ラブガイル!サンシャイン!(完結)   作:リヨ

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6話

さて、頼まれたからには俺は全力でやる。

まずはあいつがスクールアイドルをやりたがらない理由だな。

「なぁ松浦、ちょっと相談というか聞きたいことがあるんだが、今日時間あるか?少し長くなるかもしれないんだ」

「わかった。今日は特に用事もないし大丈夫だよ」

「悪いな」

 

 

今は授業も終わり場所も変わって松浦と喫茶店に来ている。

「それで?相談って?」

「あぁ。まず、浦の星が廃校になるかもしれないってことは知ってるか?」

「まぁ噂になってるしね」

「それで、廃校を救うために前ダイヤと話し合いをしたんだ。その時、スクールアイドルって案が出たんだ」

「…それで?」

「ダイヤは見た目は客観的に見てもいい方だし充分スクールアイドルとしてやっていける気がしたから勧めてみたんだが断られてな。まぁそれだけならこんなに悩みはしなかったんだが、ある奴に頼まれてな。ダイヤをスクールアイドルになるように説得して欲しいって。その頼んできた奴もダイヤを何回か誘ったらしいんだ。でも頑なに断られたらしくてな」

「…まぁそうだろうね」

「?それで、俺は頼まれたからには全力は尽くすつもりだ。だからまずはあいつがスクールアイドルをやりたがらない理由を知りたくてな」

「…なるほどね」

「松浦なら知ってそうだと思ったんだが…知らないか?」

「……ごめんね。私は知らない、かな」

「そうか…すまんな。わざわざ時間取らせて」

「ううん。私も力になれなくてごめんね」

「いや、別にいい。気にするな」

 

 

 

さて、これからどうしようか…ダイヤの仲良さそうなやつなんて松浦くらいしか知らんしな…

「…あれ?八幡、さん」

「ん?ルビィか」

ルビィなら何か知ってるかもしれないな。

「ちょうど良かった。少し時間あるか?」

「?はい?」

 

「それで、話って何ですか…?」

「あぁ。…実はちょっと頼まれ事をある奴からしていてな。聞きたいことがあるんだが、ダイヤってスクールアイドルが好きなんだよな?」

「え?…は、はい。好きだと思います」

「そうか…実は…:」

 

「…ということでな。ダイヤがスクールアイドルをやりたがらない理由を知りたいんだ」

「…お姉ちゃん、前にスクールアイドルをしていたことがあるんです」

「…は?まじで?」

「は、はい。でも理由は分からないけど辞めちゃって…それからスクールアイドルの話もあまりしなくなって…」

まさかスクールアイドルを既にやっていたとは…じゃあそのやめた理由が今やりたがらない理由に繋がってる可能性が高いな。

「そのスクールアイドルって他に誰がいたか知ってるか?:」

「えっと…確か果南さんと鞠莉さん、だったと思います」

果南…?松浦のことか。でもあいつ知らないって…

「そうか。ありがとな。そうだ。お前も確かスクールアイドル好きなんだよな?浦の星にスクールアイドルのグループあるらしいし入ってみたらどうだ?」

「あ、えっと…もう入ってます」

「…え?そうなの?」

「は、はい」

「じゃあさっきの話も全部知ってた?」

「ある程度は…」

「そうなら早く言ってくれれば…」

「ご、ごめんなさい。言う機会がなかったので…」

「…まぁいい。なら頑張れよ。…お前も姉ちゃんにはスクールアイドルやって欲しいのか?」

「は、はい…お姉ちゃん、きっと今でもスクールアイドル大好きだと思うんです。だから…八幡さん、お姉ちゃんのことお願いします」

「…わかった」

 

 

 

 

 

 

「松浦、今いいか?」

「なに?」

「言いたくなければ言わなくてもいい。…前聞いたダイヤがスクールアイドルをしたがらない理由、知ってるんじゃないか?」

「…どうして?」

「ダイヤが昔スクールアイドルしていたってのを聞いてな。そのメンバーにお前もいたからな」

「…聞いたんだ…知ってどうするの?君には何も出来ないと思うけど」

「ダイヤがそこまでやりたくないのなら別に何も言わないが、そういう訳でも無さそうなんでな。なら俺は依頼を受けた側としてあいつを説得しなきゃならん。できるできないは関係ない」

「…とにかく、比企谷くんに教える義理はないし、教える気もない。私は帰るね」

「…」

これは一筋縄じゃ行かんな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八幡さん」

「…ん?どうした」

「今日理事長が帰ってきましたの。一応転校生なので理事長に挨拶をして頂きたくて」

「わかった」

 

「失礼しますわ」

「ダイヤ〜!♪」

「ちょ、抱きつかないでください!」

「いいじゃないの♪…君が比企谷くんね?私は理事長の小原鞠莉よ!マリーって呼んでね♪」

「…明らかに高校生ですよね?」

「えぇ。高校生兼理事長よっ!」

んな馬鹿な…あれ?

「す、すみません。お名前もう1度聞いてもいいですか?」

「小原鞠莉よ!」

小原…鞠莉。この人がもう1人のメンバーか。

「すみません、理事長、あなたに聞きたいことがあります」

「なぁに?」

「私は席を外した方がいいですか?」

「頼む」

「わかりましたわ。では」

「…それで?話って?」

「…単刀直入に聞きます。昔スクールアイドルをやっていましたよね?でも辞めてしまった。そのやめた理由って何ですか?」

「…どうして君がその事を知っているのかはあえて聞かないけど。…私達、ある時東京のスクールアイドルのイベントに出ることが出来てね。でも…会場の空気に圧倒されて歌えなかった。それがやめた理由。まぁ私としてはまたスクールアイドルしたいんだけどね。あの2人、かたくなにやろうとしないのよ。過去のこといつまでも気にしてもしょうがないのに」

「…わかりました。教えていただきありがとうございます」

「このことを聞いたってことはあの2人にスクールアイドルをさせるつもりってことよね?」

「松浦の方は知りませんが、ダイヤの方はある奴から頼まれてるので」

「そう。…頑張ってね」

「…はい。失礼します」

理由はわかった。しかし、歌えなかっただけでそこまで断る理由になるだろうか?短い間しか見ていないがそんなことでヘタれるような奴には見えなかったが。

 

 

 

 

 

 

 

「…」

「…」

今はダイヤと帰路についている。普段は一緒に帰らないが俺が誘った。二人きりになるにはこの状況くらいしかないからな。

「…なぁダイヤ、スクールアイドルそんなにやりたくないか?」

「…なんですか?急に」

「…悪いが過去のこと聞かせてもらった。歌えなかったのは仕方ない。でもそれだけでやめる必要あったのか?」

「…歌えなかったんじゃありませんわ」

「なんだって?」

「…なんでもありません。とにかく、八幡さんには関係ありません。私はスクールアイドルをやる気はありませんから」

強情なやつだな…こいつがスクールアイドルが好きなのは本当だろう。前の時にそれらしき行動はあったからな。ならばそれを利用しない手はない。

「…まぁスクールアイドルやりたがらないのも分かるけどな。スクールアイドルなんて名前は大層なもんだがただ男どもに媚び売ってるだけだ」

「…なんですって?」

「あんなのによく引っかかるよな。想像しただけでも馬鹿らしい」

「スクールアイドルを馬鹿にしないでください!あなたに何がわかりますの!?」

「ならスクールアイドルが素晴らしいってことを見せてくれよ」

「いいですわ!そこまでスクールアイドルを馬鹿にされて黙ってはいられませんわ!うちに来てください!スクールアイドルのことを頭に叩き込んであげますわ!」

 

 

 

 

 

 

「な、なぁもう分かったから…」

「まだですわ!スクールアイドルの魅力はこんなものではありまそん!」

だ、誰か助けて…もう夜の8時なんだけど…さっきから小町からのメールも来てるし。

「…ダイヤ」

「なんですか?まだ帰らせませんわよ?」

「そんなにスクールアイドル好きなのにやりたがらないんだ?何故そこまで意地張ってまでスクールアイドルやろうとしないんだ?」

「…私だってやれるのならやりたいですわ…」

「え…?」

 

 

 

 

俺はダイヤ達の本当の過去を聞いた。理事長の留学のこと、そのために歌えなかったのではなく歌わなかったこと。

「果南さんは鞠莉さんのことを誰よりも考えていましたわ」

「…なるほどね。理事長はそのことを知らないからあぁいうふうに言ってたわけか。…つまりはすれ違いってところか。…問題はあの2人だな…ダイヤはあの2人がスクールアイドルをやるようになれば一緒にやるのか?」

「それは…」

「…やるべき事がわかった。…俺があの2人を、松浦をやる気にさせて見せる。だからお前にも協力してもらう」

少し本音を言い合えば終わるであろうことを何年も引きづって…馬鹿馬鹿しい。

 

 

 

翌日、俺はダイヤの家に高海、そしてそのメンバーと理事長を呼んだ。

「集まってくれて助かる。ダイヤも家を開けてくれて悪かったな。さっそくだがダイヤ、過去のことを話せ」

「え?」

「本当のことを打ち明けなきゃ何も始まらん」

「?ダイヤ?本当のことって?」

「…わかりましたわ」

 

そして、ダイヤは俺に話したことをみんなにも打ち明けた。

「…そんなこと、一言も…」

「言えるわけありませんわ。知っていたら鞠莉さんは躊躇いなく私達の方に来てしまう」

「理事長、あなたは松浦にあなたの気持ちをぶつけるべきです。あなた達はちょっと本音を話せば元通りになるんだ」

「っ!」

理事長は俺の言葉を聞くと、走り出した。

恐らくあのふたりはもう大丈夫だろう。

「…八幡さん、ありがとうございます」

「別に何もしてない。少し助言しただけだ。それで、お前はどうする?」

「私は…」

「ダイヤさん!やりましょうよ!」

「お姉ちゃん!」

「…いいですの?」

「親愛なるお姉ちゃん!ようこそ!aqoursへ!」

「…はい」

「比企谷先輩!ありがとうございました!」

「依頼は終わりだ。スクールアイドル頑張れよ。それじゃあな」

「…待ってください!」

「…なんだ?」

「…私…比企谷先輩にも来て欲しいです!」

「…は?お前アホか?俺がスクールアイドルやるわけないだろ。男だぞ」

「そ、それは分かってます!そうじゃなくて!マネージャーです!」

「…なんで俺がやらなきゃならんのだ」

「え、えっと…正直なことを言うとなんでか分からないんです」

「…はぁ?」

「で、でも、比企谷先輩にも入って欲しいんです!」

「お兄ちゃん!入るべきだよ!」

「おわっ!?こ、小町?お前いつからいたんだよ」

「そんなことはどうでもいいの!…お兄ちゃん、小町あの学校なくなるのは嫌だな。きっと学校が無くなったらルビィちゃん達も悲しんで小町も悲しい気持ちになっちゃう。短い間しかまだ学校にいないけど、好きなんだ。浦の星が。だからお兄ちゃん、小町のためにやってよ」

「…いやでも高海だけ言っててもしょうがないだろ。他のやつは嫌だろ?俺みたいなの入ったら」

「千歌ちゃんが認めた人ならいいかなっ」

「私も。千歌ちゃんが言うなら悪い人じゃないだろうし」

ほかの奴も賛成の様だった。

「比企谷先輩!お願いします!」

「…まぁ小町のためなら仕方ないな。ちょっと理由が強引な気もするが」

「!じゃあ…」

「入ればいいんだろ。大して役に立たんぞ?」

「大丈夫ですわ。荷物持ちくらいにはなります」

「俺は一応マネージャーだよな?パシリとかじゃないよね?」

「冗談ですわ。これからよろしくお願いしますわ。八幡さん」

「…あぁ」

 


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