やぁみんな、不死身系ラスボスが負ける時ってどんな気分が分かる様になってきた本来雑魚のオーク系転生者の俺だよ!
あの後3人に搾り取られたあとまさかのメンバーチェンジが起きて更に倍プッシュされた俺は、キノコ大好きハンターにマンドラゴラ使われるモンスターの気分を散々味わいました。でも最終的に五月蝿いと女性陣を一喝し、お開きにしてくれた宿の女将さんが一番の豪傑。きっと昔はバルバレでアイテム売ってたに違いない。
そんな俺強制羞恥事件から、3週間が過ぎた。
いつの間にか義に熱いやつ的評価が広まってしまい、一部兵士達に普通に声をかけられる様になった。以前は周りに綺麗所を囲い過ぎて男の敵扱いされ、囲いの中に幼女がいる事で女の敵扱いもされ、凄い倦厭されていた為、非常にありがたいのだが、未だに正義のヒーロー扱いされている為、非常にむず痒いと言うか申し訳ない気分になる。
それと、何故か俺の街中作業を色々な人達が手伝ってくれた。
実を言うと、流石に情報収集能力の低いの悪人集団でも、数を潰せば流石に俺と凪の特徴は広まる。俺や凪は比較的悪党連中に混じりやすい外見だが、それぞれ分かりやすい特徴がある。特に俺にいたってはいかに広い街と言えど、230センチもの身長は中々いない。余裕で浮く。
最初は凪に1人で動いてもらったりしていたが、凪も顔を覚えられてしまってからは中々上手くいかず、やむなく当たりだけつけて人海戦術を取るしかないかと華琳さんに話を持っていくと、何故か華琳さん本人が既に制圧部隊を編成しており、ウチの軍師組も使って更に細かい調査を済ませていた。準備良過ぎじゃね、と思い話を聞いた所、
「確かに今は流民の増加は止まらず、しかし軍の拡張も何もかもやらねばならない事は多いわ。けれど、ここはこの曹孟徳が治める場所。余裕がない、なんて理由で臨時の者だけに全て任せるなんて、我が覇道に掛けてあり得ないわ。」
貴方達が注意を引いてくれたお陰で調査が楽だったわ、なんて不敵に笑う華琳さん。何でも風が俺と凪の2人だけでは全て潰す前に行き詰まると、別に調査員を組織することを提案し、稟がさらに俺たちを囮にする事を提案、雛里が制圧部隊の事前編成をするべきと提言し、華琳さんが即決。即時愛紗と星の2人を中心に制圧部隊を編成した。
更にそう言った犯罪者及びに組織の再発を防ぐ為、凪に書いてもらった交番などを参考にした警備システム(恋姫2次で良くある一刀君のアレ。パクリ)を元に、荀彧さんと朱里がよりきちんとしたものに精錬し、秋蘭が専用部隊の調練を担当し、俺が華琳さんに協力を要請しに行った時には既に街の各所に駐在所が用意され始めていた。
正直その手際の良さに軽く引いたが、ウチの軍師組が頑張って必要な処理を通常の仕事と並行して行い、凪の語りを聞いて俺たち2人に街の平和を任せてられんと荀彧さんと秋蘭、更には多くの兵士がやる気を天限突破したからこその結果だそうである。
「流れ者の貴方が気付いた街の闇と、民の危機。私を含めて皆がそれを恥じたわ。どんな理由があろうと、この街は私達が守る街。そこに住む人々の安全を私達が蔑ろにしていいわけがないわ。だからこそ自分達こそやらねばならぬと、皆が全力を尽くしたのでしょう。」
貴方と凪には感謝しているわ、なんて可愛く笑う華琳さん。実際俺たちが行き詰まったその後、駐在所の用意が終わり、兵が配置された直後に街の犯罪者達を一斉に制圧部隊が強襲し、多くの犯罪者が逮捕され、それぞれ罪の重さで分けられ、強制労働や懲罰部隊へ振り分けられた。更には流民達への雇用対策など、様々な政策も同時に展開され、街の治安は一気に解消。華琳さんは為政者として更にその名声を跳ね上げた。結果的に悪人以外全員万々歳の素晴らしい結末となった。
やっとこさ見つけた仕事が僅か一ヶ月でなくなった俺を除いてな!
なんなの?馬鹿なの?解決されちゃったら俺できることねーよ!せめてその後の警邏隊に配属してよ!お前の働きはもう十分だ、あとは私の部下に任せてくれ、じゃねぇよ秋蘭!アホか!
くそう、いずれこの形になるにしてもまさか自分達で出した警備システムなのに、配属さえされないとは思わなかった。警邏の振りして街で遊ぶ予定だったのに!程の良い隠れ蓑にする予定だったのに!両さん的立ち位置になって、遊びながら給料貰える素晴らしい仕事の予定だったのに!
しかもあまり俺のやる事を詮索せず、余り語らない凪を勝手に副官にして好き勝手しようとしたのがバレて、他のみんなの怒りを買い、凪だけは警邏隊の隊長に配属されたし!俺のやろうとしてた事を一番理解してるからって理由だったけど、それなら何故本人を除け者にしちゃうのか。このままでは俺だけプータローである。いや、この世界が恋姫である以上、男より女の方が稼ぎが多いのは当然だし、ヒモも別に珍しい存在ではないのだが、俺のプライドと家長としての威厳にかけてそれは出来ない。関係を持ってしまっても、俺の中で鈴々と流琉は未だに娘と妹である。あの2人に養われるくらいなら俺は自ら火口に身を投げる。
故に早急に新しく軍での仕事を見つけねばならない・・・のだが。
空を見れば雲ひとつない晴天。しかし一度視線を落とせば、目の前に広がるのは一分の隙もなく展開される槍と剣。ズラリと並ぶ丁寧に揃えられた軍靴。一斉に見つめる視線の先には俺。遥か後方の高台で楽しそうに見つめる華琳さんと、その横で誇らしげに胸をはる夏侯惇さん。少し離れてこちらも面白そうに見つめるウチの女性陣。夏侯惇さんが叫ぶ。
「さあ、我が夏侯惇隊の精強なる兵達よ!我等が曹孟徳様の御前だ!日々の鍛錬の成果を余す事なく発揮して、その豪傑さをご覧にいれろ!相手はたった1人だが、遠慮はいらん!容赦なく叩き潰すがいい!」
ウオオオ!!!
その目を血走らせて叫ぶ兵達。彼らは夏侯惇隊の一部にしてその数500。同時に、俺が囲う女性陣のそれぞれに懸想する独身男性兵だけで構成された部隊。通称嫉妬隊。
そんな彼らに対するは、この俺ただ1人。
やれやれ、と思わずため息をつく。何故こんなことになったのか。
事態は遡ること3時間ほど前、俺が流琉と一緒に調理をし出した時に遡るーー・・・。
・
・・
・・・
華琳さんやみんなが想定外に頑張ってしまい、仕事が無くなった俺は、とりあえず日ごとにみんなの仕事場を回り、何が必要か、何が出来るかを探していた俺は、今日は食堂で働く流琉の元に来ていた。
流琉はその聡明さと調理技術などを十分に発揮して、既に兵食の発注から必要人事の全てを管理していて、今日は街の外で大きな野外演習がある為、食堂を部下に任せて演習の為に炊き出しをすると言うので、それに俺は同行し、一緒に調理をしていた。
するとやがて一時休憩となり、兵食を配る俺と流琉に気付いた鈴々が部隊を放置してやって来て、それに気付いた他の武将組も集まり、大方の配膳も済んだので、部下に任せて珍しく昼を一緒に取ろうと集まって丁度良い木陰に座り、みんなで食事をしていた。
すると演習を視察していた華琳さん達5人と、ウチの軍師組、その護衛として警邏隊の一部を連れた凪。更には製作した兵器の様子を見に来た真桜と全員が集まり、折角だからと久しぶりに全員で昼食を取ろうとする俺たちに、華琳さん達も俺と流琉の個別料理目当てに合流した。
やがて全員が食事を終え、皆で談笑していると、食事が終わり、部隊の再整列が済んだ事を、秋蘭さんと夏侯惇さんの部隊のものが伝えに来た。そして俺を見るなり舌打ちし、何故ここにお前みたいなのが居るのか、などと文句を言い始めた。
ぶっちゃけ俺はその時、鈴々と流琉を両膝に乗せててそいつの言葉を完全に聞き流していたのだが、俺の周りの女性陣は聞いていて、全員が怒った。するとその事が1番納得できなかったのか、今度は女性陣に向かって彼は「何故貴女達の様な素晴らしい方がこの様な男とうんぬんかんぬん。」と説得を始めた。その時でさえ膝上の2人に特製デザートであるプリンをあーんしてた俺は普通に聞いてなかったが、それで腹が立ったらしい彼は、何かの線が切れたのか声を荒げて俺を腰抜け扱いし、更には急に愛紗に向かってプロポーズ。そして俺にお前はふさわしくないと決闘を挑んで来た。その後ろでは秋蘭の部隊の者が彼を全力で止めていたのが印象的だった。なんかあの人マジで刃物通らないんだって!とか聞こえた。
その時になって華琳さんが急に声を上げ、面白い、と笑った。そして彼に1人では無理だ。お前と同じ思いを持つものを今すぐ集めよ、と命令し、俺の方を向いて言った。
「賭けをしましょう道玄。貴方は初めて私と会った時の様な変身は無し、武器の持ち込み禁止。それでいてただ1人で、彼らを殺す事なく制圧して見せなさい。出来なければただ1人を選び、あとはウチに置いていって貰うわ。」
正直俺にメリット皆無過ぎて乗る理由が全くないが、星がそれくらい我が主人なら楽勝ですな、とこちらを見ながら言った。顔を見るに笑っていたので、からかってるつもりなのだろう。更に華琳さんが逃げても良いけど、己の女を賭けた戦いを逃げるのかしら?と逃げ道を無くして来た。ウチの女性陣の何人かも何故か乗り気で、俺にやらせようとしてくる。大分めんどくさい。
やがて仲間を集め終えたらしい彼が帰って来て、俺に勝ったら女性陣を自分のものにして良いと華琳さんが宣言し、ウチの賛成した女性陣が、俺に勝ったら考えてもいいと保証する。既に俺のことは置き去りである。そしてやる気になる彼ら嫉妬隊。何故か全員夏侯惇隊だったので、後々聞いて見ると、俺の戦闘を一度も見たことない隊は、夏侯惇隊しかなく、その中でも俺の戦闘を信じない程度には傲慢な連中らしい。
しかし夏侯惇は、嫌いな俺を排除するかの様な華琳さんの提案と、それに乗る人間が全て自分の隊のものだったことに気を良くして、嬉々としてこれでお前も終わりだ、と俺に宣言し、部下を激励した。
流石に腹が立ってきたが、華琳さんが変身は無しだと言った筈よ、と釘を刺し、ウチの賛成組も似た様な事を言って煽る。完全に楽しんでいた。賛成しなかった鈴々と流琉、凪や愛紗が、俺の怒りを悟ってみんなを諌めようとするが、俺が止める。
曹操、殺さなければ文句はないな?
俺がそう言うと、先の条件を抑えていれば文句はないと言う。そうか、なら夏侯惇、先に謝っておく。
「ほう、なんだ?負け惜しみか!」
今目の前にいるお前の兵、全員使えなくなるから新しい兵の調練頑張ってくれ。
そういうといきり立つ夏侯惇と兵達。どうでもいいので、シカトして曹操へ顔を向ける。賭けによる俺の対価がまだだったな。
「勝てば好きに望みを言いなさい。」
そうか。ではいってくる。とっとと始めよう。
・・・そうして、今この現状な訳だが。
集まる連中は口々に俺の女の誰かの名前を叫び、俺のものだと宣言する。思わず頭を触って見るが、角はない。別に変身するつもりはないが、未だにコントロールが上手くいかない時があるから、念のためだ。うっかり変身してしまって、反則負けは面倒だからな。
開始の銅鑼がなって、一斉に兵達が襲いかかってきた。
ガギィン!
そして弾かれる、すべての刃。しかし他の兵から聞いていたのだろう。休む事なく波状攻撃をしかけ、俺の行動を抑えつつ、俺を封殺するつもりのようだ。
俺は静かに、しかし盛大に気を練り、同時に息を吸い始める。
気。
いつか凪に教わり始め、何とか自分のものに出来ないか、とこの世界で初めて俺が行った武に関する事だった。
初めは闘気硬化があるので余裕だと思っていたが、そんなことは全然なかった。つーか、闘気硬化は闘気、とつくものの、実際のところ単なるパンプアップだったのだ。道理でこれを行ったラージャンの足の肉質が落ちる訳である。要するに念能力で言うところの硬みたいに、一点集中しているようなものなのだろう。気の習得は困難だった。
しかも凪のように外部に放出するような才能は無く、俺のかめはめ波や気円斬、舞空術は夢と消えた。
しかし幸運にも、俺は内部で気を扱う才能があった。内部で気を高めれば身体能力は高まり、俺の高い身体能力は更に高まった。ラージャンの毛皮が無くなった代わりにハルクの銃弾を弾く皮膚が余計に強化されたのか、俺の体は元々凪のように全身を気で覆って防御する必要はない。内部を強化すれば如何なるものもその身に通さないこの体は気の内部操作とすこぶる相性が良かった。
やがて気を内部で圧縮しながら循環させる方法を身につけた。すると更に俺の身体能力は高まり、更には内臓など身体機能の強化まで可能になった。
つまり俺は、より化け物に進化したのだ。
やがて疲れた兵が、一瞬波状攻撃の手を緩めた。その瞬間に気を圧縮して強化した肺に、更に気を使って圧縮した膨大な量の空気。それをこの世界で初めて本気で込めた殺意とともに、一気に吐き出した!
ーーーグルォォオオオオオオッッ!!
まるで爆発したかのような轟音と衝撃波が周囲の兵を一斉に吹き飛ばす。一斉に吹き飛び、しかし軽傷ではないが重傷と言うほどでもないはずの彼らは、しかし誰1人として動かない。それは、今俺が放ったバインドボイスで鼓膜が破裂したり、恐怖で動かなくなった直撃した連中以外も同じだった。バインドボイスの効果範囲の外にいる者どころか、遥か後ろで見ていた参加してない他の兵達さえ凍りつく。時が止まったように演習場が静まり返る。
当たり前だ。今、俺は全力の殺意を込めて、この場に立っている。
俺の本性は怪物を超えた怪物を更に怪物と掛け合わせて生まれた、本来人間と相入れる筈のない、途方も無い巨怪獣である。
それを無理矢理圧縮し、人の形にしているだけだ。普段は面倒だし、おれを害せる存在がいないから、こんな本当の殺意を向けるような、「威嚇」の必要など無い。だから使わない。だが。
それが俺の大切なものを奪おうとするものなら、容赦などない。
「曹孟徳との約定故に、命を奪うことこそしないが。
ーーー・・・精々呪え、俺の前に立ったことを。」
明確な殺意を持って、俺の拳は大地を爆砕した。
・
・・
・・・
まぁ、それで終わったんだけどね!
あの後、気を全力で圧縮、強化された俺の一撃は、人間状態にも関わらず極限ラージャン2体分の力を発揮し、大地を粉砕した。
かの世界なら極限ラージャンがぶん殴っても、大岩を引きずり出してもすぐ元に戻るほどの頑強さを持つ大地だが、恋姫世界ではやや脆かったらしい。巨大な1枚岩を真ん中から砕いたみたいに地面は陥没、隆起し、俺の濃厚な殺意もあって一瞬で全ての兵が恐慌を起こして逃げ出した。
俺は一応全員気絶くらいはさせないと制圧したことにならないかと思い、追いかけようとしたが、すかさずその瞬間銅鑼が鳴り響いて華琳さんが俺の勝利を告げ、終了を宣言した。
ちなみに、今は華琳さんが逃げ出した兵と共に夏侯惇さんを叱っている。いわく、兵を鼓舞するのはいいが、増長は良くない。絶対に勝てない相手を貴女が見極めなくてどうするの!とかそんな感じだ。分かっていたが、どうも華琳さんが俺を褒めるから、嫉妬で中々俺を認められない夏侯惇さんと、同じく俺の強さを知らないその部下の不満を丸ごと片付けるための芝居だったみたいだ。俺が負けた時の補填を一切考えてない辺りが非常に彼女らしい。
で、俺の前では、俺の怒りで項垂れる賛成組の姿が。さて、俺の言いたい事、分かるかお前ら。
「はわわ、じ、実はこれには理由が」
黙れ朱里。言い訳はきかん。というか理由はだいたい分かる。俺の為だろ。
そう言うと驚く賛成組。何故って、いや分かるわ。どんだけお前らと一緒にいると思ってんだ。あの様子だとあいつら、俺の前でこそ初めてだが、お前達には初めてじゃないだろアレ。というか、結構な数やっていた筈だ。俺が必要以上に目立ちたがらないことを知ってるお前達が、わざわざ俺の実力を見させるために、俺が嫌がると分かりきってて自分を餌にするくらいだからな。
たぶん、純粋に俺が舐められてるのを払拭したかったんだろ?ついでにちょっとだけ俺をやきもきさせたかったとか、その辺だろ。
すると荀彧さんや秋蘭さん、季衣ちゃんまでもが驚いた顔をした。この様子を見ると、どうも夏侯惇さん以外もグルっぽいな。道理で荀彧さんはともかく、秋蘭や季衣ちゃんがあの時兵を諌めない筈だ。俺が女性陣の物扱いを嫌がると知ってて、それで実際に大変な目にあった2人が、華琳さんの発言でも何も言わないからおかしいとは思っていたが、思った以上に茶番だったな。
「それはどういう意味だ、道玄!星達はお前のことを思って私達に頭を下げてまでこれを頼んできたんだぞ!それを」
だからそれが茶番だ、秋蘭。わざわざ俺に黙って周囲を巻き込んで、こんなことしなくても、俺に直接言えばよかったんだ。そうすれば力の証明なんぞいくらでもしてやれる。例えば、
「俺1人でこの街全てを壊滅させる、とかな。」
幾ら何でも全軍俺1人に滅されれば馬鹿にした連中も文句などあるまい。そう言うと凍りつく秋蘭達。何か勘違いしてるようだから言っておくが、俺は1度愛した女の為なら結構何でもやるぞ。それが昨日まで仲間だった奴でも、必要があれば殺すことに躊躇いはない。奪おうとするなら例え帝でも縊り殺す。その程度には独占欲が強くてね。もっとも、今回程度の事でそこまでやる必要は感じないが。
「道玄、今のは不敬罪になるわよ。」
後ろから華琳さんが言った。どうやら一旦説教をやめたらしい。俺の帝を殺す、という発言のせいだろう。しかし知ったことか。俺はただの蛮族だ。たまたまこの国の女を愛しているだけで、この国の帝を崇めた事はない。文句があるなら好きにすればいいが、手を出すならば容赦はしない。帝だろうが神だろうが、その国ごと更地にしてやる。
・・・試して見るか?
そう言って笑ってみる。するとその場の全員が息を呑んだ。しかし華琳さんだけ直ぐに溜息つくと、やめておくわ、と言って苦笑いする。懸命だと俺も笑って返した。周囲はまるで笑わなかったが。
まぁ、そんなわけで、もうちょい信じてくれないか、お前達。不安にさせたり色々不満もあるだろうが、少なくとも俺は、この国全体と天秤にかけてもお前等を選ぶくらいには愛しているよ?・・・ちょっと毎夜全員相手にするのは手加減して欲しいが。
そう言うと全員が飛び込んできた。ちなみに星が1番だった。なんだかんだこいつが1番俺至上主義だからな。今回もたぶん主犯だろうし、いつだって俺の周りの女に俺が1番だと自慢して、理解させる為に媚薬とか使ってまで俺を体験させたがる。人が増えて結局嫉妬してるのは何かアホだなとは思うけど。ある意味それも俺の為なんだろう。心配さてるのは俺だ。正直愛を試されるのは好きじゃないが、まぁ・・・多めにみよう。
なお、みんなが飛び込んできた瞬間に、一気に周りの視線がキツくなった。早くも爆発しろと言わんばかりである。だが残念、城くらいの大きさのタル爆弾でも俺は死なんぞ、たぶん。せっかくだし、見せ付けておこう。そう考え、俺と戦った嫉妬隊を見る。すると全員が一気に腰が引けて、視線を逸らした。叩き込んだ恐怖が正常に働いているな。よしよし。これでもう俺の前では役に立たないだろう。正直あの後死なない程度に痛めつけるつもりだったから、早く終わりすぎて焦ったんだよね!いやぁ、夏侯惇さんにあれだけ啖呵切ったから、きちんと心を折らないとね!
だから傷口に更に塩を塗り込むぜ!精神攻撃なら容赦も手加減も特に縛りを設定されてないしな!
なので容赦なく嫉妬隊の連中の前で、俺の女全員と一人一人、見せつけるようにディープなキスをする。あ、最愛の妻を間男に寝取られた夫みたいな顔になって全員膝が砕けた。もうちょっと見せ付けてやろうかと思ったが、さっきの発言と相まって何人か目が潤み始めてる流石におっ始めるのはマズいのでこの辺にしとこう。あれ、どした沙和。え、お前も?この軍に好みの奴いない?とりあえずナンパウザい?あ、そう・・・。流石についでに駆逐される沙和ファンは可哀想だが、まぁ仕方ないので沙和ともキスをした。沙和が鍛えた兵は嫉妬隊以外にもいたようで、そいつ等まで膝が砕けたように崩れ落ちた。えっと、流石になんか申し訳ない。すまん、一応沙和は俺の女じゃないので頑張れと心の中だけで祈っておく。
さて、予想外に長くなってしまったし、そろそろ帰ろうか、流琉。夕食の準備しなければ。そう言って帰ろうとしたが、華琳さんから待ったが掛かる。なんぞ?賭けの賞品?あー。じゃあとりあえず貸しで。今特に欲しいもんないし、こっちの方が華琳さん嫌だろうしね。元々の発端はウチの女性陣だが、俺が許すと踏んだ上であえてあんな言い方して俺を試したんだ、ちょっとくらい嫌がらせを受けろ。
そう言うと、あら、分かってたのね、なんてクスクス笑う華琳さん。わからいでか。どうせ俺がどれだけ皆を理解しているかとかその辺を知りたかったんだろ。その具合によっては離間計か、もしくは、将を射んと欲すればまず馬を射よ、ってところかな。誰か残れば俺も残るか、少なくとも俺と敵対はしないもんな。流石によく見てるよ、未来の覇王様は。
「そこまで私を理解している貴方も、やはり流石ね。ますます欲しいわ。」
今なら私の他に4人が付いてくるわよ、なんて言い出す華琳さん。荀彧さんと夏侯惇さんが絶望的な顔をし、季衣ちゃんは不思議そうで、秋蘭はこっちを見てニヤリと笑い、目だけでお望みなら構わんぞと言ってくる。当然それをキャッチした女性陣が俺にキツく巻き付くのを見越したイタズラだ。相変わらずタチが悪い。
肩を竦めて鼻で笑って返してやる。これ以上増えられてたまるか。物理的に時間と精力が足りなくなるわ。
そう言って今度こそ踵を返し、流琉を連れて歩き出す。が、みんな付いてきた。華琳さん達もだ。いや、仕事しろよ。え、もう今日は無理?誰かさんが盛大に演習場を破壊したから?あー。一撃も耐えられない地面が悪いよきっと。
そう言って後片付けを兵に任せ、俺たちは城へと戻るのだった。
・・・なお。余談になるが、
その日の夜、いつもより燃え上がる女性陣にいつも通り絞られていたら、華琳さんの罰で涙目の夏侯惇さんが俺たちの部屋にやってきた。全裸で。すったもんだの末丁重にお帰りいただき、彼女の体の代わりに真名を預かったのだった。
続く?
主人公は真・闘気術を覚えた!