新暦77年8月
インターミドル都市本戦決勝戦
『インターミドル都市本戦!優勝はジークリンデ・エレミア選手!!』
付けっぱなしにしていたモニターから実況をするアナウンサーの女子の部の決勝の終了の声と割れんばかりの歓声が流れてくるのを、俺は選手控え室で1人寂しくウォームアップをした体を冷やさないようにしながら聞いていた。1人で黙々とウォームアップをしていると、あっという間に終わってしまって時間が余ってしまった。女子の部の決勝が1ラウンドで決着してくれたからまだよかったものの、これが最終ラウンドまで長引いていたら正直どうしようかと思った。セコンドはDSAAスタッフで直前まで来ないし・・・
やっぱり職場の人で誰かセコンドを頼めばよかったかな・・・?でもこれ完全に趣味で出てる大会だしな・・・
「ビット選手。まもなく入場です。準備をお願いします」
大会運営のDSAAスタッフが呼びに来て、俺は屈伸をしてからピョンピョンと軽く2回ジャンプして体のコンディションの最終確認をする・・・うん、問題なし
「さて、行きますか」
そう、誰に言うでもなく呟いて、スタッフの案内に従い控え室を出た
・
・
リングのブルーコーナー側の出入り口付近で先ほど終了した女子の部の決勝の勝者のエレミア選手とすれ違う
「優勝おめでと」
「あ、ありがと・・・」
優勝者に何も言わないのも失礼かなと思い、一応のつもりで言葉をかけると、エレミア選手は声をかけられるとは思っていなかったようでびっくりした様子で返してきた・・・何も言わなかった方がよかったかな?
「それではビット選手、ジャケットの装着をお願いします」
「あ、はい。アクア」
そんなことを考えているとスタッフに入場準備の指示を出され、思考を目の前の試合に切り替え、自分の周りを浮遊させていたデバイスに声をかける
《了解です。マスター。バリアジャケット展開、アクアマリン、デバイスフォームに移行します》
デバイスが音声で返答して、俺の体が自分の魔力の魔力光の澄んだ水色に包まれてバリアジャケット姿に変わる。多めに魔力を込めて防御能力を上げたぐらいで他に特徴もないバリアジャケット、見た目もそれほど派手ではなく、他の参加者のバリアジャケットと比べると地味だ
デバイス自体もクリスタルを埋め込んだ30センチくらいの人形からグローブに変わる
・・・あぁそうか、エレミア選手が何で驚いてたかって、デバイスが人形だからオタク趣味のキモイ人だと思ったのか・・・納得納得、よし死のう。決勝で派手に散ってやる
入場準備も終わり、心の中で涙を流しながらゲートをくぐって入場しようと歩き出そうとしたとき
「・・・セレス?」
背後からそんなエレミア選手の声が聞こえてきた
ジーク視点
決勝終了後、リングから控え室に戻るために通路に入る。少し入ったところで次に行われる男子の部の決勝の出場選手とすれ違う。見た感じウチより年下、12,3歳といったところかな?
「優勝おめでと」
「あ、ありがと・・・」
目の前の試合に集中していてこっちに声をかけてくるとは思ってもいなかったので、ウチは驚いて人見知り全開で返してしまう・・・うぅ、折角試合前の集中してるときに気を使ってくれたかもしれへんのに・・・
男子選手はウチの横を通り過ぎる・・・
がんばってとか何か言ったほうがええんやろか・・・?でも集中してるときに声をかけられたくないって人も少なくないし・・・あぁお礼を言うついで言えばよかった・・・
ウチが声をかけようか迷っているとその選手はセコンドのDSAAスタッフからジャケットの装着を指示を受けていた
声をかけるのはやめておこう・・・もう入場も近いし集中を乱してまう
デバイスに指示を出すその選手を見てウチはそう思い、声をかけることを諦めるが、ジャケットの展開時に出る彼の魔力光を見て、ウチのそれまでの思考は吹っ飛んだ
・・・あの水のように澄んだ魔力光・・・なんでやろ?初めて見るはずなのに、なんでかすごい懐かしい感じがする・・・
不思議な感覚に陥り、気づいたらウチは・・・
「・・・セレス?」
そう彼を呼んでいた
「・・・は?」
ウチの声が聞いた彼はポカンとした表情でこちらを見る
「あ、いえ、その・・・ごめんなさい」
それを見てウチはハッと我に返り、集中を思いっきり乱してしまったことを謝る・・・あぁもうここにおらんほうがええ。控え室に戻ろう・・・
そしてウチは彼に背を向けて控え室に向かって歩き出す
「ちょっと!」
「!」
しかし、そうは問屋が卸さんようで、大声で呼び止められる
あかん、怒ってる。そらそうよな。これで負けたらウチのせいやもん・・・
恐る恐る振り返り、彼のほうを向く。彼は怒っているというより焦っているといった表情で、ウチを見ていた
「あんた、セレスを知っているのか?セレスって誰なんだいったい?!」
彼がウチに近づきながら質問してくる
「あぁ、えっと・・・」
「あ、すいません。実は前にも同じことを言われたことがありまして・・・」
問い詰められてしどろもどろになったウチを見て彼は急に態度を改める
「ビット選手!入場してください!」
「あーもう誰なんだセレスって?!折角手がかりが手に入りそうだってのに!!」
スタッフの指示で余裕のなくなった彼は頭を抱えてパニック状態になっていた
「いっそ棄権して貴方からセレスについての話を」
「いやいやいや!あかんよそれは!折角勝ち上がってきたんやし!」
試合を欠場ようとする彼をウチは慌てて止める
「ビット選手!入場を!」
「じゃあ試合が終わったら聞かせてもらいますからね!!」
スタッフに催促され、彼はそう言って走ってゲートをくぐっていった
どないしよ・・・ウチ、セレスが誰かなんて、全く知らんのやけど・・・
ビット視点
『ブルーコーナー、入場してまいりましたのは、ビット・フィールダー選手。なんと今年初参加の選手です!所属は管理局本局無限書庫。若干13歳で医療係にて治癒魔導師をしているとのことです』
ゲートをくぐって入場した俺に合わせて実況が選手紹介を始める。俺は観客の歓声に右手を上げて応えながらリングに上がり、レフェリーの指示でブルーコーナー側ニュートラルコーナーに立つ
『そしてレッドコーナー、やはりと言うべきか、この選手が勝ちあがってまいりました。前回大会の都市本戦優勝者。都市選抜を勝ち抜いて世界戦にも出場しました。昨今、格闘技主体の選手が増えている中、この選手だけは違う。重装甲のバリアジャケット、そして硬い防御魔法、攻撃は射砲撃のみという完全魔法戦の選手・・・』
選手紹介長くね?
心の中で実況に突っ込みを入れつつ、マルチタスクでさっきのエレミア選手とのことを考える
セレス・・・前にそう言われたのは約2年前、JS事件とゆりかご事件が終結して、負傷した局員の治療のために派遣されたときだった。機動六課のメンバーの治療の際、事件で保護したヴィヴィオという少女が、今回と同じように俺の魔力光を見た瞬間『セレス』と俺を呼んだ。ヴィヴィオは聖王女オリヴィエをプロジェクトFというクローン技術で製造された少女だ。元になった人間が人間だから、そのとき管理局や聖王教会が一通りセレスについてや、俺の家系なども調べたが、セレスという人については旧ベルカの諸王時代にいたとされている人物というくらいしかわからなかった。俺の家系についても戸籍の記録が残っていた曽祖父母の代まで遡って調べたが旧ベルカ出身の人はおらず、セレスという人と俺を結びつけるものは見つからなかった
「あーもう。なんなんだよいったい」
「「は?」」
「あ、すいません。なんでもないです」
思わず言葉に出してしまい、対戦相手と注意事項を伝えていたレフェリーがポカンとした顔をされた
ダメだ・・・全く集中できない。やっぱり棄権して話を聞けばよかった・・・
試合に頭を切り替えようとしても、なぜかエレミア選手の呼ばれたあの瞬間のことが頭から離れない。なんでだろう?ヴィヴィオのときはこんなことはなかった。それにヴィヴィオのときは昔の親友を見つけたような感じの呼び方だったが、今回は何か悲しいことでもあったかのような切ない感じの呼び方だった
「ハァ・・・ますますわけがわからなくなってきた」
《マスター、試合が始まります。集中してください》
デバイスに注意されて、とりあえず考えるのを止める。しかし全く試合に集中できない
『それでは都市本戦男子の部決勝戦!試合開始です!』
カーン
実況の試合開始の声と共にゴングが鳴る。対戦相手は射撃魔法を起動して、俺は一応構えをとる
「旧暦の戦争では射程距離の差がそのまま強さの差になると言われていたそうだ・・・長ければ長いほど強いと・・・」
「はぁ?」
弾幕陣を展開しながら語りだした対戦相手に俺は『何言ってんのコイツ?』という視線を向ける
「まぁ新暦の現代では、これは100%正しいとは言えないだろうね」
でも・・・と対戦相手は話を続ける
「自分の手足の届く範囲しか攻撃できない君のような格闘型に対しては、間違っていない、僕はそう信じてるよ」
増えていく射撃弾を見ながら俺は防御魔法を展開待機させる。すでに射撃弾は10を超えている。しかも1発1発が高密度弾でまともに食らえば貫通判定が出そうなもので、下手な場所に受ければ一発KOもできかねない・・・前回大会優勝は伊達じゃないか・・・
「事実、僕は君のような格闘型には1ポイントもライフを削られたことがないんだからなっ!!」
対戦相手がニヤリと笑い、そう言い切ると同時に射撃弾を発射してきた
ジーク視点
『ビット選手、ミハエル選手の射撃魔法をモロに受けたーっ!!これは決まったか?!』
控え室に戻ったウチはシャワーを浴びいくのも忘れて男子の部の決勝戦を見ていた。理由はあのときのことが気になっていたからだ。彼はリングに上がってからもどこか心ここにあらずといった感じで集中できていなかった。やっぱりウチの言ったことが気になってるのだろう
あぁ、どないしよ・・・ウチ取り返しの付かんことしてしてもうた・・・
「ジーク、いるかしら?」
試合の観戦に集中していると、ヴィクターが部屋に入ってきた
「あら、珍しいですわね。貴方が男子のほうの試合に興味を持つなんて・・・」
「う、うん・・ちょっとな、通路ですれ違った選手に迷惑かけてもうて、ちょお心配になって・・・」
こっちに来てベンチのウチの隣に座って話すヴィクターに、ウチはモニターから目を離さずに返す。彼はまだ土煙の中でどんな状態なのかわからないまま・・・高密度弾の連続射撃。着弾の瞬間、防御魔法を展開しているのは見えたが全ての弾丸を防げたとは思えない
徐々に土煙が晴れて彼の姿が見えてくる
『立っています!!ビット選手、なんとミハエル選手の弾幕を耐え切りました!!』
「「?!」」
ガードを固めた体勢で立っている彼を見てウチもヴィクターも驚いた。バリアジャケットはボロボロで、体のほうも全身傷だらけ、しかししっかりと立っている
ビット・フィールダー
ダメージ:22600
ライフ:7400
クラッシュエミュレート:右腕貫通×3 左腕貫通×2 右足貫通×2 左足貫通×2 胴体貫通 出血(大)
『しかし、ダメージ2万越えでクラッシュも甚大!まさに満身創痍だ!』
「これは厳しいですわね」
「うん・・・でも」
このままで終わるなら、都市本戦まで上がってきてないはずだ・・・それに、なんでかしらんけど、彼なら大丈夫、そう思っていた。やっぱりセレスって人と関係してるんやろか?
『試合再開!おっと今度はビット選手が魔力を生成しだしました。そしてなんとライフが増えていく・・・これはまさか?!』
「治癒魔法・・・?」
『なんと治癒魔法だ!ビット選手、治癒魔法でライフとクラッシュエミュレートを回復させている!!』
モニターに映るリングにいる対戦相手の選手とレフェリー、実況の人、そして隣のヴィクターが驚く中、ウチはなぜかそうすることがわかっていたかのように不思議と落ち着いていた
「ヴィクター、セレスって人知っとる?」
彼がライフポイントとクラッシュを全回復させ、ヴィクターが驚きが落ち着いたあたりで、ウチは気になっていることを聞いた
ビット視点
『ビット選手、2万越えのダメージとクラッシュをいとも簡単に回復させました。流石は本局所属の治癒魔導師!!』
「あー、痛ってぇ・・・やっぱ回避すればよかったな・・・でも先手取られて対応遅れたし、思ったより弾幕濃くて弾も速かったし、結局回避し切れなかっただろうから変わらんか・・・」
ま、痛みでやっと頭が試合に切り替わったから、これでよかったのかもしれないな・・・
「くっ!」
クラッシュとライフを回復させ、さらにバリアジャケットも再構築して構え直した俺を見て、対戦相手のミハエル選手は悔しそうな表情をする。消費魔力に見合った効果を与えられなかったのだからそれは仕方がないか・・・
「し、しかし回復に魔力をだいぶ使ってしまっただろう?そんな状態で戦うのかい?」
しかしミハエル選手は自分の優位性を固持して冷静になる
「ご心配なく、自分も局の魔導師ですし、魔力効率の向上トレーニングを受けてますので、少ない魔力で大きな効果をっという感じで鍛えてますから」
ミハエル選手の言葉に俺は嫌味ったらしくニコリと笑って返す。実際回復のために消費した魔力はかなり少ない。なぜなら俺は治癒魔法なんて使っていないからだ。俺がやったのは魔力を放出して自分の体に吸収させただけだ。ただそれだけで回復したのだ
魔力変換資質『治癒』・・・管理局に記録されている全ての魔導師、正式局員も嘱託も果ては犯罪者も含めた管理局が把握する全ての魔導師の中で、俺しか持っていない、ある意味レアスキルに近い変換資質。リンカーコアを通して生成される魔力は全て治癒のエネルギーを持っていて、吸収されると治癒魔法と同じ効果を与えるというものだ。もちろん弱点もあるが、この試合に限ってはその心配はしなくてよさそうだ
「それでは今度はこっちから行きます」
そう宣言して俺は一気にミハエル選手との距離を詰めて左拳で突きを放つ。身体強化魔法は試合開始前からバリアジャケットと一緒にかかっている。ミハエル選手は虚を衝かれた表情をしたがバリア魔法が展開される。恐らく前もってデバイスに設定したものだろう。格闘型に近づかれた場合に無防備にならないようにするためか。オート展開ということは次に来るのはたぶん・・・
俺は押し切ろうとせず、バリアからパッと距離をとる。そのコンマ数秒後、展開されたバリアの魔力密度が急激に上昇してバリアが爆発した。バリアバースト、展開しているバリアに許容量オーバーの魔力を込めて爆発させ、敵を吹き飛ばして無理やり距離をとらせる魔法
「アハハ・・・やっぱり格闘型対策でオートバリアとバリアバーストは鉄板ですよね」
「フッ当然」
「バリアもなかなかに硬いし、身体強化だけじゃ抜けないかな?」
ま、それならそれで他の方法をとるだけだけどね。格闘技を教えてくれたアルフさんには色々と教えてもらったし・・・
「その割にはずいぶんと余裕そうだが?」
「余裕はないですよ。楽しいだけです。堅い防御をどう打ち破るかが格闘型の魅せ所ってね」
「そうかい・・・しかし残念だ。僕はそれを見れそうにないからね」
「見せてあげますよ。キチンとね」
そう言い終わった瞬間、嫌味の言い合いをしながら準備していた魔法を俺は起動して再度ミハエル選手に接近した
『なんとビット選手が3人に増えました。これは、幻術魔法でしょうか?そして再びミハエル選手に突っ込んでいく』
3人に分かれた俺がそれぞれ左右と正面から攻撃を仕掛ける。正面の1体は下からアッパーの構え、左右の1体ずつは加速付きのストレートパンチ
「フッ何をするかと思えば、多面攻撃なら展開しきれないとでも思ったのかい?ガッカリだよ」
3個のバリアを同時展開して攻撃を受け止めながら呆れたように肩を竦めるミハエル選手。そしてオート時よりも早くバリアバーストをされて分身は消滅し、自分もダメージと手をクラッシュする
ビット・フィールダー
ダメージ:1840
ライフ:28160
クラッシュエミュレート:右手中度熱傷
「あぁそうですか・・・」
苦々しげに返しつつ、俺は心の中でニヤリと笑った
ジーク視点
その後試合は彼がダメージを負って、それをすぐ治すという繰り返しで2ラウンド3ラウンドと進んでいく。今は最終第4ラウンド前のインターバルに入ったところだ
「このまま4ラウンド目も同じ展開なら累被ダメージがあるあの子が判定で負け・・・」
「どないしよ・・・あの子が負けたらウチのせいかもしれん・・・」
「どういうこと?さっきのセレスと関係があるの?」
ウチはヴィクターに試合前に彼を混乱させるようなことを言ってしまったことを説明する
「なるほどね。それでさっきの質問になったわけですか・・・確かにあの澄んだ魔力光はそうあるものではありませんものね・・・」
ヴィクターはモニターに映った直前ラウンドのハイライトを見ながら、そう言って納得する
「ジークはあの子に勝ってほしいの?」
「・・・うん。多分そう思ってる・・・」
だって、試合中の彼はとても楽しそうやから・・・
「なら行きましょう、あの子のところへ」
そう言ってヴィクターは立ち上がり、ウチの手をとって立ち上がらせた
ビット視点
『さぁ泣いても笑ってもこれが最後の最終第4ラウンド!このままの展開ですと累被ダメージの無いミハエル選手が判定で勝利となります。それをビット選手はどう巻き返すか?!』
「セコンドアウト」
レフェリーの指示でセコンドのDSAAスタッフがリングサイドに下りる
『まもなく最終第4ラウンド開始です』
俺はニュートラルコーナーから試合開始位置に移動・・・
「ビットぉおおおおお!!!」
「?!」
急に背後から大声で名前を呼ばれて俺はビックリして振り返る。振り返った向いた先、ブルーコーナー側入場ゲートの上の観客席の通路にエレミア選手が立っていた
「さっきのアレは君を混乱させたかったわけやないんよ・・・ただ気づいたら口から出てたっていうか無意識っていうか・・・むしろウチは君に勝ってほしいって思ってる」
自身の出した大声でシンとなった会場内でエレミヤ選手はオドオドした様子で話す
「と、とにかく!ウチはセレスって人のこと、何も知らんのや!期待させてごめん!!」
エレミア選手はそう言って頭を下げ、俺はそれを見てポカンと呆然とする
「ハ、ハハ・・・」
そして可笑しさが込み上げてきて自然と笑ってしまう。そのまま笑顔で右腕を上げて応えて彼女に背を向けて試合開始位置に移動し直す
《残念でしたねマスター・・・手がかりがなくなってしまって・・・》
「まぁそんなことは司書時代で慣れたよ。それに、全て無くなったわけじゃない」
彼女から直接セレスの情報を聞けなくても、もしかしたらセレスにつながる情報を持っているかもしれない
にしても・・・勝ってほしい、か・・・別に試合を投げてるわけじゃないけど、そんなこと言われたら、余計勝ちたくなるじゃないか・・・
「なんだい今のは?」
ミハエル選手は何が起こっているのかわからないといった様子で聞いてくる
「アハハ・・・余りにも情けない試合内容だったから、さっき通路で名前を呼び間違えたことで俺が傷ついたと思っていたみたいですね。お恥ずかしい限りです」
「ハハ、なるほど。しかしこの展開では仕方ないのではないかな?何せ君は今のところ1ポイントも僕のライフを削れていないのだからね」
「そうですねぇ・・・ちょっと気合を入れ直そうと思います」
さて、やっと舞台も整ったし、本気を出しますか・・・
『さぁ最終第4ラウンド開始です』
カーン
「アクアッ!!」
ゴングの音にすぐ反応して、右腕を前に出し、デバイスに指示を出し魔法を展開する。右腕に環状魔法陣が展開されて右手に高密度の魔力球ができ、それが徐々に大きくなっていく。そして直径1メートルくらいまで大きくなったところでそれが止まった
「な・・・あ・・・」
「これがなんだかわかりますか?」
驚いているミハエル選手に問いかける
「集束魔法・・・僕の使った魔力・・・」
「正解です。いやはや、すごい魔力量ですねぇ・・・」
ミハエル選手は唖然として答える。この魔力は試合開始から今までミハエル選手が射砲撃と防御で使用した魔法の使用後魔力や込め過ぎてそのまま排出された余剰魔力だ
「これ、どうすると思います?」
「まさか撃つのか・・・?」
「それもいいですねぇ・・・でもそれじゃ貴方のライフを0にはできませんね。だからこうします」
俺は集束した魔力をさらに小さく圧縮させ、右手のグローブに30センチくらいの5本の爪を生やした
「さぁ、防御の準備は万全ですか?」
まぁ、ここまで超高圧に圧縮させた魔力刃を防げる防御魔法なんてそうそう無いだろうけどな。それがわかっているのだろうミハエル選手も顔を真っ青にしている
「行きます」
俺はそう宣言し、身体強化のレベルを1ランク上げ、1ラウンドのときよりも速くミハエル選手に接近する。途中ミハエル選手が妨害のために魔力弾を放ってくるが右手の爪によって簡単に切り落とした
「く、くるなぁーっ!!」
続いてミハエル選手がバリア魔法を展開する。それに対し、俺は左手を握って振りかぶる
「あぁそうそう、そのバリア魔法ですけど、もう出しても無駄です」
そう言って俺は左拳で突きを放ち、バリア魔法に触れた瞬間にデバイスが魔法を起動する
《バリアブレイク》
デバイスが魔法名を発し、バリアが砕け散る。バリアブレイク、バリア魔法のプログラムに割り込みをかけ、バリア強度を下げたり効果を無効化させる魔法。何回もバリア魔法を使わせてアクアに解析させたのだ。アクアは元々治癒魔法や事務作業のサポートを目的に開発してもらったデバイスなのでデータの解析と処理の能力が高い。検査データから負傷の状態を分析するのに比べたらバリア魔法のプログラムの分析なんて朝飯前だ
「さて残るはその重装甲のバリアジャケットだけ・・・とっ!」
バリアを突破し無防備になったミハエル選手に右手の爪を振り下ろす。いくら重装甲でも堅く鋭く作られた魔力刃には全く効果が無く、こう言っては何だけど、綺麗に斬り裂けた。そして5本の切傷がミハエル選手の胴体に刻まれる
「うぁああ!!い、痛いい!!」
余りの痛みに死にそうなくらい苦しそうに呻き声を上げるミハエル選手。まぁ痛いだろうね。でもインターミドルは当然非殺傷設定が効いてるし、死にはしない
さらに追撃で右手の爪で斬り付け、ミハエル選手のライフが0になる
『K.O.!勝者、ビット・フィールダー選手!!最終ラウンドでまさかの大どんでん返し!集束魔法から一気に攻め落としました!』
試合終了が宣言され、俺は倒れたミハエル選手から目を離してブルーコーナー側ゲート上の通路、エレミヤ選手がいる場所を見る。彼女はホッとして様子でこちらを見ていた
よし、これで気兼ねなくセレスについて調べられるな・・・
・
・
決勝終了後、表彰式やインタビューで時間を大分とられたが、エレミア選手から話を聞くことに・・・
「えっと、それで、貴方は?」
エレミア選手についてきた金髪のお姉さんにとりあえず質問をする
「ヴィクトーリア・ダールグリュンです。ジークの友達で、雷帝ダールグリュンの末裔ですわ」
「はぁ・・・?雷帝の・・・?」
自己紹介の内容に俺はポカンとする。雷帝、この手の二つ名は大抵旧ベルカ関連の人物のものだ
「君の試合を見てる間に試合前のやり取りを話してもうたから、ヴィクターにも一緒に来てもろうたんよ」
「なるほど・・・ではセレスという人物については?旧ベルカにいたとされる人物なんですが・・・」
エレミア選手の言葉に頷いて返し、早速質問する
「ジークにも聞かれましたが、残念ながらセレスという人物については私もわかりません」
「そうですか・・・じゃあ貴方は俺の魔力光を見て、セレスという人物を思い浮かべましたか?」
「いえ、そういったことはありませんでした」
質問の答えを聞き、うーん・・・と少し考える。雷帝ダールグリュンとセレスは関連無しということか・・・生きた時代が違うのかな?
「えっと、じゃあエレミアさんに質問なんですが・・・エレミアさんって旧ベルカの家系だったりとかします?」
「「?!」」
俺がそう質問した瞬間、2人の表情が強張り、地雷を踏んだかのように空気が凍った気がした
「あー・・・なんかまずいこと聞いちゃいましたか?」
「う、ううん・・・ええよ・・・エレミアは旧ベルカの流浪の一族やったっていわれとる。それで・・・」
「あ、言いたくなかったら言わなくていいですよ。旧ベルカ時代に名前があったかどうかが知りたかっただけですから。詳しくは聞かなくてもいいので・・・」
答えたくなさそうだったので知りたいことが聞けた段階で話を終わらせる。今は検索魔法のキーワード集めなので詳しい内容は一旦置いておくか。まずは『旧ベルカ』『セレス』『エレミア』で検索かけてみるか・・・
っと気づけばもう日が暮れ始めていた。やばい俺本局暮らしだから早く本局に上がらないと下りてくる局員で転送ポートが混む・・・インタビューが予想以上に長引いたのが痛かったな・・・まぁ原因は4ラウンド開始前の彼女とのやり取りなんだけど・・・
「そろそろ解散しましょうか。本局の寮で暮らしてるから、そろそろ帰らないといけないので。とりあえず『エレミア』という名前をキーワードに加えて無限書庫で検索かけてみます」
「ごめんな・・・あんま力になれんで・・・」
「いえ、気にしないでください。個人的に調べていることですから・・・では」
そう言って2人と別れて、本局上がる転送ポートがある地上本部に向かおうとする
「あ、ちょっと」
「?」
「あ、あんな、ウチもセレスって人のこと知りたいし何かわかったら教えてほしいんやけど・・・あかんかな?」
エレミア選手はそう言って通信端末を取り出す。アクアが通信アドレスを交換して記録する。あとおまけでダールグリュンさんともアドレスを交換した。そういえば局員やその家族以外の人とアドレス交換するのって初めてかも・・・
次の日、今日は仕事が夜間シフトなのでお昼に起き、いつもより早い夕方に仕事場に入る
「あ、お兄ちゃん」
ゲートを通って書庫内に転送されると、前に俺を『セレス』と呼んだ少女、聖王女オリヴィエのクローンで高町教導官が養子として引き取ったヴィヴィオが転送されてきた俺に気づき寄ってきた
「あれ?なんでヴィヴィオが?学校終わったにしては早いような・・・?」
「何言ってるのお兄ちゃん?今夏休みだよ」
時計を見ながら疑問を口にすると、ヴィヴィオは呆れたような口調で返してくる。あぁ、夏休みか・・・俺学校通ったこと無いからそういうの疎いんだよな・・・
「お兄ちゃんは?夜勤のシフト入りにしては早いような・・・?」
「ん、あぁ少し気になったことがあってな、調べごとだ」
ヴィヴィオと話しながら、整理された区画で旧ベルカ関連の書物がある棚に向かう
「この辺か・・・」
「旧ベルカ関連・・・?」
目的の場所に着き、検索魔法を起動させる。対象は題名か本文で検索キーワードは・・・前調べたときより整理された区画が広がってるし、まずは前と同じ『旧ベルカ』『セレス』でっと・・・
「検索開始っと・・・」
検索を開始するとヒットした書物が棚から出てきて、自分の周囲に集まる。そしてモニターが開き書物の題名などの情報がまとめて表示される
「うーん・・・増えてないな・・・前に調べたときから1年半は経ってるのに・・・」
「セレスのこと?」
「うん・・・」
検索結果の表示されたモニターを横から覗き込んだヴィヴィオが聞いてきた。ヴィヴィオのほうを向くと彼女は複雑そうな表情をしている。ヴィヴィオにとってもセレスは気になる存在なのだろう。俺は出てきた書物を棚に戻す
「読まないの?」
「もう前に読んだ。でも本人がどうとか書いてあるものは無かったよ」
「そっかぁ・・・」
落ち込むヴィヴィオを他所に検索キーワードをエレミアに追加し、検索対象に著作者名も追加する
「キーワード増やすの?えっと・・・エレミア?」
「あぁ、昨日のインターミドルの試合でな・・・」
「あ!ニュース見たよお兄ちゃん。都市本戦優勝おめでとう。エレミアって女子の部で優勝したジークリンデ・エレミアさん?そういえば関係とか聞かれてたね。なにがあったの?」
「お前と同じ感じ。俺のことを『セレス』って呼んだんだ。たぶん俺の魔力光を見て何かを感じとったんだろうな・・・旧ベルカから続く家系の人だって言ってたし・・・」
そうこうしているうちに検索結果が上がってきた。そこから歴史の教科書などの関連性の低いものを除いていくと、1つ気になる書物が残った
「ん?」
「何か見つかった?」
「あぁ、1つな・・・」
その書物は旧ベルカ時代のエレミアが残した手記だった。しかし・・・
「あ、ダメだ・・・場所が未整理区画だから取りにいけないや・・・」
「あう・・・残念・・・」
未整理区画の調査は何があるかわからないため、例え一次調査で危険無しと判断されても司書だけで調査することができない。調査には申請と武装局員の同行が必要・・・個人的に調べているだけだからこれ以上は無理か・・・
「さて、そろそろなのはさんも迎えに来るだろう時間だし、ボチボチ戻るか?」
「うん、そ~だね~」
検索魔法を終了させ、ヴィヴィオのほうを向いて言うと、ヴィヴィオは疲れたように背伸びをして返してきた。学校が休みだったということはもしかして今日は朝からここにいたのだろうか?
「おいおい大丈夫か?ホラ」
心配になった俺はヴィヴィオに向けて手を差し出す。ヴィヴィオはその手に自身のおでこをくっ付けてくる。接触箇所から俺の治癒の魔力を流していき、疲れを癒していく
「やっぱ懐かしいな・・・この感じ・・・」
気持ちよさそうに目を細め、ヴィヴィオはそう呟く。懐かしい、ねぇ・・・俺が初めてヴィヴィオと会ったときもそう言ってたよな・・・セレスがオリヴィエに対して同じことをしていたのだろうか?
数日後、インターミドル都市選抜戦。ミッドチルダの都市選抜は俺が優勝したミッドチルダ中央と他2つの都市の優勝者、計3人の出場者による総当たり戦の世界戦出場者決定戦だ
「そっかぁ・・・なんもわからんかったか・・・」
「えぇ、色々と調べてみたんですが・・・」
都市本戦ぶりに会うエレミアさんにこれまでの調査結果を伝える。あれから今日まで、エレミアという人物の件も含めて無限書庫で調べてみたが、ヒット数も少なく、有力な情報は見つからなかった
「1件調査できてない資料もあるんですが、未整理区画にある資料で今のところ個人での調査は不可能・・・個人的な案件だから調査の申請も通らないでしょうし、整理予定も無い・・・調べられるようになるのは何年後のことか・・・っとと、試合前に暗い空気にしてしまいましたね。すみません」
「あ、ええんよええんよ。気にせんといて、結果を教えてって言うたんはウチやから」
「じゃあそろそろ自分は出ておきますね。がんばってください」
結果を聞いて、エレミアさんが残念そうな表情をする。2人しかいない控え室の空気も暗くなり、俺は謝罪する。エレミアさんはこれから試合だし、そろそろウォームアップも試合に集中していかなきゃいけないだろうと思い、俺は邪魔にならないように控え室から出ようとする。ちなみに男子の試合は午後からなのでまだまだ先だ
「あっ・・・ちょお待って」
「?」
不意にエレミアさんに呼び止められ、なんだろと思いながら振り返る。エレミアさんはなにか言い辛そうな表情をしてこっちを見ていた
「じ、実はな・・・君に頼みたいことがあるんやけど・・・」
・
・
『さぁ都市選抜戦、女子第1試合。ブルーコーナーはミッドチルダ中央代表ジークリンデ・エレミア選手!!都市本戦決勝では圧倒的な実力差で1ラウンドKO勝利を決めました』
実況のアナウンスに合わせエレミアさんがリングに入場する。選手が入場したことで、わぁっと歓声が上がる
『そしてたった今情報が入りました、都市本戦まではDSAAスタッフが勤めていたセコンドに、なんと同じくミッドチルダ中央の男子の代表であるビット・フィールダー選手が入った模様です!!』
実況が飛び込んできた情報をアナウンスし、エレミアさんに続き俺も入場する。歓声が一際大きくなった気がする。もしかして俺人気あるのかな?
しかしまさがセコンドを頼まれるとは思わなかったな・・・俺はセコンド経験があるわけでもないし、治癒魔法に長けてるとはいえ、ライフ回復はラウンド間のインターバルでも自分の魔力以外での方法は禁止だし・・・それもいいのって確認したら『知らんDSAAスタッフに頼むより君に入ってほしい』って・・・コレどういうこと?頼りにはしてないけど知らない人よりはマシってこと?
まぁ試合開始前までは色々できるし、まずは・・・
「エレミアさん少しジッとしてもらっていいですか?」
「え?う、うん、かまわんけど・・・なにするん?」
「一応、試合前の確認です。あ、真っ直ぐ立ってください」
そう言って、腕を下げて力を抜いた状態で立っているエレミアさんの周りに環状魔法陣を展開する
《検査術式展開完了しました。検査を開始します》
「検査?ウチ別に何も異常は無いよ?」
「ですから一応の確認です。あ、魔法陣には触らないでくださいね」
環状魔法陣をエレミアさんの頭から足まで一往復させて、一通りの身体データを取る。エレミアさんは魔法陣にを構成している俺の魔力を見て、何かを思っているようで、手を出して触れそうになったところを注意されて慌てて手を引っ込めていた
「はい、終わりました」
「え?もう?」
「はい、もうです。もう魔法陣に触ってもいいですよ」
検査終了を告げ、エレミアさんが魔法陣に触れて構成している俺の魔力が治癒魔法としてエレミアさんに吸収された
「これ・・・治癒魔法?」
「そうですよ。試合が始まるとできませんからね。俺にできるのはこれくらいです」
「ありがとう」
「いえいえ~」
そんなやり取りをしていると、レッドコーナー側の入場も終わり、レフェリーからセコンドアウトの指示が出る
『さぁまもなく試合開始です』
ジャッジからの注意も終わり、リングの上の2人が開始位置について構えを取る
『それでは都市選抜戦、第1試合・・・試合開始!!』
カーン
・
・
お昼前、女子の部の試合は予定通り終了した。エレミアさんが2試合とも余裕で勝利して世界戦出場を決め、俺はセコンドの仕事は何もすることなく終わった
「お疲れ様です」
「うん、ありがとう。ウチも変なこと頼んでごめんな」
「いえ、大丈夫です」
控え室に戻る道すがら、適当に会話をするが、気が緩んだ俺はつい欠伸をしてしまう。実は今日の都市選抜戦に出るために仕事のシフトを調整して夜勤シフトから寝ずに会場入りしたのだ。自分としては楽しく戦えたら勝ち負けは割りとどうでもいいのでこうしたのだ
「ん?もしかして眠いんか?」
「あ、すいません。実は夜勤明けで・・・」
「え?!そやったら言うてくれればよかったのに!ホンマごめん!」
「アハハ・・・大丈夫ですよ、慣れてますから」
俺が夜勤明けだと言うとエレミアさんは慌てて謝ってくる。自分としてはセコンドで参加するのは新鮮だったし、エレミアさんの総合魔導戦技というのも見れたし、やってよかったと思っている
「っていうか、午後の試合はどうするつもりなん?」
「え?普通に出ますよ。今までも休日が合わないときはそうやって出てましたし・・・これから少し仮眠とればいいかなって・・・」
俺の言葉に唖然とするエレミアさん。まぁ他の真面目に参加してる選手に対して失礼かもとか思わないことは無いけど、そうは言っても有給だって限りがあるんだし、試合前にいちいち有給なんて使ってたら有給なくなっちゃうよ・・・流石に世界戦になったら試合前に使うかもしれないけど・・・
「では俺はもう自分の控え室に入りますね」
「ホンマ大丈夫なん?」
「大丈夫です、1時間半くらい寝れば頭もスッキリしますから・・・」
って昔ユーノ司書長が言ってた。あのときは半信半疑だったが、今ならわかる・・・ってあれ?なんかエレミアさんが可哀想なものを見る目で俺を見てる気がする・・・
「ほんなら、君が少しでも多く寝ていられるように、ウチが周りのことしたげるよ。セコンドのお礼や」
「は、はぁ・・・?」
ジーク視点
あかん・・・どないしよ・・・
彼の控え室に来て、ウチはパニックになっていた。周りのことをすると言ってしまったが、ウチも彼と同じでセコンドやサポートの経験はないし、どうすればいいのかわからない。今は11時過ぎたところで、男子の部の試合は13時からだけど、彼の試合は第2試合からで第2試合は14時から・・・いったい何時に起こせばいいのだろう?昼食も何時に食べるのかも考えて結構余裕を持って起こしたほうがええんやろか・・・?
「寝る前に聞いとけばよかった・・・」
すでに控え室のベンチで仮眠を取っている彼を見て、改めて後悔する。しかもご丁寧に結界魔法で遮音と保温も施しているという念の入れようだ
《あの・・・?何かお困りでしょうか?》
「へっ?!」
困り果てているといつも彼の周りを浮遊している人形が話しかけてきた。デバイスであることは知っていたが、彼が寝ているのでデバイスもスリープ状態に入っていると思っていたウチは、ビックリして思わず声を上げてしまう。そしてフヨフヨと浮遊しながらウチに近づき、ウチが手を差し出すとその上に着地して立った
「えっと、君は・・・」
《マスターのデバイスのアクアマリン、AI名称アクアといいます。主に治癒と事務作業のサポートをメインにしています》
「そ、そっか・・・」
ウチの手の上で敬礼をしながら自己紹介をするアクア、どうやら高度なAIを積んだインテリジェント式のデバイスのようだ。ウチは空いているベンチに座ってアクアから話を聞くことにした。アクアが言うには、起こす時間はすでにアクアに設定されていて、お昼ご飯もすでに軽めのものを用意してるとのこと・・・あれ?ウチやることないんちゃうか?そらそうか・・・ウチが突発的に言い出したことやし、最初からウチ無しで何とかなるように準備してあるか・・・
「それにしても、やっぱお仕事をしながらインターミドルに出るのって大変なんやね・・・夜勤明けで試合なんて・・・」
《職場の皆さんは休んでもいいって言ってくれたのですが、マスターは趣味で出る大会だからとそれを断ってしまいました》
「そうなんか?」
《医療係はできて間もない部署ですし、人も少ないんです。それに医療係はマスターが司書の仕事の合間に他の司書の疲労を魔法で癒していたことでできた部署、マスターは中核を担う人物ですし、責任を感じているようです》
アクアの話を聞き、ウチは彼のほうに視線を向ける。まだ13歳なのに管理局の一部署の中核を担っているなんて・・・すごいなぁ・・・でも、なんでこんな小さな子がもう管理局で仕事をしているんだろうか・・・?聞いてみたい、と思うが過去を詮索するようでいい気はしない。ウチもあんま昔の事を聞かれたくないし・・・
「アクアはいつからビットと一緒なん?」
《アクアができたのは5年前です。マスターが入局して1年経ったときに仕事のサポート用に本局の技術部で製作されました。その後、仕事だけでなく格闘戦技のサポートもするようになりました》
え・・・?じゃあビットは入局してもう6年も経っているの?まだ長くて2,3年かと思っていた・・・意図せず入手してしまった彼の過去の情報にウチは困惑する
「そ、そっか・・・じゃあストライクアーツはいつから?」
《入局して1ヵ月後・・・アクアはまだその頃はいませんでしたが、無限書庫に配属されてからだと聞いています。無限書庫は無重力空間なので、骨や筋肉の衰えを防止するために一定の運動が義務付けられているのですが、ただランニングなどをこなすだけではつまらないから、という理由で始めたのがきっかけだそうです》
「へぇ、そうなんか・・・それは誰かから習っとるん?」
《はい、マスターが入局する際に後見人になってくれた局員の方の使い魔さんに・・・》
「え?後見人?」
アクアが話した内容に引っかかるものを感じ、ダメと思いつつも聞き返してしまう。そして、アクアから返ってきた答えにウチはそのことを後悔する
《はい、マスターのご両親はすでに亡くなられています。ですからマスターを保護してくれた局員の方が後見人になられて管理局に入局した。とアクアは聞いています》
・
・
「えっと・・・なにかありました?」
それから少したち、彼が起きた。彼の過去を勝手に聞いてしまったウチは後悔と後ろめたさをモロに態度に出してしまい、彼にそう尋ねられた。ウチは正直に彼に話してそのことを謝る。怒られたり嫌われたりすることも覚悟していたが、彼は・・・
「なんだそんなことですか。別に構いませんよ。局員履歴を見れば書いてあることですから」
そう言って笑って許してくれた
「アクア、どこまで話したの?」
《両親が亡くなっているという点だけです。それ以外は聞かれてませんので話してません》
「あ、そうなんだ。詳しく聞きたいですか?まだ試合までありますし、話しますよ」
ビット視点
ウォームアップをしながら俺は昔語りを始める
「6年前・・・ミッド北部の臨海第8空港の大規模火災で俺の両親は死にました。爆発で崩落した瓦礫の下敷きになって・・・」
今でも鮮明に思い出せる。炎、瓦礫、負傷した人々、その人々が流した血・・・そして両親の死体・・・
「俺はたぶんそのとき、この魔法に目覚めたんだと思います」
「目覚めた・・・?」
「まぁ7歳でしたし、それまで特に魔法なんて使ったこと無かったんですけどね。瓦礫に押しつぶされている両親を見て、『なんとかしなきゃ』とか『助けたい』といった感情が爆発して、気づけば魔法を使っていました。体が勝手に魔力を生成して放出してました」
こんな感じに・・・っと俺は魔力を作り何の魔法のプログラムも起動せずに大気中に流す
「これ・・・術式組んでへんのに治癒魔法になっとる・・・」
「はい、魔力変換資質『治癒』です」
放出した魔力を吸収したエレミヤさんが効果を実感して驚き、俺は種明かしをする
「自分の負った怪我が治っていくのを見て、これなら両親を助けられるって思いました。今なら乗ってる瓦礫を除けるほうを選びますけど、当時は魔法の使い方なんて全くわかりませんでしたからただ両親に向かって魔力を流すだけでした。でも両親の傷は治りませんでした」
「なんで・・・?」
「治癒力が足りなかったか・・・あるいはもう死んでいたか・・・」
「!」
淡々と答えた内容にエレミアさんがショックを受けているような表情をした
「ただ魔力を流しただけでは、疲労を癒したり、軽度の負傷しか治せません。キチンとプログラムを通して治癒力を高めた魔力なら重度の負傷も治せますが・・・でも結局どれだけ強力な治癒魔法でも死者は生き返らない・・・そのときはそんなこともわからず、魔力を流し続けてました」
そして俺は救助に来た管理局員に保護された・・・結局あの火災での死者は俺の両親2人だけ、火災規模から考えると奇跡のような数字だ・・・でも、もしあのとき、俺が治癒魔法を使いこなせていたら・・・なんてね・・・ダメだなぁ、治癒魔導師とはいえ医療を仕事にして人間が『もし』なんて言ったら・・・
「こんなとこですかね」
そう言って俺はエレミアさんに背を向ける。昔の失敗談を話しているような気恥ずかしさを感じたからだ。もう6年だ・・・悲しいなんて感情はとうに消えた。話が終わり、いつの間にか止まってきたウォームアップを再開しようとする
「さぁて・・・エレミアさんがセコンドですし、2試合とも勝って世界戦に行きたいですね・・・え?」
暗くなった控え室の空気を明るくするために話題を目の前の試合のことに変えようとすると、後ろからエレミアさんに抱きしめられ、俺は胸がドキリとして変な声を漏らしてしまう
「なんで・・・なんでそんなにビットはそんなに強いん?辛いことがあったのにすぐ局に入って仕事を始めて・・・辛くなかったん?泣いたりせんかったん?」
「辛かったですし、泣きましたよ。でも保護してくれた局員の人がよくしてくれて、立ち直らせてくれたんです」
震えるような声で聞いてくるエレミアさんに、真剣に答える
「そおかぁ・・・ええ局員さんなんやな・・・その人・・・」
「はい・・・っであのー・・・エレミアさん?」
「ジークでええよ。ウチもビットって呼んどるし・・・」
抱きしめられたまま、そんなやり取りをする。ハァ・・・そろそろ放してもらわないとウォームアップ間に合わないんだけどな・・・まぁ多少ウォームアップ不足でも何とかできるけど・・・
それから、2ヶ月・・・インターミドルも終わり、俺は管理局での仕事に戻っている。ちなみに俺もジークさんも世界戦で優勝した。もっとも、ジークさんは正々堂々実力で勝っていたが、俺は最終ラウンドまで持ちこたえて試合終了直前に治癒の力でライフを回復させて判定勝ちという勝ち方なので、実力で勝ったかと言われれば疑問だ
「今年も異常無しですね。来年も異常なかったら年1回から2年に1回にしましょうか。もちろん何かあったら転移魔法で文字通り飛んできますので」
「ありがとうございました」
今日は2年前に治療した患者の術後の検査で珍しく外回りの仕事をしている。無人世界カルナージ、そこでペンションをしている2年前に治療した患者、メガーヌ・アルピーノさん。長い間意識不明で生体ポッドに入れられてスカリエッティのアジトに拘束されていた管理局員。今は局員を退職して一人娘のルーテシアと無人世界で暮らしている
診察・・・と言っても問診と検査魔法による検査だけだが・・・が終わる
「お仕事はこれで終わりよね?今回は何日くらいいれるのかしら?」
「えっと・・・実は明後日の船でもう・・・だから2日ですね」
診察が終わったことで和やかな空気になり、メガーヌさんに滞在日程を聞かれる。俺はそれに対し気まずそうに答える
「もう少しゆっくりしていけばいいのに・・・ルーテシアも寂しがってるのよ」
「すみません・・・」
この無人世界カルナージはミッドから臨行次元船で来るのだが、それは2日に1本しかないので、2日は最短滞在日数だ。でもインターミドルでシフトもかなりいじったし有給も使っってしまったから、長居はできない
「たぶん丘のところにいると思うわ。会ってあげて」
「はい」
・
・
メガーヌさんに言われた丘に行くとルーテシアが1人座ってぼんやりと草原を見ていた
「ルー、なにしてるの?」
「ビット・・・少し考え事」
「考え事・・・?悩みとか?」
「うん、悩み事・・・」
妙に真剣な様子に何か悩んでいるのかと思い聞いてみると頷いて返してくる。ルーテシアはメガーヌさんを人質にしたスカリエッティに使われて犯罪行為をしてしまった。情状酌量で無期限の大幅な魔力封印と無人世界隔離という処分になっている。無人世界だから時間がありすぎて色々と考えてしまうのかな・・・?
「ここに作るのは、陸戦シミュレーター設備かフィジカルトレーニング用のアスレチック、どっちがいいかな・・・って」
「そっちかよ!」
正直どうでもいい悩みの内容に思わずツッコミを入れてしまう。ルーテシアは急なツッコミにキョトンとする
「そっち?」
「あ、いや、なんでもない・・・それで?なんでそんな大掛かりなものをつくるんだ?」
「みんなに来てもらうため・・・」
「そういうことか・・・」
「私はこの世界からまだ出ることができないから、みんなに会うためには、みんなに会いに来てもらわないといけない。だから少しでもここにくる意味を作らないと、誰も来てくれない・・・」
ルーテシアの言葉に今までメガーヌさんの診察でしかここに来ていなかった自分に罪悪感が沸く・・・だって仕方ないじゃないか、仕事忙しいんだから・・・なんて完全言い訳だよな・・・
「なら、陸戦シミュレーターのほうがいいんじゃないか?あれなら動かし方次第で局員のトレーニングにも魔法戦競技のトレーニングにも使えるからな。ヴィヴィオもストライクアーツ始めたし、はやてさんのところも道場やってるし、合宿とかで来てくれるだろ」
「なるほど・・・陸戦シミュレーターがあったらビットももっと来る?」
「俺は・・・どうだろうな・・・」
「来てくれないの?」
「・・・努力します」
「ふふ・・・わかった」
上目遣いって卑怯だと思う。さっきのメガーヌさんの話も合わせると『無理』なんて言えるわけが無い
なんてことがあってからもう半年ちょっと・・・78年の5月
『むーっ!何でビットは参加しないの?!』
「んなこと言われたって5月の頭に有給取るとか無理だって・・・新人が入ってきたばっかで教育しにゃならんのに・・・」
最近無限書庫の司書資格をとった妹分からの不満に仕事をこなしながら返す。どうやらルーテシアが本当に陸戦シミュレーターを設置したらしく、なのはさんが元六課のフォワード陣とともにオフトレをするついでにヴィヴィオも友達とストライクアーツの合宿をするそうだ
しかし残念ながら5月といえば、4月に入局した非戦闘職の局員がそれぞれの部署へ配属される時期。これから新人教育と行わなければならないし、無限書庫の場合は新人司書のケアもしなきゃならないので・・・たぶん1年で一番忙しい時期だ。しかも俺の場合それだけでなく・・・
「おまけにとうとう医療係の係長にもなってしまったし・・・今年はインターミドルも出れないかな・・・」
なんと4月から俺は無限書庫医療係の係長に昇格してしまった。事務仕事マジ嫌だ・・・今までほぼアクアに押し付けていたんだけど・・・係長になってからそうもいかなくなったし・・・
『えー?!インターミドル出ないの?!せっかくエクストラシードで都市本戦からスタートなのに?!』
「いやエクストラシードでも、今年は仕事に慣れないと・・・」
下手したら今年どころか来年からも出れるかどうか・・・俺泣いていいよね・・・?
あっという間に1ヶ月・・・6月。すでにインターミドルのエントリーは締め切られ、俺はエントリーをしなかった。DSAAから確認の通知も着たが参加しないことを伝え、俺は不参加で確定した
ピーピー
《マスター、ジークリンデさまから通信です》
「通信?え?ジークさんから?」
とある夜勤上がりの朝、これから寝ようと思ったときにアクアに通信が入る。発信者の名前に俺はドキッとした。去年のインターミドル以来ジークさんとは連絡も取っていないし、もちろん会ってもいない。忙しかったし連絡を取る用事もなかったし・・・セコンドをしあったりはしたけど、用事がないのに連絡するほどの仲でも無いし・・・
「繋げて」
ベッドに横になってた俺はとりあえず姿勢を正して通信に出る
『あ、久しぶり・・・ビット』
「はい、久しぶりです・・・ジークさん」
通信越しとはいえ10ヶ月ぶりの再会に、お互い妙に丁寧な口調で通信が始まる
『もしかして夜勤明けやった?疲れてる感じがする』
「あ、すいません・・・気づかれないようにしたんですけど・・・わかっちゃいました?」
『うん、なんかパッと見でそんな感じがした』
どうやら全然隠せてなかったようだ
『やっぱ仕事大変なん?今年はインターミドルも出んのんやろ?』
「はい・・・4月から昇格して仕事に慣れてなくて・・・」
『そうなんか・・・じゃあウチのセコンドも無理よな・・・?』
「すいません・・・」
不安そうな表情を浮かべるジークさん・・・うーん、去年のインターミドルのときはセコンドらしいセコンドの仕事は全くしてなかったんだけどな・・・それでもセコンドに入ってほしいのだろうか・・・?
新人の教育も一通り済み、係長の仕事も大分慣れてきた9月・・・ここ1ヶ月ほどマリアージュ事件と呼ばれる管理局は世界にまたがって行われている妙な連続殺人事件により、少しバタバタしていた。俺も仕事以外のことに気が回らなくなるくらいで、休日呼び出しや緊急任務なんかでかなり疲れていた。そして今日も・・・
《マスター、ミッド湾岸警備隊特別救助隊より本局医療課に応援要請。大型商業施設『マリン・ガーデン』での大規模火災で負傷者多数。治癒魔導師ならびに医務官の派遣要請です》
「ん、わかった」
アクアに入った緊急呼び出しに今までやっていた仕事を他の人に引継ぎ、出動する。治癒魔導師の資格を持っていると医療課経由でこういう感じで派遣任務が来る。もちろん俺の所属はあくまで無限書庫なので断れる・・・が、まぁ俺自身事故で死にそうになったのを助けられた身だし、多少きつくても断らないようにしている
・
・
転移ポートで医療課の局員と合流し、地上本部へ下りる。そこからヘリで一気に現場へ直行する。現場のマリン・ガーデンはまさに火の海で救急隊の待機所は多くの負傷者と医療スタッフでごった返していた。応援チームのリーダーから割り振られた担当区域に行くとそこで意外な人たちを見つけた
「エリオ!キャロ!」
「「!ビット(さん)?!」」
俺の入局時に後見人になってくれたフェイトさんが保護者を務めている子供、エリオとキャロ。元六課の隊員でJS事件やゆりかご事件にも出撃した立派なストライカー
「お前らなんで・・・自然保護隊は?」
「休暇でスバルさんたちに会いにミッドに来てたんですが、マリアージュ事件を捜査してるティアさんのお手伝いをしていました」
「ビットさんは?」
「俺は医療課経由での応援要請で来た。じゃ、気をつけろよ。俺らの患者にならないように」
「「はい!」」
話もそこそこで俺は治療に入る
「治療の準備をします!ジッとして、魔法陣に触らないでください!アクア、検査魔法複数展開、いけるな?」
《はい、マスター。検査術式展開。》
担当区域にいる患者5人に同時に検査魔法を展開、複数のモニターが一気に開き、5人分の検査データが表示される
《データ整理、対象をA,B,C,D,Eと仮称します》
アクアがデータを整理して患者ごとにまとめる。そこからそれぞれの患者の負傷具合を解析していく。複数開いていたモニターはデータの整理と解析と共に必要の無くなったものから閉じていき、最終的には患者と同じ5つになった。全員イエロータグで、その中でも緊急性が低い人たちだ。応援で来た医療課でもない医務官、しかも一番下のA種の医務官に任される患者なんていつもそうだ。でも患者は患者、手を抜くなんて考えもしない
《データ整理完了、いけます》
「うん、じゃあ始めよう」
・
・
救助隊は要救助者がほぼ救助し終わった。俺も担当区域の患者の治療を終え、全員搬送されていった。あとは最奥部に取り残されている元六課で救助隊員のスバルさんだけ・・・
「!ウイングロード!」
「スバルさん!」
近くにいたエリオとキャロが空に伸びた道を見て声をあげ、安心する。でもボロボロだなぁ・・・。遠目からスバルさんの負傷具合が見えてしまった俺はバリアジャケットを展開して飛行魔法を起動して、上にあがる
「スバルさん、大丈夫ですか?」
「あ、ビット、久しぶり!うん、何とか大丈夫だよ」
ウイングロードの上に降りながらスバルさんに声をかけると、ボロボロの状態なのに笑顔で返される
「とりあえず、軽い外傷は治しますね。そっちの子は要救助者ですか?」
「うん、ありがと・・・この子は要救助者、最深部で保護した子だよ」
戦闘機人の機械骨格や人工筋肉に達していない浅い傷に治癒魔法をかけつつ、スバルさんの腕に抱かれているヴィヴィオと同じくらいの小さな少女に意識を向ける
「外傷は・・・ないようだな。どこか痛いところとかは?」
「いえ・・・ありません」
「そっか、よかった」
妙にキョトンとしていたその少女は、俺の質問にすぐに我に返って答える。まぁ下で他の医療スタッフが対応するから、今俺が聞いてもあまり意味は無いけど・・・とりあえず危険な場所でずっと気を張ってただろうから疲労をとってリラックスさせるべきか・・・そう思った俺は少女の頭に手を伸ばし治癒の魔力を流す
「これは・・・?」
「疲労をとる治癒魔法です。自分では認識できてなくても体は疲れてるんです、こういったことに巻き込まれた場合は・・・」
「そう、ですか・・・」
疲労が抜けて気も緩んできたのか、少女はリラックスして、まるでヴィヴィオみたいに目を細める。やがてこっくりこっくりと舟を漕ぎ始める
「あぁ・・・これが・・・かの水のセレスの治癒・・・ですか・・・」
「?!」
眠る直前、少女が小さく呟いた。その呟きに俺の思考は止まり、思わず治癒魔法を止めてしまう。またセレス・・・しかも水のセレスだって?なんなんだいったい・・・
「スバルさん、この子、旧ベルカ関係の子だったりします?」
「うん・・・ティアが言うには確か、冥王イクスヴェリアとか・・・」
冥王・・・ということはどこかの国を治めていた王か・・・また調べてみるか・・・
それから数日、またセレスについて、冥王についても含めて調べているが、これといって進展は無かった。冥王については、すでにヴィヴィオが調査して資料を作ってあったので、それを見たりもしたが、特にセレスにつながりそうなキーワードはなかった。イクスヴェリア本人に聞こうにも、イクスヴェリアはあれから眠り続けているらしく、原因は現在調査中らしい
そして1ヶ月・・・マリアージュ事件も終結し、管理局も落ち着いてきた頃
《マスター、本局技術部のマリエル技官という方から通信です》
「技術部から?なんだろ?繋げて」
普段アクアマリン関係でしか関わることが無い技術部の人からの通信に疑問を感じつつ通信に出る
「はい、こちら無限書庫医療係ビット・フィールダーです」
『どうも、本局第四技術部のマリーです。今、イクスの検査を担当しています』
「イクスの、ですか・・・?」
イクスはマリアージュコアの生成と制御をするための装置が体に埋め込まれているらしく、長い間海底の遺跡に封印されていた。それをトレディア・グラーゼという人が封印を解こうとしたが、封印解除の方法が正規の方法ではなかったため、眠りについている、ということがわかっていた。マリアージュコアの生成と制御の装置がロストロギアのため、技術部の管轄になっている
『今、イクスが目覚めていて・・・あなたと、話がしたいそうなの。来て、くれないかな?』
・
・
すぐに司書長に許可を取って仕事を抜けて、イクスがいるミッドの海上隔離施設までやってきた
「えっと・・・イクスヴェリア、様?」
「クス・・・畏まる必要はありませんよ。セレス様」
変に緊張してしまっていた俺に、イクスは少し笑って返してきた。ここへ来てまずマリエル技官と話したのだけど、イクスは俺のことを『現代の水のセレス』だと思っているらしい
「じゃあ・・・イクス、でいいかな?」
「はい、構いませんよ」
「あと、俺の名前はビット・フィールダーと言います。セレスでも構いませんが、できればビットと呼んでいただきたいです」
「はい、では、ビット」
イクスの勘違いを俺はあえて否定せず話を合わせる。理由は・・・イクスのため・・・実はイクスの中にあるマリアージュコアの生成と制御の装置が機能不全を起こしているらしく、その影響で次に眠ってしまうとその眠りから覚めるのはいつになるのか全くわからないらしい
「私なんかに治癒魔法をかけてくれて、ありがとうございました」
「私なんか?どういうことですか?」
自分を卑下するイクスに思わず聞き返してしまう
「私は・・・冥王は、助けてもらう価値の無い、兵器です。屍を使い、死してなお戦わせる、非道の兵器で・・・そんな私が、かの水のセレスの治癒魔法を受けるなど・・・死んでいった者達が知ったら、怨み、私を呪うでしょう・・・」
「・・・」
ふむ・・・セレスというのは優秀な治癒魔導師だったのだろうか・・・戦場で死者を出さないように治療する水のセレスと、死んだ人間すらも兵力として使い尽くす冥王・・・ある意味正反対の存在ということか・・・
「イクスは、セレスと会ったことがあるのですか?」
「いえ、話に聞いただけです。高名な治癒魔法師の女性で、水のように澄んだ水宝色の魔力光していて、その魔力にはそのままでも人を癒す力があると・・・」
「そう、ですか・・・」
なんとなく予想はできてたけどそうか・・・俺の魔力光がセレスと同じで、恐らくセレスも魔力変換資質『治癒』を持っていたのだろうな・・・俺はセレスの子孫なのか?でもだったら恐らく魔法は古代ベルカ式のはず・・・しかし俺はミッドチルダ式だ・・・偶然、と考えるしかないのか・・・?
・
・
それからスバルさんがやってきて3人で話したり、ヴィヴィオに通信を繋げて4人で話したりした
「ビット、スバル・・・私はもうすぐ、眠りにつきます・・・次に目覚めるのは明日か、100年先か・・・もしかしたらもう二度と・・・」
現代の技術ではイクスを治すことができない。ロストロギア相手だから治癒魔導師ではなく技術官の仕事だっていうのは理解してる・・・でも
「もっと、この綺麗な世界で・・・生きてみたかった・・・」
生きたいと願う人に何もしてやれないなんて・・・
「願わくば・・・次に目覚めたときも、こんな綺麗な世界でありますように・・・」
そして、イクスはいつ覚めるかわからない眠りについた
・
・
「司書長、これから戻ります・・・」
『うん、わかった・・・って言いたいけど、今日はもうこのまま上がっていいよ。最近緊急派遣なんかで大変だったし』
地上本部に帰る途中で司書長に連絡を入れると、急に休暇をとるように言われる
「え?まだまだ大丈夫ですって」
『それ、医務官の君が言う?それと、そんな顔で無理して仕事されても、周りに迷惑だから。気分転換がてら少し休むこと。じゃ』
突き放されるように言われ、そのまま通信を切られる。俺は呆然とその場に立ち尽くすしかなかった
・
・
急に休暇をとらされ、時間をもてあました俺は、とりあえずイクスから聞いたセレスの情報をジークさんに伝えることした。そういう約束だったし、今の俺にはそれくらいしかやることがなかったからだ
『ビット・・・久しぶり・・・』
「うん・・・久しぶりです・・・」
どことなく落ち込んでいるように見えるジークさん・・・もしかしてインターミドルの結果がよくなかったのだろうか?
「セレスについてのことですが、新しいことがわかったんで・・・会えませんか?」
『ごめん・・・今ウチ、クラナガンから遠いとこにおるから会われへん・・・』
「大丈夫ですよ。たった今上司に少し休めって休暇をとらされたところなんです・・・だから、時間はいっぱいあって・・・会いに行きますよ」
『そんなん悪いよ。そやったらウチがクラナガンに行くよ』
「いえ、練習の邪魔しちゃ悪いですし、俺が行きますよ」
何かしてないと、変なことを考えてしまう・・・だから待っているのは嫌だ・・・
「わかった。なら・・・」
・
・
レールウェイを乗り継いで、さらに徒歩でジークさんのいるミッド北部の郊外の森林地帯にやってきた。ここまでくるのに2日かかったが、特に大変だとは思わなかった。何かをしていれば、それだけに集中できるから・・・
「確かこの辺だな・・・あれか・・・おーい!」
「ビット!」
エリアサーチで探しつつ森林地帯を進んでいるとテントと焚き火を見つけ、焚き火の近くにジークさんがいた
「ホントに来てくれたんやね。大変やったやろ?」
「いえ、そこまでは・・・」
笑顔で迎えてくれるジークさん。だけどその笑顔には少し影があるように思えた
「「・・・」」
ジークさんも俺の表情に何か感じ取ったのか、お互い顔を見合ったまま何を言えばいいかわからないといった感じで、しばし無言になる
「「あ・・・」」
とにかく何か言わないとと思って声を出すと声が被り、気まずい状況に・・・やがて気まずい空気に耐えかねて再度声を出す
「あの・・・なにか、ありましたか?少し元気がないようですが・・・?」
「うん、ちょっとな・・・そういうビットかて、なんかあったんやろ?思い詰めた顔しとる・・・」
「はい、色々と・・・それも合わせてセレスのこと、話しましょうか」
焚き火を囲むように座り、俺はイクスのことを今回のマリアージュ事件のことを省いて全て話す。冥王について、海上隔離施設で話した内容について・・・
「水のセレス、治癒魔法師・・・やっぱりビットはセレスの子孫やないの?」
「どうなんでしょうね・・・自分でもよくわからなくなってきました。ただそれなら俺の魔法は古代ベルカ式のはずだし・・・」
ちなみに一応ベルカ式で魔法を使うことはできるが、ミッドチルダ式のほうが圧倒的に適正が高い。ベルカ式の使い手が騎士と言われ、治癒魔法師のセレスは騎士ではなかったから適正が低く、それも俺に影響してる・・・とか?まさかな・・・他人の魔法資質を丸々受け継ぐなんてありえない・・・
「それで、ビットが落ち込んどるんは・・・」
「助からなかったんです・・・イクスは・・・」
「!」
「体に埋め込まれているロストロギアが機能不全を起こして・・・今の技術ではどうしようもなくて・・・」
「えっと・・・亡くなったん?イクスは・・・?」
ジークさんの質問に俺は首を横に振って答える
「生きてはいるんです・・・ただずっと眠り続けて、自然に目覚めることはたぶんもう・・・」
「・・・ごめん」
「生きたいと望んでる人に、治癒魔導師のくせに何もできなくて・・・ちょっと自信なくなって・・・」
ハァ~両親のときから何も変わってないな・・・
「今まで、治癒魔法をかけてただけで・・・誰も救ってなかったんじゃないのかな・・・?なんて・・・」
「そっか・・・」
「さて、俺のはこれで終わり。ジークさんも何があったのか、聞かせてくださいよ」
「うん・・・」
俺が話を切り上げ、ジークさんに話を振ると、ジークさんは少し俯き話し始める
「怪我を、負わせてしもうたんや・・・対戦相手に・・・」
「怪我?」
「右手の手首から先の骨をな・・・粉々にしてもうた・・・」
「粉々って・・・」
鍛えられた競技選手の骨を砕くって・・・しかもバリアジャケットの保護を超えて・・・
「それで、試合に出るのが怖くなって・・・出場辞退したんや・・・」
「そうだったんですか・・・」
対戦相手に負傷を負わせても反則負けにはならないし、故意でなければTKO勝利でこちらの勝ち・・・でもあまり褒められた勝ち方ではない
「でも格闘技やってるなら負傷はある程度仕方ないんじゃ・・・」
「違うんよ・・・あれは・・・ガイストは、使ったらあかんねん・・・」
消え入りそうな声でジークさんが言う。まるで何かを恐れているように身を縮ませ、少し泣いているように見える
「ビット、無限書庫でウチの・・・エレミアのこと調べたやろ?ウチの一族がどういうもんか・・・」
「うん・・・」
もう調べてから1年以上経っているから全部は覚えていないが、確かエレミアの一族は・・・
「戦乱の中、人体破壊のための格闘技術を追求し、極めていった一族・・・」
「黒のエレミア、ですか・・・」
「そや・・・ウチの中には、500年分のエレミアの戦闘経験があって・・・ウチが命の危険を感じると、その経験を元に反射的に体が動く・・・あのとき、試合中にええのをもらって、ウチはその状態になった・・・ヴィクターが言うには『エレミアの神髄』っていうもんらしい」
反射行動なら人が無意識にかけている体のリミッターのようなものも外してしまうからな・・・たぶん思いっきりその選手に攻撃をしたんだろうな・・・さらに人体破壊の技術も加われば・・・
「元に戻ったときには、対戦相手が手首を押さえてて、試合もレフェリーストップがかかって・・・手の骨が砕けとるって・・・」
それで怖くなって出場辞退した、か・・・
「去年のインターミドル・・・勝ち進むにつれて、楽しそうに試合をしている中でもどこか不安を押し殺しているような感じがしたのは、そういうことだったんですね」
「うん・・・実はな、去年ビットにセコンドを頼んだんは・・・もしウチが今回みたいなことしても、治癒魔導師のビットがなんとかしてくれるんやないかって思おうてたんよ・・・なんとなくビットなら・・・いや、セレスやったらどんな怪我でも治してくれるって・・・」
なるほど・・・俺に期待してたのはセコンドとしての役割じゃなくて、治癒魔導師として、もしものときに最悪の事態にならないようにすることだったのか・・・
「それもエレミアの経験だったり?」
「どうやろね」
ジークさんが少し笑って返した。もしそうだったなら、いったいセレスとエレミアはどんな関係だったんだ・・・?
「でもそうですね・・・その人の怪我の具合を見ないと断言はできませんが、骨が砕けたぐらいなら・・・すぐ治せますよ。俺・・・」
「ウソ?!」
俺があっけらかんと言うと、ジークさんがビックリして声を上げた。実際、治癒魔法にもいろいろあって、自然治癒力を強化するだけものから、火傷など自然治癒では傷跡が残って元通りに治らないものを綺麗に治すもの、自然治癒を強化しただけでは治るのに時間のかかる場合に使うもの、などなど・・・普通の治癒魔導師は使えるもの使えないものがあったりするが、俺は治癒魔法の適正が高く、今のところ使えない治癒魔法は無い
「手首から先の骨が粉々くらいまで砕けてるなら、一発で治療完了っていうわけにはいきませんが・・・そうですね・・・週に2,3回治療したとしてリハビリ含めて完治まで・・・4~6ヶ月くらいでしょうか、たぶん遅くても来年のインターミドルには間に合いますよ」
「ホンマなん・・・?」
まぁ、その分俺が大変なんだけど・・・魔力の回復と使用を繰り返さないといけないから・・・
「えぇ、なんてったって、次元世界で唯一魔力変換資質『治癒』を持って、旧ベルカ一の治癒魔法師といわれた水のセレスと同じ魔法資質、ですからね」
「ビット・・・」
結局、一人一人全力を尽くして治していくしか、自信を取り戻す方法なんて無いんだよな・・・
「さて、行きましょうか」
「え?行くって・・・今から?」
「はい、今からです」
俺が立ち上がって言うと、ジークさんはキョトンとした表情になる。俺は司書長に通信を繋げながらそれに返した。そして少しのコールの後、司書長が通信に出た
『ビット?どうしたの?もう少しゆっくりしててもいいんだよ?』
「はい、そのつもりです。もう少し医療係の仕事ほうは休もうと思います。それでですね、ちょっと出先で治療の依頼を受けたんですが、転移許可もらえませんか?現在位置からクラナガンのほうまででお願いします」
『現在位置って、ずいぶん辺鄙なところにいるね・・・まぁいいや、行き先の詳しい座標は?』
「詳しい座標は・・・えーっと・・・」
口篭りながらジークさんに視線を送る。どうやらジークさんはその人の詳しい住所を知らないらしく、慌ててヴィクターさんに通信を繋げて調べてもらっていた。返ってきた住所を司書長に伝え、その付近の空中に転移の許可が下りる
「アクア、バリアジャケット展開、転移魔法起動」
《了解マスター、バリアジャケット展開、転移魔法起動します》
空中に転移されるために一応バリアジャケットを展開し、転移魔法の魔法陣が足元に広がる
「ジークさんもバリアジャケットを展開してください。空中に転移されるので一応・・・」
「空中?ウチ飛行魔法使えへんよ?」
「え?あー・・・」
ジークさんの一言に、俺はどうするかと悩む・・・下手な体勢で転移して空中に出ると神髄が発動しちゃいそうだしな・・・
ジーク視点
「すいません、少しの間我慢してください」
ウチが飛行魔法が使えないと言うと、ビットは少し考えた後、そう言って別の術式を展開して、ウチを抱き上げ・・・
「え?ちょ?!」
「これしか方法が思いつきませんでした・・・」
そら確かにウチは飛べへんからビットにどうにかしてもらわなあかんけど・・・お姫様抱っこって・・・
「アクア、転移発動。目標ミッド南部上空」
《了解、転移します》
転移魔法が発動すると、周りが光に包まれ、森の中から一瞬で空の中に場所が変わる。これが転移魔法なんか・・・
「って高?!」
「そりゃ転移先の安全を考えると、やっぱりある程度高度をとってないといけませんから・・・」
やばい・・・神髄が、来る・・・あまりの高度にウチは直感で悟る。しかし・・・
「あれ・・・?」
「?どうかしました・・・?」
神髄が、来ない・・・?初めての感覚にウチが戸惑っていると、ビットがウチのほうを向いて聞いてくる
「う、ううん、大丈夫・・・なんでもないよ」
「そうですか・・・よかった」
ウチの答えにビットはそう言ってホッとした表情をした。そしてアクアに着地位置のナビを指示し、ナビに従って徐々に高度を落としていく。同時にウチも落ち着きを取り戻していき、色々なことに気づく
「ビット、もしかしてウチのために魔力をバラ撒いとるん?」
「癒しの効果でうまく恐怖心とかなくせたらなぁなんて思ってたんですが、どうでしょう?」
「大丈夫みたいや・・・おおきにな・・・」
「・・・」
「・・・ビット?」
ウチがお礼を言うとビットはなぜかばつが悪い感じで黙った
「その・・・すみませんでした・・・セコンド断って・・・」
「ううん、気にせんでええよ・・・」
「でも・・・っ?!」
喋ろうとする口をウチは指でピッと止めて言葉を遮った
「なら、これからはずっと・・・ウチのセコンドについてくれる?」
「・・・はい、わかりました」
ウチの言葉に少しの間をおいて、しっかりと頷いて答えてくれた。しかしその直後、何か気づいたような表情になり、ボッと顔が真っ赤になった
「ビット?どないしたん?」
「・・・イエ、ナンデモナイデス・・・エェナンデモ・・・」
その後、ビットはミカさんがいる天瞳流の道場に着くまでずっとそんな調子だった・・・
・
・
「こちらでお待ちください。ただ今、師範代を呼んでまいります」
「はい、お願いします」
道場に着き、門下生の人に応接用の部屋に案内される。そして少しして師範代のミカさんがやってくる。ウチがやってしまった右手は吊ったまま・・・
「ヴィクターから連絡は受けているよ。私は天瞳流師範代、ミカヤ・シェベルです」
「どうも、管理局本局無限書庫医療係で、治癒魔導師をしています。ビット・フィールダーです」
ミカさんが部屋に入ると同時にビットとウチは座っていた椅子から立ち上がり、ミカさんとビットが自己紹介を交わす
「ジークも久しぶりだ」
「あ、う、うん・・・久しぶり・・・」
罪悪感でミカさんから顔を逸らしてしまう・・・
「気にするな・・・とは言っても、対戦相手が怪我を負うとあまりいい気なしないのはわかる。だが私たちは競技選手で、試合で戦うなら負傷は覚悟の上だ。これは私が未熟だったから起こったことだ。だから君は堂々としていればいい」
「はい・・・」
「それに、彼が治してくれるんだろ・・・?ならこの話はこれで終わりだ」
そう言ってミカさんはビットに向き直る
「えっと、じゃあ早速怪我の状態を見たいので、検査魔法で調べてもいいでしょうか?」
「あぁ、頼む」
ビットはアクアに検査術式を展開させてミカさんの右腕をギプスごと通して調べた。ビットの前にモニターが開き、おそらくミカさんのであろう右腕の骨がX線写真映し出される
「ん?」
「ビット?どうかしたん?」
ビットから漏れた疑問の声に、ウチは思わず何があったか聞いてしまう
「いえ、思ったよりも状態がよくて・・・都市本戦が8月の頭で、今は10月・・・本当に粉々だったのかと思いまして・・・」
「え?」
予想外のビットの言葉にウチはポカンとしてしまう。確かにウチはミカさんの腕を診たドクターがそう言っているのを聞いた。間違いないはずだ・・・
「あぁ、本当だ。私の右手首から先の骨は粉々だった。でも近所に知り合いの医者で治癒魔導師の方がいて、その人に治療してもらっているんだ」
「なるほど、そうでしたか・・・これは俺がやらなくても来年のインターミドルには出れそうですね・・・」
そう言ってビットは笑顔を見せる。ウチもその言葉を聞いて少し安心した
「まぁ、そうなんだが・・・その先生が言うには、君に治療してもらえば、もっと早く完治させられるそうだが?」
「え?」
ミカさんの言葉にビットがポカンとする
「えっと・・・ちなみにその先生の名前は・・・?」
「管理局本局医療課のシャマル先生だ」
「な・・・ええええええええええ?!」
恐る恐るその先生の名前を聞いたビットは、ミカさんから告げられた名前に驚き、大声を上げた。どうやらビットがよく知ってる先生のようだ
「知っとる人なん、ビット?」
「うん・・・俺が医務官と治癒魔導師の資格をとって、資格取得後の研修で指導医として付いてくれた人・・・」
気になって聞いてみるとビットは恥かしそうな表情をして答えてくれた
「つまり・・・ビットの先生ってこと?」
「そういうこと・・・あぁそういえば確かにミッドの南部に家族と住んでるって言ってたなぁ・・・最後に会ったのは3年前のあのときか・・・」
懐かしげに語るビット。そしてすぐ真面目な表情に戻る
「知らない人だったら勝手に治療してしまおうと思ったけど、シャマルさんなら連絡の一本は入れてからのほうがいいな・・・アクア」
《はい、シャマル医務官に通信を繋げます》
アクアが通信を飛ばし、別のモニターが開いて金色の髪の女性が映し出された
『はい、シャマルです』
「どうも、ご無沙汰してます。ビットです」
『久しぶりねビット、ふふ、少し大きくなったかしら?』
「ハハハ・・・自分じゃよくわかりませんね。先生はお変わりないようで・・・ところで今大丈夫でしょうか?」
『えぇ、問題ないわ。なにかしら?』
「先生が治療している患者で、ミカヤ・シェベルさんという方がいますよね?右手粉砕骨折の・・・」
『えぇミカヤちゃんね。私が個人的に治療を行っているわ。どうしてそれを?』
モニターの中の女性が尋ねると、ビットはモニターを180度回転させてミカさんのほうに向けた
「どうもシャマル先生」
『あらあら・・・なるほど、そういうことね・・・』
「はい、自分が引き継いで治療してもよろしいでしょうか?」
女性がミカさんを確認すると、全て理解したようで、ビットはモニターを自分のほうに向け直し、そう尋ねる
『えぇ、構わないわ。でも無限書庫のほうは大丈夫なのかしら?』
「はい、大丈夫だと思います。実は最近緊急出動なんかが結構あったので司書長に無理矢理休暇を取らされました。ちょうどいい機会ですし、ある程度まとまった日数休んで有給を消化しようかと思ってます」
2週間くらい、とビットはニヤリと笑って言う。ビットって確か医療係の中核やろ?2週間も休んで大丈夫なんやろか・・・?
『今頃無限書庫はてんてこ舞いね・・・』
「ハハハ・・・これを機に医療係なんか必要の無い体勢になればいいんです。司書の増員、現在の3交代制から4交代制へのシフト構成の変更とか・・・」
うわぁ・・・ビットがすごい悪い顔しとる・・・
『ハァ・・・ま、それはそれとして、最後に理由を聞かせてくれないかしら?ミカヤちゃんの治療をする理由・・・』
「理由ですか・・・えっと・・・」
ビットは考えるような仕草をしつつ、ウチのほうを見る
「これから長い付き合いになるパートナーの心を癒すため・・・で。詳しくはいつか会ったときにでも話します」
『そう、なら楽しみにしてるわ。それじゃあまた』
「はい、失礼します」
通信が切れ、ビットの意識がウチやミカさんにのほうに戻る
「さて、じゃあちょっとここに来るまでに結構魔力使っちゃったんで、明日から治療を行いますね」
「わかった。なら今日はここに泊まるといい。客人用の部屋を用意させる」
「ありがとうございます」
あ、やば・・・急に転移魔法でやってきたからテントとかの野宿道具置いてきてもうた・・・
「あ、その・・・」
「ジークも泊まっていくだろ?」
「えっと、その・・・」
「あ、そういえばジークさんテントとかって・・・」
「うん、元おった場所に置いたままや・・・」
結局ウチはここに泊まることになってしまった・・・
ビット視点
コンコン
夜、用意してもらった客人用の部屋で一人、シェベルさんの検査データを見ていると、ドアがノックされた
「どうぞ」
入室を促し、ドアを開けて入ってきたのはジークさんだった
「ビット、まだ起きてたんやね」
「少し治療計画を考えてたところです・・・どうかしましたか?」
妙に不安そうに、それでいてソワソワと落ち着かない様子のジークさんに質問する
「あ、あんな・・・ウチ、たまに寝とるときとかにも、神髄状態になって周りのものとか壊したりすることがあるんよ」
「あー・・・夢に影響されてしまうんでしょうね」
もしかして、だから森の中でテント暮らしなのか?
「それでな、最近はそんなことないんやけど、もしもっていうこともあるから・・・流石に泊めてもらって部屋壊すとか失礼にも程があるし・・・」
「えっと・・・つまり・・・?」
要領を得ない内容に首を傾げていると、ジークさんは次の瞬間、とんでもないことを言った
「一緒に寝ても、ええ・・・?」
「は・・・」
「ほら、空でのこともあるし、ビットが傍にいてくれたら大丈夫かもしれへんなって・・・」
頭が真っ白になる中、ジークさんはモジモジとしながら理由を言う。まぁたしかに朝起きたら周りが瓦礫のだった、なんてのは勘弁してほしい・・・でも、でも・・・
「ダメ、やろか・・・?」
まさに捨てられた子犬のような不安を隠し切れない目で言われ、断るに断れない・・・結局俺は承諾してしまった・・・俺、今夜睡眠取れるのだろうか・・・?明日からの治療のために魔力回復させないといけないんだけど・・・
ジーク視点
ビットと同じベッドに入り、手まで握ってもらい、その手を通してビットが癒しの魔力をウチに流し込み、それまでドキドキしていたウチは驚くほど簡単に寝付いた
そして夢を見ている・・・たぶん、かつてのエレミアの記憶だと思う夢・・・
古いベルカの時代だと思う風景の中、少年になっているウチが、少女に膝枕をされている・・・少女は優しく少年に微笑みかけながら、頭を撫でたり、楽しそうに話している・・・話の内容はなぜかウチには入ってこないが、とても楽しそうで、幸せそうだった
恋愛の経験が無いウチでもすぐにわかった、この少女はこの少年が、好きなんだと・・・そして、少年の側になっているウチにはわかっていた、少年も少女のことが好きなことを・・・
少年は少女と会話をしながらも、徐々に睡魔に襲われていき、徐々に瞼が下りてくる。それに気づいた少女は静かに微笑み、会話をやめて、少年の頭を撫でる。少女の手から魔力が流れ込み、そのまま少年は眠ってしまった・・・
幸せそうなはずなのに、なぜか切ない気持ちになる夢だった・・・
・・・
・・
・
「ん・・・っ?!」
朝、目が覚めたウチは、目の前で眠っているビットを見てビックリして声を上げそうになる。でも昨夜のやり取りを思い出し、慌てて出そうになった声を押し殺した。そして彼が起きてないことを確認し、ホッと一安心した
「眠りながら魔力を・・・器用やなぁ・・・」
ビットはウチの手を握ったまま、今も眠りながらウチに癒しの魔力を流し続けている。そんな彼が可笑しくて、少し笑ってしまう。ウチは空いている手でビットを優しく撫でる。夢の中の少女がしていたように・・・
「ん、ううん・・・何?急患・・・?」
「あ、ごめん・・・ちゃうんよビット」
「え?あ・・・ジークさん?ってそういえば休暇中だったんだ・・・」
優しく撫でたはずがビットを起こしてしまう。どうやら仕事柄すぐ起きれるような癖がついているみたいだ・・・ウチが謝るとビットは起き上がろうとしていたのを止めて、またベッドに寝転がった
「気にしないでください。夜勤のとき、仮眠中に急患が出てもすぐ対応できるように、少し触られたら起きてしまう癖がついてしまってて・・・」
「そうなんか・・・」
「ジークさんはよく眠れましたか?」
「うん、ビットのおかげで安心して眠れたよ」
「そうですか、それはよかったです・・・」
同じベッドで寝たはずなのに、不思議と昨夜のようなドキドキとした気持ちはなく、ゆったりまったりと会話をしている。たぶん夢の中でのことがあるからだと思う。ウチはビットにも夢のことを話そうと思った
「ビット・・・ウチな、初めて昔の夢を見たんよ・・・古いベルカの夢・・・かつてのエレミアの記憶・・・」
「・・・?」
「その夢の中ではウチは少年で、とある女の子に膝枕されとった・・・ウチが眠たそうにしてると、ビットがやってくれたように魔力を流してくれた・・・」
そう、あの女の子は・・・
「セレス・・・?」
「たぶん、そうやと思う・・・ウチのご先祖様は、セレスのことが、好きやったんやと思う・・・それでセレスのほうも・・・」
「かつてのエレミアを好きだった・・・?」
「うん・・・」
「2人はそれから・・・?」
「わからへん・・・でも・・・」
それを見ていたときに感じた切ない気持ちから考えると・・・
「たぶん、ハッピーエンドにはならんかったと思う」
「好きだから自由に一緒になれるって時代でもなかったでしょうからね・・・」
「うん・・・」
かつてのエレミアがどれだけ欲しても、手に入れられなかった人・・・その人と同じ魔法資質をもった人・・・
「なぁ・・・ビット・・・?」
たとえ、この気持ちがかつてのエレミアに影響されたものだったとしても・・・
「うん?」
それでも、構わない・・・だってウチが抱いた気持ちだということには変わりないのだから・・・それになにより・・・
「ウチ、ビットのこと、好きや・・・」
ウチはビットが欲しい・・・
自分でも驚くほどするりとでた告白の言葉にビットは呆気に取られているようだった
「・・・クス、ありがとうございます・・・」
ビットは少し笑ってお礼を言ってきた。ビットは・・・ウチのこと・・・どう思っとるんやろか?
「・・・俺も・・・ジークさんのこと、好き、ですよ・・・」
恥かしそうに言うビットの言葉を聞いて、嬉しさとホッコリした気持ちが胸いっぱいに広がっていく
「ウチのものになってくれる?」
「それ普通、男の俺が言う言葉じゃ・・・でも、ま、はい・・・喜んで」
そうして、ウチらは恋人同士になった・・・
それから半年と少し・・・新暦79年7月、インターミドル地区予選1組4回戦プライムマッチ
「まだ序盤や、君もまだこんなもんやないやろー?」
「その笑顔は、余裕の証ですか・・・?」
余裕、か・・・ウチはチラッとリングサイドにいるセコンドを見た。相変わらず忙しいらしい職場で、今日も夜勤明けで眠そうな表情でありながらも、ちゃんとウチの試合にセコンドに来てくれた。とりあえず、試合が終わったら、ウチが膝枕をしてあげて、仮眠をとらせてあげよう・・・
「そやね、余裕やね」
だって、ウチはもう、1人じゃないから・・・
主人公設定
名前:ビット・フィールダー
性別:男
年齢:15歳(新暦79年インターミドルエントリー時点)
所属:管理局無限書庫
取得資格:司書、治癒魔導師、医務官A種
概要
・管理局無限書庫で司書兼治癒魔導師をしている少年。下記のセレスと同じ魔力光と魔力変換資質『治癒』を持つ(しかしセレスの子孫というわけではない・・・はず)
・新暦71年の空港火災(スバルたちが巻き込まれたのと同じもの)で両親がビットの目の前で死亡している。そのとき、セレスと同じ魔法資質に目覚める
・空港火災後、管理局に保護され、すぐに管理局に入局。当時人員募集をしていた無限書庫に配属になる
・司書の仕事をしながら、他の司書の疲れを治癒魔法で癒したりしていた。後にこれが無限書庫の効率を上げると認められ、『無限書庫医療係』が編成される
・無重力の無限書庫内での勤務によって骨や筋肉の劣化や衰えを防ぐため、書庫外での運動が課せられ、アルフに格闘技を習う
・JS事件、ゆりかご事件終結後、機動六課のメンバーの治療のために派遣され、ヴィヴィオに懐かれる(セレスと同じ魔力光と魔力資質によるため)
・新暦77年、インターミドルに参加、都市本戦にてジークリンデ・エレミアと出会う
魔法資質
・ミッドチルダ式
・魔力光は水宝色(アクアマリン)
・射砲撃などの個々の才能はオールマイティに高い水準で持っている
・魔力変換資質『治癒』のせいで魔力がそのまま相手に当たる魔法が効果をなさない(当たった瞬間治癒魔法として相手に吸収される。DSAAタグでも攻撃と判定されない)。防御魔法も同じなのでバリアジャケット以外の防御魔法が使いどころを選ぶものになっている(体に直接でなくてもデバイスなど、魔力をよく通すものだと吸収される)。集束技術を使用した魔法はリンカーコアを通さないのでこの限りではない
・無限書庫での司書の仕事でマルチタスクが鍛えられている。また、一応局員なので魔力効率の向上トレーニングを行っている
デバイス
デバイス名称:アクアマリン
AI名称:アクア(女性型AI)
・事務作業をサポートするためにAI付きで管理局の技術部に開発を依頼
・事務作業や治癒のサポートがしやすいように人型のフィギュアにクリスタルタイプのコアを埋め込んでいるもので、わかりやすく言えば『インテリジェント式デバイスのリインⅡ』
・アルフから格闘技を習う時に使用するためにデバイスフォームはメタル付きのグローブ
サブキャラ設定
名前:セレス
概要
・ベルカ諸王時代に名を馳せた人物。聖王連合に属した家柄の女性
・魔力変換資質『治癒』を持ち、綺麗な水宝色の魔力光から『水のセレス』と呼ばれた
・幼い頃は同じ聖王連合のゼーゲブレヒト家のオリヴィエと共に過ごし(治癒魔法師として傍付きをしていた)、エレミアとも親交があり、オリヴィエと共にエレミアの武術を学んでいた
・オリヴィエがシュトゥラに留学した後もエレミアとの交流は続き、シュトゥラでのオリヴィエの暮らしなどを聞いたり、武術の手ほどきを受けていた
・長い交流の間にエレミアと愛し合うようになるが、家の都合で別の貴族の家柄の男性と結婚が決まる(ゆりかご起動のためにオリヴィエが呼び戻されることが決まったのと同じ頃)。そしてエレミアとの交流が終わる
・子にセレスの魔法資質は受け継がれず、『水のセレス』は一代限りで終わる。そのため、セレスの記録はほぼ無く、他の人物の自叙伝や手記に名前だけが出てくるので、現在の調査では『そういう人物がいた』という程度しかわかっていない
本当はVIVIDにももうちょっと関わろうと思ってたんですが、文字数が足りなくなったので、こんな感じに・・・
最初から順番に簡単な設定の説明や考察を・・・
インターミドル男子の部の日程ですが、地区予選までは女子の部とは別日程で行われ、都市本戦からは男女同じ日程で行われるんじゃないかなと考えてます。ミッド中央は男女それぞれ21人ずつしかいないし・・・
魔力変換資質『治癒』は、治癒魔法も魔力をプログラムで治癒の力に変換しているわけだから、変換効率や変換資質なんかがあってもいいんじゃないかと・・・
ヴィヴィオがビットをお兄ちゃんというのは、セレスがオリヴィエのお姉ちゃん的存在だったから(立場的にはオリヴィエのほうが上だけど・・・)
空港火災でビットを助けたのは名前は出してませんがフェイトです
判定勝利について、最終ラウンドが終わっても勝負が付いていなかった場合は、①残ライフ量②累被ダメージ量③注意や警告などのペナルティの有無、の順番で判定される
VIVID2巻でコロナが言っている前回のオフトレが5月と仮定して、新人教育が忙しそうな5月になのはさんたちが休める理由は・・・
教導隊(なのは、ヴィータ)優秀な魔導師が常に入ってくる部署で、新人が入ってくる時期は不規則だから
執務官(フェイト、ティアナ)執務官試験は半年に1回なので年2回新人が入ってくる。というか補佐官を経験してからなるだろうから、新人だからといって、そこまで教えることは無いか?
航空隊(シグナム、アギト)、戦闘魔導師は訓練校卒だし、卒業が3月で4月から配属なら1ヶ月経ってるし、新人教育も落ち着いてきてるだろうから
特別救助隊(スバル)、特救隊の中だとスバルはまだ2年目の新人で教育する側じゃない
自然保護隊(エリオ、キャロ)、あの職場に新人は来るのか?
海上司令(はやて、リイン?)、司令が直接新人教育はせんでしょ普通・・・
医療部(シャマル)、これは謎。たぶんシャマルが持ってる医務官資格がC-Ⅲ種ということから普通の医務官じゃないのかも。FORCEでの役割からもしかして研究職?
サウンドステージXの時期はスカリエッティの発言、「もうすぐドゥーエの命日」とかそんなことから8月の終わりから9月の頭じゃないかと推測
78年のインターミドルでジークが出場辞退した理由もVIVID9巻までの内容から勝手に推測
ミカヤの担当医がシャマルなのは勝手な設定。まぁはやてと親しそうだったし・・・たぶん違うんだろうけど、まぁいいかなって・・・
攻略可能ヒロインは全部で6人
1、ジーク・・・説明不要のメインヒロイン
2、ヴィクター・・・ジークルート攻略後の2週目から攻略可能に
3、ヴィヴィオ・・・ビットの元患者、現在は同じ職場で妹分
4、コロナ・・・ヴィヴィオルート攻略後の2週目から攻略可能に。このルートで進めるとインターミドルでコロナはアインハルトに勝っちゃうかも・・・
5、ルーテシア・・・ビットの患者の娘。エリオとキャロを含めて4人で歳が近い友人
6、イクス・・・1~5までのヒロイン攻略後にルート解禁。ビットの治癒の魔力はロストロギアは治せないが、イクスの意識を取り戻すことだけはできた・・・が、魔力を送り続けないと生活できない体に・・・みたいな感じ
最後に・・・これをうまく膨らませて連載で投げずに書いてくれる人、いないかなぁ・・・
追記、えーっと、ジークの先祖のリッドが男性じゃなく女性だとか・・・HAHAHA、冗談きついぜ。ヴィルフリッドって名前で女性だとは思わなかったぜ・・・9巻の過去語りのちょっとした動き(雪を蹴っているところ)とか男の子っぽいでしょ・・・10巻の最後のほうに出てきた顔は、確かに女に見えなくはないけど、男にも見えなくはないじゃん・・・