遅くなって申し訳ない(´・ω・`)
風邪引くわ、テスト期間わで。
色々な意味で死にそうになってました。
が、今回は告白話! やったね(*´ω`*)
では、本編どうぞ!
……もう、その日はやってきた。
不意に訪れる夜寒を、何回体感しただろうか。この冬は例年以上に気温が低く、防寒具が手放せない。冬季の代名詞の月であるだろう十二月。いつの日かを最後にした冬服も、最近になってようやく違和感なしに着るように。俺としては、合宿もつい最近のことのように感じているところ。
しかし、時は待ってくれない。若干駆け足気味な
そんな状況で、結果を予想、推測、検証することなどできるはずもなく。結果も見据えられない人間が、初期・中盤を俯瞰できるだろうか。もってのほかだろう。まぁつまり、何が言いたいのかというと……
「……わからん。スコップも、今日の『この日』も」
今日この日、どうやら何かがあるらしいのだ。小鳥遊が言っていた。それに関連したヒントのスコップも、結局は何も結びつくこともなし。完全にお手上げ状態だ。かといって、更なるヒントを要求したが、却下。自分で考えなさい、とのこと。可愛く言われてしまった。どうにもこうにも、対抗の手段さえも却下された。
刻一刻と時はスクロールして、ついにその日はやってきた。
もうすぐ屋上に上がって昼食。残された時間も僅か。あれだけ長い時間考えてわからなかったものが、半日も考えずにわかるわけがない。正直、望みは薄い。が、どうしても諦めきれない自分がいた。
「……で、まだわからないの?」
「……申し訳、ありません」
仰る通りですはい。返す言葉もない。寒風が吹き付けるが、最早そんなことは気にすることができなかった。情けないというかなんというか。既に退路は断たれてあるので、逃走も自動失敗。もとより逃走の選択肢はないのだが。
「ふ~ん、わかんないかぁ~、へぇ~……」
「う、ぐっ……!」
どうしても、わからないものはわからない。というか、そのジト目可愛いね。好きだよ、俺。普段の優しそうな眼差しもかなりいいが、見せないようなジト目は中々にレア度が高い。ギャップに萌えることも相乗効果となって――
「まっ、いいよ。それはそれで。だから、さ……今日、
「おう、わかっ――はい?」
あれじゃないか。男の夢がまた一つ叶うじゃん。好きな女の子を家に上げるないしその子の家に上がる。前者はもう既に叶えてある。それも一回じゃない。もしかしたら、気があるのかと想像してしまうから、あまり無闇に男の子を家に誘うのはやめようね? 男の子、すぐ掌の上で転がされちゃうからさ?
ほんっと、好きな女の子の前だと、男の子って無力だからね? どう足掻いても勝てそうにないし、まず勝とうとも思わない。身を委ねて楽に、幸せになろうとするからね。
「あ、あぁぁ、わ、わかったっ!」
ほらもう言葉に詰まって噛んでるもん。どうしてくれようか。男の子って、単純なんだよね、残念なことに。女子諸君よ、吉報だ。男の子は単純なんだぞ。ちょっとボディタッチされただけで意識し始めちゃう。ツイスターなんてやった日には、もうそれはそれは。やったことないけどね!
まず、ツイスターなんてことはできん。メガネ邪魔になりそうだしぃ? そも、する人が集まらないしぃ? 絶対に後者の可能性の方が有力だわ。この一言の持つ説得力には惚れ惚れできる。悲しいね。
ということは、逆説的に言えば男同士のツイスターとか最悪ってことだな。誰得なんだよ。そっち系の趣味はなく、完全にノーマルで現在進行中に女の子が好きな俺としては、わかりかねる問題だ。
……えっと、何の話だったか?
悩み、考え尽くした挙句、何も思い出すことのできないままその時はやってきた。お互い部屋に戻って、暫く経ってから。小鳥遊からの連絡を受けて、隣の号室へ。たった数メートルの距離に、思いを馳せる。玄関を出ると、夜風。数多の星々は主張を繰り返す。が、建造物の灯りに霞んで消える。
息を呑んだ。美しさは燻っているはずなのに、俺には眩しく見えた。人造光に塗れた光の中、燦然とは程遠いのにも関わらず。毎夜観察とはいかないが、それなりに星は眺める。誰だってそのはずだ。意識的に見る者もいるならば、ふと目に入ることだってある。見慣れていたはずだ。
……息を呑まずにはいられなかった。緊張感とは別の何かが全身に走る。いや、緊張もあるだろうか。これから、彼女の家に上がることになるのだから。
ふっと笑ったのかただ呑み余った息を吐き出したのか、わからない音。それに続いて目線を星空から逃した。やはり突然の自宅へのお誘い、動揺が目に見えている。深呼吸であらゆる感情を嚥下した。人差し指で、インターホンのボタンをゆっくりと押して――
「お、お邪魔しま~す……」
「う、うん、どうぞ」
目に入る彼女の私服に、やはり美しいと思ってしまう。どんな服でも着こなさせてしまいそうだ。冗談掛け値一切なしで。
家に、上がる。緊迫は飲み込んだはずなのに、新たに湧いて出てくる。自己暗示を図ろうともしているが、とうに無駄なことは予想できていた。深呼吸も忘れて、彼女の後に続く。同じマンションなので、廊下の素材も模様も同じはずなのだが、俺には到底そうは思えなかった。錯覚も、できすぎなものだ。
彼女の靴の隣に靴を並べる。たった二組の靴と彼女のローファー、合計三つの靴が見えることに違和感を感じた。まぁ、普段男女の靴が一組分並ぶなんてことはないし、当然か。リビングに入り、まず抱いた感想は普通。可愛らしい置物が数個置かれているのみで、あまり飾り気はない。ありすぎず、なさすぎず。色の偏りがないことからも、風水の類でもなさそう。
失礼のないように、あまり周りをキョロキョロしない。これ、女の子の部屋に上がった時の常識な。女の子に限らんけどね。
始まりの二言以外、何も話すことなく一つの扉へと向かっていく。開けられた扉の先。それは彼女の部屋だった。水色の壁紙に、ピンクがかったカーテンなど、清楚な女の子の部屋だと言って、誰もが納得の意を示すような。あ、あまりキョロキョロしてないからね? ちょっと一瞥しただけだから。
「……はい、じゃあ一応ね。問題です!」
振り返り、微笑を浮かべる彼女。小さな笑顔が、明るみのある白い光にはっきりと照らされている。心臓が、小さく跳ねる。彼女には、笑顔の魅力がある。それも、計り知れないほどの。
「思い、出した?」
「……ん?」
今日この日である理由。それが明確になければ、観覧車の時点であんなことは言わない。急なことでないことは確かだ。では、この日は一体何の日だ? 彼女の誕生日でないことくらいは、クラスの様子から伺える。
となると、俺との間だけ――極限られた私的なことの絡みであることは確かだ。俺とだけでなければ、今この場に第三者がお目見えしていることだろう。別の部屋に待機している可能性も、玄関の靴を見ればわかる。靴箱の中に隠して入れるにも、理由がない。
ここまで思考が巡り、不鮮明すぎる答えが。しかも、間違えたならば、少なからずお説教もの。
「……俺と小鳥遊が離れて、十年か?」
「えっ!? わ、忘れたんじゃなかったの?」
「はぁ~」
安堵だろうか、期待だろうか。結果だけでなく要因も不明な吐息。
「……今思い出したでしょ」
「あ、あぁ~、まぁ、否定はしない。というかできない」
「ふ~ん……まぁ、いいよ、ギリギリセーフだね。本題は、っと――これ!」
正直でよかったと思いつつ、小鳥遊が机に置いてあったものを持ち上げ、こちらに突き出す。なんか、この笑顔と一緒だと破壊力抜群だね、これ。めっちゃ可愛いメイドさんみたい。それはそうとして、こちらに突き出されたものは、中くらいの箱。少し薄汚れていて、どうも彼女の部屋に置いていたものとは、信じ難い――
「――
「せ~いか~い!」
なるほど。だから『スコップ』か。それに、区切りでもある十年であり、この日と俺限定であることに一層の納得がいく。しかし、恥ずかしい話ではあるのだが、全く覚えていない。目の前の少女を見ていると、涙が出てきそうだ。
肝心の中身もわからない。当然埋めていた場所もわからない。小鳥遊の家は引っ越しで俺の元を去っている。別れた後にタイムカプセルは入れられないし、入れる意味もない。となると、思い当たるのは俺の実家くらいで、俺にそのことは当然伝えられていない。わざとなのだろうが。
「開けよっか!」
「そう、だな」
いやホント、覚えていないのが悔やまれる。罪悪感に似たものが存在感を増して襲ってくる。思いに駆られ、二人一緒に箱を開ける。鍵も特になく、なんら難しい手順もなく開く箱。肝心の中身はというと――
――
それぞれ、俺と小鳥遊の名前が、平仮名で宛てられている。たったそれだけ。小さな玩具等が入っている心の中の面影は崩れ、意外性を孕む。さらに予想外なことに、それぞれ、各々が
お互いに軽い驚きの目を向け、自分宛ての手紙を開く。平仮名さえ書けるかどうか怪しい年齢。拙いわ読み辛いわで、最早『字』と呼べるかさえ不明。そんな乱雑とも言える象形文字に、感慨を覚えずにはいられなかった。内容に、その当時頑張って書いただろう線に乗せられた想いに。内容は……こうだった。
『まだすきなら、すきっていって』
たったこれだけなのに。俺には全てが理解できた。これを覚えていなかった自分を、恥ずかしくも思った。どうして、こんなに大事なことを思い出さないまま今までを過ごせたのだろう。
――俺は、
捻くれた俺。そんな俺でも、誠実に、真っ直ぐであるべきことは分別がつく。俺はこの手紙に、則る必要がある。そも、タイミングは早まったものの、俺も自分自身と相談していたのだから。忘れてしまっていたが、きっと胸の奥底でしまい続けた想い。
……今回くらいは、真っ直ぐで、曲がらず。自分の想いの丈を伝えるべきだ。
「なぁ、小鳥遊」「ねぇ、柊君」
お互いに、声が重なる。驚く。そんなに大したことでもないのに。お先にどうぞ、なんて言っていられない。
「とんでもなく大事なことを言いたいんだ。先に、言わせてくれ」
「だ~め、私も同じ。譲りたくないの。先に言うのは私だよ。ふふっ」
もう、お互いに紡ぐ言葉は予想できたのだろう。二人で軽く、嬉しそうに笑う。自意識過剰だ。が、外れる気は不思議としなかった。当たっていることが前提であるかのように。
「じゃあ待たなくていい。俺が一方的に言うから」
「だめだって。じゃあ、一緒に……言おっか?」
落丁した十年の時を繋ぎ止めた一通の手紙を、大切に互いに握り締めながら。
夜の月と星々の光が、カーテンと雲間を掻い潜り、この部屋に入り込んだことを合図に、口を開く。
「「十年間、
「ふ……はははっ」
「あははっ、ここまで同じとなると、笑っちゃうね」
駆けた緊張にも気付かないまま終えた一世一代の告白。絶対にしないと思っていたこの行為を、今行った自分に一番驚いている。恋愛なんて馬鹿らしい、なんて考えていたのが、つい数ヶ月とは、にわかには信じ難い事実だ。きっと、吹雪や茜が聞いたらさぞ驚くことだろう。言わないけどね。
「じゃあ、柊君は私にどんな返事をしてくれて、私はどんな返事をすればいいの?」
「どうもこうもないだろ。互いに好きなんだ。俺から言うことは一つ、これだけは俺から言わせてほしい」
男としてどうかと思ってしまう。さすがにこの言葉だけは、自分の口一つで言いたいものだ。すぅっ、と息を吸っても、緊張感はない。というか、彼女が俺を好きだと言ってくれたことに、嬉しさしか感じないで、逆に一周回って緊張がゼロ。感じないだけの重みを吐き出しながら、再び口を開く。
「俺と――付き合って、ください」
「……夢じゃ、ないんだよね? 嘘じゃ、ないよね?」
「勿論。何なら、俺がつねったりしてもいい。嘘じゃないことは、今と今後の俺に誓う」
彼女を騙す、狐になるのも悪くないのだが。そんなことをするとなると、逆に余裕がなくなる。落ち着いて、彼女の返事を待とうか。数秒の静寂を経験し、彼女の笑顔は深まる。輝く笑みを、俺が惚れた最高の笑みを見て。
「こちらこそ……お願いします。私と、付き合ってください」
――気のせいだろうか、目の端に涙を少量溜めた、笑顔が見えた。
ありがとうございました!
いかがでしたか?
少し物足りないかもしれませんが、これからです。
イチャイチャで心がくすぐったくなるのを目指して。
これからは、誠君と音葉ちゃんは恋人同士ということで。
よろしくお願いします!(`・ω・´)ゞ
ではでは!