避けたりとかそういうのはしない。   作:銀座

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大変お待たせしました。
言い訳になりますがちょっと就活したり就職したりしてて色々余裕が無くなってました。
こんな作品でも待っていてくれた方に感謝します。


45話 アップルパイは焼きたてよりも冷やした奴が好き!

やぁみんな、友達だと思ってた異性に告白されてドギマギしちゃう純情オーク系転生者の俺だよ!

 

 

 

パシャパシャ

 

「うにゃー!冷たくて気持ちいいのだ!」

 

ザパザパ

 

「ちちうえー!恋どのー!こっちですぞー!」

 

ズルッ、バッシャーンッ!!

 

「ぎにゃぁ!こ、こら璃々!急に押すでない!危ないじゃろ!?」

 

「えへへ、美羽おねーちゃんごめんなさい!」

 

 

空には太陽が輝き、周囲には青々とした新緑が目に眩しい。

 

足下にはゴツゴツとした石が隙間なく並び、初夏の季節にも関わらず涼しげな音と共にやや冷たい川が流れる。

 

ここはとある山の滝ツボ付近。柔らかな緑色をした高木が周囲を包み込む様に並び、優しく太陽から守ってくれる。さらに飛び散る滝の水が、夏場にはちょうどいい程度に空気を冷やしてくれる為、絶好の避暑地と言えるだろう。

 

素足は危ないので.全開ではしゃぎ回るちびっ子達や、沙和や一刀君と協力して作った水着を着た女性陣全員に、これまた沙和や真桜に協力して貰って作った動きやすく脱げないサンダル(足首で固定できるベルト付き。)を着用して貰っている。

 

川に入ってバシャバシャと水を掛け合うウチの娘たち。水着姿が非常に愛らしく、保護欲を唆る。ああ、今すぐ娘と遊びたい。水遊びしまくりたい。

 

だがしかし、現状それは叶わぬ夢だった。

 

何故かって?原因はこれだ。

 

 

()()()、璃々が呼んでいますよ?早く行きましょう。」ニコッ

 

穏やかで慈愛に溢れた母の微笑みを浮かべて、はち切れんばかりの母性が詰まった巨乳を揺らし、紫色の扇情的な水着を着混んだ彼女の名は黄忠。呉の黄蓋、魏の夏侯淵に並ぶ弓の名手であり、同時に川でウチの娘と遊ぶ璃々というこれまた可愛らしい娘の母親だった。

 

そんな彼女の夫はだいぶ前に他界していて、絶賛未亡人の筈の彼女が、俺をなんと呼んだかお分かりだろうか?

 

・・・そう、これが未だ娘たちと遊べない理由だ。

 

「どうしたの、あなた?早く行きましょう?」

 

「・・・そろそろいい加減にしないと本気で死んでもらいますよ、紫苑。」

 

「よさんか愛紗、璃々が悲しむ。・・・今は『まだ』早い。とりあえず道玄から離すぞ。」

 

「その通りよ愛紗。貴方もあの愛らしい娘を悲しませるのは本意ではないでしょう?何より道玄が悲しむわ。・・・璃々が居なければ魏の総力を挙げて始末してるところだけど。」

 

「あの紫苑があそこまでとは・・・流石はお館様だ、と言うべきか?」

 

おかしいな、こんな涼しげな避暑地にも関わらず俺の周りでは空間が歪んで見えるほどに熱気のこもった殺意が充満している。肌がヒリヒリして火傷しそうだ。俺は涼みに来た筈なんだが。というか桔梗、それは褒めてるのか?

 

 

とりあえず今分かっている事は、紫苑の奴のあなた、という呼称に今俺が迂闊に反応してはいけない、という事だけだ。

 

少なくとも今は、反応したが最後、俺はこの周りを完全に囲んだ女性陣全員が孕むまで子作りに勤しまねばならない。というか、それが原因で割と最近まで容赦無く搾り取られていた。前回は奇跡的に何とかなったが、2回目は死ぬ。今度こそ死ぬ。

 

何故なら、俺の周囲を囲む女性の数は、30人を超えているからだ。

 

 

 

 

・・・・・どうしてこうなったんだろう。

 

 

 

 

話は3ヶ月ほど前、俺が国造りを宣言した時まで遡る。

 

 

 

 

◾️

 

あの後。

 

いざという時の伏線と言うかテコ入れというか、念の為に宣戦布告をしたらそんなことしないでも手伝うよ!的な皆の優しさのおかげで戦わずして勝った感じの俺は、色んな意味で肩透かしされながらも、その3日後には意気揚々と色々細かい所を詰めた。

 

もっとも詳しく内容を精査し、三国の王や軍師達と細かい取り決めを行なったのは軍師組であって俺ではない。え、それでいいのか?良いんだよ、俺は王はやらないから真面目な話は分からんのだ。なのでそのまますやすや眠る璃々と立ちっぱなしで疲れたと愚図る美雨を膝の上に、遊び相手が居なくなった鈴々を肩にライドオンさせる。そしてまたも乗り込んできた華琳を乗せた座椅子になる。ついでに何故かやたらとなつかれた曹仁さんの相手をする。

 

何時もなら監視に愛紗あたりが隣にいるのだが、何故かは分からないが、軍師組以外の女性陣も皆熱心に話し合いに参加していて、珍しく俺の両サイドに誰もいない。ちょっと違和感がある感じだが、これはこれで、と思っていたら陳登さんがやってきた。曹仁さんをあやしながら対応する。なんぞや?

 

え、超農耕大国のを建国する際の農業ノウハウはあるのか?わ、割と穴だらけで良ければいくらかあるけど・・・?あ、あんまり期待しないでね?場所は作るけどその辺は一から作る予定だから。厳密に言えば一刀くんにぶん投げる予定だから。

 

ん?一刀君に教わった堆肥を使っても芳しい成果がでないところがある?急に言われても現地見てないと詳しい事はわからんよ。俺農業の専門家じゃないし。前世でも実家の農業を軽く手伝ってたくらいだし。その後気分でやってた家庭菜園では肥料は市販品だったしな。あ、でも一刀君が言った奴ならひょっとして家畜や人間の糞が基の堆肥かな?それなら腐葉土混ぜたら違うかも?

 

「腐葉土?・・・って何ですか?」

 

あれ、知らない?俺が出した奴で桂花に没にされた政策の中に資料が・・・あ、翻訳してないから提出してなかったか。すまぬ。山に行くと落ち葉がたくさんあるやん?その重なって半分以上腐って土になってきてる部分だと思ってもらえれば大体あってる。これを混ぜると微生物が・・・って言っても分からんか、えーと、糞を使った肥料は栄養が強過ぎて作物が吸収できないから、腐葉土を混ぜるとその中の物がそれを作物に吸収しやすくするとかそんな感じ。厳密には違うけど考え方的にはたぶん間違ってないはず。そんな感じのことを漫画で読んだ気がする。

 

とりあえずそれっぽい事を並べてみたら凄い目がキラキラする陳登さん。あれっ、変な反応だぞ?え、土いじりが好き!?農政に関しては是非任されたい!?ああ、だから肥料の話を・・・やっべ今の話かなりうろ覚え!!ご、ごめん今の話はだいぶってあれ?いない・・・?

 

え、早速本国の部下に連絡しに行った?あぁそう、ありがとう曹仁さん。じゃあお礼ついでにこの飴あげるから今見た事を忘れよう。俺たちは何も見なかった。いいね?よし。

 

まぁ、うまく行ったらそのまま一刀君と共に農業関係の責任者を押し付けておけばたぶん大丈夫大丈夫。農業キャラとか出てこられると焦るなマジで。俺の知識大体マンガだからなぁ・・・。

 

 

おっとイカンまたしても聞いてなさ過ぎた。流石に今回は怒られる!と慌てて参加してみると意外と問題なさげ、というか王様達の国政の話になって来てて聞かなくてもいいと言われた。マジでか。

 

軍師組も私達に全部任せて下さい、と胸を張る。なんか漸くきちんと頼られる、と意外と乗り気だ。特に風が珍しく張り切っていた。理由を聞いたら俺がやっと旗揚げしたから嬉しいんだそうだ。そういや会った頃からそんなこと望んでいたような気もする。待たせたお詫びに頭を撫でていたら、抱っこを要求されたので、望み通り華琳達を一旦下ろして膝の上に乗せ、後ろから抱きしめてやった。

 

すると何故か叩かれる。理由を聞いたらお姫様抱っこを所望していたらしい。なんと!頭は撫でられなくなるけどいいのか?え、片手でお姫様抱っこして片手で撫でろ?それは出来な・・・くはなかった。見た感じバーサーカーとイリヤみたいな感じだが出来た。俺は一体何になろうとしているのであろうか。まさか次死んだら聖杯に呼ばれるとかないよな。

 

なお、璃々はそのまま俺が受け持ち、美雨は七乃と一緒に再び立たせる。美雨はぶーたれたが、璃々の前ではおねーちゃんしたいらしい。我慢して七乃の隣に立っている。その辺全て無視するフリーダムな鈴々はしばらく肩車状態である。曹仁さんはなんか桂花に怒られて戻っていった。

 

急に下ろされた華琳が不満気な顔をしたが、むしろ急にグイグイ来すぎだからとりあえず無視する。というか無視せざるを得ない。

 

何故なら昔は華琳にも俺に手を出させない!と息巻いてた青い髪の弓使いがそれよりもずっと不満気な顔をしてたからだ。後で聞いたら主人特権で仕方なく正妻の座を譲り渡したらしく、実は目の前で自分より俺とイチャイチャする華琳さんにちょいイライラしてはたらしい。とりあえずそこはかとなく構っておく。

 

 

俺も大概だがこいつもキャラがおかしな事になっているなぁ。え、何一刀君。正史で夏侯淵が曹操を裏切った説!?な、なるほど秋蘭はそこまでいかなくとも完璧に華琳に盲信してない可能性もあるのか。良く考えたら華琳に諫言出来る奴だった。姉と違って冷静な部分も当然持ってるよな。

 

・・・あれっ、理由が俺の場合は冷静って言っていいのだろうか?要するに色恋沙汰だよな。・・・まぁ、なんでもいいか。

 

 

そんなこんなで話し合いが進み、今決められる僅かな内容だけ取り決め、後のことは五胡の問題が片付いてから、という事になった。結局途中から軍師組の言葉に甘えてあんまり聞いてなかったが・・・どれどれ、取り急ぎ決められた事は?

 

1、五胡の大軍の事は現時点では国民には伏せる。

2、三国統一の発表は五胡の件が片付いてから。

3、五胡がこれより2年間の間に攻めて来なければ来ないものとし、三国統一の発表を行う。

4、羌毅の存在は国共有財産とする。

5、羌毅が浮気せぬよう常に監視する部隊を即時編成する。

6、羌毅が浮気した場合の制裁は全員で行う。

7、羌毅は指定役員(正妻候補者兼妾候補者兼監視部隊員兼精管理者)の許可無しに射精を禁ずる。

8、羌毅は指定役員以外の異性との単独での接触を原則禁止とし、やむを得ない場合は指定役員四人以上を同伴すること。

9、新規正妻候補者又は妾候補者は指定役員の厳正なる審査の元、合格基準に達した者のみ許可される。

10、羌毅は特殊な事情がない限り毎日指定役員のいずれかと交わること。

 

 

 

 

・・・ちょっと待て、馬鹿じゃないの?

 

 

「では当面はこれで問題ありませんね?」

 

「全ては五胡の問題が終わってからだしな。異議なし。」

 

「そうね、異議なしよ。」

 

「ウチも特に問題ありません。異議なしです。」

 

では可決で、と稟がいい、会議が終了する。待て待て待て!!

 

 

「・・・?何か問題ありましたかー?」

 

そう言って不思議そうな顔をする風。後ろの女性陣も何か変なことがあっただろうか?と、マジのキョトン顔だ。舐めてんのかこら。問題しかないだろ!!

 

何で三国統一に関する重要な会議での取り決めに俺に関することが入ってくんだよ!それも七割!アホか!?内容に至っては俺の女性関係にしか追求してないし!!どこらへんが重要な話やねん!お前らあんなにやる気出しといてこれか!?最初の3つでほぼ十分だったじゃないか。

 

「まだ出来てないどころか机上の空論でしかない国の事など、先に大きな問題抱えたまま今日いきなり話して何がきまるわけでもないでしょう。」

 

「そうです!それに比べたら後継者問題に関わる分こっちの方が重大案件です!」

 

ぐっ、確かに机上の空論だけども!いや、つーか後継者問題って何だよ。俺王はやらないって言ったやん!

 

「何言っとるんじゃ、道玄。」

 

「馬鹿ね、あんたが王にならなくてもあんたの代わりに王を成される華琳様や孫策たちはどうなるのよ。」

 

・・・あっ。

 

なるほど、その考えはなかった。そうかそうか、華琳はともかく雪蓮は俺の子を産むかもしれないのか。確かにそれは別の意味で後継者問題になるな。自分で言うのも何だが、俺の女たくさんいるし。王の男が他に女たくさん居ましたー、なんて普通に考えたらそんな節操ない奴が旦那でいいのかってなるよなー。

 

あれ、でもそれだと一刀君は・・・あ、なるほど。劉備さんが一刀君の腕を抱えたので大体把握。まぁ俺もさっきまで珍しく側を離れていた愛紗がいつの間にか隣に戻ってきてるので似たようなもんだ。

 

なるほどなるほどじゃあ仕方ない・・・ってなるかっ!!

 

騙されるか馬鹿野郎!確かに重要な話に関わってくるとしても国に関わる要項に取り入れられる問題かこれが!第一これ俺にしか効果ないし!もっと他に色々あるだろ!?

 

五胡の問題片付いた後の領地をどう分けるかとか、何処に道を作るかとか、何かこう・・・こう、色々あるだろ!!

 

なのになんだこれ!指定役員とか役職兼任し過ぎだし、何かよく見たら俺国レベルで謎の射精管理されてるし、その割には毎日のセックス要求されてるし!だいたい常に監視がつくってなんじゃい!どんだけ信用ないんだ俺は!

 

ちょっとこれはあんまりなので、珍しく声を荒げて猛抗議だ!地味に一刀君も流石にこれは、と苦笑いしながらフォローを入れてくれる。ナイスだ一刀君!そう、もっと他に大切な話があるはずだよ!と力説して見る。やり直しだ!断固やり直しを要求する!

 

 

いつになく強い姿勢できっぱりと言い切る。無口系のキャラ作ってからこんなに喋るの久しぶり過ぎてちょっと喉が痛い。だがその甲斐あって皆も真面目に再考をーーー・・・あれっ。

 

 

周りと見渡すと凄い冷たい視線が一斉に突き刺さる。あれれっ、俺が求めている対応じゃないぞ。おかしいな、皆俺の話を聞いていたか?いいかお前ら、「ねぇ道玄?」んっ?何だ蓮華。まだ俺が話して・・・あれっ、ひょっとして何か怒ってる?

 

よく見たら皆から殺気が流れてくる。何故だ?俺が言ってる事はそんなに間違ってないはず。蓮華や霞、恋や穏など、あまり怒らない連中まで何だが妙なプレッシャーを放っている。な、なんだというんだ!

 

俺は間違ってない!と、叫ぼうとしたところで、道玄、と体の芯から震え上がるような恐ろしい声で、隣に来ていた愛紗が呟いた。な、なんじゃい!

 

「いつも貴方は私達の誰かと、ほぼ必ず一緒に居るはず。特にここ最近は私が貴方を一人にした事はない。それは実質監視状態と変わらない筈ですが?」

 

「それを今になって拒否する、ということは・・・貴様、これだけ女がいてまだ私達の知らない女に会っている、ということか?」

 

「おい道玄、私散々言ったよな?いい加減にしろって。何だ、お前・・・私達では不満とでも言いたいのか?」

 

「これだけの綺麗どころが、お主一人にこんなにも懸想しとるというのに、それを嫌がるとはのう。思春の言う通り、他所に女がまだ居るかも知れんの。」

 

い、いや!そんな事は断じてないぞ?単純にこう言った大事な決まりごとで個人の事ばかり取り上げてたから相応しくないなと思っただけで・・・!ほ、ほらこの国の法でも個人名出した一個人限定の法とかないだろ?それが原案の半分以上を占めていたら絶対におかしいだろ?本当にそれだけだよ?マジですよ?蛮族ウソつかない!

 

「では当然、我々以外に手を出さない、という文言は問題なく守っていただけますな?我が主人。」

 

ももももももちろんだとも!こ、これ以上増やされたら俺の方が死んじゃうし!だからお願いします!もう少しローテーションと言うか、一人当たりの回数を減らして「駄目です。」あ、はい。

 

「良かった、それなら常に誰かが側にいても問題ないな。やましい事は何もないんだろう?」

 

 

え〝っっ!?い、いやもちろんやましい事なんか何にも無いですよ!ほんとほんと!・・・ただ、一人の時間も欲しいかな、なんて。

 

女性陣全員揃って駄目!と却下された。関係ない劉備さん達まで却下して来た。な、何故だ・・・!俺にも一人の時間ぐらい用意してくれたってええやないか!

 

「にぃさんにぃさん、まさか本気で自分に信頼・信用があるって思うとるん?」

 

「今まで一人の時間に何人の女を引っ掛けてきたか、胸に手を当ててよーく考えてみるといいの。」

 

「ご主人様って自分の愛人達にまでこんな評価なんですねぇー!よっ、この女の敵!」

 

「お前・・・最低だな!」

 

待て待て待て!俺が一人の時に常にナンパしてるみたいな言い方はよして貰おう!だいたいだな、ただの女友達を肉体関係ありまで無理矢理発展させているのは其処の馬鹿が原因だぞ!いやお前だよ星!どこ見てんだ趙子龍!

 

まさかの信用ゼロ発言でちょっと泣きそう。話を聞いた馬超さんがゴミを見る目で見てくるし、楽しそうに笑う七乃も良く見ると目が全然笑ってない。愛紗が道玄・・・?と非常に恐ろしい声で右腕を抱き締める。待って、誤解ですよ?

 

「ほぅ、誤解とな?面白い事を言うのぅ。なぁ冥琳?」

 

「そうですね、祭殿。白々しくもまぁ・・・明命!」

 

「はいです!」

 

何か額に青筋浮かべた祭と冥琳がイライラしながら周泰さんを呼ぶ。何故?と思ったら周泰さんがたくさんの巻物を何処からか取り出した。バカな、どう見てもあの量は隠せぬはず!あやつ、まさか俺と同じ4次元袋を!?・・・それはないか。気で脂肪と一緒に暗器を折りたたんで体内に隠しているとか言われる並にあり得ないな。

 

「この巻物には羌毅さんが我ら孫呉にて過ごしていた数ヶ月間の全行動が記録されています。当然一人で行動中も私達が見失わない限り全て記録されています。」

 

なん・・・だと・・・!?

 

いきなり周泰さんが来た理由なんだろなー?くらいに考えていたらとんでもない爆弾を持ち出して来やがった!《《おまっ、それは卑怯だろ!》》いかん、一人の時の俺とか何をしでかしてたか自分でもわからん!俺は過去にこだわらない男なのだ。明確にヤバイのは裏工作してあるが、うちの女性陣の判定は厳しい。俺のセーフと彼女達のセーフはだいぶ違うのだ。日に日に厳しくなるからな!

 

・・・いや待て、幾ら何でも周泰さんも自分の不利になる様なことまでまとめてはいないはずだ。ならば明確にヤバイアレやソレは削除されている筈だし、そんなにヤバイ事にはならないのではなかろうか。と言うかそうであってほしい。祈る様な目で周泰さんに訴えかけるが普通に無視された。ちょっと悲しい。

 

「ひとよんまるまる日。珍しくお昼ごはんを食べに街に繰り出した羌毅さんをいつも通り密かに尾行開始。街の商店街外れにある酒家に向かう模様。少しして女児が泣いているのを発見、即座に羌毅がそちらに向かい飴玉を差し出して僅か5秒ほどで泣き止ませる。女児が泣いていた理由は不明。そのまま女児を肩車して移動。数分後に女児の母親を発見し親しげに会話を開始。なお、女児の母親は若々しく、後の調査によると近所で美しい評判の未亡人でした。十分ほど女児の母親と会話をすると、母親が羌毅さんの腕を抱える様に組み、女児と母親を連れてそのまま酒家に移動、共に食事をとる。それが終わると彼女達を家まで送り届け、城に帰投しました。なお、羌毅さんと女児とその母親との関係は、戦で夫を喪って街にやってきた母親が悪漢に絡まれているのを羌毅さんが救出、その後住居や仕事などを面倒見てもらっている、と本人から聞き出しました。また、この女性とは三回ほど一緒に食事をしたり買い物をしたりしているところを近所の住民が目撃しています。」

 

 

・・・色々言いたい事があるんだが。まず、ひとよんまるまる日ってなんだよ・・・。え、思春と俺が閨で言ってたことのマネ!?馬鹿な、生真面目な女性軍人さんと、プレイが覗かれていただと!?それは聞いてなげふげふ、否っ、これさえもこの反応を引き出すための罠かっ!更には私は何でも知ってます的なアピールだな!

 

こやつ・・・やりおる!あ、はいふざけました愛紗さんごめんなさい。え、私にも同じ事?いやあれは思春だから楽しい、いえ!何でもないです!愛紗さんとも後で必ずします!

 

あ、蓮華なんだね?私は知らない?い、いや珍しく思春から二人でって・・・あれ、これ内緒だっけ?

 

「思春?貴女私に黙って抜け駆けしたの?」

 

「い、いえ!そんな事は!・・・そ、それにそれを言うなら蓮華様が先にーー。」

 

「・・.先に、何かしら?」

 

 

なんか後ろで主従対決が始まりだしたぞ。どうでもいいけど蓮華もっていうか1人1人専用のプレイあるんだからそんな怒るなよ。蓮華だってこないだの砦で裸エプロンで新婚さんプレイしただろうに。愛紗以外に結婚してる設定でした事が愛紗にバレるとガチまずいから口には出さないけど。

 

・・・と、それはさて置き、それはたぶん楊文晋さんと娘の楊伯明かな。自称楊端和って凄いらしい人の末裔とかなんとかそんな感じの人らだね。言われてみればそんな出会いだった気がするし、そんな感じの休みを過ごした気もする。だが浮気はしていない!確かにちょっと母親の割にスキンシップ多い気もするが、少なくとも俺は母娘の2人だと大変かと思ってちょっと気にかけてるだけだ。その証拠に彼女には雪蓮の兵で独身の将来性がありそうな奴を何回か引き合わせている。何の問題もない!

 

「団長、まず女と2人きりで会ってる時点で問題やで。ウチらが知らない女ならさらに大問題や。」

 

「というか、その女性に男を引き合わせるのは良いが、結果はどうなんだ?」

 

あー、それはすまぬ。娘が泣き虫で構っている内に気が付いたら一緒にいる感じでな。華雄、それは・・・まぁ、男女の出会いってほら、結構合う合わないがあるよね!

 

「現在で3人ほど紹介なされたみたいですが、全滅です。理由を本人に確認したところ、「体が大きくて顔の怖い子供好きな蛮族みたいな人が好き」だから、との事でした。」

 

へ、へぇ〜〜〜・・・。

 

え、えぇと変わった趣味してたんだねあの人。それは知らなかったなぁ!いやぁ俺以外にも子供好きな蛮族がいるとは思わなかったね!親近感感じるよホント!ひょっとして前の旦那さんが蛮族だったのかなー?ははは!

 

・・・ははは。えっと、俺の事じゃない、と思うよ?だから皆、ちょっと落ち着いて欲しいかな、なんて。え、何だい周泰さん。前の旦那さんは完全な漢人?楊さんの周りに1人を除いて蛮族は居ない?本人が言ってた?そ、そう。どうやってそこまで聞き出したの?俺の情報と交換!?マジか。・・・マジか!

 

「ど・う・げ・ん・・・?」

 

「さて、主人。覚悟はよろしいですか?」

 

気がつけば女性陣ほとんどが戦闘態勢だった。一刀くん含む男性陣は全員劉備さん達を守りつつ、ジリジリと少しずつ天幕を去っていく。あ、何気に華琳の所の男性兵も混じってる!おのれ、裏切り者ー!

 

ま、待て皆!俺もその話は今知った!だからノーカン!ノーカンだと思います!

 

「それが通ると思うか、道玄。こないだ搾ったくらいじゃお仕置きにはまだ足りなかったな。」

 

め、冥琳?あ、あれ結構死にかけたんですがそれは。あ、はいすいません。やばいこれはマジでやばい、と怯えていると急ににこやかな声で冥琳が良かろう、と言った。え、助かった?と思い冥琳を見てそれが勘違いであると気付く。いやもうほんと、目が全然笑ってない・・・。

 

「では次だな。明命。もう全部読み上げてくれ。」

 

えっ。

 

・・・そういえばまだたくさんの書簡の中の一つ目だっけ?

 

ま、待った明命、ストップストップ!流石に良くないよ!そう言って彼女の口を塞ごうとしたら腕にしがみつく愛紗が邪魔をする。紫苑も璃々を離さないでくださいね、と釘を刺してくる。思わず紫苑に助けを求めようとしたら、笑顔なのに目が全然笑ってなくてビビる。何故、と問うまでもなく華琳が動くな、と左手にしがみ付いた。ぐぬっ!

 

更にいつの間に移動したのか、雪蓮と思春が背後に立っている。愛紗が肩の上の鈴々に何らかの交渉をしたのか、鈴々が俺の目をだーれだ!と隠した。くっそこんな時でもうちの娘は超可愛い!

 

「そのままちょっと大人しくしていなさい。明命の報告が終わるまで、ね?」

 

「ついでに、いつの間に明命と真名を交わしたかも聞きたいところだな。」

 

 

まいがー!薮蛇った!あ、コラ明命!無視して読み上げようとするな!今それはやばい!そう文句を言う前に女性陣がちびっ子達を俺の上に乗せてくる。もはや目が見えなくてもその重さだけで娘たちの誰だか分かる俺は身動きが封じられてしまった。ぐぬぬ、何気に美雨が乗っけられたのは七乃の奴か?

 

俺の身動きが封じられているのを無視して、明命は赤い顏のまま誤魔化すように一気に書簡を読み上げる。

 

「〇〇日、お昼休憩に楽進さんと2人で街へ。そのまま酒家ではなく宿へ。暫く部屋に篭ったあと楽進さんが気絶。その間獣の様な嬌声が聞こえたと多数証言あり。1人で食事をしに屋台へ。そこで屋台の女将と仲良くなりサービスを受ける。そのまま何故か屋台を手伝い、女将にお礼として頰に接吻を受けます。その後体を洗って鈴々さんやセキト、街の子供達と遊んで匂いを誤魔化し何食わぬ顔で帰宅する。その後は度々女将さんと共に調理する姿が目撃されています。なお、女将さんは人妻であり、近所で評判の女性です。

〇〇日、夜中に1人で街に繰り出す。行きつけの酒家『満寵』で1人で食事・・・と見せかけて1人で泣きながら飲む女性の席に乱入。「酒は

楽しく飲め!」と話しながら意気投合、なんだかんだと泣き止ませた後、満寵にて度々2人で相席する姿が目撃されています。なお、調べによると戦で婚約者を失った女性で、こちらも美人で評判なのだとか。

〇〇日、李典さんと街にて散策、途中何度か路地裏にて致したあと于禁さんも交えて宿で二戦、その後バレたらまずいと別々に宿を離れ、1人城に帰投と、思いきや途中で声をかけてきた知り合いと思しき商売女と共に夜の街へ繰り出す。残念ながらこの後はちょっと忙しくなり私達に帰還命令が下ったので不明です。なお、後日この女性に話を聞いてみると陳留にいた頃の知り合いとのこと。当日のことは聞き出せませんでした。

〇〇日、呂蒙ちゃんと2人で将棋。負けた羌毅さんが秘蔵のお酒とお菓子をご馳走してました。誰にもバレない様にとわざわざ呂蒙ちゃんの部屋に移動して2人きりになってからです。あの呂蒙ちゃんが幸せそうな顔で食べてました。終始笑顔でした。

〇〇日、夜中に1人抜け出した羌毅さんを追いかけてみると、おそらく孫静様と思われる女性と落ち合い、2人で酒家、それも宿を兼業しているところに入って行きました。残念ながら孫静様の部下が周りを固めてしまったので内部で何が行われていたのかは不明です。

〇〇日《中略》

《中略》

《中略》

《中略》

《中略》

《中略》

〇〇日、黄蓋様と2人で街へ。街の子供達と戯れたあと、唐突に黄蓋様が「子供は何人欲しい?」と問われ、羌毅さんが最低3人くらい、と答えた後はお二人で宿に入って行きました。宿の主人に聞いた所、黄蓋様と羌毅さんが2人きりでよく訪れる、とのことでしたのでこの宿は2人の密会に使用されている可能性が高いと思われます。・・・以上で、報告は終了となります。」

 

「御苦労、明命。・・・さて道玄。何が誤解だって?

 

是非とも詳しく説明して貰いたいなぁ?」

 

未だ鈴々が俺の視界を遮り、重石代わりに上に乗せられた娘たちや璃々が俺の身動きを封じる。まいった、逃げられない。くっそ明命の裏切りものー!

 

溢れる殺意。視界が塞がれていても容易に冥琳の顔が想像出来る。それは俺の周囲に集まって来ているだろう女性陣でも同じだ。

 

一刀くん達男性陣と劉備さん達が()()逃げ終わったらしい。同時に天幕の入り口を閉じて、兵達に退がれ、という桂花達の声が聞こえた。すぐそばで愛紗が「私以外に・・・どうしてどうして」とブツブツ囁き、ふふふ、と皆の多種多様な笑い声が聞こえる。

 

ヤバい、想像なのに周りの皆の顔がめちゃくちゃ怖い。これが恐らく外れていない想像なのが更に怖い!

 

こ、こうなったら一か八か、誤魔化すしかない!

 

ま、待て皆!確かに誤解を招く様な行動をしたのは事実!それは謝る!だが、今の明命の報告をよく思い出してみてくれ。俺が肉体関係がある、とはっきりしているのはお前達の誰かだけだ!信じられないかも知れないが、お前達以外の女を抱いた事はない!というか、そうだとしたら普段お前達が気付かない訳がないだろ!報告された中で凪や祭とした後、結局愛紗達に怒られているんだからな。

 

「当然です。道玄が私以外の女と浮気して気付かない筈がありません。」

 

「まぁ、正直新参者の僕や月だって分かるからね。なんとなく、だけど。」

 

「ご主人様を愛してますから・・・。だから浮気は許してあげません。」

 

ならそれが証拠だ。俺は確かにお前達以外の女と酒飲んだり飯食ったりした事があるが、俺が愛しているのはお前達だけだし、抱くのもお前達だけだ。嘘じゃない!つまり浮気とかしてないですマジで。

 

体の上に娘たちを乗せて、膝の上には璃々。更に周囲は女性陣に囲まれていると言うなんとも情けない状況だが、ちょっと声に力を込めて力説する。実際俺が抱く女は愛紗達以外いないので「ほぼ」嘘は言ってない。

 

 

まぁ、実際のところは、基本的に一度抱いた女以外は手を出せないだけだが。ヘタレな理由だから口にはしない。いやだってなし崩し的に関係を持つ事はあっても、それ以外で関係持ったらまずバレるし、バレたら性裁だし。そもそも外部ではなくうちの女性陣の誰かであっても、愛紗や凪には浮気扱いされて閨直行であるのだ。下手な真似など出来るはずもない。最近では祭や冥琳、白蓮や蓮華なんかも追求激しいし。

 

なので確かにそれっぽい動きだったのは認めるが、浮気は本当に誤解です。

 

「・・・孫静叔母様の事は?」

 

あー・・・それ、お前達の事でケリ着けに行った時の話だよ、雪蓮。確かに行ったら全裸で誘惑されたが、拒否した。美人過ぎてちょっとクラっときたけど。まぁ美人の誘惑というかそれ以上の事を皆としてれば耐性つくよね!何たって俺は秋蘭と華琳を同時に袖に出来るほど我慢強い男だからな!

 

「むぅ、どうしますか華琳様!!」

 

「まだよ春蘭。こういう顔した時の道玄は嘘は言ってないだけで本当の事を話してないわ。」

 

「あややー、分かりますかー?確かにこの顔のおにぃさんは全部は話してないですー。」

 

「流石ですね、華琳様。私達でも道玄のコレを見抜ける様になるまで時間が掛かったのですが。」

 

・・・いや本当に、何で分かるのだろうか。というか華琳達はまだ話に入って来ては駄目だろ。秋蘭ならともかく。

 

流石に何度も経験してるので、このままいけばこの後に待っているのは華琳さん達も含めた性裁だということぐらい俺にも分かる。そしてそれはまずい。人数が多過ぎる。最終決戦前に腹上死とかアホすぎる死を迎えかねん。

 

何とか切り抜けねば・・・。

物理的な攻撃ではたぶん死なない俺に、まさか、こんな死地が待っていようとは・・・!

くそ、世界はいつだってこんなはずじゃないことばかりだ!

 

独りこの窮地を脱出すべく頭を振り絞っていると、不意に俺の上から娘たちの重りが消えた。ついでに鈴々も降りて視界が回復する。むぅ、拘束状態はともかく、娘が乗っているのはおとーさん的に嫌じゃ無いのだが・・・。

 

それはともかく、一瞬助かったか?と甘えた考えが浮かぶが即座に否定する。うちの女性陣がそんなに甘い訳はないし、重要な時期だからと自重してくれる皆ではない。これから性裁だから子供達を退かしただけ、とかの可能性もある。どう動く?最悪この天幕を突き抜けて跳べるように脚に超弱変身を・・・!

 

「まぁ、良いでしょう。」

 

来るならこい!今日こそ逃げてや・・・えっ。

 

「まぁ、仕方ありませんね。一々道玄の行動にケチつけて何とかなる訳でも無いですし。」

 

「せやな。にぃさんが女誑しなんは今に始まった事では無いし、肉体関係まで進んでないなら、不本意やけどまぁ、許したる。」

 

「大いに、不本意であるがな。」

 

???

 

?・・・!?

 

?!?!?!?

 

 

バカな、助かっただと!?

 

今までこの展開は無かったので脳が理解するまで時間を要した。

 

ありえん!と思わず叫びかけたくらいだった。いかん、願い通りだが逆に信じられ無い。かといって疑ったらそれはそれで「何かやましい事があるのか」と問われたら困るので追求はできない。出来ないがカマかけだったら死ぬ。逸る気持ちを無理矢理押さえつける。

 

・・・とりあえず深くツッコミはせず、分かってくれたか、と安堵した感じを出しつつ様子を見る。不承不承、という顔で頷いてくれる皆。どうも本当に許してくれたらしい。

 

き、奇跡だ・・・!

 

こんなことで奇跡を感じてるのがすごいアレな感じだが、実際この状況を免れたのは初体験な気がする!

 

「道玄さん良かったですね!」

 

本当にな!だがお前の裏切りは許さないぞ明命!絶対にだ!

 

「えぇっ、そんな!?こんな仕事を命じた冥琳様の方が裏切りだと思いま・・・せん!ごめんなさい!」

 

口答えしようとした明命が即主張を変えて謝る。たぶん隣の冥琳の殺意に気付いたのだろう。良かったな、言い切ったら悲惨な事になっていたぞ。

 

まぁ狙ったんだけどな!

 

それに気付いたのだろう、明命が貴様ッ嵌めたな!?と言いたげな表情でこちらを見ている。ヤバいところは話さなかったから、フハハ、この辺で勘弁してやる。と視線だけで返しておく。バラしますよ?と視線でキレられたので、勘弁して下さいと即謝罪する。

 

 

「・・・随分仲がいいわね?」

 

「そうじゃな。そういえばいつ周泰と真名を交換したか、まだきいてなかったのぅ。」

 

 

無言のやり取りだがお互い笑顔だったせいで冥琳と祭に疑いの目線を向けられる。マズい、深く追求されたら死ぬ!誤魔化さねば!

 

当たり障りなく、猫好き同士だからそれで仲良くなったんだ、と言っておく。実際に彼女と真名を交換したきっかけは猫なので嘘ではない。猫ですか?と疑問そうな愛紗にそうだ、と頷く。周りの女性陣も少し訝しんだ顔だ。まぁ、何が言いたいのかは分かる。

 

「あれ?お前、動物に嫌われる体質じゃなかったか?」

 

女性陣全員の疑問を代わりに言ったのは白蓮だった。まぁ俺と過ごしていれば当然そう考えるだろう。

 

何故なら俺は、動物に恐れられている。それはもう、悲しくなるレベルで、だ。

 

 

以前からちょくちょく馬に乗れないとか色々あったとは思うが、そう。困った事に俺自身は基本的に動物大好きなのだが、動物達は本能で俺の中の圧倒的強者にして捕食者であるラージャンを察知しているらしい。幾ら気配を消して近付いても、視認されたり接触したりすると即逃走されてしまう。それも超全力でだ。

 

これが肉を得るための狩猟ならば一度でも接触出来れば良いので問題は無いが、愛でる為だとどうにもならない。無理矢理捕まえたら一頻り暴れたあと、死を覚悟したかの様に大人しくなってしまい、見ていて悲しくなるぐらい絶望した顔になってしまう。ちなみにこれは小連の虎の周々や恋の友達のライオン(何故いるかは考え無い事にした。現在は洛陽の動物園所属。)で試した結果なので、実際のところ野良猫だとどうなるかは分からない。まぁこれよりマシ、という事はないはずだ。

 

なお、虎やライオンがあまりにもビビり過ぎて円形脱毛症を起こしてしまった為、恋と小連にめちゃくちゃ怒られました。二匹にはお詫びとして懐かしの亀龍の肉を渡しておいた。

 

そんな余談はさておき、そんな訳で唯一の例外であったセキトを除いて俺は動物と仲良くなる事は出来ず、当然猫好き同盟(メンバーは2人だけ。)に加入して、猫と触れ合う為に色々未来知識を使ったが、その恩恵に預かれるのは明命ばかりだった。

 

俺はどちらかと言うと猫派だったのだが、明命に哀れまれるレベルの嫌われっぷりに真剣に悲しくなり、これはもう犬派になるしかないか、と絶望し始めた頃である。明命が俺を叱りつけた。

 

「諦めたらそこで試合終了(お猫様との戯れは無し)ですよ。」

 

 

何処かで聞いた様なセリフだったが、まさしくその通りだった。

 

そして俺は目覚めた。

 

絶対ににゃんこと仲良くなる!と本気で心に誓いを立てた。俺が死神だったら俺の魂にだ!と叫んだ事だろう。その日から明命に励まされながらの『にゃんことお友達大作戦』が始まった。

 

あの手この手で猫と仲良くなる為に腐心する日々。中々結果は出ず、気落ちする俺を猫耳つけた明命や事情を知らないはずの我が娘達が励ましてくれる。あまりの可愛さにもう猫はこれでいいか、と妥協しそうになる心を叱咤し、雨の日も風の日も猫にアプローチをかけた。傍らには常に明命が居た。

 

そしていつしか俺たちは固い絆で結ばれ、生まれた場所と時は違えども最後まで猫と共に生き、共に猫に囲まれて死ぬという永遠猫の誓いを交わした義兄妹になったのだった。

 

尚、猫に関しては恋が直接猫達に交渉してくれて5分で抱っことかできる様になった。恋を猫神様と呼ぶことにした。

 

 

・・・と、まぁそんな感じで真名を交換したんですよ。なぁ明命。

 

「はい!私と道玄さんはお猫様を介して固い絆で結ばれています。」

 

そう言って2人で親指立ててサムズアップ。やましい事など何もないことをアピールする。これで文句はあるまい!と周りを見てみると、表情を消した冷たい目で睨む皆。

 

「・・・・・・。」

 

・・・あれっ?

 

なんか今の説明でマズいとこあったろうか。いい感じに猫と俺と明命との熱血スポ根もの風なストーリーが表現出来てたと思うんだが。漫画だったら打ち切りで最終話でテコ入れされたみたいなラストだったけど。何だよ直接交渉って。野球で言えば賄賂で甲子園!みたいなもんだぞ。事実なだけに余計にヒドい。でもそんな恋の存在がチート過ぎて凄い好き。チートって使う側なら最高だよね。にゃんこが可愛いから異論は認めない。

 

 

そんな事を考えながら隣の明命となんかまずったか?いえ、分かりません・・・と、視線でやり取り。上手く誤魔化さないと2人揃ってどうなるか分からないので、見た目はポーカーフェイスを頑張って保ちつつ、必死に言い訳を考える。

 

「・・・道玄?」

 

ビクゥッ!な、何でしょう愛紗さん!

 

「先程から周泰殿に私達と同じ匂いを感じます。・・・私達と同じ様な。」

 

「不思議な事に本当に今の今まで察知できませなんだ。しかし今は強烈に感じ取れますぞ。」

 

「狐につままれた気分ね。でも確かに今なら明命が私達と同じだって分かるわ。」

 

「よー分からんけど・・・とりあえず説明してくれるかいな、団長?」

 

!?

 

こいつらの探知能力がほとんどエスパーな件について。いや現実逃避してる場合じゃない。何で今までバレなかったのに急に!?

 

明命との事は協力者のおかげでバレない筈だったのにこのままではマズい。何がマズいって協力者本人には協力してもらってることを教えてないからな!バレたらヒドい事になる!(確信)

 

と、ふと隣を見る。先程から明命が静かだったからだ。そこで気付いた。バレたのこいつのせいだと。

 

だっていつの間にか苦笑いで顔真っ赤にしていやんいやんってモジモジしてるし!

 

何だおまえ、さっきまでの真面目な顔で報告書読み上げてた時の顔どこやった!?え?俺の女扱いされて恥ずかしい?けど嬉しい?お、おう。凄い可愛く言ってるけどお前、目の前の愛紗達の事忘れてんだろ。というかこいつのせいでバレたのは間違いないみたいだが愛紗達がエスパーなのも揺るがぬ事実みたいだ。俺の女達が超能力者な件について。

 

こいつはやばい。一難去ってまた一難、しかも全てが俺を殺しにかかるアクシデントだ。世界は俺に恨みでもあるのか?

 

く、こうなったら有耶無耶にするしかっ!?皆聞いてくれ・・・!

 

「そういえば・・・だんちょ、最近何時も明命と一緒だった。」

 

有耶無耶にさせてくれよぉ!というかやっぱり恋に口裏合わせ頼むの先にするべきだったー!

 

どういうことですか?と恋に問いかける愛紗を見ながら自分の顔が血の気が引いて来ている事を自覚する。隣では上司に殺意を込めて睨まれていることに漸く気付いた明命も真っ青な顔でガクブルしながらちょんと俺の服を摘んでいる。ちょっと可愛いがイチャつく余裕は皆無である、

 

そう。何を隠そう!俺が本人にも内緒で協力してもらっていたのは恋だったのだ!何故なら比較的まだ付き合いの浅い元董卓組は愛紗達と比べればそこまでエスパーじゃないし、多少野生が混じれど、スーパーピュアな恋なら、色々深く気にせず一緒に遊べるし、結果的に浮気してしまう形とはいえ、浮気は浮気。俺の罪悪感を紛らわす為にも娘達や恋と遊ぶ時間は大切だった。愛紗達なら問答無用だからな。

 

それに女を抱いた匂いは別の女を抱かないと紛れないらしい。かといって娘達を自ら積極的に抱くのは個人的に気がひける。だが愛紗達の誰かにバラせばそのまま夜が全員になる。それでは頻度的に俺が死んでしまう。そういう意味でも恋の存在は有り難かったのだ。え、初めての女に手を出す勇気は無いはず?無いよ?初めての時は明命の方から襲われたんだし。恋やねねが手引きしたのは確かだが。

 

 

 

まぁ普通にクソ野郎思考だけどな!いや、本当に・・・!

 

恋には本当に申し訳ないと思う。毎度毎度幸せそうな恋の笑顔には容赦なく良心を抉られる。出来るなら自殺しようかと思った本当に。

 

だが、俺としても死にたくなかったんだ・・・!

 

「必死に言い訳探しているところ申し訳ないんですけどぉ。」

 

「とっとと吐け。どうやってここまでボク達に隠したかは分からないけど・・・。」

 

「どうにも私達に黙って好き放題したみたいですね、道玄様?」

 

「許してあげようかと思ったんですがね。」

 

「厳罰が必要ね。私の夫になった以上、2度とさせないわよ。」

 

「とにかくまず全てを話してもらおうか。今度は、偽りなく全てをな。」

 

「当然、お主もじゃからな?明命。」

 

「そうね。事と次第によっては・・・思春?」

 

「ええ、蓮華様。その時は新しい細作を育てましょう。」

 

 

 

ふにゃぁっ!?と今度こそ震え上がり俺に飛びついてくる明命。命の危機だからね、怖いのは仕方ないよね。まぁ俺もちびりそうなくらい怖いから気持ちはよくわかる。特に愛紗が本当にやばい。唇の端にちょこっと引っかかる髪の毛と光のない瞳がひたすらホラー。これが怪談だったら目を合わせてはならないとかそんなレベルじゃなくて、そもそも遭遇しちゃいけないやつ。超絶怖い。

 

い、いやえっと、あのですね!ちょっと落ち着いてほしいかなって!・・・説明が先?あ、はい。すいません。ちょっと待って今怒られないような内容にアレンジs「たぶん、森で恋とちんきゅーがだんちょとしてた時が最初・・・。明命ずっと見てたから少しだけ混ぜた。」ちょ、待てよ恋さん!待ってくださいよ!

 

「いいからとっとと全部吐け。それとも問答無用の方が好みか?」

 

「兄さま?素直に全部話した方が手心加えてあげますよ?」

 

秋蘭と流琉の目が愛紗と同じに・・・!ふと周りを見ると皆似たような目をしていた。あ、これはダメだ。これ以上足掻くと本当に問答無用になる。隣では明命が呉の皆に囲まれて小さくなっている。彼女だけ逃すという手段も取れなさそうだ。

 

・・・1つだけ、約束してくれないだろうか?

 

「・・・何かしら?」

 

大人しく全部話すので、流れで初めての参加は辞めませんか?

今まで見たくノリで抱くのはね、良くないと思うんですよ。特に璃々や紫苑とか無関係な奴とか居るやん?想い想われてこそ、だと思います!

 

「内容次第ね。場合によっては・・・。」

 

ば、場合によっては?

 

「美しく可愛らしいものを集めた酒池肉林。悪くないと思わない?」

 

やめてくださいしんでしまいます。

 

 

 

 

この後無茶苦茶尋問された!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■

 

「ほぅ、最初は明命が猫の交尾を見て、猫と同じく発情したのが原因なのか。・・・んん?何だそれは。馬鹿なのか?」

 

「このやたら凝った作りの猫せっと?を着けてたせいで猫と同じに気分になった?・・・明命、お前は何を言ってるんだ?」

 

「それで寝てる道玄を襲ってる恋と音音に混じって咥えたと・・・。」

 

「あれ、その時は最後まではしなかったのよね、恋?」

 

「してない・・・。少しは分けてあげても、だんちょ、恋達のもの。」

 

「そこから先はどうなってるんだ道玄。・・・何?脅された?」

 

「え、さっきの報告書に出てきた話は、全部口封じの対価を求められた?どういう事ですか?」

 

「・・・はぁ?ボク達に言わない代わりに続きを要求されたぁ?それに屈したの?馬鹿じゃないの?」

 

「なるほど、つまりあれか。あの報告書1つ1つに実は明命としたというオチが付いていたんじゃな。なるほどのぅ。」

 

「あれ?大した事のないものを入れればかなりの数の報告があったと思うんですけどぉー?」

 

「数十件はありましたね・・・。なるほど。」

 

「というか、私達が気付けなかったのは何故でしょう?周泰殿からも本当に先程までそれらしき感じはなかったですよね?」

 

「それと同じくらい呂布が道玄としたというのなら、道玄の方は簡単ね。要するに上書きでしょう?」

 

「では明命、貴女は何をしたの?答えないと・・・分かるわよね?」

 

「なに?自分に暗示をかけた?道玄と二人きりの時以外は完全にお友達?でも未熟だから話題に上がってした時の事を思い出して解けた?・・・そんなバカな。」

 

「兄さま、ここ最近は何時もより回数がちょっと減ってましたよね?」

 

「ああ、そう言えば夜以外の回数減りましたねー。夜の回数は減らさせませんがー。」

 

「それだけ周泰さんと恋さんとにかかり切りだったんですね。へぅ・・・酷いです、ご主人様。」

 

「・・・道玄?私よりも2人を優先したのですか?」

 

「お前なぁ・・・!なんで全部恋なんだ!私達だって居るだろう!?」

 

「明命ちゃんとした後必ず最初に出会うのが呂布さんだったぁ?本当ですか〜?」

 

「・・・まぁ、どこまでいっても一緒に居られなかった私には何もできなかったろうが・・・限りなく、腹が立つな。」

 

「ウチらに隠してここまで・・・やるやん、団長。」

 

「許す気はあらへんけどな!・・・分かっとるよね、にぃさん?」

 

「厳罰待った無しなの〜〜!」

 

「・・・何処へ行こうというのですか、道玄様。逃がしませんよ?」

 

「・・・そんなに、私以外にッ。・・・絶対に許しません。今日という今日は完全になくなるまでです。」

 

「そういきり立つな愛紗。皆同じ気持ちなのだ。・・・つまり長丁場になる。落ち着いてまずは寝床と食糧の在庫確認が先だ。」

 

「そうです!先ずはきちんと準備が必要でしゅ!」

 

「逃さず囲ってから、じっくりゆっくり包囲殲滅・・・絶対に逃がしません。」

 

「ねぇ浮気者の御主人様、覚悟は良いわね?大丈夫、答えは聞いてない。」

 

「お嬢様ぁ、これ狙いどきですよ!これを機にお手付きされちゃいましょ!これで鈴々さんや音々音さん達の仲間外れじゃないですよ!・・・そして私も堂々と怒れますぅ(ボソ」

 

「ふふふ、覚悟は良いわね、2人とも。大丈夫、私も一緒よ?」

 

「はははい!か、華琳様と一緒なら私はどんなことでも怖くないです!」

 

「おおおおお伴します!華琳しゃま!」

 

 

 

 

アカン。

 

・・・どうしよう、これは俺死んだかも知れぬ。

ちょっと流石に助かる気がしない。なんか華琳や春蘭、桂花までやる気出してるし。祭や冥琳の怒りも尋常じゃない。その上何故か向こうの方で曹仁さんが準備運動してて、陳珪さんがニヤニヤしててちょっと本気で意味が分からない。

 

うちの女性陣は既に最低一週間はヤル積もりで算段立ててるし、愛紗に居たっては見た事ないレベルで病んでる。自分の回数減らされて明命や恋としてたのが余程腹に据えかねてるらしい。

 

だが、意外な事に、事実上匂い消し代わりになってしまった恋は怒って居なかった。というか、結果的に1番回数が多かったので寧ろ自分が1番だとちょっと嬉しそうだ。それを見て余計に愛紗が病んでるので、プラスマイナスで言えば結局マイナスだが。

 

チラ、と隣を見れば、逆さまに吊るされた明命が蓮華や思春に余罪の尋問を受けて泣き叫んでる。助けてやりたいが、こちらを見ていない思春と蓮華は、別に俺を怒らないわけではない。というか寧ろ猛烈にぶちギレてる。だって2人とも目が病んでるもん。スクールデイズに出演出来そうなレベル。たぶん上司たる自分達を無視して抜け駆けした明命を優先しているだけで、明命が終わったら俺もああなる。すまん明命、俺も後を追うから許してくれ。

 

 

転生してまだ五年も経ってないのかぁ・・・短い人生だったなぁ。

 

そうやって儚んでいると、唐突に紫苑が口を開いた。何故だか先程までまでの冷徹な眼差しが消え、優しい笑顔だった。

 

 

「あらあら・・・。もう、仕方ない人ですね。」

 

 

まったく、と嫋やかに苦笑いする紫苑。周りとのギャップ差もあってか、その微笑みに何故か慈愛を感じる。正座させられ、完全に包囲されている俺の元へ、ゆっくりと歩み寄る。やがて女性陣を除けて、俺の前まで来ると、俺が正座している為ちょうど同じ高さになった目線で、しっかりと目を合わせ、まるで幼子を窘めるように人差し指を立てて言った。

 

 

「こうなったのも、道玄さんが会う女の子皆に良い顔してるからですよ?誰彼構わず優しいのは貴方らしいですけど、女の子は好きな人には自分だけを見て欲しいんです。」

 

 

・・・うぐぅ。否定したいが、美人相手なら割と相手が誰でも良い顔して来たのは自分でも自覚ある。ぐぬぬ、だが最初に多数で共謀し襲いかかって来たのは女性陣の方なんですがそれは。

 

「言い訳はダメです。結果として手を出してしまった事に変わりないでしょう?どんな経緯かは知りませんけれど、殿方には責任がありますわ。それに、何人もの女の子が、同時に其処まで思い詰めるなんて事、普通はありません。原因が自分にまったく無いとお思いですか?」

 

 

うぐぅ。

 

いえ、はい。全て私に原因がありますですハイ。ごめんなさい。

 

ちらっと周りを見ると、正論で真正面から穏やかに俺が怒られているのは珍しいからか、険呑極まり無い雰囲気だった皆も少しだけ呆気に取られている。うちの女性陣の何人かは紫苑の言葉に深く頷きまくりである。幼女軍師共はもっと言ってやって下さい!と煽ってさえいる。ぐぬぬ!

 

「道玄さん?本当に反省してますか?」

 

穏やかな声、優しい笑顔。何時もの敵を見るような冷たい視線ではなく、いたずらした璃々を注意するような、慈愛に溢れた彼女だが、何故か有無を言わせぬ圧力を覚える。

 

別に怖く無いのに萎縮してしまう。前世の学生時代に、何の前触れもなく校長室に呼ばれた時のような、そんな威圧感。何とはなしに、口から勝手に反省と謝罪が飛び出る。

 

 

はい!めっちゃ反省しています!本当にすいませんでした!

 

とりあえず全力で謝る。彼女の事なのできちんと謝れば許してくれるはず。

 

 

「すいません、で済む段階はとうに過ぎています。今はもう、けじめをつけなくてはいけません。」

 

 

ファッ!?

 

 

・・・全然許してくれなかった。

 

どうするんですか、と迫る彼女。どうする、と言われても何をすればけじめになるのだろう?全員娶るとか?まさか死ねとか言わんよな。

 

・・・い、言わないよね?

 

 

選択肢をミスったらヤバい気がしたので、恥を忍んで直接聞いてみる。すると、血を見ることになるかもしれませんね、とため息を疲れた。え、血?

 

・・・えっと、それは小指とかそういう・・・?

どうしよう、完全変身すればそれぐらいの欠損は治りそうだが、そもそも俺の指を切り落とすにはその辺のドスでは無理だ。というか斧でもたぶん無理だ。物理的にけじめがつけられない・・・!

 

「何を慌てているかは分かりませんが、違います。というか、その方法でけじめをつけるなら、切り落とす場所が違います。」

 

そう言って俺の股辺りを見る紫苑。本能的に恐怖を感じて股がひゅん、と竦んだ気がした。ちょ、マジでか!?

 

が、即時周りの女性陣全員がそれは駄目!と割って入ってくれた。愛紗なんか絶対にさせない!と武器を構える程だ。これは俺を思っているのか、俺のチ○コを思っているのか。どうしよう嬉しいけど素直に喜べない。

 

「駄目です!まだ道玄の子を孕んでいません。最低3人出来てからです!」

 

おっとー。

 

どうやら3人出来たら不要らしいぞ俺のマイサンよ。何とかしないと俺の息子が未来で死ぬ。逆君の名は。をやらねば助からなくなる。

 

「道玄さんも、皆さんも落ち着いてください。私もこの人を宦官にするつもりはありませんわ。というか、それでは皆さんに悲しみしか残らないでしょう?」

 

た、確かに!言われてみればその通りだ!良かった、本気でみつはを探すところだった。あれ、たきくんか?

 

・・・あの、なら俺はどうすれば良いですか?息子を切られない為なら頑張りますよ、俺。

 

俺がそう言うと、紫苑はにこやかに笑って言った。同時に俺の背中を冷たいものが通り過ぎた気がした。

 

「あら、簡単ですよ?()()()()()()()1()()()()()()()()()()()()のです。つまるところ、ただ1人の正妻を選んで下さい。」

 

 

 

え゛っっ

 

 

あの、それNGワー「あら、それなら私で決まりね?何故ならもう夫婦だもの。」「ご冗談を。道玄の正妻は私以外にあり得ません。」「済まないが、新参の自覚があってもそれを譲る気は無い。」「浅ましい、道玄様の妻は私以外にいません。」・・・ほらぁ。やっぱりこうなった。前回どんだけ頑張って納めたと・・・!

 

 

「道玄さん、それが駄目なのですよ?皆さんの好意に甘えて、のらりくらりと女性と女性を行ったり来たり・・・だから皆自分が1番何だと思ってしまうんです。言ったでしょう?女の子は好きな人にとって自分が1番でありたいんです。寧ろ自分以外いて欲しく無いんです。」

 

まぁ、今貴方が1人だけを選んでそれ以外を排したら、それはそれで血の雨が降るでしょうけれど、と困った様な顔でため息つく紫苑。前世でちびっこいガキの頃、告白した保育園の先生がこんな顔したな。仕方ない子だなぁ、そんな顔だ。

 

うぅ、なんか気恥ずかしい。転生してから初めてのお子様扱いされてる気がする。胸からしてそうだと知っていたが、なんという圧倒的母性。紫苑に菩薩的な何かの後光が見える。助けられたと思ったらいつの間にか断罪されそうだけど、全く逆らう気になれない。

 

てっしーの圧倒的癒しに浄化されたカス虫並みに慈愛の波動を受けてる。このままだとキレイな羌毅さんになる。

 

かと言っていきなり1番を決めろ、と言われても困る。選べと言われて選べるくらいなら俺の女はこんなに増えていない。優柔不断と言われるだろうが、俺は一人一人本気で愛している。良いところも悪いところも引っくるめて、全員に優劣など無いと断言できる。

 

逆に言えば1番がいないからひょっとしたら俺は誰も愛してないのでは無いか、と悩んだこともあるくらい、俺にとってこいつらは皆同じくらい愛している。

 

なので1番とか無理だ。済まぬ。

 

「ならばこのまま1番を選ばす今まで通りダラダラ皆で過ごしますか?・・・・うふふ、後何人増えた段階で貴方が枯れ朽ちるのでしょうね?」

 

 

うぐぅ。

 

せっかく真面目な事を言ったのに、秒で鎮圧されたでござる。しかも正論だから何も言えねえ。うう、流石はママン。つよい。

 

つかさっきまでガチギレだった皆がなんかおかしな空気。無言だが何処と無く牽制しあってる感じ。ああ、俺が誰を選ぶか待ってんのか。参ったな、誰を選んでもちょっとは血が流れそうな気配だぞ。

 

 

どうしたもんか、とオロオロしていると、盛大にため息を吐いた紫苑が、呆れた顔をして、あれ?今ちょっと笑った?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に仕方ありませんね・・・。皆さん、どうしてもこの人には決められないみたいですので、どうでしょう?此処は1つ、私達の方で答えを出してみては。」

 

 

 

 

 

 

 

その言葉と共に、世界が変貌した。

 

 

その場に居た女性陣全員から覇気と殺気がたちまち充満し、錯覚ではなく温度が大きく下がったと感じるほどに天幕内の空間がヤバい。

 

咄嗟に美羽や音々を七乃や恋とくっつけ、頭を撫でて沈静化する。鈴々みたいに覇気や殺意に慣れていればともかく、こっちのちびっ子2人には刺激が強過ぎる。それでいて尚、慣れてないはずなのにこの氾濫する殺意の中すぴーすぴーと眠り続ける璃々はマジ将来大物になると思う。

 

 

というかこのメンツでその手の発言がヤバいって分かってるだろなに考えてんだ、と紫苑に文句言ってやろうと口を開くより早く、紫苑が落ち着いて下さい、と声を上げた。

 

皆が言い合いを始める直前に言ったせいか、出鼻を挫かれた女性陣全員の視線が紫苑に集まる。さっきから紫苑の独壇場みたいで、これほどのメンツの中で毅然とする彼女を少し尊敬しそうになったが、事を荒げてるのも彼女なので気のせいと思う事にした。だって腕の中で2人が震えてるのあいつのせいだし。

 

「皆さん、そろそろ意味の無い張り合いや自分本位の主張は控えましょう。武力で彼の隣を勝ち取っても、謀略の果てに彼を独占出来ても、結局彼は喜ばないと、分かっているでしょう?」

 

だから返って膠着するのです、ときっぱり言い切る紫苑。

 

その堂々とした姿に道玄の1番は私です、と言いたげな愛紗や主人には私が1番と言おうとしてた星、私は既に妻よ、と言おうとして黙らされた華琳、何も言わずに隣に立って無言の主張をしようとして祭や冥琳に阻止されてる蓮華や凪がぐぬぬ、と黙り込む。

 

そんな彼女等を尻目に比較的冷静な軍師組が何か案があるのか?と紫苑に問う。その目は真剣そのもので、威圧感さえ感じる強い眼光を放っている。

 

 

「ええ。とはいえ、難しい話ではありません。・・・何でも皆さん、身籠もらない様に気を付けていらっしゃる、とのことでしたよね?」

 

ちょ!?紫苑お前それは!

 

それはお前俺が死ぬほど頑張って皆を説得したハナシ・・・!

 

やがて来る五胡の大軍戦に備える為、頼むからまだ待ってくれと土下座して皆に頼み込み、必死こいて前世の知識を引っ張りだして体温測ったり生理周期把握したりして安全日や危険日を割り出したり、色々あって制裁される時も何とか避けてた、タブー中のタブーに簡単に触れてきた紫苑につい声を荒げそうになったが、突如女性陣に口を塞がれる。

 

黙っていろ、という事らしい。愛紗が深妙な顔で頷き、道玄との約束ですので、と答える。

 

「私達も疑問でしたが、おそらく先の話に備えて、の事なのでしょうな。それが、何か?」

 

「その約定を切り捨て、()()()()()1()()()()()()()()()()が正妻、でどうでしょうか。」

 

提案、という様な程の言葉だったが、実際にはこれ以外無い、という断言である。しかし、自信溢れる彼女に対して、女性陣は一転冷ややかな目を向ける。

 

「何を言い出すかと思えば・・・。その程度の案が今まで我らから出なかったとお思いか?」

 

「それで道玄の1番が手に入るならとっくに決着はついています。彼自身がそれを望まなかったからこその膠着状態なのです。」

 

「そもそも道玄様は私達が争う事自体を憂いています。まぁだからと言って誰かを選んでそれが1番、となっても恐らく私達は納得しないでしょうが。」

 

「というか、道玄が今まで誰も孕ませなかったのって先の戦に備えて何だろ?まぁだいぶ運が良かっただけな気もするけど、その辺の本人の意思を無視して私達が勝手に決めるのもどうなんだ?」

 

「いえ・・・この際道玄の意思を無視して決める、というのは良いと思うわ。この先、道玄自身が決める事は無い・・・というか、道玄は身内には甘いし、折角決めても多分扱いは同列になる。それでは結局、誰もその1番に納得しないわ。形だけだろうと何だろうと、1番は自分だけ。それ程には私達は道玄を欲している。」

 

「ならばいっそ私達が、ということですかー?悪くは無いと思いますが、それだと結局・・・。」

 

そこまで言って、風が言葉を濁す。

 

そう、それでは結局、俺の1番にはならない。何故ならば。

 

「ええ、結局それは『彼にとって』ではなく、『私達にとって』の序列でしかない。その通りです。」

 

そしてそれは本来、私達が欲している1番ではないーーー・・・。

 

そう言ってにこやかに笑う紫苑。分かっているならば何故、と皆が目で問う。俺としては平然と私達って言った紫苑に突っ込みいれたいけど、なんか口挟んだら怒られそうだから辞めておく。

 

「ですが、()()()()()()()()()()、と思いませんか?

 

考えてもみてください。曹操様が先ほど仰ったように、恐らく彼は誰を選んでも他の誰かを蔑ろにはしないでしょう。

 

それは私などよりも彼と付き合いの長い皆さんの方が良く知っているはず。彼はどんな小さな変化も見逃さず、私達を見てくれています。まぁ、色恋になると途端に洞察力が鈍るようですし、偶に欲しい言葉とは全然違う言葉を素で言ってきたりと、やきもきさせられたりもしますが。

 

それでも彼が私達を平等に愛してくれている事に違いはない。

 

・・・そうでしょう?」

 

おい平然と俺が愛した女達の中に自分を入れたぞあいつ。よせ、それは事実無根でも俺が怒られるフラグ。と、思ったら何か紫苑の言葉に共感してるらしい皆が凄いウンウン頷いている。マジか。怒られなくて良かったけど俺そんなにやきもきさせる程鈍かっただろうか。獣並みに鋭いと評判なんだが。男連中に。

 

「そう、()()()()()、ですよ皆さん。どうせあの人からの愛が平等なら、私達の方でそれを調節するのです。

 

・・・例えば、序列毎に2人きりの時間が長く取れる、とか。」

 

ぴくっ、と何人かが反応した。紫苑の言葉にメリットを見出したらしい。これはマズい、少しずつ皆が奴の言葉に耳を傾け出したぞ!いかん、奴の思うツボだ!

 

「例えば、彼に愛してもらう優先権とかも良いですわね?他には、彼と一緒の部屋に2人だけで住める、何て言うのも憧れますねぇ。」

 

ぴくぴくっ

 

ああっ、さっきよりたくさんの奴らが反応した!明らかに興味を示してる!ヤバい、これは結局愛紗のガチギレ不可避って事で御蔵入りになった最終奥義「比較的五胡戦に影響しなそうな侍女組を選んでその場しのぎ!〜最悪孕ませてもギリギリ戦は大丈夫!〜」を使わざるを得ないか!?普通にゴミ野郎な方法なのと、どう考えても愛紗が納得しないだろうと言うデメリットしかない手段だから取りたく無かったが・・・いや、まだだ!まだ、終わらんよ!!

 

「極め付けは、そう。本来皆に平等に使われる彼の愛、彼の時間が、()()()()()()()()()()1()()()()、とか・・・。どうです?想像、出来ました?」

 

ガタタッ!

 

「面白い、乗ったわ!」

 

「良いでしょう。その勝負、受けます。」

 

「どうせ道玄の1番は私以外あり得ませんが、ここで決着を付けておくのも確かに重要ですね。」

 

「よ、要するに誰が1番早く道玄の子を孕むかって事だろ?それなら私にも可能性が・・・!」

 

「ふふふ・・・いいえ、それなら寧ろ今までずっとやってきて尚、子が出来なかった皆さんより私やお嬢様の方が可能性が!くふ、良いですね、運が回ってきましたよお嬢様!」

 

「ぐぬ、ずるいぞ。これではお主ら若者の方が有利じゃろうが!不公平じゃ!」

 

「あら。祭、それは言い訳よ。こればっかりは運の要素が大きいし、文句があるなら誰よりも道玄に抱かれれば良いのよ。」

 

「そうね、姉様の言う通りだわ。最も、選ばれる回数も私が独占してみせるけれど。」

 

「ご冗談を、蓮華様。道玄様が選ぶのは私です。そうでなくとも傭兵団員が独占でしょう。貴方方とは練度も実績も違います。」

 

「言ってくれるな、凪。確かに蓮華様は自惚れが過ぎるが・・・誰よりも道玄の好みを体現する私に勝てるとでも?」

 

「娘2人と子を作る・・・この背徳感に勝てる人はいません!」

 

「そうでしゅ!更に私達は2人!お徳感でも圧勝です!巨乳など敵じゃない、ですっ!」

 

 

ああああ・・・!

終わった。完全に皆その気になってる。まだ同時に妊娠発覚したらどうする、とか、そもそも俺(獣)と子供が本当に出来るか、とか根本的な問題が残っているけど、今の彼女達にそんな事言ったところで、「では試してみましょう!もし2人以上同時に出来た時はその時にまた考えましょう!出来なかったら出来るまで!」とか言われるのがオチだ。

 

 

くっそ、本当にやりたく無かったが・・・!皆聞いてくれ。唐突だが俺が選「ああ、言い忘れましたが、その場しのぎに先の戦に関係しないひとを選んで事無きを得る、とかは駄目ですよ?」なん・・・だと・・・!?

 

馬鹿な、読まれていただと!?誰にも明かしたことのない最終奥義を?!奴は化け物か!

 

 

「そんな事を考えて居たのですか?道玄、それは流琉や月達に失礼ですよ。・・・ああ、もしかして本当に私が勝つか不安なんですか?安心して下さい。貴方の1番はこの愛紗です。それを証明して見せましょう。」

 

「私達はそれで一向に構いませんよ?どんな理由であれ、ご主人様が選んでくださったのなら、其れに勝る喜びはありません。ねぇ?詠ちゃん。」

 

「まぁね。ボク達を選んでくれるなら、その、嬉しいし・・・!」

 

「お二人とも図々しいですよぉ〜?ご主人様はわたしとお嬢様を選んでくださったんですぅ。」

 

「七乃、流石にそれは・・・こう言う時、兄さまが選ぶのは妹である私に決まってるんですよ?」

 

 

 

いかん、下手にバラされた所為でなんだかんだ仲の良い侍女組でも内部分裂が!これでは俺のフォローどころではない!

 

くそ、紫苑め、なんで策士だ!こんな見事な離間の計を仕掛けてくるなんて、恐ろしい奴だ!いかん、何かもう誰が1番にヤルか、一人当たり回数はとかめちゃくちゃ議論が始まってる!人数が人数だけに手がつけられない熱気だ!く、本当に人数が多い!これじゃ1人ずつ羌毅さん式ナデナデで鎮圧しようにも、5人目くらいで最初の1人が周りの熱気に当てられて復活する無限ループだ・・・!

 

てか、アレ!?よく見たら田豊と顔良混じってない?!あいつら軟禁されてたはずだろ誰だよ出したの!!寧ろ周りも気付けよ!てかそれなりに良い雰囲気になった事のある(一応未遂)まぁちはともかく何で斗詩が混ざってんだ!アイツ絶対周りの流れに乗っただけだろ!

 

 

 

和気藹々、と言うには明らかに敵意が充満する討論が行われる。最終奥義まで封殺され、このままだと子作りという名の俺限定デスゲームが始まってしまう!とオロオロするしかない俺。ど、どうしようどう考えてもこの人数は無理だ。今度こそ死ぬ。腹上死する!ヤバいヤバい、五胡の前に腹上死とかアホすぎる!

 

そんな風にテンパる俺や、必死に自分たちに有利な条件を押し通す為声を荒げる彼女達を横目に、ひっそりと紫苑が俺の前へやってきた。こ、此奴、ぬけぬけと・・・!

 

見れば紫苑はクスクスと微笑みながら、人気者ですね?なんて楽しそうに言った。お、お前なぁ!

 

「あら、だってこのままでは一生誰も選ばなかったでしょう?というか、彼女達から1番を選ぶなんて発想も無かったんじゃありません?」

 

ぐぬぬ。い、いや、それにしてもだな「ところで!唐突に話は変わるのですが、ここ最近、ずっと璃々が貴方にお願いがある、と言って居たのですが、どうにも言い出せなかった様なのです。宜しければ聞いていただけませんか?」

 

あん?璃々のお願い?そりゃ構わないが・・・い、いや!今それどころじゃないだろ!?どうすんだこの事態!最低でも俺が死ぬぞ!最悪血の雨が降る!そんなに俺を殺したいのか!?

 

「そんな訳ありません。流石にそれは誤解です。それに彼女達が貴方を殺すなど、あり得ません。・・・まぁ確かにやり過ぎる事はあるかもしれませんね。

 

・・・璃々のお願いを聞いてくださるなら、私が見事に納めて見せますよ?」

 

 

此奴め!自分で事を荒げて納めるから対価を寄越せ、とか何というマッチポンプ!ぐぬぬ、でも乗らないとガチで俺が死ぬ。くそぅ、ハメられた・・・!

 

ぐぐぐ、良いだろう。元々璃々のお願いならこんな脅迫なんぞされんでも幾らでも叶えちゃる!それが対価というなら是非も無いわ!

 

「まぁ!本当ですか?嬉しいです。では、さっそくお願いしますね?」

 

そう言って俺の膝の上で眠り続ける将来大物間違いなしの璃々をゆさゆさと揺さぶり起こす。ううむ、この殺伐とした空気が嘘の様な寝顔。めちゃくちゃ癒やされる・・・マジ可愛い。俺もこんな娘いつか作ろう。

 

「んぅ・・・あれぇ、おじちゃん?あ、おかーさんも・・・?」

 

ガチでこの空気の中熟睡してたらしい璃々。寝ぼけててもめちゃくちゃ可愛い。将来は絶対に美人になるだろう。おじさんは実に楽しみである。

 

そんな風にホッコリな璃々に微笑みながら、優しく語り掛ける紫苑。

 

「璃々、良かったわね。おじちゃんが、璃々のお願い聞いてくれるそうよ?」

 

「ほぇ、璃々のお願い?・・・えっ!ほんとに!?おじちゃん本当に璃々のお願いきいてくれるの!?」

 

ちょっとまだ寝ぼけたのに、一瞬で目が覚めたらしい。そんなにして欲しい事があったのか。早くいえば良かったのに。璃々のお願いなら基本断らないよ俺。

 

にしても、もの凄い喜んでるし、内容が無理難題でも今更嘘とは言えないなこりゃ。まぁ俺はチミっ子の期待を裏切らないと評判のオーク、羌毅さんだ。大抵のことは普通に叶えてみせる!ので、どんとこい、と胸を張って見る。

 

「本当!?本当に本当!!?」

 

本当だとも。何でも言いなさい!この蛮族系おじちゃんに不可能はあんまり無い!

 

 

「本当!?・・・やったぁ!えへへ・・・あの、あのね?

 

 

おじちゃんのこと、おとうさんってよんでもいい?」

 

 

こふっ!・・・天使や。俺の前に今可愛さの化身にして天使がおる。あまりの可愛さに変な息漏れた。ヤバい。

 

この可愛さそのものたる天使のお願い、聞かぬ人間がおろうか。いや、居るはずがない。何故ならこれを拒否る外道は俺が滅殺するからだ!

 

つまり良いよ!断然良いよ!俺でよければ幾らでも璃々のおとうさんになるよ!むしろ今すぐ俺の胸に飛び込んでおいで我が娘よ!

 

 

既に膝の上に乗る璃々をさらに腕を広げて迎え入れる。間髪入れず飛び込んでくる璃々。ああ、何と愛おしい。これが娘を抱きしめる父親の感情・・・!肉体関係のない健全な親子の絆が、こんなにも暖かい!いかん、これは過去最高に幸せだ。

 

しばらく璃々を抱きしめて、やがて璃々が俺の胸に顔を擦り付けるのに飽きた頃、唐突に紫苑を振り返って叫ぶ璃々。

 

「おかーさん、やったね!これからおとーさんとずっといっしょだね!」

 

・・・んっ?

 

「ええ、そうね璃々。これからは3人ずっと一緒よ?さっそく今日は3人で寝ましょうか。」

 

・・・んんん?

 

「ほんと!?やったぁ!おかーさんとおとーさんもいっしょだぁ!えへへ〜、うれしいな!」

 

最初に貴方と子供が出来た人が正妻(そういうわけ)なので、これから末長く、宜しくお願いしますね。()()()

 

 

・・・アレッ!?もしかして俺、ハメられた?

 

あれれれれ?もしかしてこれ、ヤバくね?慌ててちょっと待ってくれ、と言おうとして、しかし直ぐに俺の耳元で紫苑が言った。

 

 

ーー駄目ですよ、男に二言は無い、でしょう?それともまさか・・・

 

あんなに嬉しそうな璃々を裏切るのですか?

 

 

 

目の前にめちゃくちゃ嬉しそうにはしゃぐ璃々。あかん、ここでやっぱダメとか言ったら確実に泣く。俺にはそんな外道な真似出来ねえ。

 

「ふふふ、良かった。やっぱり貴方は優しい人・・・璃々の父親として、貴方を選んで本当に良かった。私のことも、これから宜しくお願いしますね?

 

ああ、皆さんですか?大丈夫ですよ1()()()()()()()()()()()()()()()、ときちんと言いましたし、皆さんも納得済みですから。」

 

誰も孕んだら勝ちなんて言ってないだろ?言外にそう言って、俺の首に腕を回し、ゆっくりと紫苑の顔が近付いてくる。

 

まるで時が止まったかの様に、まるで動けない俺。

 

しかし、そんな静寂が、俺と紫苑の間だけのものではないと、気付いていた。

 

 

 

何故なら

 

 

 

紫苑との距離はもう10センチもない。紫苑が唇を突き出す様に顎をあげる。目を瞑る彼女の睫毛の一つ一つが見えるほど近くにーー

 

 

 

彼女達は、皆、見ていた。

 

 

 

2人の距離が、ゼロに、唇が、重なってーー・・・!

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーードウゲン。

 

 

 

 

 

 

 

 

この後2人とめちゃくちゃ逃げた。

 

尚、暴走した女性陣によるとばっちりで軍があわや半壊しそうになった事を、ここに記しておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

 

その後は非常に大変だった。

 

一度完全にブチ切れた女性陣はなかなか止まらず、あまり武力に訴える事のない軍師組でさえ兵を指揮して全力の追撃をしてきた。

 

慌てて紫苑と璃々を抱えて逃げたが、そうしなかったら2人とも死んでいた可能性がある。いや、牽制ではなく俺の体に矢とか刃が当たってるからね。俺がいなかったら2人に直撃してるコースで。

 

紫苑はともかく璃々にまで!と思ったが、ガチ病みした愛紗を筆頭に誰も話を聞きやしねえ。恋の全力なんか真剣にヤバかった。思わず部分完全変身したくらいだ。

 

まぁその中でも何かのアトラクションと勘違いした璃々が楽しそうだったのが幸いだろうか。普通に考えたら生命の危機過ぎてトラウマ一直線だからな。何故か紫苑の奴も余裕ぶっこいてたが。

 

全く、何が見事に納める、だよもう。確かに紫苑自身が決めたルールでは紫苑の一人勝ちだし、皆もそれに乗ってしまったのだからある意味してやられたのは事実で、そういう意味では納められたのかもだが。

 

 

・・・それはあくまでいい様に出し抜かれた皆が素直に納得したらの話である。

 

 

まぁ俺を含めて全員が、それこそ軍師組や華琳でさえ乗せられてしまったのが本来悪いんだが、あれだけお膳立てしておいて、急に1人梯子を外しての抜けがけが許されるはずもない。

 

 

桃香の奴が決死の覚悟で武将以外の全兵の動きを止めてくれなかったら、五胡の前に中華が滅んでいた可能性がある。まぁ俺も両手が塞がったまま普段より強い武将組を上手く怪我の無いように抑える、なんて軽い神業をしてた訳だが。今でもあの瞬間の俺はだいぶ神がかってたと思う。もっかいやれとか言われても無理だが。

 

 

 

 

結果的に皆暴走状態で大変だった訳だが、中でも愛紗は尋常では無かった。先にあった様に愛紗は自分が如何なる時も俺の1番は自分である、と本気で思っているので、たぶん誰よりも盛大に梯子を外された様に感じたのだろう。

 

何とか全員を鎮圧したころには既に嫉妬暴走による幼児退行が始まっていて、ひと段落した時には、それはそれはもう酷い引っ付き虫になってしまった。その引っ付きぷりときたら、鈴々や音音はおろか、璃々でさえ「愛紗おねーちゃんにゆずったげる!」と俺の膝を差し出したくらいである。どれほどの引っ付きか推して知るべしである。

 

当然その間も俺への性裁は止まることはなく、1日3回の食事の時間に璃々に会えるのが唯一の救いだった。正に監獄の様な日々だった。

 

 

また、璃々との面会は許されたが紫苑とは許されなかった。それが許されたのはかなり後で、俺が愛紗の引っ付きから多少解放され、いつの間にか砦から厳顔や程普が建業からやってきたシャオを引き連れて来るまでの2カ月間を終えて、漸く紫苑と璃々の2人同時に再会できたのだ。

 

正直紫苑が愛紗とかに暗殺されてもおかしくなかったので、できる限り積極的に皆と一緒にいる様にしたが、また会えた時は無事で安心した。いやぶっちゃけ正妻とか言われてもまるでピンとこないが、璃々が泣くのは勘弁である。まぁ久しぶりに会った紫苑は平然と微笑んでいたし、流石に暴走中でなければ女性陣も璃々まで狙ったりはしないようで良かった。

 

尚、余談になるが、そんな訳なのでまだ紫苑とはしてないです。美羽や七乃、華琳達や何故か斗詩やまぁちとは散々やったけども。陳珪さん親子はギリギリ2人とも未遂だ。悪ノリした華琳が混ぜようとしたが真名も交わしてないと他の女性陣が拒否ってくれた。

 

・・・まぁそういったら曹仁さんはあっさり真名を交換と言うか叫んで混ざっちゃったんだけども。こう・・・「華崙っす!よろしくっす!」みたいな。そもそも誰だよ連れてきたの、って思ったがこの時の俺には拒否権が存在しなかったのだ。というかあらゆる権利が無かった。でなきゃ流石に美羽やまぁち辺りも止めている。美羽はちびっ子だし、まぁちもだいぶ脈絡無さすぎだし、斗詩に至っては理由が「恥ずかしかったけどちょっと興味があって・・・。みんな凄いって言ってたので。」だぞ?ストレス発散にセック◯するOLみたいな理由だった。恋姫世界ってこんなに女性疲れてんの?あ、袁紹さんのところだけ?なるほど。

 

あとはとりあえず華琳や春蘭もそうだが、桂花がひたすら可愛かった。前世で結構人気あったのも頷ける。つい調子に乗って華琳と合わせて鳴かせまくりの泣かしまくってしまい、愛紗と冥琳に構い過ぎだと無茶苦茶おこられてしまった挙句、1人放置された春蘭と嫉妬暴走気味の秋蘭にビックリするほど絞られてしまった。

 

そして地味に明命とまともな寝台の上てしたのは初めてっていうね。いやほら、だいたい町で疑わしいアレの後に要求されてたから、初めての時以外割と路地裏とか物陰とか、だいぶスリル満点な場所だったんだよね。趣向が痴女の星でもここまで外でした事ないかも知れん。

 

 

まぁそんな感じで2カ月過ごして、その後は合流した粋怜が混じったりして余計に死にそうになりながらマセ過ぎたシャオの相手をはんなりしてたらいつの間にか孫家姉妹の手引きによって当然の様にシャオが閨にいたり、何か周りの目を盗んだ紫苑と初夜(何故か協力者とかいって桔梗もいた。意味不。)を迎えそうになったりした。尚、紫苑と桔梗を相手にした時は即愛紗と祭が乱入し、後を追いかけてきた残りの女性陣を含めて俺と肉体関係のある女性ほぼ全員を一度に相手するというクリア難易度ルナティックなイベントが起きた。そして紫苑だけ出来ないというか目の前で俺が他の女と、みたいな逆NTRイベントみたいな感じになった。何げ桔梗は普通に混じってたのでもうよく分かりません。この3カ月で2度ほど華佗にお前なんで生きてるんだ?とか言われた俺が、どれくらいダメージを負ったかは想像してほしい。多分それよりひどい。

 

 

そうしてそんなこんな爛れた日常を送らされた後、いつもの様に馬車に押し込まれて(もちろん道中も陽の目は見ていない)気がついたら洛陽に到着していた。そしてかつて使っていた拠点が華琳達の手で自分達も使うからと無駄に強化され、ウチの傭兵団がちょうど収まるか、ぐらいの規模だった元隠れ家は、兵の詰所より豪華になってもはや小さい城というような風体だった。

 

自分達の別邸みたいなものだから、などと華琳は言っていたが、俺には個人的にお気に入りだった隠れ家的要素が消し飛んでて笑うしかなかった。

 

最近の俺は一体何処に向かっているのか?というかこの3カ月ほぼセックスしかしてないんですけど!と抗議するも、相手は皆超が付くほど有能な女性陣。もう全部終わってる、と言われ聞いてみたら兵の調練スケジュールから、三国合同会議の日程や、五胡に備えての協力体制や戦闘予測による費用や食糧の算出など、時間のかかる軍の移動の為の街道工事など以外は本当にほぼ終わってて、それどころか俺の国を建国にするに当たって必要な政策や法の思案、農地の規格統一や運営方法など、先の事まで手が伸びてて唖然とするしかない俺。

 

つまるところここ最近の俺の扱いはほぼほぼ肉バイブでファイナルアンサーだ。

 

どうよこれ。俺、泣いても良いだろうか。

 

どう思う一刀君?

 

 

「・・・・・・・・・・・、えっと、

 

・・・・すいません、言葉が見つからないです。」

 

 

 

泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

 

「えぇっと、とりあえずこの涼しげな場所に来て何故か汗をかいてた理由は分かりました。とりあえず今道玄さんがその状態なのもなんとなく。」

 

分かってくれるか、ありがとう一刀君。そうなんだ、先の事でまたこうなってしまってな。かれこれ二週間近く引っ付かれている。

 

そうしてちら、と右腕を見るとしがみ付く愛紗と目が合う。腕どころか足まで絡ませて意地でも離れない!という顔をする愛紗。なんかもう慣れて来たけど風呂はともかくトイレくらいは1人で行きたい。

 

まぁ今更言ったところで聞くわけもないので、とりあえず無言の訴えでキスを要求されたので軽くしておく。いや、右腕にくっつき過ぎてキスし辛いことこの上ない。しかしまぁ、まだしばらくは構い倒すくらいじゃないと駄目だなこれは。

 

ふと見ると、物凄い微妙な顔をする一刀君。なんぞ?キスくらい散々目の前でさせられたやろ俺。

 

「いや、それは確かに見慣れましたが。あれ、それもどうなんだ・・・?っていや、そうじゃなくて。

 

なんと言うか、道玄さんの周りの女性って三国志の英雄ばかりな筈なんだけどなって・・・。散々稽古つけて貰いましたし、そういう部分もたくさん見てきましたが。」

 

それがこれかぁ、みたいな顔で愛紗を見た後、これは道玄さんが凄いのか?いや、むしろ駄目にしてるよな、とか呟く一刀君。いやぁ本人を目の前にして良い度胸だ。

 

こないだ飲んだ時盧植の奴といい感じだったこと桃香にバラすぞ?

 

「ちょ!?あ、アレは昔助言もらったりしたからお礼的なですね!・・・いや、というか道玄さんも皇甫嵩さんと仲良さげだったじゃないですか。」

 

おや、愛紗が隣に居るのにそれ言っちゃう?ねぇそれ言っちゃう?

 

ところがどっこい!既に制裁済みです!じゃなきゃその皇甫嵩があそこでみんなと一緒に居るわきゃないよ!

 

 

「あぁ、それで。いや、いつの間にか混じって居るなぁと。でも良く反対されなかったですね?いくら肉体関係ないとはいえ。」

 

 

いや、うん。ほら・・・分かるやろ?うちの女性陣アレで意外と面倒見いいから・・・。

 

「あぁ・・・確かに。必死というかなんというか、大変そうでしたもんね。じゃああれはそういう意味ではないって事ですか?」

 

ああ、言っちゃなんだが仲間として受け容れたのではなく、同情的な奴で友人として連れてきたんだろう。その証拠にさっきまで俺の周りで殺気立ってた皆があいつが来た途端愛紗残してこれだもんよ。せめて気を紛らわしてやろうと思ったんだろうよ。あいつ女友達さえあんま居ないらしいし。華琳がマジで人を哀れむとこ初めて見た。無茶苦茶有能らしんだがなぁ。

 

 

 

いやもうホント、こないだ飲んだ時の楼杏の奴ってば婚期を焦りまくりというか、婚活戦士の40代OLみたいだったもんな。口癖は寂しい、だし、腕が軽く擦れただけで触れ合い扱いするくらい人肌に飢えてるし。いやまぁ、俺があいつと初めて会ったのも、反董卓連合の後洛陽の居酒屋であいつが半泣きで飲んでたからだったが。

 

「あれ、もう真名まで?大丈夫なんですか?」

 

ちら、と愛紗を見て言う一刀君だが、駄目なら既に愛紗が反応してる筈という事は彼も分かっているので、唯の確認だろう。

 

大丈夫大丈夫。皆知ってるし、実を言えば再会する前に既に真名の交換終わってたんだ。再会した時に呼ばなかったのは単に盧植と初見だったのと一刀君とあいつが真名を交わしてなかったから、最近忘れられがちな真名を交わしあった人間しかいないところでしか真名を呼ばない俺ルールしてただけだし。

 

「あぁ、そういえば道玄さんそのへん真面目ですもんね。でも、皇甫嵩さんと会ったのって一回だけって・・・?」

 

今じゃ人間関係の主張と知り合いが増えすぎてひたすら真名で会話してるから、たまに字名とかで呼ばれた奴が一瞬誰だかわからん時があるぐらいだがな。

 

おうよ、一回だけだ。その一回で一晩たまたま一緒に飲んだだけの奴に、なんかやたらと一生懸命真名を預けて来たから勢いに負けて交わした。あの時は俺の情報は知ってても俺の容姿は知らなかったみたいだから、真面目に謎だったなー。後で話を聞いた女性陣によると、「誰でもいいから自分が将軍って知ってても仲良くなれた異性との繋がりを失いたくなかった」らしいが・・・。

 

「その為に真名まで!?・・・か、悲し過ぎる・・・!」

 

言ってやるな。その上でさらに再会した俺が女盛りだくさんの屑野郎と知っても、その女全員に尋問受けても、末席でいいから・・!って頭下げたくらい寂しい思いしてたんだよ。もはや自暴自棄レベルだったので思わず頭大丈夫か確認したが。

 

まあそんな感じだったから皆優しくてな。特に祭とか桔梗なんかは半泣きで肩叩いてたくらい励ましてたし。だからまぁ、とりあえず一刀君推しといたけどさ、何も言わず見守ってやろう。あいつ美人だし、多分すぐ男も友達も出来るだろ。

 

「そ、そうですね!確かに美人だし、彼氏でもできたらネガティヴ思考も・・・?

 

・・・あれ、道玄さん今俺推したとか言いませんでした?」

 

呆然とこちらを見る一刀君の視線から眼を顔ごとサッと逸らす。

 

俺のログには何も無いな。

 

「ちょっ!?まさか男と友達がすぐ出来るって俺と桃香達の事ですか!?駄目ですよただでさえ最近翠と桃香の仲が!!」

 

 

「え、私になにか言いましたかご主人様?」

 

「あれ、今誰かアタシを呼ばなかったかー?」

 

ギクゥ!と固まる一刀君。近付いてきた皆に気付いて無かった様だ。2人に聞かれてどうなるような会話でも無いが、万が一問題起きると面倒だ、フォローしておこう。

 

呼んではないな。ただ一刀君が2人は可愛いと熱弁してただけだ。

 

そう言うと2人揃って「そんなぁ、もうご主人さまったら!・・・むっ!」とシンクロ。数秒睨み合ってこれまた同時にどっちが上か一刀君に問う。しどろもどろの一刀君に残りの馬家姉妹がジト目をし、糜姉妹か涙目で私は!?と詰め寄る。

 

あれれー、可笑しいなフォローのつもりが火に油だー(小難風

 

 

きさまっ!よくもっ!っと言いたげな一刀君だが、俺に構ってる余裕などないので視線だけだ。ふはは、愉悦愉悦ぅ(笑)

 

 

すまないな一刀君。君は良き友人だったが、ハーレム主人公なのに俺よりハーレムしてない君がいけないのだよ。だから決して原作主人公より大きなハーレム築いた事に最近気付いた、とか、今更あげる気なんてないけど原作主人公仕事しろ、とか獣の俺でさえ瀕死なのに何故君は平気なんだ、とかの八つ当たりではない。無いったらない。いつの間にか隔離されてた袁紹さんと文醜さんをラバーズに引き込んだくらいじゃ許されないと知れ!

 

 

 

まぁあんまり一刀君を虐めても仕方ないので、一頻り遊んだ女性陣の一部も戻って来たし、飯の準備始めるとしよう。食材ならこの場所に来る途中で大きな鹿を一頭と、ウチの武将組が遊びながらとりまくった川魚、果てにはさっき鈴々が見つけたやたらデカい大山椒魚と対抗した季衣ちゃんが見つけた大ウナギがある。四次元袋の中の食材も合わせればなんでも作れるだろう。とりあえずどんぶり飯より明らかに鰻の方が肉厚な鰻丼は作ってみよう。

 

おーい、一刀君と愉快な仲間たちよ。飯にするぞー、その辺にしとけ!

 

そう言うと今大事な話してるから口出すな、的なことを言われたので、じゃあメシ抜き。と伝えるとピタッと固まる。ふ、既に各国の新参古参含めて全員の胃袋は征服済みだ!流琉がな!

 

だから俺の周辺の大体の人間がメシ抜きと言われると猫を人質にされた明命みたいになる。ある意味で恋と稽古より恐れられる脅しだった。俺の義妹が料理で無敵な件について。あれ、今気付いたけど王様達も流琉に胃袋抑えられてるってことは、ひょっとして三国無双って流琉じゃね?緊急速報、ウチの義妹が中華を征服してた件について。

 

 

「ま、待ってください!それは流石に横暴です!」

 

「そ、そうだよ。私達には大事な話なんだから!」

 

ははは、知ったことか!・・・と、言いたいところだが、原因は俺にも若干あるからな。若干どころじゃない!とか一刀君が叫んでる気がするけど気のせいに違いない。うむ、仕方ない。ならば俺が見事に仲裁してあげよう!この一刀君と同じ時代に生きて、同じような女性に対する感性を持ち、彼の女性嗜好を知るこの俺がな!!これなら文句は無かろう!

 

「!? ちょっ、おまっ!完全に遊「確かに・・・。どうせご主人様じゃハッキリしないし。」えぇっ!?」

 

「なるほど、一理あるな。客観的に見て誰が1番ご主人様の妻に相応しいか、って事だな?」

 

え、ちょっと皆?とオロオロしている一刀君を無視して意外と乗り気な女性陣。ふふふ、掛かっtじゃないならば聞くがいい一刀君ずラバーズ達よ!え、ラバーズって何か?恋人達ってことさ。さて置き、古来より日本に伝わる恋愛の真理を教えてあげよう!それはッッ!

 

 

『男は胃袋掴んだ女の勝ち』ッッ!!

 

 

つまりっ、より美味く且つ旦那を安心させられる料理を作った奴が妻に相応しいっ!

 

※但し、流琉は俺の女なのでこれに含みません。むしろ流琉入れたら既存の家庭さえ崩壊する。

 

 

そして此処には偶然にも豊富な食材がっ!皆の分の飯を作っても、それぞれが一刀君の分の飯を作るくらいは残るだろう!!

 

 

・・・どうだい諸君、そろそろ誰が1番か、白黒着けたくないか?

 

「「「・・・・・・ッ!」」」ゴクリ

 

一刀君ラバーズ全員が息を呑む。お互いに視線で牽制し合いながら、やがて皆同時に頷いた。その背後で一刀君が道玄さんに乗せられてる!と叫ぶが無視。宜しい、ならば食戟だ!なお、食材無駄にする事は許さないので何があっても審査員と料理人は食べ切る事!出来なければ向こう一ヵ月間君らの飯は愛紗の手料理です。

 

 

「!?」

 

全員の腰が一気に引けた。あれ、馬超さん達も食べたことあるの?俺の記憶では君らに各国からの支援物資持って行った時の糜姉妹までだった筈なんだけど。え、この3ヵ月の間に希望者のみの流琉のお菓子教室で!?なにそれ愛紗参加したの?事件にならなかった?あ、やっぱ1日で出禁になったのね。

 

だからこないだ泣きながら俺に料理教えてくれって来たのか。流琉は食材を冒涜する奴には容赦無いからな。愛紗本人にそんな気はなくとも愛紗の料理は食材の冒涜だから仕方ないね!大丈夫大丈夫、猛特訓の甲斐あって最近は三回に一回くらいしか俺が気絶レベルは無いよ!ランダムで状態異常発生するけど。毒や麻痺はともかく、石化し始めた時は真剣に焦ったよハハ。いやガチで。モンハンに石化無いし。ははは。

 

 

右腕の愛紗がむぅぅぅ!と腕を叩いて抗議してくるが頭を撫でて誤魔化す。フォロー?いやぁ、普通の食材を毒物以上のファンタジー劇薬に変える技術は、錬金術師なら褒めるけど料理人なら未だに練習させてるだけでもう海より広い度量があると思っているよ?

 

にしても馬岱さん達はともかく馬超さんも参加したの?珍しいね、花嫁修業嫌いなのに。え、なんだい馬岱さん?自称味見役?ああなるほど。納得。

 

どういう意味だ!と馬超さんが怒り出すが、月のお淑やかな女性になる為の作法教室を開始20分で背中がムズムズする、と逃げ出した事は記憶に新しい。他の馬家のみなさんは平気だったので馬超さんが特別なのは間違いない。そういうとうぐぐぐ、と唸る馬超さん。まぁ、その教室自体俺が一刀君はお淑やかな女性が好き、とかパチこいて開かれたネタ教室なんだが。いや、制裁中だったから抜け出す娯楽が欲しかったんだよね。

 

おっとそうだ、ここで企画者兼審判の俺からの刺客でーす。君らの料理対決にはこの元なんちゃら将軍皇甫嵩が飛び込み参加します。ポッと出に一刀君の胃袋とハートを奪われたくなかったら頑張れみんな。

 

え、私ですか!?と無茶振りされて驚く楼杏を無視して代わりに一刀君ラバーズを一刀君はこの皇甫嵩が戴いた!と挑発しておく。青くなる一刀君は見なかった事にしよう。

 

よし、じゃあ皆頑張「兄さま、いつまでも遊んでないて手伝ってください!愛紗さんは参加させちゃダメですよ!」あ、ハイ。すいません。

 

 

 

そんな感じで怒られながらも料理対決スタートです。

 

 

〜以下長くなりそうなのでダイジェスト〜

 

おおっと!馬超選手まさかの焼いただけだぁ!しかもあれは山椒魚だ!使い慣れていない大穴食材だぞ!しかし滑りとりとか下拵えしてないし随分分厚いけど火は通っているのかぁ!?

 

「したごしらえ・・・ってなんだ?大丈夫、採れたてはこういう単純な塩焼きが美味いってご主人様が前言ってたし、山椒魚の肉は健康に良いって誰かも言ってた!」

 

「いやそれ川魚の話d、グワァー!生臭さが全身を駆け巡っていうか生焼けだコレー!?」

 

糜姉妹はそれぞれ・・・!?あれ、なんだこれ炭?

 

「魚らしいですよ?あ、2人ともこっちに。早く来なさい。」

 

あ、糜姉妹は食材を無駄にしたという事で典韋大先生の教育的指導が入りました退場でーす。

 

「「ちょ、電磁葉々はっ、ぎにゃああ!」」

 

おおっと劉備さんが出して来たのはチャーハンだー!しかもハート形だ!なんの変哲も無いチャーハンなのにハート形!あざとい!これはあざといぞー!

 

「隠し味は愛情です!」

 

「セリフまであざといっ!?

ああ、でも普通のチャーハンがこんなに幸せなんて・・・!」

 

おっと、馬鉄さんと馬休さんはまさかのタッグだ!料理は・・・あれ、何これ玉子スープ?随分普通な献立やなー。

 

「いや、ご主人様大変そうだから・・・。」

 

「私達はお腹に優しいモノを、と思いまして。」

 

「優しさに涙が止まらない・・・!でも助けてくれるという選択肢はないんだね。あ、目を逸らさないで!」

 

颯爽登場!俺もつい最近存在を知った劉備さんの侍女兼秘書兼隠密の孫乾さんだぁ!和かな笑顔の裏に隠すその実力は恐るべきものがあるぞっ!現にさっきまで自分の補助していた筈の彼女を見て劉備さんが驚愕しているー!明らかに何も知らなかった顔だー!何故貴方がそこに・・・、そんな顔の主人を素知らぬ顔でスルーして出したのは鹿ロースのたたきポン酢!酒のツマミに最適な逸品だ!ちなみにレシピ提供は俺だっ!

 

「うふふ、いかがですかご主人様。」

 

「普通に美味いけどこの後の桃香を考えると既にお腹痛いです。」

 

ここで登場!審査員からの刺客にしてダークホース、皇甫嵩だぁ!料理は俺が教えた現代日本で男子がお嫁さんに作って欲しいもの鉄板の肉じゃがだ!当然典韋大先生監修済み且つお墨付き!つまり勝ちは決まったぁ!何処からか卑怯だとか横暴だ、とか野次が飛んで来ますが依怙贔屓は審判の特権なので何も問題は無い!無いったら無いのでここでけっちゃー・・・あれ、どうした楼杏。早く行ってこいよお前の勝ちだぞ?

 

「あの・・・この料理は道玄さん、貴方に食べて欲しくて・・・一生懸命作りました。食べて、くれますか?」

 

!?

なん・・・だと・・・!あ、ちょ皆待っぐわぁぁ!

 

「策士策に溺れる・・・残念、いや、良かったですね道玄さん。」ドヤァ

 

※只今審判の制裁中です。少々お待ちください。

 

・・・失礼、お待たせ致しました。ちょっと審判が厳重注意をあ、愛紗待ってもうちょっとだから。いやゴメンて!ええっと、とにかく次はお待ちかね、隠れた遣り手馬岱さんだー!しかもあれはいつだったか頼まれて俺が教えた一刀君の大好物、ロールキャベツだぁー!当然俺監修の俺お墨付きです。流琉が出てこなきゃ華琳さんにだって勝ったことある逸品中の逸品だ!

 

「もう、待ちくたびれたよー!まぁ将を射んと欲すればまず馬を射よ!つまりご主人様の好みは親友のおにーさんに訊くのが1番!どう、ご主人様?」

 

「ああ、本当に美味しいよ蒲公英。道玄さんの味を完璧に再現している。文句なしに1番美味しいよ。」

 

「やったぁ!蒲公英がいっちばーん!ゴメンねおねーさま!」

 

喜ぶ馬岱さんと泣き崩れるその他の皆さん。勝者と敗者が此処に決まり、勝者である馬岱さんを皆が祝福する・・・かに見えた!

 

ここで今一空気を読まない事に定評のある白蓮こと公孫瓚が例によって余計な一言!

 

「あれ、道玄の味の完全再現で優勝なら、1番は道玄なんじゃないか?」

 

ガタタッ ←ヤ◯イ好き幼女達が一斉に立ち上がった音。

 

「北×道と聞いて。」

「違うよ雛里ちゃん、道×北だよ!」

 

うるせえだまれ腐れ幼女座れ!

 

 

〜ダイジェスト終了〜

 

 

◆ ◆ ◆

 

やれやれ、慌ただしい休暇である。

 

まぁなんだかんだ忙しないが、皆楽しんでるからよしとしよう。俺も娘達と遊べたので概ね満足です。やっと精神が癒された気がするわ。原因俺だから自業自得なんですけどね!

 

あ、因みに料理対決は腐った幼女達が腐った息で荒らしやがったので、俺が秘密兵器、日本人のソウルフードであるカレーライスを持ち出して全一刀君の評を総ナメ、他者に大差をつけて圧勝且つ完勝してやった。どうやら一刀君はカレーに飢えていたらしく、彼のラバーズを一顧だにしない絶賛っぷりで、おまけで出したココイチばりのオプション用意したら俺を見て「貴方が神か・・・!」と崇め出したくらいである。

 

この時点でもう殆ど勝負の事は忘れられ掛けてたが、序でに俺が「兄さま、私もこの料理はまだ教わってません!」と盛大に怒られたりして完全に有耶無耶になりました。結果的にちゃんと仲裁した雰囲気なので問題はないね!

 

因みにカレーは最初こそ見た目から皆にブーイング(食べ物に偏見のない鈴々にさえ「なんだかばっちいのだ!」と言われて泣きそうになった。)を食らったものの、匂いで美味さを探知した恋と、泣きながら美味いと一刀君が叫ぶので、やがて皆感化されて恐る恐る食べたら一気に広まりました。璃々だけは辛いと泣きそうだったので即席で甘口にしたけど。美羽は璃々の前でおねーさん振る為に震えながら食べてた。お馬鹿可愛いってあーゆーこというんですよね!

 

まぁ、それはさて置き。

 

「・・・璃々は、寝たようだ。」

 

「そうですか。ふふ、かなりはしゃいでましたからね。このきゃんぷ?が決まった一週間前からそわそわして余り眠れなかったくらい楽しみにしてましたから。」

 

まぁそのぶんお昼寝が増えたのですけど、と淑やかに微笑む紫苑。

時刻は既に夕暮れを遥かに過ぎて、拠点のある洛陽でもぼちぼち街の灯りが消え始める頃だ。

 

幸い月が出ているので夜目が利く俺でなくとも多少は見えるだろうが、山という人工の灯りがない場所では、街以上に子供達の眠りは早かった。最も、紫苑の言う通り、昼間にはしゃぎ過ぎたのも原因の一つには違いないが。

 

 

鈴々や季衣ちゃんみたいな体力ある武将組でもぐっすりな事から、よっぽど楽しかった様で、企画した俺としては幸いである。まぁ流琉や風と言った子供達でも一部は今も起きて、大人達と共に、一緒に月を見ていた。

 

「綺麗ね・・・。」

 

感じいった様に華琳が呟いた。

 

「本当に。月見をしよう、と昼間に鬱蒼とした山の中に連れてこられた時は何事かと思いましたが。」

 

「滝の音も聴き慣れると何故だか安心しますな。周りが静かなせいか響くので、もう少し煩わしく感じるかと思っておりましたが。」

 

「おまけに夏山で虫が鬱陶しいに違いない、と思って戦々恐々としてたのに、全然いないの!半信半疑だったけどおにーさんすごいのー。」

 

「うむ、いきなり焚き火を消す前に説明しろ、とは思ったが。この光景を虫などを気にせず心穏やかに見れるなら、勿体ぶって何の説明も無かったのもよく分かるな。魏延の奴も連れて来てやれば良かったか。」

 

 

はは、俺自身こんな効果があると知ったのは最近だがね。こんな効果があると知っていたら山暮らししてた頃もっと楽だったのになぁ。桔梗、お前はもうちょっと魏延さんに優しくしてやれよ。仕事押し付け過ぎだぞ。

 

なんて、おどけながら肩を竦め、視線を戻す。

 

目の前では、大きく欠けた三日月が、ちょうど水の流れに合わせて形を変えたところだった。

 

そう、この昼間散々皆が遊んだ滝壺付近、皆で遊べるだけあって結構広いのだが、それが夜になると月を大きく映す水鏡となり、更に不規則に跳ねる滝の雫が水面を揺らし、月明かりを疎らに反射させて森を彩るという、なんとも荘厳な風景を生み出すのだった。

 

娘達と遊ぶ為に散々飛び回って夜中まで背中に愛紗を引っ付けたまま周囲を探索してつい最近見つけた、俺自慢の秘境である。ちなみに、山を登れば以前愛紗と逢引した絶景スポットに辿りついたりする。

 

また、現在の俺は体の色がハッキリ濃緑に染まり、角や牙なんかは生えないまでも髪の毛が長く伸びて、薄く金色に輝いていた。まぁ赤く光るトラ縞が浮かぶ完全変身では無い為、暗闇だと髪の毛だけ浮いてるように見えるだろうが。弱変身を過ぎて、けれど完全変身ではない、言うなれば中変身という微妙な状態だ。

 

何故こんな状態かと言えば、理由はこの蛍みたいに薄く輝く髪の毛にあった。

 

実を言えば本当に最近、それこそ女性陣のご機嫌取りに散歩と称して夜景の綺麗な場所に夜駆けする際、この状態くらいから明確にラージャンの発電能力が活性化してくると知った。毎度変身具合はその日の気分だったのだが、この時の淡い光が1番綺麗だと女性陣に好評だった為ずっと光らせてたら、光なのに虫が寄ってこない事に気付いたのだ。

 

どうやら体内発電を行うと電磁波的なサムシングが髪の毛を中心とした体毛を伝って拡散、虫などを追い払い寄せ付けなくなるみたいなのだ。いやまぁ電磁波ってのは単なる推測だが、実際虫やら何やらが寄ってこないのは事実だ。正確には虫は寄せ付けないというか近付くと死んでしまっているのだが。

 

しかし、ならばと完全変身してから発電したら今度は強過ぎて俺の身体には常時放電現象が、周囲には広範囲で静電気が発生、その時連れていた風に危ない痛いと怒られたので、安全と実用の範囲を模索して色々試した結果この状態に落ち着いた。やはりレベルがオーバーフローしてるからか、ラージャンビーム以外では比較的おまけな発電能力も桁違いだなー。

 

この状態なら序でに獣達も俺の中のラージャンの気配をより明確に感じ取れるのか、かなり広い範囲で寄って来なくなり、こうして夏の夜の山の中という一時間もいれば全身を虫刺されだらけになれる場所でも無傷でいられるようになるのだ。現代日本に俺と同じ効果のあるアウトドアグッズがあれば、夏休みにキャンプに行く親子連れに大ヒット間違いなしだったと思う。

 

 

「ははは、確かに蚊取線香や殺虫剤のいいとこ取りしてますね。一家に一台羌毅さん。お値段なんと29800!なんて。」

 

安心して下さい、防犯機能とちびっこ大好き変身機能付きですよ!夜更かしする子供がガン泣きします!ってか?サイズ俺ならキャンピングカーじゃないと乗れないから持って行けない気がする。

 

そう言って肩を竦めれば、一刀君もそれまた確かに、と笑った。いやぁ最近はお互いの女性陣が常に側に居て、その対応に追われて居たからか、一刀君との会話がなんか盛り上がるな。気安く話せるって大事よな。

 

俺もそうだが彼も袁紹さんとか新しい女性を増やしてるからなぁ。まぁ向こうはまだ俺みたいに日割りで同時に何人と最低何回ずつ、みたいなローテーションもノルマもないみたいだが。実に羨ましい。なんでうちの女性陣は同じ恋姫なのにこんなに性欲強いのか。最初はただの自虐だったのに、今や名実共に性獣オークさんな俺。ネタがガチになるって結構クルものがあるよね。

 

 

「あなた、同郷の殿方との会話も良いですけれど、私達の事を忘れないで下さいな。」

 

「ぐぬ・・・!道玄!こっちを見てなきゃダメです!」

 

おっと。放置し過ぎて両隣の紫苑と愛紗に怒られてしまった。ふと見ると一刀君の方も両手を引かれて無言の抗議を受けてるみたいだ。2人揃って女性陣に謝り、顔を見合わせて互いに苦笑する。大なり小なり、ハーレムを持つ男の苦労は共通のようである。

 

さて、怒られてしまったのでそろそろ真面目な話をしようか。

 

えーと雪蓮、いややっぱ冥琳。明命がこの場に居るってことは報告があったんだろ?どうだった?

 

雪蓮が何で私を取り止めたのよ!と怒るが、明命の報告とかをちゃんと聞いて分析してるなら答えてくれ。うぐ、と即詰まったのでこのままスルーだ。

 

「やっと聞いてくれたか。遅いぞ。もう軍師組とは話し合ってあるくらいだ。」

 

休日の昼間は娘達が優先なのは父として当然なので聞く耳持たぬ。親バカ?ふ、むしろそれは褒め言葉と受け取る!

 

「やれやれ・・・まぁいい。以前話した通り、こちらに向こうの土地勘は全く無い為、やはり深く細作は入り込めなかったようだ。僅かながら白蓮が元自領付近なら多少は分かるとの事だったので少々協力して貰ったが、それでも分かった事は一つだけだ。」

 

まぁ彼等の土地で漢人は目立つからな。それは仕方ない。てか白蓮が途中から居なかったの俺に気を遣ったからじゃなかったのな。

 

「当たり前だ!何なら私はまだちょっと怒っている。愛紗と違って常にお前と一緒だった訳では無いし、七乃とかは時間の問題だったけどいつの間にか桔梗や斗詩や真値、華侖に小蓮まで増やしてるし!」

 

白蓮の叫びに皆が頷く。手がはやすぎると、口々に呟く。

 

待て。それは俺が悪いの?あの全自動種付け機みたいな扱いだった俺に拒否権用意してくれなかったのはお前達やないか。というかむしろ俺が止めたのにシャオとかブッ込んで来た姉妹とかに問題あると思います!

 

「では、彼女達と今からもうしないと、自分の女では無いと誓えますか?」

 

うぐぅ。

それはちょっと無理かなー。あっちで不安そうな顔してるあいつらに気付かなくても、一度自分の女にしたら捨てられないタイプだし。向こうが俺とは遊びだって言うならまだしも。

 

「そんな事言いません!」

 

「というか、遊びでこんな事しません!」

 

「うむ。まぁ流石にそこまで軽くないわなぁ。」

 

いや知ってるって。正直斗詩はきっかけ良くわかんないし、桔梗は半分悪ふざけな気がするけど。

それでも遊びかどうかくらい分かる。・・・匂いで。

 

なので諦めて説教を聞く事にしながら、で、何が分かったのかと冥琳に問う。ちゃんと聞け!と怒られるが、こっちも重大案件であるので勘弁。

 

「・・・()()()()()()、だそうだ。」

 

なるほど。行き先や移動は?分からない?へぇ、じゃあもうその辺は終わってるかもなぁ。予想以上に時間はなさそうだ。

 

肝心なのは何処に集まっているかだが、これはあんまり気にしないでも良かろ。いつもやって来たのは一方向からだけだったしな。

 

「例の夢?なら多少気が楽ね。・・・本当なら、その夢がただの夢なのが一番良かったのだけど。」

 

言うな雪蓮。それは俺も思うが、鏡と一刀くんにこの世界の在りようを全部投げるよりは自分達で何とか出来るだけマシだろ、たぶん。

 

「ご主人様と鏡、ですか?」

 

ああいや冗談だ劉備さん。忘れろ。さて置き、残念ながら俺の懸念が現実になったな。ん、何だ一刀君。今のうちに各個撃破?何処に集まってて何時からやってくるか分からないのに、地の利どころかどんな場所かもよく知らない地に攻め込んでどうすんだよ。よしんば戦えたとして、気付かないうちに横抜けられたらどうする?帰って来たら何も残ってないかもしれんぞー?

 

「向こうが纏まってくるのを迎え撃つのが一番、ですか。敵の事をほとんど知らないのが此処まで痛いとは・・・。」

 

それは仕方ないさ。とりあえず殺せば死ぬって分かるだけマシだよ。しかし分かってはいたが大変な時にきたか全く。

 

「あら、完全ではないとはいえ、これだけ備えてあるのよ?一年はないでしょうが、今すぐくることは流石にないでしょうし、そこまで悪くないでしょう?」

 

残念ながらそうでもないよ、華琳。とりあえず、うちから武将組3人と流琉、侍女組は抜ける。やれやれだぜ。

 

「ハァ!?ちょ、どういう事じゃ道玄!お主のところは誰1人欠かせないじゃろ!というか、誰が抜けるというんじゃ!」

 

愛紗は確定だな。あとほぼ星と凪も確定かなー。

 

「なぁっ!?聞いておりませぬぞ我が主人!このような大舞台で私に後ろに下がれと言うつもりか!?嫌ですぞ!」

 

「それが道玄様の命なら従いますが・・・何故ですか?皆が命を賭ける場で、私達だけ安全な所に、などというのはあんまりです。」

 

言います。下がってなさい。異論は認めん。

そう言ったら皆さん絶句。華琳が目で理由は!?と問うて来たが、一つしかないだろ馬鹿か。

 

もちろん「私達が煩わしくなったのですか?」そうそ・・・って違うわバカ!何て絶妙なタイミングで何てこと言うんだ!俺がそんな事思うはずないだろ!何言ってんの愛紗。

 

「嘘です!だって、だってここ最近ずっと、ずっと・・・!

 

 

ちゃんと抱いてくれてないじゃないですか!!

 

ごふっ

 

その言葉に吹き出してしまった。ちょ、愛紗サン?いきなり何を!?

 

「だってそうじゃないですか!閨以外では私達3人だけ回数が減ってるし、今までと違ってちゃんと挿れてくれないし、ここ二週間なんて私達の番に春蘭や華琳殿たちが居るし、私達3人はみんなが抱かれた後出すときだけ挿れられるばかり!それでも気持ち良くはしてくれるし、最近はこういうのが好きなのかなって、自分に必死に言い聞かせて来たのにぃ・・・!」

 

ちょっ、まだ一刀君たちいるからね!夜の事情バラすの止めようね!

慌てて愛紗を抱きしめ、頭を撫でてあやす。最後ちょっと嫉妬暴走入ってたなあっぶねぇ。

と、思ったらくい、と服を引かれたので振り返る。するとそこには、泣きそうな顔の星と凪が!

 

「そうなのですか主人?最近のアレは『お前は俺の○液○所だオラァ!黙って○液○○捨てられてろ!』というぷれぃではなく、単純に我らに飽きただけだったと?だから最近は全然奥まで挿れてくれなかったのですか!?」

 

「そんな!?い、嫌です道玄様!頑張ります、頑張りますから!華琳様達に負けないよう頑張りますから!!お願いしますっ、捨てないでください・・・ッ!」

 

捨てませんよ!?飽きたとか有り得ないし、そもそもお前達に優劣付けたりしないしっていうか星!お前の中の俺はどんな鬼畜なんだ!え、閨ではあんな感じ?何を馬鹿な・・・あれ?なんで誰も否定しないの?え、やる気を出した俺はやたら強気になる?・・・と、とにかく誤解ですよ!

 

「皆、良く見なさい。あれが愛される努力を怠った女達の姿よ。愛されている事に胡座をかいて怠け、恋愛も戦場と変わらぬ戦いだと忘れたら、あの姿は明日の我が身よ。」

 

「何と恐ろしい・・・!私達も負けられないわね、思春?」

 

「そうですね、蓮華様。まぁ、空きができたのも確かですが。」

 

「哀れやな、3人とも。凪には悪いけど、ウチらは頑張ろな、沙和。」

 

誤解だって言ってんだろコラ!あああ!ほら三人が慌て出した!

違うって!本当に誤解だって!!

 

「ああ言ってるけど、実際どうだと思う?愛紗達と最近ずっと一緒だったろ、秋蘭。」

 

「どうかな・・・。確かに以前と違って全然突いてないし、動いてなかったかな。本当に出すだけ、という感じだった。きちんと満足させてたが。」

 

「全然奥まで刺さってなかったな!腹が膨らんでなかったから間違いない!」

 

「?・・・!?!?ちょっ、待て春蘭!腹が膨らむって何だ!?」

 

「翠ちゃん落ち着いて。あの、白蓮ちゃん?話には聞いてたけど、ほ、本当にそんなに大きいの?」

 

「ん?ああ。・・・初めての時は正直自分の身体大丈夫かなって思ったなー。鈴々や流琉達なんて半分も入らないのに、妊娠してるみたいになるくらいだしな。」

 

「艶本にあるような比喩ではなく、まさしく串刺し!って感じよね。我が事ながら初夜ではまず自分の身体に神秘を覚えたのは忘れられないわね。私達くらいの身長だと、全部入れたら身動き取れないし。」

 

「うふふ、あの時の桂花は可愛かったわね。途中から道玄に「お願いだから動いて!」って泣きながらおねだりして。・・・まぁ、流石に私も自分の両腕より太いとは思わなかったけど。まさか更に上があるなんて・・・。」

 

「え、何それ!?一体どんな大きさで・・・本当の馬並み?うわぁ。良く入ったね皆。蒲公英絶対無理だよー。」

 

「慣れると凄いわよー?普段はみんなで跨ってるけど、たまに道玄の方から組み敷かれたらもう・・・!」

 

「朝までイキっぱなしで、形変えられて他の人じゃ無理になるのー。少なくとも私は無理だったのー!」

 

「確かにのう。儂もかつてはこの大人の技で虜に、と思ったもんじゃが。・・・実に、実に儚い夢じゃったのう。」

 

「2人揃って朝まで獣みたいに鳴かされてましたね。最後には絶頂して気絶して絶頂して起きての繰り返し・・・あれから怖くて媚薬なんて使えないわ。」

 

「そ、そんなに凄いんですの?じゃあ斗詩さん達は・・・?」

 

「(顔を背けて)・・・えっと、もうお嬢様達とでは・・・。」

 

「そんな!?と、斗詩ぃぃぃ!」

 

おいよせ、止めろ下さい。

 

何平然とプライベートバラしてるの!?見ろ、一刀君たちが全力で引いてるだろ!

そして袁紹さん達はNTRイベントあっちでやってて!俺も当事者?俺から手を出してないってかむしろ止めたよ!選んだの斗詩だから。

 

ああてかそれどころじゃなかったー!!ほら3人とも落ち着いて!本当に誤解ですよ!?

 

「せやかて団長、最近おざなりに抱いてたん事実やろ?愛紗結構落ち込んでたで?」

 

おざなりじゃないわい。確かに今までより落ち着いたやり方だったのは否定せんが、ちゃんと満足させつつ頑張ったわ。

 

「ふぇ・・・?本当に私の体に飽きたわけではないんですか?やっぱり華琳達に夢中になって私達はもう用無しなんて、い、言わないですよね?う、嘘だと言って下さい道玄!やだ!やらぁ!道玄の1番、私じゃなきゃや「何も言ってない。落ち着け愛紗。」うぅ・・・。」

 

とりあえず愛紗を宥めつつ3人まとめて抱きしめる。いやほんと、俺を鬼畜扱いし過ぎだろ。つーか、俺にそんな風に女捨てる度胸あったらここまで愛人増えてないわ!

 

「・・・だんちょ、結局、理由は・・・?」

 

いや恋よ、そんなの決まってるだろ。てかまず本人に気付いて欲しかったなー。1番望んでた筈なのに。確かにそう最近慌ただしかったけれど。

 

なぁ愛紗よ。来なくなってそろそろニヶ月経つけど、まだ気付かないか?

 

「ふぇ?来ないってなに・・・が?

 

あ・・・えっ!?まさか、本当に!?」

 

ようやく悟ったらしい。一気に精神が安定したな。別の意味でぱにくってるみたいだけど。

 

一頻りあわあわおろおろした後、自分の腹に手を当てて、もう一度本当に?、と呟く愛紗。そんな彼女を見て、腕の中の2人も、他の女性陣も気付いた様だ。

 

「まさか・・・!主人ッ、それでは我らも!?」

 

「道玄様!まさか、まさか・・・本当、ですか?」

 

多分な。2人は愛紗より若干遅いけど、それでもだいぶ来てないし、生理不順じゃなければ確定かな。一応もう少し様子見。

 

まぁ、うん。俺頑張った。そしておめでとう愛紗。

 

「〜〜〜〜ッッッ!!道玄ッツ!!!」

 

うぉっ、コラ2人も居るんだから暴れるな。「あるじぃっ!!」「道玄様ぁぁっっ!!」ぶるーたすお前もか。

 

・・・まぁ喜んでくれて俺も嬉しいけど。まぁそんな訳なんで3人と世話役の侍女組、護衛の流琉は後方待機でお願いします・・・って、あれ?

 

なんだお前ら、ザ・ワールドされたみたいな顔して。てか、聞いてた?

 

「「「「「………。」」」」

 

あれれ、おーい。

 

誰も反応しないな、と思ってると、くい、と服を引かれたので振り向くと、困り顔の紫苑。どした?

 

「あなた?その、それはつまり3人は・・・御懐妊ということですか?」

 

?だからそう言ってるだろ。

つーかなに驚いてんの?早く全員孕ませろって言ったのお前と桔梗やん。流石に全員はヤバい気がしたから、出会った順的に1番早い愛紗のいるローテーション内でこれまた出会った順で星と凪。そんな感じ?

 

 

 

「ハァァァァッッッ!?」

 

うぉっ、久しぶりだなこの感じ。なんだなんだ?

 

「どーゆーことやねんにぃさん!何で凪が選ばれてウチがはずれやねん!あとおめでとう三人共!」

 

「横暴なの!納得いかないの!断固抗議なの〜〜〜〜ッッ!三人共おめでとうなの!」

 

「ずるいでしゅ!卑怯でしゅ!順番なら星さんより私達の方が先でしゅ!三人共おめでとうございましゅ!」

 

「あわわ、やり直しを要求しましゅ!おめでとうございましゅ!」

 

「愛紗さん達、おめでとうございます!兄さま、私も赤ちゃん欲しいです・・・!駄目とは言わせませんよ?」

 

「星ちゃん達おめでたいですねー。ところでおにいさん?風達軍師組の扱いについて抗議したいことがありますよー。」

 

「三人共、おめでとうございます!道玄、これは流石に贔屓が過ぎますよ?・・・後でお説教ですね。」

 

「だんちょ、次は、恋。あと、三人共、おめでとう。」

 

etc

 

駄目だウチの女性陣だけでも聞きとれない。呉や魏の皆はもう怒ってることしか分からん。なのでおそらく純粋におめでとうと喜んでくれてるらしい蜀のみんなはもはや口パクに見える。

 

待て待て、一斉に話すな。せめて祝福と文句は分けてくれ。俺は聖徳太子じゃないから分からん。

 

あ?説明しろ?えーと、とりあえず幼女組は候補外でした。これは華佗と話し合った結果、物理的に母胎が小さ過ぎると判断されたからで医学的に根拠あるので諦めろ。忘れがちだけどお前ら今俺とヤッテるだけで無理してるからね。文句があるなら回数減らします。安全第一。

 

軍師組は次に決まってるので勘弁。ゆーてもウチの軍師組は幼女組が多いので、稟だけだが。あ、一応七乃も軍師なんだっけ?まぁ活躍見た事ないからウチの加入順的に最後かな。ついでに時間ない事が発覚したので五胡との戦終わってからかなー。

 

基本的にはウチの団内から武将組と軍師組で交互に。その後各国に行きます。前述の通り、幼女組は問答無用で体が成熟するまで後回し。牛乳飲んで待ちなさい。以上!

 

「嫌よ。貴方は私の夫なのだから、私が一番であるべきよ。できちゃったものは仕方ないけど、次は私よ。戦を待ってなんていられないわ。」

 

「星、共に愛紗を出し抜くと誓った私を裏切るのか!?」

 

「姉様、今までお世話になりました。私と思春は今日これより出奔させていただきます。」

 

「許すわけないでしょ。第一、今から道玄の傭兵団入ったって最後よ?大して変わらないじゃない。」

 

「そうだな雪蓮。では後を頼むぞ。偶には様子を見にくる。」

 

「冥琳!?」

 

駄目だ、皆収まりそうにもないなこれ。

えっと、皆。時間は掛かっても約束は守るのでマジ勘弁。流石にこれ以上は無理だ。

 

そう言って話を切る。いや全然皆騒いでるけどスルーしよう。俺には収められぬ。

 

ん?どした愛紗。ようやくですね?ああ、確かにようやくだな。まあ時期的には微妙だけどありがとうな、三人共。俺も嬉しいよ。

 

正直に言えば子を作らない方が良いかなって思ってたんだ俺。ん?いやさっきも言ったけど、お前らを嫌いとかあり得ないからね。そうじゃなくてさ、単純に不安だったんだ。

 

・・・いや、何でそんな不思議そうな顔をするかな。俺を何だと思っているんだ。俺だって元は人間だから人並みに父親になる事に不安ぐらいあるよ?

 

オマケに今は人外だから、お前達と子が成せるかって言う不安は拭えないし、出来ても俺の血を引いてるなら幼くとも人外だ。ちゃんと人の世に混じれるか、そもそもお前達の体に害は無いか、最悪腹を割いて出てきたらどうしようとか、本当に色々悩んでだな・・・いや待て、何で爆笑する。笑うところじゃ無いだろ今は。

 

「ふふふ、何を言いだすかと思えば・・・道玄、そんな事で悩んでたんですか?杞憂も良いところです。」

 

「愛紗の言う通りですぞ主人。お人好しの主人の血を引く我が子が、むやみに人を、ましてや母を害する筈も無し。そもそも主人の子なら母親とはいえ女を傷つけるわけがありますまい。」

 

「同感です。万が一道玄様から受け継いだ力で悪を成すなら、そうならない様に私達が育ててみせます。ご安心下さい。」

 

・・・ぬぅ、こうきっぱり杞憂と言われるとちょっと悲しいが、心強いな。まだ生まれてないが、母は強し、と言うやつか。

 

うん、安心した。これなら向こう一年くらいローテーション外れても大丈夫だな!良かった良かった、性欲強めの三人だから少し心配だったんだ!

 

・・・あれ、なんだお前らそのえって顔は。当たり前だろ妊娠中だぞ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、普通に考えて無理だろ。あ?安定期?何で知ってるかはおいといて、それは普通の大きさだったらの話ですね!

 

「待って下さい。今までみたいにとは?」

 

あ、やべ。これ一応内緒だった。

 

 

むぅ、まぁ大した事じゃないしいいか。じゃあ教えるけど、落ち着いて聞いてくれ。

 

今まで皆には色々俺考案の避妊対策して貰ってたじゃん?うろ覚えの保健の知識を基に安全日とか危険日とか。

 

あれな、結論から言って全然効果無かったらしい。基がうろ覚えなだけあったね!いやまいった本当。華佗から話聞いた時は心底焦ったね!

 

うん。つまり君ら受精だけなら何度もしてたらしいです。毎日の様に子宮使った激しいセッ○○してたから着床しなかっただけで。いや、子作りの詳しい原理とか言われても分からんだろうけど。着床しなかったら妊娠しないんですよね!

 

要するに○宮○はやっぱり無理があったんです。ましてや俺のサイズだし。気持ちいいのは認めるけど。まぁ同時に俺(人外)から栄養(白濁液)持っていってたから少し無理してる、程度で済んでたらしいのが不幸中の幸いと言ったところか。

 

「あの、道玄?それはつまり・・・?」

 

俺と子を成すなら最近の愛紗達みたいな優しいセッ○ス必須。つまり仕込み初めてから産まれるまで凄く快感は減るよ!

 

そう言ったら皆凄い葛藤し始めた。後ろで騒いでた女性陣もだ。何でも癖になってるので一時的とはいえ無くなるのに強い抵抗があるらしい。はは、前世と比べて俺凄すぎウケる。リアルに何度も死に掛けてるので凄い複雑な気分だが。

 

ん?なに愛紗。その間は見てるしかないのか?いや?嫌見てるだけが嫌ならそもそも別の部屋に入ればいいと思うよ?参加?ははは、御冗談を。

 

お腹の子を大事に出来ないなら離婚です。

 

 

あ、愛紗達が灰になった。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

さて。

 

あれから色々すったもんだあったが、お祝いと称したやけ食いヤケ酒などを含めた大宴会が起き、その後は無事に3人は華佗やその他医者や産婆のおばちゃんたちのもと厳正な妊婦生活が始まった。

 

養生場所は洛陽だ。拠点があるから当たり前なんだが、華琳達のテコ入れにて商家みたいだった拠点は現在小さい要塞みたいになっていて、隠れ家感が消し飛んでて悲しい。まぁ前のままだったら今の人数入らなかったから助かっているんだが。

 

実を言えば、腹も出てない3人はまだ悪阻も始まってない為妊婦に見えない。エコーどころか検査薬さえないこの時代では、初めのうち3人はまだ妊婦と診断されなかった。その為医者からは完全に気の早い夫婦扱いだった。なんなら医者の態度で3人も実はまだ出来てないのでは?と疑問顔であった。

 

それを華佗が腹に微小の気を感じる、と真っ先に信じてくれたおかげで、医者達もそのつもりで頑張ってくれたし、他ならぬ俺の子だからと愛紗達も粛々と養生し始めた。本当に華佗には頭が上がらない。

 

唐突に槍や酒などを取り上げられた星がちょっと不満気だが、他の2人を見習って我慢してもらっている。

 

 

で、現在は夜。ちょっと思うことがあった俺は、出来ないならせめて一緒に寝よう、と言われて3人と一緒の寝台から抜け出して、屋根の上で月見酒である。今日は丁度満月で、杯の中の酒に映る姿がとても雅だった。

 

しかしまぁ、自分で決めてそうなる様に行動したとはいえ、俺が父親ねぇ・・・。

 

 

ハハハ、堪らんな。なんともおっかない事よ。

 

 

前世でも子供どころか嫁さえ居なかったからなぁ。今生でも養子である娘達はある程度大きくなっていた状態で迎え入れてるから、地味に赤子からは初めてだ。無論養子だろうと娘達を全力で愛しているが、それとは別に何故か感慨深いものがあった。

 

色々不安もやはりあるし、天下分け目の戦いも目の前だ。この先の事を、旦那としても父としても、不本意ではあるが団長としても見据えておかねばならない。

 

何より、やや子を宿した愛紗達はこれからの大戦に自衛手段がない。流琉を護衛に付けるが、大軍相手になれば流石にキツイだろう。いつもの彼女達なら勝つのは無理でも逃げるくらい余裕だったろうが、五胡共が来る頃には身重だ。武器どころか馬にさえ乗れないだろう。よしんば五胡がくるのが遅くとも、幼い子を守りながらではまともに戦えない。

 

これで完全に退路は消えた。元より逃げる気など無かったが、いざという時に最悪俺の女だけは逃す、という保険が消えた事は大きい。万が一知らないところで急襲されたらどうにもならないから、多少危険でも目の届く戦場付近に連れて行くしかない。来たる大戦は、様々な意味で、絶対に負けられない戦いだった。

 

流石にちょっと重圧を感じる。ガチで負けられない戦いで、俺の大切な人を死なせてはならない、というのが絶対条件だ。この日の為にだいぶ色々鍛えてきたが、完全変身状態では威力の問題で練習は無理だ、ぶっつけ本番になる。どうしたって不安が残る。

 

うーむ、とりあえず全身の筋力を全力全開にした状態で()()()()()ようにはなったが、念のためもう少し全集中の呼吸を使いこなせるようにしておこう。雷の呼吸なんか相性良さげなんだが、やり方わかんないんだよなぁ。

 

「あら、眠れませんか?」

 

そんな感じで一人悶々としてたら、後ろからさも偶然の様な装いで声をかけられた。だがここは屋根の上である。確信犯過ぎるので振り返らず尋ねる。

 

「璃々は良いのか?」

 

「うふふ、先ほど漸く寝ましたわ。おねーちゃんになったらこうしたい、あーしたいとはしゃいでばかりで、最近は夜ふかし気味で大変です。」

 

そうか、と返す。変わらず振り向かないが、黙っていても隣に座り込んだ。されど、身体には触れない。

 

「気の多い旦那様を持つと大変ですわ。浮気ばかりで中々家族の元に帰ってこないんですもの。挙句の果てには正妻を差し置いて他の女性と子を成すなんて・・・家族との時間を蔑ろにしすぎではないですか、あなた?」

 

抜かせ。ちゃんと璃々や娘達との時間は取っている。

 

あら?私は一度もそんな覚えがないわ、と笑う紫苑。ハッ、と鼻で笑ってやる。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「・・・うふふ、やっぱり分かっていましたか。」

 

当たり前だ阿呆。本人にその気がなくとも、妻の事を見ていない夫がいるものか。

そう言ったら意外そうな顔で驚く紫苑。ちょっと腹が立つ。

 

・・・だが正直分からんな。璃々の為にしてはやり過ぎじゃないか?深くは読めんが、お前自身の気持ちはまだ前の旦那に有るのだろう?いくら娘の為とはいえ、簡単に割り切れるものでは有るまいに。

 

「ふふふ、たくさんの女性達を誑し込んできた貴方でも、流石に母親というモノにはまだまだ理解が浅い様ですね。」

 

ハハ、こやつめ。人聞きの悪いことを抜かしおる。文句の一つでも、と思い顔を向けると、珍しく彼女は笑って居なかった。いつもの慈愛に満ちた微笑みは鳴りを潜め、何処か寂しさを湛えた瞳で、優しく光る満月を見上げていた。

 

・・・はぁ、こういう時間を何時も察知してくる3人は今頃夢の中だ。他の女性陣は仕事でしばらく城に泊まり込みだから、璃々も寝た今、どうせここには2人だけだ。

 

そう言って酒を注いだ杯を紫苑に差し出す。彼女がこちらを見ずに杯を取った。それで良い、と頷いて新しい杯を取り出す。何時もならアル中共か愛紗達の誰かが必ず隣に居るから、予備の杯どころか皿も箸も予備があるのだ。

 

新しい杯に酒を注いで、互いに目を合わせる事もなく月を見上げて杯を傾けた。

 

・・・何時も頑張っているのだ。今ぐらいは母親でなくとも構わないだろう。

 

そう、心の中で独りごちた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

「正直にいえば、貴方に惹かれていない、といえば嘘になります。」

 

あれからほぼ無言のまま静かに杯を酌み交わし、いつの間にか満月を雲が遮り出しだ頃、静かに紫苑が口を開いた。

 

「ですがまだ、私の中にはあの人が居るのです。いいえ、居なくてはならないと思う私が居るのです。・・・それは、あの人をただ忘れたくないだけなのかも知れません。どちらにせよ、そんな状態では貴方や貴方を愛している彼女達に失礼なだけです。だから、初めはこんな関係になるつもりもありませんでした。」

 

まるで罪を告白するように、沈痛な面持ちで彼女は続けた。いや、たぶん本当に彼女にとっては罪の懺悔だったのだ。

俺は何も言わず、杯を傾けて酒を飲む事で続きを促した。

 

「璃々は父親を知りません。あの子が生まれるより早く、あの人は戦場で逝ってしまったから。それでも私は璃々に父親の居ない負い目を感じさせたくなかった。あの人と私の愛の結晶であるあの子に、そして逝ってしまったあの人に、私達夫婦の愛の証を立てたかったのです。」

 

月を見上げる彼女の横顔に変化はない。されど、何故だか泣いているように見えた。

 

「あの子には私の持てる全てを注ぎました。辛い事も有りましたが、健やかに育つあの子を見て、自分の努力が報われているのだと思えば苦にもならなかった。逝ってしまったあの人に、誇らしい気持ちでさえあった。・・・だけど。」

 

それは所詮、母親(わたし)の驕りでしかなかった、と彼女はとうとう涙を零した。強い後悔を感じる、身を切るような切実な想い。小さな声だが、まるで叫んでいるようだった。

 

「・・・璃々は、貴方に会うまで一度も「父親が居ない」事を私に何故と聞いてきた事がありませんでした。私はずっとそれを私達夫婦の愛が伝わっているから、そう思っていました。逝ってしまったあの人の分まで、私はあの子を愛する事が出来ているのだと、信じていました。」

 

まるで違うと言いたげだが、実際出来てたと俺は思う。かつて紫苑にお前は立派な母親だ、といった事もあったが、その思いは今も変わらない。

 

「嬉しいですわ。でも駄目なのです。私はあの子に全てを注いで生きて来たつもりでしたが、その実あの子を何も見ていなかった。

 

・・・私達と貴方が出会った時、私達を脅していたあの男を覚えていますか?あの男がどうやって璃々を捕らえたか、知っていますか?

 

・・・父親に、会える。

 

これだけです。たったそれだけの言葉で璃々はあの男に自ら着いて行ったのです!」

 

 

・・・ふぅむ。あの無能クソオヤジがどうやって紫苑から璃々を引き離したかと思っては居たが、なるほどそうやったのか。まぁそうでなければこのスーパー子煩悩ママンを生かしたまま璃々だけ捕らえるとか出来る訳ないか。多少の脅しで怯むほど弱くないし、絶望的な戦力差でも璃々を奪われるくらいなら生命尽きるまで抵抗するだろうし、あの程度の小物の悪意を感じ取れない女じゃないしな。

 

「貴方に璃々が救われた後、漸く私は気付きました。あの子は父親が居ないことを疑問に思わなかった訳でも、父親が居ないことに寂しさを覚えなかった訳でも無い。いえ、本当はずっと、ずっと・・・!

 

それでもあの子が何も言わなかったのは!言えなかったのは・・・!」

 

 

お母さん(わたし)が悲しそうな顔をするから・・・!

 

「・・・私は結局、あの人を失った寂しさをあの子で誤魔化していただけ。あの子が寂しくないように気遣う事を愛情と思い込み、あまつさえあの子が、()()()()()()()()()()気遣って父親の事を話題にしなかった事に、あの子を人質にされるまで考えたこともなかった!」

 

私はそんな、愚かな母親なのです。そう呟いて、頰を濡らす彼女は顔を下げた。小さな嗚咽が、静かな夜を裂くように耳朶を打った。

 

・・・何か声を掛けようとして、やめた。肩を抱いて引き寄せることもしない。今はまだ彼女がそれを求めてないと思ったからだ。何も言わず、ただ月を見上げて酒を呷った。

 

 

そのまましばらく待ち、やがて彼女が思い出したように口を開いた。

 

「・・・初めてだったんです。璃々が、あの子が父親の事を私に訊いたのも、貴方の様な父親が欲しいと、我儘を言ったのも。」

 

だから、それを叶えたいと思ったのか?自分の想いを封じ込めてまで?贖罪のつもりかよ。

 

「どうでしょうね・・・。いえ、きっとそれもあります。あの子の願いを叶えて、母親面したかったのでしょう。そうする事で、不甲斐ない母を、許して欲しかった。」

 

ふーん。まぁ、気持ちは分からんでもないな。正直あの子がそんな事気にするはずもないから、ただの自己満足だとは思うが、好きにしなよ。・・・あん?どした変な顔をして。

 

「・・・怒らないのですか?璃々の為とはいえ、貴方達の関係を乱して愛もないのに勝手に正妻になったのですよ。言ってみれば、私の都合で貴方達を利用したのです。それでいて尚、未だに過去の夫を忘れられず、煮え切らないまま私は此処にいる。」

 

だから?お前の自己満足もあるだろうが、娘の為なら仕方ないだろ。元より子のためなら己が身さえ捧げられるのが母親という生き物だと俺は思ってるし、俺にとっても既に璃々は娘だ。何も問題はない。

 

死に別れた旦那を忘れられないのも別に悪い事じゃなかろ。お前はそれを罪悪感からと思っているのかもしれないが、どうであっても璃々の本当の父親は亡くなった旦那なんだ。あの子を想い育てるならば、おいそれと切り捨てられる方がどうかしている。

 

だから、気にせず利用でもなんでもすればいい。それが俺の家族を傷付けるものでない限り、俺はお前を責めることはないし、それがお前と璃々の為になるなら協力を惜しまん。

 

それに、迷いながらでも、苦しみながらでも、自分勝手に旦那を過去と割り切りたくないというお前は嫌いじゃない。

 

そう言うと、何故か驚いた顔をする紫苑だったが、すぐに力無く笑って、ありがとうございます、と言った。

 

「・・・貴方はやはり、責めてはくれないのですね。」

 

まるで気にしてないからな。お前が俺や愛紗達に罪悪感を感じているのは知っているが、俺もあいつらもお前の気持ちは何となく察してたし、あえてそのお前が正妻になる事で却って他が優劣着ける事なくいられる様にしたのも、皆分かってるさ。これでも俺は感謝しまくりなんだぜ?まぁそれと同じくらい愛紗達を煽ってる事を恨んでるがな!毎度毎度俺にしわ寄せ来るんだよ!

 

「・・・それも分かっているんですね。あと、煽っているのではなく、背中を押してあげているだけですわ。」

 

はは、コヤツめ。

 

まぁ、だからホント気にするな。璃々にはまた早くと墜とせと怒られるが、俺としてはやはりお前のしたい様にすればいいと思うし、前の旦那に操を立てるのも本当に立派だと思うので是非頑張って欲しい。

 

というか今増えられても困る。華琳を筆頭にあいつら一度は納得したはずなのに、愛紗達が羨ましい狡い!とか言って閨でガチの子作り要求してくるし、夜の順番から外された愛紗達の嫉妬は酷くなるし、大変なのだ。

 

「ふふふ、相変わらず愛されてーーーーーあれ?今何かおかしな事言いませんでしたか?」

 

へぁ?何が?あ、もしかして華琳達があの程度で納得すると思った?ははは、俺としても納得して欲しかったんだがなー。やっぱ駄目だったわー。愛紗達3人もローテーションから外されて欲求不満が「それは知ってます!今璃々に怒られるってーーっ!?」あ?ああ!それな。

 

うむ、一応璃々との秘密の約束だが、まぁお前の意思を考えると教えておこう。えーと、璃々はたぶん母親であるお前が思う以上にマセてるというか賢い子でな?つまり・・・

 

 

 

 

端的にぶっちゃけると、今お前が話したこと全て察してて、その上で新しい旦那を当てがおうという事らしいぞ!

 

 

 

「・・・まさか。いや、幾ら何でもそれは流石に・・・。」

 

 

あ、嘘だと思ってるな?まぁ俺も驚いたけど、璃々曰く「『おとうさん』のいるおうちを見るたびにおかあさんがかなしそうな顔になるの!璃々のほんとうのおとうさんはもういないけど、新しいおとうさんはいるから、おとうさんがおかあさんをおとうさんのことだいすきにすればいいんだよ!」だってさ。どうもうちの女性陣というか主に星の入れ知恵が大分影響しているが、本当にそう考えてるみたいだぞ?

 

 

「・・・本当に?本当に璃々がそう言ったんですか?」

 

 

うむ。どうも璃々も紫苑が自分に遠慮してると感じているみたいだったな。もっとも、詳しいことは流石に理解していないみたいだが。あ、安心しなよ!だからと言ってお前の意思を無視する気はないぞ。何度も言ったが、お前はお前のしたい事をすべきだ。母親として娘の為に出来る限りするのは構わんが、紫苑は紫苑で自分の人生がある訳だし。

 

と、ついついそんな感じにドヤ顔で紫苑を諭す俺。珍しく含みのない本心で語った為か、単に酒が入っていた為か、とにかく饒舌に話していたのは間違いない。

 

 

だからだろうか。

 

 

俺はこの時、うっかり紫苑の顔を見ていなかった。彼女の変化を、見逃したのだ。

 

それでいて、俺の耳は小さな呟きさえ逃さず、紫苑の声に反応した。

 

「本当に、良いのでしょうか・・・?」

 

いいんだよ!お前と璃々は家族だろ。お前は母親だから、出来る限り娘を優先してやるのはいいと思うが、だからと言って遠慮するのは違うだろう!家族の仲に、遠慮など不用!思いやりがあればいいんだよ!

 

グリーンダヨ!と心の中で続けて、あまりの寒さにようやく正気に戻った。酔いが醒めたと言い換えた方が良いかもしれない。アルコールではなく自分に、だったが。

 

冷静になった途端にガチでシングルマザーを頑張ってた紫苑相手に子育て未経験どころか前世含めても未婚なのに、ドヤ顔で語ったのが急に恥ずかしくなった。慌てて残ってた酒を一気飲みして誤魔化す。

 

そろそろ終わろうか。そう言って空の器を片付けて、そそくさと立ち上がり、愛紗達3人のいる閨に戻ろうとした。いや、すっかり忘れてたが、よく考えたらセック○が出来ない3人の為にわざわざ日々のローテーションを休んでまで3人寝てるのだ。俺が側にいない事に気付かれたら後がメチャクチャ怖い。何が怖いってあの3人なら既に気付いてそうなのが本当に怖い。

 

色々な意味で早く帰らねば!そう思った時、ふと紫苑が唐突に言った。

 

「ねぇあなた?本当に私は私がしたい様にして良いのかしら?」

 

ふぇっ!?いきなり何?い、良いと思うよもちろん!焦りと気不味さもあってか、少しどもってしまった。とにかくおやすみ、と言おうとして、

 

ぐい、と顔を無理矢理振り向かされた。

 

「んぅっ」

 

なんだ、と思った瞬間には唇が重なっていた。首に絡みつくように紫苑の腕が回された。身長差で自然と足が屋根から離れた彼女の身体を勝手に腕が抱き支えた。何時も鈴々たちの飛び付きを受け止める条件反射だった。

 

別に今更キスぐらいで狼狽えることは無いが、脈絡の無さに抗議しようと目で訴えてみたが、紫苑はまるでそれがキスの正しい作法と言わんばかりに瞳を閉じていた。

 

女の心理は本当によく分からない。心の中でそう嘆息すると、とりあえず俺の口内に侵入してきた彼女の若干酒くさい舌に合わせる。

 

20秒くらいだろうか。

 

体感でそれぐらいの、キスにして短いような長いような微妙な時間が経った後、ゆっくりと唇を離した彼女をそのまま優しく下ろす。

 

先程までの泣き顔が嘘のように、いつもの微笑みが浮かび、されど明確な熱を頰に乗せたまま彼女は楽しそうに言った。

 

「いつもは、気を抜くとあの人を簡単に忘れてしまいそうになるから、抑えているのですけど・・・。今は、貴方への想いを我慢しなくてもいいんですよね?」

 

え、いや今日はもうお開きにッーー!?

 

唐突な事態にツッコミ入れるより早く嫌な予感が過ぎる。慌ててこの場を離れようと思ったが、彼女の手は俺の服をしっかりと握りしめている。いかん、今着てる服は反董卓連合の時無くした地上最強シリーズの代わりに紗和が生地から作ってくれた一品だ。破れたら困るから無理矢理は離せない!

 

「ねぇあなた?仮にも正妻の誘いを断ったりしませんよね?ましてや、お妾さんを理由になんかあり得ないですわよね?」

 

え、いや待て何故急にってか愛紗達を妾扱いは俺が死ぬ!?待て待て!お前との子作りそれ自体に異存はないが、お前の部屋には璃々が、俺の部屋には3人が寝てるし他は華佗達医者が使ってるから空きはない、今度時間を作るからそれまでちょっと待ってくれ!

 

「あら、初夜が夜空の下というのも中々風情がありますし、忘れらない思い出になって丁度良いじゃありませんか。」

 

 

まさかの野外!?い、いやもう夜も遅いか「もう、野暮ですわあなた!」ちょ、押し倒そうとするな!いやホント、ホント待って今日は不味い!何が不味いって愛紗達と一緒に寝る予定だったのに抜け出してここで紫苑と飲んでたのがもう不味い!だからむぐっ

 

言い訳は聞きません、とばかりに情熱的に口付けする紫苑。見ると既に自ら服をはだけていて、俺の服に手をかけていた。ちょ、ちょ待てよ!話、話を聞いてください紫苑さん!!夫の話を良く聞くのも良い妻の条件だってばっちゃが言ってた!

 

「あぁ、これが皆の言ってた・・・!凄い、あの人の3倍は優に・・・!ごめんなさい璃々、お母さんもうあなたの兄妹作ってしまうかも。」

 

 

話を聞いてー!お願いだから紫苑さーーん!あれって言うか下から三人の気配がするって言うかなんか声が聞こえて・・・ア〝ッッーー!!

 

つづく!




なお、うまくいけば次話で本編完結予定。ただちょっと今リアルが立て込んでるので、年内の更新は無理かもしれません。

その後はゆったりと裏話でも更新しようと思います。

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