コスプレして酒を飲んでいたら大変な事になりました。 作:マイケル
☆ジョニー☆
酔いが覚めると、何故かレオーネとの距離が縮まっており、今度酒を一緒に飲まないかと誘われるレベルにまで昇華していた。
エスデスの話では、店長の実力が認められたからだと言っていた。
ハンバーガーを作る腕が認められたのか?
まあ、いい事なので特に気にする事無く、道中エスデス達が危険種に襲われるハプニングがあったが、女子の驚異的な戦闘能力によって危険種はミンチになったりなます切りとなったりと、無残な姿を晒す事となった。
女子の力によって無事にクロノスの本拠地へとたどり着いた俺達。
「ここがクロノスか……」
自然豊かな南の果て。
そこにはロドニーの報告通りの光景が広がっていた。
大きな要塞を中心に町と集落が形成されており、まるで小国のようだ
「なんだアレ?まるで小さな国だぜ」
「こんな南に国があるなんて聞いたことがない」
「ここからは私が案内しよう。
クロノス本部に連れて行く」
「クロノス?この国の名前か?」
引っ越しのアルバイト君たちの言葉を無視しながら進むエスデス。
道中で彼女は何度も来ていると聞いていたので案内を任せる事になった。
「エスデス様!おかえりなさい!!」
「お帰りなさいませ!!」
「エスデス様だ!!エスデス様が帰って来たぞ!!」
町に入ると、住人たちと兵士の恰好をした男達がエスデスに挨拶をする。
コスプレ同好会が俺の手を離れてとんでもない成長を遂げたな……。
帝都よりも活気にあふれた街を見ると、改めて思う。
まさかここまで大きくなるとはな……。
小さな同好会がロドニー達の加入で大きくなり、クロノスの本拠地が出来て、コスプレを楽しみつつ、人助けなどのボランティアをして小国規模まで発展させた。
今のコスプレ同好会に俺の居場所はあるのだろうか?
いやいや、弱気になってはならない。
ここまで築き上げた彼らの為に、遅くなったが俺も会長として頑張らないとな!!
本部にたどり着くと巨大な門があり、そこには門番の兵士が左右二人で警戒していた。
「エスデス様!お帰りなさいませ!!」
「挨拶はいい。それよりもナンバーズを招集しろ。
総督を連れてきたから挨拶をさせる」
門番四人の中で一番の年長者だと思われる男が代表でエスデスに挨拶をする。
銃と剣を装備しているし、本格的だな……。
まあ、小国規模になったんだからガチの警備隊かな?
たとえ、彼らの恰好が軍隊のコスプレだったとしても犯罪の取り締まりなどの有事の際には必要だろうし、正々堂々と装備できるので一石二鳥かもしれないな。
「総督!?もしかして、このお方が?」
「そうだ」
「いらっしゃいませ総督!!自分は門番をしているバルトルトと申します!!」
おれがコスプレ同好会の会長だと知って、全力で敬礼をしてくれるバルトルトさん。
ならば俺も彼の本気に答えよう。
てか、俺って会長じゃなくて総督と呼ばれてたのね。
「総督のトレイン・ハートネットだ。
今まで顔を出さなくて悪かったな。
しばらくはここを活動拠点にするからよろしく頼む」
「はっ!よろしくお願いします!!」
敬礼するバルトルトさんに見送られながら本部の中に入っていく俺達。
アルバイト君たちはここでお別れ。
門番の話では、ここで働くかどうかの話し合いをするようだ。
エスデス、レオーネ、マインと共に本部に入った俺達はレオーネのメンバー登録を済ませた後、荷物を構成員達に預けて会議室のある最上階へと向かった。
招集したナンバーズとの顔合わせをするらしい。
ここは会長として立派な挨拶をしなくては……気合を入れる為にトイレで酒を飲むとしよう。
記憶がだいぶフワフワしてしまうが、美人美少女の店員を獲得出来たり、レオーネと仲良くなれたり、酒を飲むといい事があるからな。
もはや俺の願掛けの習慣となっている。
さて、頑張るとしますかね!!
☆ナンバーズ☆
要塞の最上階にある会議室にはすでにナンバーズが集結していた。
「初めて会う事になりますけど…俺達の上司ってどんなヤツなんですかね?」
「さぁな。エスデスとマインの話では優しさと厳しさを兼ね備えた男らしいぞ。
まあ、マインとエスデスの主観だから話半分でいいと思うがな」
「エスデスさんに惚れられているクソ野郎なんですよね……。
どうやって難攻不落のドSを落としたのか気になります」
Ⅻの称号を得たナジェンダとⅦの称号を得たラバックは会議室で他のナンバーズと総督がどんな人物かを話していた。
「俺は熱い漢が好みかな」
「ブラートがついに好みと言った!?」
「言い間違えた。熱い漢がいいな」
何故か自分の好みの男性のタイプを上げた元帝国軍人のブラート。
彼は自らクロノスの噂を拾ってたどり着き、己の実力と帝具でエスデスに認められたナンバーⅡの称号を獲得した猛者である。
ただ、彼は男が好きのようで周囲からは人柄は好まれるが性癖のせいで、少しだけ距離を置かれている。
「私はマインの言っていた通りの優しい人がいいです」
彼女はシェーレ。
暗殺稼業をしていた所をクロノスの構成員にスカウトされ、本部で迷子になり、偶然研究室に保管されていた巨大なハサミの帝具エクスタスと適合。
迷子の彼女を発見した研究員の推薦によって、彼女はⅥの称号を得た。
本部で迷子になった辺りで、彼女は天然さが発揮。
ナンバーズでありながらお手伝いをしようとする人柄と見た目はとても好感をもたれているが、お手伝いの際に人間ごと洗濯する狂気の天然さで雑事を任せてもらえないようで、天然を治すための本を愛読している。
「俺はクロノスの理念を揺るがずに進んで行く男なら何でもいい」
「私は今後の行動次第かな?」
「俺は楽しそうな男ならいいや」
Ⅴのナイザーは理念を、Ⅹのチェルシーは今後の行動次第。
Ⅸのディビットに至っては楽しい男ならどうでもいいらしい。
これがクロノス最高戦力を持つナンバーズのメンバーである。
全員が一癖も二癖もある人間であるがその戦闘能力は一騎当千である。
「少なくともエスデスさんみたいなドSじゃない事を祈るわ」
「あー俺も。帝具に適合して推薦状出した後、地獄を見たからな……」
チェルシーとラバックは元々は武闘派ではなかった。
逃げたり隠れたりして相手のスキを伺って敵を排除する。
力ではなく頭で殺すタイプだ。
しかし、幹部となるからには腕も必要であると、地獄のエスデスブートキャンプがクロノスの本拠地よりもさらに南の森のジャングルでのサバイバルで、一回りも二回りも強くなって帰って来たのだが、その時の特訓が今でもトラウマのようだ。
「お前たちは何をされたんだ?」
「知りたいですかナジェンダさん?俺達の地獄の日々を……夜は危険種が襲ってくる……俺達に安眠はないんだ…お腹が空いた、女体が恋しい……もう嫌だ………」
「サバイバルは嫌…カエルはもう食べたくない……お風呂に入れないのは嫌。
ラバックが獣になって襲われそうになった……ジャングルは嫌…もう嫌なの………」
「分かった。もう聞かないから、ぶつぶつと喋りながらその目で見るのは止めてくれ」
トラウマが蘇った彼らの瞳は死んだ魚のような瞳であり、その瞳はナジェンダの背中を冷たくさせた。
各々が総督について妄想していると、会議室の扉が開く。
姿を現したのはエスデスと黒いコートの男。
百戦錬磨であるナンバーズ全員が男の雰囲気に飲まれ、先ほどまで騒がしかった会議室に静寂が訪れる。
そして、今まで誰一人座る事のなかったⅩⅢと書かれたプレートの置かれた席の前に立った男は自己紹介を始めた。
「トレイン・ハートネットだ。よろしく頼む」
今この時をもって、現在で存在する最高戦力のナンバーズが会議室にて集まった。
この会議室での出来事の後、ナンバーズは本格的に帝都の害虫駆除と革命の為の準備に動き出す。
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※ノリと勢いで書いたので修正が入ると思います。