sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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時間が空いてしまいましたが、二話目更新です。

ヒナタとシノンの友情が全面に出せるように書いたので、宜しければご覧ください(礼)

※お気に入り登録11名と感想を一件頂きました!本当にありがとうございます!!


※※※一部、文章を変えました


1章002 不思議な人

私には幼馴染がいる。

 

彼女と私が仲良くなったのは、割と早めで私がその理由を考えてみると、私達二人は互い、共通点が多かったというところだろうか。

例えば、両親のどちらかが居ないとか、人と群れるのが苦手というか…群れること自体を不毛(ふもう)と考えているところとかと大きなところを挙げれば、この二つが主だろう。他にも細かいところを挙げれば、数え切れないが……だから…いや、なので、私たちは親友へと慣れたのかもしれない。群れたくはないが、別に一人で居たいわけではない…そんな面倒くさい私たちは、互いに家庭の事情が分かっている二人で居ることを選んだのだった。変な詮索をさせるのも嫌だったし、何よりも私はーー彼女・陽菜荼(ひなた)といる時が学校という外の世界で一番、落ち着けたから……まるで、その名前のように日向にいる時のように暖かく居心地のいい空間を作り出してくれる彼女は、母といる時と同じくらい安心できる私の居場所だった…。もちろん、彼女が私をどう思っていたのかは、分からないが……あの事件の後でも、こうして変わらずに私の側に居てくれる彼女には感謝してもしきれない。

なので、いつかは彼女にちゃんとお礼を言いたいと思っている…

 

 

γ

 

 

モグモグと卵がたっぷり入ったサンドイッチを食べる陽菜荼の手を引きながら、高校へと道を歩いていくと校門が見えてきた。私は横を見ると、今だにモゴモゴと口を動かしている幼馴染に溜息を付く。

 

「陽菜荼、着いたわよ」

 

そう言って、手を話すと陽菜荼はゴクンと喉を鳴らして、飲み込むと私へと笑いかける。

 

「あんがと〜、詩乃」

「本当にありがとうって思ってる?」

「あはは、思ってるって」

 

あははと笑ながら、上履きを取り出す陽菜荼に私はジロ目を向けるが、ゴーイングマイウェイの陽菜荼はそれには気づかずに、教室へと向かって行く。その後に続く私はいうと、そのマイペースっぷりに呆れを感じなが、それぞれの席に座る。すると、同時くらいにキーンコーンカーンコーンと授業の始まりを知らせるチャイムが教室に鳴り響き、さっきまで騒いでいた生徒達がバァッと散らばり、自分の席へと座る。

最初の授業はどうやら、世界史らしい。私はスクールバックから世界史のノートと、教科書と資料集を取り出す。

 

「今日は○×ページから、始める」

 

世界史を教えてくれる先生の言うとおりに、そのページを恐る恐る開くと、そこに広がっていたのは普通のページをそっと肩をなで下ろす。

そんな私の左横には、陽菜荼が腰掛けている。退屈そうに腕組みをしては、パラパラと関係ないページを開いている。

そのやる気の感じられない態度は今に始まったわけではないが、もう少しやる気を出して見たらどうなのだろうか?陽菜荼は覚えもいい方だし、体力の方も平均よりかは上だったはずだ。頑張れば、私よりもかなり上にランクを上げれると思うのだが…何故か、陽菜荼はそれをしようとしない。まるで、計算しているようにさえも思えるほどに、私のランクの二つ上か、一つ下かをキープしており、私は密かに陽菜荼の器用さに戦慄を覚えている。

そんな下さないことを考えながら、世界史の教師が黒板へと書き写していく文字をただただ機械のようにコピーしていく。

 

「詩乃」

「何よ、陽菜荼」

 

そんな中、聞き慣れた声が私の耳に聞こえてきた…そちらへと視線を向けると、やはり栗色の癖っ毛の多い髪と空のように透明感の溢れる大きい蒼い瞳が特徴的な幼馴染が私の方を見ていた。

今、開いている教科書をトントンと右手の人差し指で小突くと小さく呟く。

 

「詩乃、次のページ見ない方がいいよ」

「へ?」

「だ・か・ら…次のページは見るな、いい?」

「……」コクコク

「よし、いい子」

 

一瞬、何を言われているか分からなかった私だが、陽菜荼がもう一度同じ言葉を有無を言わせない雰囲気で言うのを見て、小さくうなづく。でもーー

“ーーいい子……って、いい子って何よ!私はあなたの子供なの!?”

という思いを抱いてしまったのは、仕方がないことだろう。しかし、それよりも気になることがあったーー

“ーーでも、どうして…次のページがダメなのかしら…”

そう心に問いかける私に、陽菜荼は口パクで『■■』と言うと、小さくこう囁いた。

 

「………嫌いでしょ?」

「ッ……ごめん、ありがとう、陽菜荼。迷惑かけるわね」

 

陽菜荼と口パクで次に描かれているであろうあの銃を無意識に思い浮かべてしまい、一瞬吐きそうになるのを何とか耐える。そんな私に、陽菜荼は申し訳なそうな顔をする。

 

「迷惑なんて思いやしないよ。詩乃の事を頼むって、詩乃のお婆ちゃん達に言われちゃったし……。それにーー

 

ーー友達なんだから、助け合うのが同然でしょう?それに、あたしが詩乃の力になりたいし」

 

そう、平然と言ってのける陽菜荼がなぜか眩しく思える。陽菜荼はいつだってそうだ。もがいても足掻いても抜け出せない泥沼からいとも簡単に私を救い出してくれる…

 

「じゃあ…そうだな、香水、次の文章を読んでくれ」

「!?はい、えーと……どこですか?」

「また、聞いてなかったな…香水。○×ページの五行目からだ」

「あぁ…そうですか、本当にすいません…」

 

癖っ毛の多い栗色の髪を照れたようにかくと、陽菜荼はゆっくりとそのページ、文章を読んでいった。

 

 

γ

 

 

私、朝田 詩乃には幼馴染がいる。

 

彼女は私なんかよりもかなり強い精神力、行動力を持っている。その精神力と行動力は普段は発揮せずに、眠ったまんまになっているが…彼女が大切だと思っている人の悪口や危機に陥った時には、彼女は自分が傷つくことも(いと)わずにその大切な人の為に行動する。

実際に、私もその精神力と行動力に助けられた者だったりする…。

だが、その彼女の勇気ある行動を話す前に、私は私の犯してしまった罪を話さなくてはいけないだろう。私の人生を変えたあの事件の事を……




次回はあの事件のことを書きたいと思います、では!

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