sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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大変…大変お待たせしました( ´ ▽ ` )ノ

さて、ヒナタはどんな種族を選んでいるのでしょうか?そして、読者の皆様の予想は当たっているのでしょうか?
答え合わせは本編にて…

今回の話は、最初が『トンキー』と出会った時の状況をヒナタが回想してるシーンで、その下がリズベット武具店での一幕を書いております…

果たして、メンバーには誰が選ばれたのか…?ヒナタはどんな種族を選んだのか…?それを楽しみに、本編見ていただければと思います、ではどうぞ!


10/28〜誤字報告、本当にありがとうございます( ̄^ ̄)ゞ


012 A man of high caliber

あの不思議な形を持った邪神を見つけたのは、このALOを遊び始めて間も無くの頃だった。

レベルを上げるついでに、お遊びで世界樹まで行こうとなったあたし・シノことシノン・キリことキリト・アッスーことアスナ・リーことリーファ、そして世界樹までのナビをしてくれるナビゲーション・ピクシーのユーことユイちゃんの計六名で世界樹まで順調に進んでいたんだが…突然、巨大なミミズモンスター×2に絡まれてしまい、逃げようとしたあたし達を次々と飲み込んでいったミミズモンスターの消化管経由で地下世界ヨツンヘイムへと落とされてしまった。

そして、周りに広がる光景に唖然としたものだ。だって、そこにはこの六人でも到底敵うはずない巨大な邪神級モンスターがうろうろとフィールドを徘徊していたのだから…。

先行するあたしの“どうする?これ”の視線に、五人は一斉にあたしへと“逃げよう!”のサインを出す。それを見たあたしは深く頷き、【加護の祈り】を歌うと、自分たちが出せる猛スピードでフィールドを飛びまわり、やっと地上へと上がる階段へと差し掛かった時だった。

 

「カナタさん、見てください、あれ」

「ん?」

 

リーに指さされ、振り向いた先にはーー四本腕の人型邪神が、無数の触手と長い鼻を生やした象のような水母のようななんとも曖昧な邪神を攻撃していたのだ。それも、あたし達をここへと導いたあのミミズモンスターと同じ数で…。

固まるあたしの服を掴み、リーは真剣な表情で訴える。それに、あたしは背後にいるメンバーへと視線を向けると、それぞれの武器へと手を伸ばしたのだった。

 

「カナタさん、あっちのいじめられてるほうを助けてあげてください!」

「つっても…。どうする?キリ」

「俺からも頼むよ、カナタ」

「まぁ、いいんじゃない?」

「バックアップは任せて」

「やれやれ、あたしらのメンバーは血の気が多い人が多いようで…んじゃあ、みんな武器構えて!1、2、3、でつっこむ!」

『オォー!』

 

まず、あたしとキリで四本腕の人型邪神を近くにいる湖へと誘導|プル|すると、そこから先はトントン拍子で事が進み、あたしや他の仲間達があまり手出しをする事なく、象水母邪神なるものがこの勝負にて勝利を収めた。

その後、リーとあたしによって名付けられた『トンキー』『キーボウ』はあたし達を攻撃してこないばかりか、背中に乗せてヨツンヘイムの中央部まで移動してくれた。その後、サナギ経由で羽化したトンキーとキーボウは、あたし達を乗せて地上につながる天蓋の通路まで運んでくれた。

その際に、あたし達は見たのだった。天蓋の中心から、世界樹の根っこに包まれてぶら下がる逆ピラミッド型の巨大なダンジョンと、その最下部でクリスタルに封印されて輝く黄金の長剣をーー。

 

そんな出来事から三日ほど経ったある日、今回みたいにキリからあたしとシノへと電話がかかり、その日のメンバーで挑んだのだが、それがそれがやばかった…。

だって、トンキー&キーボウをいじめた四つの腕を持つ人型邪神がわんさかおり、その個人個人がありえないほど強かった。一発喰らえば、ジ・エンドのムリゲーに誰が挑むか…否、答えは誰も挑まないだ。静かに顔を見合わせ、もう少し強くなってからトライしようとなってお開きなったあのクエストだが、まさかこんな早くみんなと挑戦することになるとは思いもしなかった…

 

 

γ

 

 

そんな事を思い出しながら、イグドラシル・シティ大通りに看板を出す【リズベット武具店】に集まったみんなは、それぞれの役割は分かれ、あるもの達は買い物へと、あるもの達は武器がフル回復するまで待機組となり、あたしは後者の方で、四人で座れる大きなテーブルがある席へと腰掛けると、だらしなく背もたれにすがると大きなあくびをする。それを隣に座って見ていたもふもふな水色の羽毛を持つ小竜を膝の上へと乗せて、撫でている猫妖精族(ケットシー)の獣使いのシーことシリカは心配そうにあたしを見てくる。それに淡く微笑みながら、答えるとあたしの前に座る火妖精族(サラマンダー)の刀使いのクラさんことクラインが酒瓶を傾けながら、あたしへと絡んでくる。

 

「ふわぁ〜」

「カナタさん、大丈夫ですか?」

「ん…大丈夫だよ、ちょっぴり眠いだけ」

「おいおい、そんなんで攻略出来るかよ」

「まぁ、クラさんよりかは役に立つと思うよ?あたし、こう見えて前線任されてるし?クラさんこそ、あたしの足を引っ張らないでよ?」

 

絡んでくるクラさんに片眉を上げて、挑発するとクラさんは身にまとっている和服と同じくらいの真っ赤な顔になると、あたしの胸ぐらをつかもうとしてくる。それをひょいと交わすと追いかけてくるクラさんからあたしは逃げ回る。

 

「おいこら、カナタ!!お前、それどういう意味だ?」

「あはは〜、怒った怒った。クラさんが怒った怒った〜」

「こら!待て、カナタ!!今日という今日は許さねぇぞ!」

 

大騒ぎするあたしとクラさんへと、今まさに回転砥石でパーティ全員の武器を研いでくれているこの武具店の鍛冶妖精族(レプラコーン)の店主と、その横で同じく武器を研いでくれている赤い長い髪が特徴的なレプラコーンの二人が腰に手を置くと大きな声で注意してくる。

それにさっきまでばか騒ぎしていたあたしとクラさんはしゅーんとなると、とぼとぼと自分たちの席へと帰っていった。

 

「あんた達、騒ぐんだったら武器強化してあげないわよ!」

「カナタ君もクラインも静かにね」

「「は〜い……」」

 

席についたあたしは目の前にいるクラさんを睨む。それに酒瓶をもう一本取り出したクラさんが同じく睨むと、そんな二人の間を風妖精族(シルフ)のルーことルクスが仲裁に入る。

そんなルーの仲裁で落ち着いたあたしへと、シーの隣に座る影妖精族(スプリガン)のフィーことフィリアが話しかけてくる。

 

「クラさんのせいで怒られた…」

「いや、さっきのは間違いなくお前のせいだろ」

「まあまあ、二人とも落ち着いてよ」

「話は変わるんだけど…改めて、思うと、なんで、あんたってその種族にしたのよ。不思議でならないんだけど」

「へ?」

「だ・か・ら、なんであんたはプーカなんてマイナーなものにしたの?」

「あぁ…それね…」

 

あたしは呆れ顔のファーからゆっくりと顔を背けると、改めて自分の装いを見る。

いつもは栗色をしている癖っ毛の多い髪は少し桃色の入った銀髪へとなり、桃銀髪の髪の上にはちょこんと橙色の小さい帽子が乗っかっている。そして、その下には蜜柑色と檸檬色で固められた和服風な戦闘着を着ている。

そう、あたしは9ある種族の中から【音楽妖精族(プーカ)】を選んだのだった。だが、その理由はあまりにも恥ずかしく情けないもの上、絶対誰にも知られたくないのである。

おし黙るあたしへとキリもその話題に興味が湧いたのか、あたしの近くへと歩いてくる。

 

「確かに、それは俺も気になるな。なんでなんだ?カナタ」

「え〜、別にいいじゃん。ただ、プーカってどんなものかと思って選んだだけだって」

 

答えを渋るあたしの後ろから、今丁度帰ってきた買い物組へと加わっていたシノが、あたしが秘密にしていたかったそれをあっさりと暴露する。

 

「カナタ、嘘はよくないわよ」

「シノ…あたし、嘘なんて…」

「本当は私と同じケットシーがいいって言って、でもデザイン見たときに『こんなあたしに猫耳としっぽが似合うわけないだろッ!!』ってキレちゃって、適当に押しちゃった末にプーカになっちゃったんじゃない。私は見たかったのに、カナタのケットシー姿」

 

シノにそう言われてしまうと、胸が辛くなるが、こればかりはあたしでも譲れない。だって、考えて見てほしい…こんな男勝りなあたしに猫耳とかしっぽとか、女の子したものが似合うはずがない。してみて、みんなに笑われるよりかは、こっちの小柄だがプーカの方がまだマシというもんだ。

あたしは、ジィーと見つめてくるシノから視線を逸らすと、頬を膨らませる。そんなあたしを隣で見ていたキリが「あはは」と明るい笑い声を響かせると、あたしとシノンを交互に見る。

 

「ぐっ…いいのっ!あたしにあんなものは似合わない。まだ、こっちのプーカの方が性に合ってる」

「確かにな。シノンもカナタも二人揃って、セオリー無視して、自分だけの戦闘スタイルを確立しちゃったもんな。本来のプーカはウンディーネと一緒で、後衛で前衛のサポートに回るのが基本なのに…うちのプーカはガンガン前衛に突っ走っていくからな」

 

キリのそのセリフに、アッスーの隣にいた紫が入った黒髪に赤いバンダナをつけた闇妖精族(インプ)のユキことユウキがニコニコ笑いながら、キリのセリフに賛同する。そんなユキの言葉に更に頬を膨らませながら、言い訳じみたことを言う。

 

「あはは、カナタって本当に面白い人だよね。HPが低いプーカで前衛だもん。歌いながら、フィールドを駆け巡るプーカはカナタだけだよ」

「…むぅ、ユキのは笑いながら言ってるから本音じゃないでしょう。だって、折角自分と仲間達を強化できるのに…なんで、あたしは前線に行っちゃいけないのさ。HPが低いのは、敵の攻撃が当たらなければいいんだし、回復だって、歌で出来ちゃうんだから」

 

そんなあたしの言い訳を聞いたこの武具店の店主のリトことリズベットは呆れたような声音であたしとキリを見てくる。そんなリトの方へ向くと、その両腕には短剣、片手直剣に細剣などなどが積み上げられていた。そんなリトの後ろから同じくリトのサポートへと回っていたレイことレインが同じく両腕へと山盛り一杯武器を抱えて歩いてきた。

 

「カナタといい、キリトといい…あんた達二人はどんだけ、攻略したいのよ…」

「はい、みんな、武器全部回復したよ〜」

「おつかれ、リト、レイ」

「あんたとクラインが騒がなければ、もう少し早く終わったんだけどね」

「うぐ…ほんと、面目ない…」

 

レイから武器を受け取る際に二人へとお礼を言うと、帰ってきたのは上の文だ。全くもって、リトの通りなので、あたしはもう一度頭を下げる。

アッスー、シノ、リー、ユキが買ってきてくれた回復用のポーション類も其々受け取ると、ストレージへと入れる。

 

「みんな、今日は急な呼び出しに応じてくれてありがとう!このお礼はいつか必ず、精神的に!それじゃーーいっちょ、頑張ろう!」

『オーー!!』

 

ここで、あたし達のエクスキャリバー入手作戦が幕を開けたのだった…




さて、変な終わり方をしてしまいましたが…次回はいよいよ、ダンジョン攻略です!

そして、ヒナタが選んだ種族はなんとーー音楽妖精族|プーカ|でございました。
それもキレて、適当に押した末のという…なんとも情けない決め方でしたね。
武器は刀です。小太刀はまだ入手出来てないので…愛刀を歌を歌いながら、ブンブンと振り回しております。まさに、歌うバーサーカーです(笑)

また、『トンキー』の他に『キーボウ』という象水母邪神を仲間にしたヒナタ達ですが…
その二匹に乗る人は下の通りとなっております。

『トンキー』・・・キリト、アスナ、リーファ、リズベット、シリカ、クライン

『キーボウ』・・・カナタ、シノン、ルクス、フィリア、レイン、ユウキ

また、サポーターとして、ナビゲーション・ピクシーのユイちゃんを含めた13名にて…あのダンジョンを攻略したいと思ってます。


では、次回会いましょう、ではでは〜(*´◒`*)ノ”

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