sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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お久しぶりです…。

メモデフでは【眼帯アリスちゃん】が当たらなさすぎて、心がブルーに……

アニメでは【カーディナルちゃん・ユージオくん】が亡くなったことへとショックで心がブルーに……

それに加えて、アニメのアリゼーションの後半戦は10月からの放送ということで……前半戦が終わった時からSAOロスとなってます……


しかし、10月からスタートという事は……その間に、この小説を少しずつでも進めていけたらと思ってますっ!



では、幼少期エピソード3話のスタートとなります!!それでは、本編をどうぞ!!!


【★】カランコエを添えて003

【北の峠】

 

「うお〜っ!?ここが北の峠〜ぅッ!?」

 

あたしは一人、小さな体躯を精一杯動かして、内から溢れ出す喜びの感情を爆発させていた。

洞窟を発見出来たことによる興奮で震える両手を胸に置きながらピョンピョンと辺りを跳ね回る。

その両脚が蹴飛ばすのは自然な形で削られたように思える岩肌であり、それは大きな口を開けているようにも思える果ての山脈の洞窟の奥まで続いているようだった。

歯のようにも思える天井から垂れ下がる岩で出来たつららを"なんか、かっけぇ〜っ!!"とキラキラと輝く空のように澄んだ蒼い瞳で見つめながら……あたしはふと、目の前に聳え立つ洞窟が何か恐ろしい何かのように思えた。

 

乱暴に削られた岩肌は窪んだ所が目のようにも見えるし…天井についた岩のつららは牙のようにも見えるし…それによくよく見れば、この洞窟って何かが大きな口を開けているのように見えないだろうか?

 

“んー、悪鬼?ゴブリン…なのかな?”

 

さっきまでピョンピョン跳ねていたのをやめて、あたしは腕を組むと左手の親指を(おとがい)へと添えると悩みこむ。

そんなあたしの耳に聞こえてくるのは、この洞窟目指して、共に歩いてきた幼馴染達の声であたしがそちらへと視線を向けると呆れ顔の亜麻色の髪に黄緑色の瞳を持つ少年・ユージオ、短く切りそろえた黒髪に勝気な黒い瞳を持つ少年・キリト、金を溶かしたような金髪を三つ編みにし好奇心でキラキラと光る青い瞳を持つ少女・アリスが一人勝手に洞窟へと駆け出してしまったあたしの近くへと走ってくる、頬をまん丸に膨らませながら。

 

「やっと追いついたよ、カナタ」

「ちょっと、勝手に一人で先々行かないでよ」

「カナタ、はしゃぎすぎた。全く、子供かよ」

「そのセリフ、そっくり君に返そうかい、キリト?それにあたしらはまだ子供だからね?」

 

幼馴染ズ…若干一名ほど大人ぶってる者が居るが、実をいうとそいつの方があたしよりとはしゃいでいたと思っている。

だって、みんなで一休みしようってことになった時にキリトの奴、近くの川の水が冷たかったことを証明しようとあたしの襟首を自分の方に躊躇なく引っ張った後に…あろうことか、レディの背中へとペトリと冷たい手を押し付けやがった。

 

あの時の恨み、今でも忘れておらーーぐへっ…!?

 

「アホなこと考えてなくて、さっさと入るわよ」

「ぐるじい…ぐるじいです…アリスお嬢様…っ」

 

ガシッと首根っこをアリスに掴まれたあたしはそのまま、ズルズルとひきずられてながら、洞窟へと入っていく。

ずっと首根っこを捕まえられていると首が絞まって、天命が減るというあたしの訴えに答えたアリスは手を繋ぐことで妥協してくれるらしく、今は"それいけ!ちびっ子洞窟探検団"の配列は一番最初をユージオ隊員でその後ろをアリスと仲良く手を繋いでいるあたし達女子隊員が続き、最後を頭の後ろに両手を組んだキリト隊員が配置されているというわけだ。

 

“はぁ……そんなに心配しなくても、洞窟の中を駆け回ったりしないのに……”

 

まるで幼い子供の手を繋ぐ母親のようにあたしの手を強く握り締めるアリスに苦笑を浮かべると、ふと頭に浮かぶのはここにくる前に頭上を飛んでいた白竜に乗った重そうな鎧で身を包む騎士を見た気がしたのだ。

なので、あたしは気だるそうに後ろをついてきているキリトへと質問を投げかける。

 

「ねえねえキリト」

「なんだ?カナタ」

「あたしさ。この洞窟に入る前に、洞窟の頭上を整合騎士っぽいのが飛んでいくのを見たんだけど……あたしらのルーリッド村って出来たばっかの時は、たまに闇の国悪鬼……《ゴブリン》だの《オーク》だのが山を越えて、羊を盗んだり子供をさらったりしてたんだっけ?」

「さっきキリトって呼びかけてたでしょう。なんで、私の方を向くのよ」

「いや、お嬢様の可愛らしい悲鳴が拝めるのではと思いましてね」

 

そう言って、ニコニコと意地悪な笑みを浮かべながら、自分の方を見てくるあたしへとふんとアリスは鼻を鳴らす。

 

「その話で私を怖がらせようなんてまだまだね。その話の最後はこうでしょう?央都から整合騎士が来て、ゴブリンの親玉を退治してくれたんでしょう?」

「ーー『それからというもの、晴れた日には、果ての山脈のずっと上を飛ぶ白銀の竜騎士が見えるようになったのです』』

 

キリトがそう村の子供なら誰でもが知っているおとぎ話の最後の一節を口ずさむを聞きながら、あたしは残念そうにため息をつく。

 

「つぅーことは、あの人影は見間違いだったのかな」

「だろうな。それより…なんか、肌寒くないか」

「そう?あたしはなんとも思わないけど」

 

あたしがそう言って隣を見るとアリスがユージオを呼び止めているところだった。

 

「ねぇ、ユージオ。ちょっと灯りを近づけて」

「へ?うん……」

 

ユージオは黄緑色の瞳をまん丸にするとアリスへと神聖術によって穂の所が明るくなった草穂を近づけるとそれに向かってアリスは息を吐き出す。

それによってもたらせる事は穂によって照らさせて、アリスの息が白い靄となっている所だった。

それを見たキリトは顔を強張らせると青色の半袖からはみ出した二の腕をさする。

 

「や、やっぱりかー」

「つまり、氷はちゃんとあるってわけだね。もうすぐって事かな?」

 

そんなことを言っていると目の前が大きく開かれた道が現れ、冷気が深みを増していくのを感じてたあたし達は顔を見合われるとその光に向かって走り出していくのだった。




という事で、次回はドラゴンの骨をカナタ達が見つかるところから始まります!

カナタが加わる事で変わっていくストーリーをお楽しみください(礼)

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