捻くれた俺の彼女は超絶美少女   作:狼々

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どうも、狼々です!

今回は、前回の流れで分かる通り、料理回です。
音葉ちゃんの料理。食べてみたい。

できるだけかっわいい音葉ちゃんを書いたつもりです。

では、本編どうぞ!


第23話 私の『好き』は、どうすればいい?

 一緒に夕食の買い物ということで浮かれつつある頭を、少し涼しい夕風で冷やす。カートとカゴを入り口で準備してスーパーの中へ。中に入ると、そのスーパーのテーマ曲が耳に入り込む。その曲が忍び込む中、小鳥遊の声も耳に入る。

 

「ねぇ、柊君は何が食べたい?」

 

 わぁ、この笑顔が可愛いのなんの。この笑顔を、俺だけにずっと食事の度に見せてくれないかな。プロポーズだわ、それ。煩悩を振り払うようにして、何がいいかを考える。

 

 個人的には、彼女の料理が気になって食べたいので、なんでも良い。本当になんでも。好き嫌いがあるわけではないし。けれど、ここで『なんでも良い』と言うのは、無愛想というか、適当というか。

 

「小鳥遊の希望は? 何でも良いって言ったら困るだろ?」

「柊君が食べたいものを食べたいな。そうだよ? 柊君もわかってるねえ」

 

 やはりか。どこまで紆余曲折(うよきょくせつ)な心な俺でも、これはわかる。自分でもそうなのだから。他人に料理を振る舞うことなんてないし――とも思ったが、吹雪に何回かあったな。あいつは食べたいもの何でも言っていたが。フランス料理がいいとか言い出した時は、張り倒してやろうかと思った。

 

「ん~……ハンバーグがいい、かな?」

「えっ? ハンバーグ? ……ふふっ」

 

 彼女が急に笑いだした。その笑顔に、やはりドキッとしてしまう。彼女の純真無垢な笑顔にはいつ見ても惚れさせられる。この笑顔をずっと俺の隣で見せてくれる。そんな妄想をしてしまう自分も、仕方ないだとか思ってしまう。

 

 怪訝そうな顔をした俺を見て、笑いながら彼女はこう言う。

 

「あぁ、ごめんごめん……思っていたより子供舌なのかな? ってね。少し面白かったの。……可愛い」

 

 『可愛い』を言った声にもドキッとしてしまう。優しく諭すような声。どうやら、俺はかなりの要素で彼女に惚れ込んでしまっているようだ。この彼女の笑顔がどんな笑顔よりも、誰の笑顔よりも、魅力的で可愛いと思っている。いや、マジで。世界一可愛いだろう。

 

 俺が後ろでカートを押しながら、彼女が材料を目利きさせながら選んでいく。彼女はとても上機嫌そうだ。ハンバーグがそんなに食べたかったのだろうか。それはよかった。それを見る俺も、上機嫌になってしまう。彼女の笑顔がたくさん、ずっと見られて、何だか得した気分になる。ずっと見てたいな~。

 

 というよりも、周りの目が暖かい気がする。まぁ、こんだけの美少女が笑顔を振りまき続けたら、そりゃそうなるわな。手にかかるカートの微弱な揺れが心地良い。周りの人混みの中でも、彼女の魅力は一際輝いていた。

 

 夕方ということもあり、早めに買い物を終えてレジへ。挽肉、玉ねぎ、牛乳等を入れている――卵や調味料は家にあるので買わなかった――。店員さんがカゴを取り、バーコードを通して隣のカゴに入れる。その最中に、こう言われた。

 

「ふふ、カップルですか? 一緒にお買い物とは、仲が良いですね?」

「「い、いえ、違います!」」

 

 声を重ねて、顔を赤くしながら否定する。隣を見ると、彼女も赤面しながらこちらを見ていて、目が合ってすぐに逸らされた。いつの間にか会計も終わり、モニターに表示されたお金を財布から出そうとすると、隣の彼女から腕が伸ばされ、カルトンに半分ほどのお金を置いた。

 

 隣をふと見ると、こちらに優しく微笑んでいる。ドキドキする。おい。そして、水族館デートのことを思い出した。昼食で、会計時に揉めたときのことを。黙って素直にもう半分のお金をカルトンに置いて、会計を済ませる。その時、再び店員さんが笑っている気がした。

 

 二人で同じレジ袋に材料を入れていると、お互いの手が触れ合った。

 

「「あ……」」

 

 二人で触れ合っては赤面させて、目が合って逸らしてを何度も繰り返しながら、レジ袋に詰め終わった。恥ずかしいながらも。レジ袋二つを両方とも持ち上げた直後に、彼女に右腕を掴まれた。

 

「……私が何が言いたいか、わかる?」

「その笑顔怖いいつもと同じ満面の笑みなのに怖いどうして」

 

 なんだろう、この怖さ。笑顔はとても可愛いのに、それ以上の威圧があるのだが。いや、何となく理由はわかるのだが……

 

 ―*―*―*―*―*―*―

 

「いや、そんなに一つも二つも変わらんだろ」

「え、え~と……そ、そう! 暗くて危ない!」

 

 何とかして、レジ袋を持ちたい。何故か? それは……彼と、手を繋ぎたいから。両手で持って手が塞がっていたら、手を繋げない。私から繋ぐつもりだが、これでは勇気を出して握る前に終わってしまう。

 

「いやそりゃ危ないけど、レジ袋とは何も関係がないだろ。変わらない変わらない」

「う~……! いいから渡して! いいから!」

「……わかったよ。ほら、ありがとな」

 

 そう言って彼は、静かに両方のレジ袋を持ち上げた後、一方のレジ袋を渡してくれる。恐らく軽い方を選んでくれたのだろう。そうやって、見た目や性格に反したさり気ない優しさに、惹かれてしまう。言い方が失礼かもしれないが、私は見た目も性格も何もかもが好きだ。大好き、だ。

 

 少し捻くれているけれど、そこに隠れる優しさと誠実さ。捻くれた部分は、面白い時が多い。全く、痘痕(あばた)(えくぼ)、とはよく言ったものだ。どんな面でも魅力に思えてしまう。まぁ、それだけ私は彼を好きなのだという事実になるので、それだけでも幸せになってしまうのだが。

 

 自動ドアを抜けて、スーパーの外へ出る。辺りはもうすっかり暗くなっていて、風も入った時よりも冷たい。自分のドキドキした全身を夜風で冷やし、改めて彼に手を繋ぎたい、と言う心の準備をする。

 

「……ね、ねえ――ぇ?」

「あ~……ほら、あれなんだろ。夜道、危ないだろ」

 

 私が言おうと心を決めた瞬間、彼の手と私の手が繋がれた。私は驚きながらも、嬉しくなった。彼が手を繋ぎたいかどうかがわからないので、心が通うとは別だが、思っていることが一緒だと思うと、嬉しくてたまらなくなる。こんな小さくて、単純なことでも、私にとっては嬉しい。幸せだ。

 

 夜風に吹かれながら二人で密着して通る道は、依然として寒く、暗かった。けれど、彼の手は、この場の何よりも暖かかった。

 

 

 彼の部屋に着いて、今から調理開始だ。一度深呼吸して、心を落ち着ける。

 

 これは、彼が食べてくれるんだ。失敗なんてしたくない。美味しいものを食べてもらいたい。笑顔にできる料理を作りたい。その……できるなら、「また食べたい」って言ってもらえるくらいに。

 

 ……あぁ、心臓がドキドキしてる。緊張して、手もちょっと震えてる。胸も締め付けられる。……切ない。

 

 いつも通りに、作る。美味しく作れますように。

 

「……よし!」

 

 ―*―*―*―*―*―*―

 

 彼女は料理の前に、ロングの髪を一つに結んでポニーテールにしていた。普段見られない髪型に新鮮味を感じつつ、ちらっと見えるうなじにドキッとしてしまった。滑らかな白肌はどこまでも透き通っていて、視線が吸い込まれる。料理が始まって、二人で料理を作ろうとしたのだが。

 

「え、ええっと……一緒に作る、んだよね?」

「……私が作る」

「い、一緒に――」

「私が作りたい」

 

 だめだ、これ。もう料理に夢中になっている。そんなに真剣になることなのだろうか? まぁ、人に料理食べさせると、失敗できないって思うよね。けど、ここまで真剣にならなくても……

 

 暫くして、結局俺はやることがなくなって、邪魔になる前にキッチンから去ろうとした時。

 

「あ、ぁぅ~……ひ、ひ~らぎく~ん……」

「うん? どうした?」

「た、玉ねぎ切ってたら、涙が止まらないよ~……うえぇぅ~」

 

 ……あぁ、なんだ、天使か。女神か。何という可愛さだろうか。目を瞑って、みじん切りの途中の包丁はまな板に置いてこちらに少しだけ、探るように手を前に出している。暗い場所で目の前のものを探る、みたいな姿勢になっている。

 

「あ、あれ~……? ひ、ひ~らぎくん、どこ~?」

 

 控えめに言って、天使だな。このまま放っておくのもまた可愛いものが見られそうになるが、ここは意地悪せずに。

 

「はいはい。代わってやるから」

「あ、あいがと~……うぅ」

 

 優しく涙を拭き取って、手を洗ってから玉ねぎと対峙する。隣ではまだ目を瞑ったままの状態で手を洗っている。あ~可愛い。それをエネルギーにしつつ、玉ねぎに刃を通す。

 

 トントン、と拍子の良いまな板と包丁の接触音と、サクサク、と軽快で新鮮そうな玉ねぎの音が耳に心地良い。残りのみじん切りを終える。少しだけ涙が出そうになったが、二人して涙を流すと中々にシュールな絵面になるので、堪える。

 

 俺はそのまま玉ねぎを炒めにかかった。どうせだしね。途中で小鳥遊にやると言われながらも、これではさすがにあれなので、最後まで炒めてしまう。弾けるような炒める音も、耳に優しい。料理は、案外『音』も楽しめるのではないのだろうか。せっかくなので、挽肉とも混ぜておいた。

 

「……ありがと。じゃあ、柊君は休んでて?」

「……了解。後は頼んだよ」

 

 一緒に作りたいのは山々だが、どうにも彼女は気合が入っている。向上心を邪魔する理由もあるまい。食器や箸の準備を進めるとしよう。食器や箸は、吹雪がたまに来るため複数個用意してある。最近は来ていないけれど。

 

 ぱんぱん、と空気を抜く音が聞こえ始め、ソースの匂いも漂ってくる。何だろう、この空気抜きの音がどこかエロいと思うのは、俺だけかな? 俺だけだな。彼女の手と同様、少々小さめの可愛らしいハンバーグが三つ並ぶ。恐らく、小さい分俺が二個なのだろう。ありがたい。まだ食べていないのだが、美味しいことはわかる。何となく。

 

 さらに暫くして、ハンバーグが焼き終わるであろうという丁度いいあたりで、炊飯器から炊き上がりの音楽が鳴る。ご飯が間に合わない、ということにはならないでよかった。二つの茶碗に、それぞれの食べるであろうご飯を装う。配膳を済ませて、俺と彼女が向かい合ってテーブルと椅子に座る。

 

「「いただきます」」

 

 手をきっちり合わせて言う。ハンバーグは程よく檜皮(ひわだ)色で仕上げられていて、香ばしい肉の香りが鼻腔をくすぐり、食欲がこれでもかと誘われる。箸を入れると、僅かな弾力を一瞬だけ感じた後、スッと箸が吸い込まれる。割れ目からは肉汁が溢れ出し、さらに肉の香りで鼻腔が刺激される。それだけでも十分に美味しいと感じて、思わず喉が鳴る。

 

 一口サイズにして口に運び入れ、歯を立てると肉汁が吹き出した。肉汁は踊るような熱さと旨味と共に、口の中を駆け巡る。デミグラスのソースとも抜群に相性が良く、肉本来の旨味を決して邪魔せず、味の主体として成り立っている。ほろりと柔らかく崩れて溶けていく感覚には、感動も覚えてしまう。

 

 付け合せのじゃがいも、人参も、デミグラスソース自体の美味しさを極限まで高めて表現している。こちらも箸が滑らかに通るくらいに柔らかくなっていて、非常に食べやすいかつ甘みも出ている。その甘みも消えることなく、デミグラスソースとの味の調和がなされている。

 

 再びハンバーグを一口分に切り分け、今度はご飯と一緒に口に入れる。溢れ出る肉汁が、デミグラスソースの程よい味の濃さが、ご飯を進める。コショウが少しアクセントとなっていて、辛味もほんの少し感じるが、それによってさらにご飯が進んでいく。

 

「どう、かな……?」

 

 どう、だって? とても簡単に、一言で表すならば……

 

「……めちゃくちゃ美味しい。美味しすぎる」

「……やった!」

 

 彼女は目の前で、食べることもやめて小さく声をあげ、同じく小さくガッツポーズを取っている。可愛い。こんなにも可愛いのに、こんなに美味しい料理作れるとか、すげぇな。

 

「毎日小鳥遊の料理を食べていたいな…、」

「ふぇえ!? い、いやそれって、ずっと一緒にって意味で、つ、つまり……け、けっこ、あ、ぇ……」

 

 俺の口からつい漏れてしまった心の声で、一瞬で赤面した彼女。そんな彼女も可愛い。ただひたすらに可愛い。

 

 

 

「「ご馳走様でした」」

 

 二人で、手をきっちり合わせて言う。残さず最後まで食べた。むしろ残したくないくらいに美味しかった。一流シェフ顔負けかもしれない。あれだ、好きな女の子の手料理ってだけでも美味しくなるのに、あれは美味しすぎだ。最後に吹雪達が来る前に買ってきた小さめのシャーベットを二人で食べる。肉を思い切り堪能した口には、ひんやりと甘くて気持ちがいい。

 

 シャーベットを食べ終わって、玄関の前で荷物を持った彼女。今日ももう遅い。こんな時間まで付き合ってくれて、嬉しい。

 

「今日はこんな時間まで、本当にありがとう。楽しかったし、美味しかったよ。ご馳走様」

「お粗末さまでした。そう言ってもらえると、私も嬉しいよ。私も、楽しかったよ」

 

 彼女の笑顔を最後に、見送る。隣の部屋までなので、事故等の心配はないだろう。

 

 彼女が開いたドアの隙間から覗く星空は、ひどく魅力的に見えた。

 

 ―*―*―*―*―*―*―

 

「美味しすぎる、かぁ……ふへへぇ……」

 

 自分の部屋のベッドで、高校生にもなってくまのぬいぐるみを抱き締めながら、一人悶えていた。彼のその言葉を思い出すだけで、嬉しくなってしまう。頑張って作った甲斐があったというものだ。食べている時なんて、笑顔が収まらなかった。心がくすぐったい感覚だった。

 

「毎日食べていたい、って……結婚、ってことなのかな……?」

 

 また恥ずかしくなって、今度はぬいぐるみに顔を埋める。そして、想像してしまう。彼と一生、手を繋いで生きていく生活を。……なんていい生活だろう。彼の笑顔を思い出して、心臓が高鳴る。どれだけぬいぐるみを強く抱き締めようとも、それは衰えるどころか、勢いを増している。

 

 でも、結婚ってことは、当然、誓いのキスも……

 

「あ、あわ、わ……! も、もう寝よう!」

 

 もう夜も更けている。さっさと寝ようとするも、心臓の音がさらに大きくなってうるさくて眠れない。今まで以上に、彼を好きになっていくのがわかる。

 

「ねぇ……私は、私の『好き』の気持ちは、どうしたらいいのかな……? 柊君……」

 

 窓から漏れ出す月光と星光は、妖しく輝いて部屋を静かに照らしていた。




ありがとうございました!

ハンバーグの表現には、本気を出しました。
果たして上手いかどうかは別として。
書いているのが深夜で、自爆飯テロという高等テクを実践してました。

音葉ちゃんは、できるだけ可愛く書いたつもり。
音葉ちゃんだけでなく、これを見ている方にも悶えられるようにしたいです!

ではでは!
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