捻くれた俺の彼女は超絶美少女   作:狼々

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どうも、狼々です!

今回から第2章ということです。
正直、合宿編は何話続くかわかりません。

恐らくですが、合宿編は捻くれ要素が少なくなります。

この作品のお気に入りが100にいきました! ありがとうございます!

では、本編どうぞ!


第2章 恋愛とは、それぞれの自己満足である。
第12話 非道徳的があるからこそ、道徳的がある


 バスの中で、早速レクリエーション係のマイクで拡声された声が響き渡る。どうやら、なぞなぞをやるらしい。が、俺はそんな遊びに付き合っている暇はない。早く計画を練らなければならないのだ。班行動の時が一番やりやすいだろうということはわかる。けど、早い方がいいのかどうかがわからん。

 

 早い内に無力化して、小鳥遊にしたことを悔いさせるか、遅めまで十分に計画的な行動を考えるべきか。まぁ、なんとかなるか。タイミングさえ間違わなければ、俺が勝てるはずだ。

 

「さぁ、まず第一問! 中は怖くて、外は怖くないもの、な~んだ?」

 

 なぞなぞの第一問が出題される。なんだ、この簡単すぎる問題は。暇はないんじゃなかったのかよ。

 

「はっ、簡単すぎるな」

「え、早いね。なんなの?」

 

 隣の小鳥遊が、こちらを見て驚いている。まぁ、そうだろうな。まず一般の感性を持つ者には解けまい。俺専用に出題されたなぞなぞ、と言っても過言ではないだろう。

 

「決まってんだろ、人間だよ。中の心は怖くても、外面は怖くないように振る舞う。ほら、当たってんだろ?」

「あ、なるほどね。というか、相変わらずの捻くれ具合だね」

 

 小鳥遊が呆れた顔で、ジト目をしながら言う。あ、その表情もいいね。可愛い。美少女のジト目って、特有の魅力があるよね。

 

「はい! お化け屋敷じゃない?」

「正解!」

 

 クラスメートの一人が、手を挙げて答え、正解をもらう。

 

「違ったんだけど、どうなの柊君?」

「いや、これ以上の正解もないだろ。俺の方がパーフェクトだ」

 

 小鳥遊が、今度は意地悪な笑みを浮かべて言う。あ~、その表情もいいな。純粋な笑顔もいいけど、こういう子供っぽい笑顔も中々そそるものがある。結果、何しても可愛い。

 

「じゃあ、第二問! 曲がっているけど、本当は真っ直ぐなもの、な~んだ?」

 

 なんだこの問題は。わけがわからん。曲がってたら曲がってるのが本当だろ。

 

「……あ、私わかったよ。これは簡単だね、ふふっ」

「いや……俺にはわからん。で、なんなんだ?」

 

 そう言うと、少し胸を張って、笑顔で言う。その胸を張るのは、中々ですね。今はもう既に夏服で、小鳥遊の胸が大きく出ている。ブレザー等の、視界を塞ぐものはなし。目のやり場に困る。

 

「それはね、柊君だよ。曲がってて捻くれてるけど、本当は真っ直ぐで誠実」

「それは違うだろ。あ、いや、そうでもないかな? 曲がりすぎて一周して、結局は真っ直ぐになってるかもな?」

 

 俺もさっきの小鳥遊と同じように、意地悪に笑ってみせる。そう、俺は捻くれすぎた。だから、曲がるどころか一回転。そして元に戻るという。

 

「いやいや、面白い考えだけど、私は本来の意味でそう言ってるの」

 

 笑顔と共に言うと、小鳥遊は笑顔を保ったまま会話を終える。

 

 

 ……やっぱり、わからない。

 

 

 

 

 長い時間、高速道路を使ってバスで移動して、長崎に着いた。その間、本を読んだり、小鳥遊と話したり、外の景色を眺めたりしていた。そうしながら、どう泣かせようか考えていたのだが、全く思いつかん。対策を講じてはいるものの、小鳥遊が席を外す理由がないといけない。ないとしても、幾重にも重なる偶然がないといけない。どうしたものか。

 

 バスから降りて、日差しが容赦なく降り注がれる。雲一つない爽やかな快晴。晴れ渡った青空だ。バスの中のクーラーが恋しくなる。半袖とはいえ、やはり暑い。中学の頃は、バスケットボール部に入っていた俺でも、今では運動不足。この天候の中で歩くのは、きついものがある。

 

 そう、俺がバスケットボール部だったのだ。自分でも信じられない。それも、一応スタメンだった。シュートも入れていた。一応な、一応。以前、吹雪にこのことを話したら、「え、冗談? もっとマシな冗談にした方が騙せるよ?」とか言われた。許さん。言い方もうちょっとどうにかならなかったのかよ。

 

 

 

 長崎原爆資料館について、ビデオルームで原爆に関するビデオを見た後、被爆体験者のお話。それを聞き終わって、今は資料館で展示されているものを見て回っている。見ていて、身が引き締まる思いになる。どの展示物も悲惨さを物語っていて、当時の状況が爪痕を深く残している。

 

 溶けたガラス瓶や11時2分で止まった振り子時計、浦上天主堂の側壁の再現造形に、泡立った瓦等、依然として残っている物や、学校や神社等の建物被災写真からは、当時の惨状を、残された資料からは、夭折(ようせつ)された方がいらっしゃることや、被爆者の数等がわかった。

 

 こういうものを見ると、俺は人一倍悲しくなる。人によって、人が傷つけられる。これを、いつも体験する側になっているからだ。規模こそ小さいので、自分で思っていて、こういうことを言葉にしていいのかわからない。そんな資格はないかもしれない。被爆体験者の方から、お前のような奴が何を言っているんだ、体験していないからそんなことが言えるんだ、と思われたり、言われたりするかもしれない。

 

 けれど、それでも俺は思いたい。根源が同じなのだ。心に訴えかけるものを、より感じられる。人同士の争いが、どれだけ痛く、苦しいものなのかが。人の醜い部分の権化(ごんげ)が、悪辣非道を形成し、人を崩壊させる。それを、俺は小規模でだが、嫌という程知っているのだ。だから、戦争を軽視する人間には、なりたくもないし、なろうとしてもできないのだろう。

 

 非道徳的があるからこそ、道徳的がある。道徳に反することがなければ、こうして学ぶ必要もない。けれど、今はそれを学んでいる。それは、それが必要であるから。同じ(てつ)を踏むようなことがないように、という時代を越えたメッセージ。それの意味を、理解しない人間がいる。俺だけでも、そうはならないようにしようと、心に深く刻み込んだ。

 

「……柊君? 大丈夫?」

「え? あ、あぁ。すまないな」

 

 隣に小鳥遊がいることも忘れていた。ほぼ班行動を崩して、俺、吹雪、小鳥遊と黒宮、愛原、降旗の二つに別れてしまっている。これはもう今日のところは諦めるかな。ちなみに、班長は実行委員である黒宮が引き受けることになっている。そういうルールなのだそうだ。

 

 さて、俺は人を傷付けることはあまりしたくない。けれど、泣かせるくらいに悲しかった、小鳥遊はどうなる。同じだけの悲しみを味わってもらわないとな。そうじゃないと、ずっとその痛みを知らないままになってしまう。なるほど、俺が思いの外躍起(やっき)になっているのは、そういうことか。まぁ、正直愛原と降旗はどうでもいい。小鳥遊が可哀想だ。

 

 ……で、それ以上に気になっていることがあるんですよ、はい。

 

「で、どうして()()()()()()()()()んだ?」

「あ、やっぱり気になる?」

 

 小鳥遊と仲のいい、久那沢がここにいる。別の班なのにも関わらず。その「ふふん」、みたいな顔をやめい。小さい体格の子がしたら、幼女にしか思われないから。まだ身長があるからいいものの、もう少し低かったら完全に幼女。顔も童顔な感じだし。

 

「あのね、昨日班をばらされたんだ。で、私がここに来たの。片岡先生から聞いてなかったの?」

「いや全然全く微塵も聞いてない。小鳥遊と吹雪はどうだ?」

 

 小鳥遊と吹雪が同じように首を横に振る。片岡先生、貴方のその気遣いは正解なのだろう。ギスギスしている小鳥遊と例の二人組だけじゃまずいと思って、久那沢入れたんだろ? たださぁ、俺らにくらい言ってもよくね? 言わないとダメでしょ。観光とかどこに行くのかわかんないじゃん。え、ってことは、予定とかも全部ばらしたのかよ。

 

「と、いうわけで。一緒の班だから、よろしくね~」

「あぁ、よろしく、久那沢」

 

 俺がそう言うと、久那沢がまたあの幼女顔をしてきた。それ結構可愛いから困るんだけど。小鳥遊が可愛すぎるからあまり目立たないが、久那沢もかなり可愛い方だ。噂を聞くと、小鳥遊と人気を二分しているんだとか。小鳥遊は清楚系豊満好きから、久那沢は若干ロリコン寄りの生徒から支持を受けている。その二人が同じ三組なのは、意外にすごいんじゃないかと思う。

 

 久那沢は小さな体格をしている。なので、出るところは小鳥遊に比べて出ていない。少しあるかな? ってくらい。つまり貧乳。いや、小鳥遊が平均より大きすぎなのだ。俺的には、巨乳でも貧乳でもいいけど。それよか、選べる立場の人間でもないしね。

 

「ふっふっふ~、私と誠の仲じゃない? 久那沢じゃなくて、茜でいいよ?」

「いや、話したの自己紹介以来だろ。二回目だろ」

「あれだよ、言葉の綾ってやつだよ」

「綾とかじゃねぇだろ、それ。単純に間違いだわ」

 

 しかも久那沢は俺の下の名前で呼んでるし。別に名前の呼び方くらいはどうでもいいのだが。まぁ、相手の希望に合わせるのが無難かつ楽だからな。後でなんやかんや言われることもないし。

 

「俺はどうでもいいよ、茜」

 

 俺がそう言うと、隣の小鳥遊が口を開こうとして閉じてを繰り返している。なんなんだ? どこか(せわ)しない様子だ。もじもじしているとまではいかないが、『戸惑っている』が一番近いだろうか?

 

「そうそう、それでよし。いい子だね~」

「俺は調教されてる動物か何かなのか? 主従関係が出来上がっちゃったの?」

 

 茜も頭を撫でようとしているが、背伸びして腕を伸ばしても届いてない。可愛い。時々ジャンプとかしてる。少し意地悪してやりたくもなったが、俺は少ししゃがんで、茜の手が届くように。

 

「お~、ありがと誠。よしよ~し」

 

 おぉ、自分より小さい女の子からナデナデされるとは、思ってもみなかった。急いで周りを確認したが、幸い目につかない場所だった。俺が殺されちまうぜ。てか、さっきから小鳥遊が物言いたげな素振りを見せている。どうしたし。

 

「はいはい、展示物見るぞ~。あんまり騒がしくしないで、しっかり見るんだ」

 

 そう言って、皆で(おもむろ)に歩き始める。しかし、まだ小鳥遊が小鼻を膨らませている。一体何があったし。さっきまでそんな様子は見せていなかった。このちょっと怒った顔もやっぱりいい。立ち止まって、小鳥遊に聞く。

 

「で、小鳥遊はどうしたんだ? さっきからずっとそんなになって」

「……別に~。何でもありませんよ~」

 

 小鳥遊はそう言いながら、すぐに歩き始める。足を止めていた俺が、すぐに抜かされる。あ、あれ? 俺、なんか悪いことしたか? それに、敬語で話してるし。見当もつかないんだが。追いつくために、俺も歩き始める。

 

 吹雪がわざわざこっちまで戻ってきた。そのニヤけるのをやめろ。吹雪は俺にだけ聞こえる声で、小さく言った。

 

「中々大変だね」

「わかってるなら助けろよ」

 

 吹雪の人格は知っている。俺が困ったりしている時は、助けないでそれを笑って見るような人格だと。たまには助けてほしいものだ。そうでなくとも、さすがに笑うのは止めてほしい。

 

「あれは俺にも無理だよ。今のは完全に誠が悪かった」

「いや、何もしてねぇだろ。名前呼びを強制されて、調教されて、不機嫌になられて。ほら、俺何もしてない」

 

 むしろ被害者なんだが。俺にどうこうできるようなことは何一つなかった。

 

「それだよ、それ。どうしてこうも……」

 

 吹雪が頭を抱えている。いや、この状況は普通俺が頭を抱える側だよね? 原因不明で一方的に被害を受けてる俺だよね?

 

「まぁ、どうしようもないね。精々頑張ることだね、誠」

 

 そう言って、再び元の場所に戻っていった。俺も吹雪についていき、小鳥遊の隣へ。小鳥遊の顔を横目で見るが、今度は寂しそうな顔をしている。この儚い感じも可愛いが、本当にどうしたのだろうか。

 

 ―*―*―*―*―*―*―

 

 茜ちゃんを、彼が名前で呼んだ。ちょっとだけ、寂しいというか、羨ましいというか……妬ましい? そんな感じがした。私の方が彼との距離は近い……はず。そうであると信じたいものだ。

 

 さらには、彼の頭を茜ちゃんが撫でていた。まぁ、それだけならよかったのだが、彼の顔が少し嬉しそうだった。発言はいつも通りだったけど、顔が緩んでた。私がやっても、そうなるのかな? で、でも、個人的には、撫でる側になるより、撫でられる側になりたいというか……

 

 やっぱり、私は嫉妬してるんだ。そのせいで、ちょっと彼につい冷たく、素っ気ない態度をとってしまった。少しだけ後悔している。嫌われてないかとか、心配になったりする。せっかくの合宿だから、少しくらいは仲良くなりたい。

 

 ……どうすればいいんだろう?




ありがとうございました!

合宿でどれだけ距離を近づかせようか。
悩みものです。

といっても、誠君がどれだけ音葉ちゃんを好きになれるかなんですが。
音葉ちゃんは……まぁ、予想できるでしょう。

ではでは!
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