コードギアス オルタネイティヴ   作:電源式

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 本作に関して特筆すべき注意点は下記の通りです。

 ・未完です。
 ・キャラ崩壊や魔改造が発生します。
 ・独自設定、独自解釈、オリキャラ、厨二成分が含まれます。
 ・アニメ以外、特に小説版の設定が流用されています。
 ・亡国のアキト、双貌のオズなどで追加された設定は考えないものとします。
 ・ゼロレクイエムに否定的です。
 ・読む人によっては不快感を覚える程度のアンチ・ヘイト表現が含まれます。

 長々となりましたが、以上の点を踏まえた上でご覧いただければ幸いです。


開幕-プロローグ-
序幕 【その名は────】


 

 あの日から4年の月日が流れた。

 世界の覇権を懸け、数多くの犠牲者を生んだダモクレス戦役。

 その果てに奏でられたゼロレクイエム。

 暴君、そして悪逆皇帝と畏れられた神聖ブリタニア帝国第99代皇帝=ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの死と、世界を魔王の支配から解放した救世の英雄=ゼロの誕生。

 現代の御伽噺によって齎された超合集国構想の実現。

 

 それで世界は変わるはずだった。

 憎しみの連鎖は断ち切られ、全ての国家が武力を放棄し、共通の法の下に話し合いのテーブルへ着くことで、争いのない恒久的な平和が訪れる。

 少なくとも飢餓や貧困に手が差し伸べられ、社会を取り巻く問題の改善は確かな兆しが見えていたはずだった。

 

 しかし、人はすぐに変われない。

 経済、民族、宗教、思想。

 埋まることのない価値観という名の溝。

 残されたままの多くの問題。

 人が人であるが故に、人は抗う。

 外交的牽制と対立。

 テロと報復の応酬。

 広がっていく猜疑心は人々の間に疑心暗鬼を生じさせ、抱いた負の感情は国家をも揺るがした。

 疑念という毒は、容易く王さえ殺す。

 

 ある国が共通の法=合集国憲章からの離脱を表明すると、それに端を発したかのように離脱する国が相次いだ。

 再び吹き荒れる武力紛争の嵐が、新たな混乱を誘発する。

 蝕まれ始める平穏。

 それは必然だったのだろう。

 所詮は英雄譚という幻想により、過去──いや、現実から目を背けていたに過ぎない。

 

 もちろん合集国憲章を批准する多くの国も、ただ手を拱いていたわけではない。

 幾度となく超合集国決議を採択し、英雄ゼロを代表とする独立機関『黒の騎士団』の派遣を決定。

 彼等は世界各地の紛争へ介入し、紛争終結に尽力した。

 それでも一度崩れた仮初めの秩序は、そう簡単に元へは戻らない。

 混迷する世界情勢は多くの国民に影響を与え始めた。

 先の見えない現状に不安を抱く民衆は各国政府に対して失望を抱く。

 今はまだ小さなモノなのだろう。だがそれはいずれ、明確な行動となって示されるのかも知れない。

 

 そんな暗雲立ち込め始めた世界に、ある日一つの光が齎された。。

 眩く輝く光。

 果たしてそれは人類にとって希望の光となるのか。

 それとも、破滅の光となるのか。

 この時はまだ誰にも知る術はなかった。

 

 例えそれが『神』を名乗るモノだとしても……。

 

 

 

 

 

     ◇

 

 

 

 

 

 独立機関『黒の騎士団』直轄領──蓬萊島。

 元々は旧中華連邦が潮力発電施設として黄海上に建造した人工島であり、ダモクレス戦役以前には、一時合衆国日本の暫定首都が置かれていた事もある。

 現在でも超合集国が保有する唯一の外部戦力、独立機関『黒の騎士団』の拠点。また世界の緩衝エリアとして、超合集国の意志決定機関である最高評議会の開催会場となるなど、世界的に重要な場所である事に変わりはない。

 その中央に聳える管制施設内の会議場に、超合集国に参加する主要国の代表と黒の騎士団の代表が一堂に会していた。

 話し合われているのは、当然現在の世界情勢について。

 

「このまま戦火を広めるわけにはいきません!」

 

 超合集国最高評議会議長兼合衆国日本代表=皇神楽耶が両手で机を叩き、椅子から立ち上がるほどの勢いで発言する。

 

「だが、どうしろと?」

 

 そう冷静に問い返すのは黒の騎士団統合幕僚長=藤堂鏡志朗。

 普段から険しい顔がさらに険しさを増しているのは間違いではない。彼とて、いやこの場に集まっている誰もが、現状のままで良いはずがないと理解していた。

 そしてそれに抗うために、自分達は今この場に集まっているのだから。

 

「そ、それは……」

 

 神楽耶は視線を落とす。

 

 この会話も今回で何度目のことだろう。世界に対する脅威への懸念が生まれる度に幾度となく対応策が話し合われているが、残念なことに根本的かつ具体的なことは何一つ決まっていない。

 こうして自分達が話している間にも戦闘は継続し、犠牲者は増え続けている。

 その事実があるが故に気ばかりが焦っていた。

 

「我々がこれ以上介入を強めれば、各国から侵略行為だと批判を受けることは必至。だが動かねば、各国は自国を守る名目で独自の武力を保有しようとする」

 

 黒の騎士団総司令官兼合衆国中華代表代行=黎星刻が告げる。

 

 世界各地に支部を持つ黒の騎士団が保有する戦力は強大だ。

 それこそ世界中の紛争国を攻め滅ぼすことも可能なのかも知れない。

 確かに紛争は終わる。

 けれどもしそれを実行すれば、今度は黒の騎士団こそが世界の脅威だとする考えが生まれてしまう。

 

「そうなれば合集国憲章は形骸化し、超合集国は瓦解します」

 

 神聖ブリタニア帝国第百代皇帝=ナナリー・ヴィ・ブリタニアが、星刻の言葉を継ぐ形で発言する。

 

 現状の黒の騎士団の理念、いや存在意義は不当な武力行使への介入。

 また、それに伴う軍事拡散に対する抑止である。

 だがその黒の騎士団が脅威として認識されてしまえば、その戦力に対抗する為に多くの国が独自の武力を保有しようとするだろう。

 それは武力の放棄を定めた合集国憲章に矛盾し、憲章その物の、延いては超合集国の消滅を意味している。

 多くの大切なモノを犠牲にして、ようやくここまで築き上げてきたモノが、手に入れたと思っていたモノが、足下から崩れ落ちていく。

 それだけは何としても避けなければならない。

 

 けれど現状は一刻の猶予もなく、綺麗事で解決できる段階ではなかった。

 現に彼女が統べる神聖ブリタニア帝国は贖罪を続ける今もなお、反ブリタニアを掲げる勢力──他国を侵略した軍事大国としての神聖ブリタニア帝国に敵意や憎悪を抱き続けている──者達によって、断続的なテロ行為を受けていた。

 その結果、犠牲者や被害者生まれることは必然。

 完全に過去の因果から解放・脱却するには、それこそ長い期間を必要とし、途方もない道のりだというのに……。

 沈黙により、場の空気が重くなる。

 

 しかし次の瞬間────

 

『大変です、総司令ッ!!』

 

 ひどく慌て、極めて焦った様子の通信兵の声が室内に響いた。

 

「……何があった? 落ち着いて話せ」

 

 各国代表が集まった会議の場に、許可もなく割り込んだ声に対して、星刻も本来なら礼儀について指摘しただろう。

 ただその場の全員が、必死さが伝わってくる通信兵の声から不穏な空気を感じ取っていた。

 何か予期せぬ事が起きた。

 それだけは理解できる。

 

『っ、はい……』

 

 声の主は自分を落ち着かせようと大きく息を吐いてから報告に移る。

 彼の話を要約すると、紛争国の近隣諸国に派遣されていた偵察部隊から映像が届いた。それに一刻でも早く目を通して欲しいとの事だった。

 

 星刻は手元のコンソールを操作し、指定されたファイルを開き、収められていた動画を再生する。

 部屋の中央、円卓の中心に現われる大型のモニター。

 そこに映し出された映像に誰もが言葉を失った。

 映像は中東だと推測される紛争地域から始まる。

 遠目からだが荒野に展開された両国の兵士の姿、旧式KMF(ナイトメアフレーム)や戦闘車両といった兵器群、また所々から上がる黒煙を見て取ることができる。

 今まさに問題となっている戦場の一つだった。

 

 刹那、その中心で閃光が輝いた。

 鮮やかな光は大地を這うように半球(ドーム)状に広がり、展開していた両国の部隊を、いや大地その物を喰らい尽くしていく。

 そして光が消えた時、同時に戦場も消えていた。文字通り深いクレーター状の巨大な穴を残し、跡形もなく消滅する。

 その光景をこの場に集まった誰もが知っていた。

 ただの一撃を持って戦局を覆し、戦略も戦術も否定する。

 浮遊要塞ダモクレスと共に世界を震撼させ、ゼロレクイエム後に廃棄され、超合集国最高評議会において如何なる理由があったとしても、製造また使用が堅く禁止された最悪の戦略兵器────

 

『そう、フレイヤだ』

 

 全員の思考を肯定する新たな声が室内に響く。

 それと同時、モニターにノイズが走り暗転した直後、外部からの介入を受けて強制的に映像が切り替わる。

 

『ッ!?』

 

 新たに映し出された人物の姿に、誰もが驚きを隠せず、またしても言葉を失った。

 

 …………嘘だ。

 

 それが最初に抱いた感想だろう。

 

 艶やかな黒髪、アメジスト色の澄んだ瞳、彫刻のように整った端整な面立ち、白い肌。人並み外れた中性的な美貌を持つ青年の姿。

 彼はKMFのパイロットシートに、まるで王座に鎮座するかのように悠然と座り、見下すような視線と嘲笑を向けてくる。

 

「そんな………、君は僕が────」

 

この手で殺した。

 

 黒の騎士団CEOにして、正義の象徴たる救世の英雄=ゼロ。

 いや、その仮面の下──枢木スザクは声を震わせて呻くように呟いた。

 そう、彼は自分と同じく既にこの世に居ないはずの人間。

 存在してはいけない人間。

 もし彼の存在が世界に知られれば超合集国も、黒の騎士団も、どうにか均衡を保っている世界平和も終わりを迎える。

 事実、この場に居る者は彼の死を間近で目撃し、また彼の亡骸が秘密裏に埋葬される光景を目にした者もいる。

 場を支配する戸惑いと困惑。

 

「……お兄様」

 

 その姿を目にしたナナリーは涙を零す。

 彼女が本当の意味で兄と慕う人間は唯一彼ただ一人。

 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。

 悪逆皇帝と畏れられ、悪魔と罵られた神聖ブリタニア帝国第99代皇帝。

 だが、彼女は目の前で息絶えた兄の優しさを世界で一番知っている。

 もう二度と望むことができないと思っていた兄の姿、もう二度と聞くことが叶わないと思っていた兄の声。

 だから彼女は戸惑いよりも先に、ただ純粋に喜びを抱いた。

 しかしモニターの中のルルーシュは、妹とは対称的な態度だった。

 

『ナナリー、お前には失望したよ』

 

 ルルーシュの口から放たれた冷たく鋭い言葉。

 その瞬間、ナナリーの表情は凍り付いた。

 

「え…………?」

 

 予想外の兄の言葉に、ナナリーはすぐにその言葉を理解することができなかった。

 それはスザクもまた同様だった。

 最愛の妹の為に世界の破壊と創造を望み、自らの命をも賭した彼の言葉とは思えないが故に。

 

『残念だよ。お前になら世界を託せると、心からそう思っていた。

 しかし、それは我が妹であるが故の過大評価だったようだ。

 でも安心していい。もうお前に重責を追わせるような真似はしないよ、ナナリー』

 

 微笑みを浮かべるルルーシュ。

 けどそれが親愛の情が込められた物でないことは、誰の目にも明らかであった。

 むしろその微笑みに込められているのは失望に伴う軽蔑の念だろうか。

 

「…………」

 

 ナナリーは沈黙し、膝の上に置いた拳を強く握り締める事しかできない。

 

「何をしている、映像の発信元の特定を急がせろ!!」

 

 星刻は茫然とする護衛兵に対し、自らの焦りをぶつけるかのように激しく命令を下す。

 

「はッ!!」

 

 部屋を出る兵士から視線をモニターへ戻した星刻にルルーシュは告げる。

 

『黎星刻、元気そうで何よりだ。お身体の調子は如何かな?』

 

「何故貴様が生きている、それにあのフレイヤは!? いや、それよりも貴様は何を企んでいる?」

 

 あからさまな皮肉に星刻は応じる事なく、睨むような視線を送り、この場の誰もが抱いた疑問を矢継ぎ早に投げ掛ける。

 

 目の前で絶命し、遺体を確認した彼が何故生存しているか? 

 あれもまやかしに過ぎず、全ては虚構。嘘だったというのか?

 いや、彼を騙っている者が存在している可能性も考えられるが……。だとすれば何のために?

 映像内で使用されたフレイヤ弾の入手経路は?

 ダモクレスを手中に収めた後、どこかに持ち出していた?

 それともどこかの研究機関に研究を引き継がせていたのだろうか?

 そして何よりその力を自分達に示し、一体彼は何をしようと言うのか?

 

 思考を支配する疑問の渦。

 

『私は哀しい』

 

 ルルーシュは芝居じみた動きで額に手を当てる。

 

『私が全ての憎悪を、そして業を背負い、平和の生贄となったあの日から、世界は何一つ変わっていない。

 強者の悪意によって搾取され、踏みにじられ続ける弱者の想い。間違ったまま、正される事もなく稼働を続ける世界(システム)

 

 力強く発せられた言葉は、かつてゼロが復活と共に行った演説の言葉を彷彿とさせた。

 

「その為に我ら黒の騎士団が存在しているのだ。それをお前が忘れたわけではないだろ?」

 

『形骸化された理念に意味はない!!』

 

 藤堂の反論をルルーシュは一蹴する。

 世界唯一の戦力=黒の騎士団には、世界を正す為の力と、その権利が与えられていたはずだった。武力介入という最後の手段が……。

 だが前提となる条件が崩れた現状、黒の騎士団は自ら掲げた法=合集国憲章その物によって束縛されている。

 

『だからこそ私は復活しなければならなかった』

 

 その言葉と共にルルーシュは仮面を身に着ける。

 黒と紫を基調にし、金の装飾が施された異様な仮面。

 それこそこの世界に住まう誰もが知る救世の英雄のシンボル。

 

『我が名はゼロ!! 世界を壊し、創造する男だ!!』

 

 その瞬間、偽りのゼロは消え、この世界に真のゼロが蘇る。

 

「は、発信元はここ──蓬萊島上空ですッ!!」

 

 慌ただしく室内に戻ってきた護衛兵が、受け入れがたい事実を告げた。

 直後、施設を、いや島全体を激しい揺れが襲う。

 

 

 

 

     ◇

 

 

 

 

 

 蓬萊島上空に浮かぶ黒い人型の集団。それは誰も見たことのない新型のKMF達。

 いや、その中心に存在する機体にはどこか見覚えがあった。

 蜃気楼。合衆国中華の建国の前後から、ゼロが騎乗していたことは周知されている。

 また経緯や入手経路は明かされていないが、あの悪逆皇帝ルルーシュの騎乗機としても知られていた。

 ただ、蜃気楼はダモクレス戦役時に破壊されたはず。

 事実それを裏付けるように、その背には蜃気楼に存在し得ない紫の光の翼(エナジーウイング)が備わっていた。

 蜃気楼に酷似した機体の胸部装甲が可変し、展開された砲身の内部に光が灯る。

 

『我が名はゼロ!! 世界を壊し、創造する男だ!!』

 

 世界に向けて発信されるゼロの言葉。

 同時に胸部から放たれた拡散レーザーが蓬萊島を蹂躙する。主要施設を、浮遊航空艦を、KMFを、その全てを破壊していく。

 

『聞け! 現状を憂える全ての民よ!

 不当な力の行使を抑止すべき黒の騎士団は、自らの保身の為に傍観を選び、世界を欺いた! 機能しない力の象徴に意味はない! 故に今ここに私が粛清を下した!!』

 

 ゼロは自らの行動を誇るように宣言する。

 

『だが悲観する必要はない。彼等が不可能なことも、私なら可能に変えることが出来る!

力を持つ者よ、今一度我に恐怖せよ。力を持たぬ者よ、我を求め、歓喜せよ!

世界は、我ら『漆黒の騎士』が裁く!!』

 

『ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ─────!!』

 

 その日、世界各地で彼を求め、称賛する多くの声が鳴りやむことはなかった。

 だから世界は再び、彼の掌の上で踊る。

 

 

 




 公式がゼロレクアフターを作ってくれるようなので、かつて思い描いた妄想続編作品をサルベージしてみました。
 本作品は『黒百合の姫』の平行世界とでもお考え下さい。
 もっとも正しくはこの作品から派生したのがあちらですが……。
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