「……、妖精さんや。」
「「「「「「「「はいです?」」」」」」」」」
失態です、着任して早々の大失態です。艦娘に会うために回ってみたのですけど殆どが遠征や出撃を行っておりあまり姿が見えなかったので向けられる殺気を無視しつつ書類整理をしているとなかたさんがやってきました。もうできたのですか?と聞くと見ればわかりますゆえといわれたので来たらなんですかこれ。増えてる辺り楽しかったんでしょうね、あとでお仕置きです。
「私はお風呂を直してくださいって言ったのになんですかこれは!!」
「さぁー?」「たのしかった-!」「ちょーまんぞく」「きづいたらこうなってた」「おーばーてくのろじーです?」「それはきけんですな」「てーへんだー!てーへんだー!」
目の前には何故かピンク色に塗装された壁と軽く30人は入れそうな大浴場。そこまではいいんです。
「なんでウォータースライダーとか飛び込み台とかあるんですかぁ!?」
あっ!流れるプールと泡風呂とサウナとかもある!というか、これって明らかに見た目以上に広いような……?
「くうかんはもろいですな」「あかごのくびをひねるほどに」「それははんざいですぞ」「たいほですか?」「ぜんかつくー?」「たいほー!たいほー!」
あぁ……、大体わかりました。つまりこのお馬鹿さんたちは空間を広げたんですね。言葉でいうのは簡単ですがやるとなればとてもすごいことです。
「はぁ……。過ぎてしまったものはしょうがありません。あとはどうやってこれを艦娘たちに説明するかですね……。と、その前に怪我している子を入れてしまいましょうか。」
回っているときに怪我している子達を見かけたのでその子達を呼びますか……。はぁ、説明したくない。
『えー、皆さん。お風呂が沸いたので入ってください。』
アナウンスするとぞろぞろと人が集まってきました。ざっと、20人ぐらいです。最初は私が嘘をついて馬鹿にしていると殴りかかってきた子もいましたが現場を見て情けない顔を出しました。まぁ、言葉を濁しながら説明をすると納得はしてくれたようですが憎悪とかの目をたくさんの子から浴びることになります。ちなみに、助手さんは私の代わりに書類整理をしてくれてます。
駆逐艦といわれる小柄な女の子たちが率先してお風呂に入るとみるみる傷が直っていくさまを見て他の子達も続いていきました。
「提督」
ふと、声をかけられたので振り替えると駆逐艦の子がタオル一枚でいました。まぁ、お風呂ですからね、当たり前です。
「確か、時雨ちゃんでしたっけ?どうしました?」
「……一応、感謝しとくよ。けど、これだけは忘れないで。僕は絶対に提督を許さないから。」
鋭い眼光を向ける時雨には強い意思が感じられた。
はて、前任がとても悪い人だというのは資料を見たり聞き込みとかでもうわかりきっていることですがまさかこの子は前任の愚行を私にツケとして払わせ提督というひとくくりで蔑むという訳ですか、それはなんていうか……
「傲慢、なんですね。」
あっ、やばい!口に出してしまいました!
「それはどういう……。」
時雨がキレる前に風呂場から驚きの声が上がる。
「おいっ!まさかこのお湯高速修復材じゃないのか!?」
戦艦長門。かのビック7に名を連ねている有名な戦艦だ。長門はお湯を確認しながら私の元へと向かってきた。
高速修復材。それは、本来傷を直すのに時間をかけるものを一瞬で終わらせる優れものだ。ただし、数は限られている。
「おい、提督。これはいったいどういうことだ?高速修復材なんてうちには無いはずだが……。」
あれ?確か資料では四桁ほどあった気がしますか……。もしかして……!
「長門さん、少し待っていてください!」
私はそそくさと誰の目にも付かない場所まで移動しこの事態を起こした犯人を呼ぶ。
「妖精さんたち!出てきてください!」
……、来ません。では、これでどうでしょうか。
「お菓子ありますよ?」
そう言うとぞろぞろと妖精さんたちが来ました。ほんとチョロいです。
「おかしー!」「かずにはかぎりがあるかと?」「かぎりがあるとどうなりますか?」「おかしがなくなります」「なくなると?」「がしー!」「そのしにかたいややー!」
「はい、捕まえました。」
妖精さんたちを優しく包み込んであげます。すると、どうなると思いますか?正解は失禁します。
「つかりましたー!」「ぜんかついたー!」「にんげんさんはさくしですな」「ふがいないふがいない」「へいわがほしいですな」「へいわとはなにゆえ?」「へいわをぴーすするためには?」「ぶんめいきづくです?」「ぐっどあいであ!」「それさいよう!」
その案却下です。それより、早く本題に入らなければ。
「そんなことよりあのお湯っていったいどういうことですか?」
「はて?」「なにかふびんがありますか?」「しっぱいですかー?」
「いえ、高速修復材とか使いましたか?」
妖精さんたちは顔を見合わせいい放ちました。
「「「「「「「「ぜんぶつかったー」」」」」」」」
「こらこらこら」
呆れるしかありません。しかし、妖精さんが言うには。
「あのおゆずっときれいなままですゆえ」
だそうです……。
「ーーーん?」
「なのでとりかえるひつようないかと」「あのそうちはつくるのたいへんだったー」
一体どういう装置かは教えてくれませんでした。しかし、かなり妖精さんが増えてきましたね……。それに比べこの鎮守府にいるだろう妖精さんは一度も見ていません……。
「ていうか、もうこんな時間ですか!?」
時計を見るともう18時を回っており第一艦隊から第四艦隊までが帰ってくる時間です。さて、わたしは迎えの準備をしますか。
私は、妖精さんに角砂糖をあげて玄関へと向かった。
話が進まない、すまない……すまない……