ゲーム・ア・ライブ   作:ダンイ

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番外2

海とはとても広大なものだ。

そんな海を眺めていると、自分の悩みなんかちっぽけに見えてどうでも良くなってくる。

そんな言葉は一体だれが言い出したのだろう。でもきっとこの言葉は誰かの体験に基づいて言っているのだろう。そしてその思いは俺は同じだ……

 

だから今俺の目から流れ出ているのは断じて涙なんかじゃない……これは汗だ。

俺が今うずくまっているのも心に傷を負ったからではない……これは立ってるのが疲れから休憩をしているだけなんだ。

だから俺は決して傷なんて負ってない……追ってないんだ。

だってもう言われ慣れているだろう。何回初対面の人に驚かれて罵倒されたと思ってるだ。

そうもう慣れたんだ……慣れたんだ!!

 

「おい。どうすだよ、これ」

 

「な、なんで、私に聞くのよ」

 

「こうなってんのは、テメェが原因じゃねぇか!」

 

「なんで私のせいになってるのよ!貴方が男装癖って言ったのが原因じゃない!!」

 

「はぁ!?テメェが変態って罵倒してのがトドメになったんじゃねぇか!人のせいにすんじゃねぇよ!!」

 

男装癖……変態……

ふふふっ……俺はその程度じゃ傷つかないよ……

さっきから汗が止まらのは、暑さのせいに決まってる……

 

「二人とも、喧嘩するのは勝手ですけれど、士道さんをより傷つけてますわよ」

 

「もう、ノワールもブランもそんなこと言ったらダメなんだよ。士道はそういった事を言われる度に心が傷ついているんだから。この前だって枕元を涙で濡らしてたんだからね」

 

「っんなこと、言われてもしょうがねぇだろが。こっちは今まで女だと思ってたんだよ」

 

「私だってそうよ。話を聞いただけだったから、戦う際に女装する趣味があると思ってたのよ」

 

「それでもダメだってば。ノワールやブランで例えると、ボッチや貧乳って言われるくらいに嫌な事なんだよ」

 

「誰がボッチよ!!」

 

「おい、今わたしの事を貧乳って言いやがったな、テメェ!!」

 

「ふ、二人して詰め寄ってこないでってば!!」

 

「一応、どちらが言われてるか自覚はありますのね」

 

「「なんか言った(か)!?」」

 

「いえ、なにも……」

 

「ふぅ……二人の意識がベールに向かってくれて助かったよ。ほら、士道もそんなところでへこたれてないで、早く女神化か自己暗示付きの女体化をした方が良いと思うよ。しないと心が傷つくだけだしさ」

 

それは……そうなのかもしれない。

心が弱っていたからか、ネプテューヌの意見に素直に頷いてしまった俺は自己暗示を掛けると共に全身の力を抜いた。

すると私は髪は一瞬で伸びて……姿が女性のものへと変わった。

ふぅ……この状態になら普通に話せそうだね。私は立ち上がってネプテューヌの方に向き直る。

 

「ネプテューヌ……言っておくけどこれってただの誤魔化しにしかならないからね。自己暗示が解けたら傷ついたままだからね」

 

「そうだったの?って言われて見れば女体化が解けた瞬間、傷ついてた事があったね」

 

まあ、自己暗示って本当にただの誤魔化しだからね。

言ってしまえば夢を見ている状態に近いのかな。だから自己暗示が解けて現実を目にすれば傷ついてしまう……なんか自分の事を言ってるのにかなり手ひどい内容になってるね。

 

「…本当に女性になったわ」

 

「ネプテューヌから話だけは聞いていましたが……」

 

「実際に見た、今となっても信じられないわね」

 

そんな事言われてもなってしまったんだから、しょうがないんだけどね。

一応イストワールに調べて貰ったんだけど、男性で女神メモリーを使った人は今までいないみたいで……つまり私が初めての例で良く分かってないみたい。

まあ、女神メモリーなんだから当然なのかもしれないけどね。

それなのに使った私って……まあ、傷はついているけど後悔したことはないんだけどね。

力を欲して、それを手に入れたのは事実だし。

 

「姿が女性になるのは理解出来たわ……けれど口調まで変わってるのはなぜ?」

 

「さっきも言ったけど自己暗示を掛けて、女神化した時の性格を再現してるだけだよ。だから自己暗示が解けるとさっきと同じ性格になるんだ。最初は自己暗示なしでやってたんだけど……公務の時に支障が出てね」

 

「えっと……つまり女神化すると、自然とその性格になるのですわよね」

 

「そうだよ。例を上げるとネプテューヌみたいなものかな」

 

「「「あー」」」

 

「そこで納得されると、わたしとしては微妙なんだけどな……まっ、別に良いっか。それよりもベール、ここに連れて来られた理由を教えてもらってないんだけど、そろそろ教えてもらえないかな?」

 

「そういえば、私も聞いてなかったわね。理由を教えてもらえるんでしょうね。くだらない理由だったら承知しないわよ」

 

「…わたしも教えてもらいたのだけれど」

 

そう言われてみれば私も聞いてなかったね。

今、私達は船の上に居るんだけど……ベールには手助けした欲しいとしか言われてないんだよね。

そろそろ、教えて欲しいんだけどな……言ってくれないと何をすればいいか分からないしね。

するとベールは観念したように語り始めた。

 

「それがですね……最近になってこの辺りの海域でモンスターに襲われる事例が増えてきてるのですわ。それで皆さんに協力してもらえないかと……」

 

「…それなら貴方が対処すれば良いだけだわ」

 

「私達まで呼ばれる理由が分からないわね」

 

そうだよね……

ベール一人で荷が重いなら国を動かして対処すれば良いだけの話で……わざわざ他国の女神まで呼ぶ理由にはならないんだよね。他に理由でもあるのかな?

でも思いつく限りにそんな事なんてないし……本当になぜなんだろう。

 

「皆さん、今がどういった時期が知っていますでしょう?」

 

「ほえ?今なんかあったけ?」

 

「ネプテューヌ……忘れたの?今は転換期なんだよ」

 

私の声にはっとしたような顔になるネプテューヌ……本当に忘れてたんだね。

一応かなり重大な問題だとイストワールが言っていた思うんだけどな……今後、プラネチューヌは大丈夫なのか心配になって来たよ。

まあ、その分ネプギアがしっかりとしているから大丈夫なんだろうけどね。

ともかく、みんなにジト目で睨まれたネプテューヌは慌てて取り繕い始める。

 

「も、もちろん覚えてたよ。ただちょっとふざけてみただけで……冗談、これは冗談なんだよ!!」

 

「今更繕っても手遅れですわよ」

 

「本当に貴方は……まあ、ネプテューヌは何時もの事だからどうでも良いわ。それよりも問題は私達なんで呼んだかって事よ」

 

「…それも大体わかったわ。要するに内密に処理したかったのでしょう」

 

ああ……なるほど。

ブランにそこまで言われてようやく理解することができた……ネプテューヌだけは未だに分からないようで首を傾げているみたいだけどね。

 

今回ベールが他の国の女神を呼んだのは、さっきブランの言った通りこれを内密で処理するため。なぜ内密なのかといえば……今の転換期に大きな事件が起これば必ず叩かれてしまうからだ。

今回の場合は、国を動かして早く処理をすれば一人では何も出来ない女神様っと、もしベールが時間は掛かるだろうけど一人で処理をすればプライドに縋りついて的確な判断が出来ない女神様っと、そして何もしなければ当たり前だけど叩かれる。

要するに多くの人にバレて時点で叩かれるのは決定なんだよね。

転換期って怖いな……って私も女神だから他人事ではないんだけどね。超次元じゃなくて神次元のだけど。

 

「なるほどね……私達に協力させて大事になる前に処理しようってわけね」

 

「…わたし達も自分の国で忙しいのだけれど」

 

「えー、ノワールとブランは反対なの?わたしはベールに協力してあげても良いよ。あっ、でもお礼としてプリン三つおごってね。それとわたしが困った時に助けてよね。あとは、あとは……」

 

「ネプテューヌはいくらお願いする気なの……それと、私もベールの事を手伝っても良いよ。でも私は高校があるから、長くても明日までには終わらせてね」

 

「本当ですか!?恩に切りますわ、ネプテューヌに……「今は士織でお願い」分かりましたわ。士織さん。このお礼は何時か絶対にお返しいたしますわ。ですが……それに比べてこの二人は……」

 

「誰も手伝わないとは言っていないわ」

 

「一応この辺りはラステイションの船も通るしね……しょうがないから今回だけは手を貸してあげるわよ」

 

本当に今回だけなんだからねっと言いながら顔を背けるノワール……

ネプテューヌがノワールの事をツンデレって言ったのが分かる気がするよ……まあ、神次元でのノワールも似たような感じだったけどね。

そんな事よりも一つだけ気になる事があるんだよね。その人の性格を考えるとあまり言わないであろうセリフを言ってるからね……

 

「ネプテューヌ……」

 

「ん?士織どうしたの?」

 

「なんで今回は手伝う事にしたの?何時ものネプテューヌなら『そんな面倒くさい事なんていやだよ』とかって言いそうだけど」

 

「いやー、いーすんが今回頑張ったらプリンをおごってくれるって約束してくれたから」

 

それでなおプリンをベールから貰おうとしていたんだね……

食い意地を張っているっというか……取りあえず一言。

 

「ネプテューヌ……プリンを食べるのは勝手だけど、あまり甘いものを食べ過ぎてると太るよ」

 

「ねぷっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「士織……まだ敵さんはやってこないの。わたしくたびれちゃったよ……」

 

「まだ三十分しかたってないんだけど……」

 

「三十分もだよ!!三十分もあれば、アニメを一話見ることが出来るんだよ!」

 

「えっと……それじゃあ、私と一緒に準備運動をして身体をほぐす?」

 

「それじゃあ根本的な問題の解決になってないよ!もう、敵さん早く出ておいで!!」

 

言って出てくるような相手じゃないと思うんだけどな……

まあ、さっきからストレッチをして誤魔化してるけど暇なのは事実なんだよね。

他の女神たちも暇を持て余し初め、ブランは持ってきた本を読み始めているし、ベールは携帯ゲーム機を使ってゲームを始めている。

ノワールだけは何もしてないけど……ネプテューヌ曰く、コスプレの事を頭の中で考えているらしい。実際にさっき目の前で手を振ってみたけど何も反応がなかったし、事実なんだろうね。

ともかく暇だし……

 

「ガァァァァ!!」

 

「ネプテューヌが呼んでたら、本当にきちゃったか……」

 

「おおっ!!まさか、私の声に反応して敵が来てくれるなんて……なんて言うか、これこそ主人公の特権ってやつかな」

 

それでいいの、ネプテューヌ。

って今はそれでどころじゃないね……甲板上がって来たモンスターを退治しないとね。

なんか、エビが二足歩行できるようななりました……ってな見た目をしてるけど、甲羅が固そうで厄介そうな相手なんだよね……

って言うかこのモンスターが標的なのかな?違うとかだったら嫌だな。

 

「ベール……あれが標的なのかな?」

 

「ええ、そうですわ……でも、あれらは手下みたいなものですけどね」

 

「って事はボスがまだ残ってるってわけね」

 

「それなら、とっとと終わらせましょう。今読んでた本が良いところなのよ」

 

そう良いなが皆各々の武器を構え始める。

ノワールは剣で、ブランはハンマー、そしてベールは槍で……神次元の皆と武器は変わりないみたいだね。やっぱりすごく似てるな……

って、そんな事考えてる場合じゃないや。私も早く戦闘の準備をしないと……っと言っても私の武器は拳だから構えるだけなんだけどね。

 

「士織、大丈夫なの……最近戦いとかないんでしょ?この前は制服切られてたし」

 

「大丈夫だよ。休日を利用してモンスターと戦ってたから、ねっ!!」

 

ネプテューヌとの会話中に突っ込んできた敵の頭にカウンター気味に回し蹴りを当てる。

すると敵の頭の甲殻はヒビが入って、吹き飛んで地面に倒れて動かなくなったんだけど……すごく足が痛い……やっぱりこの手の敵って素手とかで戦うもんじゃないよね……

って泣きを言う暇もなく別の敵が突っ込んできたから、今度は右のストレートで倒したけど……手も痛い……

本当は〈灼爛殲鬼〉でなぎ倒したいんだけど……ここは船の上だし女神化してないと威力とか制御とかが落ちるんだよね……もう、女神化しようかな。

 

「とりやぁ!!……って、士織大丈夫?涙目になってるよ」

 

「正直、手が痛い……この手の相手って分かっていれば籠手持ってきたんだけどね……」

 

「もうベール。ちゃんと事前に話してくれなかったから、士織が涙目になってるよ」

 

「仕方ないではありませんか……、事前に話したら、特にネプテューヌなんかは逃げ出してしまうでしょうし……」

 

「そうよ、ネプテューヌ。貴方のせいなのだから後で士織に謝っておきなさいよね」

 

「ねぷっ!?そこでわたしのせいになるの!?」

 

「…日頃の行いの報いよ」

 

ごめんねネプテューヌ……フォローできないや……

ブランの言う通り日頃のがね……あ、でも謝る必要はないからね。そもそもの原因は私が今のような事態を全く考えないで籠手を持ってこなかったせいだからね。

前ならそんな事はなかったんだけどな……やっぱりまだ鈍ってるのかな?

頭の片隅でそんな事を考えながら、涙を堪えて目の前の敵を殴り、蹴る。

もう私だけで十体くらいは倒したと思うんだど……敵はあとどれくらいの残ってるのかな?

 

「もう面倒になって来た……皆後ろに下がって一掃する」

 

「士織?一掃ってもしかして……やばいよ!皆士織の後ろに下がって!!」

 

「はぁ?一体どうしたって言うのよ?」

 

面倒……と言うよりこれ以上痛い思いをしたくなかった私は自らの力を解放し女神化する。

身体は光に包まれて……体格とかはそれほど変わりないけど、髪は濃い青色から、水のような透き通った青色に変わる。

女神化した私は武器の拳銃を引き抜くことはなく……右手を敵に向ける。

ネプテューヌが他の皆の避難はしてくれたみたいだし……手加減をする必要はないね。

 

「焼き尽くせ〈灼爛殲鬼〉」

 

間違っても船を焼かないように注意しながら放たれた炎の壁は敵を一瞬で焼き尽くし、甲板上に居た敵を一掃した。

ふぅ……これで海の中に残っていなければ雑魚の相手はお終いだね。

 

「ちょっと危ないじゃない……避難が遅れたらこっちまで巻き込まれてたわよ」

 

「だから、わたしは早く避難しようって言ったんだよ。人の忠告を聞かないから、ノワールは何時まで経ってもボッチなんだよ」

 

「だから、誰がボッチよ!!」

 

「ノワールがボッチなのかは置いておくとして……結構な威力ですわね。これが貴方の女神としての力なんですの?」

 

「正確に言ってしまうと少し違うんだけどね……」

 

「…少し違う?」

 

「まあ、その話は今度ネプテューヌか……覚えてなかったらネプギアにでも聞いてよ」

 

「覚えてるよ!ちゃんと覚えてるからね!!」

 

転換期の事を覚えてなかった事を考えると結構怪しいんだけどね……

現に私よりもネプテューヌの事を知っているだあろう女神の皆さんは、ネプギアに聞くことを考えてるみたいだし……

扱いが少しぞんざいかもしれないけど……日頃の行いってやつだから許してね。

 

「そういえば敵のボスってどんなのか分かってるの?」

 

「いえ、それが良く分かっておりませんの。ただ長い腕のようなものを見たと報告に……」

 

「ベール!この腕ってこんなの?」

 

っとネプテューヌの指をさす先にはタコの腕を数倍にしたようなものが……って確実にそれだよね!それがベールの言っていた長い腕の正体だよね!!

なに腕を触って「ぷにぷにした触感だ」とか言ってるの!早く攻撃しないと……

そう思ったの私だけではなかったみたいで、ネプテューヌ以外の女神は武器を構えて攻撃をしようとしている。それに続いて私も拳銃を構えようとして……

 

「っ!?〈灼爛殲鬼〉」

 

「「きゃあっ!!」」

 

「ノワール!ベール!!」

 

あ、危なかった……

私は咄嗟に〈灼爛殲鬼〉で身を炎で包んだから助かったけど、ノワールとベールはタコ足に捕まってしまった。

さっきの雑魚が弱すぎて油断してたせいもあるけど、あのタコ足意外と速かったよ。たぶん私が反応出来たのは女神化してスペックが上がっていたのもあるだろうね。

そんな事よりもこの敵をどうしよう……ノワールとベールと捕まえて調子に乗ったのか姿は現したんだけど……予想通り巨大なタコだった。それも体長が数十メートルあるんじゃないかってくらいの。

どうしようか……一撃で仕留めるのなら〈灼爛殲鬼〉を使うしかないけど、それをしたら捕まってる二人を巻き込みかねないし。

捕らえてる腕を銃で撃ち落としていくしかないのかな?

 

「ちょ!?腕をどこに入れてるのよ」

 

「は、放してくださいまし!!」

 

「うお!!士織あの触手、もの凄くエロ事になってるよ!はっ!!まさかこれが噂の触手プ……」

 

「それ以上は言わなく良いから!!」

 

うぅぅ……攻撃しようと思ったのに、いきなり調子が崩されたよ……

それにしてもあの腕、本当にエロい……さっきからノワールとベールの身体をまさぐって、特に胸の辺りを重点的に動かしてるせいかベールの質量兵器がひっきりなしに動いて……正直、同性の私でも見ていられない。

ちなみに、先ほどから無言の彼女はその瞳に怒りの炎をともしている……理由については言わずもがなかな……

 

「って、ネプテューヌはどうしてセクシーなポーズをしてるの?」

 

「いやー、二人が狙われて私が狙われてないとなると、乙女としての沽券に関わるっていうか。私の魅力を伝えないといけないなって思ってね」

 

「別にそんな事する必要ないけどな……って言うか狙われてないのはブランも一緒だよね」

 

なんでこの二人だけ狙われてないんだろうな……

普通に美女だと思うんだけどな……私やノワール、ベールは狙われたって事は何か共通点があるはずなんだけど……そんなのなんて特にないし……

むしろこれはネプテューヌやブランがお気に召さなかったと考えた方が良いのかな……でも二人の共通点なんて……あっ!!

 

ま、不味い……なんで狙わなかった分かっちゃったよ。

でも正直にそれを言う事は出来ない……だってそれは火に油ってどころかガソリンをぶちまける自殺行為だし……どうして気づいちゃったんだろう。

 

「士織、どったの?顔が真っ青になってるよ」

 

「い、いや……早く二人を助けないとな……って」

 

「それはそうだけど、特に胸なんかは……胸?……ああっ!!」

 

「ネプテューヌ、いきなり声をあげてどうしたの」

 

「ネプテューヌ……言わなくても……」

 

「分かったんだよ!あのタコがわたし達を狙わない理由が!!ずばり、あのタコは巨乳好きなんだよ!!」

 

ブチッ

ネプテューヌが言い終わった瞬間、そんな切れてはいけないものが切れてしまった音が聞こえてきた。

何が原因なのかは分かってる……きっと、っと言うか絶対にブランの堪忍袋の緒が上限振り切れて切れてしまった音だ。

正直、今のブランの姿は見たくないんだけど……見ないわけにはいかないので覚悟を決めてそちらを振り向くと……怒りの炎をその身に纏ったブランがいた。

おかしいな……私、今〈灼爛殲鬼〉使ってないのに熱くなってきた気がするよ。

 

「うがぁぁぁ!!ちくしょう!どいつもこいつも舐めやがって!なんだ!?胸があるのがそんなに偉いって言うのか!!」

 

「えっと……ブラン?わたしそんな事、一言も言ってないよ。むかつくのは分かるけど、一旦頭を冷やして……」

 

「うるせぇ!!女神化したら胸が大きくなるテメェらには、わたしの気持ちなんてわかんねぇんだよ!!」

 

「ちょっと待って、私の本来の性別は男だからね!」

 

「っんな事はどうでも良いんだよ!!ともかく今はそこのエロダコだ!!胸に余計なものをつけた奴もろとも沈めてやるから、待ってろ!!」

 

「ちょっと、なんで私達まで一緒に沈められないいけないのよ!冗談じゃないわよ!!」

 

「そうですわ、ブラン。殿方がゼロのものよりも大きくて豊満なものを狙うのは当然のことですわ」

 

「ゼロって言ったな、今わたしの事をゼロって言いやがったなテメェ!!いいさ、まずはお前から沈めてやるよ!!」

 

「ちょ、ブラン、お願いだから落ち着いてよ!」

 

「放せ!あの粗末な脂肪の塊を切り落としてやるんだ!!」

 

「それ、敵と味方を間違ってるから!!敵はタコの方だから!!」

 

「うるせぇ!!胸のある奴は全員、わたしの敵だ!!」

 

「ああっ、もう!!ネプテューヌも女神化して手を貸して!!私だけじゃ止められないないよ!!」

 

「面倒くさいけど、しょうがないな………………ほら、ブラン落ち着きなさい。ベールを切っても事実は変わらないわ」

 

「うるせぇ!!放せ!!放しやがれぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「シドー!こんなにタコ焼きを作って……タコは大丈夫なのか?」

 

「ああ……ちょっと友人から大量にタコをもらってな……」

 

「お、美味しい、です」

 

『ほんと、世の中にはこんなに美味しい食べ物があったなんて、よしのん驚きだよ!!』

 

「おかわりは沢山あるから好きなだけ食べて大丈夫だからな」

 

まあ、ほとんどは十香が食べるんだろうけどな……

っと思いながらタコ焼き作りに専念する。

 

結局あのエロタコについてなんだが……俺も含むブラン以外の女神の意見に一致によって見逃してやることにした。いや、だって見るに堪えない姿となっていたからな。

あの後、女神化したブランが俺とネプテューヌの拘束を抜け出してタコと戦い――いや、虐殺を始めたんだよな……正直あれは悪夢に見るかと思うほど怖かった。

本気で切れたプルルートを見たことがなければ、一番怖い思い出となってもおかしくはなかった。

あの時、俺とネプテューヌに出来たのはノワールとベールが巻き込まれないように、二人を手早く助けることだけだったからな……

それでタコには二度と襲わない事を約束させて逃がしたわけだが……二人を助ける際に切り飛ばしたりしたタコの足をどうするかって話になって……こうやって食べているわけだ。

 

「ねぷちゃん、このタコ焼き美味しいねぇ~」

 

「う、うん。そうだねー」

 

棒読みになってるぞ、ネプテューヌ……

大体最初にタコ焼きにして食べようって言いだしたのはお前じゃないか。言い出した責任は取ってもらうからな。

でもこのタコ足以外と美味しいだよな……元となった原料さえ記憶の中から消せれば最高なんだが……そんな上手くはいかないか。

 

「士道さん、タコの足切り終えたので近くに置いておきますね」

 

「ああ、ありがとうな、ネプギア。でも良いのか?あっちでネプテューヌと一緒に食べていても良いんだぞ」

 

「暇な時は一緒に食べてるんで大丈夫ですよ。それに私の好きでやってるんで……士道さんこそあっちに行かなくてもいいですか?さっきから作ってばかりですよね」

 

「俺も好きでやってるからな……」

 

はははっと顔を見合わせて笑う俺達……どっちも同じ理由とはな。

 

「なにそこで、夫婦みたいなやり取りをしてるのよ」

 

「ふ、夫婦!?わ、私はそんなつもりじゃなくてですね……そ、その……」

 

「琴里、いきなりこっちに来てどうしたんだよ。良くも悪くもネプギアは純粋なんだから、変な事を言わないでくれよ」

 

ネプテューヌが常日頃から悪い男に騙されるんじゃないかって気にしてるしな。

実際にかなり昔の話になるけどベールに上手い事言いくるめられて、寝返ってこっちに敵対した事があったしな……あの時は俺とプルルートの二人で対処したけど。

ちなみにその際、ブランはベールに真っ先に突っ込んでいった……理由は言わずもがなだ。

 

「って一体どうしたんだ?機嫌が少し悪いみたいだが……」

 

「別になんでもないわよ。それよりもそのタコ……変なもの入ってないわよね」

 

「毒がない事はちゃんと確認してるし……一応、信頼できる人から貰った奴だから大丈夫だ」

 

「それなら良いのよ、それなら」

 

うん……やっぱり少し機嫌が悪いみたいだ。

でも今日は琴里に何もやってないぞ……今日は朝早くから超次元の方に……

もしかして俺が知らない所に行ってるのが嫌なのか?確かに俺も琴里が俺の知らない所に行ってるのはあまりいい気分はしないけど……

 

「琴里、こんど俺の一緒に異世界に行ってみるか?もう隠してる理由もないし、良かったらそこでプルルート以外の女神も紹介するよ」

 

「はぁ?いきないどうしたのよ……でも、そうね。妹として士道がどんな人達と付き合っているのか見ておきたいと思ってたのよ。いい機会だしお願いしようかしら」

 

どうやら正解だったみたいだな……少しだけど機嫌が良くなったみたいだし。

今度、神次元での方に言ってノワール達と話をつけておかないとな……まあ一言二言で良い返事をもらえると思うけどな。

それと俺も覚悟を決めよう……俺が女神メモリーを使って女神となっていること今までは黙っていたけどいい機会だ。この際にすべて打ち明けることにしよう。

事情が事情とは言え何時までも黙っている訳にはいかないからな。

っとそんな事を考えているとネプギアに話しかけてきた。

 

「し、士道さん!ふつつか者ですがよろしくお願いします!!」

 

「ちょっと待って、どんな風に考えてその結論に至ったんだ」

 

「あー!士道がいつの間にかにネプギアを落としてる!!駄目だよ!まだネプギアは家から出さないんだからね!!どうしてもって言うのなら……」

 

「ちょ、刀を出すなって!聞いてるのか!!」

 

ああ……

ネプテューヌに聞かれて一層ややこしいことに……琴里、あとで覚えておけよ。

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