どうしてだろう、冬休みだというのに休めない。
課題の量も結構あるし、補習もあるし。うん……(*´ω`*)
前回、書き忘れたことがありまして。
前々回、二話前のラストは、ジェットコースターにいくフラグを立てました。
しかしながら、先にお化け屋敷の方を実際には書いています。
文字数の関係で、ジェットコースターだけでは一話もたない予想がつきまして。
何かしらと繋げて書こう、と予定を変更し、一話もちそうなお化け屋敷を回しました。
申し訳ない、いつか書くか書かないか(´・ω・`)
そして今日はクリスマス! イブじゃない!
彼氏彼女がいない諸君、この作品で恋人がいる気分になれい!(`・ω・´)キリッ
では、本編どうぞ!
……ただひたすらに、時間がかかった。
腕時計を見るが、最後に見た時から短針が一つ分の数字を悠々と越している。
「あ~……長かった」
「お疲れ様でした」
途中からさすがに思うところがあったのか、自分から降りてお化け屋敷の中を進んだ小鳥遊。
別にきつくはなかったので、降ろさなくともよかったが。
「にしても、もう昼は過ぎたぞ。どうするよ、昼食」
「ん~、そうだね。夜を少し遅くすれば今から食べても大丈夫かな」
元から一日遊び倒す予定だったので、夕食も二人で食べるプラン。
遅れた分だけ先送りにすればいい話なので、困ることは特になし。
迷ったのはほんの数秒で、すぐにパンフレットを開いた。
現在地から一番近い店を探してみたところ。
「ふむ、イタリアンパスタの店があるな。そこでいいか?」
「私は君と一緒なら、ね?」
「……そういうの言われると、反応に困る」
「あらあら、意外と可愛らしい」
当然、俺がこんなやり取りに慣れているはずもない。
拙い返事しかできないのは、最早自明の理。
そっぽを向いて、小鳥遊から視線を逸らした。
先に乗るはずだったジェットコースターから聞こえる叫声から、ゆっくりと離れる。
食べた後にでも、戻ってこようか。
木製の古風なドアを開くと、鈴音が鳴る。
白を基調とした清潔感がある店で、本物のイタリアンの雰囲気をさながらに醸し出していた。
昼も過ぎた頃なので、中の客は指で数えるほどだ。
が、昼食・夕食時になると溢れかえるであろうことは目に見える。
ウエイターに案内された席へ座り、メニュー表を眺める。
聞き慣れた料理の名前や、初めて聞く料理名まで。
レパートリーが豊富で、本当に遊園地の中にある店なのか疑いたくなってくる。
さて、どれを選ぼうか。
こうもメニューに幅があると、嫌でも迷ってしまう。
そんな時は、大抵することは決まっている。
「俺はカルボナーラにしようかな」
自分が普段食べる好きなメニューを頼むのが最適解。
名前も聞いたことさえない、写真も載っていない料理を注文するのも冒険だ。悪くない。
だが、失敗する確率が低いのは、何を間違おうと好みの料理だ。
「美味しい」と「口に合う」は別問題なので、安全な道を進みたいところ。
「おぉ、私も同じのにしようと思ってたとこ」
「じゃ、カルボナーラ二つでいいか」
呼び鈴を鳴らして、カルボナーラを二人前注文。
それを受けたウエイターは静かに立ち去って、静けさが訪れた。
普段立ち入ることのない洒落たオーラに、何となく軽い威圧を感じた。
「なんか、運命感じる」
「主語と目的語がないからよくわからん」
「私達が、数あるメニューの中で同じのを頼もうとしていたことに」
まあ、言われてみればそうだろうか。
ワインはアルコール類なので抜きにしても、ざっと数えて五十ほど。
そもそも、互いにパスタじゃない可能性だってあったわけだ。
ピザやラザニア、ニョッキなど、膨大なメニューの中たった一つにかち合う。
確率は決して高くはないはずだ。
「今から食べてもあまり問題なさそうなパスタ、その中でも単純に好きだったんだよ、カルボナーラ」
「私も、パスタの中では一番好き。程よい塩味と卵、美味しい」
目の前の彼女が、なんとも幸せそうな笑みを浮かべている。
こちらとしても、喜んでもらえて何よりです。
カルボナーラ、本当にこの料理を作り出した人間は神なんじゃないかと思う。
いやむしろ、実際に神様がレシピを作ったのかもしれん。
それくらい好きである。パスタの中ではダントツだね。
「わかりすぎて困る」
「私達、味の好みも合うのかもね」
「長い目で見ると大助かりだ。料理を作るときに悩まなくて済む」
ついでに、妻が夫に聞く「今日の晩御飯、何がいい?」も避けられる。
あれ、マジで罠だから気を付けろよ。
希望を言ったら言ったで、何かしらの理由を付けられて却下される可能性が高い。
そうはいえど、「何でもいい」なんて言葉を口にすることは許されない。言語道断。
それをわかっているのだが、他の返しが思いつかないと頭を抱える者も少なくないだろう、という俺の推測。
あれの正しい解答は、正直に言うとない。
強いて述べるなら、「冷蔵庫の中にあって安価かつ手軽に作れて保存も効く、栄養価も高くて美味しい物」だ。
これを言えば、間違いなく妻の方がブチ切れるけども。
けれども、発言そのものに悪い箇所など一つもないので、ある意味で一番正解に近い。
並んで、帰りが遅い夫に対して言う妻の「私と仕事、どっちが大切なの!?」も中々に模範解答が見つかりづらい。
俺が思うに、「俺が仕事ばかりで寂しかったんだな。次の休みにでも一緒に出かけよう」だ。
この返しのミソは、「どちらが大切か」という論点をずらすことだ。
曖昧なまま気付かせずにスルーすることで、問題自体を回避できる。
さらには後の行動まで約束がされてあるので、具体性が増し、「どちらが大切か」の疑問に話が戻らず、「出かけるか否か」の選択を考えさせる。
一も二も
……完璧すぎる。
将来有望な旦那になれそうだ。一体何に対して有望なんだよ。
「……どうしたの?」
「いや、我ながら頭の回る天才だと自負していたところだ」
「それは随分と我ながらだねぇ」
小鳥遊も、呆れているというか何というか、面白がっている。
冗談が通る人間で助かるぞい。
間もなくして、注文したものが届いた。
白いヴェールを携えた黄身を中央に、クリームソースが彩られているパスタ。
ブラックペッパーがチーズと色の対照を実現させているあたり、ヴィジュアルにも富んでいる。
「よし、食べるか」
「そうだね。いただきます」
二人で手を合わせ、白銀色のフォークを手に取った。
―*―*―*―*―*―*―
ミルク色の麺を口に運んで、前を見る。
手元に注目すると、器用にフォークを回している。
本当に器用だ。編み物でもしているかのよう。
「ふふっ」
「どうしたんだよ、突然」
「なんでもな~い」
正直、この事実は知らなかった。
本人の前で言うと怒られてしまいそうだが、外見はあまり器用そうには見えない。
今まで知らなかったこと一面を知るというのは、ここまで楽しいことなのか。
たとえ小さなことでも、それが彼のことと考えると、それだけで無性に嬉しさを感じた。
こういう関係になったからこそ、見えてくるものも案外多い。
今ある環境に、神様に、ちょっぴり感謝だ。
半分と少し食べた辺りで、気づいた。
口元が、汚れている。無論、私から見えるのだから私自身がではない。
……やはり、神様には感謝するべきか。
「ここ、ついてるよ」
「ん、んぐ……ありがと」
ペーパーナプキンを手に取って、口元を拭う。
終わった後すぐ、恥ずかしそうに視線を床へ落としながら彼は呟いた。
思わず、「可愛い!」と叫んでしまいそうになった。慌てて口を塞いだのだが。
心が踊るというか、こんな反応を見せられると、キュッとくるものがある。
「あ、あれだよ。まだついてるから」
「絶対嘘だろもう拭かなくていいから!」
困り果てた表情も、誠に美味である。誠だけに。
「まだついてる」という私の言葉は、勿論のこと嘘。
ただ同じ反応が見たいがための行いだ。
全く一致とはいかなかったが、これもまた心がくすぐられる。
潤いを感じた後に食べたパスタは、最高に甘い味もした。
食事が終わって、外に出た。
冬ということもあり、普段より早めに夕陽が顔を見せている。
この遊園地にいられるのも、あと僅かだろうか。
進展があったことと言えば、会計に困らなくなったことだ。
具体的には、どちらがどれくらい出すかを話さなくなった。
大抵、半分ずつか少し柊君が多め。
もめる心配もなくなり、進歩と言えるのではないだろうか。
「よっし、じゃジェットコースターに――」
「観覧車ぁぁああ! 観覧車行こう、ねっ!」
若干、こうなることはわかっていた。
食事中にジェットコースターの方を見て、少し笑っていたからだ。
もうそれだけで察せる。私を一緒に乗せる気だ、と。
ならば、提示される前に希望を言ってしまえばいい。
そうすれば、大体は――
「……まぁ、いいけど」
やっぱり、彼が柔らかく折れてくれる。
何だか利用しているみたいで心が痛いが、致し方なし。
できるだけ先送りに、あわよくば乗らないまま夜になって帰ってしまおう。
「夜にもう一回乗ろう、二回乗ろう!」
「いや、俺はそれでも構わないから。決まったなら、早いとこ行こう」
手を繋いで、早歩きで赤い大車輪へと向かう。
観覧車へ近付くにつれて、人気はなくなっていった。
夕方に観覧車に乗ろうと思う客は、想像よりも少ないのだろう。
特に並ぶこともなく、大きな透明カプセルの中へ。
隣同士で座り、互いに寄りかかっていた。
この時間が、永遠に続いてほしい。
彼も私も、何も言葉を発さないまま、ゆっくりと上昇を続ける。
静けさが、心地良い。私を芯から
――不思議なものだ。
「ねぇ、柊君」
「あぁ、どうし――」
クリスマスというものは、私を大胆にさせる。
後押しだろうか、勇気だろうか。
雰囲気に流されているだけ? いいや、違う。
装っているだけ? それも違う。
ならば、何故。
何故私は、座った彼に覆い被さっているのだろうか。
「……ホント、どうしたんだよ」
「私、君のことが大好き」
「そうか、俺も同じくらいには好きになれていると思うぞ」
橙色の逆光を、彼が受け止めてくれている。
眩しさはない上に、私の頭まで撫で始めるものだから、安心感が底なしに湧いてきた。
暖かい。人肌の温もりとは、ここまで心苦しいものだっただろうか。
「私ね、本当にどうしようもなく、君が大好きなんだ」
「今度は言葉責めか? 俺としては悪くないが、気恥ずかしいんだが」
「そうじゃない。そうじゃないの」
腕を、首の後ろにかけた。
何か掴み取ったのか、大きな手の持ち主は私の頭を撫でるのを止める。
まだ、陽は出ているというのに。
まだ、恋人になって少ししか経っていないというのに。
まだ、何一つ変われていないというのに。
「どうしようもなく君が好きだから、証明したいんだよ、それを」
「で、俺にどうしろと?」
「私も証明するから、柊君も証明してよ」
唐突に、口は動いて止まない。
空間は揺れ、観覧車は極度に遅く動き始めた。
私と彼の視線は真摯に混ざり合い、届く。
相手の顔を中央に収めた瞳は、どの宝石よりも美しく輝く。そう確信できた。
緊張で腕が、声が、双眸が、心が。何もかもが震えて仕方がない。
頭が真っ白になって、自分が何をしでかすかわかったものではない。
「そうだな……これから名前で呼び合うのは?」
「誠君。それだけじゃ、物足りないかな」
全くもって意味不明だ。何が言いたいのだろうか。
自身がそう思える程に、理性と現実で起こす行動には大きな差があった。
「えぇ……音葉」
「ダメ、名前を呼んで誤魔化さないで」
名前を呼ばれただけで、自分の心臓が破裂しそうだ。
それなのに、言葉が独り歩きをして止まらない。
頭がショートして、どうにかなってしまいそう。
「そ、そういう音葉はどうなんだよ。言い出したのはそっちなんだから、きっちり証明できるんだろうな?」
「も、勿論」
そしてついに、やってしまった。
言葉の独り歩きに、体が追いつこうとして。
「こんな体験初めてなんだが、ドキドキしすぎて逆に冷静になれる。率直に言ってこの体勢すげぇエロいぞ」
「う、うるさい。これがここでは一番やりやすいの」
「えっ、俺の童貞ここで終わるの? さすがに観覧車の中は世間的にも色々と――」
「違う! 何でそうエッチな方向に持っていくの!」
「それこっちのセリフなんだが。跨ってんの誰だよ」
少し理性が戻ってくるが、ここまで来て引き返すわけにもいかない。
自分の中の悪魔的存在が、不敵に笑う声が聞こえる。
欲望に忠実なそれに、感謝すべきなのかするべきでないのか。
いずれにせよ、先に進む他ないわけだ。
……というか、誰ともしたことないのか。
それはそれで嬉しい気がして……ごほん。
陽が、傾く。
車輪が、蠢く。
感情が、迸る。
暴れ出す想いをそのまま表現しよう。
首に絡めたままの腕に、寄っていく。
彼も同じように、私の頭を支えて自分に寄せていく。
察しが良すぎて、驚く。しようとしていることが、全部見透かされる。
その感覚が、行き場のない快感になって脳を駆け回った。
ちょうどフレームと陽光が重なった。
ゴンドラの中がほんの僅か暗くなったことを合図にして。
私達は同時に、目を閉じて、唇をそっと触れ合わせた。
ありがとうございました!
私、カルボナーラが一番好きなんですよ。
ベーコンの塩味と黒胡椒のきいたあの感じ、最高だね。
チーズがあると尚のこと良し。
正直、音葉ちゃん視点ってどうなんだろう。
誠君視点の方が、音葉ちゃんが可愛く映るだろうか。
それとも、音葉ちゃんの思想が文字に見えた方が可愛く映るだろうか、と。
でも、忘れんなよ。書いてんの、間違いなく男だかんな()
最後、ちょい本気出したかなぁ。
全力の60パーくらい。いやいつも全力でやれよ(´・ω・`)
お前らぁ! これでクリスマス、寂しくねぇだろ!
ここでキスシーン持ってきたんだからな!
俺らはリア充だ、幸せだ!
ということで、クリスマスなので、できるだけ恋愛要素多めにしました。
皆さん、メリー・クリスマス!(*´ω`*)