深海棲艦としての記憶を持つ加賀。鎮守府に着任した彼女を待っていたのは、最高の相棒となる艦娘と、強くたくましい先輩。
モノクロの世界が、鮮やかな色彩を帯びた理由。
私が追い続けた背中と、今は私を追いかける背丈。
記憶と、今を繋ぐ話。
◇
劇場版を観て思いついた話第三弾です。
ネタバレと独自設定を多分に含みます。
今回は、劇場版に対する作者の独自解釈が多分に含まれています
ひたすらに、ただただ無情に広がる冷たさを、私は知っていた。私が今の「私」として生まれ出でた時、その冷たさだけを知っていた。
今でも、その根幹は変わらないのかもしれない。自分でも自覚はしているつもりなのだ。
氷のように冷静な思考。
彫像と同じ、感情を表さない表情。
この手で触れることへの恐怖。
ただ。そんな私に、艦娘としての温もりをくれた人がいた。
私がかつての「ワタシ」に折り合いをつけ、今の私になれたのは。
いつでも隣にいてくれた、私の大切な僚艦と。
もう一人。
私が追い続けた大きな背中と、今は私を追いかける小さな背丈。
記憶の中の温もりは、今でも私に色をくれる。この世界を、鮮やかに照らしてくれる。
私が何者であるか。それを決めるのは、私自身だから。私の中の、モノクロの記憶ではなく。色鮮やかな、今の私だから。
私は「加賀」。深海棲艦としての記憶と共に、艦娘として海を征く。
◇
目を覚ました時のことは、あまりよく覚えていない。それは間違いなく、水底であったはずだ。けれども、光の届かぬ深海で、それを知る術はなかった。
一番はっきり覚えているのは、初めて水上に顔を出した時のことだ。頭上で輝く星の繋ぎ方を、ワタシは知っていた。星を繋げば、方角と位置がわかる。それさえわかれば、帰るべき場所に辿り着ける。
そうして、ワタシは帰るべき場所を追い求め、彷徨い始めた。
ワタシにとっての世界は、白と黒の濃淡だけ。モノクロの記憶。今の私はそう呼んでいる。
最後のモノクロの記憶は、爆炎が燻る空を見上げた時のこと。煙を吐き出す何かが舞い飛び、次の瞬間には粉微塵になる。それは航空機だった。そんなことをただぼんやり、漠然と感じていた。
そして、上から爆弾が降ってきた。
体が焼け焦げる。それも一瞬のこと、ワタシの意識は、再び水底へと沈んでいった。その色が相変わらず白黒だったのか、わずかに青みがかって見えたのかは、今となってははっきりとしない。
ともかく。こうして私は、艦娘になった。
意識が覚醒した時、そこは眩しいほどの色彩に満ちていた。深海棲艦であったはずの私が、なぜ色彩を認識できたのか。世界は白と黒ではなかったのか。混乱しているはずなのに、頭のどこかで違和感なく、目の前の光景に馴染んでいる私がいた。それが不思議でならなかった。
数瞬のうちに、感覚があることを認識して、私は勢いよく、体を起こした。
そこは部屋だった。妙にこざっぱりとした部屋に、私は寝かされていたらしい。
「ここは・・・」
目を見開く。声だ。声が出る。私には声があるのか。
思わず、のどに触れる。口を開き、声を出そうとすると、どこかヒンヤリと、それでいて滑らかな触り心地のする喉が、微かに震えた。
「私は・・・」
「目が覚めましたか?」
すぐ近くから聞こえてきた声にぎょっとする。椅子に腰かけ、こちらに微笑む女性がいた。
それが、赤城さんだった。
うたた寝をしていたらしい彼女は、興味ありげにこちらを見ていた。長い黒髪がきれいな人だと思った。
それから、もう一人。部屋の扉を開いて、誰かが入ってきた。
濃い緑色の髪をツインテールにし、スラリとした体形の女性だった。私を認めるや、嬉しそうに目を細める。
「お、目が覚めた?」
まだ、うまく状況を飲み込めず、困惑する私の前に、彼女が立つ。私の顔を覗き込むようにして、その顔が笑った。
「あたしは瑞鶴。先輩とか、瑞ちゃんとか呼んでね」
「瑞・・・鶴、さん」
「だーかーら。瑞ちゃんだってば」
真面目だなあ。そう苦笑いする彼女―――瑞ちゃん(この回想の中では、そう呼ばせてほしい)の言葉で、私は自分自身が、どうも融通の利かない性格であるらしいことを知る。
「さてと。それじゃあ、貴女の名前を訊いていいかな?」
・・・名前。私の名前。そんなものがあった記憶はなく。それでも自然に動きだした口は、こう音を並べた。
「・・・加賀。航空母艦、加賀」
私の名前は、加賀。
それから色々な話を聞いた。この世界のこと。鎮守府のこと。私たち―――艦娘と呼ばれる存在のこと。私たちが敵対する、深海棲艦という存在のこと。
赤城さんや、瑞ちゃんの話も聞いた。二人とも、私と同じ、航空母艦。赤城さんは、つい一か月前に、この鎮守府に着任したばかりだそうだ。一方の瑞ちゃんは、鎮守府最古参の空母で、歴戦の第一航空戦隊―――一航戦と呼ばれていた。
・・・深海棲艦としての記憶のことは、黙っていることにした。正直、自分でも全く整理が追い付いていなかった。思えば、この頃からすでに私は、自分が一体何者であるか、わからなくなっていたのだろう。
そんな私のことを、知ってか知らずか。
「皆、あたしのこと、すごい、って言うんだけどさ。さすがは一航戦だ、って言うんだけどさ」
そんなことを瑞ちゃんが言いだしたのは、ある日の稽古の後だった。
「あたしとしては、そういう実感ってないのよね。あたしは、あくまであたしだから。あたしにできることを、あたしなりに一生懸命やってるだけだからさ」
夕陽の中で、こちらを見るわけでもなく語るその大きな背中を、私は何も言うことができずに眺めていた。
「前の一航戦は、あたしよりもずっとすごかったし」
「前の・・・一航戦、ですか?一航戦は、ずっと瑞鶴さんなんじゃ、ないんですか?」
「違う違う、そんなわけないじゃん。あたしの先輩には、化け物じみた人が、二人いてさ。その二人が、一航戦だった」
笑いながら手をひらひらと振る瑞ちゃん。その目が初めて、こちらを見た。
「今はもう、どっか行っちゃったんだけどね」
一か月もすると、私と赤城さんも出撃するようになった。最初の頃は、近海に侵入してきたはぐれ深海棲艦の迎撃。それから、機動部隊戦も行うようになった。
本土を襲撃されるようなことは稀だったけど、今より安全な海域は狭かった。聞けば、その海を、瑞ちゃんはたった一人の航空戦力として、支え続けてきたらしい。
前の一航戦は、どこに行ってしまったのか。さすがにわからない私ではなかった。瑞ちゃんも、他の艦娘も、何も言わなかったけれど。
大きな戦いがあったのだ、きっと。その戦いで敗れた前の一航戦は、沈んでしまった。そして、瑞ちゃんだけが残された。
洋上迷彩が施された、その背中の意味を、少しだけ理解できた気がした。
二か月が経ち、錬成が十分に済んだと判断された私たちは、ついに深海棲艦の支配する海域へと侵攻作戦を開始した。
やはり、航空戦力の充実というのは大きかった。航空母艦が三隻もそろえば、その艦載機をもって十二分に深海棲艦と戦えた。
・・・浮かれていたのだろう、私は。その正体はわからない。破壊本能?自己誇示?
航空母艦である私は、深海棲艦というものと直接触れ合う機会が少なかった。相手は全て、艦載機を通した向こう側にいる存在だった。
だから、簡単に忘れることができた。
いや、忘れようとしていたのかもしれない。深海棲艦としての記憶を持って、艦娘としての生を受けた私は、艦娘である時間が長くなれば長くなるほど、深海棲艦であったことなど忘れ去ってしまいたくなったのかもしれない。これは自己嫌悪?
気づいた時には遅かった。着艦作業中の隙を突かれ、深海棲艦の高速水上部隊が、私たちの艦隊に迫っていた。
機動部隊とはいえ、今のように艦娘の数もそろっておらず、装備類も満足のいくものではなかった。ゆえに、戦艦を含むその艦隊とやり合うのは、明らかに不利だった。
高速戦艦タ級。そう・・・忘れもしない。何か特別な色や感情を感じたわけではない。それどころか、こちらを見つめていたのかすらわからない。それなのに、まるで吸い寄せられるかの如く、白い空白の瞳目が釘付けとなった。
そうだ。あれが深海棲艦。嫌でも、私は思い出さざるを得なかった。
足が震え、手がしびれ、全身の感覚を喪失する。自分が立っているのか、座っているのか、それすらもわからなかった。唇は動かず、声は喉を塞がれてしまったようで、耳は音を認知できなかった。
―――「オイデ・・・オイデ・・・」
タ級がそう言っているような気さえした。
「加賀!」
呼びかける声は、ハンマーで殴られたような衝撃を、私の頭に与えた。瑞ちゃんが、必死の形相でこちらを見ていた。普段の彼女からは、想像もできないような表情だった。
「着艦作業中止!緊急退避!急いで!」
彼女に言われるまま、その気迫に押されるまま、私は動こうとした。
けれど、動けなかった。
私は・・・私は、“あちら側”なのだ。記憶が正しければ、私はあちらなのだ。こちらにいるのは間違いなのだ。そんな、断定に近い、黒い感情。
「赤城、先行って!」
言うや否や、瑞ちゃんは私の矢筒に残っていた矢を無理矢理引き抜き、番えて放った。タ級が発砲したのは、ほぼ同じタイミングだった。
砲弾が空気を切り裂く甲高い音。真っ黒い塊が、妙にゆっくりと動いて見えた。
ああ。私はここで沈むのだ。いや、それとも、“あちら側”へ戻るという方が正しいのか。
目を閉じる。
海水が沸騰する音。信管が作動して、火薬が弾ける轟音。世界から全ての音が消え去る瞬間。
けれども。想像していたような衝撃も、身を焦がすような炎も、何も感じなかった。
「・・・何・・・やってんのよ」
代わりに、艤装がずたずたに引き裂かれた瑞ちゃんが、そこにいた。額からは真っ赤な血がどくどくと流れ出て、破けた服を、そして足元の海面を染める。それでもその瞳には、まだ強い何かが宿っていた。
「違う!違う、ちがう、違う!あんたは違う!」
今にも崩れ落ちそうになりながら、瑞ちゃんは強引に私を引っ張り、タ級の砲撃を回避。
「あんたはあんた!今のあんたは、正真正銘、航空母艦『加賀』でしょ!たとえ記憶が違うものでも、たとえ“あちら側”の記憶だとしても、あんたはあんたでしょ!」
それから、思いっきり突き飛ばされた。全身に力が入らない私は、いとも簡単に海面に倒れ込む。頬に触れた水滴が冷たい。
目が覚めた気がした。
「瑞・・・鶴、さん・・・」
冷めると同時に襲ってきたのは、底の見えぬ恐怖。深く深く、光も届かぬ深海を覗き込んだ、冷たい記憶への恐怖。目の前で、私のために傷つこうとしている人を失うことへの恐怖。
それなのに、彼女は笑っていた。清廉で、可憐で、一点の曇りすらもない笑顔を浮かべていた。それはあたかも、計り知れぬ水底から振り仰いだ海面のごとく。どこまでも蒼く、透き通った幻想的で、非現実的な美しさ。光も音も温もりもない世界に、一筋差し込んだ紺碧。
「任せなさいって。これぐらい、今まで何度も経験してきたことだから。後方に下がって、着艦作業を再開。もしできたら、あたしを迎えに来て」
それだけ言うや、瑞ちゃんは私に行けと身振りで示して、踵を返した。
私は・・・逃げた。主機が焼き切れるのではというほどの全速で海面を駆け抜け、赤城さんとの合流を目指す。最後に見たのは、瑞ちゃんの放った艦攻が、タ級に雷撃を成功させるところ。
・・・全てが終わった後、私は約束通り、瑞ちゃんを迎えに行った。
けれども。そこに、件の先輩の姿はなかった。まるでそこには、最初から何もなかったかのように、ただただ静かな海が広がるだけであった。
膝から崩れ去り、ただひたすらに、私は胸の内を吐き出すしかなかった。嗚咽を堪える術も、溢れる熱い雫を止める術も知らず、ただただそれらが、体の内から消えることを待つのみ。
それでも、彼女は帰ってこないのだ。優しい先輩は、二度とは帰ってこないのだ。
瑞ちゃんの撃沈で空白になった一航戦は、しばらくの間鳳翔さんや龍驤さんが務めていた。しかし、それからすぐに、私と赤城さんに、その役目が回ってきた。
あの日のこと。失った先輩のことを、そして私の記憶のことを、私はその時初めて、赤城さんに話した。その記憶に、どういうきっかけか、瑞ちゃんが気付いていたことも含めて。赤城さんはただ黙って、私の話を聞いてくれた。
「私は・・・あの人と同じようには、なれない。私が何者かもわからないし、何ができるかもわからない。・・・赤城さんの僚艦として、一航戦を務める資格は、ないわ」
最後にそう言った後、初めて赤城さんは口を開いた。
「それは私も同じですよ、加賀さん。瑞ちゃんみたいに、誰にでも胸を張れる一航戦になれる自信なんて、ない。それでも、私は前に進みたい。前に進んでいける。それはきっと、加賀さんがいるからなんです」
宣言するように、断言するように、私を見つめる赤城さんは、あの日の瑞ちゃんのように、微笑んでいました。
「私では足りない。加賀さんでは足りない。でも、二人ならできることもあるはずです。瑞ちゃんみたいになれなくても、瑞ちゃんができなかったことを、私たちならやれるはずです」
私の手を取る、赤城さんの手は、とても暖かかった。
私たちの戦いが始まった。二人で考え、一歩ずつ、一歩ずつ。あの人の想いを、感じながら。
わずかずつですが、私たちは制海権の奪還に成功し始めた。それと同時に、多くの出会いがあった。
金剛型姉妹。二航戦の蒼龍、飛龍。高雄と愛宕は重巡。夜戦バカ姉妹。そして多くの駆逐艦。
少しずつ、少しずつ。私のなすべきこと、私にできること、二人で守れるものが、わかってきた。
そんな、時だった。あまりにも突然の、衝撃的な出会い。
「加賀さん!」
比叡から呼ばれたのは、機動部隊との戦闘を終えて、ようやく一息を吐けた時だった。付近で艦娘を見つけたというのだ。
海面は、そこだけ染料で染めたように、鮮やかな蒼さを増している。波間に漂うは、白い肌を惜しげもなくさらす、裸体の女性。母体の中でうずくまるかの如く、しなやかな肢体を抱きかかえる。
「私が曳航するわ」
そう言って、抱え上げようとした、その顔は。
私が必死に追いかけようとした、あの人の面影を、忘れるはずもなく。
「瑞・・・鶴、さん・・・」
その呼びかけに、ピクリとまぶたが動く。そこで確信した。
どういうわけかはわからない。けれども彼女は間違いなく、あの「瑞ちゃん」だ。
「瑞、鶴さん・・・!瑞鶴さん!」
抱えた体を揺すり、呼びかける。
だけど。
見開かれた目。充血とは全く異なる赤に染まったその瞳に、思わず息を飲んだ。次の瞬間、震えるように見えた唇から、最初の言葉が放たれた。
「うわああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁああっっっっっ」
それは言葉にならない慟哭だった。艦の心が悲痛に叫ぶ声だった。
結果から言えば、彼女は航空母艦「瑞鶴」で間違いなかった。けれども、私と赤城さんが知る「瑞ちゃん」ではなかった。
その理由に思い至ったのは、多分私と赤城さんが最初だった。あまりにも絶望的な、理由に。
繰り返しているのだ。艦娘と、深海棲艦を、行ったり来たり。記憶を無くしているだけで、何度も何度も。
それを誰かに話すこともできず、押しとどめ。とにもかくにも、瑞鶴の錬成が始まった。嚮導艦に私を推薦したのは、赤城さんだった。
瑞鶴は、良くも悪くも、才能豊かな艦娘であった。そしてやはりどこか、瑞ちゃんに似通ったところがあった。
構え方の癖。矢を矢筒から取り出す仕種。ふとした瞬間に、やはり重ねてしまうのだ。
あの時追いかけていた背中は、あの時よりもいくらか小さく。背丈で言えば、私の方が高いほど。
「・・・どうかしたの?」
私の視線に気づくたび、瑞鶴は怪訝な表情で尋ねる。
「・・・何でもないわ。それより、」
そう言って、誤魔化して。その誤魔化し方すら下手な私は、小言を連ねる。あの娘に嫌われるのも、しようのないことかもしれない。
◇
「ねえ、ちょっと。聞いてるの?」
呼びかける声に気づくのに、どれだけの時間がかかっただろうか。長い回想から抜け出した私は、顔を上げ、声の主を見る。こちらを覗き込むのは、勝気な目を細める瑞鶴だった。
「騒々しいわね」
「そっちが呼んでも反応しないからでしょ」
そう言って、瑞鶴は何かを差し出した。よく冷えたそれは、鎮守府謹製のラムネだ。
「どういう風の吹き回し?」
「ただの差し入れよ。ありがたく受け取りなさい」
そう言って、瑞鶴はプイとそっぽを向いてしまう。
アイアンボトムサウンドの戦いから、すでに半年近く。季節は冬真っただ中だ。風呂掃除を終えた先輩に、冷たいラムネを渡すのはいかがなものだろうか。
・・・まあ、好きだから、いいけれど。
「それじゃ。もうそろそろご飯だって」
言うや否や、そそくさと踵を返してしまう。随分と嫌われたものね、私も。
「瑞鶴」
「何よ」
まだ何かあるのか。そう言いたげに、瑞鶴がこちらを振り向く。
「・・・ありがとう」
うまく、笑えただろうか。いつか、あの人が見せてくれたように。
「ば、バカッ」
捨て台詞のように残して、瑞鶴は走り去っていく。さすがに、その「バカ」のニュアンスがわからない私ではない。
私が追い続けた大きな背中と、今は私を追いかける小さな背丈。
私が深海棲艦としての記憶を残している意味は、まだわからない。瑞鶴の前に立ち、誇りをもって「一航戦」を名乗れるほど、何かをなし得たかもわからない。
いつだって、私はただ、自らのやれることをやっているだけなのだから。
それでも、道は見えてきた。私が導くべき道を、見つけた気がした。
青い海。色とりどりの生命に溢れた世界。そこはかつてワタシがモノクロと呼び、それでも多くの人の温もりが、鮮やかに色づけた世界。
ラムネの栓を抜く。ビンの中身が減圧されて、炭酸ガスが湧き出す。それを押さえてしばらく待ち、口づける。爽やかなのどごしは、やはりこの季節には少し刺激が強かった。
「・・・おいしい」
たまらなく笑みがこぼれる。私はもう一度、温もりに溢れた冷たさを、味わった。
・・・いかがだったでしょうか?
加賀さんの記憶と、瑞鶴に対する数々の意味深発言から、想像を膨らませた(こじらせたとも言う)結果です
映画の世界観だと、少なからずこういう話があったのだと思います。それを本人に語ることもできず、加賀のように、胸に秘めて見守り続ける。瑞鶴に対する厳しさには、単に先輩としての思い以上のものがあるように思います
ここまで長くなるとは思いもしませんでした・・・