謎の至高Xオルタ   作:えっちゃんの羊羹

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15話です。

感想ありがとうございます。

オリ展開とか言ってた気がしたけどまだです。

あと、今回名無しのオリキャラが出ます。

Web版にしかいないはずのキャラも出ます。

追記:冒険者としての口調でギルメンとしての会話をしている部分があったので訂正しました。


15話 都会

 3人組が城塞都市エ・ランテルに着いてまず向かったのはやはり、冒険者組合だった。

 

「やはり名前の登録に姓名揃える必要はなかったようだな」

 

 モモンこと、モモンガの言葉に金髪の少女、エックスこと、Xオルタが眉を顰める。2人のやりとりを無視して冒険者ギルドの受付嬢の声が掛かった。

 

「講習はこれからで良いんですか?」

「講習?」

 

 不思議そうな顔を、ヘルムの中なので見えないが、して鸚鵡返しをするモモンガ。かなり基礎から説明する必要がある事に受付嬢イシュペンは辟易する。

 

「講習、冒険者は危険な仕事なんです。だからちゃんと説明して、命を失っても文句をどこからも言われない形にしなくてはならないわけなんです」

 

 モモンガ達はそれに納得した様子を示す。

 

「えっとどうしましょう。講習自体はさほど時間のかかるものではないですけど、別室で椅子に座ってやりますか?」

「いや……」

 

 断ろうとしたモモンガを横からXオルタが止める。どうやら座りたいらしい。

 

「……はぁ、じゃあ別室で頼む」

 

 モモンガの肯定を受け、席を離れられる事にその場にいた半数が内心ガッツポーズをする。イシュペンによるこのチームに対する評価が+5……いや+10された。

 

「では、あちらへ」

 

 そのまま3人組はイシュペンに率いられ会議室に入り、冒険者の職務について説明を受ける事になった。

 

 内容は大きく分けて3つで報酬、依頼、ランクについてだ。報酬が差し引かれる話でモモンガは現実に引き戻され、依頼内容のほとんどがモンスター退治である事に夢の無さを実感する。

 最後にランクについての説明を受ける。

 

「冒険者にはランクがあります。依頼を受ける時の基準にもなりますね。一番下から銅、鉄、銀、金、と金属の名前で続いていきます。基本、モモンさん達のような新人は銅ランクです。依頼をこなしていけば昇格試験を受けて上のランクに上がれます」

「一番上は何ていうランクになるんですか?」

 

 モモンガの質問にイシュペンは微笑み、答える。この訳のわからない3人組も上を目指そうとする冒険者なのだと思って。

 

「全ての冒険者の頂点と言えばアダマンタイト級ですね。王国には2チームいます。この街で、という意味ではミスリル級で、3チームいます。金級、白金級の上にあってアダマンタイト、オリハルコンの下に続くランクです」

 

 一息に説明をしてから聴衆の表情を伺う。何も読み取れないフルフェイスと無愛想な美人の反応に気落ちして顔の下半分を隠した少女のわかりやすい期待の視線に満足する。確か、部屋の移動の後押しをしたのもこの少女だ。イシュペンにとってエックスと呼ばれた少女こそが今回の講習における癒しだった。

 

「では、他に質問はありますか?」

「え、えっと、王国戦士長はどれくらいのランクになります、か?」

 

 イシュペンはXオルタが初めて発言したことに驚き、女神のような微笑みを浮かべる。この少女にとっての強者であり、目標が王国戦士長なのだろう。少しばかり応援しても良いかもしれない。

 

「そうですね、王国戦士長はおそらくアダマンタイト級になると思います。でも、冒険者はチームで行動するのでミスリル級以上ならずっと凄いことができると思いますよ」

 

 全ての説明を終えたイシュペンは最後に新人冒険者向けの宿の紹介と警告をしてから満足感とともに講習を解散とした。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 冒険者組合を出て、そのままの足で3人は宿屋へ向かう。漆黒のフルプレートと南国風の美女、2人の後ろを駆け足で追う小柄な少女の3人組は周囲の視線を集めるだけの素養があった。宿でのプランをチェックしながら、冒険者御用達の中でも最も格の低いものに入った。

 

 Xオルタの役割はいわば「飴と鞭」の飴だ。モモンガの動きを確認してから行動を開始する。

 

 待っているうちにXオルタの目の前で難癖付けてきた鉄級冒険者をモモンガが強引に投げる。見た目だけなら大外刈りという柔道の技に似ている。冒険者はモモンガによって180度回転して背中からテーブルに突き刺さった。

 テーブルが割れた時の破砕音に驚いたようにXオルタは宿屋の主人に掛け寄る。

 

「あ、あの、ポーションです。ケガしていたら使ってあげてください。あ、でも、たいしたことなかったらテーブルの修理にでもあててください……」

 

 自己評価としては完璧な慈悲深い美少女だった。事実、本人の目的とは完全にズレているが演技としては良く出来ていた。仲間のやらかした事件に怯える少女としてだが。そのままモモンガが3人部屋を要求して、その部屋に向かった。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 3人組がいなくなってから投げられた男の仲間が治癒の魔法をかけ始める。それをきっかけに宿の喧騒が蘇った。

 

「見掛け倒しじゃねえな」

「ああ、半回転はしていたぜ。どんな技だよ」

「いや、あれは技というより筋力だな。掴んだ腕を軸にして蹴り飛ばしたんだ。俺には見えた」

「グレートソード2本は伊達じゃ無いってか。また一気に抜かされそうだな……」

 

 飛び交う感嘆と驚愕の言葉。冒険者の最初の試練をたやすく潜り抜けた3人組が折り紙付きの凄腕だとこの場の全員が理解していた。

 その騒ぎの中、宿屋の主人は店番のために妻である女将を呼び出していた。

 

「おい、お前」

「なんだい、あんた?」

「俺はちょっと用事ができた。少しの間店番を頼む」

「……わかったよ、行っといで」

 

 事情を察した女将に店番を頼んだ主人はその足で宿の裏口から出て行った。目的地は自身が知る最高のポーション職人の構える店だ。

 

 

 ◇◆◇

 

 

「さて、シャドウデーモンはポーションの見張りについたな?あのマスターが早めに薬師に鑑定を頼めばいいんですが……」

「さっきのおじさんのケガがたいしたことなければ問題なさそうです。かなり違和感持っていたみたいなので今夜中に出ると思います」

「おっ、早速主人が宿を出たようです。かなり早いですね」

「じゃあ、私は霊体化して今から追跡します。マスター・モモンは定時連絡お願いします」

 

 Xオルタがいなくなり、広くなった部屋でモモンガはため息を漏らす。

 

「はぁ、定時連絡はナーベ、お前がやっておいてくれ。私は町の地形を確かめてくる」

 

 最終的に部屋に残ったのはナーベラル1人になる。魔法詠唱者であるナーベラルにメッセージのための特別な準備は必要ないのですぐさま命じられた仕事に取り掛かる。

 

『ナーベラル・ガンマ。どうしたのかしら?』

 

 ナーベラルのメッセージにナザリックの守護者統括で現在の管理責任者であるアルベドが素早く応じた。

 

「定時報告です」

 

 ナーベラルは今日、エ・ランテルについてから起こったことを話してからアルベドに直接頼まれた事について述べる。

 

「私見ですがモモンガ様とXオルタ様の間に男女関係は存在しないかと思います」

『そうかしら?モモンガ様は偉大なる死の支配者であり極めて魅力的なお方。同じ至高のお方とはいえXオルタ様が魅了されてもおかしくないと思うのだけれど?』

 

 アルベドがモモンガの正妃の座を狙う守護者の1人としてもう1人の「至高のお方」を最も警戒している事に納得しつつもナーベラルは不快感を覚える。

 

「Xオルタ様は英霊です。英霊は人間種の魂魄を核とした精霊、肉が付いていた方がお好みなのではないでしょうか?」

『そうなのかしら? ……はっ⁉︎ なら、そのためにあのマスクをモモンガ様に渡したということなの? でも、それなら最も「大切なアレ」を私に下さる筈が……』

 

 1人で暴走し始めたアルベドに呆れながらナーベラルが伝えた。

 

「アルベド様、お話はお済みですか。もしそうならメッセージを切断してもよろしいでしょうか?」

『待ってまだダメよ。それにあなたにはほかにも伝えておかなければならないことがあるわ。シャルティアに聞いたのだけれどペロロンチーノ様曰く『妹キャラは至高』だそうよ。数多の属性を兼ね備えているとかの問題があるらしいの。エレメンタリストとして一つの属性に特化している貴方はこの言葉に気をつけなければならないかもしれないわ』

 

 完全にズレている爆弾を落とされたナーベラルは焦るがアルベドが助け船を出した。

 

『ただ、至高のお方のお言葉についてだからモモンガ様方にご意見を伺うのも方法としてはありかもしれないわね』

「わかりました。余裕がある時にモモンガ様にご意見を伺っておきます」

『そうね……。それと、話は変わるんだけど……愛しのモモンガ様はどんな感じだったか詳しく教えてくれない?』

「はい、畏まりました」

 

 2人の会話はメッセージを4回使うほど続き、戻ってきたモモンガを呆れさせることになった。その場でモモンガに対してナーベラルはアルベドから聞いた話をする。

 

「アルベド様から伺ったのですが、ペロロンチーノ様曰く、『妹キャラは至高』であり、数多の属性を兼ね備えるとのことで単一属性に特化した私にはやはり分不相応かと思うのですが……」

「はぁ?え、ペロロンさんが?何いってんだあの人?」

 

 一瞬、頭が真っ白になり素が漏れるがすぐに落ち着いて話を続ける。

 

「その言葉は気にしなくてもいい。ペロロンチーノさんの言う属性とお前の魔法の属性は完全に別のジャンルのものだ。何も問題はない」

「し、しかし、私が至高のお方から至高と呼ばれた存在を演じるのは不敬になるのではないでしょうか?」

 

 心の中で面倒の種を残してくれた親友に悪態をつきながら心底楽しそうにモモンガは代案を示した。

 

「ならばこういうのはどうだ?私達が兄妹であるということは秘密にしておくということにしてお前はそのようなそぶりをしなければいい」

 

 モモンガにとって使いたくない姓「ザダークン」をかくし、ナーベラルの混乱の種をなくせる、そして設定は変わらないのでXオルタに文句は言われない、一石三鳥の策だった。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 さらに数時間が経って、Xオルタが戻ってくる。

 

「今日の朝、例の薬師が依頼を出しに来ますよ。少し早めに行って待ち構えましょう。モモンガさんたちは何か変わったことはありましたか?」

「ああ、一つだけ。私達が兄妹であるという設定は隠すということになりました。これであの変な家名は表に出ませんね」

 

 勝ち誇るモモンガと絶望に染まるXオルタの表情を夜明けの太陽が美しく照らす。モモンガを睨みつけながらXオルタは何としてでも兄妹設定をばらすことを朝日に誓ったのだった。

 




実はもう御大に土下座する権利は得ていることに気が付いた。

今回の話の最後がナーベラルにモモンさ--んと呼ばせる理由になります。
つじつま合わせに変態が増えることになってしまった。
ごめんなさいペロロンチーノ様許してください。


でも似たようなこと言いそうだよね……

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