目の前に教室の扉がある。自己紹介させるからそれまで待てと彼女に言われたが、10分以上たった気がする。
「なぁ、ミラ。私たちが此処に待機してからどれぐらい経つ?」
「おおよそ、10分といったところでしょうか。マスターとしての挨拶をしてると考えればこれぐらいは掛るかと」
「……そうか」
彼女にそう言われては、アレに文句を言うことは出来ない。自分でも理解しているがミラに対してだけは甘くなってしまう。こればかりは昔からの癖に近いものだ。
と、頭の中で反省していると教室の中から声がかかった。
「入ってきて自己紹介」
「了解です」
扉を開け教室に入る。私の後ろを歩いているミラも一緒に入ってくる。
教卓に向かう最中に教室を見渡すと、周りで小声で話し合っているのが見える。今日から彼らにとって新しい学園生活が始まるのだが、既に話す程度には仲良くなっているグループもあるようだ。行幸行幸。
「あー、本日からおまえらのサブマスターを務めることになった霧ヶ峰鏡夜だ。普段は本科生して通っている。ミラ挨拶」
隣に立っている彼女に声を掛ける。先ほどから一部の男子生徒の目がミラに行ってるのを気にしていたが、やはりミラの容姿は人の目を引くものらしい。彼女は綺麗な銀髪を肩のところまで伸ばしている。それに来ている服も私が着ているような学生服ではなく、メイド服を身にまとっている。
「先ほどご紹介なされた、霧ヶ峰鏡夜様の従者をしております、ミラ・ルシェルです。鏡夜様のそばに普段は居りますので、皆さまと接することも少なくないと思うのでこれからよろしくお願いします」
綺麗にお辞儀をすると一歩後ろに動く。彼女は私の左斜め後ろをよく歩いている。前になぜそこを歩くのかと尋ねたところ従者ですのでと言われてしまいそれ以来、突っ込む気は無くなった。
「ミラも魔法をうまく扱えるけど、サブマスターとしてみんなに指導するのはキョウヤだけよ。とりあえず、今日のところの自己紹介と説明は終わりね。解散していいわ。キョウヤとミラは付いてきて」
私たちより先に教室で挨拶をしていた彼女 リッカ・グリーンウッドはそう言って教室を出て行った。呼ばれたので私たちも後を付いて行く。
付いて行くと生徒会室と書かれた部屋にたどり着いた。
「さて、二人とも挨拶ご苦労様。何か説明してほしいことあるかしら」
「ふむ……では、教室にいた彼の事なのだが」
「彼?」
先ほど入った教室は本日入学式を終えた新入生たちだ。私たちが通っている此処 風見鶏学園は4年間通うことが義務付けられている。予科2年 本科2年と魔法の事を学ぶ学園だ。それ故入ってくるのは魔法を扱う素質を一定以上もち、魔法に関係する仕事に就きたいと思う子たちが大半だ。しかし、教室で彼は異質だった。周りは魔法使いの卵だが、彼だけは既に孵化した後だったからだ。
「あー、もしかしてキヨタカの事ね。あの子はこれを見たほうが早いわ」
そう言って彼女は手元の紙を渡してきた。
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