避けたりとかそういうのはしない。   作:銀座

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珍しく長め。


33話 ビーバーの尻尾焼きは珍味やで。

 

やぁみんな、何か最近頭おかしい奴扱いされ始めたオーク系転生者の俺だよ!

 

 

 

 

ギャアギャア、と騒がしかった野生のダチョウを森に追い込み、無事に五羽ほど狩った。近くの小さい沢が有ったので、そこで羽を毟って解体する。内臓を取り出し、綺麗に洗い、最近作成した石箱に部位別に放り込む。足や頭は今回は残して、周りの獣にお願いしよう。

 

ついでにまだ残ってた野生のえのき茸を採取、肉を入れた石鍋と共に四次元袋にしまう。こんなもんか?まぁ途中何故かいたやたらデカいワニも狩ったし、これならまたしばらく持つだろう。そう判断して戻ることにする。

 

行き先は虎牢関の手前、曹操軍の陣営である。

 

 

 

◾️

 

 

あれから3日が経った。

 

あっという間に落とした汜水関とは違い、現在の虎牢関では中々攻略が進んでいない。メインで攻めまくってる袁紹軍と、袁術軍がどうにも力押しばかりで攻めきれず、たまに外に出てくる呂布さんに散々蹴散らされているみたいだ。

 

孫策軍も袁術軍に、肉壁的に結構駆り出されているが、呂布さんをうまくやり過ごしたりしてなんとか頑張っている。偶に孫策が暴走して周瑜さんが天幕内で酷い目にあったり、孫策が呂布さんにふっかけてあわや死にかけたりと大変だ。

 

僅か数日で周瑜さんが自陣を抜け出して酒持ってウチにくるくらい疲れていて、つい3日前くらいにうちの女性陣以外に2人きりで酒飲んだりしないと決めたのだが、むしろ女性陣から付き合ってやれと指示されるレベルで顔が死んでいる。お、お疲れ様です・・・

 

 

なお、曹操軍は最後方に移動させられ、虎牢関ではほぼ戦闘に参加していない。やる気が無いとかではなく、俺が前回汜水関で開始10分で敵将である張遼さんと華雄さんを捕らえて、戦闘を早期に終了させてしまい、汜水関での功績がほぼ曹操軍で独占してしまったからだ。なんでもこういった攻城戦では、固い城門を開く、将を討つ、などなど、色々功績が分けられているらしいのだが、まず前者2つの段階で俺が独占してしまった。

 

目立ちたがりの袁紹さんなんかは自分が出来なかった事を、自称ライバル的な存在の曹操さんにあっさりやられてしまったのでそりゃもう嫉妬しまくりで、ふん!ご苦労様ですわ、これからは私達だけで充分でしてよっ!と、最大戦力、総大将権限フル活用されてこんな端っこに追いやられてしまったのだ。

 

なので一応華琳さんには謝っておいた。問題無いわ、もう必要なものは手に入れたもの。と上機嫌だったからたぶん大丈夫だろう。春蘭と荀彧さんは未だに文句言われてるけど。

 

あ、騎手のいない馬発見!どうやら戦場から騎手が死んだかなんかで馬だけ逃げてきたのだろう。後ろ足に二本矢が刺さっているので動きがおかしい。ササっと近寄って鉈で首を切る。特に助けたりとかはしない。戦場では似たような馬が多過ぎてキリがないからな。

 

あとで文句言われない様に馬具はその場で廃棄、水が無いのでやり難いが、簡単に血抜きし、そのまま担いで行く。いやぁ、予定外の獲物だが食いでがあってラッキーだな!ちなみに、ウチには馬は大切な友だから食べちゃいかん、とか言う人間は居ません。俺がその辺容赦ないので、昔は野生のリスを見て可愛いと喜んでいたみんなも、今ではすっかり食料として発見したら俺に報告してくれる様になった。うむうむ。

 

 

思わぬ収穫にホクホク気分で俺たちの天幕に帰る。例によって少し周りから離れているので、とても分かりやすい。今は戦場に出ないので武将組が退屈して外で鍛錬したり模擬戦している。春蘭も交じっている様だ。

 

天気が良いので軍師組も外にいる。曹操さんに荀彧さんも来ているが、いつものことなので気にしない。彼女達は最初は武将組の鍛錬見たり読書したり、討論したりしていたが、今は将棋にハマっている。

 

象棋ではない、将棋だ。いつぞや俺が作っていたあれだ。あまりに暇そうだったうちの軍師組にルール教えてやってみたら、初体験の雛里に2戦目でもう負けて、周りで見ていてルールを理解した他の軍師組には初戦から勝てなくなった。そこに合流した華琳さんと荀彧さんにも同じ流れだ。

 

 

あっちゅー間に俺が追い出されて、彼女達が独占した。今では総当たり戦とかしながら、互いに分析したり評価しあったりしてる。コツコツ作っていたが、全部で2つしかないので、1つは華琳さんに奪われた。

 

打ち方にそれぞれの癖が出てて面白いとか何とか。荀彧さんは俺の弱さを散々詰ったあと、ゲーム自体はよく出来てると褒めてくれた。すごい嬉しいが、ゴメン、考えたの俺じゃないんだ。

 

 

「おっ!道玄おかえりって何だそれ!どっから持ってきたんだ!」

 

お、白蓮よっすよっす。これ!何か狩りの帰りで死にかけだったの捕まえた。今日は桜鍋だな!

 

えぇ、馬食べるのか・・?と複雑そうな白蓮。白馬何ちゃらとか言う騎兵で有名な白蓮の軍では、某顔が同じでやたら足が長いキャラがたくさん出るサッカーマンガの主人公にとってのボールみたいに、馬は友達的なアレなので、馬を食べるのに抵抗があるのだろう。

 

無理に食べなくてもいいよ、めちゃくちゃ美味いけど、みんな大喜びするくらい美味しいけど、無理に食べなくてもいいよ。そう言って優しく白蓮を気遣う。うがー!とキレ出す白蓮。あれ、気を遣ってるのに怒られたぞ 笑

 

 

ちなみに前回黄巾討伐のあと、何か忘れているなと思ったら白蓮に挨拶をして帰るの忘れてた。それはもう完全に忘れてた。

 

2日前に虎牢関で声かけられるまで、まるで気付かなかった。何なら反董卓連合にいた事さえ気付かなかった。

 

正直に言ったら今みたいにぶち切れた白蓮に斬りつけられたが、傷一つなかったので余計にキレられた。ちょっとキレやす過ぎるので、きっと生理中なんだろう。仕方ないなぁ白蓮は。なんてふざけまくってたら怒り過ぎて顔が真っ赤になってきたので、羌毅さん式ナデナデッ!相手はリラーックス!

 

そんな感じでイチャイチャしてたらみんなに怒られました。うう、白蓮が弄りやすいのが悪いんだ!

 

 

さておき、俺が帰ってきたので、武将組から凪と流琉が手伝うため外れてきた。うい、じゃあ俺この馬解体しちゃうから、2人は汗拭いたら手洗いして、流琉は野菜切ってくれ。久しぶりに桜鍋にしようと思う。凪は米頼んだ。

 

2人が頷いたのを確認し、ナイフを取り出す。関羽さんと会ったばかりの頃、初めての街で購入したこのナイフも、だいぶ使い込んでいるので痛んできた。まだ三年経ってないんだがなぁ。思い出深いアイテムなので、後で真桜に再利用出来ないか聞いてみよう。あ、白蓮こっちで食うなら副官に伝えてこいよ。

 

「あら、今日は馬をとって来たのね。なら桜鍋かしら。」

 

「私は山賊焼きが食べたいです。串焼きもお願いします。」

 

振り向くと華琳さんと稟が居た。どうやら2人は対戦が終わったので一足先に抜けて来たご様子。いつもいつもウチで飯を食い過ぎて食材で料理の予測が可能になってきた華琳さん。そろそろ金とるぞこらー!手を止めずに華琳さんにざっつらいと、稟に了解と伝えて、他の軍師組にももう少ししたら飯だからそろそろ終わりにするよう伝えてもらう。

 

 

「お帰りなさい、道玄。」

「むっ、馬だと?久しぶりに食べるな。」

「なんや華雄、涼州出身のくせに馬食うたことあるん?」

 

ただいま愛紗。手を止めずに返して、霞と華雄にはそろそろ汗拭いてこい、と伝える。ちなみに霞は張遼の真名だ。華雄はなんと真名が華雄らしい。名前は捨てたとかなんとか。ちなみに馬と共に育ち、馬と共に生きる涼州だからこそ、生活の全てに馬が関わり、当然食用肉にもなるんだそうだ。ちょっと意外だったが、言われてみたら当たり前だった。羊飼って毛を取る遊牧民だって羊食うもんな。

 

「む、分かった。」

「了解や、団長。」

 

よし、ああそうだ愛紗。汗拭いてからで構わないから、そろそろ残りの武将組にも飯だから終わりにしろって言っておいてくれ。

 

分かりましたと答え、天幕に入って行く愛紗を見送り、大まかな解体が済んだので、精肉作業に取り掛かる。やれやれ、この人数の食事の準備は大変だ。とはいえ、流琉や鈴々などちびっ子組が食べ盛りなので、安易に糧食などには頼らない。俺は最高位の親バカだから栄養面にも気を使うのだ。鈴々が酒を飲める歳とかそう言うのは無視だ。

 

 

そうこうしてるうちに白蓮が帰って来て、休憩として軍を下げてきた孫策達もやってきた。取り敢えず埃まみれで血まみれの孫策が興奮状態なので、頭冷やしてこいと風呂用天幕に行かせる。今は沸かしてないから水風呂だが、体拭く分には問題ない。周瑜さんがいつもすまんな、と苦笑いしながら孫策に着いて行き、孫権さんと甘寧さんがぺこりとお辞儀して続く。黄蓋さんと陸遜さんは一緒に軍師組の対局を観戦する様だ。

 

・・・やれやれ。そろそろ言っちゃうぞ?

 

 

 

何がどうしてこうなったっ!?

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

 

 

話は2日前に遡る。

 

 

ちょっとやり過ぎて最後方に左遷されたその日、俺を発見した白蓮にお前、あれはないぞとグチグチ言われながら、取り敢えず頭を撫でながらべっこう飴をあたえて誤魔化す。顔を赤らめてコロコロべっこう飴を舐めると静かになるあたり、相変わらずゲロチョロである。

 

そのまま華琳さんの天幕へ白蓮を案内していく。もう顔パスなので、親衛隊を素通りして天幕にはいると、そこでは昨日から続く光景が繰り広げられていた。

「お断りや。」

「断る。」

「2人とも強情ね。嫌いじゃないわ。」

 

 

 

コレだ。よく飽きないもんであるが、一応来客なので華琳さんに声をかけるが、華琳さんは2人に夢中なので白蓮を一瞥するとけんもほろろに後にしろと言われる。ドンマイ白蓮。そんな君が俺は嫌いじゃないよ。

 

 

「・・・こんな適当な慰めで救われた気分になる自分が嫌だ。」

 

 

怒ったり喜んだり落ち込んだり、忙しい奴だな。取り敢えず元気になる気がする金太郎飴を白蓮の口に刺しとく。長いから味に飽きる頃にはどうでも良くなって元気になるだろう。

 

 

 

さて、今どんな状況かと言えば、簡潔に言って華琳さんが張遼さんと華雄さんの2人を勧誘して失敗続き、というところだ。

 

 

華琳さんがこんな最後方に回されて俺を怒らないのは、華琳さんの欲しかったものというのが張遼さんと、2人が率いる精強と名高いらしい董卓軍の兵達だからである。華雄さんが地味におまけ扱いでカワイソス。2人は俺が捕まえたが、降伏した大多数の董卓軍兵士は、最後方に移る代わりに華琳さんが全部貰ってきたらしい。これでまた軍が強くなると華琳さんは大喜びだ。

 

 

 

実際、捕虜である投降兵は割とアッサリ華琳さんの軍門に下ったが、昨日の夜に目覚めたばかりの将2人には袖にされ続けている。華雄さんはともかく、張遼さんはなんでかなと思ったが、よく考えたら春蘭に一騎打ちで負けてないので従う理由が無かった。こんなところでも地味に原作ブレイクしてしまった。すまん華琳さん。

 

 

見るとウチの女性陣も含め、曹操軍の主要メンバーも何故か揃ってる。どったのお前ら。

 

 

「兄さま!いえ、私達は春蘭さんや季衣と訓練してて・・・。」

「風たちはみんなでお茶しようと思いましてー。」

 

 

なるほど。どうやらそれぞれ武将組と軍師組で集まってた様だ。ちらりと見るが、熱心に華琳さんは勧誘中だし、春蘭達もその手伝いみたいだ。ふむ。忙しそうだし、いいか。よし皆、俺たちは飯にしよう。まだ金太郎飴を舐めながら落ち込む白蓮の首根っこを掴み、そのままみんなで天幕を出ようとする。

 

 

「ちょっと待てっ、貴様!」

「ちょい待ちぃ!」

 

 

すると絶賛勧誘されてる2人から声を上げた。たぶん俺のことじゃないな、さて、今日は何作るかなー。あ、やっぱ駄目?はいはいなんざんしょ。飯の準備があるから手短にね。あ、華琳さん、邪魔してるわけじゃないから睨まないで。

 

 

どうやら話を聞くと、2人とも素手で俺が2人の攻撃を防いだ事が疑問らしい。俺サイキョーだから。刃物通らないからと適当に説明すると、ふざけてると思われたのか、納得してないご様子の2人。実際ふざけているが、だいたい嘘は言ってない。

 

面倒だから春蘭に攻撃させ実演。ガキンガキンと弾かれる剣を見て驚く2人と、ぐぬぬ!と悔しがる春蘭。実はこれ闘気術使って内側固くしてるんだがな。そろそろ通常人間状態じゃ危ない。言わないけど。まぁいつものことなので適当に頭撫でて誤魔化す。あ、余計悔しがってる。

 

 

まぁだから俺に負けたのは野良犬に噛まれたと思って忘れなー、とそそくさと帰ろうとしたら、張遼さんが急にブッ込んできた。

 

 

「ウチ、あんたになら従ってもええで。」

 

 

だから暇な時相手してや、と獰猛な目で笑う張遼さん。何言ってんだあんた。はぁ?強いものと戦うのが趣味?春蘭で我慢してなよ。俺はやだ。ええやーん、と楽しそうな張遼さん。あっさり前言を撤回した張遼さんに驚く華雄さんだが、自分に勝ったやつならウチは文句あらへん、という張遼さんの言葉に、むぅ、一理あるな。と悩み始める華雄さん。いや、悩まないでいいよ。まず俺が断る。

 

 

 

しかしこれをチャンスと判断したらしい、華琳さんがなら羌毅の下に付けるわ、とここぞとばかりに攻め始める。欲しいものが手に入りそうなのでとてもいい笑顔だ。しかし次の瞬間、まさかの横槍が入った。

 

 

「あ、その場合ですとウチの傭兵団には加入しないので、期間が過ぎたら曹操軍に再編されますよ。」

 

「それが嫌なら我らが傭兵団、緑鬼の剛腕に入隊と言う手もありましゅ!」

 

「詳しい雇用条件などの説明はいつでも受け付けてますっ!」

 

 

・・・え、なんて?

 

 

ちょっと理解できない言葉が聞こえてきたので、思わず聞き返してしまったが、誰1人として答えず、軍師組が2人に入隊条件、雇用条件などを説明し始める。武将組は愛紗だけ不満げだが、星や鈴々が仕方あるまい、みたいに慰めている。あれっ?なんか知らないの俺だけ?どゆこと?

 

「・・・道玄、説明してもらえるかしら?」

 

「ちょっとあんた、今度は何やらかす気?」

 

めっちゃ不機嫌な華琳さんと、失礼極まりないこと言い出す荀彧さん。待って待って、俺も聞いてないというかなんも知らないんだけど。ガチで初耳ですよ!というか緑鬼の剛腕って名前なの?全力で嫌なんだけど!何その恥ずかしい名前!?考えた奴頭膿んでんだろ!

 

突然の事態に理解が追い付かない俺。しかしそんな俺を不思議そうに見る女性陣。え、なに?

 

「何を慌てているのです主。傭兵団をやる、と言ったのは主ではありませんか。ほら、ほんの2、3週間前に。」

 

・・・何とな?

 

星の言葉を聞いて思い出してみる。えーと・・・あっ。

 

あれか!あの華琳さんについて来いって言われた時のか!ああー、なるほど。って、いやあれ冗談だって言っただろ!!なんでさも当然のように立ち上げてんの!?てか立ち上げるなら俺にも説明をしろよ!イジメかよ!

 

 

「・・・言われてみれば、兄さま居ませんでしたね。」

「そーいや、そうやったかも?」

「て言うか夜に話してましたからね、しない日は道玄は夜起きてませんし。」

「おとーさん寝てたのだ!」

「我らも盛り上がっていたからな!名前を決める時とか。」

「白熱しましたねー。稟ちゃんが久しぶりに鼻血出したりー。」

「私は今でも暴虐の鉄槌を推してます!!」

「朱里ちゃん舌噛みすぎて泣いてたのー。」

「はわわ、凪さんだって白熱して星さんと殴り合いしてました!」

「だって、雛里と星が金色の激震はダサいって言うから・・・。」

「あわわ、結局愛紗さんがゴリ押ししました!」

 

 

 

くっそ、何か凄え楽しそうで悔しい!その場にいたら絶対潰してたのに!そしてどれも恥ずかしい名前過ぎて笑うしかない。

 

つか、それ話聞いてないから俺やらないで良いかな。そんな恥ずかしい名前やだよ!!え、なに秋蘭、私は砕山鬼王を推すぞ?お前も参加してたのっ!?つーかセンスなっ

 

 

 

・・・どうしよう、ちょっと事態が俺を置いて先に進み過ぎてる。もう俺単身呉に仕えようかな。あ、華琳さん、ちょっと最近の秋蘭は春蘭より酷いぞ。気をつけてね!

 

 

 

「・・・誰のせいだと思ってるのかしら?」

 

 

 

凄い頭痛そうな華琳さん。え、まさか俺のせいだと言いたいのだろうか。そんな馬鹿な。元から秋蘭はあんな感じだったよ・・・?あれ、違うかも。あ、春蘭、怒るな怒るな。余計ややこしくなる。荀彧さん、待って。俺だけ現実に置いていかないで!

 

そうこうしてるうちに軍師組と2人の間で合意があったらしい。何かお互いに握手している。おい待て、俺はやらないぞ!やるならお前達だけでやれよ!

 

「駄目ですよ、道玄。貴方が団長なんですから。」

「もう街を出る前に牙門旗の作成を依頼してありますぞ。」

「牙門旗の印章も頑張って考えたのー!」

「張遼や!これからよろしゅう、団長!」

「華雄だ。出来れば馬が欲しい。よろしく頼む。」

 

 

俺は膝から崩れ落ちた。隣の白蓮が咥えてた金太郎飴を差し出し、元気出せ、と慰めてくる。

 

 

・・・なんだろう、無性に優しさが心に染みる。

 

 

でもお前の舐めかけはちょっと。正直に言ったら白蓮に激怒された。

 

 

 

・・

・・・

 

・・・と、まあそんな事があったのさ!どうだい?酷い話だろ?

 

・・・いやホント、酷い話だよ。

 

 

おかげで華琳さん達からむっちゃ愚痴られる。正直俺なにもしてないしなんなら貴女の隣で済ました顔してる青髮弓使いの方が戦犯だと思うよ?

 

桜鍋をみんなでつつきながらそんな話をしていると、秋蘭がお前のものが私の心まで貫いてしまったのが悪いのさ、とニヒルに言う。いや、お前の言う俺のものってチ◯コだろ。本当にチ◯コに心貫かれちゃったのお前。ただのエロ堕ちじゃんそれ。しかも自分から貫かれたからただの淫乱じゃん。あ、凄い華琳さんが頭痛そうな顔した。

 

ちなみに、張遼さんと華雄さんとは傭兵団の正式入隊時に真名の交換をしてます。華雄が真名らしい華雄さんとは交換と言っていいのか微妙だけど。正式入隊もただの宴だったし。酒で真名許す張遼さんもとい霞って、やってる事季衣ちゃんと一緒なんですがそれは。いや、頭が痛くなるので深く考えないようにしよう。そうしよう。

 

 

「なんと言うか、団長とは大変なのだな。」

 

私にできる事があればなんでも言ってくれ。そう頼もしい事を言ってくれる華雄。うう、2次創作で散々な扱いの華雄さんがこんな良いやつだなんて、2次創作知識って本当に当てになんない。ありがとう華雄!大好きだってハイ、もちろん愛紗が1番です。

 

 

・・・いかなときでもこの手の話題は秒で察知するな、愛紗。おっかねぇ。

 

 

閑話休題。

 

 

「私達も出るわ。」

 

華琳さんが軍議から帰ってきて言った。あれ、良いの?

 

「問題ないわ。各諸侯に泣きつかれたのはこちらだもの。最初は文句言ってた袁紹も、自軍の五分の一を失っては、流石に強気に出て来なかったわ。」

 

普通なら大敗で即時撤退してもおかしくないわ、と華琳さん。えーと、袁紹軍の2割って事は・・・二万!?うわぁ、劉備軍が10回全滅するくらいやられてんのか。呂布さん強すぎィ!

 

そんな事を考えていると、霞と華雄が俺の袖を引っ張る。申し訳なさそうな顔をしているので、何か言う前に今回は参加するなよって先に言っておく。仲間にすぐ刃は向けられ無かろうとかそんな感じの事を言ってみんなからも了解を得たし気にすんな。2人に礼を言われた。ちょっと照れるので、頭撫でて誤魔化した。

 

 

「・・・ところで道玄、呂布の相手は任せてもいいのかしら?」

 

 

軍議を真面目に聞いているそフリして鈴々や流琉を連れて海行きたいなぁとか全く関係ない事を考えていると、唐突に華琳さんに話しかけられた。改めて見ると、何かみんなに注目されていた。え、なになに?あ、呂布さんか。

 

 

うーむ、まぁ何とかなるよたぶん。やってみないとわからないけど、負けはしない筈。

 

 

そう言うと華雄と霞が驚き、華琳さんは楽しそうな顔をした。では任せるわ、と言われるので、全部任されておく。すると愛紗が側にきて、大丈夫ですか?と不安気。どうやら1人で2万を屠る呂布さん相手だと心配してくれるらしい。大丈夫大丈夫、俺人外だから。

 

そう誤魔化して、見るとウチの女性陣全員が心配そうに見てた。笑って大丈夫と安心させておこう。星が念の為に子種を、とかほざき出したので、みんなが同じ事を言う前に封殺しておく。

 

だいたい軍議もまとまったので、霞と華雄に後で話がある、と耳打ちする。2人が不思議そうな顔をするが、了解してくれたのでいいや。あ、愛紗よ、特に何もないから擦り寄って来ないで。怖いっす。

 

 

 

⬛️

 

 

 

 

 

 

さて、早速の虎牢関最前線、なのだが・・・ちょっと問題が起きた。俺が出てきた瞬間に相手の兵が一部動揺したのだ。

 

「頭おかしいのがきたぞぉぉぉ!」

「引けぇ!門から距離をとれぇえ!」

「よせ門を閉めるな!余計に被害がでるぞ!」

「あいつ刃物通らないんだけど!どうしろってんだ!」

「門を開けろ!全員で包囲すればまだ可能性がある!たぶん!」

 

 

・・・えっと。どうやら汜水関で俺の戦闘を見た一部の兵がこちらに逃げてきたらしいな。でもちょっと怯え過ぎじゃない?あ、星。なに?出てきただけで阿鼻叫喚ですな?嬉しくないよ馬鹿野郎!!

 

ちょっと熱烈な歓迎に驚いていると、大きな門がゆっくりと開いた。中から真紅の牙門旗と呂の文字。呂布さんの登場です。後ろの方には陳宮さんもいる。

 

呂布さんの騎馬隊がゆっくりと歩いてくる。その堂々とした姿に、圧倒的な威圧感に、散々やられた周りの諸侯がソワソワと及び腰になり、ウチの英傑しか居ない武将組も固唾を飲んで見守る。

 

やがて俺が1人前に出ると、呂布さんも馬から降りた。あれ、乗ったままで良いよ?

 

「馬がいると・・・全力、出せない。それに、巻き込むと死ぬ。」

 

真紅の触角を僅かに揺らしながら、呂布さんが静かに呟く。過大評価で困るが、動物好きの呂布さんの前で大事な仲間の馬さんを巻き込むのもあれだし、素直に感謝しておく。

 

・・・これ以上ふざけてると死ぬな。俺の中の野生の勘が激しく鳴り響いてる。

 

そうか、と呟いて、俺は両腕を元祖闘気硬化、全身に闘気術で内部闘気硬化を施す。呂布さんは左足を前に出し、身体を半身に、手にした方天画戟を構える。次の瞬間!

 

ドガァッ!

 

轟音。

 

正しく目に映らない速度で振るわれた呂布さんの方天画戟。巨岩が爆砕したような音が、防御した左腕から鳴り響く。足に力を入れて、力を抑え込む。

 

それでも俺の身体が5メートルは右に流された。6メートルを超える巨大イノシシの突撃も、武将組全員の同時攻撃を受けても、微動だにしない俺の身体がである。

 

攻撃を受けた左腕が痺れている。G級ハンターの溜め三を容易く弾く激昂ラージャンの闘気硬化した腕、それも二体分の頑強さを誇る俺に弾かれることなくダメージを叩き込み、かつ彼女の武器には刃こぼれ一つない。・・・G級どころか一級フロンティア装備並だ。闘気硬化も何もしなかったら、今ので腕一本無くなってたな。

 

 

「・・・ッ!」

 

離れたところで愛紗が息を飲む。まぁ気持ちもわかる。これは駄目だ、完全に化け物だな。まさか数万の兵を相手どり、更に孫策達英傑を同時に相手取って尚無傷の呂布さんが、あれでまだ全力でないとは誰も思うまい。俺も思わなかった。今の一撃、当たる範囲に入れば人間は1000人同時に死ねるぞ。

 

「・・・お前、強い。」

 

はは、お前こそ本当に人間かよ。

 

射抜くような鋭い目でこちらを睨む呂布。これで可愛い女の子だからこの世界は困る。呂布さんの後方から陳宮さんの声が響く。だが彼女は微塵も目を逸らさない。やれやれ・・・。

 

肌の色がうっすら変わる程度に超弱変身。闘気術も相まって、これで極限ラージャン3.5体分だ。同時に身体の機能も上昇し、痺れていた腕が元に戻る。さて。

 

一歩で彼女の前に飛び込み、潰すつもりで上から打ち込む!

 

 

ズガァン!

 

 

打ち込んだ拳が巧みに流され、地面に激突、巨大な亀裂が大地を割り、一部の兵が亀裂に落ちて、虎牢関まで響く震動が辺りを揺らした。

 

全軍がバランスを崩す震動、されど間近にいた彼女は止まらない。ヒラリと蝶のように舞い、されど隼のような一撃が、正確に首を狙って振るわれた!

 

ガキィン!

 

今度は動かない。より硬質な音を立てて彼女の武器が弾かれる。その衝撃に逆らわず一緒に飛んで、距離を取る呂布。しかしその顔には驚愕が浮かぶ。俺は周りで見守る皆に、心配ないぞと指し示す為に、首に残る衝撃を無視してニヤリと笑う。

 

 

 

「・・・今、何かしたか?」

 

 

「・・・ッツ!!」

 

 

その言葉を合図に、本当の闘いが始まった!!

 

 

 

⬛️

 

 

ガギギギィィン!

 

全力の連撃。並の兵士なら一発で100回は死ねる攻撃が、嵐を通り越して津波の様に襲い掛かる。

 

頭にくる攻撃だけなるべく防御して、前に詰める。攻撃が速すぎて俺の周りに壁ができた様だ。舞い上がる砂埃も、巻き込まれた兵士も、鋼鉄の武具も何もかも、粉砕する暴力の津波。俺じゃなかったら10万回は死んだな。

 

つーか速すぎて全然当たんない!手加減とか捉えるとか以前の問題だよ馬鹿野郎!なんやねんこいつ!

 

公式武力チートマジやばい。どの2次創作でも中々オリ主が呂布さんに勝てないわけだよ!つーか勝てたら人間じゃないわマジで!俺は人間じゃないから何とかなってるけど!

 

 

しかし、まぁ何とかなりそうだ。既に戦闘を初めて30分が経過し、殆ど動いてない俺に比べて、常に全力疾走状態の彼女では、当然スタミナが切れるのは彼女が早い。俺途中から攻撃さえしてないしな!

 

ズザァ、と呂布さんが距離を取る。しかしその呼吸は荒く、両手は震え、武器を持つのがやっとだ。まぁ上位とはいえ、古龍素材まで使ったこの地上最強シリーズをボロボロにするのだから本気でおっかない。凪に気を教わっておいて本当に良かった。あ、膝をついた。

 

・・・まだ、やるかい?

 

「はぁっ、はぁっ、・・・まだ、負けてない。」

 

そうかい。ではそろそろこちらからもって・・・あん?

 

唐突に降り注ぐ矢の雨、みると向こうの方で陳宮さんが恋どのー!!って叫んでいる。やれやれ。静かに息を吸って・・・

 

「ねね、駄目ッ!!」

 

グルォォオオオオオオッッ!!

 

 

久しぶりのバインドボイス。俺に当たりそうだった矢が全て衝撃で弾かれ、矢を放っていた兵達全てが恐怖で蹲る。後ろの方で味方も身を竦ませてるがそれは無視。本能が人間より強い騎馬たちが恐慌を起こし、乗っていた兵士が落とされる。それは指示を出していた陳宮さんも例外ではない。

 

 

「ねねっ!」

 

叫ぶ呂布さん。しかし疲労で直ぐには動けない彼女。陳宮さんが落ちて、暴れる馬に踏み潰されそうになる。よっと。

 

「・・・ッ!あれ?」

 

痛くないのですぞ?と不思議そうな彼女が一瞬で驚愕するも、叫ぶ前にべっこう飴を放り込んで鎮圧する。まぁさっきまで離れたところにいた敵が急に自分抱き抱えてたら驚くよね。俺は大人な男には優しく無いが、女子供には優しいタイプのオークさんなんでね。

 

そのまま彼女を呂布さんの前まで連れて行き、彼女の前で降ろす。不思議そうな顔で、しかし恋どの!と呂布に駆け寄る陳宮さん。へたり込んだまま陳宮さんを受け止めた呂布さんが、呆然とこちらを見る。

 

 

「・・・なんで?」

 

さぁてね。それより、まだやるかい?

 

彼女の疑問に答えず、逆に問いかける。すると彼女は周りを見渡し、やがて言った。

 

「・・・皆には、手を出さないで。」

 

約束しよう。手を出す奴は味方でも俺が殲滅する。

そう言うと味方の軍が全員後ずさる。おいおい、安心しろ、嘘じゃ無いよ。

 

「・・・分かった。ならいい。・・・恋の負け。」

 

そう言って彼女は武器を放り投げた。同時に董卓軍全員が膝をつき、反董卓連合全員が雄叫びを上げた。この戦い、俺たちの勝ちである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・いや、つーかお前ら何止まってんだよ!俺が呂布さん抑えてる間に虎牢関攻めるって話だろ!サボってんじゃねぇよ馬鹿野郎!!

 

俺は一騎打ちなんか受けてないぞ!そんな空気だったけど!

 

 

⬛️

 

さて、周りが騒ぐ前にサパッと呂布さんと陳宮さんを担ぎ上げ、忘れずに方天画戟を拾ってスタコラサッサと自分の天幕まで撤退してきた。

 

2人を降ろす。なんかお前なんか怖く無いぞ!と怯える陳宮さんにはチュッパチャプス風べっこう飴を口に刺し、羌毅さん式ナデナデっ!相手は落ち着くぅ!やがて緊張が解けた陳宮さんがやめやがれですっ!と言いながらも美味しそうに飴を舐める。ふ、ちびっ子の相手をさせたらこの俺の右に出るものは居ないっ!!あ、呂布さんもいる?ってなんで服脱いでんの?

 

「・・・違うの?」

 

どうやら自分の天幕まで連れてきた理由を誤解されたらしい。まぁ普通の兵ならそうなんだろうが、俺は貴女に勝った時点で普通じゃ無いので違います。まず種族から違うんだぜ!

とりあえず彼女にもべっこう飴をあげて、脱ぎかけの服をもっかい着させる。すると呂布さんのお腹から凄い音が鳴った。

 

 

「・・・お腹空いた。」

 

 

そういやこの子燃費激悪だっけか。あれだけ動いた訳だし、飴なんかじゃ無理か。よしよし、じゃあおいちゃんが飯を作ってあげよう。そう言って頭を撫でる。キョトンとする彼女達。まぁそりゃそうだ。

 

 

「道玄ッ!」

「主人ッ!」

「恋、ねねっ!」

「無事か2人とも!」

 

そうこうしてるうちに愛紗と星が俺に飛びついてきて、呂布さん達には霞と華雄がやってきた。心配しなくても怪我しても無いしさせても無いよ。そうして宥めながら、更に皆んなが来るのをボヤーと見る。いかん、転生して初のガチの命を賭けた闘いしたからちょっと疲れているな。

 

全員が集まったところで、流琉と凪に食事の準備の手伝いを頼む。時間が微妙なので、2人が不思議そうな顔をするが、ギュルルと大きな音を立てる呂布さんを見て納得したらしい。直ぐに分かりました、と言ってくれる。うむ、流石である。

 

よし、じゃあ皆、疲れたから食事にしようか。それと呂布さん、君にも働いてもらうから、ご飯食べたら用意してね。

 

「なっ、恋どのは疲労困憊ですぞ!それを急にー」

「ねね、いい。・・・分かった、何をすればいい?」

 

ん?道案内。華雄と霞にも頼んだけど、一緒にお願いね。あ、陳宮さんはお留守番ね、危ないから。

 

「・・・?何処を、案内すれば良いの?」

 

 

洛陽。賈詡さんと董卓さんを助けるのさ。案内してくれ、反董卓連合が洛陽に着く前に、とっとと連れ出すぞ。

 

 

そう言って笑う俺。事情を説明した2人以外が驚愕する。だが気にしない。本来なら一刀くんがやることだが、俺のせいでここに居ないからな。代わりにやりましょうじゃありませんか!

 

 

さぁ、張り切って参りましょう。まずは腹拵えからな!

 

 

 

 

続く?

 

 




圧倒的な体格差で、相手が諦めるまで暴れさせ、諦めたところで連れ去るクソ外道系オークさん。
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