なので、本編とは大きく違う展開となり、内容となるので…どうか楽しみにしていてください!
では、本編をどうぞ!
1章001 はじまるデスゲーム
2022年11月6日、日曜日。
その日、日本中…いいや、世界中が注目しているVRMMOソフトが発表されたーーそのソフトの名は《ソードアート・オンライン》。
果てしなく続く青空の中にぽつんと浮かぶ百層からなる浮遊城、その名を《アインクラッド》。
プレイヤーはその浮遊城・アインクラッドの中に入り、己の背中や腰に吊るしてある武器一本を頼りにフィールドを駆け抜け、上の層に続く通路を見出し、強力な守護をひたすら倒して…ただただその城の頂上を目指す。
ファンタジーMMOでは必然となりえている《魔法》なるものはその世界にはなく、その代わりに《
しかし、そこで一つの疑問が生まれる。
何故、製作者は魔法というものではなく、わざわざプレイヤーが身体を動かさなくてはいけないソードスキルを作り出したのだろうか?魔法の方が手を掲げたり、杖を掲げるだけで火や水が出るものではないか。それに常に作られている魔法や種類を少なくすれば、制作側も手間暇をかける必要がないのにと………幼い私は浅はかにもそう思っていた。なので、私はテレビに映るそれを指差し聞いたのだ、父に。
『それはな、
父からそう説明された時には、私の視線はテレビに映っているソードアート・オンラインいう文字に釘付けになっていた。それは隣にいるお姉ちゃんも同じらしく…父はそんな私たちを微笑ましそうに見ていた…
£*
「諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない。
……また、外部の人間の手による、ナーヴギアの停止あるいは解除も有り得ない。もしそれが試みられた場合ーーナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』
……一瞬、何を言われているのかが分からなかった。あの紅いフードの奴は何を言ってるんだ?
ペラペラと悠長に流れるその台詞が同じ日本語とは思えなかった。でも、その中でも分かったことは一つだけあって…それはーー
「もう一度繰り返す。これはソードアート・オンライン、本来の仕様である」
「………う、そぉ…」
ーー隣で私の手をギュッと握りしめている姉の青ざめた真っ白い顔、小刻みに震える小さな掌…それらが繋がることはあの赤いフードが言ってることは事実ということであり、この世界では姉の命も私の命も腰や背中にぶらさせているこのちっぽけな刃物にかかっていること、自分の力量にかかっていること…薄い革手袋に包まれた小さく幼い掌へと視線を落とす。
“こんなちっぽけな手に掛かっているんだ…私の命が、お姉ちゃんの…いの、ちが”
チラッと左上を見てみれば、大小の黄緑の光る細長い棒があり…大きい方には【Arika】と私のアバターネームが書いてあり、その下には【Sirika】とお姉ちゃんのアバターネームが書かれている。
恐らく、その細い棒の下にはこう書かれていることだろう…252と。
そう、252とはあの黄緑の光る細長い棒の全体を数字化したものーーそこまで考えて、ぐっと唇を噛み締め、短パンを握り締める。そうしないと、今にも怒りでどうにかなってしまいそうだったからだ。
“ふざけるな…フザケルナッ!!”
そう思い、紅いフードを睨みつけようとする私の肩を力強く掴む者がいる。びっくりして、そっちを見ると赤い瞳へと涙の層を張っているお姉ちゃんの姿があった。
「ねぇ…アリカちゃん、嘘なんだよね?あの人が言ってること」
「………」
「あたしとアリカちゃん、二人でお父さんたちのところに帰れるんだよね?ね?」
何も答えず、ただ視線をそらす私と今だに続く紅いフードの説明にお姉ちゃんは意味で必死に耐えていたものがもろく壊れてしまったらしい。
そして、理解してしまったのだ…このデスゲームをクリアするしか、自分たちが助かる事は出来ないとーー
「い…いやぁあああ!!!!」
ーーそう理解してしまったお姉ちゃんは両腕で自分の肩を抱くと周りを巻き込みながら、その場へとへたり込む。私はそんなお姉ちゃんへと駆け寄り、お姉ちゃんが発したその悲鳴は広場を駆け抜け、忽ちに広場の中を反響するものとなる。
私はそんな人たちからお姉ちゃんを守るようにその自分よりも小柄な身体を強く抱きしめる。お姉ちゃんはそんな私の背中へと両手を回すと私の胸へと顔を押し付けて泣きじゃくる。涙で濡れる服など正直どうでも良かった…それよりも私には今ここでするべきことが出来たのだから…。
“この人だけは何があっても守りきろう。例え、私自身の命が砕け散り、この世界の空気と一体になったとしても…この人だけはあの人たちの元へと帰さなければならない。
……寒さしか知らないこんな私に温かさをくれた綾野家のみんな…
あの人たちを泣かせるなんてあってはならない事だ”
泣きじゃくるお姉ちゃんの身体をそっと自分から離すとその紅い瞳をまっすぐ見つめる。
「アリカちゃん…あた、し…」
「大丈夫、大丈夫だよ…お姉ちゃん…」
そう言いながら、現実のお姉ちゃんにそっくりなアバターの頬をなぞり、涙を拭う。
「アリカちゃん…あたしたち、どうなっちゃうの?ちゃんと現実に帰るのかな?怖い…怖いよ、アリカちゃん…」
「大丈夫、きっと現実に帰るから…お姉ちゃんには私が付いてるよ。絶対、二人で現実に帰ろうね」
「…うん」
泣きつかれてしまったお姉ちゃんの手を引きながら、私は手早く近くにある宿屋へと入る。
そして、ベットに横になった途端…眠りについたお姉ちゃんの小さな手を両手で握り締める。
「…お姉ちゃんは私が絶対守ってみせるから。この命が尽きても」
2022年11月6日、日曜日ーーその日の夜、私がこのデスゲームと成り果てたソードアート・オンラインでやるべきことが出来たのだった。
それはーー自分の身よりもお姉ちゃんの身を守ること、お姉ちゃんだけでも現実世界へと帰すこと。
ただそれだけが今の私がすべきことだった。
なので、私は次の朝…眠たそうに目をこするお姉ちゃんへとこう告げる。
「お姉ちゃん。私たちもこの街を出よう」
「へ…?」
紅い瞳をまん丸にしてびっくりするお姉ちゃんを可愛いと思いながら、私はお姉ちゃんへと自分の意見を言う。
「ここに居ても気が滅入るだけ…少しでも身体を動かしたほうがいいって思うんだけど…どう?」
「…無理だよ…街の外にはモンスターがいるんだよ?そのモンスターにあたしたちが立ち向かえるわけない…」
「そんな事ない。無理な訳ないでしょう」
「…アリカちゃん…?」
「私とお姉ちゃんの二人に勝てない相手はいない。それに…」
「それに?」
姉の手を握り、涙で濡れる赤い瞳をジィーーと見つめる。
「お姉ちゃんは私が守る…どんな敵からも。お姉ちゃんを一人になんかさせない、絶対に」
カッコ付けてそう言う私が可笑しかったのか、お姉ちゃんは口元を右手で覆うとくすりと笑う。その笑い声を聞いた私は頬を膨らませる。
「…ふっ」
「わ、笑わないでよ…私、真剣なんだよ?」
「…ごめんね、アリカちゃん。これは嬉しくて笑ったの…。うん、アリカちゃんと二人なら乗り越えられる気がする。それにあたしがお姉ちゃんなんだもん、あたしがしっかりしないとだよねっ」
「うん、そのいきだよ、お姉ちゃん」
ベットに座るお姉ちゃんへと左手を差し出し、私たちは第一層のフィールドへと飛び出す。
草原にいる一匹の青いイノシシが私の向けて、突進してくる…それを私は背に背負っている両手剣へと手を伸ばすとそれをイノシシへと振り下ろした
……しまった、手鏡のシーンを書くのを忘れておりました…。
まぁ、書かなくても…大丈夫…かな?(大汗)