避けたりとかそういうのはしない。   作:銀座

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この小説にアンチ、ヘイトはたぶんありません。


35話 湯豆腐に鶏肉を足すと幸せ。

 

やぁみんな、最近は良く女の子を攫う普通にオーク系転生者の俺だよ!

 

 

 

 

 

とうつきー!

 

 

あれからさっくり2人を攫って戻って来た俺が最初に思った事は、3人も道案内いらなかったなー、だった。連れてったの俺だから言わないけど。

 

あの後陣地内の天幕に戻ると、全員が起きて待っていた。連れ帰って下ろした瞬間、呂布さんに抱き着く陳宮さん。正直そこは董卓さんじゃないのか、と思ったけど、その後2人にも抱きついてたから良しとしよう。華雄と霞も嬉しそうだった。

 

ちなみにそれを横目に見ながら俺は全員にキスしてました。愛紗とだけして後で、と行ってしまったので、約束を守る為には仕方ない。それが済んだ後、ここが反董卓連合の陣地と知って大声を上げそうになる賈詡さんを羌毅さん式ナデナデと特大べっこう飴のコンボで無理矢理宥めて、天幕に連れ込んだ。ここだけみたら完全に事案なので思わず周りを見渡してしまったぜ。

 

 

その後、2人に変装してもらい、偽名を適当に決めた。変装といってもそこまで大したものでは無い。2人の如何にも仕立ての良い服を、背丈の同じくらいな幼女組の予備に変えてもらい、髪型を変えて貰っただけだ。・・・予想外に賈詡さんの胸が大きくて苦労したが、沙和と真桜が元々の服を材料にざっくり手直ししてくれた。身長鈴々と変わらんのに、凄い人だなと思った。

 

 

 

今となっては有名人とは言え、董卓さんと賈詡さんの姿を直接見たことがあるのは元董卓軍の兵士と、何か偉い席で一緒になった事があるらしい袁紹さんだけだ。さらに元董卓軍の兵達も、武将達ほど間近で見た事があるのは限られている。ならば割と雑な変装でも意外とバレはしないものだ。まぁできる限り人目につかないようにはするけど。

 

そんな説明を軽くして、2人にこれからの身の振りについて説明する。

 

とりあえず、しばらく2人にはウチの傭兵団の雑務をしてもらいます。身の回りの世話とか調理の手伝いとか掃除とかそんな感じ。もっとも落ち着くまでな。とりあえず2人は死んだ事にして、有耶無耶になったら好きにして良いよって事で。

 

「み、身の回りの世話って何よ!まさか月に情婦になれってこと!?絶対にさせないわよ!」

「じょ、情婦!?・・・えぅ。」

「・・・道玄?」

 

んなわけないだろ馬鹿か。そのままの意味だよ。ウチの傭兵団は軍師がたくさんいるので経理から何からぶん投げられるのは良いが、肝心要のパートさん・・・なんて言ったら良いかな、んーと後宮における女中というか、まぁ使用人かな。それが居ないんで、それになってもらう。まぁ普通にやりなれない仕事だと思うが頑張ってくれ。あと愛紗、過剰反応し過ぎ。お前らがいるのにいちいち情婦が俺に必要だと本気で思ってんのか。

 

 

むぅ、と愛紗が俺の腕を抱えてむくれる。やれやれ、相変わらずヤキモチ焼きである。仕方ないな愛紗は、なんて言って星が反対の腕を取り、鈴々が愛紗は嫉妬深いのだ!と言って俺の膝にのる。でも気持ちは分かります、と凪が後ろから首を抱え込むように抱き着いた。そして女性陣全員が俺の側に立つ。・・・あれっ?

 

 

「実際おにーさんはふらふらし過ぎですー。」

「また女の子連れて来たし、全く説得力無いの!」

「にいさん、この戦だけで何人女を増やしたか数えてみぃや。」

「道玄様、流石にそろそろ反省して下さい。」

 

あれっ。愛紗を嗜めるんじゃなくて俺が怒られてる!?というか待て、霞と華雄を入れたのは俺じゃないし、呂布さんも陳宮さんもまだ入った訳じゃないぞ!だから実際俺が連れて来たのはこの2人だけだ!

 

 

「だんちょー、恋達一緒じゃ・・・駄目?」

「こらー!恋どのをいじめるなですぞー!」

 

うぐっ!何て目をするんだ・・・!まるで雨の日に捨てられている子犬の様!くぅ、流石は万夫不当、精神的攻撃力も尋常じゃねー。ぬぬぬ、駄目とか言えない!俺は雨の日に捨てられた子犬を拾いたかったけど全然出会えないうちに死んだ前世を持つ男!これを拒否したら俺は俺じゃねぇ!朱里、雛里、2人にも入団手続きを!

 

「主人、意思が弱過ぎますぞ・・・!」

「私が言うのも何だが、それはどうなんだ?」

 

うるせー!あの目に真っ向から向き合ってから言え!無理だから!出来たら悪人だから!できる奴は俺が手加減なく殴れるから!

 

「・・・まぁ確かに、恋のあの目はちょっと。」

「ウチでも断れんなぁ・・・。」

 

霞と華雄もやられた経験があるのだろう、苦笑いしている。朱里と雛里が呂布ちん達に説明しているのを横目に、未だ信用し切れてない顔の賈詡さんと向き合う。まぁ直ぐに信じろとかは言わないけど、2人で逃げ続けても無理があるのは分かるだろ?とりあえず霞や華雄を信じて、しばらくはここに居たら?

 

 

「・・・分かった。正直まだ理解出来ないし、あんたを信用した訳じゃないけど、行く当ても無いのは確か。とりあえず皆もいるみたいだから、お言葉に甘えるとするわ。」

 

 

よか。まぁ気に入らなきゃ好きにして良いよ。その時は呂布さん達も協力してくれるだろうし、信じられそうなとこ行きな。・・・さて、賈詡さんはこう決めたが、君はどうする?董卓殿。

 

「私は・・・。」

 

未だ悩む董卓さん。賈詡さんが何かと説得しているが、やがて決意した顔をする。

 

「あの、私やっぱり「戻って責任を取ります、か?」・・・え、何で・・?」

 

え、分かるよ?そんな顔してるもん。まぁどうしてもっていうなら止めないけど、そんなに死にたいの?

 

「それは!・・・そんな事は、無いです。でも、私が生きてると、皆に迷惑がかかります。詠ちゃんだって、私がいなければこそこそしないでも生きていける。だから!」

 

「何言ってるの月!そんな事私は望んでない!私は月が生きていてくれればそれでいい!だから気にしないでいいのよ!」

 

 

でも、だって、と言い合う2人。そこに霞や華雄、呂布ちんや陳宮さんも加わって説得に入る。ウチの女性陣は何か言いたそうだが、霞達に遠慮して、黙っているようだ。鈴々を俺を見るだけで何も言わない。うむうむ、鈴々も大人になってくなー。嬉しいけどちょっと寂しい。まぁもうちょいだけ待つか。くぁ、と欠伸がでる。眠い。呂布ちんとの戦いの疲労が残ってるくさい。初めてダメージ入れられたからな。完全変身の影響で完全回復してはいるけど、精神的な疲れは取れてない。

 

 

うぅむ。眠いからぼちぼち介入しよ。おぉーい、董卓さんや。君が死にたい理由を教えてくれよ。埒あかねえ。

 

「ちょっと何言ってんのよあんた!」

「わ、私は死にたい訳じゃ・・・!」

 

あん?じゃあ生きていたくない理由でいいよ。違いはわからんけど。お前さんが言う迷惑とやらは本人達が大丈夫だって言ってんのに死のうとするなら、あれかな、矜恃ってやつ?

 

「ち、違います。本当に私は死にたくなんか・・・。」

 

じゃあ何でわざわざ必ず死ぬ責任をとろうとしてんの?言っとくけど周りに迷惑かかるから、は駄目な。周りが良いっていってんだから、それでも嫌だって言うなら単にお前さんの自己満足だし。で、なに?俺が納得出来たら好きにして良いよ?

 

「ちょっと良い加減にしなさいよあんた!何てこと言うのよ!」

「団長、言い過ぎや。そこまで言わんでも・・・。」

「そうですぞ、酷すぎますぞ!」

 

黙れ。それが余計にその娘を傷付ける。分からんなら分からんでいいからちょっと口閉じてろ。何より、俺が質問してるのは董卓だ。

 

 

なっ!と怒る3人を恋と華雄、星達が止める。邪魔が居なくなったところで、もっかい聞くけど。何で死にたいの?

 

「わ、私は本当に・・・!」

 

・・・やれやれ。じゃあ質問変えるわ。そんなに自分が嫌い?思わず死にたくなるくらいに。

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

その場にいる全員が驚愕し、息を飲む。董卓さんが目を見開いて何故、と呟く。いや、匂いで強い自己嫌悪してるのはわかってたし。ほら、答えろよ。・・・答えられない?

 

仕方ないな、じゃあ当ててあげよう。・・・誰かに助けられているのに、その人達を助けることも傷付けて生きている自分が嫌い。どうよ?

 

「・・・なんで、なんで分かるんですか?」

 

さてね、勘かなたぶん。

 

月、と信じられない様な顔で董卓さんを見る賈詡さん。霞達も驚きを隠せない模様。

 

「・・・ずっと、ずっと思ってました。どうして私はこうなんだろうって。いつも誰かに助けられて、護られて、でも私は皆に何も返してあげられない。

 

せめて他の誰かを助けたくて、困ってた天子様を助けようとして、それすら皆に助けてもらって・・・。いつの間にか妬まれて、皆に何も返せないまま、貶められて殺される事になっちゃって。

 

 

そんな私を、何も出来ない私を、それでも皆が助けてくれる。詠ちゃんは何日も寝ないで、色々なところに掛け合って、手を回してくれて、兵士たちは笑って私を守ると言って、民ではなく私の為に戦場にいって、私の為に死んで・・・!

 

 

それでも私は、何も・・・何も出来ない。一緒に戦うことも、天子様を見捨てることも、戦う皆を守ることも、本当に何も出来ないまま、全てを放り出して、また助けられた!

 

 

生きてるだけで、誰かに迷惑かける!また、私の為に誰かが代わりに死ぬ!!

 

・・・そんなの、そんなのもう嫌です。私が死ねば、私が居なくなれば、誰ももう傷付かない。だから、だから私はここで死ぬべきなんです!」

 

 

隠していた少女の苦悩、それを聞いて皆が黙る。賈詡さんでさえ、何か言いかけて、結局何も言わずに俯いた。

 

 

・・・はぁ。で?それで終わり?

 

 

「・・・えっ?」

 

え、本当に終わりかよ。ほぼ私が、しか言ってねぇし。いやまぁいいけどさぁ。でもそれだと・・・

 

「本当にお前の為に頑張った連中の努力と命が無駄になったな。」

 

「ッ?!」

 

俺の言葉で息を飲む董卓さん。いやいや、大した自己中っぷりである。賈詡さんどころか全員が睨みつけてくるがはん、と鼻で笑ってやる。

 

だってそうだろ?お前を守る為に賈詡さんは何日も寝ないで頑張って、霞や華雄、兵士たちは自分達より圧倒的に数が多い敵と戦った。2人がやられて、呂布さんと陳宮さんはそれでも虎牢関を何日も護った。当然何人も兵士たちは死んだろうさ。

 

それでも、それでも皆が守りたかったお前の命を、お前自身は要らないと言う。これが無駄でなくてなんだ?ほらなんだ?言ってみろ。

 

 

「そ、それは・・・!」

 

 

はは、言えないか?言えないよな。実際無駄になるからな!

正直に言わせて貰えば、今更何言ってんの?って話だな。誰かが死ぬ前にお前が死んだなら、確かに全て解決しただろうさ。

 

でもちんたらしてたから、お前を護りたい人間が死んだ。いいか?その時点で、お前が死んで責任を取る、ということはもう出来ないんだ。お前が辛かろうと苦しかろうと、責任を取りたいのならば、お前は生きねばならない。

 

つーかハッキリ言って決断が遅すぎる。お前は今まで何してたんだ本当に。誰かがなんとかしてくれるのをただ待ってただけか?何も出来ないって言い訳してただけか?そこの賈詡みたいな連中に、甘やかされてただけか?

 

「なっ!あんた本当にいい加減に!」

 

うるせぇな今は俺が喋ってんだろ黙れ。お前はそうやって護ってるつもりだろうがな、そのせいでそこの娘は何も出来ないって嘆いたまま死のうとしてんだよ。まだ分からんのか?お前がそうやって甘やかすから、何も出来ないと思い込んだまま、こいつは今までやってきたんだよ。

 

「・・・えっ。」

 

腐敗して権力と地位だけの名家で我儘放題に育った子が、それしか取り柄のない愚物になるように、人は何もかも与えられたところで落ちぶれるだけだ。弛まぬ努力を続けるから武は磨かれる。鍛錬無しに今より強くなれるか?書を読まずに、書の知識を学べるか?分かるだろ、お前らなら。

 

さて、董卓。そこで質問だ。お前、何故その立場にいるんだ?人々の明日を決められる立場に、何故お前は立った?争いごとが嫌いなら逃げるなり、それが出来ないなら才能なくても戦うなり、自分でやらなければならない事があったはずだ。さぁ何故だ、答えろ董卓!

 

 

「そ、それは・・・。何も、何も自分で考えて来なかった・・・から。」

 

 

そうだな。お前は自分で考えずに、誰かに任せっきりにしてここまできた。自分の人生なのに、だ。だから、今こうして何も出来ないままここに居るのは自業自得、そうだな?

 

 

「・・・はい。その通りです。」

 

よし、じゃあこの話は終わりな。では話を戻すけど・・・って何だよお前ら。何驚いてんの?

 

「えっ、だって今私を責めていたのでは、罪を認識させようとしてたのでは・・・?」

「ボクと月を叱ってたんじゃ・・・?」

 

はぁ?いや全然違うけど。なんか董卓さんがみんなの為に死ぬ!みたいなパチこいて私が死ぬのが正しい、とか最もらしいこと言い出したから、ムカついて自業自得だろって論破しただけです。特に意味はない。

 

なんか呆然とする董卓さん等に、言いたい事は今から言うのでちゃんと聞きなさい。と言う。

 

ぶっちゃけた話、兵士たちは自分達で決めて戦場に行ってます。いい大人が自分で決めた結果なら全て自業自得です。誰かの為とかそーゆーのは他人の自己満足でしかないです。えーとつまり。

 

「自分が死にたい理由を誰かの所為にするな。どこまで行っても、お前が今死ぬのは責任ではなくただの自己満足だ。」

 

それで救われるものなど、お前しかいない。

 

 

・・・うん、途中から自分でも何言いたかったか忘れたけど、だいたい辻褄合ってるから大丈夫でしょ!とにかく董卓さん納得させておかないといつまでも寝れないからな。むしろ眠すぎて途中ほぼ寝言みたいなもんだったけど、なんかみんな黙って感じ入ってるし、勝手に自己完結したでしょ!

 

 

「・・・私は結局、皆の所為にして逃げていただけなんですね。詠ちゃんや、恋さん達、兵士のみんなの頑張りに、泥を塗ろうとしてた。」

 

「違う!それは違うよ、月!確かに月は楽になりたかったのかもしれない、だけど!月は天子様を手放さなかった!世間はそれを強欲だと言うけれど、十常時のいる後宮に帰るのを恐れた天子様を守る為に、天子様を返せば、責められることも無かったのに!それは月が優しいからだ!そんな優しい月が大好きだから、みんな頑張ってくれた!そんな優しい月だから、みんなが自分のために死ぬのが耐えられなかったの!」

 

 

 

・・・なんか2人が人生の重要イベントしてる。あの時彼女の言葉があったから私はーってのちに語られる奴やこれ。うーむちょっと見てたい気もするけど眠い。四限目に体育でマラソンやって、昼休みにたくさんご飯食べて、五限目に心地よい陽の光と、爽やかな風を浴びながら、滑舌悪い上に声も小さい先生に、古文の授業受けてるくらい眠い。

 

 

・・・うん、これ無理。

 

 

もういいや寝よう。あとみんな任せた。華琳さんとかにはテキトーに言い訳お願いします。

 

「だんちょー。眠いの?」クイクイ

 

誰かに服を引っ張られる。やめなさい。今俺の服はボロボロなんです。俺の体でかいから替えすくないんです。分かったら離して、そして寝かして呂布さん。

 

「恋でいい。なら恋も寝る。一緒に寝よ?」

 

あーハイハイ、いいよー。おいで恋ちゃん。

 

もはや七割寝た頭でゴソゴソと毛布を取り出し、横になる。すると腕の中に入ってきたので、傷付けない様にゆるーく抱き締める。うむ、温い・・・。

 

 

なんか皆が怒鳴る声が遠くに聞こえる・・・。

 

も・・・無理・・・。

 

 

おやすみなさいーーー・・・。

 

 

 

そのまま俺は眠りについたのだった。

 

 

 

続く。

 

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