目標は【あの事件(郵便局事件)が起きない世界線】つまり【あの事件から詩乃ちゃん/シノンちゃんを救う】です。
あの事件が起きないとシノンちゃんはキリト君、アスナちゃんと会えないけど……私の身勝手なエゴですが、シノンちゃんを救いたかった。泣いて欲しくなかった……いつでも笑って欲しいと思った。
故に、書きます!!
誰がなんと言うと、私は書く!
書くったら、書く!!
かk(くどい)
あの事件の正確な日時は、原作では【二学期に入ってすぐの、ある土曜日の午後(5巻、P142、最初の1行目から引用)】と書かれているので………候補は【9/5 9/12 9/19 9/26】。
シノンちゃんの誕生日(8/21)の一ヶ月後で近い、土曜日は【9/19】なのかな……と予想してたりするのですが……"二学期に入ってすぐの"なので、違うのかも……と(思案)
んー、取り敢えず【9/5】と仮定して、話を進めていこうと思います!
※この章の"詩"は"詩乃"の"詩"です。
※分岐はメインストーリー【1章ー3】です。
詩章001 運命の2020年9月■■日
2020年9月■■日、こじんまりした郵便局内。
ーーバァン
鼓膜を震わせる高い破裂音が狭い局内で一瞬膨らみ、目を見開くあたしが見たのは自分の足元に転がる…残酷なほどに無機質な金色の筒、そして磨き抜かれた白いタイルを濡らす紅い血痕。
「––––ッ」
激痛に耐えるような……必死に息をしようと……生きようとしているかのように聞こえる
”おとうさんっ!“
弾かれるように父の方を見たあたしが見たのは、床の上で放心状態である幼馴染みの母親を背後に守るように立ち回っている父の必死な血相、そしてーーーー。
”あ"……ぁ"……“
父が着ているワイシャツを内側から濡らす目が冴えるほど鮮やかな紅色。
いつも自分の頭を乱暴に撫でる大きな手から滴る紅い雫がさっき自分が見たタイルの上に弾け飛んでいた血痕と酷似している……否、
「お前がぁぁぁぁ!!お前が悪いんだぞぉぉぉぉ!!俺を怒らせたお前が悪いんだ。俺にお前を撃たせたお前がぁぁぁぁ!!!!」
自分勝手な並べ、自分の都合の良いように解釈し、また父へと銃口を向ける男の元へと今まで椅子に腰掛けていた二つの影が同時に駆け出したのだったーーーーーー。
τ
あたし、
お父さん…
「あら、可愛いお子さんですね。お嬢ちゃん、何歳?」
「…………9さい」
大人のマナーとやらの窮屈で退屈で苦痛な近所の挨拶回りの中でも一番嫌だったのは、香水家の左横の住宅に住むおばさん。
人当たりがよく、朗らかではあるが……口の軽さはピカイチであろうそのおばさんは井戸端会議の話題作りの為か、お父さんへと挨拶回りには関係ない私生活面やプライバシーを侵害する質問を口早に投げかけているのを律儀に答えるお父さんの右手を"もうつぎいこうよ"とぐいぐいと引っ張るあたしへとターゲットを変更してきた。
獲物を見つけた獣のように血走した目、鼻息が荒くなったのは個人的にはトラウマになるかと思った。
怯え、お父さんの後ろに隠れるあたしの視線に合わせて腰を落としたおばさんはにっこりと笑って、問いかけてくる質問を素直に答える。
「9歳ってことは、小学校3年生!? あら、うちの息子と同い年だわ〜」
「…………はぁ」
"うちの息子と同い年"と言われても正直どう反応して良いのか困る。あたしにとってはいらん情報だし、その息子やらを知らんし、そもそも知りたくもないし、はよ帰りたいし……そんなわけで父へと再度催促してみるが、父は何が嬉しいのかおかしいのかニヤニヤしてやがる。愛娘が他人に困惑されている様子を見て笑うなんて……あんたには娘へと愛情というもんが無いんかッ!!覚えとけよ、今夜の晩ご飯はあんただけ白米だけにしたる。
助け舟を出すばかりか、愛娘が隣人のおばさんに弄られている事を微笑ましい表情で見下ろす父への小さな復讐を考えているあたしの伏せているある一箇所を見た叔母さんは目をまん丸にする。
そして、決まってこう言うのだーーーー。
「あら、奥さんは外国の人なんですか?」
「綺麗な
「よく見るとお父さんにもあまり似てないのね。お母さんの血が強いのかしら」
その三つの質問を聞きながら、あたしの顔から表情が消える。
––––奥さんは外国の人?
んなわけないじゃない!!
お父さん
あたしと
–––––綺麗な蒼色の瞳?
綺麗なわけないじゃん!!
ニュース見てないの?!!
この忌まわしい目はあの男から受け継いだ瞳なんだッ!!
綺麗なんてもんじゃないッ!!
忌まわしくて汚らわしくて不愉快で……鏡を見るたびにあの男の血が……殺人鬼の血が半分流れているって真実を突きつけられて………最近"よくなんで、あたしは周りの人と同じじゃないんだろ"ってよく考える。
––––––お父さんに似てない。お母さんの血が濃い。
ある意味、合ってる。
あたしの容姿はママ似で瞳だけあの男から受け継いだものだから……。
だから、ママの遺伝子が濃いのは合ってるけど……。
だけども…………………。
"お父さんに似てない"が胸の……心の一番奥にある敏感なところをさすり、痛みを蓄積していく。
チクチクと痛む心が問いかけるのは"あたしってそんなに陽太お父さんに似てない? "と純粋無垢な……だけども、9歳という児童が受け止めるにはあまりにも重い。
その問いかけに答えるには自身の過去に向き合わなくてはいけないから………。
凍える冬夜の中、一人ベンチの放置された幼女の話を。
山奥の簡易な家のなかで産まれた一人の赤ちゃんの話を。
しなくてはいけないから……。
おばさんのテンプレと化した質問を
《朝田》という名札が掲げられた住宅の扉から顔を出し、こっちを睨んでいる同級生の女の子の姿を。
焦げ茶色のショートヘアーを揺らし、子猫を想起させる大きな髪と同色の瞳はあたしをただ見つめ、小さな両腕にはお父さんが近所に配っていた"つまらないもの"が重そうに乗っかっていた。
"え……だれ、このこ?おとなりさん?”
困惑し固まるあたしにお父さんは背中を再度ポンと叩くと彼女の前にあたしを突き出す。
「ほら、陽菜荼。あいさつして」
「……かすい ひなた…よろしく……」
「えぇ…と、あさだ しの……こちらこそ、よろしく……」
ぎごちない……今思い出しても笑えてくる初々しい挨拶。
目の前の焦げ茶色の瞳から視線を逸らす蒼い瞳……この時はまだ、あたしも。詩乃も。目の前に立っている相手が親友になるとは思いもよらなかったことだろう……。
相変わらずの読みにくさ……(苦笑)
すいません……(大汗)
メインでは詩乃ちゃん視点だったので、こちらでは陽菜荼視点。
郵便局事件は少しですが……変化を見せているのではないかと思います!
~登場人物のショート紹介~
◎
とある会社に所属する記者。
自身が掲載した記事から負い目を感じ、孤児となった陽菜荼を養子として引き取る。
引き取った後は男手で仕事と家事と奮闘するが、料理だけは上手に出来なく……なんとか食べられる料理になるのは《オムライス》。
彼の不器用さから基本的に料理は陽菜荼が務めるようになるが、彼が不格好だが作ってくれるオムライスは彼女の唯一無二の好物となる。
ウラビナシ
名前である陽太は"太陽"から(太陽をひっくり返すと陽太になることから)