シルバーウィング   作:破壊神クルル

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74話

学生にとって一学期の最大の難関、期末テストが無事に終わり、成績表と言う今期の自分の評価もそっちのけで夏休みを手に入れた学生達は浮きだっていた。

夏休みに親しい者達同士で旅行を計画する者。

外国からの留学生組は久しぶりの帰国に胸を躍らせる者。

折角の夏休みだが、ISの訓練や部活動に集中する者。

そんな中で受験生達は夏休みが追い込み時期となる。

 

「皆は、夏休みどうするの?」

 

イヴは終業式の前、食堂で食事を摂りながら鈴達にこの後やってくる夏休みの予定を尋ねる。

 

「私は向こう(中国)で開かれる代表候補生や国家代表の強化合宿に参加するつもりよ」

 

鈴は、夏休み期間中は母国である中国に帰国し、国が主催するISの強化合宿に参加すると言う。

 

「私もドイツに帰国し、部隊の強化訓練に参加するつもりだ」

 

ラウラも鈴同様、夏休み期間中は母国に帰国し、部下達と共にISの訓練をすると言う。

 

「私は実家の用事とISの強化訓練に参加する‥‥」

 

「私はかんちゃんのお供~」

 

簪も実家での行事と鈴やラウラと同じくISの強化訓練に参加すると言う。

 

「うーん、僕は‥‥学園に居残りかな?とりあえず、アルバイトでもしようかと思っている」

 

シャルルは帰国せずにIS学園に残り、夏休み期間中はアルバイトをすると言う。

イヴも帰る国も家もないので、彼女もIS学園に残ることにした。

そして、お盆の期間中には織斑家‥父、四季の墓参りだけはこっそりとあの二人に見つからないようにするつもりだった。

そして、終業式を終え、成績表が配られると、解散となり、IS学園の人口比率はガクッとさがり、校舎と寮の中はガラーンと静かになる。

そんな中、シャルルは自由国籍の取得に成功した。

こにより、シャルルはもうフランスとは縁が完全に切れたので、万が一フランス政府がシャルルにデュノア社の件について事情を聞きたくともそれは任意であり、シャルルが拒否をすれば、フランス政府の召喚を拒否出来る。

だが、それはシャルルに一つの別れをもたらす事にも繋がった。

その日、シャルルは事務室にて、ある書類にペンを走らせている。

 

「では、これで‥‥」

 

「はい、確かに」

 

書類の内容を確認した事務員は誤字が無い事を確認した後、

 

「では、お預かりします」

 

「‥‥はい」

 

シャルルは名残惜しそうに待機状態となっているラファール・リヴァイヴ・カスタムIIを特殊トランクに入れる。

シャルル自身は自由国籍となったが、ラファール・リヴァイヴ・カスタムIIの所有権はフランスにある為、ラファール・リヴァイヴ・カスタムIIはフランスに返却しなければならなかった。

ラファール・リヴァイヴ・カスタムIIはこの後、IS学園からフランス大使館へと運ばれ、空路でフランス本国へと運ばれる。

その後、ISコアだけを抜いて新たな機体に埋め込まれるのか?

それとも別のフランスの代表候補生に引き渡されるのか?

シャルルには分からないが、ラファール・リヴァイヴ・カスタムIIとお別れする事には変わりない。

特殊トランクの蓋が閉じられ、事務員の手によって運ばれて行くラファール・リヴァイヴ・カスタムII。

 

(さようなら‥‥そして、今までありがとう‥‥リヴァイヴ‥‥)

 

長い時間を共にした相棒とのお別れにちょっと涙腺が緩むシャルルだった。

 

「デュノア君‥‥」

 

そんなシャルルの後姿をイヴはジッと見ていた。

夕食時にシャルルの様子見ると、やはり長い時間を共にした愛機を失った喪失感から、哀愁が漂っていた。

 

翌日‥‥

 

「うーん‥‥」

 

シャルルが目を覚ました時、手に何か柔らかいモノが当たる。

 

「ん?‥‥っ!?」

 

シャルルがバッと起き上がり、掛け布団をめくると其処にはイヴがまるで猫の様に丸まって眠っていた。

とは言え、今回は前の時と異なり全裸ではなくちゃんと寝間着を着ている。

 

「あ、アインスさん!?」

 

それでもシャルルがびっくりする事には変わりなかった。

 

「うみゅ~?」

 

シャルルの声でイヴが目を覚ます。

 

「あっ、おはよう、デュノア君」

 

自分のベッドにもぐりこんできた事からシャルルはてっきり、今のイヴが殺戮の銀翼かと思ったのだが、寝間着を着て潜り込んだ事から表のイヴであると判断したシャルル。

 

「あ、アインスさん、どうして此処に?」

 

「昨日のデュノア君、ちょっと寂しそうだったから‥‥」

 

 

「えっ?」

 

「専用機をフランスに返還して、デュノア君‥寂しそうだった‥‥だから、少しでも慰めになればと思って‥‥」

 

イヴは恥ずかしそうに視線を逸らしながらシャルルのベッドに潜り込んだ理由を話す。

そんなイヴの仕草にキュンとするシャルルだった。

朝食は食堂ではなく、イヴがシャルルの部屋で作り、シャルルと一緒に食べた。

 

「‥‥」

 

「‥‥」

 

朝食の席でもシャルルはどこか上の空な感じがした。

 

「ねぇ、デュノア君」

 

「ん?なんだい?」

 

「今日、何処かに出掛けない?」

 

「えっ?」

 

「リヴァイヴの事を忘れろ‥とは言わないけど、少しでも気分転換をしよう。ねっ?」

 

「う、うん」

 

リヴァイヴの件はシャルルにとって悲しい事だが、こうしてイヴと一緒にお出かけできることは嬉しい事だ。

しかも夏休み期間中は普段、自分の邪魔?をしてくる簪は居ない。

おもいっきり二人で出かける事が出来る。

シャルルはジーンズに白いカッターシャツ、ハンチング帽を被り、寮のロビーでイヴを待った。

そしてしばらくすると、

 

「おまたせ」

 

待ち人であるイヴがやって来た。

イヴはデニム生地のスカートにランダムのドット柄、肩のフリル、パフスリーブ、胸元のリボンがあしらわれたマリンテイストのブラウスを身に纏い、肩にはショルダーバッグを下げていた。

 

「に、似合うかな?」

 

イヴはぎこちなさそうに今自分が来ている服が似合うかシャルルに尋ねる。

簪が見れば物凄いテンションになりそうである。

 

「とっても似合っているよ」

 

「ありがとう、デュノア君も良く似合っているよ」

 

「うん、ありがとう」

 

待ち人も来たので、早速出かけようとした時、これから部活なのか数人の生徒達が通り過ぎた。

 

「ねぇ、今日は部活の終わりが早いから、部活が終わったら、クレープを食べに行かない?ほら、あの臨海公園の屋台のクレープ」

 

「いいね、行こう、行こう」

 

会話の内容も普通の女子高生らしくスイーツの話をしている。

 

「あっ、そういえばそこのクレープ屋さんの噂知っている?」

 

「知っている、知っている。好きな人とミックスベリー味を食べると、恋が叶うってやつでしょう?」

 

「そうそう、でもいつも売り切れなんだって」

 

「やっぱり、開店と同時に行かないと買えないのかな?」

 

そんな会話をしながらこれから部活へと向かう女子生徒達はシャルルとイヴの前を通り過ぎて行った。

 

((恋が叶うミックスベリー‥‥))

 

IS学園にきてもう三カ月以上の歳月が経過して居たにも関わらず、そう言った噂には疎い二人だった。

でも、噂の内容は気になる内容だった。

 

(今日、行ってみたいかな)

 

やはり、気になる異性がすぐ傍に居り、その異性と出かけるのであれば、是非ともその噂のクレープ屋さんには行ってみたいと思うシャルルであった。

一方、イヴも

 

『なぁ、一夏、さっきの話聞いただろう?』

 

(あっ、うん)

 

『デュノア君と出かけるなら、絶対にそこに行け!!』

 

(えっ?でも、さっきの話聞いていたでしょう?『いつも売り切れだ』って)

 

『そんなの行ってみないと分からないじゃないか。今日はうっているかもしれないだろう』

 

(分かった、分かった。考えておくから)

 

獣もシャルル同様、さっきのクレープ屋の噂をちゃんと聞いており、そのクレープ屋に行けと催促する。

でも、今日のお出かけの主役はあくまでも自分ではなく、シャルルなのだ。

シャルルが行くのであれば、行こうと思ったイヴであった。

 

二人はそれからモノレールにてショッピングモールへ向かった。

ショッピングモール内のテナントを散策する二人であったが、イヴもやはり年頃の女の子、ファッションとかには興味があり、ついついモール内にあるブティックとかに目がいってしまう。

何しろ、父である四季が死んでからこうしてファッションとかと無縁の生活を送って来たのだ。

今は、昔と比べ比較的に自由を手に入れたので、こうしたファッションとかに興味を抱くことが出来るのだ。

 

「アインスさん、このお店、みてみたいの?」

 

シャルルはそんなイヴの様子に気づいてイヴに声をかける。

 

「えっ?あっ、いや‥‥だ、大丈夫‥それに今日の主役はデュノア君だから、私の事は気にしないで、デュノア君が行きたいお店に行こう」

 

「うーん、でも、僕はアインスさんがどんな服を選ぶのか気になるし、変身したアインスさんも見てみたいから、行こう。ねっ?」

 

「う、うん‥‥」

 

シャルルの行為にイヴはありがたい様な、すまない様な気持ちでモール内のブティック店へと入った。

 

「いらっしゃいませ」

 

接客対応した定員と店内に居た客はシャルルとイヴの姿を見て、頬を赤らめ呆然とする。

 

「金髪と銀髪…素敵…」

 

「いらっしゃいませ、お客様。よろしければ新作の試着などいかがでしょうか?」

 

店員は早速イヴに夏物の新作を薦める。

 

「へぇ~薄手でインナーが透けて見えるんですね‥‥アインスさん、折角だから、試着してみたらどう?」

 

「えっ?あっ、うん。お願いします」

 

イヴは店員さんとシャルルから夏物の新作服を手に試着室へと入る。

前回の弾の事もあり、今回シャルルは試着室の前でイヴを待っている。

 

「どう‥かな?」

 

やがて、試着が終わり試着室から出てきたイヴ。

その姿はまるで本職のモデルさんと何ら変わりなく、とても似合っていた。

イヴの姿にシャルルもイヴに服を薦めた店員も思わずイヴの姿に見とれてしまった。

 

「うん、凄く似合っているよ!!」

 

「はい、とってもお似合いですよ!!」

 

「ありがとう」

 

「お客様。次は、此方はどうでしょう?」

 

次に店員さんはイヴに黒いサマーワンピースを薦める。

 

「いいかも‥きっとアインスさんに似合うと思うよ」

 

「そ、そうかな?」

 

店員さんとシャルルの薦めで次に黒いサマーワンピースを試着するイヴ。

 

「はい、アインスさん」

 

「靴も用意したの?」

 

「折角だし」

 

シャルルはイヴに似合うハイヒールを用意した。

イヴは試しにハイヒールを履いてみたが、ハイヒール経験はこれが初めてのイヴは二、三歩あるくと、躓きそうになり、そこをシャルルがすかさず支える。

その姿はまさにカップルの様に見えた。

 

「あっ、ご、ごめん」

 

「どういたしまして」

 

笑みを浮かべるシャルル。

その笑みを見ていてイヴは思わず、頬を赤く染める。

二人の様子を見て、店内に居たお客は思わず携帯のカメラやデジカメでイヴとシャルルの姿を写真に収める。

店員さんは仕事中とあって二人の姿を写真に撮れずに悔しそうだった。

 

「あ、あははは…」

 

「どうしよう‥この空気‥‥」

 

シャルルは少し引き攣りながらも笑みは絶やさず、イヴはこの空気をどうしたものかと悩んだ。

その後、イヴは最初に試着した夏物新作とこの黒のサマーワンピース、ヒール一式を購入した。

本音を言えばシャルルは自分がイヴにプレゼントをしてあげたかったのだが、これでも服と言うのは、結構値が張るモノなのだ。

今後の事を考え、シャルルになるべく出費はさせたくはなかったイヴは自腹で購入した。

イヴは束からちゃんとお小遣いをもらっているので、お金に関しては心配なかったのだ。

その後、イヴとシャルルはモール内のテナントを巡りショッピングを楽しんだ後、ショッピングモールを後にし、海辺にあるレストランへと入りそこで昼食を摂った。

レストランには行った時もシャルルの金髪とイヴの銀髪はやはり、目立つのか、お店のお客や店員さんはチラチラと二人の事を見ていた。

食事が終わり、デザートとドリンクで談笑し、そろそろお店を出ようかと思っていた時、

 

「ねぇ、貴女達…」

 

「「ん?」」

 

シャルルとイヴに声をかける人物が居た。

 

「バイトしない?」

 

「「えっ?」」

 

その人物の胸には名札が付いており、そこの名前の他に役職名が書かれており、其処には店長と書かれていた。

それから‥‥

 

「おおおーっ、デュノア君、カッコイイ」

 

「そ、そうかな?」

 

シャルルは燕尾服に白手袋をつけた執事服を身に纏っていた。

 

「アインスさんもその格好よく似合っているよ」

 

シャルルが執事なのに対してイヴはメイド服を纏っていた。

 

「えへへ、ありがとう」

 

イヴのメイド服姿に思わずドキッとしてしまうシャルル。

簪がこの場に居たらきっと狂喜乱舞していただろう。

 

突然のアルバイトであったが、シャルル自身今後アルバイトはしないといけないのでこれも丁度いい経験だと思いこの喫茶店の店長さんの誘いに乗り、イヴもシャルルがやるというならとシャルルに付き合ったのだ。

 

「お待たせいたしました。紅茶のお客様は?」

 

シャルルは注文の品をテーブルへと運ぶ。

 

「は、はい。私です」

 

執事姿のシャルルの姿を見て、顔を赤らめてときめく女性客。

そしてシャルルは、手慣れた手つきで紅茶の入ったポットからカップへ紅茶を注ぎ、お客へと差し出す。

 

「それでは、何かありましたら、なんなりとお申し付け下さい。お嬢様」

 

「は、はい」

 

スマイルを浮かべ、一礼し、再び厨房へと戻って行く。

シャルルは女性客に人気があり、反対にイヴは男性客からの人気があった。

ただ、イヴはやや男性恐怖症の為か、男性客に対してさりげなく毒を吐いていたが、何故かイヴに毒を吐かれて興奮する男性客は大勢居た。

シャルルとイヴの効果なのかいつもより客入りが良くなった。

そんなやり取りを約数時間した頃、突然店のドアが勢いよく開いたと思ったら、覆面を被った三人組の男達が入って来た。

三人組の内、一人が天井に向かって銃を一発撃つと、店内は瞬く間にパニックになった。

男達が肩から掛けているカバンからは札束がチラッと見える。

どうやら男達は近くの銀行か金融機関を襲ってかねを奪ったが、逃亡に失敗して咄嗟にこの店に逃げ込み、籠城し、逃走車両を警察に要求しようとでも考えているのだろう。

 

「全員そこから動くな!!」

 

「騒ぐんじゃねぇ!!」

 

強盗達は銃と大声で瞬く間に店を恐怖で支配した。

普段、男は女には勝てないと息巻いている筈の女性達も身をかがませガタガタと震えている。

そう言った姿を見るとやはり、女尊男卑主義の女はISと言う機械の尻馬に乗っている虎の威を借りる狐なのだろう。

警察は店の前で包囲体制をとり、スピーカーで強盗犯達に投降を呼びかける。

 

「君達は完全に包囲された!!無駄な抵抗は止めて、大人しく人質を解放して投降しなさい!!」

 

すると、強盗の一人がテーブルで店の窓ガラスを割り、

 

「うるせぇ!!人質を無事に返して欲しければ、車を用意しろ!!勿論、発信機何てつけるんじゃねぇぞ!!」

 

そう言って、外の警官隊に向けて、マシンガンを放つ。

 

銃声がするたびに店内の客達が悲鳴を上げる。

 

(コイツ等、このまま八つ裂きにしても良いけど、目撃者が多すぎるしどうしよう‥‥)

 

イヴはこの事態をどうやって鎮圧しようかと思いつつジッと状況を窺っていると、

 

「おい、其処のお前」

 

「ん?」

 

強盗犯の一人は突然、イヴに声をかける。

そのイヴ本人は怯える様子も無く平然とした様子で佇んでいる。

 

「喉が渇いた。メニューを持って来い!!」

 

銀行から此処まで走って来た強盗達の身体は、どうやら水分を欲している様だ。

もしかして、此処に逃げ込んだのは客や店員を人質にとるのと同時に喫茶店ならば、食べ物があるので籠城に適していると考えたのかもしれない。

強盗に言われて、イヴは厨房へと行く、その際、イヴはチラッとシャルルを見る。

 

(っ!?)

 

シャルルはイヴのその視線に勿論気づいた。

厨房から戻ってきたイヴはお盆の上に氷だけが入ったグラスを三つ持って来た。

そして、それを強盗犯達に見せつける様に見せた。

 

「はぁ?」

 

「なんだ?コレは?」

 

水分を欲しているのに氷だけとは?

困惑しながら氷だけが入ったグラスを見る強盗犯達。

 

「水だ」

 

イヴは淡々と持って来たものが何なのか強盗犯達に説明する。

 

「はぁ?」

 

「黙って飲め…飲めるものならな!!」

 

そう言ってイヴはお盆を宙へと放る。

すると、グラスの中の氷も宙を舞い、イヴはジャンプすると、宙を舞う氷を指弾で強盗犯達にぶつける。

 

一人は銃を持った手の甲に、

 

一人は目に、

 

もう一人は喉仏に氷がぶつけられた。

 

強盗犯達が突然の氷攻撃に怯んでいると、

 

「はぁぁぁ!!」

 

イヴは近くの強盗犯に回し蹴りをする。

 

「おぐっ」

 

蹴りは男の急所にあたり、蹴りを喰らった強盗犯は悶絶し、その場に倒れる。

 

「ふざけやってこのガキ!!」

 

もう一人がイヴに向けて拳銃を発砲するが、イヴは俊敏な動きで銃弾を躱す。

そこへ、

 

「一人じゃないんだよね!!残念ながら!!」

 

物陰から様子を窺っていたシャルルが飛び出し、イヴに発砲する強盗犯に接近して回し蹴りを頭に喰らわせる。

 

「ぐあぁっ」

 

「ターゲット2、沈黙‥アインスさん、そっちは?」

 

「問題ない。ターゲット3、沈黙」

 

イヴは急所を蹴り飛ばした強盗の頭を足で踏んでいる。

M男ならば、喜びそうなシュチュエーションである。

 

「うっ…くっ…くそっ」

 

すると、倒れていた最後の一人が近くに落ちていた拳銃に手を伸ばして銃を手に起き上がると、

 

「ふざけるな!!こんなガキどもに!!」

 

大声を上げてイヴとシャルルに向け発砲する。

シャルルは近くに落ちていた拳銃をイヴに向けて蹴ると、イヴはその拳銃を手にし、強盗の顔面に突きつける。

 

「遅い…死ね…」

 

と言ってグリップで強盗の顔を殴る。

 

「がはっ!!」

 

イヴに殴られた強盗は床に倒れる。

 

「全、ターゲット沈黙‥鎮圧完了」

 

強盗犯達全員を倒した事により脅威は去った。

人質となったお客や店員達も安堵の表情を浮かべ、シャルルとイヴに礼を言っている。

 

「アインスさん、僕達がIS学園の生徒だって分かると色々面倒だから、この辺で…」

 

「そうだね、ここらで失礼するとしようか」

 

この後の警察の事情聴取で根掘り葉掘り聞かれれば必ず自分達の身元がバレる。

そうなったら、あのブリュンヒルデ様がいちゃもんをつけてきて下手をしたら退学に追い込まれるかもしれない。

幸い、バイト代は最初にもらっているので、後は素早く着替えれば良い。

二人がそう思っていると、

 

「捕まって…ムショに入るくらいなら…いっそ全部吹き飛ばしてやる!!」

 

沈黙したと思った強盗犯の一人が起き上がり、上着を脱ぐと其処には自爆用の爆弾が括り付けられていた。

強盗犯の爆弾を見て、店内は再びパニックになる。

イヴが床に落ちていた犯人の拳銃を今度はシャルルに向かって蹴ると、シャルルはそれを掴み、イヴと同時に拳銃を構える。

そして、強盗犯が爆弾のスイッチを入れようとした時、起爆装置に弾丸を撃ち込み、爆発できない様にした。

 

「ああっ!!」

 

そして、強盗の頭に拳銃を突きつけ、

 

「「チェックメイト」」

 

「まだやる?」

 

「次はその腕を吹き飛ばすぞ」

 

切り札の爆弾が使用不能となり、頭に拳銃を突きつけられてはもう、抵抗のしようが無く、強盗犯は降参した。

 

その後、警察の事情聴取前に二人の事情を察した店長が二人をこっそり店の裏口から出してくれて、二人は何とか警察の事情聴取を受けずに済んだ。

指紋に関しても二人は手袋をしていたので、大丈夫だろう。

 

強盗と言うハプニングがあったが、何とか無事に切り抜けたイヴとシャルル。

その二人の姿は臨海公園のクレープ屋さんの前にあった。

シャルルとしてはモ学園の寮での話が気になり此処へ来たのだ。

もし、本当に恋が叶うミックスベリーのクレープがあるのであれば、イヴを誘いたい‥‥そんな思いがあった。

 

「すみません。クレープを下さい。味はミックスベリーで…」

 

シャルルはミックスベリー味を注文したが、

 

「すみません。今日はもうミックスベリーは終わっちゃったんで…」

 

「あぁ~そうなんですか…」

 

注文したミックスベリー味が既に売り切れと言う事に残念そうなシャルル。

やはり、そう簡単には味わえない様だ。

しかし、店内をジッと見ていたイヴは何かに気づいた。

 

「アインスさんはどの味にする?」

 

「えっ?ああ、それじゃあ、イチゴとブルーベリーをくださいな。デュノア君もそれでいい?」

 

「えっ?あっ、うん」

 

と、イチゴ味とブルーベリー味を注文した。

店員もイヴの意図を感じ取ったのか、一瞬唖然としたが、直ぐに笑みを浮かべて、

 

「はい、ありがとうございます」

 

注文されたイチゴ味とブルーベリー味のクレープを作り二人に渡した。

 

公園のベンチでシャルルはイチゴ味のクレープを食べ、イヴはブルーベリー味のクレープを食べた。

 

「はむ、うーん‥コレ美味しいね」

 

「うん。生地はふんわりとしているし、クリームも良い牛乳を使っている」

 

(今度、アインスさんと来た時にはミックスベリーがあったら嬉しいな)

 

お目当てのミックスベリー味は無かったが、クレープが美味しかったので、また来ようと思いつつ、その時にはミックスベリー味があれば良いなぁと思っているシャルル。

 

「‥‥デュノア君」

 

「ん?なに?」

 

すると、イヴがシャルルに近づく。

そして、イヴはシャルに顔を寄せて来た。

 

「あ、アインスさん!?」

 

イヴの顔が近づくたびに鼓動が激しくなるシャルル。

すると、

 

ペロッ

 

イヴはシャルルの頬を舌で舐めた。

 

「な、何を!?」

 

「ソースが付いていた」

 

テンパるシャルルにイヴは冷静に答える。

 

「あっ、ああ‥そうだったんだ‥‥」

 

「両手が塞がっていたから仕方がなかった‥‥そうだ、私のクレープを一口あげる」

 

そう言ってイヴは自分のブルーベリー味のクレープをシャルルに差し出す。

 

「い、いただきます」

 

折角のイヴからの好意なので、シャルルはそれにしたがってイヴのブルーベリー味のクレープを一口食べる。

 

「ああ、そう言えばあのクレープ屋さん‥‥ミックスベリー味は最初から存在しないよ」

 

イヴはあのクレープ屋にミックスベリー味が無い事を告げる。

 

「えっ?」

 

「そもそも、メニューになかったし、厨房にもそれらしい色のソースは無かった」

 

「そ、そうなの?よく見ているね」

 

「でも、ミックスベリーは食べられた筈だよ」

 

「えっ?‥‥ああ、ああ、ストロベリーとブルーベリー!!」

 

「ご名答」

 

「そっか、いつも売り切れのミックスベリーはそういうおまじないだったんだ…」

 

いつも売り切れで食べれば恋が叶うミックスベリーの正体に納得がいったシャルルだった。

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