今回はシリアス気味です。相変わらずキャラ崩壊……

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あらすじで予告した通り、今回はシリアスです。ぐだ男をややカッコつけすぎたかな………と反省気味。






ぐだ男「食堂が封鎖された!?」

ナイチンゲールは考えていた。

何故これほどまでに栄養バランスの悪いサーヴァントが多いのかを……そしてたどり着いた。

 

“おまいら食生活悪過ぎなんや”

 

という結論に。決めれば止まらぬブレーキ壊れたダンプカー。

ナイチンゲールはエプロンに袖を通すとキッチンへと走り出した…。

 

 

***************************

 

6:30

 

「マスター!大変だ!!!起きてくれ!!!」

「…チィ。なんだなんだ………」

朝、いきなりモードレッドに叩き起こされた俺は大きく頭を振って意識を覚醒させた。

「キッチンが……!オレ達の食料庫が…!!!」

「な…なんだと!?」

それを聞いた俺は急いで寝間着の上に外套を羽織り、走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

カルデア 食堂前

 

「退け!野次馬は下がれ!!!」

野次馬を避けながら今回のトラブルの元となった場所へと赴くと……。とんでもない事になっていた。

 

なんと、食堂前に鉄骨でバリケードが貼ってあったのだ。それどころじゃない。その隙間からは「仁王立ちして目を閉じるナイチンゲール女史」の姿があったのだ。

 

「ナイチンゲール…何のつもりだ?」

苛立ちを落ち着かせ大きく息を吐いた俺は、感情を押し殺した声で彼女に語りかけた。対する彼女はカッと目を見開いた。

 

「本日よりクリスマス…いえ、ショーガツ明けまでこの食堂と食糧庫は私の独断により一括管理致します」

「なっ………!?」

 

今なんて言った!?奴は俺達の胃袋を人質に取ったとでも言うのか!?取り敢えず、隣で目を押さえているスカサハに事情を聞く事にした。

「スカサハ、本当なのか?」

「あぁ……、彼奴はつい3時間程前に急に起きたと思いきや何処からともなく運んで来た鉄骨を引き摺って食堂を封鎖したのだ。何やら“カルデア内の健康維持に関わる英断”とか何とか抜かしたから私も堪らず武力鎮圧しようとしたのだが一方的にボコられて摘み出された」

「情けねぇなお前!?」

 

クソッ…マーリンが出るまでと思ってナイチンゲールをカンストさせたのが仇となるとは…!!!

「すまぬ、腹が減って力が出ないのだ…」

「言い訳すな!………ナイチンゲール!俺達も腹が減っている!飯が無ければここは全滅するんだ!」

そうだそうだと騒ぎ立てる外野達だったが、彼女はやれやれといった態度を取った。

「誰が“一口も食べさせない”と言いましたか?」

「………え?」

彼女はキッチンへと向かうと料理を始めた。青ざめるモードレッドとアルトリア(槍)。あっ…このパターンは………。

 

 

 

「本日より、我がカルデアの食事は配給式となります。こちらからトレーに乗せて出しますのでどうぞ」

「やりやがったなテメェ!!!」

鉄骨バリケードの隙間から出されたのは、温かな料理だった。『色とりどりの野菜と鶏肉のスープ・ライ麦パン・ブルーベリージャム・大麦若葉ジュース』という意外にもしっかりした物だった。

 

「うわアルコール臭ッ!?」

 

…トレーと食器から漂う消毒液の匂いさえ除けば。

その食事に真なるファラオことオジマンディアスは激怒した。

「要らん!真なるファラオにこのような病院食など与えてなんとすr「いえ、食べなくてはなりません。サーヴァントと云えど細胞の円滑な活動には栄養のキッチリ取れた食事を摂らなければなりません。また、オジマンディアスは肉を多く食べる偏食癖がありこのままでは──」………はぃ」

が、ナイチンゲールの芯の通ったマシンガン説教に気押されたのか、ショボンとした格好でトレーを持っていった……オジマンディアスェ。

「……あいつの事も分かってやってくれ。1番心配してんのは彼女だからな」

絶望に染まりきったサーヴァント達にそう声をかけると俺はトレーを持っていった……飯?美味かったっス。

 

 

***************************

 

12:00

 

───皆さん、昼食の時間です。各自決められた列を守ってお並びください───

 

「やれやれ、ご丁寧にアナウンスまで………監獄かよ」

カルデアの執務作業を終えた俺は、ゆっくりと食堂へと向かった。途中、窶れた顔のアルトリアとカエサルを見た気がするが知らないし見ていない。

 

 

「本日の昼食です。残さず食べるように」

ナイチンゲールの出すメニューは極めて平凡的な洋食…だが、1日に必要な栄養素をガッツリ3で割って出してくる為、食事量はあまり多くない。寧ろ少ない。

「……お腹が空きました」

ヨロヨロとトレーを運ぶジャンヌの次にトレーを受け取った俺はその内容を一瞥する。

 

『和風パスタ・葡萄ジュース・具沢山オニオンスープ』。

 

匂いさえ除けば極めて平凡的な洋食…だが、彼女の思想には致命的な欠陥があった。

「(あいつ……サーヴァントの燃費について計算に入れてないな)」

生粋のバーサーカーである彼女だが、最も効率の良い動きで必要最小限の戦いを好む為に意外にも燃費が良い。寧ろ対軍・対城宝具をバカスカ撃つサーヴァントより遥かに経済的なのだ。それが仇となっている。燃費が悪いサーヴァントの場合、この食事が続けば間違い無くガス欠で倒れる。

 

「母ちゃん!間食ぐらい良いだろ!?なぁ!頼むよぉ〜………分かったからタマネギ点滴打とうすんな〜!!!」

 

哀れ円卓組…最高に燃費の悪い彼等にとって今の状態はまさに地獄の責め苦だろう………ガウェインに関しては何故かツヤツヤしてるが。

「ほら、イリヤは育ち盛りなんだ。沢山食べなさい」

「でも…パパが……」

「僕の事は気にしなくて良い。子供が遠慮するんじゃない」

中には、少ない食事を誰かに分け与える者もいる。彼女の計画はもう少し煮詰めるべきだったのだ。

 

「………俺が言った所で聞かんだろ」

 

全ての結末は運命の赴くままに…諦めて俺は昼食を戴いた。

 

 

**********************

 

01:30

 

危惧していた事はその日の夜中に起こった。

 

 

“|流星一条《ステラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア》!!!”

 

 

突然の爆発音に久しぶりの快眠だった俺は慌てて飛び起きた。誰かが死んだ気がするが今はそんなどころではない!

「……ッ!始まったか!!」

寝間着の上に外套を羽織り、暴徒鎮圧用の刺又を手にし急いで食堂へと向かった。

 

 

 

「取り押さえろ!!!」

「メディアさん今です!」

「くッ……離しなさい!!!」

「悪いわねナイチンゲールさん……でも仕方ないのよ」

 

 

俺が到着した頃には鉄骨が破壊され、ナイチンゲールが魔術で磔にされて数人のサーヴァントに取り押さえられていた。よく見ると、周りにはボコボコにされたサーヴァントが数人転がっており、如何に激闘であったかが伺える。満身創痍で気絶してるガウェインとジャンヌェ………。

そして、メディアがナイチンゲールに馬乗りになりナイフ…『破戒すべき全ての符(ルール・ブレイカー)』がその手に握られていた。まずい状況だ…!

「覚悟なさい…『破戒すべき全ての───「我が令呪によって命ずる!!!戦闘を中止せよ!!!」───!?」

 

令呪を三画惜しみなく使い、メディアの宝具を止めた俺は大きく息を吐いた。

 

「今日はここまでにしとけ。処分は追って沙汰する」

 

そう告げると、サーヴァント達は次々と帰っていく。その中……1人ポツンと取り残されたナイチンゲールは放心状態であった。

「立てるか?」

「…」

「じゃあテキトーに運ぶぞ」

そう言うと、馴れた手つきでナイチンゲールを背負った俺はゆっくりと彼女の部屋へと歩いた。

 

「………ナイチンゲール。お前は良くやった」

「───慰めのつもりですか?」

「そう思われても仕方ないな」

背負っているので表情は分からないが、声は震えていた。

「……思い立てば吉日。ナイチンゲールらしいやり方だ」

「………」

「だがな、それでは上手くいかない…ってのが世の常さ。そういう輩を本当の意味で納得させなければならない為にもお前がやるべきだったのは統計データとかそういう物ではなく、反発から反乱を起こさせないような双方納得のいく企画案の推敲…だったんじゃないのか?」

そう言うと、彼女はふふっと笑った。

「───そうね。私とした事が…とんだ間抜けだったわ」

「まぁ、かくいう俺もサーヴァント相手に刺又で勝つ気だったからバカは俺だろ」

「それもそうね」

「なっ!?肯定すんな!」

そうしてやっと到着したナイチンゲールの部屋の前で俺は彼女を解放した。立てると言い張った彼女の話を聞き入れ降ろしたが大丈夫そうだ。

 

「ナイチンゲール」

「───なんでしょう?」

「飯、美味かったぞ。消毒液の匂いさえ無ければ……」

「!」

 

彼女に伝えられなかった言葉を伝えた俺は飄々と口笛を吹いて立ち去った。これくらいでいいのさ、マスターの役目なんざ。

 

*********************

 

あれから、ナイチンゲールは全サーヴァントの前で正式に謝罪した上で食堂と食糧庫を解放した。

厨房にはエミヤ(アーチャー)とブーディカが立ち、食堂は再び日常を取り戻した………そんな中で、変わった事があった。

 

「おっ、アーラシュ!アレ食ってんのか?」

「よぉマスター。これ意外とイケる味でさ。ハマっちまった」

食堂でアーラシュがモグモグと食べているのは、ナイチンゲールが提案した『低カロリー日替わり定食』。発芽玄米・味噌汁に加えて日替わりのおかず(今日はモドキだが豆腐を工夫して作ったハンバーグ)が付いて普通の料理よりもカロリーの低い健康食としてダイエットや健康診断で悪い結果の出たサーヴァント達に人気のメニューとなっている。調理班に熱心に指導を行っているナイチンゲールはとても生き生きしていて安心した。

 

 

「実は俺もハマってんだ」

「そうか!俺たちでもっと宣伝しようや!」

「「hahahaha!!」」

 

カルデアは今日も平和だ…………。




※悪食気味のオジマンディアスとアルトリアは毎日低カロリー日替わり定食に厄介になった。



今回はシリアス路線で行きました。食事って大事……そういう話。

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