謎の至高Xオルタ   作:えっちゃんの羊羹

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19話です。

感想ご意見ありがとうございました。

今回は一巻でしか出番のなかった人がちょっとだけ出てきます。




19話 思考

「そんなことがあったんだ」

 

 ンフィーレアは想い人の家族が無事なことに安心してホッとため息をつく。

 

「お父さんとお母さんも怪我で働けないから私が頑張らないとね」

「そ、そうだね……じゃあさ‼」

 

 突然ンフィーレアが大声を上げることでエンリが驚き肩を震わせる。

 

「も、もし困っていることがあったら言ってよ。できる限り手伝うからさ!」

「ありがとう!本当にンフィーレアは私には勿体無いくらいの友人だわ!」

 

 満面の笑みを浮かべたエンリと心に敗北感を抱えたンフィーレアの会話ははずむ。

 しばらくして会話がひと段落した時にンフィーレアはきりだした。

 

「それであのゴブリンは何?」

「村を助けてくれたアインズ・ウール・ゴウンの魔法詠唱者様がくださったアイテムを使ったらでてきたの。私に従って色々と働いてくれるわ」

「そうなんだ……」

 

 キラキラした瞳で語るエンリの様子に苦いものを感じ、ンフィーレアが相槌を打ちながらその救い主の話を聞いた。

 

 彼等は通りすがりの4人組で2人ずつ訪れたという。

 エンリを助けたのは仮面を付けたマジックキャスターの男性と漆黒のフルプレートの女性、先行して村に入ったのはXオルタと呼ばれた女性とそれに付き随うメイドらしい。その時のメイドが今も村に滞在しているので後で話を聞くことを決める。

 

 ンフィーレアには思い当たる節があった。

 今までの魔法の歴史を覆しかねないアイテムに対して従来の魔法とは違う独自の魔法を使う少女の事を思い出す。

 更には名前までほぼ同じだ。エックスがオルトライトニングや念動力を使うことに対し、Xオルタという戦士がエンリの両親を助けたらしい事。

 

「それだけじゃないんだよ。真っ赤なポーションをくれてーー」

 

 全てがンフィーレアの中でつながった。念の為、エンリにポーションの説明を求める。その内容は確かにエ・ランテルの宿の主人から買い取った物と同じだった。

 野営の時に聞いた言葉を思い出す。モモンの探す仲間達について。

 彼等が組んでいたチームの名をアインズ・ウール・ゴウンというのだ。

 ンフィーレアは罪悪感を抱きながら悩む。自分はエンリを助けてくれた相手の仲間を利用しようとしている。

 隠し事をしていることに対する罪悪感がンフィーレアの顔を歪めていた。

 

「どうしたの?なんか変だよ?」

 

 エンリの心配するような声を受けンフィーレアはモモンに直接話を聞きに行くことを決意した。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 モモンガとXオルタは村人の訓練を見て考え込んでいた。ナーベラルは背後に控えて静かに立っている。はたから見れば3人揃って村を眺め黄昏ている姿を描いた美しい絵のように見えただろう。

 まだ太陽は高く輝いていたが。

 

 最初に動いたのはXオルタだった。

 

「今夜泊まる場所の確認をしておきます」

 

 まだ日も登りきっていない時間帯だが、仕事を終え森から戻ってきたらこの村で夜を越す事は決まっている。宿屋のようなものは無いので寝床は騎士の襲撃で亡くなったモルガーという村人の家の1つだという。

 エモット夫妻が襲われる直前に殺された村人の名前だ。騒がしいが気立てのいい男、そしてXオルタがエモット夫妻を助けるために村に潜んでいた時、そのすぐ傍で殺された男でもあった。

 Xオルタは気を張りながらその家に入り、人が遺した物を見る。

 

 一方でモモンガが離れていくXオルタを見送ってしばらくした頃、ンフィーレアが残った2人の元に走り寄ってきた。僅かにためらった様子の後意を決したように口を開いた。

 

「モモンさんが探している仲間達はアインズ・ウール・ゴウンの方達なのでしょうか?」

 

 モモンガは僅かに息をのみ、開きかけた口を噤んだ。しかし、それは返答として十分だったようだ。

 

「さっきエンリと話して気がつきました。エンリの両親を助けたXオルタさんが多分エックスさんなんですよね」

 

 一拍おいてンフィーレアが深く頭を下げて続けた。

 

「ありがとうございました。エンリ達を助けてくれて。僕の好きな人とその家族を助けてくれて。後でエックスさんにも直接伝えたいと思います」

「はぁ……。もう頭を上げてくれ」

「はい……、モモンさん。それと実は……隠していた事があるんです」

 

 ンフィーレアの言葉を受けてモモンガはナーベラルをその場に留まらせ、少し離れた場所に移る。おそらくポーションの事なので予定通りとも言えるがナーベラルがボロを出すのを恐れてだ。

 

「実は……」

 

 ンフィーレアが語った内容は案の定ポーションについてで、宿の主人から買い取ったポーションの製法を求めてモモンガ達に接触したとのことだ。

 期待通りの言葉にモモンガは安心しつつンフィーレアを引き込むために話をはじめる。

 

「それの何が悪いんだい?隠し事をしながら手を差し出してきたといえば人聞きが悪いだろうがコネクション作りの一環だろう」

 

 罪悪感を消しきれないンフィーレアにモモンガは畳み掛ける。

 

「それでも納得できないならエンリ・エモット、だったかな?彼女の助けになってほしい」

「ど、どういう意味ですか?」

 

 ンフィーレアの食いつきにモモンガは満足する。戸惑いこそあるものの悪感情は無さそうだ。

 

「彼女は私の仲間が与えたアイテムによるものとはいえゴブリン達の指揮官になってしまっただろう。そのサポートさ」

 

 ンフィーレアの表情に納得の色が見えた。

 

「上に立つ以上責任が伴う。私達はあまりフォローできないだろうし、そういったものの手引き書を渡そうとしても文字がね……」

「はい!やらせていただきます!」

「ははっ、ああ、そうだ。いっそのことこの村に住んでしまったらどうだ。彼女の事が好きなんだろう?」

 

 ンフィーレアの顔が一種で朱に染まり、慌てはじめる。モモンガはここで最後に1つだけ付け加えることにした。

 

「後1つだけ、アインズ・ウール・ゴウンは今のところこの村としか接触していない。理由は察してくれ。だから、ポーションの研究についてはできれば余り村の外でして欲しくないんだ。どうしてもというのならこの村でなら支援できるからここで研究してほしい」

「……はい!」

 

 僅かにためらったようにも見えるが頷きながら答えた。

 

「良かった。感謝する。ところでそろそろ出発の時間かな?」

「あ、はい。後1時間くらいで森に入ろうかと思います。他の方にも声をかけてくるので準備をお願いします。エックスさんにもお礼を言いたいですし」

 

 そう言って去っていくンフィーレアを見てからモモンガはナーベラルに言った。

 

「アウラに伝えろ。1時間後、森に入る。仕事がひと段落ついたら合図を送る。それに合わせて森の賢王と接触できるよう準備をしておくように、とな」

 

 途中、遠くでXオルタの驚くような声が聞こえてきたが問題はなさそうだった。

 

 

 ◇◆◇

 

 

「では、これから森に入りますので、僕の警護をよろしくお願いします」

 

 ンフィーレアが注意事項を説明していく。森を覗けばぽっかりと空いた空間の先に鬱蒼と茂る木々が目に入る。カルネ村の柵にするために伐採された部分だがその景観と相まって巨大な魔獣がその顎門を開いて待ち構えているように見えた。

 森の賢王の話に入ったことでモモンガが声を上げる。

 

「もし森の賢王とやらが現れたなら、殿は私たちが受け持ちましょう」

 

 モモンガの自信溢れる言葉に周囲からの賞賛が引き出される。それがモモンガには少しむず痒い。隣でどこ吹く風といった様子で村の方向を眺めるXオルタや自慢げな様子のナーベラルが羨ましくなってくる。

 

「なので、逃げる場合には即座にその場を離れてもらえますか?巻き込みたくありませんので」

 

 続けた言葉に周囲の了承を受け、彼等はそのまま森の中へと向かっていった。

 

 森の中では口数が少なくなる。先頭を進むルクルットが五感を働かせて注意深く歩いている姿を見える。モモンガは彼が周囲に誰もいないと思っているようなのを見て近くにいるだろうアウラを誇らしく思う。

 

 目的地に着くとンフィーレアを中心として採取がはじまった。モモンガとナーベラルは採取する薬草の種類がわからなかったのでレンジャーであるルクルットとともに周囲の警戒をするために見張りを行っている。Xオルタは薬草を探すポーズを取っているが他の雑草と区別がついていないようで所々生えている茸を集めて食べられるか調べているようだ。

 

 ある程度 採取が終わったと見てモモンガは一瞬だけ<絶望のオーラⅠ>を解放する。これがアウラへの合図だ。これに応じるように、広場から見てモモンガの方向から音が聞こえてきた。

 ルクルットがすぐさま異変を察知して声を出す。

 

「何かがくるぞ。モモンさんの方からだ」

「森の賢王でしょうか」

「撤収だ。最初にあった威圧が圧倒的すぎる。モモンさん。殿はお願いしてもよろしいですか?」

「ええ、お任せください……後は私達で対処してみせます」

 

 不安と羨望の眼差しとともに漆黒の剣のメンバーに護衛されたンフィーレアが撤退していく。

 十分に離れたことを確認した頃にモモンガの脇にはダークエルフの少女が控えていた。

 

「万事うまくいっているようだな。アウラ」

「はい!モモンガ様。例のハムスターは間も無くここに参りますし、マーレと作っているダミー拠点の建築も順調です」

「そうか、なら――」

 

 長い鞭のようなものがモモンガに向かって伸びてきた。グレートソードで弾くがアウラとナーベラルは怒りをあらわにする。

 

「お前たちは下がっていろ。オルタさん、やんちゃなペットの躾です。私がやっても構いませんね」

「はい、いいですよ。頑張って手加減してください」

「大丈夫ですよ。無傷で捕らえて見せましょう」

 

 モモンガが自信満々に言ってのけた後予想外の方向から返答がきた。

 

「それがしを無傷で捕らえるでござるか?なかなか言うでござるな。その実力見せてもらうでござるよ!」

 

 時代錯誤な言葉を話す巨大なハムスターだった。期待に満ち溢れていたXオルタの顔が固まり、はたから見てもモモンガのやる気が一気になくなっていったのがわかった。

 

「ござる?」

「それがし?」

 

 先程までの自信とやる気とは裏腹に一気に腑抜けた声がモモンガとXオルタの口から漏れた。

 




一巻の人はモルガーさんです。エンリのセリフにちょっとだけいます。

人の死に反応しない異形でも、原作でアインズ様はニニャの日記を忘れずに恩義として覚えていました。

モルガーさんの家はえっちゃんにとってそういうものです。それがどう記憶するかはまだ書きませんが。というよりストーリーが進む上でそうなんだなぁとかふと思い出すような事にしたいです。

後、やっぱモモンガさんは敏腕営業マンというか交渉上手だと思います。うちのがうまいかどうかは別にして

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