「お兄ちゃんお兄ちゃん!これ見て!」
「ん?ダイビング無料体験?」
「そう!これ小町やってみたいな〜」
「そうか、まぁ近いし行ってきていいぞ」
「ちがーう!お兄ちゃんも行くの!」
「えー」
「えーじゃない!少しは体動かさないと!ほら行くよ!」
「めんどくさい」
「…あー、もしかしたら小町の美貌に魅せられてナンパされちゃうかもなー。一人じゃ心配だなー」
「よし小町一緒に行くか。小町に近づく男は全員ぶっ飛ばしてやる」
「ちょろいなー」
「すいませーん!」
「はーい!…ってあれ?」
「…松浦」
「比企谷くん。どうしたの?」
「お兄ちゃん知り合い?」
「同じクラスの松浦果南だ。でこいつは世界一可愛い俺の妹の小町」
「松浦果南です。…比企谷くんってシスコン?」
「違う、千葉の兄妹はみんなそうなの」
「お兄ちゃんのことは無視してもらって構いませんよ!果南さん、でいいですか?私のことも小町でいいので!」
「うん、いいよ。それで、今日は?」
「ここでダイビング無料体験やってるって聞いてな」
「小町達ダイビングやったことなかったので、これを機会にやってみたくて!」
「りょーかいっ。じゃあえっと…このダイビングスーツに着替えてくれる?」
「これがダイビングスーツか…」
「お兄ちゃんお兄ちゃん!どう?」
「世界一可愛いよー」
「うわー適当だなー」
「二人とも着替えた?」
「うっはー!果南さんスタイルいいですね!」
うーん、これは目の毒だ。ダイビングスーツはボディラインにピッタリくっつくので松浦のスタイルの良さがすごくわかる。
…だめだ。目線が1点に寄ってしまう
「…お兄ちゃん、年頃なのは分かるけどあからさますぎるよ」
「ば、ばっか!別に見てないし!」
「…変態」
「ぐっ…そ、そう、俺は悪くないんだ。思春期になったら胸に目が集中してしまう病なんだよ。うん。この病気を作った神が悪い」
「さぁ!こんなごみいちゃんは放っといて早く行きましょう!」
「うん。そうだね」
「…ほんとすみません」
おー、これはすごい。海の中がこんなに神秘的に感じるとは…こういうところに来ないと味わえないな。ここは千葉のつぎにいい所かもしれん。
魚も結構いるな…っていうかさっきから魚に近づくとみんな逃げるんだけど。俺が悪いの?目が悪いな。
「…っ!」
!足つった…ま、まずい、動けない。い、息が…
「…!比企谷くんっ!」
「お兄ちゃん!か、果南さんお兄ちゃんは!?」
「比企谷くん!い、息がない…っ!」
「か、果南さん!心臓マッサージは!?」
「う、うん!っ!比企谷くん!目を覚まして!」
「……」
…ここはどこだ?真っ暗闇だ…死んだのか?…あそこに光が…
「お、お兄ちゃん!こんなところで死んじゃダメだよ!」
小町の声が聞こえる…
「比企谷くんっ!」
松浦の声も…あの光の先から聞こえる…
俺は光に手を伸ばす。
「…ウゥ…」
こ、ここは…?
「お、お兄ちゃん?」
「…ンッ…」
「か、かか果南さん!?」
「…ンン…ンンッ!?」
俺が目を覚ますと俺は…松浦と口づけをしていた。
「…プハッ。よ、良かった!」
「お、お兄ちゃん!!」
「うぉっ!こ、小町…」
「死んじゃったかと思ったよぉ〜!うぅっ…」
「泣くなよ。まだ俺生きてるんだから」
「で、でもぉ…」
「…心配かけたな」
「ほんとだよぉ…ぐすっ」
「松浦が助けてくれたのか。ありがとな」
「ううん。比企谷くんをこんな目に遭わせちゃったのは私のせい…もっと浅い所にしておけば…」
「いや、俺のただの運動不足が原因だ。気にするな」
「…あの、それよりお兄ちゃん」
「ん?」
「…多分お兄ちゃん、果南さんが人工呼吸する前に目覚ましたよね?」
「……い、いやそんなことはないぞ?」
「…ほ、ほんと?」
「…お兄ちゃん」
「…はいそうです」
「…つまり、果南さんとお兄ちゃんはただキスをしただけと…」
「……〜〜!!!?」
「…そうなるな…お、おい松浦?」
松浦は顔を真っ赤にして俯いている。
「…お兄ちゃん、キスをした感想は?」
「柔らかかった…っておい!」
「〜!!ば、ばばばバカ!!」
「ぐふっ!?」
…あれ?また真っ暗闇に…
「お、お兄ちゃん!?また気絶しちゃった!」
続く