「梨子ちゃん!頑張ってね!」
「うん!みんなも!」
梨子は結局コンクールに出ることになった。俺達は梨子を見送る。
「八幡くん!みんなのことよろしくね!」
「…なんで俺に言うんだよ」
「それじゃあみんな!」
「さぁ!練習しよう!」
さっそく学校に戻り、練習を再開しようとするが…
「…そういえば、梨子ちゃんの場所どうしよう…」
立ち位置は梨子も入れた状態のものだったので梨子が抜けたことによりその場所があいてしまった。
「…なるべく千歌と息が合う人がいいんだけど…」
…そうなると
「「「…」」」
「…わ、私?」
いや、お前しかいないでしょ。曜以外にいないと思う。
「1、2、3、わっ!」
「ご、ごめん!千歌ちゃん!」
曜を梨子の位置に移動させ、練習を再開するが
「ううん!私もずれてたから!もう一回やろう!」
それから練習を開始したが、結局タイミングも合わず。
下校時刻になり、俺達は学校を後にした。
俺はaqoursのやつらと別れ、展望台に来ている。
「ふぅ…」
俺は前々から気になっていたことが一つある。それは渡辺曜。
海に行ったらへんから様子がおかしい。あいつは運動神経も抜群だしあいつらの仲良し度は近くで見ている俺もよく分かる。
なのに何度練習してもタイミングが合わなかった。やはり何か原因がある。そしてもしあるとすれば曜しかないだろう。
「あれ?八幡?」
「ん?…鞠莉か。…曜も」
「で、なんでお前らこんなとこに?」
「ちょっと曜の悩みを解決してあげようかなって♪あ!八幡もついでだし相談に乗ってあげようよ!」
「…まぁ曜がいいなら」
というか鞠莉もこいつの異変に気づいてたんだな。
「…だから千歌ちゃん私のこと本当はあまり好きじゃないのかなって…」
それから曜の悩みを聞いた。それは嫉妬だった。梨子が転校してきて、なにかと千歌と梨子はいつも一緒にいるようになった。つまり梨子に嫉妬したんだろう。
「…まぁ男子の俺からしたら百合百合な展開は大歓迎だけど」
「そ、そういう好きじゃないよ!?友達として大好きってこと!」
「冗談だ。…結局お前はどうしたいんだ?千歌の気持ちを確かめたいのか?」
「…そうなる、のかな」
「なら聞いてみればいいじゃねぇか。まぁ勇気はいるけどな」
「で、でもなんて聞けばいいの?」
「…私のこと好き?とか?」
「なんか違う意味に聞こえてくるわ…」
「…まぁでも待つのも大事かもな」
「え?」
「恋愛もそうだろ?押してばっかじゃダメだし。待つ恋愛もある」
「恋愛経験ない八幡がなんか語ってる〜」
「おいなんで俺が恋愛経験ないって知ってるんだよ」
「でもほんとでしょ?」
「…とにかくだ。お前のその悩みは後から馬鹿らしく思えると思うぞ」
「そうかな…」
そして、ライブ当日。
「八幡くん!」
「ん?曜か」
「八幡くんの言う通りだったよ。…私馬鹿だね」
「お前が馬鹿だったら全世界のみんな馬鹿になるぞ。…大体好きでもないやつといつまでも一緒にいるわけないだろ」
「曜は千歌っちのこと大好きだもんね♪」
「ま、鞠莉ちゃんいつの間に!?からかわないでよ!」
「あれだな、曜はいつかヤンデレになりそう」
「私のこと愛してくれない千歌ちゃんなんていらない…とか?」
「そ、そんな事言わないよ!というか千歌ちゃんがなんで彼氏なの!?」
「ほら、もうライブ始まるぞ。行ってこい」
「あ、ほんとだ!曜いこ!」
「う、うん!…八幡くんも悩んだりしたら言ってね?お返しに相談に乗ってあげるから!」
「…まぁあったらな」
「うん!いってくるね!」
そしてaqoursのライブが始まる。曲は「想いよ一つになれ」。
今のあいつらにピッタリの曲だな。
続く