幻想韋駄天録   作:ロシロシ

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午後五時から午後七時までの運動祭の風景

人里ではどうやら運動会のエントリーが行われ始めたらしい人だかりが出来ていた。「混んでますね」「百足とか、

二人三脚とか、リレーとか、個人短距離走とかあるしね」と妹紅さんから説明を受ける。

「妹紅さんは出ないのですか?」と興味本位で聞いてみた。「出るよ」彼女のこの反応に僕は驚かされ、顔に出てしまった。

彼女は

ムッとした表情をしたので僕は慌てて誤魔化すために「なんの種目にでるんです?」と聞いた。驚いたのは大変失礼な言い方ではあるが、あまり運動ができるようには見えなかったからだ。

「二人三脚、友達と出るの」ツンとした冷たい表情で言われてしまった。「気分を悪くさせてしまったのなら、すみませんでした。今後気をつけます。」こういう時はすぐに謝ったほうが

得策である。僕のまだそう多くない人生経験の中で学んだこういうときの

対処法だ。僕が謝ったお陰か、彼女の表情は明るさを取り戻してくれたようだ。

それから各々出場種目へのエントリーをして、組み分けの発表なども確認し、

種目開始時間までは待機することになった。短距離走はどうやら

最期の種目らしく、俺は妹紅さんの応援が終わった後は手持ちぶたさになり、近くの木陰に座りこんでいると声をかけられた。

「うっす。おたくもなんかでんの?」出んの?という言葉の意味を運動祭のことだということに気づくまで少し時間がかかった。「あぁ、短距離走に」「へぇ。俺も出るんだ」

「そうなんですか」

「決勝で会おうぜ」「は、はい」僕は足は速いほうなのだが、こういう大会のようなところに出たことがなく、かなり緊張し始めていた。

五時から

短距離走が始まり、

短距離走は予選と準決勝と決勝があり、まず予選の組の中で一位になれば

準決勝に進むことができ、準決勝のなかで2位以内に入れば決勝に行けるという仕組みとなっている。

正直、

3回も全力で走れる気がしない。余裕があれば最期抜いて走ればいいのかと考えたのだが、果たして抜けるほど余裕があるかは自信がない。

予選、僕は最初の方で

少しコケたものの、その後の加速でなんとか一位になることができた。それをみていたらしい話しかけてきたあの男が、

「おたくは前傾しすぎじゃないか?丁度いい前傾の仕方が一番いいぞ」と声をかけてきた。そんなことわかってるよ!と僕は心の中で憤慨する。図星なだけに。

準決勝はスタートは

良かったが、前半で力を使い切ってしまい、後半伸びなくなってしまった。するとまたまたそれをみていた男に「おたく、序盤からそんな力みながら走ったら伸びなくなるぞ」

と言われてしまった。どうやらこの男は予選も準決勝も余裕で突破したらしい。男の見た目は少し細身な体つきだが筋肉がある程度付いていて、見るからに速そうな見た目だった。

顔も結構よく、少し劣等感を抱いてしまう。周りがざわついており、皆この男に注目しているように感じられた。

決勝戦までの時間、

僕はあの男に言われたことを気にしながら軽めに走ったりしていた。幸い体力はある程度温存できている。

その後、休憩を取り、ついに

決勝戦になり、八人が横一線に並んだ、「よっ、お隣さん。」…最悪だ。まさか最後の最後までこの男が近くにいるのか…

「また貴方ですか」と僕は苦虫を噛み潰したような顔を隠さずに全面に押し出した。男はムッとした表情は見せず、逆に微笑を

こぼす。「釣れないな。まぁこれが最期の競争だし、お互い頑張ろうぜ。ま、どう頑張ってもおたくは二等賞が限界だろうさ」

僕は

これにカチンときてしまう。この男にだけは負けたくないと。だが相手は余裕でここまできた男だ。正直勝算があるわけではない。

しかしやらないといけない。

「位置について」緊張の一瞬。僕は隣の男に指摘されたことを意識し

ていた。前傾しすぎない。序盤に力を使いすぎない。気に入らないけど、僕より速いのは明白だった。「よーい」構える。パンという音とともに、僕は飛び出した。そしてどうやら僕は

隣の男と並んでいるようだった。序盤に力を使いすぎずに中間に入り、僕も隣の男も並んだままどんどん加速していく。このままこのまま。「いけー!頑張れー

!」と声がする。

誰の声かはわからない。声の主を考える暇は今はない。最期の力を振り絞り無理やり最期加速する………………

どちらが勝ったの

かは分からなかった。

ただ隣の男の顔が絶大の驚愕と悔しさの入り混じったものとなっていて、「嘘だろおい」と声をあげたので、僕は自分の勝利を悟った。

結果は僕の優勝だった。トロフィーを受け取り、嬉しくなっていると、2位になった隣だった男が話しかけてきた。「おたく、名前は?」

「失礼ですが、人に名前を聞くのであれば、まずは自分から名乗ってみてはいかかですか?」

男の顔からは余裕そうな表情はとうに消え失せ、如何にも不機嫌そうな顔となっており、吐き捨てるように言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

… ・・・・

「川田走平だよ。家が隣同士だろ?」




今回は某ベネヴァント大公の名前の珈琲小説のパロディとなっております。
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