避けたりとかそういうのはしない。   作:銀座

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予想通りかなり忙しいので、すいません、これから更新遅くなります。


37話 カレー味の焼肉は、カレー粉だけでは出来ないから気をつけろ!

 

 

 

やぁみんな、最近危機感知能力が仕事してくれない野生のオーク系転生者の俺だよ!

 

 

 

 

 

 

 

みんな知ってるだろうか?ハーレムが辛いってことを。

 

 

腹上死を男の夢とか、理想の最期だと思ってる人たちに告げる。

 

 

ガ チ で や め と け !!

 

 

真面目に辛いから。本当にいっそ殺してくれって思うから!

 

 

 

 

 

・・・おっと、失礼。少々取り乱した。ええそうです。何とか生きてます。

 

予想通りというか当たり前というか、あの人数は普通に無理だった。2週間経つ前に俺の意識がなくなったので、詳しいことは分からないが、目覚めた時に目の前にいた華佗が言うには、濃い灰色の俺の髪が完全な白髪になっていたらしい。ギリギリで俺の自己治癒機能が命を繋ぎ、さらに鍼の通らない俺に薬に気を込めて飲み込ませ、何とか回復したと華佗が言った。

 

どうやら華佗が居なければガチで死んだかも知れないヤツだったらしい。愛紗の手料理、恋との戦い以外で初めて死にかけたという事実に心底びびった。ありがとう華佗。本当に助かった。正直最後の方は意識がほぼなかったからな。意識を失う前、愛紗が安心してください、私達が精一杯看病してあげます、って抜かずの10発目をしながら言ったのは何となく覚えている。

 

 

「気にするな、患者を救うのが俺の使命だ。・・・だが、流石に気をつけろ。本当に危なかったぞ。たまたま会った張飛が念の為にって俺に言わなければ、お前は彼女たちに看病されたまま安らかな眠りについてた筈だ。」

 

何せ看病と称してまだ楽進と関羽が上に乗っていたからな、と華佗が至極真面目な顔で言った。背筋に氷柱でも刺さったかのような悪寒が俺を襲う。あいつらそんなに俺を殺したいの?ちょっと真剣に怖くなってきた。鈴々だけ連れて逃げるべきかな?

 

「正直それを推したいところだが・・・逃げられると思うか?いや、逃げたとして、捕まったらどうなると思う?」

 

あの熱血な華佗が、酷く冷静に話し、俺にだけわかるように指で扉を指す。チラリと目を向けると、僅かな隙間から覗く瞳。なにあれめちゃくちゃホラー。

 

どうやら華佗と鈴々がやり過ぎと叱ってくれたらしいが、全然反省してないらしい愛紗達が、扉の隙間から覗いているようだ。治ったらならまたすると言っていたぞ、と華佗が言う。正直ガクブルなんですけど。

 

 

というかあいつらあれだけやってなんで平気なんだ?途中から買い出しに出てた凪と風が秋蘭拾ってきて更に人数増えたとはいえ、愛紗など日に7回は失神してるはず。いくらローテーションがあると言っても1週間以上してなんで平気なんだ・・・!

 

てか、可愛かったけど月も音音もなんで入るんですかね。詠に至っては途中から月や霞よりも感じまくりいきまくりで、ノリノリだった。その分詠が可愛過ぎて張り切ってしまい、更に怒った愛紗と星と凪に後で酷い目に遭わされたが。1番体力無いのが華雄でちょっと意外だったなぁ。というか、人外である俺が半分くらいで死にかけなのに、なんで一刀くんは倍以上相手できるのか。あれっ、ひょっとして俺の知る人間とは違う種族のことだったりするのだろうか。

 

などと回想していると、華佗が次の患者が、と言って席を立つ。ありがとう、次は普通に飲みにでも行こうじゃないか。

 

 

「それは良いが、お前それ、俺や一刀以外に言うのそろそろやめておけ。せめて自分の女だけにしておくんだな。」

 

 

もしくはせめて鍼が通る身体になれ、助けられん、と言って去っていく華佗。心なしか呆れているようだったが、正直お前も勘違いしているぞ。俺が今までガチで自分で飲みに誘った女は4人だけだ。・・・誘われたらホイホイついて行ってたのは事実だが。

 

 

だからきっと俺は悪くない、と自己弁護していると、華佗と入れ替わりで愛紗達が入ってきた。思わず身構えた俺は悪くないはず。

 

 

ちょっと癒やしが欲しいが、鈴々と流琉の姿が見当たらない。どこへ行ったのだろうか。ん?買い物に行った?マジか、ありがとう真桜。あ、愛紗、星、凪、お前ら近寄るな。しばらく真桜と鈴々と音音以外は俺との接触を禁ずる。まさか本気で腹上死しかけると思わなかったからな。

 

 

そんな!と叫ぶ愛紗達を無視、ちょっと今回は本気で死にかけたので厳しい対応をしたいと思います。ん、なんだ恋。音音がいるなら恋も?駄目。初めてだったはずなのにお前も容赦なく絞りにきたからしばらく寄るでない。そんな雨の日の子犬みたいな顔しても無駄だ、同じ顔した幼女どもに散々絞られたからな。

 

 

そうして寝台の上に乗ろうとした全員を振り払う。腕を掴んでいた愛紗や凪も同様である。とりあえず今日1日は、安静にしろって話だし、寝ることにしよう。ほらほら星、離れなさい。あ、真桜はちょっとおいで。

 

 

 

なんや?と言ってやってくる真桜を布団に引きずり込み、そのまま抱き枕代わりにする。真桜のちょ、にいさん!?という言葉は無視だ。ついでにそれなら私が、と入ろうとする愛紗を無視、布団を被る。真桜、お前さんが1番優しかったとはいえ、原因の一端でもあるので抱き枕の刑に処す。今日は絡繰いじりは諦めて俺と一緒に寝るがいい!ふははは!

 

「ど、道玄!わ、私も一緒に・・・!」

「主人、それは真桜には荷が重い、私が変わりましょうぞ。」

 

動揺した顔で言ってくる2人。他のみんなも似たような事を口々に言う。あ、秋蘭お前はダメだろ。華琳さんのとこへ帰って仕事してこい。なんだ真桜?トイレと食事はとりたい?その時言ってくれ。あ、なんなら2人で飯食いに行くか。

 

乗った!という真桜と抱き合って寝る。うむ、温い。あ、月、詠、霞、音音の4人は初めてで無理し過ぎだ。どんな理由があるにせよ、とりあえず今日は華雄みたいに休めよ。まさかあいつが1番体力がないとは意外だったが、無理が良くないのは確かだしな。恋、お前は元気余ってるみたいだし、流琉の食料調達手伝ってやってくれ。残りはこいつら巻き込んだ罰だ、片付けやら掃除やらなにやら、必要な事をやってこい。

 

 

横暴でしゅ!と幼女どもが叫び、風が布団の上から乗って抗議して来るが、当然無視である。今日は優しくなどしてやらぬ!でも1番真面目に働いた奴は見直すかも。今日頑張ってたらひょっとしたら明日には許してるかも。

 

 

「も、元はと言えば、道玄様が・・・!」

 

「そうです、貴方があんな事をしなければ私達も・・・。」

 

 

アホ、俺はなにもしてないわぃ。向こうがべたべたしてきただけで、俺は手で触れるどころか座っていただけだ。華琳さんが雇い主命令で動くなと言わなきゃ素直に逃げてたっつの。ていうか思い出した!秋蘭、お前が夜にしれっと混ざるから俺華琳さんの命令逆らえないんだぞ!文句あるならお前が華琳さん止めろよ!

 

「断る。私は華琳様の臣下だからな。だが私以外に惑わされるのは許さん。黄蓋殿や周瑜殿達もそうだが、華琳様や姉者にもだ・・!」

 

えっ華琳さん達まで駄目なの?なら以前華琳さんと一緒に誘惑してきたのはなんだったんだ。それはそれ、これはこれ?お前・・・どうしてこうなっちゃったんだ・・・!初めてあった時はクールビューティな美女だったのに・・・!!今はまるで姉のようだ。

 

 

「おい道玄、いくらお前でも姉者の悪口は許さんぞ!」

 

 

ほう、お前は春蘭のようだ、を悪口だと思ったんだな?なるほどなるほど。春蘭に伝えておくわ。

 

 

「構わんぞ?涙目の姉者もまた可愛いからな。」

 

 

うわコイツめんどくせぇ。ていうかお前冗談抜きでそろそろ帰ってやれよ。合流してからもう1週間近く経ってんぞ。お前の姉が仕事で死ぬってか流石に連絡くらいはしたんだろうな?・・・おい、何で目を逸らす。おいちょっと待て秋蘭オイ!!

 

 

「い、いや問題ない、大丈夫だ。仕事の方はちゃんと部下に預けてきた。・・・ただちょっと華琳様にお前達を探せと言われて出てきたのを忘れてただけだ。」

 

 

・・・ファッ!?

 

 

お前それ全然大丈夫じゃないだろ馬鹿か!何日前の話だよ馬鹿!見ろ、お前の周りにいる軍師組でさえ嘘だろって顔してるだろ!!霞や音音に至ってはこんな奴らに負けたのか、みたいな顔になっちゃったじゃないか!あの星でさえ言葉を失ってるぞ。おい愛紗、お前も何か言ってやれ!

 

・・・あれ?愛紗?

 

 

まるで愛紗から反応が無いので疑問を覚える。まだ俺の腕掴んでるからそこに居るよな。ってか急にみんな静かになったな。そう不思議に思いながら振り向く。腕の中でにやにやしてた真桜もどしたん?って不思議そうにして居る。

 

 

「うぅ〜〜〜っ。」ポロポロ

 

 

え、ガチ泣き!?

 

振り向くと俺の腕を掴んだままガン泣きしている愛紗がいた。ちょっと理解ができないんですがどしたのこれ。つか皆が静かになった理由これかよ!

 

すると、上に乗ったままの風が呆れたように駄目ですよおにいさん、と言う。え、これ俺が悪いの?

 

「愛紗ちゃんがおにいさんに強くでるのはー、そうすればおにいさんが優しく構ってくれるからですからー。そりゃ冷たくされたら泣いちゃいますよー。」

 

そうなの!?え、そんな理由で今まで俺怒られてたの?嘘やん・・・。い、いやでも今回は明らかにやり過ぎだし!華佗がドン引きするくらいだし、許してはやらんぞ!俺はそうそう甘い男ではないのだ!・・・でも何か凄い罪悪感が!

 

 

「おーよしよし、泣くな愛紗。そーだな、主人に冷たくされるの悲しいよな。その上目の前でこれだものな?私も泣いてしまいそうだぞー。」チラッ

 

「元気出してください、愛紗さん。私も道玄様に冷たくされて悲しいですが・・・。」チラッ

 

 

星と凪がこれ見よがしに愛紗を慰めにいった。否、あれは慰めたフリしてこちらをチクチク責めているな!ま、負けんぞ!今回ばかりは負けんぞ!何せ死にかけたからな!せめて食事休憩くらいちゃんと取らせてくれればもう少し何とかなったのに、ひたすらおじやみたいなものを誰かに口移しで食べさせられながら、ほぼ寝る間も与えられずヤラれたからあんな目にあったんだからな!トイレさえまともに行かせてもらえなかったし!何が道玄のなら平気ですだ馬鹿か!羞恥心で死ぬかと思っただろ!

 

 

思い出したら腹立ってきた!よく考えたらこれ完全に俺殺す気だろ!ちょっと泣いたから何だ!むしろ俺の方が泣きたいわ!よし決めた!お前達が謝るまで許さない、絶対にだ!そんな目で見ても無駄だぞ!少なくとも今日は許さない!しっしっ、去るがよい!

 

そう宣言すると、改めて真桜を抱きしめ、愛紗に背を向けて今度こそ寝る体勢をとる。絶対に振り向かないぞ!振り向いたら許しちゃうから絶対に振り向かないぞ!固い決意を胸に、風を上から退かし、ええんかなー、という顔の真桜を気にせず抱き枕にする!ふ、精々嫉妬するがいい!

 

「嫌、嫌ぁ・・・。道玄、道げん・・・。」

 

こっち向いて、と泣きながら言う愛紗。よ、幼稚になり始めた!嫉妬暴走状態だ!これはマズい、こう言う時の愛紗はガチで庇護欲そそる、言うなれば可愛さの化身!ま、負けないぞ!罪悪感がもりもり高まるけど、絶対に振り向かない!ここで振り向いたらまた何かあった時性裁が酷いことになる!心を鬼にするんだ俺っ!素数、素数を数えろ!素数は自分と一以外で割れない孤独な数字!この孤独な状態の俺に力を与えてくれる!いち、に、あれ、1って素数だっけ!?

 

 

「私の、私のどうげん、わたしのぉ・・・!」グスグス

 

 

 

・・・・・・・うん、無理 ☆

 

 

 

この後滅茶苦茶慰めた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

 

 

と、言うことがあったのさ!いや参ったねホント!!

 

そう明るく言ったのだが、もの凄い顔で見てくる華琳さん。おっとぉ?やはり誤魔化されてくれないかな?

 

ここは洛陽の中にある城、元は月とかがいた場所の、玉座の間だ。本来なら総大将だった袁紹さんが座っている筈の玉座は、華琳さんが今座っている。なお、別に袁紹さんを追い払ったりしたわけではない。

 

「当然でしょこの馬鹿!あんたね、洛陽に入ってから今まで、どれだけ忙しかったと思ってんの!?袁紹の馬鹿は天子様が居ないと分かった瞬間何も言わず逃げ出して、総大将の責任もとらず、民の不満だけ擦りつけて行くし、董卓達はとっくに逃げ出してて、政策やら何やら、資料分析して現状を調べることから始めなきゃいけないし、1番功績を残したあんたがいないから武功賞を皆に渡せないし、人手が必要なのにあんたの軍師組もいないし、仕方なく秋蘭を探しに出せば帰ってこないし、秋蘭の代わりは男だし!!しかもその上秋蘭が帰ってこなかった理由があんたと乳繰り合ってたからぁ?!ふざけてんじゃないわよこのチ○コ!性獣!! 種馬!!!」

 

おうふ、華琳さんの前に荀彧さんにガチ切れされた。でも待ってほしい。袁紹さんが逃げ出したのも、秋蘭が帰らなかったのも俺は別に悪くないはずだ!いや、寧ろ俺は被害者だ!何故春蘭じゃなくて秋蘭だったんだ!明らかに戦後処理は秋蘭を残すべきだろ!!

 

「うっさい!その秋蘭があんたが急に居なくなったせいで大変だったのよ!散々人を心配させといて何文句言ってんのはっ倒すわよ!!」

 

 

あっはい、ごめんなさい。

 

何か荀彧さん激おこである。あの日だろうか、と思ったが流石にそれを聞くのはやめとこう。とりあえず素直に謝っておく。すると玉座に座る華琳さんがもの凄い頭痛そうな顔で長い溜息をつく。そのまま、俺の右側に目をやって、疲れたように口を開いた。

 

「色々言いたいことはあるけれど・・・とりあえず、()()()()()()()()()()()()()。今回は一応私達も原因の様だし、仕方ないから不問にするわ。その代わり、その分しっかり働きなさい。」

 

 

おお、良かった。自分で言うのもなんだが、許してもらえるとは思わなかった。何たってまだ()()()()()()()()()()()()()()()()だからな!!

 

 

この部屋に入った瞬間に殺気が飛んできたからな!

絶対ふざけてるのかと思われたんだろう。まぁ俺でも玉座の間にこんな感じで入ってきたらブチ切れる。仕方ないとはいえ、こんな情け無い経緯を説明しないといけないなんて・・・泣きそうです。

 

 

まぁつまり、あの後ガン泣きの愛紗を宥める事に何とか成功したのだが、そのままいつもの様にひっつき虫になってしまったのだ。そこまではいつも通りだが、今回は流石に絞られ過ぎて身体でお詫びが出来ず、また中途半端に厳しくしたものだから、いつもよりも頑固なひっつき虫になった。

 

この頑固っぷりがまた強力で、いつもなら流石に食事中やトイレタイム、風呂時くらいは離れるのに、今回はその間すら離れない。あれから2日経ったが、離れる気配が全然無いので、仕方なく今日秋蘭に連れられて、愛紗を引っ付けたまま登城したのだ。まるで1人で留守番しろと言われたちびっこみたいな引っ付きッぷりに正直困っているのだが、皆に諦めろ、と言われては諦める他ない。というか剥がそうとすると涙目になって全力で嫌がるので、ちょっと俺には剥がせそうにない。

 

 

関羽さんはもうちょい気丈なイメージだったんだけどなぁ・・・。これも俺がいるせいなのか、それともそういう世界線なのかは分からないが、とりあえず可愛い。可愛い過ぎて蛮族には対応に困る。鬱陶しいとかはもう慣れたので大丈夫だけど、何かここまでくると依存入ってるので少し心配だ。

 

 

正直なんでこの人ここまで俺に惚れたのかがよく分からない。確かに割と劇的に命救った形になったのは認めるけど、結構愛想つかされてもおかしくないことしまくってると思うんだけどな。・・・実は俺の体からなんか麻薬的なもの出てるとかないよね?

 

 

まぁ考えても仕方ないか。とりあえず仕事をサボってしまった形になるので、これから一旦戻って月と詠以外を連れてくるつもりだ。ああいや、武将組は書類仕事できる奴らだけで良いか。2人の護衛もあるし、流琉の手伝いもある。その分の人出は残さないとな。・・・というか、傭兵団って何をすれば良いのか。軍師組に丸投げしたいけど、軍師組も仕事あるんだよなぁ。

 

 

そんな風に悩みながら華琳さんに一旦辞去すると伝えたところ、華琳さんが思い出した様に言った。

 

 

「そう言えば道玄、私は許してあげるけど、他の者達は知らないわよ?自分でなんとかしなさい。」

 

 

・・・えっ。他のって何それ初耳。華琳さん達以外に俺怒られる可能性あったの?春蘭とか?

 

 

「貴方ねぇ・・・。春蘭もそうだけど、公孫賛に、孫策や黄蓋達も怒っていたわよ?特に周瑜が激怒していたわ。」

 

 

あ〝っっ・・・!!

 

 

いかん、完全に忘れてた。い、いや待てよ。華琳さんが袁紹さんの代わりに洛陽を治め始めてからもう2週間。流石にそれだけの間無駄にここに残る筈もないし、次会うときは何時になるか分からない、その間にきっと怒りも風化するに違いない!ならば俺がしなければならないのは春蘭含めた曹操軍のみんなだけ、そのはず!

 

 

「ああ、公孫賛はあれで意外となんでも出来るから、誰かさん達の代わりに仕事を手伝って貰っているわ。流石に維持費があるから、軍のほとんどは部下に任せて領地に戻した様だけど。」

 

 

・・・だ、大丈夫大丈夫、白蓮ならげろチョロだから、ちょっと一緒に酒に付き合いでもすればなんとかなる。だからまだ大丈夫!まだ慌てる様な時間じゃない!

 

 

「孫策達もまだいるわよ。軍は良い機会だからって経験を積ませたい一部の将校に指揮を取らせて返したみたいだけど、少なくとも孫策と周瑜、黄蓋はまだ残っているわ。さっきまで憂さ晴らしに春蘭と模擬戦していたもの。」

 

 

ついでに言えば、貴方が見つかった事は全員に通達済みよ、と悪魔の様に笑う華琳さん。嘘だと言ってよバーニィ!!・・・えっと、実はもう次の予定があるから、洛陽を出ようと思ってるんですが・・・あ、やっぱり駄目?

 

てかあれっ?何か華琳さんの怒りの感情が、匂いではっきり分かるくらいなんですけど!えっ、許してくれたんだよね!?不問になったんだよね!

 

 

「ええもちろん。貴方が街に入った途端今まで姿を眩ましたことはもう怒ってないし、それについて言及することは誓ってもうないわ。

 

 

・・・けれど、貴方がまた女を増やした事をまだ許したとは誰も言ってないわ。ただ、街まで決着を預けただけよ。」

 

 

まさか忘れた訳じゃ無いわよね?と途轍もないオーラを出しながら華琳さんが言う。ま、待て!あれって最後の方は単純に傭兵団の雇用問題に変わってた筈だ!ちょっと俺が卑猥な接待受けてただけで!それにどんな形であれ、ウチに入った団員をどうこう言われる筋合いはないぞ!

 

猛抗議だ!断固俺は悪くない!理由は知らないが彼女達は納得して俺と交わったし、そもそも俺は襲われたことはあっても、自分から襲いかかった事などないぞ!同意がなければ犯罪だが、同意があればいくら女が増えても問題はない筈だ!俺自身は同意してなかったけどな!

 

 

「へぇ?・・・私の臣下である秋蘭にだけ手を出しておいて、春蘭や桂花、主人である私には何もしない・・・。なのに、他の女には手を出す。それはつまり貴方はこう言いたいのよね?私は臣である秋蘭よりも、あの新しい娘達よりも、貴方が手を出す魅力がないと!!」

 

 

いい度胸ね?

 

そう言ってとんでもない殺意を叩きつけてくる華琳さん。ちょ、ちょっと待ってくれ!それは逆恨みだと思うんですが!だって華琳さんに手は出せないじゃん!出したら士官決定じゃん!というか秋蘭にだって別に俺は手を出してないぞ!薬使ってまで襲いかかって来られたのは俺の方だよ!

 

 

「弁明は全員が揃ってから聞いてあげるわ。・・・乙女の誇りを傷付けたのだから、逃げられるとは思わない事ね?」

 

 

全員の時間が揃えば呼び出すわ。そう言って去っていく華琳さん。ちょ、俺が何をした!?

 

えっ、なに愛紗?何もしなかったから駄目?!いやいや、だってなんかしてたらお前絶対許さなかっただろ!

 

「当然です。私以外に手を出すなんて絶対に許しません。出したら厳罰です。」

 

ギリギリとしがみつく俺の腕をさらに強く締め付けながら言う愛紗。いやそれどーしろって言うんですか!?え、そもそも興味持たれたのが駄目!?最初に興味持たれたの貴女だからね!?あの人が俺に食ってかかってきた原因、貴女だからね?!

 

 

「とにかく駄目です。・・・道玄は、私だけ見ていればいいんです。」

 

 

ちくしょうっ!こんな時だけど可愛い!文句言えねー!

 

あれ、何荀彧さん?なんか凄い複雑そうな顔をしてるけど。あ、なんか疲れてる?迷惑かけたからな、疲労回復用の甘酸っぱい飴いる?何気に最新作やで。

 

 

「そうじゃないわよ!・・・でも飴は貰っておくわ。」

 

 

?よく分からん。とりあえずハイこれ。疲れの取れるクエン酸系果物飴。言っても分からんだろうから適当に舐めてくれ。だいたい効果は同じはず。あ、愛紗も食べる?これなんかオススメだぞ。杏子味だ。

 

 

「・・・華琳様は、変わったわ。」

 

 

え、なに急に。まぁ確かに初めて会った時とは別人の様に丸くなったけど。今では愛紗達じゃなくて俺ばっかり勧誘してくるしね。

 

 

「それは単純にあんたを認めただけよ。悔しいけど、実力を認めた者に華琳様は寛大だし、対応も相応しいものにするわ。

正直認めたくないけど、実際にあんたの実力は功績で証明されてるし、私も異論はないわ。」

 

 

おおっ!なんかよく分からんけど珍しく荀彧さんに褒められた!愛紗、愛紗!凄いなんかめでたいぞ!今日はご馳走にしよう!なにがいい?トマトハンバーグ?任せろ!

 

 

「・・・はぁ。本当にあんたは馬鹿なのか大物なのか。訳が分からないわ。どっちかにしなさいよ、もう!」

 

「いや、きっと道玄はどちらかでなく、馬鹿な大物、が正しいのだろう。恐らく。」

 

 

え、そこは素直に大物って言ってよ愛紗。なるほどって荀彧さんまで!・・・まあ蛮族なんでね。頭悪くても仕方ないよね、うん。

 

 

「何が蛮族よ。困ったら蛮族って言えば済むと思って・・・いい加減はっきり言っておくけど、あんたが蛮族出身だって話、皆嘘だと気付いているわよ。」

 

 

そろそろ別の嘘を考えなさい、と荀彧さん。隣でうんうんと頷く愛紗。な、何を言う!この蛮族スタイルを見よ!どう見ても立派な蛮族だろうが!

 

 

「何を言いだすかと思えば・・・。そもそも蛮族と呼ばれる異民族には、まず基本的に言葉が通じないわ。

 

よしんば通じたとしてもあんたみたいに私達と同じ様にこの国の政治の話なんて出来るはずが無い。向こうには国としての形態も成り立ちも何もかも違うのだから当然よね。

 

というか、向こうに国家と呼べるほどの文化があるなら、国としての交流があるはずだもの。それが無い以上、そもそも向こうには国が存在してない可能性だってあるわ。

 

なのに、あんたは常識を知らない割に国という概念を理解していて、政治というものの知識があって、何が必要で何が不要かを知っている。挙句の果てには私達でさえ気付かなかった改善点を見抜いてくる。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。・・・そういえば、劉備の隣にいた天の御遣いとかいうブ男も不思議そうに言ってたわね。なんでもうこの発想があるのかって。自分のいた世界ならもっと後の筈だって。

 

・・・私が却下した、あんたの残した政策のことよ、これ。」

 

 

あらやだ、凄い偶然もあるんだなぁ。天の世界ではきっと俺はもっと後に生まれたんだな!いやぁ、不思議なこともあるもんだわ!

 

 

「・・・まぁいいわ。私はあんたが何者かなんてどうでもいいし、華琳様にも余計な詮索は無用と命じられてるもの。ただちょっと、本当に本当に少しだけ・・・私はあんたに感謝しているわ。」

 

 

ほぅ?聞いたか愛紗、あの荀彧さんが俺に感謝だとよ。これはもう俺、喜びの舞を踊るしかないかな!いいよ、踊っちゃうよ!熱いビートを刻んじゃうよ!!

 

 

「茶化すな!はぁ・・・本当になんであんたは。・・・華琳様は、あんたに会ってから、楽しそうよ。笑ったり怒ったり、呆れたり叫んだり・・・。

 

もちろん以前の華琳様だって素敵だったわ。苛烈なまでの強さと志を持ち、理想の世界を作るために日々己の覇道を邁進していた。それが素敵じゃない訳がない。私はそんな華琳様に憧れて、あの方に仕えると、生涯全てにおいて支えると決めたのだから。

 

・・・でも、ずっと何処か寂しそうで。今も変わらず私達を可愛がってくれるけれど、それでもあの頃はもっと華琳様と私達には壁があったわ。まるで、自分は1人で居なければならない、そんな想いがある様だった。

 

それでも、私達は変わらず全身全霊で尽くしたけれど、皆何処かで必ず、あの方の心を埋められない事に、未熟な己を嘆いたわ。」

 

 

そう語る荀彧さん。まるで、何かずっと後悔していたような、悔しさが滲むような口調だ。よく分からないが、彼女なりの葛藤と言うやつだろうか。なんにしても、それを俺に語るなんてどうしたんだこの人。

 

「なのに、あんたと出会ってからの華琳様は、あんたと真名を交わしてからの華琳様は、以前の強さも志の高さも、気高さも、何もかもそのままに、以前よりずっと優しく美しく、ずっとずっと素敵な顔をする!!

 

・・・まるで宝物を見つけた様に、幸せそうに笑う!!

 

 

悔しいけれど、私達では華琳様をあんな風に喜ばせられなかったわ。だから、色々迷惑もかけられたし、正直今でもあんたみたいな節操なしの男なんて好きじゃないけど!それでも、

 

それでも、私はあんたに感謝している。」

 

 

そう言って、まるで胸のつっかえが取れたように、すっきりとした綺麗な笑顔を浮かべる荀彧さん。正直そんなこと言われても俺が特に何かしたわけではないので困る。とりあえず左様か、と短く返しておく。つーか何を言えばいいんだこれ。

 

まぁいいや、とりあえず早いとこみんな呼んで来ないとまた怒られそうだ。一旦戻るぞ、愛紗。あ、荀彧さん、みんな連れてきたら何処に向かえばいい?

 

 

「桂花よ。」

 

 

・・・えっ。

 

 

「何呆けた顔してんの?私の真名よ。あんたに預けるわ。・・・あ!勘違いするんじゃないわよ?これはいつまでも私だけあんたと真名を交わしてないと華琳様が気にするといけないから、特別に!特別にだからね!!別にあんたを認めたとか、そう言うんじゃないんだからね!忘れるんじゃないわよ!?」

 

 

 

・・・・・・・。

 

 

「ちょっと、なんなのよ?私が真名を預けてあげてんだから、早くあんたの真名を寄越しなさいよ!・・・・ま、まさか私と交換したくないとか言うつもり!?」

 

 

 

・・・・・・・・・えっ?

 

 

ええええっ!?だ、誰だお前!さては荀彧さんじゃないな!貴様本物の荀彧さんを何処にやった!?あの人いつも悪口ばかりの困ったちびっこだけど、あんなんでも華琳さんの覇道に欠かせない大事な大事な王佐の才だぞっ!そして俺の友人だぞ!さぁ吐け、事と次第によっちゃ女子供でも容赦しないぞコラァ!?

 

 

「はぁっ!?あんた何ふざけたこと言ってんのよ!私が偽物だとでも思ってんの?こんな可愛くて頭のいい女が2人もいる筈ないでしょ!!」

 

 

ぬぬっ!確かに本物みたいな発言だがな、嘘をつくな!あの人が華琳さんの命令でもないのに男と真名を交わすかっ!!あの人の男嫌いは筋金入りだぞ!一刀くんにさえほとんど見せないツン九割、略してつんくだぞ!!許さん、あの春蘭とともに華琳さんの犬を自称する、本物我が友人を何処にやった!大事な可愛い友人なんだぞ!!

 

 

「華琳様の犬は私だけに決まってんでしょ!!ぶっ殺すわよこの原人が!!」

 

 

あれ、本物だ。え、じゃあ本当に俺荀彧さんに真名預けられたの?マジで?やっべこれ明日隕石落ちてくるかも。愛紗、ちょっと俺の思ってた災いと違うのがくるみたい。ちょっくらぶん殴ってくる。マジで。

 

「・・・落ち着いて下さい、道玄。気持ちは分からなくもないですが、これは現実です。目を背けないで・・・いえ、やっぱり背けてていいです。だからこれ以上女性と真名を交わしてはいけません。」

 

「あんたも何言ってんのよ!」

 

ぬぬ、どうにも信じがたいが、愛紗の嫉妬が本物だし夢じゃないらしい。ちょっと未だに信じがたいが。

 

「あんたねえ・・・そんなに私が信じられないかしら。」

 

うーん、あれだけ日頃のお詫びと言って落とし穴に落とされたらなぁ。そう言うと、うぐっ!と言葉に詰まる荀彧さん。心当たりがたくさんあるので、何も言えないようだ。まぁ、それはいいや。とりあえず腕を彼女に差し出す。

 

「道玄だ。桂花、改めて宜しく頼む。」

 

「・・・ふん。まぁ精々華琳様の為に頑張りなさい、道玄。」

 

 

そう言って腕を取る桂花。おお、本当に握手してる。奇跡だ!奇跡が起きたんだ!宴じゃ!宴の準備じゃ皆の者!

 

 

・・・嬉し過ぎてそうやってはしゃいでたら顔を真っ赤にした桂花に玉座の間を追い出されました!

 

 

 

⬛️

 

 

帰り道。

 

みんなを呼びに戻ってるだけなので、これは帰り道と言っていいのかどうか。そんなことを考えながら、隣で無言で腕に抱きつく愛紗が怖いです。やっぱりアレか、桂花と真名交換してはダメだったか?

 

 

「違います。いえ、正直不満ですが、今更ながら彼女と真名を交換したのはいいことだと思います。付き合いも長くなってきましたし。」

 

え、じゃあどったの?やたら暗いけどなんかあった。

 

「それは・・・。

・・・・あの、道玄?」

 

ん、何かな愛紗。

 

「彼女達がそうした様に、私も・・・いえ、私達も貴方が聞かれたくない事は聞きません。興味が無いわけではないですが、貴方が言いたくないならそれでもいいと思います。

 

 

・・・ただ、ただ1つだけ教えて下さい。何処にも、何処にも行きませんよね?何も言わず、何処かに居なくなったり・・・しませんよね?」

 

 

そう言って俺を見上げる愛紗。目は潤み、腕がぎゅうっと強く抱き締められる。震えているのはたぶん、寒さのせいでは無いのだろう。

 

前にもこんな事聞かれたな、と思い、あの時はなんと答えたか、と考える。思い出せないなー。

 

本当の事を言えば、その答えを俺は持っていない。確かに俺は自称神様に転生させて貰ったが、好きにしろと言われただけで、何故俺が転生させられたのか、どうしてこの世界なのか、何も知らない。

 

いつまで生きられるのか、そもそもいつまでここに居られるのか。正直考えたこともなかった。言われてみれば、原作の一刀くんの様に、ある段階で消されてしまってもおかしくは無いなぁ。

 

 

なんとも言えないことに気付いたので、何も言わない事にした。

 

 

足を止めて、腕にしがみ付く彼女を腕ごと引き寄せ、頭を撫でる。まぁ誤魔化しだが、しないよりはいいだろ。

 

すると愛紗が俺の身体に手を回す。ぎゅうっと抱きしめながら、離れません、と小さく呟いた。

 

 

そんな愛おしい彼女と、最後まで一緒にいたいな、そう思って空を見る。天に届けと軽く願って見る。

 

 

・・・まぁ届くわけないよなぁ。

 

そうして雪が降り始めた空に、苦笑いしたのだった。

 

 

続く!

 

 

 

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