しかし、転生先がいい世界とは限らないし、神様特典が役に立つ世界とは限らないし、何よりも自分より強い化け物がいるかもしれない。
そんな話。
単刀直入に言おう、俺は転生者だ。
よくネットやラノベなどでよく見る設定の一つで俺も例に漏れず、神様特典を貰ったタイプの転生者だ。神様特典として貰った強大な力で楽な生活とハーレムが待っているとウキウキしていたが・・・・現実はそんなに甘くはなかった。
「おーい、何処にいるんだー?出ておいでよー、大丈夫、すぐに終わるからー」
俺は今死の淵に立っている。
ちょっとしたチャレンジ感覚だった、事前に神様から今から行く世界はかなり大変な世界でそこにいる脅威と戦って欲しいというものだった。しかも、その脅威の一つを倒せばどんな願いも叶えると神様が言ったから俺達は転生者仲間を集め、その数は100人となる大部隊でその脅威に挑んだ・・・・だが、それが間違いだった。
100人いた仲間は殆ど死に、残るのは俺を含め数名程度になってしまった。
俺達が挑んだ脅威は今残りを殺そうと俺達を探しているヤツだ。
強いとは聞いていたが、あれは強いとか自分が弱いとか勝てないとかの可愛い領域ではない、戦うという発想自体がかなり狂っている、勝てる見込みがないとかではない、勝てるはずがない、どう逆立ちしてもどう足掻いてもどんな力を手に入れようと勝てる存在ではない。
俺はそのことを理解すると戦うのを止め、必死になって今のように息を殺し、気配を絶ち、今までずっと隠れている。
アレには勝てない。
それがまるでこの世界の常識のように・・・・いや、常識なのだろう。そうでなければ、千以上を超える強力な神様特典を持った転生者だらけの国で転生者がごく当たり前の存在の世界で【国家最強】を名乗れるはずがない。
常識外れの強さとは聞いたことがあったが、あの強さが常識外れでなければ、俺達はなんだ?何のために神様特典を貰った意味がある?
化け物だ、あれこそ、本当の意味での化け物だ。なぜ、今まで同僚や部隊長、同業者達が俺の力、俺達の力を見ても驚きもせずに驚愕もしなかったのかがわかった。
アレの力を見たら俺達の力にも驚かないもの納得だ。
アレはそいつは淡々と転生者を殺した。
ベクトル操作の能力を持った転生者を絞め殺した。
王の宝物庫を持つ転生者には魔法による砲撃でその宝物庫を凌駕し消し炭にした。
光の速さで動く転生者にはその速さを軽々と凌駕し頭を粉砕した。
時を止める転生者に対してはさらに時を止め、圧殺した。
様々な魔法を使える転生者は使う暇なく、腹を貫かれ死んだ。
強力な召喚獣を召喚できる転生者は簡単にその召喚獣全てを殺され、最後はアレが出した召喚獣に喰われた。
星を操る転生者は隕石群を降り注いだがその隕石群ごと消し飛ばされて、宇宙の塵となった。
様々な神様特典を持った転生者達が挑んだが全員がそのデタラメ過ぎる力の前に敗れ、殺された。
アレに勝て?無理だ、無理に決まっている。
勝てるはずがない、どうやって勝てという無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ無理無理無理無理無理無理無理無理。
「か、か、かあさぁぁぁん!!」
ハッと叫び声で我に返る。声がした方を見るとアレから走って逃げようとする転生者仲間が見えたと思った、次の瞬間には転生者仲間はアレが放った光線が仲間の四肢を切断し、一瞬で仲間を達磨に変えた。
「ひぎぃがぁぁぁ、いやだゃ、しに、しにぃたくぅないぃ、しにたく」
四肢を切断される痛みがどれ程のものかは知らないが迫りくる死に四肢を切断されても残された顎と身体を必死に使い捩らせ、まるで芋虫のように動こうとするが動くことできずにアレに髪を捕まれ、四肢を失った身体が宙に浮く。
「いやさ、俺に挑むということはこうなるんだぜ?」
そして、アレは達磨になった仲間を宙に放り投げ、その体に蹴りを入れる。するとその体はバラバラに飛び散り、頭だけが地に落ちる。
アレは頭を足で蹴り上げ、頭をボールに見たてケラケラと笑いながらドリブルを始める、狂ってる。
ヤバい、ヤバい、絶対に殺される。
チラリと隣を見ると先程まで生きていた仲間の死体があった、その手には拳銃が握られ、力なく壁に寄りかかっている。こいつは俺と同じようにアレに恐怖し耐え切れなくなり、拳銃を使い、自決した。
「おーい、あとは君だけだよー」
アレの足音が近づいてくる。
助けて、助けて、助けて!
死にたくない、死にたくない、死にたくない!
俺はまだやりたいことがあるんだ!
まだ足りない、足りない、足りない!
もっともっともっともっともっともっと!
「ぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!」
自決した仲間の拳銃を手に取り、隠れていた場所から飛び出て、銃口をアレに向け、がむしゃらに引鉄を引く。
「あぁぁぁぁぉぁぁ!」バァン!
引く。
「あぁぁぁぁぉぁぁ!」バァン、バァン!
引く引く。
「あぁぁぁぁぉぁぁ!!」バァン、バァン、バァン!・・・・カッシャ、カッシャカッシャカッシャ。
引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引く引くひk
「うっさい」ボッキ。
あ
れ、
なん
で
て、が
おれの
う、しろに
あるの?
「こちら、ストライカー1。目標敵部隊の殲滅を完了、は?最後の1人はどうなったかって?なんか急に発狂してずっと隠れていた場所から飛び出して叫びながら拳銃を乱射してきたから、首をこうボッキと折った。そんだけ、そんだけ」
「は?酷い?何それ冗談?俺達は殺し合いをしてたんだぜ、それであいつらが弱いから死んだ、それだけだろ?」
「そうそう、強い奴が生き残る、それがこの世界の性質だ」
一部登場人物紹介
ベクトル操作の転生者
神様特典としてベクトル操作を貰い、有頂天になっていたがこの世界には平気な顔でベクトル操作の壁を壊して殺してくる化け物がいるため、あまり役に立たない。
宝物庫を持つ転生者
とある王の宝物庫を使い攻撃などができる転生者。
いくら出してもそれを上回る数と火力には勝てない。
光速の転生者
いくら速くても簡単に抜かれた意味がない。
多数の魔法を操る転生者
相手が悪い。
召喚士の転生者
こちらも相手が悪い。
達磨になった転生者
運がない。
自決した転生者
ある意味英断。
最後に残された転生者
首を折れて死亡。能力不明。
アレ
日本の国家最強の座に着く化け物。
ちゃんとした人間だが全てが常識外れ、簡単に世界や星、銀河系、宇宙を滅せる、正しく化け物。
化け物から化け物呼ばわりされるほど。
戦いを挑むと基本的に殺される。
この世界
何千回以上も世界大戦クラスの戦争が起き、さらに外宇宙や異世界からなどの侵略者が引っ切り無しに来る異常な世界で転生者程度では誰も驚かないし、興味がわかない。