくわからない外来人と連れてきたりもするほど……。

 そしてその外来人こと佐天涙子の話に戻ると、所詮は一週間、佐天涙子は変わらず無能力であり紅魔館のメイド(バイト)であった。

 そんな佐天涙子だが彼女の天性の能力かなにかか、紅魔館のメンバーからはかなり好かれている。

 そして、今日は彼女の運命を変える一日となった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 私佐天涙子はほぼ毎日紅魔館でバイト。

 やっぱりみんな優しいというか気さくで心地いい。ある意味能力者だらけの学園都市より居心地は良い。

 幻想郷でもみんな異能を持ってはいるけれど、別にそれで何かが変わるわけでも決まるわけでもないし……あぁ、あえて言うならあったほうが便利ぐらいかな?

 とりあえず、私が無能だって思い知ることはない。

 

「今日もお疲れさまです、差し入れですよ美鈴さん」

 

 私の“格闘”の師匠でもある美鈴さんに咲夜さんから預かったバスケットを渡す。

 中身はサンドイッチで、差し入れらしい差し入れだった。私も一度門番を任されたときもらった。

 美鈴さんと私は二人で門の前に座り込んで話をする。

 

「咲夜さんも大きくなったな~」

 

「そう言えば小さい頃にここに来たんでしたっけ?」

 

 レミリア様がちらっと言っていた気がする。『昔と違って』とかなんとか……。

 そのあとににんにく紅茶を出されて盛大に吹き出してたけど。

 やっぱりドジやってた頃とかって思い出したくないのかな?

 

「うん、昔は『め~り~ん』って言って可愛かってたんだけど、一児の親の気分」

 

「ははっ、そんなこと言ったら怒られますよ?」

 

「そうですよねぇ~あれ、なんだか頭が痛い」

 

「ナイフ刺さってますもん」

 

「そっかぁ~」

 

 すぽっとナイフを抜くと血が吹き出るがすぐに止血してってずいぶん手馴れてる。まったくもぉ、ここにいると学園都市に帰った後が怖いなぁ。

 それにしても私もここ二ヶ月ほどでずいぶん成長したと思う。

 心が……もう少し学園都市でも落ち着いていられそうな感じがする。

 いざとなったらスキルアウトでもアンチスキルでも、無能力でもどうにかなるところが山ほどあるしね。

 能力開発は頑張るつもりだけど、少なからず今まで以上には……。

 

「そういえば涙子はフラン様に会ったことあるんだっけ?」

 

「フラン……?」

 

「あっ、知らないなら良いの!」

 

 美鈴さんは明らかに『やっちゃった~』という顔をしているが、誰なんだろ?

 気になる。でもたぶん美鈴さんは言わないだろうから、そうだ!

 

「じゃ、私はこれで!」

 

 仕事仕事! と見せかけてレミリア様の部屋へとダッシュ!

 まだ昼間だから余裕で起きてるだろうし、私はやると言ったらやる女なのだ。この佐天さん、紅魔館の主の一人や二人……。

 きっとれみりゃ様の秘密が!

 とか思っている間に部屋の前について、止まって身だしなみをとりあえずは整えてから、扉をノック。

 

「入りなさい」

 

 許可の声が聞こえて扉を開けて入る。

 そろそろ板についてきたメイド服のスカートがわずかに揺れる感じがした。

 制服がロングスカートだから新鮮さが否めない。

 私が部屋に入ると、少しばかり主っぽく椅子に座っていたお嬢様から覇気的なものが無くなる。

 

「なんだ涙子か、カリスマ出して損したわ」

 

「これは酷いですね」

 

「で、どうしたのかしら?」

 

 レミリア様は紅茶を飲みながらそう言う。

 片手で優雅にティーカップを傾けて飲むと、口を離して私を見た。

 私は笑顔のままテーブルをはさんでレミリア様の向かいに座ると、じっとその顔を見て本題に入る。

 

「フランって誰ですか?」

 

 その言葉にレミリア様の目が一瞬見開かれたが、次に目を閉じた。

 なんだか話しかけちゃ怒られそうな気がして黙っていることにする。そう言えば怒られそうと言えば咲夜さんには『美鈴に差し入れ持って行ってあげて』としか言われてないからたぶんこれがバレたら怒られるんだろうなぁ、と思って少し気分が沈む。

 まぁこの佐天さん、やればできる子ですから仕事はきっちりできますよ!

 ふと、レミリア様が目を開くといつも私に向けるような目とは違う雰囲気の目を向ける。

 最初に会った頃を思い出す鋭く威圧感のある眼光。

 

「不用意にフランのことを知りたがるのはやめなさい……」

 

「えっ、なんで―――」

 

「貴女、死ぬことになるわよ?」

 

 そんな言葉をかけられて、私には黙っているしか道が無かった。

 いつもの幻想郷では夜の森は危ないなど言われてもそんな気がしない。

 けれどこの眼で、この口調で言われて初めて幻想郷で私は“死”を感じた。

 私の雰囲気を察したのか、レミリア様は威圧感をフッと弱める。

 

「っ……ぁ」

 

 小さく呻いて、体中の力を抜く。

 

「それで良いわ涙子、貴女も死にたくないわよね」

 

 それもそう、目の前の悪魔の少女を見て、私は初めて本心から死にたくないと思った。

 やはり私のご主人様(仮)は凄いなって思う。

 これがきっとみんなが慕って着いていく理由の一つでもある。

 とりあえず気分を害したのは私だから『すみませんでした』と一言だけ言って部屋を出ることにした。

 さぁ、仕事仕事!

 

 

 

 結局午後6時頃に上がった私は三十分もかからず家へと帰ってきた。

 あくまでもチルノの家だけど、今では私の家でもある。

 二人で住んでるのだから当然、一週間に3回ぐらい泊まりに来る大ちゃんも大概だけど……。

 そろそろチルノの家からは離れないとなぁ、とは思うけれど人里にも空き家があるわけじゃない。

 レミリア様は『紅魔館に来たらどう?』と言われるけれど、それはそれで厚かましい気もする。チルノの方と違ってやはりあそこは一つの家庭だからだろうか?

 人の家庭に土足で踏み込めるほどさすがの佐天さんも自由人じゃないですよ。

 

「ただいま~」

 

 帰ってきたのはチルノと大ちゃんの二人。

 軽く肩を回しながら帰ってきたチルノはこの時期だから、人里で氷の安売りかなにかかな?

 相変わらずとんでもな商売方法を考えると思う……大ちゃんは。

 まぁそのおかげで三人無事に食べてけてるんだけど、一応私のバイト代だってあるんだからね?

 

「さて、あたいが人間共に“さいきょー”と敬われながら今日も終わったわけだけど」

 

「人間を目の前にしてよくその言葉を」

 

「あっ、佐天は別ね」

 

「取ってつけたように言うなら最初から言うな~」

 

 そう言ってチルノのスカートを捲る。

 なんだ、今日はパンツじゃなくてドロワか……やけに損した気分になるので大ちゃんの方をめくろうとしたら首にクナイが突きつけられる。

 突きつけてるのは笑顔の大ちゃんで……恐い、恐いので私は大人しく後ろに下がることにした。

 まったくもう~、大ちゃんって時たま凄い怖いんだよねぇ。

 

「ほらほら、晩御飯があるから座って座って」

 

 とりあえず私は大ちゃんから感じる威圧感を消させるためにそう言う。

 それでわかったのか大ちゃんとチルノの二人が私と一緒に畳の上に敷いた座布団の上に座る。

 私が作った料理が食卓に並ぶが、なんていうかこの世界に来てから色々と科学のありがたみを知った。

 ほんと便利な世の中だったんだなと思うけど、一ヶ月ぐらいで慣れたしたぶんなかったらなかったで人間、たくましく生きることだろう。

 咲夜さんってほんとたくましい。

 

「さて、いただきま―――」

 

 そう言って手を合わせて宣言しようと、した瞬間、扉が勢い良く開いた。

 ビクッと驚いて誰も食前の挨拶を済ますことなくそちらを見る。

 そこには、一人の妖精。その子を私は知っていた。

 

「あれ、どうして―――」

 

 ―――きたの? なんて言おうとした言葉を言う前に、その妖精ことあーちゃんは必死の形相で言う。

 

「フランドール様が!」

 

 またその名前か、どうしたんだろう?

 その言葉に目を見開いて驚くのはチルノ、でもその顔を見ればわかる。

 “相当不味いことなのだ”だって、こんな顔してるあーちゃんを見たことないし、チルノと大ちゃんの表情も切羽詰まってるのがわかるから……。

 そしてあーちゃんはまったく私を見ていない。

 

「佐天、留守お願いね!」

 

「いこうチルノちゃん!」

 

 チルノと大ちゃんとあーちゃんが飛んでいってしまった。

 私はラップを持ってきて二人の御飯を保存、私は食事をはじめる。

 いただきますをいうのを忘れてたけど、まぁいいや。

 食べながらも、中々どうして飲み込むのに時間がかかる。

 たぶん、引っかかってるからだと思う。

 

 ―――あーちゃんの体に血がついていたのは確かで、あれが血であるのに間違いはない。

 あーちゃんだってチルノや大ちゃんほどじゃないにしろ妖精の中では強い方だって聞いた。そんな彼女が怪我をしてこっちまで助けを求めに来るってことは、咲夜さんや美鈴さんじゃどうにもできないってことだ。

 だけど私が頼られることはない、能力者でもなんでもないから……。

 あぁ、結局こんなんなんだ私は……でも、それでも、能力がないからって何もできないって決まったわけじゃない。

 なにかの役に立てるかもしれない……だから!

 

 私は家から出て走り出した。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 紅魔館の広い庭にて、レミリアに似た金髪の少女がいた。

 ボロボロの花壇の上でその少女は狂ったような笑みを浮かべる。楽しそうな楽しそうな笑みを浮かべる彼女の周囲に倒れている妖精メイド、そして彼女の前方では、この館の主であるレミリア・スカーレットが膝をついている。

 所々焦げた服をして、いつもの帽子も吹き飛ばされたレミリアと、その背後にはそんなレミリアよりも傷ついた従者。

 咲夜は片腕を押さえて足から血を流している。その横の美鈴は頭から血を流しながらも、なんとか立って拳を構えている。

 レミリアの友人たる少女、パチュリー・ノーレッジは咳をしながら苦しそうにしていて、従者である小悪魔もボロボロの姿で自らの主の側にいた。

 戦況は最悪であり、まともに動ける者は一人もおらず、まだ戦えるのはレミリアと美鈴ぐらいだろう。

 

「アハハハハハッ! どうしたのよ、逃げないの? 死にたくない~とか言って命乞いをしないの? もしかして私の気分が良くって見逃してあげるかもよ?」

 

 そんな風に言って挑発する少女“フランドール・スカーレット”を視界におさめながら立ち上がるレミリア。

 彼女はレミリアの妹であり、495年の生のなかほとんどを地下で引きこもって過ごしていた少女だ。

 あまりに強大な力を前に、彼女たちは手も足も出ないでいた。

 いや、彼女たちが真に本気を出せばここまでボロボロにされることもないだろう。確実に手心を加えているからこそ、こんな状況になるのだ。

 フランドールからの提案にレミリアは鋭い視線だけで応える。

 

「逃げる? 死にたくない? 私がそんなことを言うと思うのならばお前は相当ね」

 

 そんなレミリアの言葉に、フランドールは明らかに表情に怒りを見せた。

 

「ふん、じゃあ死んでよ」

 

 放たれるのは紅の極太レーザー。

 人体などであれば直撃して一分足らずで蒸発するだろう。

 瞬間、レーザーの射線上に壁が現れ、それはレーザーを防ぐ。

 周囲にはレーザーにより“蒸発”した壁の水蒸気、それは霧となりフランドールの視線の先のレミリアたちを消す。

 舌打ちをする彼女がもう一度レーザーを放つために手を前に出す。

 だが瞬間、真っ白な霧の中から水色の槍が飛び出しそれはフランドールへと伸びるが、フランドールは横に体を逸らしてその“氷の槍”を避けた。

 そもそも急所に当てる気は無かったようで当たってもせいぜい腕だっただろう。

 フランドールはその氷の槍に右手を触れて、なにかをつぶやく。

 

 ―――瞬間、氷は粉々に砕け散り、その破片はダイヤモンドダストの如く輝く。

 

「来たわね!」

 

 狂気、否―――狂嬉と言ったほうだ良いだろう。

 その喜びをわかっているかいまいか、霧の中に影が見える。それは間違いなく少女であり、その霧が徐々に晴れていき少女が誰かをわからせる。

 水色の単発をなびかせた少女がそこには立っていた。

 その少女は自称“さいきょー”の馬鹿()は少し冷めたような、だけど嬉しそうな、それでいて悲しそうな表情。

 

「チィィィルノチャァァァァァンッ!!」

 

 歪に笑う少女がその名を叫び、笑う。

 まるで旧友に会ったような嬉しそうなフランドールはまだまだ笑う。

 

「まぁた、懲りずに止めに来たってわけ!? 毎回ヤられてるのに懲りないなァ、チルノちゃんはぁぁっ!!」

 

 目の前に新たな敵が居るにもかかわらず、まったく余裕そうだ。

 

「……今までは地下だったのに外までくるなんて、フランも今回は本気ってわけか」

 

「だってズルいじゃんか、“あの人”たちばっか遊んでて」

 

 その“あの人”というのは、間違いなくレミリアのことだろう。

 彼女は閉じこもって、そして閉じ込められてきた。それも生まれてからほぼずっと……。

 時々こんな風に“衝動”に身を任せて暴れることもあったけれど、それでも外に出るほどでもなければここまでするほどでも無かった。

 なのに今日はこれだ。つまりは本当に彼女はレミリアたちを殺す気なのだろうと、チルノはため息をつく。

 

「さいきょーのあたい対さいきょうのフランってことね、まったく……あれ、なんて言おうと思ったんだったかなぁ?」

 

「アハハハッ、馬鹿ねチルノはァ! こういう時はこう言ってあげればいいのよ、アリーヴェデルチ(さよなら)ってねェ!!」

 

 フランドールの右手がチルノに向けられるのと同様に、チルノもフランドールへと右手を伸ばす。

 お互いの手がお互いに向けられるのはほぼ同時だった。

 それでもフランドールの方が圧倒的に強いと簡単にわかる。

 所詮妖精であり、レミリアの足元にもおよばず咲夜にも勝てないのだ。

 それでフランドールに挑むことは片腹痛く、何度でも死ねるからという前提があるからである。

 

「フラン?」

 

「なァに、チルノォ?」

 

「まさかその程度で―――最強(さいきょー)を倒せるなんて思ってないでしょうね?」

 

 フランドールに向けた拳を握り締めるチルノ。

 

「来なさい―――最強(最凶)!」

 

 そう言って笑みを浮かべたチルノの足元から、フランドールへと向けて地面を氷が走る。いや、そう見えるだけで氷が張って言っているだけだ。

 チルノのすぐ後ろにいるレミリアがチルノの背にむけて叫ぶ。

 

「下がりなさいチルノ、貴女がフランにかなうわけ!」

 

「ほんと、あの人の言うとおりよねチルノォ!」

 

 笑いながら、フランドールは言う。

 嫌いなレミリアの言葉でも、事実は事実だとチルノを笑う。

 

「フラン、あたいは……みんながいるから“さいきょー”なのよさ」

 

 そう言って笑うチルノ、直後フランが目を見開いて背後を見る。

 そこには銀色の刃、直撃コースだがそれはフランドールが動かなかったら―――という話だ。

 だがそこで止まりっぱなしなほどフランドールは馬鹿でもない。だからこそ彼女は体を逸らして攻撃を避ける。

 避けて見てわかることはそれが“クナイ”ということだ。

 

「あら大ちゃんも一緒なのね」

 

「不意打ちでもダメなんだね」

 

 チルノと大妖精の二人はフランドールを挟むように立っている。

 弾幕にもするクナイを両手に持っている大妖精と、その反対には両腕を組んで仁王立ちするチルノの二人。

 そして戦いは始まる。

 この幻想郷にて最強クラスである最凶と、この幻想郷にて最弱クラスである“さいきょー”の戦いだ。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 私は走る。結構疲れてきたけど、それでも紅魔館の人たちと修行してただけあってかなり早くできるし、かなり体力も持つ。

 こう体で実感してようやく私は力がついてきた気がするけれど、チルノや大ちゃんに及ばないのは事実だ。

 あーちゃんやチルノや大ちゃん、それに紅魔館のみんなの無事を祈りながら走って、ようやくついた紅魔館。

 だがその庭に入って、私は初めて“絶望的”ということを知った。

 膝をつく美鈴さん、パチュリーさんと咲夜さんは動けるような状況じゃなくて、小悪魔さんは二人の止血と応急処置を行っている。

 大ちゃんもいるけれど、彼女の腕は肩あたりから―――なくなっていた。

 

 切れたとか千切れたとは違うと思う、これはたぶん中から破裂したような、そんな感じ。

 

 吐き気がこみ上げてきたけど、それを飲み込んで私はなんとか咲夜さんの方へといく。

 

「なっ、涙子貴女! なんでここにッ!」

 

「そんなことはどうでもいいですから、どういうことですか!」

 

「そんなことより」

 

「咲夜さん!」

 

 私は必死にその名を叫んで状況の説明を頼む。

 なんでもイイから、なんでみんながこんな風にならなくちゃいけなかったかの状況を教えてもらう。

 渋る咲夜さんにもう一度呼びかけようと思った時、話してくれたのは意外な人だった。

 

「私が説明するわ」

 

「パチュリーさん?」

 

「貴女は知る必要があるわ、紅魔館の一員として……けれどこの事実を知ったからには貴女が私たちから離れるなんてこと許されないわよ? これは紅魔館の問題なのだから」

 

「私は紅魔館の一員です!」

 

 無意識に放った自分の言葉に驚くより前に、微笑するパチュリーさんが咳き込みながらも少しづつ話していく。

 話を聞きながら、私は自らの中でフランドール・スカーレットという少女のことを理解していく。

 考えても考えても聞いても聞いても出る答えは一つだけれど、どこかに違和感を感じる。

 空で戦っているフランドールとレミリア様とチルノの三人。フランドールは紅魔館のメンバーと大ちゃんとチルノで戦ってようやくダメージと疲労が出ているように見えるがまだ余裕そう。

 ところどころ怪我をしている本気のレミリア様と、同じようにボロボロのチルノの二人とでようやく互角。

 

「フランドール……」

 

 瞬間、彼女の手に現れた巨大な剣がレミリア様を襲うけれど、そんなレミリア様をかばおうと前に飛び出したチルノが吹き飛ばされ一緒にレミリア様とチルノが地上へと落ちる。

 フランドールも片手の剣を消して、地上に降りた。

 レミリア様は上体を起こして自分をかばったチルノをゆする。

 くそっ、なんでこんな時に動かないのよあたしの足はぁっ!!

 

「チィィルノォォ! その人をかばったせいで負傷するなんて、死なない妖精だからできるのかなァ!?」

 

「チルノ! 起きなさい! チルノぉ!」

 

 目を覚まさないチルノ(友達)の名を必死に叫んでゆするレミリア様、フランドールは笑って……ん?

 少しきになったけれど、やっぱり狂ったような笑みを浮かべているにすぎない。

 その表情を見てさらに怖くなる。

 チルノはレミリア様(友達)をかばって倒れて、目をさましたみたいだけどもうフランドールは二人に手を向けてる。

 

 ―――動け動け動け動け! 私は変わったんでしょ! 早く動きなさいよ! 友達一人助けられなくてなにが友達よっ!!

 

 私は震える足を動かして、立ち上がる。

 あとは口を開け! 早く! できる。私ならできる。そうでしょ、こんなところでなにもしないなんて御免でしょ!

 ねぇ、佐天涙子!

 

「それ以上、二人に近づくんじゃないわよ! 三下ぁッ!!」

 

 そして私は、目の前の最凶(フランドール)に宣戦布告をした。

 

 

 

 




あとがき

さてさて、フランちゃんに喧嘩を売った佐天さんはどうなることでしょう。
第四波動でも撃つのでしょうか、だがそんなことはござらん!
さぁ、驚愕の展開……だったら嬉しい次回をお楽しみにしてくださればまさに僥倖!!

PS
みなさん感想ありがとうございますで候!
そして感想待っているでござるよ! これからも応援よろしくお願いする次第でござる!!

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