京都編終了後、剣心達を待ち受ける新たなる戦い。未知の生物 ポケットモンスターに挑む彼等の運命は如何に......?

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るろうに剣心 第百五十一. 五幕 携帯獣と忍者村

志々雄 真実を倒し、東京に戻って数日後のある日。

剣心、薫、左之助、弥彦の四人は縁側で昼食を取っていた。

 

 

薫「相変わらず剣心の作ったお味噌汁は美味しいわね!」

 

 

神谷道場師範代 神谷 薫は味噌汁を食しその美味しさに思わず舌鼓。

 

 

左乃助「それに比べて嬢ちゃんの焼き魚は......」

 

 

それに対し元喧嘩家 相楽 左之助は間髪入れず指摘した。薫は料理が上手でないのだ。

そう言いながらも残さず完食するのだが。

 

 

薫「左之助! ちょっとそれどうゆうこと!?」

 

剣心「左之。ほどほどにするでござるよ」

 

薫「もう! 剣心まで!」

 

 

古風な口調の彼の名は緋村 剣心。

飛天御剣流の使い手で、幕末の動乱の際に長州藩士 人斬り抜刀斎として幕府軍から恐れられていた。

現在は不殺の誓いをたて流浪人をしており、同時に神谷道場に居候をしている。 

 

 

弥彦「薫、おかわり!」

 

 

この少年は明神 弥彦。道場の弟子だ。

十一歳ながらその実力には目を見張るものがある。

 

 

薫「今やるね!」

 

浦村「失礼します! 緋村さんはご在宅でしょうか?」

 

 

そのとき玄関の方から聞き覚えのある声が聞こえた。

この町の警察署長の任についている浦村が訪ねてきたのだった。

 

 

左乃助「ヒゲメガネか」

 

 

左之助がそっと呟く。

彼は人に渾名をつけるのが好きである。

 

 

薫「入っていいですよ!」

 

 

薫がいつも通りの大声で呼び掛ける。その通りに浦村は剣心達のもとへ。

 

 

剣心「なにようでござるか?」

 

浦村「折り入ってお願いがあるのですが.....」

 

弥彦「早く言えよ!」

 

薫「ちょっと弥彦!」

 

 

薫が弥彦にげんこつを浴びせ、喧嘩が始まる。

いつものことなので誰も気に留めない。

 

 

左乃助「それで何なんだ?」

 

浦村「はいっ......言いにくいことなのですが、かろすの忍者村に向かっていただけないでしょうか?」

 

左乃助「かろすの忍者村? どこだそれ」

 

剣心「ここから西方に位置する奇妙な獣がいるところでござるな」

 

薫「でもどうして剣心がそんな遠くに行かなくちゃいけないんですか?」

 

 

気がつくと薫と弥彦も喧嘩を止め浦村の話を聞いていた。

 

 

浦村「そこは明治政府にとって非常に重要な場所なのですが、そこが何者かの手によって襲われたのです」

 

剣心「拙者に救える命があるのなら拙者は参るでござる」

 

左乃助「それでこそお前だ! 俺もいくぜ!」

 

薫「そうね。私もいくわ」

 

弥彦「俺も忘れて貰っちゃ困るぜ? 出発はいつなんだ?」

 

浦村「今すぐ向かってください」

 

剣心「おろっ?」

 

左乃助「いきなりすぎるだろ......」

 

浦村「必要なものはすべて我々が負担いたしますからご安心ください」

 

弥彦「そうゆう問題じゃないだろ......」

 

 

昼食を食べ終えると各々準備に取りかかった。

気がつくと太陽は沈み始めていた。剣心組一同は浦村に連れられ港へ向かう。

 

しばし歩いていると眼前に巨大な船が現れた。どうやら港についたようだ。

 

 

弥彦「でっけえ! これに乗るのか?」

 

浦村「はい。本来なら私も同行したいのですがこの町を留守にするわけにはいきませんし......藤田警部補もどこかに消えてしまいましたし......」

 

左乃助「斎藤......」

 

 

元新撰組三番隊組長斎藤 一(偽名藤田 五郎)は志々雄 真実との戦闘後に消息を絶っている。

 

 

剣心「拙者たちに任せるでござるよ」

 

弥彦「さあ! 行こうぜ!」

 

左乃助「お前が仕切るな」

 

 

浦村と別れ、四人は船に乗り込んだ。

やがて船は進み始める。

そこで四人は意外な人物と合流した。

 

 

蒼紫「抜刀斎......」

 

操「みんな! しばらくぶりだね!」

 

 

いつものように険しい顔をした御庭番衆お頭 四乃森 蒼紫と、遊びに行くかのような笑顔の巻町 操の姿があった。

 

 

剣心「どうして蒼紫がここにいるのでござるか? 蒼紫は瞑想にふけていたのでは?」

 

蒼紫「......同じ隠密が襲撃に遭ったとの報告が御庭番衆に入り、翁に救援に行くように言われた。だが本当に翁の言った通りお前たちがいるとはな」

 

左乃助「あのじーさんにはお見通しって訳か」

 

操「薫さん!」

 

薫「操ちゃん!」

 

 

女子勢は再会話に花を咲かせている。

 

 

弥彦「まったく呑気なもんだぜ」

 

左乃助「......」

 

 

弥彦を尻目に左之助は自分の右手を静かに見つめている。

彼は二重の極みと呼ばれる破壊の極意を習得しているが、京都での戦いの傷は今だ癒えず、現在使用不能なのだ。

 

 

──────────────────────

 

 

五日後、一行を乗せた船はかろすに辿り着いた。ここから忍者村まではもうまもなくだ。

一同は上陸すると気を引き締める。

 

 

警察官「ここからは陸路となります」

 

 

同行している一人の警察官がこう伝えた。

ここからは歩いて忍者村を目指すことになる。

 

 

剣心「.......」

 

 

何やら思案にくれてる剣心。

これを読むことは常人には不可能だ。

 

 

ヤヤコマ「ヤッコ!」

 

 

そのとき小鳥の様な生き物が彼らの前に飛行して現れた。

始めて見る生命体に興味津々の一同。

 

 

弥彦「なんだこの鳥は?」

 

操「かわいい!」

 

 

操がポロリと口に出す。

御庭番衆と言えど一人の女子であるためこの反応に無理はない。

 

 

警察官「それはぽけっともんすたーと呼ばれる謎多き生き物です。日本語では携帯獣と訳されています」

 

 

警察官が解説を入れる。剣心たちの住む場所ではこういった動物の存在はまだ確認されていない。

 

 

薫「そんな生物がいるのね!」

 

 

薫がそう言いながらヤヤコマの頭を撫でる。するといきなりヤヤコマはくちばしで手のひらをつついた。

その痛みに思わず薫は飛び退いてしまう。

さらにヤヤコマは追い討ちをかけるように薫に接近しようとした。

 

 

剣心「飛龍閃!」

 

 

それを防いだのは剣心の放った逆刃刀。

薫に近づいていたヤヤコマに命中し、一直線に吹き飛ばした。

 

 

ヤヤコマ「ヤッコ......」

 

 

その威力に恐れを抱いたのかその場から立ち去る。彼らもそれを阻むことはしない。

 

 

弥彦「なんだよ、あいつ!」

 

剣心「まあまあ弥彦。あの携帯獣は薫殿に襲われると思ったのではござらんか?」

 

薫「まあ! 失礼しちゃう!」

 

左乃助「じゃあもしも嬢ちゃんが不二だったっけ? そいつに頭を撫でられたらどうするよ」

 

薫「そりゃ......逃げるなり戦うなりするかも......」

 

蒼紫「この先更に強力な携帯獣が現れるやも知れん。警戒するに越したことはない」

 

操「さすが蒼紫様!」

 

男弌「お前ら誰デスカ?」

 

男弍「どこ行こうとしているデスカ?」

 

 

突然二人の若い男が虫の居所が悪そうに一行に問いかける。

 

 

操「あんたたちこそ何なの?」

 

 

操がこれに反抗すると二人の若者は腰の鞘から刀を抜き始める。

だがこれを見逃す剣心ではない。

素早く一人に近づくと龍昇閃で男を跳ね上げた。

もう一人も剣心に向かって斬りかかるがそれをかわしつつ龍巻閃を浴びせる。

 

 

男弌「強すぎデスカ......」

 

男弍「逃げるデス!」

 

左乃助「流石だぜ剣心! でもお前が一瞬で倒せるくらいならば忍者村を襲った奴等も対したこと無いかもな!」

 

剣心「そうでござろうか......」

 

 

剣心は浮かない顔をしている。

左之助はこう言ってはいるが鍛錬を積んだ忍者がまるで手も足も出なかったまだ見ぬ強敵について考えているのだ。

 

 

「コウガ......」

 

 

物陰から一匹の携帯獣がその様子を観察していた。一行はただ一人を除いて誰もこの事を気付かなかった。

 

──────────────────────

 

忍者村に近づくにつれだんだん音が大きくなっていった。

刀や槍といった刃物の音、銃や大砲の音、鳴り止まない悲鳴......

それでも彼らが足を止めることは決してない。

そして上陸から二日、船出から一週間が経った頃遂に忍者村に辿り着いたのであった。

 

 

剣心「酷い有り様でござるな......」

 

 

過去に流浪人として各地を回った剣心ですらこの言葉を胸の奥に仕舞いこむことは難しかった。

それくらい凄惨な光景が広がっているのだ。

村を囲っていたと思われる山は跡形もなく破壊され、家屋も全滅。辺りは人か、それとも携帯獣なのか、原型を留めない死体で埋め尽くされいる。人目を憚らず婦女子に性的な暴行を加えている者達までいる。

 

 

薫「うっ......」

 

 

薫が思わず言葉にならない嗚咽を捻り出す。普通の剣術道場の女師範代にはとても見るに耐えきれないだろう。

 

 

仁亜「お前ら何のようだ?」

 

 

一人の男が問い掛ける。

身なりや態度から察するにこの村を襲った一団の者だろう。

 

 

左乃助「てめーらがこれをやったのか?」

 

 

左之助が怒りを露にいい放つ。

 

 

仁亜「そうだが? お前ら正義の味方かなんか?」

 

左乃助「てめーは俺がぶっ飛ばす!」

 

剣心「気を付けるでござるよ左之。あやつは何か秘策を用意しているでござろう」

 

左乃助「そんなものごと俺がぶん殴るぜ!」

 

仁亜「ゆけ、ルチャブル!」

 

 

男は服の裾から箱を取り出し、それを投げ飛ばす。

この時代まだモンスターボールは開発されていないが、ポケモンが小さくなることは秘密裏に知られていたようだ。

 

 

左乃助「こんなチビが俺の相手か?」

 

仁亜「殺せ! ルチャブル」

 

ルチャブル「チャブ!」

 

左乃助「おら!」

 

 

そのポケモンは左之助と比べると確かに小柄だった。しかしそれは左之助の大振りの拳を上に飛び軽やかにかわした。さらに勢いそのままに飛び膝蹴りを頭に叩き込む。

 

 

左乃助「こいつ!」

 

 

左之助は乱打を繰り出すがすべてかわされる。逆に攻撃の隙を突かれ顎にアクロバットをくらってしまった。

 

 

余誅「侵入者だ!」

 

戊岩「死ね!」

 

矢遍「でえぇい!」

 

魔刈「いくわ!」

 

 

更に三人の男と一人の女が姿を現した。彼らも同様にポケモンを繰り出す。

 

 

ジュカイン「ジュカ!」

 

キリキザン「キザ!」

 

フタチマル「フタチ!」

 

ハッサム「ハッサム!」

 

 

左之助対ルチャブル

 

 

仁亜「いいぞ! そうだ!」

 

 

ルチャブルの猛攻が左之助を襲う。

一発一発の威力はさほどでは無いとは言え確実にダメージを蓄積させていった。

 

 

左乃助「おら!」

 

 

左之助の大振りの殴打ではルチャブルに対し、かすることすら出来ない。

そして上空に逃げられ飛び膝蹴りを受けてしまう。

 

 

(空に飛ばれては手の打ちようが無い! 恵には悪いがこれしかないな!)

 

 

左手でルチャブルに殴りかかる。もちろんかわされ高く跳ばれるがそれは想定通り。

 

 

「二重の極み!」

 

 

左之助が右手で地面を殴る。すると大地は大きく抉れ、無数の岩片が上空にいたルチャブルに命中。

その様子はあたかもストーンエッジのよう。

 

 

仁亜「だがルチャブルに岩は抜群ではない! そんなもの耐えきって......」

 

左乃助「誰がこれで仕留めると言ったんだ?」

 

 

力なく落ちてくるルチャブルに左之助の蹴りが炸裂。勢いよく飛ばされたルチャブルが男にも当り、二体は戦闘不能。

 

 

左乃助「お前ごときに足踏みしてやる程今の俺は退屈してねぇんだ」

 

 

吐き捨てるようにこういい放った。

 

──────────────────────

 

薫、操対ハッサム

 

 

操「貫殺飛苦無!」

 

 

操が複数の苦無をハッサムに投げつける。しかし鋼の体に効果は薄い。

出方を読めない薫は中段に構え様子をうかがう。

するといきなりハッサムが踊り出した。

 

 

魔刈「剣の舞。これで攻撃力に磨きがかかったわ」

 

薫(攻撃力に磨き? いずれにしても早めに勝負をつけた方がいいわね)

 

 

薫が思案にくれている。

操の苦無の攻撃から、ハッサムに対しては木刀での打撃は有効では無い可能性が高いからだ。

 

 

魔刈「来ないならこっちから行くよ。バレットパンチ!」

 

 

指示をすると今までの動きからは想像がつかないほどの素早い動きで接近してきた。

ハサミから繰り出される攻撃は一直線に薫に激突。

 

 

薫「が......は......」

 

操「薫さん!」

 

魔刈「バレパンを耐えるなんて少しはやるじゃん。もう戦うのは無理だろうけどね」

 

薫「操ちゃん、私に考えがあるわ! だからうまく隙を作って」

 

操「隙? うん」

 

魔刈「何をしようがハッサムに傷をつけるのはムリムリ」

 

 

薫がハッサムと距離をあける。

しかしこれでもバレットパンチを喰らうのには充分な間合い。

 

 

魔刈「先に木刀の小娘を倒しなさい。バレットパンチ!」

 

ハッサム「ハッサム!」

 

操(あたしはどうすれば......一発でも当たったらもう駄目な薫さんに、高速で進んでいる赤い携帯獣......)

 

操「高速......はっ! そういうことね!」

 

 

操が貫殺飛苦無を繰り出す。それはハッサムの足下に突き刺さった。

 

 

魔刈「残念だったね。まあ当たっていてもハッサムには痛くも痒くもないけど......?」

 

 

ハッサムは苦無に足を引っ掛け転びそうになっていた。

 

 

薫「神谷活心流守りの奥義 刃止め」

 

 

辛うじて転んでいないのは薫が手の甲を交差させハサミをつかんでいたからだ。

ここから繋ぐのが師範代である薫をもってして実戦での使用が難しいと言わしめた奥義の攻め

 

 

薫「刃渡り!」

 

 

薫の木刀の柄がハッサムの顎に命中し撥ね飛ばした。人体に対しては有効打だがポケモンに対しては戦闘不能とまではならない。

 

 

操「怪鳥蹴り!」

 

 

ハッサムはよろよろと立ち上がろうとしていたが操の蹴りが決まり完全に意識を失った。

 

 

魔刈「そんな!......くっ......降参よ......」

 

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弥彦対フタチマル

 

矢遍「シェルブレード!」

 

 

ホタチから繰り出される剣撃が弥彦を苦しませる。

辛うじて竹刀で弾き直撃を避けてはいるが、攻めに繋げることが出来ないでいた。

 

 

矢遍「熱湯!」

 

 

男が指示を出すとフタチマルは口から高温の水流を吐き出した。

予想外の攻撃だったため回避が追い付かずまともに喰らってしまう弥彦。

フタチマルは他のポケモンに比べると進化前ということもあり力不足は否めないが、それでも弥彦にとっては強敵であった。

 

 

弥彦「見様見真似 飛龍閃!」

 

 

威勢よくこう叫び竹刀を指で弾き飛ばそうとするが、竹刀は届く前に失速してしまう。

武器を失った弥彦にフタチマルのアクアジェットが衝突した。

 

 

弥彦「ちくしょう......」

 

矢遍「諦めろ。ガキにやられるほどこいつは弱くない」

 

矢遍「フタチマル、ガキに竹刀を渡してやれ」

 

 

フタチマルは言いつけ通り弥彦に竹刀を渡す。

特に罠などは無いが敵に憐れみをかけられるという屈辱は到底推し量れるものではない。

弥彦はそれを受けとるか迷った。だが目の前の敵を倒すため渋々手に取る。

 

 

矢遍「これでもういいな。シェルブレード!」

 

 

フタチマルはホタチを横に凪ぎ払う。

弥彦はそれをかわすと振り切ったホタチを奪い取った。

 

 

弥彦「スリの技術なんて使いたくなかったけどな」

 

 

だがフタチマルは腰から二つ目のホタチを取り出した。

そこからシェルブレードが振り落とされる。

その攻撃を竹刀で受ける弥彦。

 

 

矢遍「熱湯で打ち上げろ!」

 

 

男が叫ぶと弥彦は至近距離からの水流波によって十五尺、4,5mほど空中へと飛ばされた。

だがそれで諦める彼ではない。

 

 

矢遍「落ちてくるところにシェルブレードで止めをさせ!」

 

フタチマル「フタチ!」

 

弥彦「見様見真似 龍槌閃!」

 

 

ありったけの力を込め竹刀を振る弥彦。そして激突。しばし両者は拮抗するがやがてフタチマルの力が弱まっていった。

 

 

弥彦「だぁぁぁぁ!!」

 

 

ホタチが割れる。

弥彦はそのままフタチマルの頭に叩き込む。

 

 

矢遍「そんな馬鹿な......」

 

弥彦「はあ......はあ......」

 

 

見事勝利をおさめた弥彦。

その手にはボロボロになり折れ曲がった竹刀が握られていた。

 

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蒼紫対キリキザン

 

小太刀二刀を構えた蒼紫とキリキザンが対峙している。お互いに手の内を探っているのかいっこうに動く気配はない。

 

 

蒼紫「......埒があかないか......」

 

 

蒼紫がそう呟くと小太刀を逆手に持ち、超高速の六連撃 回天剣舞・六連を繰り出す......

 

 

蒼紫「なんだ......?」

 

 

突如それまで微動だにしなかったキリキザンが先の先を取り攻撃してきたのだ。

 

 

戊岩「不意討ちは先制技! 如何にお前が素早くてもこいつの上を取ることはできんぞ!」

 

蒼紫「...... 」

 

 

顔色を変えることはない蒼紫だが、微かに動揺。この攻略方法を見つけられないでいたのだ。

次いでキリキザンが連続で辻斬りを放つ。

小太刀をもってこれを防ぐも不意討ちを警戒し攻撃出来ないでいた。

 

 

戊岩「お前ではキリキザンには勝てん。こいつは最強だから仕方がないがな!」

 

蒼紫(不意討ち...... この技が必ず俺の攻撃に対し先制出来るのならばこうしている間に打ってくればよいものを......先制、ひいてはその技を発動するためには何らかの条件を満たさなければならないのか?)

 

戊岩「キリキザン、アイアンヘッド!」

 

キリキザン「キザァ!」

 

 

キリキザンは辻斬りをやめると今度は全身を硬化させ突っ込む。

蒼紫が呉鉤十字を繰り出すもそれを問題にせず強引に押しきった。

 

 

蒼紫(刃が通らん......だがこれで解ったことが一つ。携帯獣と言えど一度に二つの技を出すことはできんということ......それならば!)

 

蒼紫「陰陽撥止」

 

戊岩「馬鹿め。不意討ちだ!」

 

蒼紫「ぐ......」

 

 

蒼紫が技を放った瞬間キリキザンの拳が襲いかかった。

小太刀を投げつけるも鋼の体の前に弾かれてしまう。けれどもそれを見越していた蒼紫は痛みに耐えながら弾かれた小太刀を掴みそれを逆手に構える。

 

 

蒼紫「御庭番式小太刀二刀流 回天剣舞・六連!」

 

 

蒼紫最強の技が命中し切り裂いていく。

蒼紫はわざと不意討ちを誘い発動後の無防備な姿を晒させ、尚且つアイアンヘッドが来ない一瞬に叩き込んだのだ。

 

 

キリキザン「キザ......」

 

戊岩「おのれ!」

 

蒼紫「外法の悪党は外法の力を以て更なる闇へと葬り去る......それが隠密御庭番衆の最後を締め括る御頭としての務めだ!」

 

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斉藤「阿呆が......」

 

 

小高い場所から煙草を吸いつつ、彼らの戦いを見ている男が一人。

それは消息不明だった斉藤 一である。

 

 

羽水「誰だお前? まさか侵入者の仲間か?」

 

斉藤「阿呆が。仲間などではない。悪即斬、俺自身の正義のため貴様を殺す」

 

羽水「いけい! ギルガルド、シャドーボール!」

 

 

箱から現れるが否やそのポケモンは形態が変化し、漆黒の珠を繰り出した。

 

 

斉藤「牙突!」

 

 

斉藤の十八番はシャドーボールを粉砕すると勢いそのままにギルガルドに迫る。

 

 

羽水「キングシールド!」

 

 

この指示を受けたギルガルドは形態が変わり、守りに徹した。

 

 

斉藤「俺の牙突に貫けぬ物など無い!」

 

 

だが牙突はギルガルドに傷をつけるには威力が不充分であった。

今までかわされたことはあっても効かなかったのは宇水の亀甲の盾と志々雄の鉢金のみだったため直感でギルガルドの強さを悟る。

 

 

羽水「キングシールドには直接攻撃をした相手の攻撃力を下げる効果がある。証拠はその刃こぼれだ」

 

 

斉藤の日本刀に微細なヒビが入っていた。

これくらいならば直すことは可能だがあまり無理はさせられない。

 

 

羽水「ギルガルド、浮遊しろ」

 

斉藤「三式!」

 

 

指示通りギルガルドが宙に浮かぶ。

これに対空迎撃用の牙突三式で立ち向かうが至近距離からのシャドーボールを受けてしまう。

地に落ちかけている斉藤にギルガルドの聖なる剣での追い討ちが襲い掛かる。

何とか急所への命中こそ避けたが太股に当たってしまい更に地表に激突。

 

 

羽水「もうお仕舞いだな。元新撰組三番隊組長 斉藤 一さんよ!」

 

斉藤「......阿呆が」

 

 

斉藤は何とか立ち上がるがその足下はふらついている。そこへ男の指示が轟いた。

 

 

羽水「ギルガルド、諸刃の頭突き!」

 

ギルガルド「ガルド!」

 

 

フォルムチェンジしたギルガルドが突撃の体勢に入る。

絶体絶命のそのとき斉藤の正面に畳のようなものが姿を現した。

その畳はギルガルドの攻撃から斉藤を守りきると共に消滅。

気がつくと両者の距離は極めて近づいていた。

 

 

羽水「不味い! キングシー......」

 

斉藤「牙突零式!」

 

 

間合いのない密着状態から放たれた斉藤の攻撃はギルガルドを貫く。

次いで刀が彼の左手から離れ、ギルガルドに指示を出していた男にギルガルドごと突き刺さった。

 

 

斉藤「阿呆が。刀を返せ」

 

 

斉藤が力任せに刀を引き抜く。

その痛みから男とギルガルドは絶叫するがやがてその勢いを失っていった。

 

 

(だがあのとき現れた畳はいったい何だったんだ?)

 

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剣心対ジュカイン

 

剣心「龍槌閃!」

 

 

剣心はジュカインの頭上を高く飛び逆刃刀を降り下ろす。

ジュカインはリーフブレードを発動すると左腕で防ぎつつ右腕を横凪ぎに払う。

このままでは剣心の腹部を切り裂かれてしまう。

剣心は咄嗟に体を捻り直撃を避けたが脇腹に命中。

そこを目掛けてジュカインのタネマシンガンがを浴びてしまった。

 

 

剣心「くっ......」

 

余誅「我のジュカインの強さを思い知ったか? 人間が勝てるわけなかろう!」

 

剣心「お前がこの一団の長でござるな。なぜこのような真似をした?」

 

余誅「理由か......そこに村があったから、そこに食いもんがあったから、そこに金があったから......だな!」

 

余誅「ジュカイン、こいつをぶち殺せ!」

 

ジュカイン「ジュカ!」

 

 

ジュカインのリーフストーム。

大量の葉が放たれる。

これに対し土龍閃で応戦するが力の差は歴然。剣心は上へと吹き飛ばされてしまう。

 

 

剣心「九頭龍閃!」

 

 

けれどもこれにやられる剣心ではない。

逆に高さを味方に回避不能の九連撃を浴びせた。

 

 

ジュカイン「ジュカ!?」

 

 

何とか踏みとどまったジュカイン。しかし尚も剣心の猛攻はとどまることを知らない。

 

 

剣心「龍巻閃! 凩」

 

「旋!」

 

「嵐!」

 

ジュカイン「ジュカ......」

 

 

激しい猛攻の前についにジュカインは倒れた。

 

 

余誅「そんな馬鹿な!」

 

剣心「次はお前自身が戦ったらどうでござるか?」

 

余誅「だがこれで勝ったつもりか? ジュカインにはまだ秘められし力が残っている!」

 

剣心「どういう意味でござるか?」

 

余誅「ジュカイン、メガ進化」

 

 

長のキーストーンとジュカインのメガストーンが反応しジュカインが丸い殻に包まれる。

 

 

剣心「何を仕掛けてくるか......」

 

 

剣心は刀を鞘に差し独特な抜刀の構えをとる。

殻が割れるとそこから姿を見せたのは大幅に強化されたメガジュカインであった。

 

 

剣心「双龍閃!」

 

 

神速で刀を抜きそのまま斜めに振り上げる。

双龍閃はたとえ一太刀で倒すことが出来なくとも鞘での第二撃で確実に仕留める技である。しかし......

 

 

剣心「速い......!」

 

 

メガジュカインは飛天御剣流を上回る速度でリーフブレードを繰り出した。反応すら出来ず剣心に命中。

 

 

余誅「龍の波動だ!」

 

 

メガジュカインが龍の波動を繰り出す。

刀を回転させ防ぐ剣心だったが次第に回転が遅くなっていく。

しばらくすると龍の波動は止んだ。だがもはや剣心は満身創痍。

 

 

余誅「とどめのリーフブレード!」

 

 

メガジュカインが剣心に向かって超高速で走り出す。このままでは......と思われたとき突如メガジュカインが吹き飛ばされた。

 

 

剣心「何で......ござろうか...... ?」

 

余誅「!?」

 

ゲッコウガ「コウガ!」

 

 

現れたのは絆変化状態のゲッコウガだった。

メガジュカインを効果抜群の燕返しで弾き飛ばしたのだ。

 

 

ゲッコウガ「コウ、コウガ!」

 

剣心「あのときの気配はお主でござったか。拙者と共に戦ってくれるでござるのか?」

 

ゲッコウガ「コウ!」

 

 

首を盾に振るゲッコウガ。

すると背中の水手裏剣を取り出し構える。

 

 

ジュカイン「カイン!」

 

 

メガジュカインはリーフブレードを発動。

ゲッコウガは次々と水手裏剣を投げつけていく。

最初こそ防がれるも次第にそれが追い付かなくなり遂には命中した。

 

 

剣心「龍槌!」

 

「昇閃!」

 

 

剣心は高く跳びメガジュカインの上を取り刀を降り下ろす。そして刃の部分を手に当て突き上げる。

龍槌閃と龍昇閃の合体技は大ダメージを与えた。

 

 

ゲッコウガ「コウ......ガァ!」

 

 

空中のメガジュカインに対しゲッコウガは影分身からの水手裏剣で追い討ちをかけ、地面に強く叩きつける。

この隙に剣心は鞘に刀を納めた。

 

 

ジュカイン「ジュカァァ!!」

 

 

地中から巨大な植物のツタのようなものを大量に発生させる。草タイプ最強の破壊力を持つ大技・ハードプラントを繰り出したのだ。

 

 

ゲッコウガ「コウ!」

 

 

ゲッコウガは先陣を切り居合い切りでハードプラントを破壊していく。

そうして作り出された細い道を剣心が走りメガジュカインとの間合いを詰めていく。

 

 

剣心「飛天御剣流奥義!」

 

 

鞘に手をかけながらメガジュカインに近づき、一足一刀の間合いになったところで動きを止め抜刀の構えを見せる。

 

 

剣心「天翔龍閃!!」

 

 

超神速の抜刀術が襲い掛かる。

しかしハードプラントが地面から再度出現しこれを防いだ。

残りのツタがメガジュカインを守りつつ剣心を攻撃しそうになるが......

 

 

余誅「ジュカインがあの剣士に吸い寄せられている!?」

 

 

ハードプラントによって捌かれた一撃目の衝撃と威力によって弾かれた空気が時間差を生じて急速に辺りの物体ごと元に戻ろうと集中。

 

 

剣心「飛天御剣流の抜刀術は全て隙を生じぬ二段構え!!」

 

剣心「おおお!!!」

 

 

一撃目を遥かに凌ぐ威力で放たれた天翔龍閃はメガジュカインをハードプラントごと攻撃し見事に下した。

 

 

ゲッコウガ「コウガ!」

 

剣心「お主がいなければ拙者はやられていたでござる。かたじけない」

 

 

向かい合い握手をする両者。

こうして忍者村の危機は救われたのだった。

だが剣心が目を逸らした瞬間ゲッコウガは姿を消していた。

あの携帯獣も自分と同じように流浪人として虐げられている弱者を救うため各地を回っているのかと推測するが真相は不明。

 

その後剣心達のことは時代とともに忘れ去られてしまったが、ゲッコウガのことは伝説として忍者村に長く伝えられることとなった。

 

 

おわり




ここまでの御視聴ありがとうございました。


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