シルバーウィング   作:破壊神クルル

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44話

学年別タッグトーナメントにてラウラのISがVTシステムを発動させ、搭乗者であったラウラが飲み込まれたが、イヴの手により何とか無事に救出されたが、今度はそのイヴがVTシステムに取り込まれてしまった。

だが、そのVTシステムでさえも、イヴの中の獣に吸収されてしまった。

VTシステムを取り込んだ獣はその外見を金色の球体へと変化させた。

千冬は現状を学園の存続において最悪レベルの事態だと判断し、アリーナに到着した教員部隊に対して攻撃命令を下した。

楯無は未だにイヴの救助が終わっていない現状でいきなりの攻撃命令に対して異議を唱えたが、聞き入れてもらえず攻撃は実行された。

楯無も千冬も‥そして攻撃を実行した教員部隊のメンバーもイヴは死んだかと思われた。

だが、教員部隊のラファール・リヴァイヴのライフルによる銃撃、葵による斬撃、更には火炎放射器による火炎攻撃を受けてもイヴが取り込まれているであろう金色の球体には傷一つ付けることも出来なかった。

現状における攻撃手段が全て通じなかった事にまさにお手上げ状態だった。

 

「織斑先生、どうしましょう?」

 

教員部隊からはどうすればいいのかと指示を乞う通信が入る。

こんなことは千冬自身も想定外でまさかISの攻撃を無傷のままで防ぎきるとは思っても見ていなかった。

あの防御力では強力な威力のあるTNT爆薬を括りつけて起爆させてもダメージを与える事が出来るか不明である。

 

(考えろ‥‥何か手段はある筈だ。ISもVTシステムも人間が作り出したもの。何か弱点が有る筈だ‥‥)

 

千冬は親指の爪を噛んで何かあの金色の球体を攻撃してダメージを与える方法があると考える。

 

(あの球体‥なんだか卵みたい‥‥)

 

そんな中、シャルルが金色の球体を見てあの球体はただの球体ではなく、卵を意識した形に見えた。

卵の状態だからこそ、あの金色の球体は移動もせず攻撃もしない。

そして防御力が並外れて高いのではないだろうか?

もし、卵だとしたら一体中から何が出てくるのだろうか?

シャルルはそんな疑問を抱いていた。

 

(IS‥VTシステム‥‥人が造ったモノ‥‥IS‥‥)

 

(っ!?そうかっ!?まだ手はある!!)

 

千冬が金色の球体についての対処についてある手段が思いついた。

 

「織斑」

 

「は、はい」

 

いきなり千冬に声をかけられて百秋はビクッと体を震わせる。

 

「あの金色の球体はVTシステムによってできたモノは理解しているな?」

 

「あ、ああ‥‥」

 

「そして、VTシステムもまた元をただせばISの装備の一つ‥‥つまりあの金色の球体もISと変わらない‥‥ならば、零落白夜が唯一あの球体を倒す事の出来る武器だ」

 

「そ、そうかっ!?流石千冬姉!!」

 

「デュノア、更識姉、お前達のISのエネルギーを白式に供給しろ」

 

千冬はあの球体の形並外れた防御力を見て、あの球体は謎の物体だと錯覚していたがあの球体もVTシステムによって作られたモノであり、その元凶のVTシステムだってISの装備の一つにしか過ぎない。

姿形は異なってもあの金色の球体はISなのだ。

ならば、ISのバリアー無効の効果を持つ零落白夜で斬りつければダメージを与える事も可能な筈。

しかし、現在白式はエネルギーがゼロの状態なので、千冬はシャルルのリヴァイヴと楯無のミステリアス・レイディのエネルギーをよこせと言う。

 

「は、はい」

 

シャルルは千冬に応じて白式に自らの専用機のエネルギーを分けようとするが楯無は、

 

「お断りします」

 

千冬の命令を拒否した。

 

「なに?」

 

楯無の返答に千冬は眉を顰める。

 

「白式のエネルギーを回復させるのであれば、デュノア君のISで十分足りる筈です。私のISからエネルギーをとる必要はないと思いますが?」

 

楯無はほぼ無表情の状態で自分の愛機のエネルギーを白式へ供給する意味はない事を千冬に伝える。

 

「ちっ、まぁいい。デュノア、急げ。奴がまだ動けぬうちにな」

 

「は、はい」

 

シャルルはリヴァイヴからコードを出して百秋の腕についている白式の待機状態である白いガントレットにコードを繋ぐ。

 

「リヴァイヴのコア・バイパスを開放。エネルギーの流出を許可‥‥」

 

シャルルのISのエネルギーが百秋の白式の中へと流れていく。

やがて、シャルルのリヴァイヴのエネルギーすべてが白式へと供給された。

そして、百秋は再び白式を稼働させて白いISを纏う。

雪片は未だにアリーナの床に落ちているが状態だが、卵の状態ならば雪片を拾って零落白夜を発動して斬りつけるぐらいのことができる。

 

「よし、準備完了!!」

 

「織斑、一気に勝負をつけろ」

 

「おう、任せてくれ千冬姉!!」

 

「織斑先生だ、馬鹿者」

 

動けずにしかも攻撃もしてこない相手ならば怖くないのか百秋は勇んでピットから出よとしたその時、

 

「お、織斑先生!!」

 

金色の球体を包囲していた教員部隊の一人から通信が入った。

 

「なんだ?」

 

「そ、それが‥‥」

 

「どうした?要件を早く言え!!」

 

「目標に変化が!?」

 

「なに!?」

 

千冬達がピットのギリギリの所まで行くとアリーナに鎮座していた金色の球体は徐々に姿を変え始めた。

それはまるで卵から孵化する鳥の雛の様だった。

 

「か、形が‥‥」

 

「変わっていく‥‥」

 

誰もが唖然としてその光景を見ていると‥‥

 

「□□□□□□□□□□□―――!!!!」

 

金色の球体だったVTシステムは鳥っぽい竜の形へと姿を変えて産声を出すかのように一声した。

金色の竜の一声はアリーナをビリビリと震わせた。

 

「お、遅かったか‥‥」

 

千冬は百秋の攻撃が間に合わなかった事に顔を歪めた。

金色の竜は自分の周りに跳んでいる教員部隊の存在に気づくと口をガパっと開く。

すると、背中に火球が出現し同じく背中にあるアーチ状のパーツから頭部にある羽根飾り状のパーツにエネルギーが伝達され、口の中に大きな火球が出現すると教員部隊目掛けて撃ってきた。

教員部隊が慌てて回避して火球はアリーナのバリアーに命中するが、その一撃で零落白夜以外破る事が出来ない筈のアリーナのバリアーは簡単に破れた。

 

『‥‥』

 

その威力を見た一同は唖然とする。

もし、あんなのを食らったらと思うと背筋がゾッとする。

ISの絶対防御でもそれを貫通して機体諸共消滅されそうだ。

そんな皆を尻目に金色の竜は翼をはためかせて空を舞うとアリーナの上空に居る教員部隊目掛けて突っ込んできた。

 

『っ!?』

 

教員部隊のメンバーはその反応に遅れた何人かが金色の竜の手によって弾き飛ばされる。

口から出される火球ほどではないが金色の竜がはたくその一撃もかなりの威力があり、はたかれた教員部隊のメンバーはアリーナの床に叩き付けられる。

その姿を見て恐怖の衝動に駆られて逃げ出す教員部隊のメンバー。

彼女らは卵状態の時に武器を全て使い果たしており、今は丸腰の状態なのでとても太刀打ちできる状態ではなかった。

そんな彼女らの後ろから迫って来る金色の竜。

彼女達は背後から迫って来る脅威から逃れようとするが金色の竜の飛行速度はラファール・リヴァイヴの飛行速度以上であっという間に追いつかれる。

金色の竜が羽ばたく度に起きる風圧で姿勢制御が乱れ、そこを金色の竜の爪と尻尾が教員部隊のメンバーに襲い掛かる。

次々とハエのように墜ちていく教員部隊のメンバーを見て百秋は完全に逃げ腰になった。

いくら零落白夜があの金色の竜に有効な攻撃手段と言えど、あんなのに近づいて斬りつけるなんて怖くてできない。

そんな中、

 

「‥‥簪ちゃん。貴女はタッグトーナメント前に言ったわよね?『私だってイヴを守ってみせる』って‥‥それなのに貴女は何をしているのかしら?一回しくじっただけで、凹んで何も出来ないと決めつけて現実から逃避して‥‥」

 

「‥‥」

 

楯無はピットで膝を抱えて項垂れている簪に声をかける。

 

「そんな豆腐メンタルだから、お父様は貴女じゃなくて私を更識家の当主に選んだのよ」

 

「‥‥」

 

「今でもそう‥‥何も出来ずにそうやっていじけているだけ‥‥でも、私は違うわ!!私は絶対にイヴちゃんを取り戻してみせるわ!!」

 

そう言って楯無はミステリアス・レイディを纏ってアリーナへと向かった。

 

「イヴちゃん!!」

 

楯無は蒼流旋を手にイヴを元に戻す為に果敢に金色の竜へと挑んでいく。

 

「□□□□□□□□□□□―――!!!!」

 

金色の竜は口から火球を連続的に吐きだして楯無を迎撃する。

楯無は最小限の動きで向かって来る火球を避けてイヴの懐へと潜り込む。

 

「ラスティー・ネイル!!」

 

金色の竜の腹部に一撃を加えるが、全身がかなり分厚い装甲なのか蒼流旋の切っ先と竜の装甲がぶつかり合い火花が散る。

 

「□□□□□□□□□□□―――!!!!」

 

自分にとりついている楯無を振り払う竜。

楯無は危機一髪で回避に成功した。

 

「くっ‥‥やっぱり強いわねイヴちゃん」

 

引き攣った笑みを浮かべる楯無。

 

「でも、手がない訳じゃないわ」

 

楯無は先程の千冬の話を聞いてあの金色の竜もIS。

ならば、生身のイヴよりは対処のしようがある。

楯無は金色の竜の周りを飛び回りナノマシンを周囲に散布する。

竜は自分の周りを飛び回る楯無に火球を吐いたり、虫を払うかのような仕草で彼女を攻撃するが、楯無はギリギリの所で回避して引き続きナノマシンを散布し続ける。

そして、ナノマシンがある程度の量を散布すると、

 

「清き激情(クリア・パッション)!!」

 

楯無は散布したナノマシンを使って水蒸気爆発である清き激情(クリア・パッション)を発動させる。

すると、金色の竜の彼方此方で爆発が起きる。

 

「□□□□□□□□□□□―――!!!!」

 

体の彼方此方から爆発による煙が出てきて多少のダメージは与えられた様だ。

だが、次は通用しないだろう。

清き激情(クリア・パッション)に使うナノマシンもあの強烈な風圧の前にあっという間に吹き飛ばされてしまう。

そこで別の攻略法を考えたが、

 

(ミストルテインの槍とアリーナのバリアーがあれば、ダメージを与えられるかもしれないけど、ミステリアス・レイディ一機じゃちょっと出力が足りないわね‥‥)

 

楯無のミステリアス・レイディ一機では実行は難しかった。

教員部隊は全滅。

シャルルのISはエネルギー切れ。

百秋は逃げ腰で同じく簪も現実逃避をしており、救援にはあまり期待できない。

かといって正攻法で戦って勝てる相手ではない。

何気に楯無もピンチとなっていた。

 

 

「すげぇ‥‥あれが生徒会長の実力‥‥」

 

ピットにて楯無と金色の竜の戦いを見ていた百秋が呟く。

そんな中、シャルルは項垂れて現実逃避している簪に声をかける。

 

「えっと‥‥初めまして更識さん」

 

「‥‥」

 

「僕は一組のシャルル・デュノアです」

 

「‥‥」

 

シャルルが声をかけても簪は一切答えない。

それでもシャルルは簪に声をかけ続ける。

 

「貴方のお姉さん‥すごく強いね‥‥まるで、映画のヒーローみたいだ」

 

シャルルが口にした「ヒーロー」という言葉にピクッと反応した。

 

「‥‥し‥は‥‥」

 

「ん?」

 

すると、簪は口を開いた。

 

「私は‥‥ヒーローにはなれなかった‥‥私は‥‥イヴを救えなかった‥‥」

 

「そうだね‥‥でも、君のお姉さんはアインスさんを救おうと必死に戦っているよ‥‥君にとってアインスさんはどんな存在だったの?」

 

「‥‥イヴは‥‥私にとって友達でもあり‥ヒーローだった‥‥そんなイヴを私は‥‥私は‥‥救えなかった‥‥助けられなかった‥‥」

 

簪の目からは涙が流れ出す。

 

「‥‥それはもう遅いの?」

 

「えっ?」

 

「だって、君のお姉さんは戦っているのに‥‥君には力があるのに戦わないの?君自身がヒーローになろうとは思わないの?」

 

「‥‥」

 

シャルルの言葉に簪はトーナメント前日の夜、姉に対して豪語した『ヒーローがいなければヒーローになればいい!!』という言葉が脳裏に蘇る。

今戦えるのは楯無の他には自分と百秋だけ‥‥

でも、自分は戦えない‥‥

戦場に出てもきっと姉の足手纏いになるだけだと思っていたが、シャルルの言葉は傷ついた簪の心にグサッとくる。

 

「だったら、僕が出る‥‥君のISのエネルギー‥貰えるかな?」

 

シャルルは自分に代わって戦場に出ると言う。

だが、

 

「ダメ!!」

 

簪はピットに響く大声をあげる。

千冬と百秋が何事かと簪に顔を向けるがすぐにアリーナへと視線を戻した。

 

「あっ、ごめん」

 

「ううん、でもやっとやる気になったみたいだね?」

 

「あっ‥‥」

 

シャルルの言葉に今自分はこうして立ち上がれたことに気づいた。

簪はそのままピットの射出口へと向かう。

 

「‥行くんだね?」

 

「うん‥‥私‥イヴを助けに行く」

 

「そう‥いってらっしゃい。頑張ってね」

 

簪はシャルルに対して頷くと打鉄弐式を纏いアリーナへ‥‥戦っている姉の下へと向かった。

 

(いつか、僕の所にもヒーローが来てくれるかな‥‥?)

 

シャルルは戦場となっているアリーナへ飛んでいく簪を見ながら心の中でそう思った。

 

 

「お姉ちゃん!!」

 

「簪ちゃん!?」

 

来る事が無いと思っていた援軍‥しかも簪が来た事に驚く楯無。

呼び名も普段の「姉さん」から昔自分の事を呼んでくれた「お姉ちゃん」に戻っている。

 

「私も戦う!!私だってヒーローになる!!」

 

「‥ええ、一緒にイヴちゃんを助けるわよ!!簪ちゃん!!」

 

「うん!!」

 

更識姉妹がこうしてタッグを組むのは初めての筈なのに、やはり姉妹なのか連携はばっちりで互いにどう動けばいいのかが手に取るようにわかる。

そして何故か心地よい安心感がある。

勿論、イヴとタッグを組んだ時も安心感があったが、イヴの時とは違う安心感があった。

 

(簪ちゃんが来てくれたなら出来る!!)

 

楯無は先程考えた攻略法を今こそ実行する時だと思い簪に指示を出す。

蒼流旋で再び金色の竜の腹部に切っ先を突き立てると

 

「簪ちゃん!!私を後ろから押して!!アリーナのバリアーにコイツをぶつけるのよ!!」

 

「う、うん」

 

簪は打鉄弐式の出力を上げて楯無を後ろから押す。

竜は背後をアリーナのバリアーに押し付けられ、前からは二機のISが押す蒼流旋の切っ先が突き刺さる状態となる。

 

「□□□□□□□□□□□―――!!!!」

 

竜は咆哮し体や手足をバタつかせながらなんとかこの状況から脱しようと暴れる。

 

「うっ‥‥くっ‥‥流石に堅いわね‥‥」

 

一度腹部に切っ先で突いたが、やはり堅い。

でも、今度は‥‥

 

「お姉ちゃん!!」

 

「このまま一気にコイツの装甲に罅を入れるわよ!!」

 

「う、うん」

 

今度は簪が居る。

二人ならいける!!

そんな確信が楯無にはあった。

 

「これでもくらいなさい!!」

 

蒼流旋に装備されているガトリング砲を斉射する。

 

「まだまだ!!お姉さんの奥の手はこれからよ!!」

 

楯無は防御用に装甲表面を覆っているミステリアス・レイディのアクア・ナノマシンを一時解除する。

 

「お姉ちゃん!?装甲が!?」

 

姉のISの装甲が剥がれた事に驚く簪。

 

「簪ちゃん‥‥シールドの出力を上げなさい!!巻き込まれるわよ!!」

 

「で、でも‥このままだとお姉ちゃんが!?」

 

装甲がない状態でこのまま最前線にいるのは危険なのではないかと思う簪。

しかし、此処まで来て離れる訳にはいかない。

それでも楯無の身が危険な事に変わりない。

だが、楯無はそんな危険も顧みず、

 

「大丈夫‥お姉ちゃんは‥‥不死身‥なのよ‥‥ミステリアス・レイディの最大火力!!受けてみなさい!!」

 

「だ、だめ!!お姉ちゃん!!」

 

蒼流旋にアクア・ナノマシンが一点に集中し、螺旋状になりそしてドリルのように回転する。

 

「ミストルテインの槍‥発動!!」

 

楯無は自らも大怪我を負いかねない諸刃の剣であるミストルテインの槍を発動させる。

 

「□□□□□□□□□□□―――!!!!」

 

アリーナの一角で大爆発が起きる。

 

「うっ‥くっ‥‥お姉‥ちゃん‥‥?」

 

簪が起き上がるとアリーナの床には客席の壁の残骸と共に半壊したミステリアス・レイディを纏い倒れている楯無の姿がそこにあった。

 

「お、お姉ちゃん!!」

 

簪が楯無に近づいて彼女を抱き起す。

 

「うっ‥くっ‥‥簪ちゃん?」

 

「お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!」

 

「だ、大丈夫よ‥言ったでしょう‥?お姉ちゃんは不死身だって‥‥」

 

姉が自分に心配かけさせまいと無理に笑っている事は今の姉の状態を見ればすぐに分かる。

彼方此方から出血して痛々しい姿の姉。

それでも姉は自分を心配させまいと痛みを我慢して笑みを浮かべている。

 

(やっぱりお姉ちゃんは強いや‥‥)

 

簪は姉が何故強いのかが分かった気がした。

楯無は天性の才もあるが、決してそれだけに依存して胡坐をかいている訳では無い。

守りたいものを自分の命を懸けてまで守り切ろうとするその気概が物凄いのだ。

その姉に比べると自分の今までプライドや対抗心、姉に言い放った言葉がとてつもなく安っぽく見えてきたが、今はこうして姉と一緒に戦って、姉の強さの原点を垣間見て、いつか必ず姉と同じ境地に辿り着いてみせる。

そう決意した簪であった。

 

「イヴ‥ちゃんは?」

 

「そう言えば‥‥」

 

楯無と簪が爆発のあったアリーナの壁の方を見ると‥‥

 

「う、嘘‥でしょう?」

 

「そ、そんな‥‥」

 

更識姉妹は顔を引き攣らせた。

 

「□□□□□□□□□□□―――!!!!」

 

金色の竜は倒れる事無くまだ立っていた。

 




※今回VTシステムを吸収した状態のイヴは遊戯王のラーの翼神竜の形状をイメージしてください。

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