避けたりとかそういうのはしない。   作:銀座

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39話 カツ丼は、余計な甘さのないソースカツ丼派

 

 

やぁみんな、化け物でも無理なもんは無理って知ったオーク系転生者の俺だよ!

 

 

 

 

あれから3ヶ月経った。

 

現在、俺たちは呉に向かっている。そう、傭兵団、緑鬼の剛腕(俺は未だに認めてない)全員でだ。今回は少し道を急ぐので、大寸胴鍋を四次元袋の中にしまって全員馬と馬車を用意した。用意して改めて理解したが、流石に人数が増えてきたので、みんなで拠点を持とうと相談中だ。

 

 

俺?俺は徒歩だよ。体のサイズ的に合う馬がいないのと、俺の中のラージャンに反応するのか、俺が乗るっていうかある程度近付くと馬がめっちゃ怯えるからだ。良くある2次創作オリ主みたいにデカくて早いけど乗る人を選ぶ暴れ馬、なんてのは居なかった。

 

個人的には超デカい驢馬(ラクダよりデカい。)がいたので、それが欲しかったんだが、どっちにしても乗れないでしょ!と軍師組と詠に叱られたので、泣く泣く諦めた。ちなみに、野営時も馬から離れて寝る必要があり、非常にめんどくさい。

 

 

 

・・・え?劉備さんたちのとこに行かないのか?行ったよ?僅か1ヶ月しか滞在してないけど。・・・というか。

 

 

 

その劉備さんのせいで呉に向かってんだよ馬鹿野郎!あいつ本当にやらかしやがった!!

 

 

確かに俺のせいで武将組も軍師組も居なくなっちゃって、その分苦労掛けてるから協力はするけどさぁ!なんぼなんでもアレはねぇよ!劉備さんも人の上に立つ人的なオーラが身についてきてるし、一刀くんに至ってはウチの沙和に勝てるくらい強くなってて、凄い進化してるよ!凄いと思うし、素直に尊敬もしてる。でもあれはない!!マジでありえない!何考えてんだあのポワポワオッパイ!!

 

 

・・・ふう、失敬。取り乱しました。ちょっと思い出したら腹が立って来たので叫んだけど、もう終わった事なので我慢します。

 

みんな訳分かんないと思うから、前回の続きから説明しようと思う。少し長くなるが聞いてほしい。

 

そう、まずは冥琳と祭の魅力に負けて、2人に手を出したあの日からだ。

 

 

 

⬛️

 

 

さて、やはりというかなんというか、冥琳も祭もエロゲキャラなだけあって、割と普通に俺のに対応した。まあ幼女組が平気なのでそんな気はしてたけど。

 

星は祭には厳しい、なんて言ってたが、確かに俺サイズは初めてらしく、ちょっと血が出ていたが、なまじ経験があるため、かなり早く適応したというかある意味適応し過ぎたというか、尋常じゃないほどハマってしまい、最後の方はもはや獣じみた嬌声を上げながらずっと痙攣していた。もしかしなくてもやり過ぎたかも知れない。

 

冥琳の方は、雪蓮とは何度も経験あるらしいが、男は初体験、という事で、媚薬で既にだいぶ出来上がっていた冥琳を更に焦らしながらじっくりゆっくりねっとりたっぷり解し、2回ほど失禁させてから、更にいかせないようにねっとりしっかり弄り回し、その間祭だけ責めまくって嫉妬やら焦燥やら寂寥やらを溜めに溜めまくってから、最後の最後に貫いた。

 

初めてなので血が出てたが、転生してから自信を持って言えるくらい劇的に成長した俺の性技の全てを使いこんでの挿入は、初めてで冥琳を絶頂させる事に成功した。まぁ正直ほぼ媚薬の力な可能性もあるけど。

 

それからは調子に乗ってやりまくり、前世で一番好きだった周瑜さんを抱いている、という事実も相まってか、俺自身の出した回数は少ないものの、最終的に冥琳が痙攣しながら気絶してしまったのは、昼になる頃だった。

 

気絶から覚醒しなくても、空いた手で弄り続けたせいで祭は目覚める度に絶頂し、そのまま気絶し結局2人とも昼には完全にノックダウン状態になってしまったので、俺もそこでストップし、2人の体拭いたり寝台のシーツを変えたりしていた。

 

やがてそれらが終わり、夜のうちは寒いから出なかったバルコニーなところに出て、景色を楽しもう、と思ったら、バルコニーと部屋の陰になるところで、両膝を抱えて唇の端を噛み締めて血を流す、暗い瞳をした愛紗を発見。気配察知も嗅覚探知も仕事しろよ!と思ったけど、一瞬固まっただけで悲鳴を漏らさなかった自分を褒めたいと思う。

 

 

どうやら明け方頃になっても帰ってこない俺を待ちきれず、やってきてしまったらしい。そしてウチの女性陣が何故か持つ俺限定の高精度センサーで位置を把握し、外からこのバルコニーに侵入したようだ。

 

 

ずっと座っていたせいか、ヨロヨロと立ち上がり抱き着いてくる愛紗を、優しく受け止める。見た瞬間は幽鬼のような状態だったが、何時ぞやに自分が星に邪魔された時を思い出してずっと我慢していたらしい。血が出るほとんど唇の端を噛み締めていたのも我慢の証のようだ。独占欲が強く、嫉妬深い愛紗にしては物凄い頑張ったのだろう。しっかりと抱きしめながら、頭を撫でる。

 

 

しばらく俺の腹(身長差的に)に顔を擦り付けながら寂しそうに抱き付いていた愛紗だったが、やがてぽつりと私はあそこまで丁寧にしてもらった事ないです、と声を震わせながら言った。まぁ冥琳が初めてだったからな、と言うと、それでも嫌です、と涙目の愛紗。

 

 

「貴方が、他の女と寝るのも、他の女に優しいのも我慢します。・・・でも、1番は私です。道玄の1番だけは全部私でないと嫌です!・・・他の誰にも、それだけは絶対に譲りません。」

 

 

ギュッと、強く強く抱きしめられる。この言葉が嬉しいと思ってしまうあたり、俺も大概だよなぁと思いながら、次は同じようにする、と約束し、口付けを交わす。愛紗は下げた俺の首筋をギュッと抱いて、離すまいとするかの様に舌を入れて、長い間吸い付いていた。

 

 

やがて唾液が糸を引きながら離れた瞬間、星がでは次は私ですな、とスタンバイしてて、更にその隣には凪が立っていた。今度こそ本気で驚いた。気配察知本当に仕事しろよ!

 

 

その後2人とも口付けを交わし、やがて落ち着いたところで冥琳と祭も起きてきたので、今回の真相を聞いてみた。いや、身体に聞く!とか言っておきながらすっかり忘れて言葉攻めしかしてなかったんだよね。いや祭が地味にMだったから楽しくてさ。最後の方は調教系のエロマンガみたいなセリフとか言わせるのに夢中になってしまった。反省も後悔もしてないけど。

 

 

で、皆によると、どうやらしばらく会えなくなるので、今のうちに関係もっとこ!という冥琳と祭の2人が、何とウチの女性陣にきちんと目論見を話した上で、許可を下さいとお願いしに来たらしい。俺の知らないうちに、今後長く因縁になりそうな血の雨案件が起きてたんだけどどういうことなの?っていうか一旦会えなくなるだけじゃん、何で今なの?

 

「うちの事情もあるが、道玄は何だかんだ会いに来てくれなさそうだったからな。そのうちこの大陸の覇を競う戦いが始まれば、下手したら敵として戦うことになるかも知れないから、未練を残したく無かったんだ。」

 

「それに、お主の女達に話を通さずに計画が成功するとも思えんし、儂等が完全に袖にされても、お主は変わらんじゃろうが、話を通さなかった場合はどっちにしてもお主の女達との因縁になる。お主の傭兵団と事を構えるのは儂どころか国として困る事になりかねん。」

 

 

お主の傭兵団、兵が全て武将な上、1人でも将軍並の猛者だらけじゃからのう、と祭が言う。えぇ・・・じゃあ何故俺に話が通ってないんだし。っていうかうちの女性陣が断るとは思わなかったのか。

 

 

「正直な事を言えば、素直にお願いすれば許してもらえる気はしていたんだ。何と言っても、彼女達と私は同好の士、だからな。」

 

「まぁ、そう言うわけで、正直腸が煮え繰りかえりそうな想いでしたが、気持ちが理解できてしまいましてな。色々条件を出した上で私達も許可を出したのですよ。」

 

「不思議な事に、愛紗さんが1番最初に承諾したので、私達も折れた形になります。」

 

 

ちょっと予想外。そうなのか。正直同好の士というお前らは絶対に男の趣味悪いと思うが、愛紗が1番に、ねぇ。さっきの事といい、珍しいな。まぁそれで折れるお前達もだが。

 

 

「・・・本当の事を言えば、相手が誰であろうと私以外が道玄と触れ合うのは嫌です。しかし、あの時の星や秋蘭を見て思ったんです。私が彼女達の立場ならどうだろうか、と。」

 

 

だから、今回だけ特別です、と言う愛紗。もう離す気は無いのか、俺の右腕にギュッと絡みついている。ちなみに反対側は冥琳だ。星と凪がちょっと不満気で見ている。それよりも愛紗と冥琳が俺を挟んで睨み合うのが凄い困る。てか、条件って何だったの?

 

「ああ、それはの。1、道玄が拒めば直ぐに諦める事、2、抱かれた後で、道玄の所有権を主張しない事、3、終わった後は速やかに返却すること、4、結果を詳しく報告すること、の4つじゃな。報告は全員にしないとならんのじゃったか?」

 

「はい、拠点で皆待っております。」

 

なんか普通に俺がみんなの物扱いでワロタ。まぁいつものことだけどね!ちょっと最近十常侍の傀儡扱いの帝さまの気持ちがわかる気がする!

 

 

 

つーか色々あったが、結局俺普通に冥琳と祭の2人と関係持ってしまったんだよなぁ。いや、凄い嬉しいのだが、あと1人で20人いっちゃうんだよね。そろそろ嫉妬した男の念で爆発させられる気がして来た。この世界にキラークイーンか、ボマーの念能力者がいない事を祈ろう。

 

 

⬛️

 

あの後は色々あって拠点でうちの女性陣と更に仲良くなったらしい冥琳と祭。途中で秋蘭も加わって盛大なガールズトークになった。余裕で近寄れないので鈴々と遊んでいたのだが、いつの間にか冥琳と祭もローテーションに加わっていたので、無理にでも止めるべきだったと後悔している。

 

慈悲なのかそれとも上げて落とすつもりなのかは分からないが、とりあえず3日の休養日を貰えた。4日目が非常に怖いが、とりあえず今を楽しむ事にしよう、と現実逃避してたら、4日目にローテーションが一度に3人から5人になったと聞かされ、更にノルマは1人4発になっていた。普通に絶望した。

 

一時期に比べればマシかと思うかもしれないが、ノルマはあくまで最低数であって皆凄い元気なのでこんなもんでは済まされない。組手をしなかった時の体力有り余る霞や、何かに嫉妬した愛紗が夜激しくなるならまだマシな方で、仕事中に街で祭に出くわしたりするとそのまま物陰に連れ込まれたり、休日に拠点でゴロゴロしてたら妙にハマってしまった詠がやたらと咥えてきたり、それらがバレた時の夜とか、非常に大変な事になった。

 

 

まぁそんな感じで俺の性活は多忙を極めたが、生活の方も少しずつ変化してきた。

 

元々董卓さん達は俺が誘拐したりしてからまだ3週間くらいしか経っていないのに、よく分からん取り引きと密約によってうちの傭兵団に加わると同時に俺と関係を持ってしまったので、正直結構扱い方がわからなくて大変だったのだが、それも直ぐに慣れた。

 

月と詠は最初に言った通り、侍女的な感じで頑張ってくれている。華雄や霞は何やかんや武将組と鍛錬したり組手したりで仲良くなっており、特に霞と真桜は口調が似てるからか、非常に仲が良く、2人一緒に居るところをよく見かける様になった。

 

恋はいつの間にかコーギー犬を連れてきていて、詳しく話を聞くと、元々飼っていたたくさんの動物達の中で、一番の友達だったセキト君らしい。彼女の動物達は、多過ぎて連れて行けないので、華琳さんに頼んでサーカス兼動物園的なところに全員就職して貰った。今では洛陽の新しい名所として、人気の場所になり、阿蘇阿蘇にも掲載されて、立派に自分の食い扶持を稼いでいる。恋は暇ができたら俺を連れて一緒に行く様になった。大事な動物達が元気に過ごしているのを見て、安心しているようだ。

 

 

音音は最初は董卓さん達にしかあまり懐かなかったのだが、いつの間にか俺に気を許してくれるようになり、鈴々や幼女組とも仲良くなって、無邪気に笑うようになった。そしてつい先日、寝ぼけて俺をちちうえ、と呼んだのでそのまま娘にした。意味が分からないとか犯罪とかそういう意見もあると思うが、娘が可愛いので文句は言わせない。最初は戸惑っていた音音も今では普通にちちうえと呼んでくれているので俺は満足している。鈴々と音音を肩に乗せて散歩するのが最近見つけた幸せである。え、幼女軍師組も娘?・・・娘はどうやったら俺を搾れるか日々研究しないと思うんだ。

 

 

そんな穏やかで忙しい日々を過ごしていると、朱里や雛里が劉備さんからの手紙を持ってきた。何でも人が増えて大変になったらしい、こないだ聞いた話だと糜竺さんと糜芳さんという姉妹が仲間になったとか何とか、兵がついに2万超えたとか、楽しそうな内容だったはずなんだが。

 

どうでもいい事だが、劉備さんと言えば少し前に幽州に帰っていった白蓮を思い出す。何でも白蓮にも劉備さんから手紙が来ていたらしく、その事で落ち込んでいたので話を聞くと、どうにも一刀くんとの惚気ばかりな上に、白蓮の相手がいない事を心配する内容だったらしい。正直それわざわざ手紙にする必要があるのか、と思ったが、軍師組としては世間話の体をした近況報告兼情報収集が目的だろう、と言っていた。そんなスパイみたいな真似が出来るくらいあのぽわぽわきょぬーが成長したのかと思うと感慨深い。世間話で白蓮の精神にダメージを与えちゃうところは変わってないけど。

 

 

とりあえず白蓮が可哀想だったので、拠点に連れて帰って皆で酒を交えて慰めた。いつの間にか華琳さん達も含めた全員が集まってて少し狭かったが、そのぶん賑やかだったし問題はない筈。肝心の白蓮は女性陣と会話しながらやたらと俺をチラチラ見てたが、ひょっとして俺が「私への当てつけかこのヤロー!」と突っ込み待ちだったのに気づいていたのだろうか。

 

 

いやぁ、せっかく劉備さんが白蓮の弱点を突いてくれたので、あえてイチャイチャして煽っていたのだが、反応が何時もより悪くてつまらなかったのだ。恐らく、気付いていたけど慰められている手前、突っ込むべきか悩んだんだろう。そこで元気に突っ込み出来ないから存在感薄いんだよ、とは言わないでおいた。

 

 

まぁ結局酔い潰れるまで飲んで、うちに一泊したら元気になってたし相変わらずげろチョロな奴だ。ただ、何故か朝イチに顔を合わせたら真っ赤になって逃げていったのだけがよく分からん。覗かれたかな、と考えたけど、その日は白蓮に付き合って皆で最後まで飲んでいたから誰ともしてないし、精々皆と一緒に寝ていただけだ、それくらいなら朝イチの天幕でよく見てる筈だしな・・・。まぁ桂花や春蘭もそんな感じだったけど、彼女達はだいたいいつもあんな感じなので問題はない。罵倒が入るか入らないかしか違いがないしな。

 

 

 

うーむ、強いていうなら星の奴が華琳さんと何か怪しい顔してたのが気になる。問い詰めたら星のとっておきの濁り酒をご馳走したとか言ってたけど、俺が知らない内に星の酒で何かやらかしたりしたんだろうか?うぅむ、言っては何だが、酒に弱い白蓮や春蘭達が酒飲んでやらかすのなんかいつもの事だと思うんだがなぁ。少なくとも俺個人的には星の隣にいた華琳さんが美味しかった、と言ってくれた料理がどれなのか分からない方が気になるくらいにはどうでもいい。

 

 

ああでも、孫権さんや甘寧さんは何か風邪を引いたとかって急いで帰っていったから、ひょっとしてあいつら水でも被ったりしたのかな。もしくは酒を樽ごと飲んだとか?春蘭あたりなら樽に頭突っ込んで飲んで風邪引く、という可能性はある・・・いや、ないか。馬鹿は風邪ひかんはずだし。

 

 

 

 

 

まぁ、白蓮の事はいいや。帰るときにまた飲もうって約束したし、大丈夫でしょう。言いながら何故か顔赤くなってたけど。孫権さん達は後で果物持ってお見舞い行くとしよう。

 

 

それよりもそろそろ仕事がひと段落したので、華琳さんが拠点を陳留から洛陽に移すため、一旦洛陽に秋蘭を残して、引き継いでくる為に陳留に戻るとのことなので、俺たちもそろそろお暇せねばならない。孫策達も、よく分からないけど仕込みがすんだからそろそろ戻る、とか言ってたので、、ちょうどいい時期だったんだろう。

 

 

そんな訳なので、ちょうど劉備さんの下へ行くつもりだったから、人が増えて大変でも、2週間保たせてくれれば何とかなるだろ。で、朱里。劉備さん何人くらい増えたって?きっと劉備さんの事だから、またなんかやらかしたんだろ?その辺の孤児集めて親衛隊でも作って周りから顰蹙でも買ったか?

 

「はわわ、そんな生易しい事じゃありましぇんっ!」

 

「あわわ、緊急事態でしゅ!」

 

「流石に風ちゃんもこれはマズいと思うのですよー。」

 

あん?風がそういうレベルなの?いやでも最近の一刀くん達凄いって皆言ってたじゃん。そんなヤバいことやらかすか?軍だって2万に増えた筈だし、与えられた領地の賊が倒せないって事も無かろ?

 

「ええ、むしろその逆ですね。近隣にやってきた黄巾の残党を、全て自軍に引き入れることに成功したそうですよ。」

 

え、稟それマジで?やるじゃん劉備さん。つーかまだ居たんだな黄巾の残党。数え役満しすたぁずが曹操さんの下にいるから、皆そっちに流れたかと思ってたのに。流石は人徳の王、やるもんだ。で、何人くらい増えたの?2000人くらい?もしかして1万とか?まさかなー。

 

 

 

 

「8万よ。」

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・なんて?

 

 

 

 

 

「だから8万よ。朱里達が言うには元々2万いたらしいから、現在一気に10万に増えた事になるわね。」

 

 

・・・・・・えっ。何それ怖い。

 

 

え、詠よ。流石に冗談だろ?劉備さんのところがどんなんか知らんが、着任してまだ3ヶ月かそこらだぞ。そんないきなり5倍に増えたら、糧食はおろか、住むところさえない筈だし・・・。

というか、何処にそんな数がいるねん・・・あれ、なんか聞いたことあるな。あれっ、ひょっとして虎牢関脱出したら恋たちが率いてくる10万の奴か?あれっ、どうしよう可能性出て来ちゃったぞ。い、いやまさかな!流石にそんな訳・・・

 

「えぅ・・・ほ、ほんとみたいですよ?手紙にはそう書いてあります。嘘でなければ、ですけど。」

 

「ホンマや、豪気な真似すんなぁ劉備さんとやら。ハハ、足りないから何とか都合付けとくれって書いてあるで!無理に決まっとるやん。なぁ?」

 

「その、なんだ・・・大丈夫なのか?劉備とやらは。いや、冗談なら何も問題はないと私も思うんだが・・・冗談なら。」

 

「でも鈴々が、劉備はこんな嘘つかないって、言ってた・・・。」

 

「いやしかし、これは流石に無茶な話ですし、冗談の可能性も・・・ちちうえ?どうしました?」

 

そう言って音音が心配そうな顔をしてくれる。良い子だ、おとーさん嬉しいよ。ちょっと血の気が引いて手が震えるけど、音音の頭を撫でて癒される。

 

愛紗、星・・・念の為、そう!念の為に確認しとくわ。手紙、なんて書いてある?

 

 

「我が主人、残念ですが・・・。」フルフル

 

「道玄、気持ちは分かりますが・・・私が読んでも同じことが書いてあります。」

 

 

ははは、そうか。そりゃそうだよなぁ。劉備さん阿保だからそんな嘘つけないよなぁ。一刀くんがいるからと言っても、エイプリルフールは四月だし、時期が違うもんなぁ・・・。なぁ真桜、念の為聞いとくわ。糧食が無限に出てくるカラクリとかあったりしない?

 

 

「すまんなぁにいさん、ウチ絡繰作るんは好きやけど、仙術はちょっと使えんなぁ。」

 

 

デスヨネー。ははははは・・・。

 

いかんちょっと膝の力が抜けそうになった。ガクブルである。流琉と鈴々が心配してくれてる。ありがとなー、鈴々、流琉。ああ、もちろん音音もな。

ふふ、嫌な予感はしてたが流石劉備さん。いつだって斜め上をいってくれるなぁ。ブッコロ。

 

「・・・凪、沙和。」

 

「はいっ、何でしょうか!」

 

「はいなのー!」

 

 

今すぐ華琳さんと孫策達のところへ行ってくれ。たぶんどちらも忙しいと思うが、俺が土下座するからお願いを聞いてほしいと言っていると伝えてくれれば、どっちも場を設けてくれる筈だ。早ければ早いほど良い。頼む。

 

御意、と言って2人がダッシュで外に出て行く。それを尻目に軍師組に指示を出す。

 

朱里、雛里。たぶんこれから俺華琳さん達に出来る限り物資を分けてもらうための交渉しなくちゃだから、ついてきてくれ。具体的な交渉と、対価の設定は任せたい。俺を使って良い、頼めるか?

 

「はわわ、頑張りましゅ!」

「あわわ、任せてください!」

 

風、稟。2人には俺たちの移動の為の準備を頼む。護衛は星、華雄、任せた。

 

「御意。」

「了解ですー。」

「ふむ、任されました。」

「了解した。」

 

月、詠。聞いての通りだ。たぶん準備が出来たら早々にここを発つ。この拠点を引き払うから、最低限の予備を残して荷造りしてくれ。いくらかは馬車に積むから、俺の四次元袋に詰めるものと、馬車に積むものは別々にな。鈴々、霞、恋、音音!4人は月と詠の手伝いを任せた。2人にできない力仕事とか買い出しとかやってやってくれ。

 

「わ、分かりました。」

「分かったわ。何かあれば連絡する。」

「分かった・・・。」

「頑張るのだ!」

「え、本当になんとかなるん?」

「任されたのですぞ!」

 

何とかするんだよ、霞。あの馬鹿はともかく、80000人喰わせるために街全体が餓死とか笑えん。焼け石に水でも用意せにゃならん。

 

真桜、流琉、2人はうちの分の食材買い出し。強行軍になるかもだから、量多めに。最悪のことも考えて保存食も用意しといて。後、出来る限り水樽用意してくれ。四次元袋に後で入れとく。

 

「分かりましたっ!」

「了解やでー。」

 

 

愛紗、お前は一旦ここで待機。月達の手伝いしながら、沙和と凪が戻ってきたら、2人を連れてまぁちじゃない田豊さんのとこ行ってきて!確かまだ袁紹さんの尻拭いで街に護衛と一緒に残っている筈。こないだ華琳さんと飲んだ時会ったから間違いない。俺からのお願いって伝えて!あの人は顔良と並んで袁家の良心、必ず力になってくれる!

 

 

「・・・道玄?」

 

なんだ愛紗、質問か?悪いが俺も準備しなくちゃだから、手短に頼むよ。あ、田豊さんは覚えてるよね?あの袁家の苦労人その二の人だよ?

 

 

「ええ、それは大丈夫ですが。・・・いつの間に田豊殿と真名を交わすほど仲良くなったのですか?」

 

 

そりゃこないだ2人で飲んだとき、に・・・おぉっとー?

 

・・・あの、今の無し、とか駄目・・・ですかね?

 

 

「すまない皆、私は用事が出来た。あと、出来るだけ早く合流してくれると助かる。」

 

「了解や。」

 

「直ぐ終わらせます。」

 

「華琳様と交渉が終わったら秋蘭さん呼んできます。」

 

「では私は冥琳さん達を。」

 

「片付けはさっさと終わらせましょ、月。」

 

「そうだね、詠ちゃん。皆んなもいいかな?」

 

「御意ですぞー!」

 

「直ぐ、終わらす。」

 

「では私達でついでに田豊殿の元へ行きましょう。」

 

「そうだな、具体的な話も聞いてこよう。」

 

 

 

一瞬で俺が指示した内容が覆される。この傭兵団に俺が必要ないのがよくわかるよね!

 

あ、いやま、待った!今はそんな事してる場合じゃないと思います!そう、8万人以上の人間が大変なことになるよ!罰なら後で受けるからさ?なっ?

 

 

「すいません、私は見知らぬ8万と貴方なら貴方を取ります。何故なら私は貴方を愛しているから。だから先ずは浮気の確認が最優先です。幸い大体の業務は皆が変わってくれますので、安心してください。

 

ああ、無理して話さなくていいですよ?洗いざらい吐くまで身体に聞きます。」

 

 

ひぇっ!ま、待って!話します。素直に全部話すから、ちょ、ちょっとお手柔らかに・・・!お願いします!

 

 

「そうですか。それなら尋問の必要はないですね。では残りは罰だけです。しっかり報いを受けて貰いますので覚悟して下さい。」

 

 

えっと、本当に何もなかったんですよ?ちょっと真名を交わしただけでね?ちょっと2次創作で知らない人だから仲良くなっても何も変わらないと思ったと言うか、地味に知らないキャラで偉い人初めて見たと言うか何というか・・、だから、えっと・・・罰が優しく変わったりしないかな?

 

 

「変わりません。黙っていた事には変わりないですし・・・私を含め、皆もう胸の奥が嫉妬で燃えてしまいそうです。貴方のせいなので、責任とって下さいね。」

 

 

さぁ行きますよ、と俺の腕を取る愛紗。何気ない態度に見えるが、滲み出る怒気は背中に豪鬼がいるかの様で・・・。無言で引っ張られて行く俺。やがて寝室に着くと、愛紗が飛び付いて来て、寝台の上に押し倒される。この時耐えて倒れずにいてはいけない。余計に酷い事になるので、神に祈りながら天井のシミの数でも数えましょう。

 

 

「さて・・・猛省して下さいね。」

 

でも流石に判定が厳しすぎると思うんだ!

 

 

 

 

 

 

まぁそのまま問答無用で絞られましたよ!

 

 

⬛️

 

 

そんなこんなで色々酷い目にあわされた俺は何とか華琳さんや孫策、田豊さんから物資の補給を取り付け、とりあえず2ヶ月分ほどの物資を持った部隊を護衛しながら慌ただしく洛陽を出た。劉備さんには早馬を飛ばして受け入れ準備しろ、と伝えてある。なんだかんだ偉い人の知り合い多くて良かった、マジで。

 

 

なお、その際にそれぞれ俺に対する対価を求められた。正直劉備さんにツケたいところだが、今買ってるのも必要としてるのも俺なので、俺が受けるしかない。劉備さんは一刀くんの大切な女性だが、椅子に座れなくなるくらいまでお尻ペンペンの刑に処す、と決意する。

 

 

対価はそれぞれ色々あるが、全員に共通するのは自軍と敵対しない事、だった。まぁ敵に回ったら原作のキャラ半分が敵対する訳だしな。優秀な武将や軍師ばかりだし、これは仕方ない。万夫不当の呂布ちんがいれば数の差も覆されかねないし、加担した方がほぼ勝つよね、これ。傭兵団なのに戦えなくなって来てるのがもうあれだけど。

 

その上で華琳さんは劉備さんにこれ以上の加担を禁止してきた。今回で最後にしなさい、と言われた。なんかあんまり優しくしても甘えて成長しないとか何とか。正直俺のせいで大変な目にあってるので、ちょっと可哀想だが・・・確かに8万分の食糧をいきなり要求される様な頼みは何度も聞いてやれんなぁ。うむ、まぁ仕方ないね。つーかなんか劉備さんのお母さんみたいだね華琳さん。

 

 

田豊さんには緊急時の依頼を優先で受けて欲しい、とのことだった。と言っても戦いに協力しろ、という事ではなく、脱出を手伝ったりとか護衛とからしい。何が起きるか分からないから、最終手段になってくれとか言われた。なんかよく分からんウチにやたらと評価されてるが、今回最も物資を融通してくれた方なので、一も二もなく頷いておく。あと袁家の領地に来たら必ず自分の下へくること、と言われた。理由はよく分からんがこれも了解しておく。なんか華琳さんと田豊さんが睨み合ってるけど、なんかあったんだろうか。

 

 

最後に孫策は劉備さんの手伝いが終わったら直ぐにウチにくること、だそうだ。なんか近々大きな計画がどうとか、周瑜さんと黄蓋さんの為にも何とか、色々な理由というか建前を言ってたが、何か本当の事は言ってないみたいなので、一応用心だけしておこう。何は無くとも呉には行く予定だったし、特に問題はない。ちょっと強行軍になりそうなのがあれだが。周瑜さんと黄蓋さんが嬉しそうだし、俺も悪い気はしないしな!まぁ秋蘭が凄い目で見てるけど、俺が決めたわけではないので許してもらうしかない。

 

 

 

というか俺への負担が多過ぎだが、最終的に劉備さんには出世払いで何とかしてもらうしかないな。見てろよ劉備さん!週休7日三食昼寝付きプラス冷暖房完備の風呂トイレ別々で一軒家、小遣い付き、とか要求してやる!

 

 

・・・と劉備さんの所に着く前は思ってたんだが、着いて見たらそれどころではなかった。

 

いきなり8万も増えたものだから兵舎に空きなぞあるわけもなく、天幕を街の外に張って陣を作って何とか雨風をしのいでいるが、増えた兵達の私物を合わせてもギリギリで、すし詰め状態の兵達。衛生状態は最悪で、更に少ない食糧を切り詰めているので栄養状態も最低だった。

 

 

それはトップたる劉備さんや一刀くんでさえ同じで、何でも兵達に苦しい思いをさせておいて、自分たちだけいい思いはできないとの事だが、その状態で倒れたらそこで10万の兵である彼らは終了である。何馬鹿なこと言ってんだ、と2人をひっ叩いて眠らせる。同じく窶れまくりだった糜竺さんと糜芳さん姉妹も無理やり寝かしつけ、流琉に栄養価の高い食事と看病をぶん投げた。

 

するとまず彼らが目を覚ますまでに2日、体調を戻すまでに2週間ほどかかった。かなり無茶をしていた事がよく分かる。お前らが倒れたらあいつらどうすればいいんだ馬鹿!と軽くだけ説教しておく。一緒になって働くのはいいが、一緒なって倒れてあと知りません、はトップの仕事ではないのだ。

 

 

劉備さん達に手を出したことを新参の兵どもが何か切れてたので、大した人心掌握っぷりだな、と思いながらも面倒なので威嚇して黙らせる。昔からいる顔馴染みの兵を呼び出し、進行状況を聞くと、まさかの兵舎優先で蔵に手が付いていない。10万人分の糧食どうすんだよ馬鹿か彼奴ら!

 

 

とりあえずまず食糧を切り詰め過ぎて兵士たちが死にそうで役に立たない上に、劉備さんの所の民も食糧事情に協力してたらしく飢えてたので、物資を運んでくれた兵達に協力してもらって炊き出しをして、先ずは数日使って体力を回復させる。

 

元気になった連中から陣付近の衛生状態改善のため、色々なものの処理部隊を編成、即運用して処理させる。体力なさ過ぎてトイレ用の穴さえ掘られなくなってたので、洒落にならんマジで。終わった後は近くの川で水浴びを徹底させた。これは俺が監督しながら、指揮そのものは劉備さんとこの古参の兵に取らせた。便宜上部隊の隊長として扱う。名前が胡軫とか何とか言う奴で、意外と有能なので途中から全部ぶん投げた。

 

 

その後は真桜を中心に人海戦術で食料庫たる蔵を一気に建設する部隊と、全然手が回ってなかった内政部分をぶん投げた軍師組とで団のメンバーを別けて、適宜指示しながらひたすら土木工事である。兵舎?屋根だけ作って後回し!寝る場所は一応あるから優先順位を下げました。

 

 

流石と言うか何と言うか、こんなふざけた状態でも街の治安は割とよくて、民全員が一丸となって協力する姿勢でいてくれたので、警邏隊などに人手を割く必要が無くて助かった。元々賊だった新兵達も、新しくやって来て偉そうな蛮族たる俺には不満気だったが、劉備さん達に文句は無いらしく、彼らが過労で寝込んでいても、彼らのために一生懸命働いてくれた。

 

 

やがて2週間が経って簡易とは言え、人海戦術で無理矢理建設した蔵が乱立した頃、追加の物資が届き、ようやく安定して兵と民に食糧が行き渡り始めた。

その頃には劉備さん達もようやく復活して来たので、兵達の陣頭指揮をぶん投げ、山や付近の開墾をさせる。いや、このままじゃ再来年には結局死ぬから!いつまでも10万人以上物資があるわけないだろ!屯田兵だよ屯田兵、と一刀くんたちを説得し、一気に田畑を広げさせ、一大農耕地区を作らせる。人数多いだけあってかなりこれは早く進んだ。まぁ邪魔な岩や岩盤は全部俺が取ってしまったから、そのぶんもあるだろう。正直いちいち砕いたり切り出したりしてる暇は無かったのだ。

 

 

流石に作付けまでは面倒見切れないが、農耕地区を作った際、川から水路も引いて、真桜に水車をいくつか作ってもらったので、麦を作るにしろ米を作るにしろ問題はないはずである。劉備さんも早速農家の民に協力してもらいながらやってたので、現在の食糧事情なら何とかギリギリで間に合うだろう。

 

 

この間で約1ヶ月ちょっと。俺がほぼ毎日チートをフル活用して木を引っこ抜いたり岩持ち上げたり地面に穴開けたりしてて、女性陣は女性陣で何かしら仕事をしてたので、まさかの初1ヶ月の貯蓄に成功したことに気付いた時は感動したものだ。

 

 

そうしてひと段落ついたところで、ちょっと奮発して宴を開き、頑張ってくれたみんなを慰撫する劉備さん。そしてノーテンキに助けてくれてありがとう、俺たちに笑った。

 

と、ここで更に次やりたい事などを語り出したので、みんなで足元固めてないのに何考えてんだ馬鹿!と説教する。一刀くんは流石にどんだけ馬鹿な真似をしたのかと反省してたので、うちの武将組が組み手で成長を確かめるだけで許したようだ。一応うちの武将組では最弱、それでも百人くらいなら1人で片付けられる沙和に勝ったあたり、彼はもはや普通の高校生では無くなってしまった。

 

まぁその後はあまりの忙しさで俺と触れ合えなかった他の女性陣にボコボコにされていたけど。恋がやった時は30メートルくらい吹き飛ばされていたので、鍛えてて良かったなーと思う。あったばかりの頃ならあれで死んでるよ、間違いなく。まぁ恋もあれくらいなら大丈夫、と判断してからやったみたいだが。

 

 

そんな彼を尻目に、軍師組に説教されて涙目の劉備さんに、更に絶望をプレゼントしなければならない。何か非常に心が痛むが、こんな無茶を1ヶ月で何とかしたので許して貰おう。なぁ、劉備さんや。

 

「はい?何でしょうか羌毅さん。はっ、ま、まさか羌毅さんもお説教・・・とかですか?」

 

ははっ、まさか!俺はこれを渡しとこうと思って。中身はなんて事ない、今回物資や兵の融通をしてくれた協力者からの手紙だ。対価とか書いてあるから読んでくれ。ああ、多分取り立てはないから安心していいよ。

 

 

「ゔっ・・・。読まないと、駄目・・・ですよね、はい。」

 

 

凄い嫌そうな顔する劉備さんだが、こればかりはねぇ。劉備さんに会いに来ていた民や兵も、これだけの物資がタダな筈もないのが分かっているのか、話が出た途端にそそくさと去っていく。若干涙目で恐る恐る手紙を読み始めた劉備さんは、その後直ぐに大声でええー!と叫んだ。

 

その声に反応した一刀くんや兵達が何だ何だと集まってくる。一部の新兵が俺を見て眉を顰めるが、いつもの事なので無視だ。だから近くにいた軍師組の皆にも声を掛けて静止する。

 

「どうしたんだ、桃香。何か叫んでたけど・・・?」

 

「ご、ご主人様ぁ、こ、これ見て!!

 

 

物資の対価に羌毅さん達の協力を禁止されちゃったぁっ!!」

 

 

えええっ!!?と劉備さんより大きな声で叫ぶ一刀くん。すまん、そういう事なんだ。更に、読んでもらえれば分かると思うが、孫策からの交換条件でそろそろ呉に行かねばならんのだ。建て替えた分は出世払いって事でいつか払ってくれれば良いから。

 

そんなぁ、と泣きそうな劉備さんとマジかよ、と困惑気味の一刀くん。マジすまんな、と言おうとしたところで、一部の兵が金取んのかよ、とほざく。・・・はぁ、当たり前だろ。何言ってんだ。

 

するとお前が勝手に持って来ただけだろ?と更に他の兵達が騒ぎ出した。どうも彼ら的には劉備さん達を守っているつもりらしい。まあ確かに傍目から見たら俺が虐めてるように見えるよなぁ。まぁ仕方ないっちゃ仕方ないか。だからお前ら、落ち着け。

 

 

助けに来た俺の苦労を知るうちの女性陣が一瞬で殺気立ち、昔からいた劉備さんの兵達が、俺の怒りを買うかもしれないと青ざめる。それで鎮圧されないのは、増えた元賊の新兵の方が圧倒的に多いからだ。状況がマズいと気付いた劉備さんと一刀くんが宥めにかかるが、彼ら的には2人のためなので止まる気配はない。糜竺さんと糜芳さんはオロオロしている。

 

 

やれやれ、とため息をつきながら、そもそもまず俺は劉備さんから頼まれて物資を調達して来ただけで、劉備さんに仕えてる訳でもないから、代金を請求するのは当然である事、そもそも10万人以上の物資が一年分以上ある時点で、どれだけの金がかかり、それを俺という一個人が自分を対価に立て替え、かつ劉備さんから今直ぐ支払いを要求せず、金利も取らないのがどれだけの異常かということなどなど、丁寧に説明する。どれくらいの金がかかるか想像もできないようだったので、1人一食につきラーメン一杯5銭だったとして、だいたい皆二食だから1人につき1日10銭、10万人いるから1日100万銭、それを365日分だ、払えるか?と言ったら全員が青ざめた。

 

 

まぁそれでも今直ぐ要求しないんだ、感謝してくれ。俺にじゃなくて物資を出してくれた人達にな。あの人達は本来自国の身を削ってまで劉備さんに協力する義理はないんだからな。

 

 

「何を言ってるんや、団長がそもそも頭下げんかったら誰も応えてくれてへんで。曹操も孫策も田豊も、いくら大きな勢力かて、後先考えずに8万も兵増やして自滅する無名の領主になんかこないな大量の物資、融通するわけあらへん。」

 

「全くもってその通りよ。しかもそれで回しきれずに過労で寝込んだ馬鹿の代わりに、このどうしようもない状況を立て直してやるなんて、お人好しも過ぎると思うわよ?あんたこの1ヶ月、ほとんど寝てないじゃないの。」

 

 

あー、まぁ、俺の事はいいんだよ。何か二週間目を超えたあたりで慣れて来たのか、意識はハッキリしてるし。元々体力だけはあるしな。だからそんな顔すんな、2人とも。好きでやった事だし気にしないでいいよ。ああでも流石にもうちょっと考えろ。今回はこの程度で済んだが、たくさんの人を助けようとして、自分を助けてくれる人達も巻き込んで自滅、ってのは上に立つ者として最低だぞ。

 

 

そういって落ち込む2人を嗜める。いや厳しい事言ってる自覚あるけどさ、見ろ2人とも、あそこでこっちを見てハラハラしてるちびっ子2人とじっさまばっさまいるだろ?あいつら俺らがこの街来た時餓死しかけてだからな?

 

「「!?」」

 

驚愕する2人だが、実を言えばこの時代で餓死は珍しくないので、周りの連中はそれがどうしたって顔をしている。この2人の下にいながらその顔してるのはどうかと思うので、続けよう。

 

自分たちの食う分削ってお前らに渡していたらしい。お前達が来てから、前の領主と違って善政をしいてくれる。困った時に一緒困りながら、助けてくれる。お前達が居なければどの道死んで居た筈だから、とか言ってたよ。俺が言いたい事、分かるか?

 

 

「・・・わ、私達、一度助けた人を自分で・・?」

 

 

まぁ、そういうこったな。正直別にそれはこの時代、珍しい事じゃないし、領主初めてな君らなら気が回らなくとも仕方ないとは思うが・・・、そういう領主に苦しんでいた民の助けになりたくて、君らはその立場(そこ)にいるんだろ?忙しいとか、色々大変だ、とか分からんでもないが、それに甘んじちゃあ駄目だと思うよ。

 

 

そこまで言ったら何か落ち込みまくってしまった2人。やべ、ちょっと言い過ぎたか。でも俺らがこれから先協力できない以上、流石に今回みたいに甘やかせないので分かって欲しいと思う。

 

 

決してこのふざけた状況を肩代わりさせられた事を怒っている訳でも、なんだかんだこの1ヶ月一切発散してない女性陣に付き合わなきゃいけない未来が確定してる事を文句言いたい訳でもなければ、鈴々や音音という娘達と戯れる時間がなかった事への八つ当たりではない。無いったらない。

 

 

さて、宴どきにいつまでもトップが落ち込んでるのも具合が悪い、無理矢理にでも元気出させようと口を開いた瞬間に。

 

「じゃあお前がやればいいだろ。」

 

と、誰かが言った。うちの女性陣が凍りつき、一刀くん達が顔を上げて絶句する。あらやだ、人の話聞いてない馬鹿がいらっしゃるわ。

 

その言葉を皮切りに、新兵達がどんどん口々に無責任な事を言い出し、民にまで広がっていく。お前が代わりに働けば2人が楽に、とかお前が勝手に払ったんだからまたお前が稼げばいいだろ、とか聞こえる。やれやれ、流石元賊、言ってることが図々しい上に身勝手極まりない。まぁ元々身勝手な理由で賊になった奴らばかりだし、仕方ないか。彼ら的にはこれも劉備さん達の為なんだろうな、とため息を吐く。

 

 

やれやれ・・・。とりあえず俺に全ての責任だけ押し付けたいらしい兵達のに言葉失って、呆然とする劉備さん達。まぁ、助けた奴らがこんな恥知らずだったらそうもなるよなぁ。そんな感じに苦笑いしていたら、突如として轟音が鳴り響く。なんぞ?と思ったら恋が武器を地面に叩きつけていた。

 

見ると女性陣皆が鋭い眼で周りを見据えている。武将組は全員武器を構えているので、ムカ着火ファイアーしちゃったみたいである。全員殺気立っていて、文句を言っていた新兵達や民までが怯え出した。やっべ、抑えんの忘れていた。慌てて宥めようと口を開こうとした直前に、愛紗が怒気を放ちながら言い放った。

 

「桃香殿・・・私達は貴女の人柄も、平和への想いも知っているから、貴女から助けを請われた時、助けに向かう為、無理をするこの人を止めませんでした。私達も貴女の力になりたかったから。しかし・・・。

 

 

今は、貴女達を助けに来た事を後悔しています。」

 

 

「・・・ッ!」

 

 

あちゃぁ、と思わず額に手をやる。これは愛紗がガチギレしている。言われた劉備さんが泣きそうだ。まぁ確かに助けた奴らにこうまで言われたらムカつくけど、劉備さんに当たるなよ。まぁ責任取るべきは劉備さんだからなんだろうけど。

 

「主人、言われているのは主人ですぞ。流石にお人好しが過ぎます!」

 

「そうですね。少なくとも私達は助けを請われて来たのです。それをこの言いよう・・・。いくら何でも舐め過ぎです。」

 

 

はぁ、星、稟、他のみんなも落ち着け。俺は気にしてないし、お前達も気にするな。元々俺自身はこのアホ共を助けに来た訳じゃない。友を2人を助けに来ただけだ。どんだけ偉そうにしてても、数しか頼りがない連中の粋がりなんぞほっとけ。ここで俺が敵対したら終わりだって事も分からんの賊共だぞ。

 

 

「あぁ?テメェ何舐めた口聞いてんだ!こっちゃあその数を頼りに無理矢理言うことを聞かせてもいいんだぜ!お前の女、無茶苦茶にしてやろうか!?」

 

 

 

 

・・・・・・はぁ?

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

 

 

たった今まで喚いていた馬鹿共が、一瞬で静まり返る。そのまま一気に怯え出し、近くにいた民も身を寄せ合って震え始めた。

 

 

10万から成る劉備軍の全兵と、一刀や糜竺さん達武将さえも、急に酸素が薄くなったように荒い呼吸をくりかえす。

 

それどころか中華最強の呂布でさえ息を呑んで固まり、全ての人間の視線が一箇所に集まった。

 

 

視線の先にいるそれは、まるで恐怖そのもののような、絶望が形になったような、圧倒的という言葉さえ生温く感じる程の殺意を持って、ゆらり、と立ち上がる。

 

「今、俺の女に・・・何と言った?」

 

「ひぃっ!」

 

 

 

一歩。たった一歩それが動いただけで、空気が水になったのかと感じる程に呼吸ができなくなる、それ程に濃密な殺意。

 

恐怖が、空間を支配する。

 

それは、暴言を吐いた者の頭に手をおいて、静かに口を開いた。

 

 

「先ほども言ったが、俺はいい。お前達がどれほど囀っても興味は無い。助けに来たのはあくまで北郷一刀と劉玄徳だけだ。お前達はあくまでその結果でしかない。」

 

ギリギリ、と音を立てながら、だんだんと手が下に下がっていく。しかし、押さえつけられた兵の足は、地面に沈んでは居ない。声にならない悲鳴が上がる。誰も目を離せない。

 

「だが、だからこそお前達が俺の女に手を出す、と言うのなら躊躇も遠慮もない。・・・俺は劉玄徳の様に、罪を成した賊まで人間だからと助ける気はないからな。」

 

ギリギリ、と音が鳴る。やがて頭が完全に胴体に沈むが、不思議な事に血が流れないまま、そのまま鎧ごと、どんどんと圧縮されていく。

 

ドスン、と重い音が鳴る。どうやったのか、一滴の血も流さないまま、人が、四角い箱の様な形にされてしまった。確認するまでもないが、生きていないのは明白だった。

 

そのまま元々人であったものを無視して、それは近くな岩に手をおく。田畑を拓いた時にそれが引き抜いた、街の門より高く大きな巨岩だ。

 

 

まるで小石でも拾う様な感覚で、片手でその巨岩を持ち上げる、それ。

そんな冗談のような光景を呆然と皆が見上げて、そして死を悟った。たった今言葉を放った者を片付けた筈のそれは、こう言った。

 

 

「さて・・・俺の女に、何をするって?」

 

もう一度言ってみろ。

 

 

 

その言葉を最後に、相対する全ての者の意識が、闇へ消えた。

 

 

 

 

⬛️

 

 

・・・まぁ単に皆気絶しただけなんですけどね!

 

 

普通の民や、元平和な高校生である一刀くんは仕方ないにしても、闘うのが仕事の兵達や、糜竺さんや糜芳さん、劉備さんはダメだろ。ちょっとくらい頑張ってくれよ。

 

うちの女性陣だけじゃん、意識があるの。

 

 

「いえ、道玄様。それは正直酷な話かと・・・。」

 

「兄さまが襲ってこない確信のある私達はともかく、普通は無理だと思います。」

 

「確かに。ウチらでも冷や汗止まらんかったで。そんな凄み出せるんやな、団長。」

 

「あんたが戦っている姿を知ってて、あんたが普通じゃないって理解してる私達でも、別人に見えたわよ・・・。」

 

「心臓に悪いのでー、やるときはやるって言ってくださいー。」

 

 

おっと、じゃあちょっとやり過ぎだったか。個人的には一応全力で威嚇したからな、兵が全員気絶してくれて凄い気分良い。覇王色の覇気を使った気分!まぁ元賊の覚悟もない奴らが大半の、実践経験の乏しい劉備軍だから可能な奴だが。これが華琳さんの兵なら、効果があったとしても精々新兵くらいかなー。まぁ逃げるくらいはするだろうけど、気絶まではしない筈。

 

 

「はぁ・・・やっぱり、ワザとですね?」

 

あら、バレちった?どうも劉備さん達疲れてて納められそうになかったからさ。いやでもお前らの事で怒ったのは本当ですよ?

 

「それは皆分かっていますよ、主人。」

 

「おとーさん、ツノ出てたのだ!」

 

「まぁ、一瞬だったがな。」

 

あー、やっぱり出てたか。どうも怒ると制御効かんっぽいなー。些細な事で怒ったりしないように気をつけねば。とりあえず劉備さん達だけ起こそかー。んで、事情説明してとっとと逃げるぞ。どうせ手伝えないし、これ以上嫌われ者が居座る必要もなかろ。何よりあちこち焚き火があって人間だらけとはいえ、まだ寒い。凍死でもされたら面倒だ。

 

「なぁ団長、なんでこいつにこんな肩入れするん?正直そんな価値ある人間に見えへんけど・・・?」

 

「同感だな。まるで兵が制御出来ていない。これでは賊と変わらん。」

 

 

あー、2人は昔の劉備さん知らんから分からんよなぁ。これでも成長しまくりなんだぞ。だってこの人、三年前までただの村娘だからな。それが今や言葉だけで8万もの賊を改心させた、徳高い領主様だ。制御ってか甘っちょろいのと打たれ弱いのは変わってないみたいだが。

 

「確かに、言われてみればあの頃とは別人のような立場ですね。」

 

「性格はまるで変わってないですけどねー。」

 

だから良いんじゃないか。あの時の、絶対に叶うことのない理想を実現すると寝言言ってた劉玄徳は、想いを変えることなくここに居るって証だ。俺は好きだぜ?馬鹿げてるが、カッコイイと思うね。並のバカならとっくに諦めてる筈だ。

 

そういうと、皆呆れつつも笑う。否定できないのだろう。いつの時代も、一芸に突き抜けた変人は人気者だ。誰だってカッコイイと感じるさ。

 

さておき、皆、馬車とか持って来て。荷物は荷解きの暇がほとんど無かったし、馬と馬車以外は俺の四次元袋の中に仕舞いっぱなしだ。ささっとお暇しよう。

 

そう言うと、まず動物好きの恋が走っていった。それを追いかけて武将組と音音が行ったので、あっちは任せて大丈夫だろ。よし、劉備さんに一刀くん、おっきろー!

 

 

俺らも早いとこ呉に行かないとな。

 

⬛️

 

 

あの後、一度起きた劉備さんがびっくりしてまた気絶するというハプニングはあったものの、起きた一刀くんと劉備さん、ついでに糜竺さんと糜芳さんに謝られたが、正直気にしてないので笑って気にするな、と言っておく。

 

それに、あれだけ民を怯えさせちゃったから、華琳さん達との条件に関わらずもうここにはこれん。つまり物理的に手伝えなくなるから、君らには独力でやってもらう他ない。本当にすまんな。

 

「大丈夫です!もう十分助けてもらいましたし、これからは皆が居ますから。私の方こそ、恩を仇で返す事になってしまって・・・。」

 

ははは、それこそ今更だ。では頑張れよ、2人とも。一刀くん、君は強くなったが、まだまだ上がいる。くれぐれも油断するなよ?

 

「分かっています。桃香の夢を叶えるまで、努力を続けるつもりです。」

 

ベネッ。じゃあそろそろ行くわ。桃を買いに全拠点にはちょくちょく顔を出す。伝えたいことがあったらそこで頼むな。あぁそうだ劉備さんや。

 

「はい?何でしょうか。」

 

「道玄だ。」

 

君に預ける。一刀くんにはもう預けてあるから良いよな。これから先、君らにとっては茨の道だが、君達の理想が叶うことを願っている。

 

 

んじゃな、と言って歩き出す。馬に乗った皆が早いので少し急がねばならんな。遠くから私は桃香ですって聞こえた気がするが、振り向かずに手だけを振る。まぁまた会うこともあるだろう。

 

 

そう思いながら、俺たちは逃げるように街を出たのだった・・・。

 

 

 

・・

・・・

 

 

まぁだいたいそんな感じだ。

 

 

あの時は忙しさで忘れてたけど、8万もの人間そのまま引き入れるってただの馬鹿だよね。まぁそのまま戦ってても負けてたと思うから、被害ゼロは凄いと思うけど。

 

 

ああいや、その後街全体が一気に飢えてたから、被害はむしろ甚大か。あれっ、劉備さんやっぱダメな奴じゃね?むしろ危険人物な気がして来た。

 

 

・・・まぁ、いいや。街も言ってはなんだがまだまだ発展途上だし、今んところ魅力は少ない。逃げるような形になってしまったが、早く次に行きたかったのも事実だしな。劉備さん達と街づくりも楽しそうではあったんだが。

 

 

そんな事を考えながら、そろそろいい時間なのでラージャン式エリア移動ジャンプをする。馬に乗ってる皆と並走するの面倒だから、先に行かせてちょいちょいエリア移動ジャンプで一気に追いつく、そんな移動をしている今。

 

途中で獲物見つけてそっちいったらソッコー愛紗がやって来て怒られたので、しばらくはただの散歩でゆっくり行く事にした。

 

 

 

ああ、そろそろ町に着くな。街じゃない町だ。街よりちょっと小さいが、この近辺の商人たちの流通拠点だ。早い話が宿場町。今皆が凄い勢いでそこを目指している。

 

 

理由?はは、決まってるだろ?劉備さんのとこじゃ出来なかったからな。今は人数増えて天幕じゃ入りきらないし。ローテーションを守る気は皆ないらしい。みんなも生理終わった直後くらいだからなぁ・・・ははは、もうわかるだろ?

 

 

要するにただの欲求不満です。

 

 

 

この後俺の犠牲は確定である。ちょっと横道に逸れただけで愛紗が追って来た事からご理解いただけると思う。今は散歩して現実逃避しているが、時が来たら原因である劉備さんに呪詛を飛ばそうと思う。

 

 

ああ、空の青さが憂鬱だぜ・・・。

 

 

 

 

続く!

 




作者は怪物強盗さんが好きです。なので少しだけリスペクトしました。


そういえば濁り酒って白いんだぜ。
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