捻くれた俺の彼女は超絶美少女   作:狼々

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どうも、狼々です!

もうタイトルが意味不明ですね。
孔子は、古代中国の思想家のあの人のことで合ってます。

今回は、ちゃんと捻くれ要素を入れました。
入れないとタイトル詐欺になるんで、しっかり誠君を捻くれキャラとして定着させたい。

では、本編どうぞ!


第7話 よって、ぼっちは孔子で鷹なのだ

 部屋に戻った今でも、パニック状態に近い興奮が俺の胸や頭の中で、もやもやと取り巻いている。生涯非リアであると思われる俺が、今週の週末に、超絶美少女とデート? ありえない。現に、俺はこれが夢でないか疑っているくらいだ。頬をつねらなくとも、夢ではないとわかっているが、どうも現実味がないのだ。

 

 そんな夢のような話に浮かれている俺もいる。もうこんなチャンスは滅多にないどころか、二度と来ないかもしれない。自分で言うのもどうかと思うが、ぼっちな俺である以上、デートはおろか、交友関係を結ぶことさえも危うい。恋愛経験ゼロの俺にとって、チャンスでもピンチでもある。どういう風に過ごせばいいのか、真剣に考える必要がある。

 

 しかし、真剣に考えたところで所詮俺。いい考えなど到底思いつくはずもなく、ネットを漁りまくる。ファッションとかもわからないので、ついでに。仕送りは余るほどあるのが救いというかなんというか。このために送ってくれてたのか? 俺の両親が未来人だった件について。

 

「あぁ~どうしようかな~」

 

 そんな声を一人響かせても、何も、何一つ変わらない。

 

 彼女とデートに行くという、嬉しい現実も。

 

―*―*―*―*―*―*―

 

「柊君とデートかぁ……なんか、楽しくなりそうだな~」

 

 まさか、いきなり話を持ち出されるとは思ってもいなかった。既成事実を無理矢理に作ったのは私だけど。彼は案外押しに弱いのかな? そんなことを考えていると、笑顔が止まらない。本当に楽しみなんだ、私。色々と面白いことがありそう。学校以外の彼を少し見てみたい気もする。

 

 彼の考え方には、他の人にないものを感じる。真っ直ぐではないけれど、核心ばかりをついている気がする。今まで昼休みに話していて、だんだんとわかってきた。それに、たまに冗談が面白い。今までには経験したことがないことばかり経験したり、聞いたりしてたと思う。

 

 

 

 

 

「もし、思い出してくれるなら……」

 

 ―*―*―*―*―*―*―

 

 その日の夜。早くも心を踊らせていた日の夜の夢は。とても、色のない夢。白のみで構成されている夢。今にも散ってしまいそうな夢。

 

「ねぇねぇ、いっしょにあそぼうよ!」

「いいよ! なにしてあそぼうか!」

 

 幼い自分と対峙している、こちらも幼き、可愛らしい女の子。笑顔は太陽よりも眩しく、どんな人間よりも明るく、可愛らしい。けれど、その笑顔は今までに見たことがな――

 

 ――いや。俺は、この女の子を知っている。見たことがある。

 

「――はなにがいい?」

「わたしは、ひいらぎくんとなら、なんでもいい!」

 

 けれど。けれど、けれど。名前がどうしても思い出せない。知っているはずなのに。見たことがあるはずなのに。その後も、幼い俺がその女の子の名前を呼ぶけれど、全てノイズが重なり、掻き消される。

 

 瞬間、光景が飛んだ。夢ではありがちなことだ。でも。

 

「じゃあね……ひいらぎ、くん……」

 

 飛んだ先が、泣いている少女であることはありがちとは言えない。見た目からして、先程の女の子に間違いないだろう。幼い俺も、その女の子と同じように少しだけ、静かに涙を流しているのがわかる。

 

 悲しい。この少女の『さよなら』に対して。ただ遊んだ後の『さよなら』で泣いているわけではないだろう。もしそうだったら、思い入れが強すぎるというか、大袈裟すぎる。と、いうことは。この『さよなら』は、もっともっと長い、永い『さよなら』なんだろう。単純に考えれば、引っ越し。それしか考えがつかない。

 

 ……恐らくだが、この目の前の少女は、幼馴染。幼い頃に遊んでいるし。それで、その少女の引っ越しが悲しい、と。それで、だから何だというのだ。俺は覚えていないわけではない。いや、正確には、ついさっき思い出した。夢が始まってすぐに。

 

 しかし、どうにも名前を思い出せそうにない。色のない夢に、彼女の名前が消えていく。淡く、儚く霞んでいく。

 

 そして、揺らめいている視界の先で。色が少しだけ()いて、少女が背を向けて去ろうとした瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――彼女の、さらさらときめ細やかな、()()()()が揺れた。

 

 

 

 

 

「んぅあ……」

 

 目を開いた瞬間、窓からの眩しい陽光が目に入り、若干の拒絶によって、再び目を閉じる。そして、目を閉じたまま理解する、夢から覚めたことを。あの彩りの薄い夢が終わったことを。いつもと同じように起きて、登校の準備を始める。

 

 登校の準備が終わって、外へ出てから玄関を施錠し終えた後、少しの間だけ人をを待つ。待ち人が来るまで、ずっと考えていた。引っかかるのだ、あの消えていった黒髪の少女が。名前を思い出そうとしても、どうにも上手くいかない。喉元まで来ていて、あと一歩で思い出せそうなのに。

 

 もどかしさを胸に秘めていると、やがて待ち人が来た。そして、目を見開く。黒髪長髪の、女の子。

 

 

 

 

 

 

 ……いや、まさかな。

 

「ごめんね、お待たせ。()()

「あ……あぁ、行こうか」

 

 柊君と呼ばれて、心臓が跳ねたようになった。いや、本当にありえないだろう。可能性すら残っていないはずだ。俺は、小鳥遊とはあれが初対面。幼い頃に会った覚えなどない。

 

 その靄は晴れないまま、一年三組の教室まで持っていくことになった。晴れないにしても、せめて忘れてきたかったものだ。

 

 

 

 

 授業中もずっとその調子で、先生に問題を解く人として当てられて、一瞬答えられなくなりそうになったのが何回かあった。それほど、胸の奥で引っかかり続けている。この靄をできるだけ早くに払いたいものだ。

 

「ねぇ、誠。今日はいつもに増して変だね~」

「いつもに増しては余計だ、吹雪。思い出せそうで思い出せないのがあるんだよ」

「ま、そうやってずっと考えて、結局思い出せないならその程度のことだったんじゃない? 大きくて重要なことだったら、忘れることも、思い出せなくなることもないでしょ」

 

 休み時間に、吹雪にもこう言われた。しかし、一理あるような気がする。相当大事なことだったら、逆に忘れることが難しいだろう。少なくとも、今すぐ思い出す必要はなさそうでもある。正直思い出したいところではあるが、今はそれよりも大きな問題がある。さってと、あの二人組は~っと。

 

「あの二人、今日はやけに大人しいね。昨日小鳥遊が泣いちゃったからかな?」

「おい、何で昨日それを俺に言わなかった」

「泣き顔、見たかったの? 相変わらず綺麗で可愛かったけど、悲しみで泣く女の子の顔よりも、幸福で泣く女の子の顔を見たいな、俺は」

 

 いや、そうじゃない。そうじゃないんだよ、吹雪。確かに俺も幸福で泣く女の子は好きだけどさぁ。あのゆるやかというか、柔らかい優しい感じがたまらない。守ってあげたくなるよね。でも、幸福か不幸かが判別できないのが俺。わかりにくい。悲しくて泣いているとわかったとしても、どうすればいいかわからない。ただ慰めるだけでもダメだろうし。

 

 以前、俺と女の子と他に男女数人がいる状況で、女の子に泣き始め、先生がその現場を見て、一番に俺を疑って、明確な理由なしに怒られた覚えがある。理不尽極まりない。何故俺を一番に疑って叱ったし。他にもいただろが。なに? 俺をそんなに犯人に仕立て上げたいんですかね? 結局、俺の簡潔かつ具体的な説明によって容疑は晴れた。……怒られた後に。全く……。

 

 ちなみに、その女の子が泣いた理由が、『なんか嫌だった』らしい。『なんか』って何だよ。怒られたこっちが聞きてぇわ。一方的に傷ついただけじゃねぇかよ。まさか、俺といたことに涙する程悲しいわけじゃないんだよね?

 

 ……そうじゃないと信じたい。

 

 で、今は授業中。その間で、あの二人が急に静かになったのは、理由があるだろうと考えた。

 

 それは、これ以上騒がしく、事を大きくすると、自分達が擁護(ようご)されなくなるからだ。あの二人が小鳥遊を泣かせたという事実は、このクラスでは全体に既成事実として広がっていることだろう。さらに追い詰めると、あの二人が擁護されるどころか、批難される側になってしまう。

 

 それに、昨日の小鳥遊の話が本当ならば、あの黒宮が動いているのだ。『黒宮君が止めたのにまだ責めるなんてかわいそ~』という考えが広まる可能性が十分にある。そうなると、周りの標的になるのは、少なくとも俺らじゃない。悪くてなくなり、普通はあの二人に向いて終わる。

 

 集団を名乗る人間は全員が例外なく、省かれることを最も避ける。省かれても平気だったら、俺の様にぼっちで過ごしていることだろう。時間なども色々と割かなければならないし、いいことはあまりない。でも、省かれたくない一心で集団に属し続ける。滑稽だな。俺はそいつらとは違うがな。

 

 ついこの前に書いた作文。協力についてのだ。あれで、協力は省くことを前提にしていることを証明できている以上、誰かは省かれる必要がある。それを、集団の中のさらに上のカースト層が決める。その決断の対象が自分に向かないようにと、周りは必死になる。何とも辛く、面倒で絶望的なのだろうか。集団のイメージカラーは、真っ黒なのだ。

 

 で、こうやって周りからの批難を受けるとまずいわけだ。自分達は平気で批難する側に立つのにな? どれだけ虫のいいことだろう。孔子の『論語』の教えを知らないのか。その教えの一つに、簡単に言えば、『自分がしてほしくないことは、他人にしてはいけない』というものがある。それを、平気でやっているのだ。孔子に叱られとけばいいのに。

 

 その点、俺を含むぼっちはどうだろう。嫌がることはおろか、何もしない。無なのだ。平穏至上主義のぼっちこそ、一番孔子の教えを尊重していることになるのだ。むしろ、孔子と同レベルなのではないのだろうか。つまるところ、ぼっちは孔子なのだ。それほど偉大なる存在なのだ。それを貶し、蔑むとは一体何様のつもりなのだろうか。

 

 かの思想家を馬鹿にするとは、いい度胸だなぁ、おい。自分達で集団の在り方でも証明してみろよ。できるだろ? まぁ、それができないから集団でいるのだが。

 

 一人でそのことの正しさを証明できないから、周りと徒党(ととう)を組んで、無理矢理に正当化させているのだ。そんな人間よりも、ぼっちの方がよほど優れていると思われる。けれど、それを声を大にして言わないで、『能ある鷹は爪を隠す』状態を維持するぼっちはマジ鷹。

 

 よって、ぼっちは孔子で鷹なのだ。

 

 二人の落ち着いた理由を推測していたら、ぼっちを称える文になってた。それに、とても捻くれ考え方も入っている。さすが俺だ。もういつも通り、何も気にすることはない。

 

 けれども、あの二人がこのまま終わるとも思えない。少しの間は大人しくなるだろうが、しばらくしたらまた同じことを繰り返すだろう。具体的には、俺を悪く言ったり、悪く言ったり、悪く言ったり。結局は俺が被害を(こうむ)るのかよ。どれだけ俺の精神が強かろうと、さすがにねちねちといつまでもやられたら、堪ったものではない。どうせ合宿の時には崩壊が決定しているんだ。なら、今何をやっても変わらん。これ以上崩壊するわけでもあるまいし。

 

 取り敢えず、今から一週間くらいは大丈夫だろう。もし、もしまた小鳥遊が泣くようなことがあったら。俺が助け舟を出すことにしよう。どうせ、二人は小鳥遊を狙っているのだから。狙う場所がわかっているなら、あとはそれを防ぐだけだ。未然に、というのは正直厳しいが、途中で間に入って止めることくらいはできるだろう。

 

 考え終わって丁度良くチャイムが鳴り、昼休み開始も伝える。黒宮が礼の合図をかけ、それに皆が合わせる。そして、それぞれの昼休みを過ごしていく。俺も足早に屋上に向かう。

 

 

 

 屋上に吹き込む風に心を揺らせて、考えていた。

 

 あの夢の女の子の幼馴染は、誰なんだろうか。気にすることはない、という結論を出しておきながら、ふと考えてしまう。それはやはり、小鳥遊と少し重なる部分があるからだろう。重なると言っても、容姿だけだが、俺の考えを鈍らせて催促させるには十分。どうにも気になってしまう。

 

 懸命に名前のバックアップを探すが、残念ながらそれらしきフォルダもファイルもなし。検索をかけても、該当するキーワードすらないため、断念。こんなのどうすりゃいいんだよ……。

 

「どうしたの、柊君?」

「あ? うわぁあっ!」

 

 え……? 考え事で目の前が盲目になっていた俺は、いつの間にか来た小鳥遊の存在に気が付かなかった。一瞬遅れて驚いてしまう。彼女は今、俺の顔を覗き込むような体勢になっている。俺は単純に、屋上のフェンスにもたれかかって座っているだけなので、その姿勢は胸を強調するような感じに。

 

 この前――隣に引っ越したという報告があった時に気が付いたが、彼女の胸は、かなり豊満だ。ワンピースという薄い格好だからこそわかった。まだ春服なのでしっかり胸が強調されているわけじゃない。よかった。もしそうなっていたら、目のやり場に困る。ちなみに、体のラインも中々だった。あの体型は反則だと思うんだよなぁ……

 

 それよりも、今だ。覗き込むということは、顔がとても近い。それはもう超至近距離。スナイパーとかの至近距離とかは離れすぎているが、生憎(あいにく)俺は一般人。一般人の至近距離は、ほんのちょっと。もう少しでおでこがくっつくんじゃないかとも思うくらい近い。

 

 ちなみに、とてもいい匂いがする。

 

「何考えてたの? 珍しいね、考え事なんて」

「それは俺に『いつも考えないで動くよね』っていう遠回しな揶揄(やゆ)なのか?」

「そうそう、そんな感じがいつもの柊君。面白い面白い」

 

 一体何が面白いと言うんだろうか。むしろ俺は考えてばっかだろ。捻くれたことばっかり……どうしようもないな。救いようもない。救われる気も、自分から立ち直ろうとする気もないが。

 

 

 

 彼女の眩しい、明るく可愛らしい笑顔は。夢の女の子のそれと酷似(こくじ)していた。




ありがとうございました!

ぼっちは孔子で鷹らしいです。
人間でも猛禽類でもあるらしいです。

次話か次々話にはデート書きたいですが、ファッションがわかりません。
希望はそのくらいですが、遅れることも十分にありえます。
そうなると、合宿編のスタートに影響が……!

ではでは!
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