謎の至高Xオルタ   作:えっちゃんの羊羹

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24話です。

感想指摘ありがとうございます。

ここから大きく原作と乖離していくつもり

あと、えっちゃんはずぼらだけど働かせたらそこそこ有能です。


二章
24話 かみ合わない話


「では、次は風花聖典からの報告です」

「良い知らせである事を祈るぞ。陽光聖典の足取りがつかめなくなったのだ。これ以上の痛手は御免被る」

 

 先に発言したのはレイモン・ザーグ・ローランサン、スレイン法国の土の神官長で次に発言したのはドミニク・イーレ・パルトゥーシュ、風の神官長だ。ここはスレイン法国の最深部にある一室であり、部屋の中央にある円卓には彼らを含め12人が席に着き、会議を行っている。

 先ほどの会話は進行役のレイモンの発言をドミニクが遮った形になる。本来なら叱責を受けるべき行いだが今日に限りその様な声は上がらない。その場にいた全員が不満を漏らしたドミニクの苦悩を理解し共感していたからだ。

 失踪、おそらくは全滅したと思われる陽光聖典はかつてドミニクが属していた部隊で、そのメンバーは全員彼の後輩か元部下に当たる。レイモンは彼の感情に配慮して声を柔らげながら報告を続ける。

 

「そうですね。ご安心ください、とは言えませんが比較的良い報告と言えるでしょう」

 

 そう言って手元の資料を配ってから言った。

 

「まず、裏切り者の疾風走破の処理に成功しました。死体の回収はもうしばらくかかる模様です」

 

 周囲から口々に感嘆の声が上がる中、嗄れた声が問いかけた。

 

「しかし、風花には彼奴を殺せるほどの実力者はいなかったと思うのだが」

 

 声の主はジネディーヌ・デラン・グェルフィ、水の神官長である彼の質問はもっともだ。風花聖典は隠密、調査に特化した部隊で漆黒聖典の者と戦える様な実力者はいない。資料を示しながらレイモンは答える。

 

「それについてはこちらに。強盗行為を働こうとしたところを街の冒険者に捕縛され、牢に繋がれたところを暗殺した様です」

「その冒険者について詳しい話はわからないの? 仮にも英雄級の戦士を倒すのだから相当な実力者だと思うのだけれど」

 

 唯一の女性である火の神官長のベレニス・ナグア・サンティニの質問だ。

 

「事件の3日前にエ・ランテルに現れた3人組の1人でまだ成人前の少女とのことです。また、それ以前の足取りは辿れませんでした。ただ、見た者は覚醒した神人の類と考えている様です」

「確かに疾風走破を捕縛できるということは神人に届きかねない実力になるのだろうな」

 

 報告の内容に納得した様に述べるものがいた一方でドミニクが反駁し、議論に熱がこもってくる。

 

「それが良い報告だというのかね? 王国に神人など私にはむしろ最悪の報告に取れるが」

「いや、上手く引き入れることができれば……」

「そうだな、目の前で凶行に及んだあの女を生け捕りにしている。交渉の余地はあるだろう」

 

 レイモンの報告に口々に意見が集まる中、質問した張本人であるベレニスが放った一言は周囲の空気を凍らせた。

 

「……私にはこの冒険者の少女、神人ではなく大元の方にも思えるわ」

「まさか、かの者に連なる存在が現れたというのか?」

「……確かに時期としてはおかしくないだろう。足取りが掴めないのも突如現れたと考えれば納得がいくな」

「落ち着け。どちらにしろ圧倒的な強者である事は変わらん。憶測ばかりで話をする必要はなかろう」

 

 混乱しかけていた場をおさめたのは最高神官長だ。その場における最高権力者の言葉は会議に落ち着きを取り戻させた。

 

「今話し合うべきはその冒険者の正体ではなく、どうするべきかだ。交渉の余地がある様ならば内密に使者を送るべきではないか?」

「ふむ、ならば漆黒聖典が適任でしょうな」

「放置はできん。しかも、神人に匹敵しかねない以上神人を当てるしかあるまい」

 

 話はテキパキと決まっていく。この場にいる12人の能力の高さを表しているかの様だ。

 

「ならば、第一席次を含む何人かをこの任務に当てることにする。人選はレイモンに任せて良いな」

「了解しました。では、次の議題に移りましょう」

 

 

 ◇◆◇

 

 

「全然、来ませんね」

「いい加減来てもいいはず、なんですが……」

 

 モモンガとXオルタはナザリックの執務室である人物を待っていた。しかし、2人とも待っている相手がどの様な存在なのか殆ど知らない。わかっていることはシャルティアを洗脳し得る存在だということだけだ。

 

「場所が悪いんでしょうか? かなり初期の話とのことだからナザリック周辺、遠くてもエ・ランテル程度の距離のことだと思ったのですが……」

「うーん、バタフライエフェクトかなぁ? 一旦、捜索範囲を広げてみましょうか?」

「そうですね。これがわからないうちはNPCは派手に動かせませんし警戒するに越したことはないでしょう」

 

 現在ナザリックの外で活動しているNPCは僅か5人しかいない。トブの森の調査と拠点作成、更にこの来訪者に対する警戒を命じられたアウラとマーレの2人に続き、王都で情報収集及び社会的地位の獲得を任せられたセバスとソリュシャン、カルネ村の監視を任せられたルプスレギナで全てだ。全員が最高クラスの拠点帰還アイテムを持ち僅かでも自分の身に危険が迫ったと感じたら使用する様に言い含めてある。

 この話題に先はないと見切りをつけたのかモモンガはXオルタに別のナザリック内で行なっているプロジェクトについて聞いた。

 

「ところでアインズ・ウール・ゴウンを国にする時のシステムとかはどうなりそうですか? 俺そこら辺全然わからないんでオルタさん任せなんですが」

「あ、はい。大まかな形はできました。今のところ主権は私達で独占してから他を自治権の強い連邦制にしたいな、と思ってます。あまり征服者っぽいのは皆からの忌避感が強そうなので避けたくて」

 

 引っかかる言葉があったのかモモンガは首を傾げながら聞く。

 

「なんで自治権なんですか? この辺りにナザリック以外の支配者はいないでしょう」

「え、だって、国にするのは名前を知らしめるためなので領土の拡大はしますよね。そうなると占領地の統治は自治権与えるのが一番楽そう、です」

 

 2人の間に微妙な沈黙が流れた。この様な雰囲気で先に口を開けるのはギルメンの調停役をしていたモモンガくらいだ。恐る恐るXオルタに聞く。

 

「どれくらい大きな国を想定しているんですか?」

「えっと、どれくらいって言われると答えにくいんですがとりあえず可能な限り、です。どこの村人に聞いても『ここはアインズ・ウール・ゴウンの〇〇村だよ』って、答えられるくらい?」

 

 同じ話をしていると思っていたらスケール感が違いすぎたことにモモンガは頭が痛くなった様な気がした。

 つまり、Xオルタは世界征服を行おうとしているのだと理解する。それによってXオルタの想定している未来絵図がモモンガの脳裏にも浮かんで来た。

 SFによくある地球連邦のような惑星国家やかつての国際連合といった物を想定しているのだ。強引な気もするが悪くない手段だろうと思いモモンガは納得した旨を伝えた。

 

「了解です。でもそれだと最終的にこの星の名前がアインズ・ウール・ゴウンになりそうですね」

 

 それを聞いたXオルタが感嘆した様な表情を浮かべ立ち上がる。

 

「それいいですね。惑星アインズ・ウール・ゴウン、スケール大きくて好き、です」

「そうですか? じゃあ、その方向でアルベド辺りと進めてもらえますか?」

「了解、です。じゃあ、今から行って来ます」

 

 そう言ってXオルタは執務室から出ていった。その後ろ姿を見てモモンガは楽しげに呟いた。

 

「頑張ってくださいね!…………にしてもあの人、やっぱり仕事はできるんだな」

 

 普段のズボラさとは打って変わり、モモンガにはできないことを考えていた仲間が少し誇らしくなる。自分ならアルベドやデミウルゴスに任せる他ない。そうすればきっと上手く行くが制御しきれなくなるという確信があった。その点、ギルメンの中でも最も多くの国家の仕組みを経験として知っているXオルタならしっかり制御できると信じられたのだ。

 仲間に対する信頼と安心感とともにモモンガは立ち上がりモモンとして鎧を纏う。そのまま執務室を出たモモンガは少し離れた場所にある別室へと向かった。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 漆黒の剣のリーダーであるペテルはあまりにも豪華すぎる部屋に居心地の悪さを感じていた。そもそもなぜ自分がこのような場所にいるのか理解ができない。

 目を覚ました直後に昨日まで共に仕事をしていた別の冒険者チームの1人、エックスが待ち構えいたので説明を求めたが具体的なことは何もわからなかった。その後、ニニャと引き合わされたが錯乱している様子で話している内容も要領を得ないものばかりだった。

 とりあえず会話が成り立つだけましだと思いエックスに声をかける。

 

「えっと、エックスさん、とりあえずダインとルクルットに会いたいんだがどこにいるか知りませんか?」

「はぁ、その2人とはまだ面会できません。私の判断で部屋を移すことはできないのでしばらく待ってください」

 

 このやり取りも既に数回繰り返している。もはや自分の正気を疑い始めた頃、変化が起きた。黒い鎧の戦士が部屋に入って来たのだ。咄嗟に声を上げようとするが身振りで抑えられる。

 

「さて、ペテルさん。いろいろと聞きたいことがあるでしょうがまずは本題だけ言います。その上で聞きたいのですがこのアイテムに見覚えは?」

 

 モモンガが取り出したのは見覚えのある歪な黒い珠だ。ペテルは気圧されるようにして答える。

 

「えっと、昨日の夜にバレアレ薬品店から宿に戻る途中でルクルットが見つけたアイテムです。かなり強力なマジックアイテムのようなのでニニャに渡したはずだったのですが……」

「なるほど、ありがとうございます。それ以前にこのアイテムが何処にあったかは知らないということでよろしいですね」

 

 ペテルは頷くことで肯定の意を示した。質問の意図が理解できずとっさに声が出なかったのだ。

 

「これで裏が取れました。……次に現状とこの先についてだが、ニニャとコレから詳しいことを聞いてくれ。わからないことがあったら私の後ろにいるパンドラズ・アクター、こいつに質問してくれ」

 

 先ほど取り出した黒い球を示し、続けて背後にいた冒険者エックスの姿をしていたもの、今会話の途中で正体を露にしたパンドラズ・アクター、を指さしながらモモンガは話を続ける。あまりの出来事に固まっているペテルを無視してモモンガは背後にいたパンドラズ・アクターに声をかけた。

 

「パンドラズ・アクターは残り2人の死体を運び込んで彼等に現状について説明しておけ。できれば彼等はここに引き込みたい」

 

 そう言ってモモンガはペテルがいた部屋を出る。扉を閉めると大きくため息をついて壁にもたれた。

 

 モモンガがペテルを蘇生させた理由のうち2つはこれで果たされた事になる。

 1つ目は蘇生時に何処で復活するかを確かめるものだった。これは宿の部屋と死体を確保できた事により問題なくチェックでき、死体のある場所で復活するとわかった。

 2つ目は事件の詳細を確認するためだ。ニニャと死の宝珠からの話は聞いていたが洗脳されて正気ではない者と真犯人、しかもアイテムの証言など信用できるはずがない。結果、新しい事は分からなかったが死の宝珠の証言が基本的に信用できると確認できた。

 

 ここまではうまく運べていると感じていたモモンガはこの先の事について悩んでいた。漆黒の剣の今後の処遇についてだ。

 

 モモンガ自身はペテルを蘇生させた時点で漆黒の剣をナザリックの麾下におさめる事は決めていた。人間がナザリック内で過ごせるかどうかのテストケースにするつもりだ。そして、あわよくばNPCの人間に対する嫌悪感を減らしたいとも考えている。

 

 これはギルメンが戻ってくる時のことを考えると必要不可欠だといえる。例えば、たっち・みー等の身内がいるものがその身内を連れて来たいと言ったとする。そうなれば彼等は人間としてナザリックを訪れる事になる。結果、人間と異形種が同じ場所で生活することになるかもしれない。すると彼等が異形種と馴染めるかどうかはギルメンが戻って来てくれるかどうかにおいて非常に重要な事になるだろう。また、他にも人間がナザリックに馴染めなかったら生じる不利益はいくつか思い浮かぶ。それらを事前に解決するためにもモモンガは意識改革が必須であると感じていた。

 

 ため息とともにモモンガは思考を放棄する。ややこしいことは後回しにして今はパンドラズ・アクターや死の宝珠によってペテルが状況を把握するのを待つべきだ。

 現状ではあまり大きく動けない以上、時間はまだ有り余っているのだから。

 




というわけで二巻が終わって三巻に入れません。

巫女姫がチェックする前にモモンガ様がニグンさんを捕縛したせいで彼女は爆死しませんでした。結果、焦って漆黒聖典が突撃することもなくナザリックの近くにチャイナ婆が来ることはなく、モモンガ様とえっちゃんは待ちぼうけです。でもそれがわかってないから何もできない。

そして気が付いたらペテルだけ復活。ホームポイントと思われる宿屋を確保できたので蘇生実験をさせてみました。情報の確認を兼ねて。

さらに地味に世界征服と国の名前が決まりました。ギルメンがいる以上魔導国にはできないので連邦制でたぶんアインズ・ウール・ゴウン連邦とかになるのかな。

今回はえっちゃんが文系っぽいこと言ってるはず……仮にも高学歴の高給取りだったのでやればできる子のはず
FGOでも銀河に君臨すべき王として生を受けと言ってたし政治能力はあるよねきっと

感想、指摘、評価があると泣いて喜びます。お願いします。

あ、次回たぶんえっちゃんがなんで征服とか考えたのか少し補足するつもりです。大した理由じゃないけど


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