交渉決裂
      -突入を開始するー


多国籍特殊部隊「レインボー」とは……世界各国から武器・装備・爆破などのエキスパートが招集され、極秘裏に全世界に展開可能な多国籍特殊部隊である。


 

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 英国 人質回収案件 出動者コードネーム

 SLEDGE
 ASH
 THERMITE
 THATCHER
 GLAZ

 多国籍特殊部隊レインボーに所属するシェイマス・カウデン:スレッジは、イライザ・コーエン:アッシュ、ジョーダン・トレイス:テルミット、マイク・ベイカー:サッチャー、ティムール・グラズコフ:グラズの5名で任務にあたっていた。任務の内容。それは人質の回収だった。
 
 


人質回収 ~Hostage Rescue~

   ‐英国‐ 

 

 

 

 

 

 その日は霧が少しかかった雨。

 

 

 シェイマス・カウデンは、軍用車両の後ろに隠れ、スマートフォンを取り出し、モノクロ映像を見ている。写しだされているのは、大きな寝室と5人のマスクを被った男達。

 男達の腹部は防弾チョッキの壁を張り、腰には、予備弾薬が備えられている。

 手に持つ銃器はおぞましい黒色。

 そして、寝室の真ん中には、恐ろしい者達に包囲され、恐怖と焦燥にかられた若い女性が猿轡をされて、座っている。

 彼女の目は曇っていた。

 女性が座る床の周りを囲むように簡易有刺鉄線を敷く。

 その映像を、見つめたシェイマスは、ヘッドマイク経由で数名に連絡した。

 

「人質を見つけたテロリストは5名、建物は3階屋上から侵入する」

 

『了解』

 

 彼の連絡を受けた後、数名の武装した男女が、テロリストがいる建物へ近づいていく。その様子を気付かないテロリストはいない。いつでも応戦できるように、準備を整え始めた。

 シェイマスの耳についているヘッドマイクから、音声が流れる。

 

『壁だ。シェイマス』

 

 その声の主はシェイマスと同じ部隊に所属しているマイク・ベイカー。

 彼は、建物の屋上から3階の間にいた。体を逆さまのままにラぺリングし、彼の体を1本のワイヤーと両足、建物の壁で支えた。彼の目に写る壁は、所々、赤い鉄骨でできたバツのマーク複数が浮き出ている。

 シェイマスは、溜息を一回はいた後で、彼に告げる。

 

 

「ここはコードネームで呼んでくれないか? サッチャー」

 

『あ。悪い。スレッジ、んで、どうやらこの壁は割れそうだな』

 

 2人の話に、女性の声が介入。

 

『ならば、あたしが破るわ』

 

 女性は建物のガレージの壁に背を向けて突入準備をしている。

 

『それはご立派。じゃあアッシュ、あんたに任せたいとこだが……。おっと、残念』

 

「どうした?」

 

『壁が補強されてるな。あんたの大きなブリーチング弾でも食らいそうにないね。2階の壁はどうだい?』

 

 アッシュは少し残念そうな顔をして、ラぺリングしながら、2階に上がり、外壁を見つめるこちらは木製。

 彼女は少し笑みを浮かべ、背中にしまっている特殊なブリーチング砲を取り出して弾を込めた。

 

『こっちは強化されてないわ。あたしがいつでも抜いてあげるわ』

 

 サッチャーは続ける。

 

『で、今度は、俺のいる3階の壁のところを誰が開けるかだな』

 

『そこは私に任せてくれ。サッチャーのおやっさん』

 

『来てくれると思ったぞ。テルミット』

 

 その声の主は、テルミットと呼ばれている丸いサングラスが特徴の男。

 彼らの通話の間にシェイマスは、建物の地下入り口に向かい、木材で閉じられたドアを、自分が持つハンマーで破壊し、中に入った。

 

「よし俺が地下から入って下から攻める」

 

『了解。じゃあ、あたしも入るわね!』

 

 アッシュはある程度、木材製の壁から距離を取り、ブリーチング弾のスコープで、壁を狙いはじめた。

 引き金が人差し指に近づいてトリガーを引く。引かれたと同時に、弾の中に入った火薬が衝撃を受け、高い音を放ち、勢いよく銃口から壁に向かって着弾し、それと同時に木材製の壁は、軽い火花を上げた後で爆破する。その爆破によって、壁が壊れ、人が1人分通れるくらいの大きさの穴が開いた。

 アッシュが中に入る前に、中にいるテロリストの一人が空いた穴が見える奥のバスルームから、銃撃を行う。

 とっさに彼女は近くのコンクリートでできた物壁に隠れた。

 

『ああっ! 畜生!』

 

 テロリストが引くアサルトライフルの弾がアッシュの隣を勢いよく通過していく。

 

「こちらアッシュ。敵と交戦中」

 

『ならばこっちも突入準備だな』

 

 サッチャーは、ポケットからEMPグレネードを取り出して、近くの窓と壁の間にうまくひっかける様に投げた。

 青い閃光が上手く引っかかる。

 サッチャーの行動につづいて、テルミットが4方形の粘着型シートを補強がなされた壁に貼り付けた。

 

「下がるぞ」

 

 2人は、ラぺリングのワイヤーを操作してそれぞれがカバーできるように上と右横へ移動する。

 上はサッチャー。右横にテルミット。

 サッチャーのEMPが青い閃光を放った瞬間、テルミットは、右手に持ったリモコンを力強く親指で押し、背中に戻した。

 

「見ていろ」

 

 テルミットがそう呟くと、4方形のシートから、いきなり火花を散らして壁に亀裂を起こし始めていく。それはゆっくりと鉛筆で、それぞれ縦横をなぞる様に、壁の鉄と金属酸化物、金属粉によって起こる摩擦火花が補強された壁に熱を与えていく。

 

「そろそろだ」

 

 その言葉をテルミットが言った瞬間、補強された壁から起きる摩擦火花は四角形をなぞり終えて、消滅。それと同時に補強された壁は、大きな爆発と共に破壊される。

 サッチャーは破壊された壁から、AR33ライフルを構え、奥のフロアにいたテロリスト目掛けて、トリガーを引いた。

 人差し指の力はトリガーに当てられ、トリガーから発生する力はマガジンから装填された弾薬に衝撃を与える。

 放たれた弾丸は、テロリストのこめかみを貫いた。

 

「one down(ワンダウン!!)」

 

 貫かれたテロリストは、そのまま体を崩し、その場で倒れた。起き上がる事はできない。サッチャーは、敵を仕留めた後でポイントを変え、テルミットの突入をカバーする。

 その間に破壊した壁の部屋に誰もいない事を確かめた後、テルミットは部屋の中に突入する。壁を蹴り、ラぺリングと宙に浮いた体による、梃の原理で、部屋へ入った。

 2人が入った事を音で気付いたテロリストは編成を変えて、物陰に隠れる。テルミットは、そのまま人質がいる部屋の付近へと移動を開始。

 サッチャーも彼のカバーをする為、中へと入る。

 壁の爆破を陽動に用いて、下で待機していたシェイマスはブリーチングハンマーでドア付近のバリケードを、破壊する。

 彼の持つハンマーが、木製の板を、軽く日々を起こし、いたという存在意義を無くさせた。

 木々の破片が床に散乱する。

 ハンマーを背中の肩着けベルトに留め、腰に備わったL85A2のライフルを取り出して、構えながら辺りを見渡す。

 テロリストのいた形跡を床に着いた靴跡で辿る。

 その間に無線から数人の状況経過が流れる。

 

『こちらテルミット中に入った。テロリストが1人ダウン。残り4人だ』

 

『サッチャーテルミットのカバーに入る。現在、3階の防弾マット保管庫から突入した。そのまま3階から人質の

いる2階まで移動する』

 

 2人の会話の後で、アッシュが経過を報告、音声からは、ライフルによる銃声もあってか緊張が含んでいる状態。

 

『こちらアッシュ。ガレージ屋根からオフィスの壁を突き破り展開。ちょっと相手がきついわ。現在交戦中! カバーを求むわ』

 

 アッシュは物陰に隠れて弾切れになったG36Cのマガジンを外して、弾薬が詰まったマガジンを装填。

 彼女が弾を込めていると判断したテロリストの一人がゆっくりとライフルを構えながら、破られた壁に近づいていき、外へと出ようとし、アッシュがいる物陰の方に拳銃を構えた瞬間、いきなり彼の体が後ろに押されていき、壊されていない壁の方に、直撃し、背中を強くぶつけた。

 アッシュの片耳には大きな炸裂音を感じ取った。

 テロリストの体はゆっくりと崩れ、そのままガレージの床に着く。

 それと同時にアッシュのイヤホンから、ロシア語が聞こえた。

 

『один вниз (one down)』

 

 あたりを見渡すと、ラぺリングタワーの2階からマークマンライフルを構えたグラズが、右手の親指を立てて、示す。

 自分が仕留めたという事を。

 

「やるじゃない」

 

 アッシュは、頷いて、グラズに向かって、サムズアップで示し、ブリーチング弾で破壊した壁から進入する。

 彼女が入った事を見取ったグラズも次の狙撃のポイントへと移動を開始した。

 テロリストは残り3人。

 シェイマスは、拳銃を構えて、地下のロッカーへ移動し、敵影がいないと判断した後で、物陰に隠れて、止めておいたドローンを再起動する。

 ドローンのカメラが赤く光り、走り出す。

 今度は、2階から1階へとドローンを移動。そのまま1階の部屋をくまなく捜索し、テロリストが潜んでいないかスマートフォン型のリモコンカメラで映像を見つめる。

 案の定、残り3人のテロリストは、2人は人質のいるメインベットルームで立てこもり、もう1人が侵入した隊員を仕留めていく作戦らしい。

 カメラの映像で1人、1階、キッチンにいるところをドローンのカメラが捉えた。

 

「1人か」

 

 シェイマスは、メイン階段を相手に気付かれない様に上がり、ゆっくりとキッチンに入る。

 幸い、相手が背を向けて、自分の存在に気付いていないらしくテロリストはガレージの通路へとゆっくり足を進めようとしていた。

 そんな事をシェイマスは許すはずなく、持っているブリーチングハンマーで横から力強く振りかざし、テロリストのわき腹を直撃させた。

 体は勢いよく、左に吹っ飛び、キッチンとガレージをつなぐ壁に激突。

 ハンマーの威力は強い。衝撃を受けた彼は、立ち上がる事も出来ず、彼の目に写る巨体のシェイマスを見つめながら気絶した。

 

「悪いな……」

 

 彼はテロリストが持っていた拳銃を遠くに投げ飛ばし、手に取れないようにする。

 

「こちらも1人ダウンした」

 

『了解』

 

『こちらテルミット。アッシュと合流した。突入準備を開始する』

 

 そう言い、彼は、すぐに突入の準備を開始する。オフィスとベットルームの境となっている壁にヒートチャージを設置。

 

『2階、シャワールームに移動するわ』

 

 次に、アッシュはオフィスから子供部屋に移動し、ブリーチングチャージを設置し、壁を抜く。木でできた壁なんぞ造作でもない。

 ブリーチングチャージの爆破は、ヒートチャージよりも劣るが威力は負けず、壁に大きな穴を発生させた。

 

「了解。俺は2階の入り口から突入できるよう準備する」

 

 今度は流ちょうな英語でスナイパーが応答をする。

 

『こちらグラズ。いつでも。カバーできます』

 

『頼もしい狙撃手(スナイパー)なことだわ』

 

 と彼は狙撃ポイントを変えて、シャワールームをはさんでメインベットが見える倉庫の屋根でライフルを構えた。

 シェイマスは、一旦、外に出て、裏の側面階段から2階へと侵入しなおし、洗濯室へと入る。ゆっくりとハンマーを構え、いつでも突入できるように準備した。

 緊張の瞬間というものはどこでも現れる。

 

 ただ、どのタイミングで起こるか決まっていないだけ。

 

 テロリストは、いつでも攻撃できるように視線を研ぎ澄ませ、ライフルのスコープから、バリケードを張った正面のドアやシャワールームのドア、右隣の窓を見つめて、待っている。

 突入の開始は、サッチャーから。

 

『では、やるか』

 

 手に持ったEMPグレネードを、目の前の壁にころがし、爆破させる。

 青い閃光が宙に散らばった。

 それと同時にテルミットがリモコンを押し、ヒートチャージから放たれる摩擦火花を見つめた。

 アッシュはブリーチング弾でシャワールームのバリケードを吹き飛ばす。吹き飛ばした音と同時に、シェイマスがハンマーで洗濯室とメインベッドの境となるドアを破壊した。

 3方向からの突入は、テロリストの脳裏を錯乱させ、判断を鈍らせる。2人のテロリストはそれぞれが構えていた銃の引き金を引き、乱射を開始させる。ライフルから放たれる空薬莢と硝煙が鼻や目に刺激を与えていった。

 乱射する中で、5人のオペレーター達は淡々と自らに課せたやるべき事をこなす。

 シェイマスはスタングレネードを2つ、メインベッドに転がし、白い閃光とつんざく炸裂音を敵に提供。敵が目を腕で押さえている間に、アッシュが人質を確保し、そのまま元にいたシャワールームへと、人質を連れて、救出を図る。

 勿論、彼女と人質を守る為にグラズはカバーでメインベットルーム目掛けて引き金を引く。彼女の行動の間、ヒートチャージが壁を引き裂いた。

その瞬間、引き裂いた壁の先には、目が眩み、自身の腕で、顔を覆っているテロリストがいた。

 

「お気の毒に」

 

 そう呟きサッチャーが彼に優しく、ナイフを突き立て、右首を切る。残りのテロリストが、立ち上がり、サッチャーに向けて、拳銃を構え引き金を引こうとした瞬間、テルミットのライフルが火を噴いた。

 ライフルは、敵の防弾チョッキを貫いた。テロリストは倒れ、テルミットは、溜息を洩らした。

全てを終え、シェイマスは彼の腕に着けたストップウォッチを止める。

 

 《2:45》

 

 マスクを外し、彼はゆっくりと冷静な表情で呟く。

 

「クリア」

 

                                    

 

 

 

 

                                   END

 




初めて。FPSゲーム:レインボーシックスシージの2次創作を書かせていただきました。

普段の突入の際、こんな感じに展開することはないでしょうけど、ある程度イメージして書いた感じです。駄文はお許しくださいませ。


それでも読んで頂いて、ゲームと同じ緊張感を味わっていただければ幸いでございます。

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