sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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さて、今回はタイトル通りの話となっています。シノンの心境をうまく書けたか、不安ですが…よろしければご覧ください。

この話は、前の話の三週間後くらいをイメージして書きました。


※お気に入り登録・242名!ありがとうございます!

4/14〜誤字報告、ありがとうございます!


2章006 射撃スキルと出会い(シノンside)

“えぇーと、この角度でこうして…前に突き出す”

 

【lmmortal Object】に設定されている町外れの木へと、〈短剣〉スキル【アーマー・ピアース】を叩き込む。

 

「ふっ!」

 

右手に持ったクロス・ダガーの刀身を黄緑色の淡い光が包み込むのを見て、あとは身体に染み込んだモーションに任せてーー次の瞬間、凄まじい効果音とエフェクトが発生する。それを見て、ソードスキル特有の硬直が解けたのを感じて、近くにあるベンチへと座り込む。

 

“さて…これで、この【アーマー・ピアース】って技は100%出せるようになったわね。他のスキルも…この技ほどじゃないけど…八割くらい出せるようになったし…”

 

ベンチに座って足を組むと、右手を横へスライドする。

 

“…スキルポイントも溜まっただろうし…、新しいスキルでも習得しようかしら”

 

すると、ウィンドウが開くので、右側にある【MAIN MENU】の欄にある【SKILL】を押す。

すると、そこに広がるスキル習得ツリーなるものから、一番上にある〈短剣〉スキルの熟練度を見て…眉を顰める。

 

“ん〜、101.7かぁ…。んー”

 

どうやら、短剣の新しいスキル習得については諦めざるおえないらしい。私は、脚を組み変えて 肩を上下に動かすと、気を取り直して…他に私に習得出来そうなスキルはないか?と、下へとスライドする。そして、一番下にいつの間にか現れていたスキルを見た瞬間、首筋にまるで氷を突きつけられたような感覚に陥る。

 

「…【射…撃……ス、キル】……っ?」

 

〈射撃〉の二文字を視界に入れ、その言葉を理解した瞬間…感じるはずのない冷や汗を感じて、目の前がふにゃふにゃに歪み始める。

 

「はぁ…はぁ…」

 

自分でも異常と思えるくらいの反応を見せる身体に戸惑いつつ、私は胸に手を当てて、どうにか自分自身を落ち着かせようと深呼吸する。そんな私の耳へと、見知った声が聞こえてきた。

 

「シノのん?」

「あら、シノンじゃない。どうしたの?」

「アスナ…リズ。なんでもないの、心配しないで」

 

胸に当ててた手を下ろすと、声がした方へと淡く微笑む。そんな私を心配そうに見つめるのは…栗色の髪を腰まで伸ばした少女で、はしばみ色の瞳が純粋な心配の色だけで埋め尽くされてる。白と紅の二色を使った特徴的な戦闘着を揺らして、私の近くへと歩いてくると覗き込んでくる。

 

「心配しないでって…そんな顔してるんだもの、心配になるよ シノのん」

 

栗色の髪の少女・アスナの横にもう一人の少女・リズベットが歩いてくると、首を縦に振る。その際に、桃色のショートヘアが揺れる。

 

「アスナのいうとおりよ、シノン。何か悩んでいることがあるなら…あたしたちに言ってみなさい」

「……」

 

“二人に聞いていいものなのだろうか…?いえ、ここは…。誰に…相談すれば…”

 

「「ーー」」

 

うつむいて黙っている私に、アイコンタクトをかわした二人が私の両手を摑む。二人のその行動に驚いて、前を向くとニッコリと笑う二人の顔がある。

 

「ねぇ、シノのん。少しいい?」

「ちょっ、アスナ!?」

「そうそう、たまにはパッと楽しまなくちゃね」

「リズまで!?どうしたのよっ、二人とも」

「「まあまあ」」

「なんで、そこだけ息が合うの!?逆に怖いわよっ、私は今からどこに連れていかれるのよっ」

 

その後、アスナとリズに引っ張られるままに色んな店へ案内され、そこで色んな買い物をして…最後に立ち寄った店のある商品棚へと視線を向けた瞬間…そこに置いてあるものに視線が釘付けになったーー

 

ーー木で出来ているのだろう…その木をピンっと貼った線が仰け反らせている。

そう、それはどう見ても…【弓】であった。

 

“もしかして、射撃って…そういうこと?”

 

そう考えれば、前に無理をいって連れて行ってもらった層で弓を使って戦っていた敵がいた気がした。

 

“なら…私も使えるってこと?あのスキルを習得したら?”

 

そこまで考えた私は、なぜかこの〈弓〉と【射撃スキル】との出会いが運命のように思えた。

 

「…」

「シノのん、何かいいのあった?」

「へぇ〜、弓ねぇ。うわぁ…結構な値段するわね…」

 

弓を凝視して動かない私へ、誰かが抱きついてきた。その衝撃に後ろを向くとはしばみ色の瞳が此方を見返してくる。そんな私とアスナを見て、苦笑浮かべていたリズベットが私がさっきまで見ていた弓を眺めている。そして、そこに書かれている値段に渋い顔をする。

 

「…あの〜、おじさん。この〈弓〉くださいな」

 

そんなアスナの声に、私は驚いた顔をするとリズベットが笑う。

 

「アスナ!?」

「アスナ、半分ほど…あたし出すわよ」

「リズまで、そんなの…悪いからっ」

「いいってものよ、シノン。今日一日、あたしたちがシノンを連れ回しちゃったんだし…」

「うん、シノのんの時間を潰しちゃったんだしね〜」

 

そんな二人は、私が止めるのも聞かずに…〈弓〉を購入して、私へとプレゼントとしてくれる。その〈弓〉を受け取った時に、この〈弓〉をずっと大切に使っていこうと心に決めた私であった…




と、シノンが【射撃スキル】と【弓】を手に入れたところで…この〈シノ編〉は一旦、終わりです。

次回は、前に書いた〈バッカスジュース〉イベントみたいな息抜きの話を2、3話書いた後に〈ヒナタ編〉を書き進めていくつもりです。


そして、ここから先は雑誌コーナーとなっております。
この小説を書かせていただいている最中に、シノンのキャラソンを聞いているのですが…〈RELIEF BULLET〉って曲がとても泣ける曲で…(涙)
シノンの気持ちもよく書かれているし…声優さんの歌い方も涙を誘います。この曲のような展開には、私の小説はならないかもしれませんが…原作以上とはいいませんが、それくらい感動できる話をかけたらなぁ〜と思っております、では!!

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