テストも終わったので、書くペースは若干マシになるかと(´・ω・`)
UAが六桁いきましたねぇ……ありがたい。
まさか、ここまで伸びるとは思わなかったのです(*´ω`*)
では、本編どうぞ!
華美すぎる光らない装飾の群れをくぐって、遊園地の奥へ。
進むにつれて人は少しだけ減っていたが、とある一つの場所だけが客を総取りしていた。
長蛇の列を組み、皆それぞれがこれから遊ぶアトラクションに嬉々とした表情で話している。
家族、はたまた彼氏彼女、さらには電話の向こう側。
そんな期待を膨張させるアトラクションとは。
「……お化け屋敷、結構並んでるな」
「そ、そうだね」
夏の風物詩とも呼ばれる肝試しを、小屋へと収縮した遊具。
それを真冬に体験するというのも、中々乙なものがある。楽しめることに間違いはあるまい。
言葉ほどに、目の前に展開される一列の長さが物を言っている。
どうやらここのそれは、本物の廃病院を使っているようで。
外から見た限りではかなりの大きさであり、ジェットコースターでも通りそうな大きさだ。
そんな広さを巡るとなると、正直不安と恐怖が募る一方だ。
想像しただけでも、少し身の毛がよだつ。
人は薄い表面よりも、中身がある尚且つ自分の目で確かめた物を信じたがる。
冬にお化け屋敷は季節的には合わないという知識よりも、眼前の列が覆したという事実を重要視するのだ。
「いや、意外とサクサク進むから時間はそうでもないかもな」
お化け屋敷はジェットコースターやバイキング等と違って、人数固定制ではない。
ある程度の間を空けてから次の組へを進ませるので、待ち時間には大きく差がある。
列は思いの外、見かけだけのことの方が多い。
「そ、そう、だね」
「……引き返すなら、今の内だぞ」
復唱。時間はそうでもない。
引き返すのであれば、まだ取り返しがつく今だ。
施設内に入ったが最後、出口まで進み続けないといけない。
「大丈夫、大丈夫、大丈夫……」
「それ、大丈夫じゃない奴が言う台詞だぞ」
大抵、この手の言葉は不安定の代名詞となりかねない。
「大丈夫だ」、「心配ない」と自己暗示をすることで、意識をそちらへ向けているのだろう。
が、傍から見るとそれとは真逆だ。
更にぐらついて見えて、不安を煽る行為に他ならない。
さて、もうお分かりだろうが。
小鳥遊の怖れていたものは、お化け屋敷だったということで。
いやまあ、可愛いからこちらとしては入ってもらって大変結構なことなのだけれども。
「大丈夫でありますように……」
「最早願望になってんじゃねぇか」
「次のお客様、こちらへどうぞ~」
「ひぃっ」
自己暗示さえも願いへと変わってきた頃、呼び出しがかかった。
まだ十分も経っていないだろうに。
少し薄暗なタイルを通って、カウンターへ。
前のアトラクションと同じように、当日限りのブレスレットを差し出した後、お化け屋敷の簡易的な説明が始まった。
どうやらここのお化け屋敷は、
蝋燭と言っても、光る電池式ランプが蝋を象っているだけだが。
このランプを頼りに、完全に闇の中を歩いてゆくらしい。
「では、ごゆっくりお楽しみください」
「ほら、行くぞ」
「う、うん」
何を決心したのか、小さな深呼吸と共に蝋燭を持つ俺の腕にしがみつく。
どこか二人で持っているように見えなくもないので、とても仲のいいカップルに見えそうだ。
仲を否定するわけではないが、右腕の感覚がとても幸せである。
というか……すごいな。
何がすごいって、大きさと柔らかさと夢と希望がすごい。
圧力さえ感じてしまう。一言で言うと幸せ。
「震えが腕からでも伝わってくるのですが、小鳥遊さん。大丈夫ですかね?」
「気のせい」
「そ、そうか」
緊張と恐怖のあまり、一周回って大丈夫に思える語調。
きっぱりと告げているが、どう考えても言葉とは逆の状態だろう。
――廃病院。
スピーカーが壊れ、掠れてしまった電子音。
時折に光が消失する赤い丸ランプ。
そして何よりも、本物を彷彿とさせる血液の匂い。
完璧、さすがだとしか言い様がない。
視覚だけならまだしも、嗅覚を刺激して恐怖を煽るとは
「な、なぁ小鳥遊。本当に大丈夫か?」
「…………」
無言。最早、無言。
言葉を発する余裕すらないのか、口を開かず歩くのみ。
白タイルを、奥も暗闇で見えない順路に沿って。
「……怖いか?」
「……怖い」
確認した、次の瞬間。
正にタイミングを見計らったかのように。
赤ん坊の鳴き声が聞こえてきた。
数多くある扉の内、たった一つ、正面の戸から。
苦痛と
「ひぃぃぃいい!」
「待て、行くな! はぐれたらどうしようもないだろっ!」
反射で逃げようとした小鳥遊の腕を引っ張り、引き戻す。
小鳥遊のこれまでの反応を考えると、一人にさせると逆にまずいことになる。
無理にでも引き止めて、二人で行くのが一番安心するだろう。
加えて、このアトラクションは広さが馬鹿にならない。
片方の居場所がわからなくなったら、もうゴールまで会えないと思った方がいいぐらい。
手遅れになる前に、捕まえておくべきだ。
「怖い、怖いよ!」
「だから入る前にあれだけ言ったろ、ったく……」
残念ながら、順路の看板は産声の部屋を指している。
入る他なし、か。
以前として恐怖の体現は響く中、ノブに手をかける。
覚悟を決めて、一気に扉を開け放った。
が、開いたと同時に産声は泣き止み、何事もなかったかのように静寂が戻った。
警戒しながら中へと歩を進め、白一色の部屋をくまなく見回す。
あるのは灰色のロッカーと、中央に置かれた血塗られたベッド。
肝心の赤ちゃんはどこにも、影も形すらもなかった。
「え、え? どこに――」
疑問を口にした小鳥遊の声が、続くことはなかった。
突如、悲鳴とも思える赤ん坊の産声が部屋全体に煩く反響した。
「な、なんだ!?」
あまりにも大きすぎる音量が、耳を容赦なくつんざく。
二人して耳を塞ぐと、さらにはロッカーが思い切り揺れる音がした。
自分の中に確かに渦巻く恐怖を押さえ込みながら、順路の看板へ。
赤い矢印の方向にあるのは、小さい血の手形が象られた白色の扉。
飽きるほど見た面白味の薄れているドアは、手形以外に今までとは大きく異なる点があった。
「お、おい!
押しても引いても、ビクともしない。
ガタガタとその場で揺れるだけで、鍵がかかったような突っかかりが取れない。
どれだけ力を込めようとも、それは変わらなかった。
ただ、鼓膜をこじ開けるように叩かれる暴走音に耳が蝕まれる。
きっと静かになったころには耳鳴りが止まらないことだろう、などと先のことを想像する余裕も、あるはずもなく。
完全に封鎖がされたと悟り、諦めて再び耳を塞いで僅か数秒。
先程までバチバチと音を鳴らしながら、一つだけでこの部屋を照らしていた電球の光が消えた。
何が起きているのか全くわからない。
対処をしようにも、他にできることすらもわからない。
完全に無知の境地に立たされた俺達二人は、文字通り為す術なし。
暗闇の中をただ突っ立っているだけだった。
暗黒から解放されたのは思いの外速かった。
ほんの十秒かそこらで、何事もなかったかのように灯りが戻る。
それとほぼ同時に幼き絶叫もなくなり、この部屋の出来事が全て無に帰した。
――そして、本当に何事もないように。
あからさまに鍵が開く音がして、軋む音を立てながら鉄扉が独りでに開いた。
「何だったんだよ、一体……取り敢えず、生きてるか?」
「生きてる、けど……行きたくない」
小鳥遊の手を少し引くが、その場で踏みとどまっている。
強引に連れていくわけにもいかず、説得することに。
「どちらにせよ、進まないと。途中リタイアがあるのかはわからんが、あるにもないにも進む他ないぞ」
「でも、もう怖いのやだ……」
今にも泣きそうに、目を潤ませてか弱い抗議を続けた彼女。
言うまでもなく歩きだす気配は一切しない。
かといって、引き連れていくのは気が引ける。
「あっ! ……でもなぁ」
「おぉ、どうしたよ」
「いや、おぶってくれたらなあって」
ふむ、彼女をおんぶ、ねぇ。
多数の煩悩等は置いておくとして、意外と悪くない考えだ。
小鳥遊の願いなので、無理に先導することなく前に進める、と。
「おっけ、了解。多分持てるから大丈夫だろ」
「えっ?」
「は?」
「いや、冗談だったんだけど……」
いや冗談かい。
てっきり本当かと思って、いいとも考えたのに。
案外本気だった俺としては、複雑な心境だ。
「ちょっと言ってみたかっただけ。それに、おんぶされたらバレるじゃん」
「何がバレるってんだよ」
「……体重」
……なるほど、なるほど。
俺にはわかりかねるが、女性の殆どは体重を気にする生き物だ。
同じ人間とはいえ、性の違いは理解するという意味で大きな壁である。
男が女の心理を完全に掌握する日は永遠に来ることはなく、そのまた逆も然り。
互いにわからないまま生き続け、子孫を残し死んでゆく。
すれ違ったままで放置され続ける。
「気にするな、多分大丈夫って言ったろ。ほら」
「あ、うわわぁっ!?」
その場だけでだが、彼女をおんぶ。
大丈夫だとは言ったが、持ち上げる瞬間が想像以上に軽い。
「軽すぎだ。ちゃんと食べてるのか?」
「食べてるけど……その、重くない?」
「言ったろ、むしろ軽すぎだ」
それだけ言って、開いた扉の奥へ進んだ。
背中にかかる女の子の重みが心配になるレベルだ。
高校生は男女共に体を作る時期で、反面女子は過剰なダイエットに走る傾向がある。
普段の学校生活を見てきた限りでは、小鳥遊はそんなことはないと思われる。
が、いくらなんでも軽すぎじゃないだろうか。
しかしながら、ここで体重を細かく値で聞くのはデリカシーがない、というものだ。
背負った重さがいくら位なのか計る感覚も、当然あるはずもなく。
「おぉ~、いつもより見晴らしがいい」
「そうかいそうかい。それはよかった」
「それに……あったかい」
呟きながら、彼女の腕は俺の首元を捕まえた。
後ろから抱きついている状態とほぼ同じ。
何ともまあ、密着がすごいね。正に俺得。
というか、胸だけで体重のいくらを占めているのだろうか。
今度は背中が幸せな感覚に包まれておりましてはい。
「あっ、ドキドキしてる!」
「耳当てんな、恥ずかしい」
「へぇ~、恥ずかしいかあ、そっかそっか~」
やけに嬉しそうに言うものだから、余計に恥ずかしくなってくる。
本当に嬉しいかどうかは、それこそ男の俺にはわからない。
彼女は彼氏におんぶされて嬉しいのか。議論の結果は絶対に不明のまま。
小鳥遊の口から告げられたとしても、言ってしまえばそれは真実とは限らない。
ただ、まぁ嬉しく思っていることを切に願う。
「ふふっ、ここ落ち着くなぁ」
「人の背中が落ち着くって、大分変わってるな」
「だって広いしあったかいし。ここに住もうかな」
「ヤドカリみたいに言うな」
多少の笑みを零しながら、赤く照らされた病棟を歩いた。
不思議と、恐怖は欠片ほどもなくなっていた。
ありがとうございました!
やっと少しまともな文字数です。
これを投稿した日は、私は長崎へ行っているのです。行って来ます(`・ω・´)ゞ
少し後書きが短いですが、たまにはいいですかね。
それとも、このくらいの方がいいのだろうか(´・ω・`)
ではでは!