捻くれた俺の彼女は超絶美少女   作:狼々

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どうも、狼々です!

どうしてだろう、冬休みだというのに休めない。
課題の量も結構あるし、補習もあるし。うん……(*´ω`*)

前回、書き忘れたことがありまして。
前々回、二話前のラストは、ジェットコースターにいくフラグを立てました。
しかしながら、先にお化け屋敷の方を実際には書いています。

文字数の関係で、ジェットコースターだけでは一話もたない予想がつきまして。
何かしらと繋げて書こう、と予定を変更し、一話もちそうなお化け屋敷を回しました。
申し訳ない、いつか書くか書かないか(´・ω・`)

そして今日はクリスマス! イブじゃない!
彼氏彼女がいない諸君、この作品で恋人がいる気分になれい!(`・ω・´)キリッ

では、本編どうぞ!


第39話 クリスマスというものは、それとなく人を大胆にさせる。

 ……ただひたすらに、時間がかかった。

 腕時計を見るが、最後に見た時から短針が一つ分の数字を悠々と越している。

 

「あ~……長かった」

「お疲れ様でした」

 

 途中からさすがに思うところがあったのか、自分から降りてお化け屋敷の中を進んだ小鳥遊。

 別にきつくはなかったので、降ろさなくともよかったが。

 

「にしても、もう昼は過ぎたぞ。どうするよ、昼食」

「ん~、そうだね。夜を少し遅くすれば今から食べても大丈夫かな」

 

 元から一日遊び倒す予定だったので、夕食も二人で食べるプラン。

 遅れた分だけ先送りにすればいい話なので、困ることは特になし。

 

 迷ったのはほんの数秒で、すぐにパンフレットを開いた。

 現在地から一番近い店を探してみたところ。

 

「ふむ、イタリアンパスタの店があるな。そこでいいか?」

「私は君と一緒なら、ね?」

「……そういうの言われると、反応に困る」

「あらあら、意外と可愛らしい」

 

 当然、俺がこんなやり取りに慣れているはずもない。

 拙い返事しかできないのは、最早自明の理。

 

 そっぽを向いて、小鳥遊から視線を逸らした。

 先に乗るはずだったジェットコースターから聞こえる叫声から、ゆっくりと離れる。

 食べた後にでも、戻ってこようか。

 

 

 

 木製の古風なドアを開くと、鈴音が鳴る。

 白を基調とした清潔感がある店で、本物のイタリアンの雰囲気をさながらに醸し出していた。

 昼も過ぎた頃なので、中の客は指で数えるほどだ。

 が、昼食・夕食時になると溢れかえるであろうことは目に見える。

 

 ウエイターに案内された席へ座り、メニュー表を眺める。

 聞き慣れた料理の名前や、初めて聞く料理名まで。

 レパートリーが豊富で、本当に遊園地の中にある店なのか疑いたくなってくる。

 

 さて、どれを選ぼうか。

 こうもメニューに幅があると、嫌でも迷ってしまう。

 そんな時は、大抵することは決まっている。

 

「俺はカルボナーラにしようかな」

 

 自分が普段食べる好きなメニューを頼むのが最適解。

 名前も聞いたことさえない、写真も載っていない料理を注文するのも冒険だ。悪くない。

 だが、失敗する確率が低いのは、何を間違おうと好みの料理だ。

「美味しい」と「口に合う」は別問題なので、安全な道を進みたいところ。

 

「おぉ、私も同じのにしようと思ってたとこ」

「じゃ、カルボナーラ二つでいいか」

 

 呼び鈴を鳴らして、カルボナーラを二人前注文。

 それを受けたウエイターは静かに立ち去って、静けさが訪れた。

 普段立ち入ることのない洒落たオーラに、何となく軽い威圧を感じた。

 

「なんか、運命感じる」

「主語と目的語がないからよくわからん」

「私達が、数あるメニューの中で同じのを頼もうとしていたことに」

 

 まあ、言われてみればそうだろうか。

 ワインはアルコール類なので抜きにしても、ざっと数えて五十ほど。

 そもそも、互いにパスタじゃない可能性だってあったわけだ。

 ピザやラザニア、ニョッキなど、膨大なメニューの中たった一つにかち合う。

 確率は決して高くはないはずだ。

 

「今から食べてもあまり問題なさそうなパスタ、その中でも単純に好きだったんだよ、カルボナーラ」

「私も、パスタの中では一番好き。程よい塩味と卵、美味しい」

 

 目の前の彼女が、なんとも幸せそうな笑みを浮かべている。

 こちらとしても、喜んでもらえて何よりです。

 

 カルボナーラ、本当にこの料理を作り出した人間は神なんじゃないかと思う。

 いやむしろ、実際に神様がレシピを作ったのかもしれん。

 それくらい好きである。パスタの中ではダントツだね。

 

「わかりすぎて困る」

「私達、味の好みも合うのかもね」

「長い目で見ると大助かりだ。料理を作るときに悩まなくて済む」

 

 ついでに、妻が夫に聞く「今日の晩御飯、何がいい?」も避けられる。

 あれ、マジで罠だから気を付けろよ。

 

 希望を言ったら言ったで、何かしらの理由を付けられて却下される可能性が高い。

 そうはいえど、「何でもいい」なんて言葉を口にすることは許されない。言語道断。

 それをわかっているのだが、他の返しが思いつかないと頭を抱える者も少なくないだろう、という俺の推測。

 

 あれの正しい解答は、正直に言うとない。

 強いて述べるなら、「冷蔵庫の中にあって安価かつ手軽に作れて保存も効く、栄養価も高くて美味しい物」だ。

 これを言えば、間違いなく妻の方がブチ切れるけども。

 けれども、発言そのものに悪い箇所など一つもないので、ある意味で一番正解に近い。

 

 並んで、帰りが遅い夫に対して言う妻の「私と仕事、どっちが大切なの!?」も中々に模範解答が見つかりづらい。

 俺が思うに、「俺が仕事ばかりで寂しかったんだな。次の休みにでも一緒に出かけよう」だ。

 

 この返しのミソは、「どちらが大切か」という論点をずらすことだ。

 曖昧なまま気付かせずにスルーすることで、問題自体を回避できる。

 さらには後の行動まで約束がされてあるので、具体性が増し、「どちらが大切か」の疑問に話が戻らず、「出かけるか否か」の選択を考えさせる。

 一も二も不正解(トラップ)ならば、新しい三を正解(クリア)にさせればいいという訳だ。

 

 ……完璧すぎる。

 将来有望な旦那になれそうだ。一体何に対して有望なんだよ。

 

「……どうしたの?」

「いや、我ながら頭の回る天才だと自負していたところだ」

「それは随分と我ながらだねぇ」

 

 小鳥遊も、呆れているというか何というか、面白がっている。

 冗談が通る人間で助かるぞい。

 

 間もなくして、注文したものが届いた。

 白いヴェールを携えた黄身を中央に、クリームソースが彩られているパスタ。

 ブラックペッパーがチーズと色の対照を実現させているあたり、ヴィジュアルにも富んでいる。

 

「よし、食べるか」

「そうだね。いただきます」

 

 二人で手を合わせ、白銀色のフォークを手に取った。

 

 ―*―*―*―*―*―*―

 

 ミルク色の麺を口に運んで、前を見る。

 手元に注目すると、器用にフォークを回している。

 本当に器用だ。編み物でもしているかのよう。

 

「ふふっ」

「どうしたんだよ、突然」

「なんでもな~い」

 

 正直、この事実は知らなかった。

 本人の前で言うと怒られてしまいそうだが、外見はあまり器用そうには見えない。

 今まで知らなかったこと一面を知るというのは、ここまで楽しいことなのか。

 たとえ小さなことでも、それが彼のことと考えると、それだけで無性に嬉しさを感じた。

 

 こういう関係になったからこそ、見えてくるものも案外多い。

 今ある環境に、神様に、ちょっぴり感謝だ。

 

 半分と少し食べた辺りで、気づいた。

 口元が、汚れている。無論、私から見えるのだから私自身がではない。

 ……やはり、神様には感謝するべきか。

 

「ここ、ついてるよ」

「ん、んぐ……ありがと」

 

 ペーパーナプキンを手に取って、口元を拭う。

 終わった後すぐ、恥ずかしそうに視線を床へ落としながら彼は呟いた。

 思わず、「可愛い!」と叫んでしまいそうになった。慌てて口を塞いだのだが。

 

 心が踊るというか、こんな反応を見せられると、キュッとくるものがある。

 

「あ、あれだよ。まだついてるから」

「絶対嘘だろもう拭かなくていいから!」

 

 困り果てた表情も、誠に美味である。誠だけに。

「まだついてる」という私の言葉は、勿論のこと嘘。

 ただ同じ反応が見たいがための行いだ。

 全く一致とはいかなかったが、これもまた心がくすぐられる。

 

 潤いを感じた後に食べたパスタは、最高に甘い味もした。

 

 

 

 食事が終わって、外に出た。

 冬ということもあり、普段より早めに夕陽が顔を見せている。

 この遊園地にいられるのも、あと僅かだろうか。

 

 進展があったことと言えば、会計に困らなくなったことだ。

 具体的には、どちらがどれくらい出すかを話さなくなった。

 

 大抵、半分ずつか少し柊君が多め。

 もめる心配もなくなり、進歩と言えるのではないだろうか。

 

「よっし、じゃジェットコースターに――」

「観覧車ぁぁああ! 観覧車行こう、ねっ!」

 

 若干、こうなることはわかっていた。

 食事中にジェットコースターの方を見て、少し笑っていたからだ。

 もうそれだけで察せる。私を一緒に乗せる気だ、と。

 

 ならば、提示される前に希望を言ってしまえばいい。

 そうすれば、大体は――

 

「……まぁ、いいけど」

 

 やっぱり、彼が柔らかく折れてくれる。

 何だか利用しているみたいで心が痛いが、致し方なし。

 できるだけ先送りに、あわよくば乗らないまま夜になって帰ってしまおう。

 

「夜にもう一回乗ろう、二回乗ろう!」

「いや、俺はそれでも構わないから。決まったなら、早いとこ行こう」

 

 手を繋いで、早歩きで赤い大車輪へと向かう。

 観覧車へ近付くにつれて、人気はなくなっていった。

 夕方に観覧車に乗ろうと思う客は、想像よりも少ないのだろう。

 

 特に並ぶこともなく、大きな透明カプセルの中へ。

 隣同士で座り、互いに寄りかかっていた。

 

 この時間が、永遠に続いてほしい。

 彼も私も、何も言葉を発さないまま、ゆっくりと上昇を続ける。

 静けさが、心地良い。私を芯から()かしてしまいそうだ。

 

 ――不思議なものだ。

 

「ねぇ、柊君」

「あぁ、どうし――」

 

 クリスマスというものは、私を大胆にさせる。

 後押しだろうか、勇気だろうか。

 雰囲気に流されているだけ? いいや、違う。

 装っているだけ? それも違う。

 

 ならば、何故。

 何故私は、座った彼に覆い被さっているのだろうか。

 

「……ホント、どうしたんだよ」

「私、君のことが大好き」

「そうか、俺も同じくらいには好きになれていると思うぞ」

 

 橙色の逆光を、彼が受け止めてくれている。

 眩しさはない上に、私の頭まで撫で始めるものだから、安心感が底なしに湧いてきた。

 暖かい。人肌の温もりとは、ここまで心苦しいものだっただろうか。

 

「私ね、本当にどうしようもなく、君が大好きなんだ」

「今度は言葉責めか? 俺としては悪くないが、気恥ずかしいんだが」

「そうじゃない。そうじゃないの」

 

 腕を、首の後ろにかけた。

 何か掴み取ったのか、大きな手の持ち主は私の頭を撫でるのを止める。

 

 まだ、陽は出ているというのに。

 まだ、恋人になって少ししか経っていないというのに。

 まだ、何一つ変われていないというのに。

 

「どうしようもなく君が好きだから、証明したいんだよ、それを」

「で、俺にどうしろと?」

「私も証明するから、柊君も証明してよ」

 

 唐突に、口は動いて止まない。

 空間は揺れ、観覧車は極度に遅く動き始めた。

 

 私と彼の視線は真摯に混ざり合い、届く。

 相手の顔を中央に収めた瞳は、どの宝石よりも美しく輝く。そう確信できた。

 緊張で腕が、声が、双眸が、心が。何もかもが震えて仕方がない。

 頭が真っ白になって、自分が何をしでかすかわかったものではない。

 

「そうだな……これから名前で呼び合うのは?」

「誠君。それだけじゃ、物足りないかな」

 

 全くもって意味不明だ。何が言いたいのだろうか。

 自身がそう思える程に、理性と現実で起こす行動には大きな差があった。

 

「えぇ……音葉」

「ダメ、名前を呼んで誤魔化さないで」

 

 名前を呼ばれただけで、自分の心臓が破裂しそうだ。

 それなのに、言葉が独り歩きをして止まらない。

 頭がショートして、どうにかなってしまいそう。

 

「そ、そういう音葉はどうなんだよ。言い出したのはそっちなんだから、きっちり証明できるんだろうな?」

「も、勿論」

 

 そしてついに、やってしまった。

 言葉の独り歩きに、体が追いつこうとして。

 ()()()()()()()()()()()()

 

「こんな体験初めてなんだが、ドキドキしすぎて逆に冷静になれる。率直に言ってこの体勢すげぇエロいぞ」

「う、うるさい。これがここでは一番やりやすいの」

「えっ、俺の童貞ここで終わるの? さすがに観覧車の中は世間的にも色々と――」

「違う! 何でそうエッチな方向に持っていくの!」

「それこっちのセリフなんだが。跨ってんの誰だよ」

 

 少し理性が戻ってくるが、ここまで来て引き返すわけにもいかない。

 自分の中の悪魔的存在が、不敵に笑う声が聞こえる。

 欲望に忠実なそれに、感謝すべきなのかするべきでないのか。

 いずれにせよ、先に進む他ないわけだ。

 

 ……というか、誰ともしたことないのか。

 それはそれで嬉しい気がして……ごほん。

 

 陽が、傾く。

 車輪が、蠢く。

 感情が、迸る。

 

 暴れ出す想いをそのまま表現しよう。

 首に絡めたままの腕に、寄っていく。

 彼も同じように、私の頭を支えて自分に寄せていく。

 察しが良すぎて、驚く。しようとしていることが、全部見透かされる。

 その感覚が、行き場のない快感になって脳を駆け回った。

 

 ちょうどフレームと陽光が重なった。

 ゴンドラの中がほんの僅か暗くなったことを合図にして。

 

 私達は同時に、目を閉じて、唇をそっと触れ合わせた。




ありがとうございました!

私、カルボナーラが一番好きなんですよ。
ベーコンの塩味と黒胡椒のきいたあの感じ、最高だね。
チーズがあると尚のこと良し。

正直、音葉ちゃん視点ってどうなんだろう。
誠君視点の方が、音葉ちゃんが可愛く映るだろうか。
それとも、音葉ちゃんの思想が文字に見えた方が可愛く映るだろうか、と。
でも、忘れんなよ。書いてんの、間違いなく男だかんな()

最後、ちょい本気出したかなぁ。
全力の60パーくらい。いやいつも全力でやれよ(´・ω・`)

お前らぁ! これでクリスマス、寂しくねぇだろ!
ここでキスシーン持ってきたんだからな!
俺らはリア充だ、幸せだ! 

ということで、クリスマスなので、できるだけ恋愛要素多めにしました。
皆さん、メリー・クリスマス!(*´ω`*)
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