すみません、モモンガ様セクハラシーンはカットです。
あと、戦闘シーンっぽいものが一応含まれていますが出来は期待しないでください。
モモンガは不本意ながらアルベドの胸をもんでいた手を放して指示を出す。内容は一時間後に第六階層の闘技場に来るようにナザリックの階層守護者といわれるレベル100NPC(もとから第六階層にいる二人を除いた)に伝えることだ。
「NPC達、ちゃんと生きていましたね。もうただのデータじゃないんだ」
「……そうですね。にしても、アルベドはなんであんなに押しが強いんだ……」
「ベタ惚れでしたね。実際に見るとここまですごいとは。でもそれについては一旦脇に置いておいてください。後で細かいことは話し合う時間を作りましょう。話さなければいけない大事なこともいっぱいありますので」
若干Xオルタの声が重くなったように感じた。
しかし、確かに時間は押してきている。これから守護者たちと会う前に身の安全を確保して、所持品やスキル、魔法のチェックをしなければならない。やるべきことは山盛りだ。
「そうですね。オルタさん、さっきまでいたNPCは私たちに従っていましたがこれから会う守護者たちもそうとは限りません。まずはギミックの確認とアイテムがきちんと働くかチェックしましょう」
「はい。なら、私はアイテムのチェックをしておきます」
「では、俺はここのゴーレムをチェックします」
Xオルタは装備や手持ちのアイテムを確認し、モモンガはゴーレムに指示を出す。モモンガは一通り指示を出せることを確認してから2人以外の指示を聞かないように設定した。
「戻れ、レメゲトンの悪魔たちよ」
「壮観ですね。67体の屈強なゴーレムが命令通りに動いている。カッコイイ、です」
「ええ、ですがこれでもしNPCが反旗を翻しても対処するだけの手段は確保できました。アイテムのチェックの方は大丈夫ですか?」
「はい、アイテムボックスはこんな風にすれば開くみたいです。アイテムボックスを開こうと意識しながらやるのがコツです」
モモンガは目の前で手を中空に潜りこませるようにしているXオルタを見て真似る。確かに手首から先が何かに入り込みその奥に何本もの杖が並んでいるのが見えた。まさしくユグドラシルのアイテムボックスだ。これだけのアイテムがあれば相当な敵が出てきてもどうにかなるだろう。ユグドラシルの時と同様に使えることを前提とすればではあるが。
一方で、Xオルタはすでにアイテムボックスの中のチェックは済ませたのか金属製の短い棒から光刃を出したり引っ込めたりしている。「邪聖剣ネクロカリバー」という名前の神器級装備だ。神器級アーティファクトをふんだんに使いたった一つの武器で長剣、両剣、双剣、チェーンソー等といった様々な形態に変化する。しかし、あまりに多くの機能を盛り込んだためか、デメリットもあって武器耐久値は若干低めになっている。
やはり何の変哲もないロングソードこそ至高。
「アイテムも問題なく使えているみたいですね。リングも大丈夫そうですね。そろそろ第六階層に向かいましょう。戦闘用の魔法やスキルの確認もしたいですし」
「了解です、マスターモモンガ。ヒロインXオルタ、行きます」
「では行きましょう。NPCたちに会いに」
そういって2人同時にリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを起動させる。視界が闇に包まれ次の瞬間、視界は薄暗い通路へと変貌していた。目的地はこの先にある闘技場で、2人の守護者が待ち構えているはずだ。
通路を抜けるとコロッセウムに出る。数多くの侵入者を迎え撃った場所でその上には夜空が広がっている。偽物ではあるがその美しさは本物にも匹敵するだろう。むしろリアルの空と比べたらはるかに美しい。モモンガは周囲を見回すと視線を感じる。
「とあ!」
掛け声とともに飛び降りてきた子供は華麗に着地し、満足気に胸を張る。
「ぶぃ!」
「アウラか」
「元気そうです、ね」
小走りで、しかし獣の全力疾走に迫る速度で駆け寄ってくる少女はアウラ・ベラ・フィオーラ、この階層の守護者のかたわれだ。アウラは額をぬぐうふりをして元気に挨拶する。
「いらっしゃいませ。モモンガ様、謎のヒロインXオルタ様。あたしの守護階層までようこそ!」
スキルや表情から敵意がなさそうなことは確認できた。モモンガがアウラの話を聞いているとXオルタが言った。
「マーレは……他の場所にいるの、かな?」
「すいません! さっきまで一緒にいたのですが……。あの子ったら弱虫なんだから……。モモンガ様と謎のヒロインXオルタ様が来てるんだよ! とっとと飛び降りなさいよ!」
通信機能を持つアウラのネックレスからマーレの弱弱しい声が聞こえてくる。ため息をついたアウラは申し訳なさそうに弁明してからマーレに怒鳴る。2人のことは少し放っておいても大丈夫だろうと思い、隣のXオルタに話しかける。
「2人ともいい子ですね」
「はい、これなら何の問題もなさそうです。呼び方に気になる事はありますが集まってから言った方がいいと思いますし」
「あぁ、なるほど。確かに、みんな長いのにフルで呼んでましたね」
話しているうちにマーレも来たようだ。目の前に揃った双子の姿がかつての仲間の思いの結晶である事に満足してモモンガは口を開いた。
「2人とも元気そうで何よりだ。それで今日来たのは私たちの訓練と実験をしようと思ってな」
「訓練?え?至高のお方々が!?」
「そうだ少し試したいことがあってな」
スタッフを軽く地面に叩きつけながら言うと双子に理解したような表情が浮かび、続いて驚愕とともに納得し準備に取り掛かる。用意された的にファイヤーボールなどの魔法を打ちユグドラシルと同じであることを確認する。次はXオルタの番だ。
「次はオルタさんですね。相手はどうしますか?」
「了解です、マスター。じゃあ状態異常系のやつ何か出せますか?」
「じゃあ、木属性で行きますね」
<根源の木精霊召喚>
木属性は毒や催眠などバッドステータスを与えるスキルや魔法を多く持つ属性だ。その分直接攻撃能力が低いことが多いが鬱陶しさでいえばかなり上位に来る。最上位精霊ともなれば火力も高くなるので「面倒な相手」とよく言われていた。モモンガは召喚した精霊とのつながりを感じ取る。Xオルタが位置についたのを確認して先ほどのつながりから根源の木精霊に彼女と戦うよう指示を出す。
「うわー」
となりではアウラが感嘆の声を上げる。
「気になるのか?」
「はい!至高のお方がそのお力を振るわれるんです!気にならないやつなんていませんよ!」
「そうか、ならしっかり見ておけよ。オルタさんの光刃は見栄えがいいからな。私は少し別の実験を行うためにはなれるぞ」
そういいモモンガはメッセージの魔法を使いGMやほかのギルメンたち40人に送りはじめた。しかし、予想通りというべきか誰一人として返事がない。最後にセバスにメッセージを送りつながることを確認して地上の調査結果を聞くことにした。
◇◆◇
一方、Xオルタの戦いの序盤は見れたものではなかった。一切の攻撃せずにただ受け続けるのみで光刃は出してすらおらず、腕は動かさない。
観戦していたマーレが不安を隠しきれずに表情で漏らす。
「う、うう……大丈夫かなあ……さっきからずっと攻撃しないし……」
「大丈夫に決まってるでしょ!至高のお方にはかんがえがあるのよ……」
答えるアウラの声も震えているようだった。しかし、その直後Xオルタが持つネクロカリバーから光刃が伸び、迫っていた触腕の一本が消し飛んだ。そのまま光刃は数を増やして両剣となった。それを回転させながらXオルタは触腕の嵐の中を切り進む。己のもとに伸びていた触腕を一掃すると追撃をやめて一気に距離を開け、光刃を手から離す。
「「えっ!?」」
観戦している双子から驚きの声が上がる。当然だ。Xオルタは武器の万能性ゆえにほかの武器を持ち歩かない。その唯一の武器を放り捨てたのだ。彼女の能力を知らないものから見たらその驚きは仕方のないものだろう。
しかし、その驚きはさらなる驚愕で塗りつぶされることになる。地に落ちるはずの両剣がひとりでに浮き上がり回転しながら敵を切り刻んだのだ。光刃はそのままとどめを刺すとXオルタのもとに戻り消えた。
「一応ヒロインですし、当然です。ふぅ」
消滅していく根源の木精霊を後目に、決め台詞らしからぬ決め台詞を放ったXオルタは闘技場の端で待つモモンガたち3人のもとに向かう。
そこには頭を抱えるモモンガと目を輝かせている双子が待っていた。
プロローグより短くなりました。
そしてほとんど進んでません。ごめんなさい。
戦闘シーンはFGOのスプリガンにえっちゃんが宝具をかますところにSWの念動力を混ぜたものをイメージしています。
描写がひどくて訳が分からないよ、という方はYouTubeなどで謎のヒロインXオルタ、宝具などで検索してみてください。めちゃくちゃカッコいいので一見の価値ありです。
追記
今更だけど木属性の精霊っているのかな?
五行にあるしスプリガンぽいから木にしたけど原作ではプロローグの精霊を見ると四元素っぽい
取り敢えず杖についている宝石の合計7個あるうちの4個が四元素、1個が星、1個が月、残りの1個が木属性だったということにするか?
もしくは完全に別で七曜にするか