注:作者の勝手な妄想です。
勢いで書いた。
反省も後悔もしていな……やっぱりちょっとしています。
辛い。
もう何度そう思っただろうか。
それでもステラはあがる息を抑え、ただ走るという、半ば作業と化した行為を続ける。
思えば、いつからだろうか。
ふと、ステラは自分の過去へ意識を飛ばした。
☆ ☆ ☆
自分の生まれは不思議な一族だったと思う。
一族の全員がフードをつけた夜色のローブを羽織り、ただ、【星】を追い求め続ける探求者だった。
誰もが【星】について調べ、誰もが危険を省みずに【星】へと手を伸ばす。
それは一種の狂気とすら呼べるものだった。
何が彼らを駆り立てているのか分からない。
ただ、どうしようもなく、【星】に焦がれているのだ。
当然、その一族の者を父と母に持つステラも【星】というものに焦がれていた。
しかし、そのせいで親からの愛をまともに受けられなかったことを少し寂しいとも感じていた。
ステラは一族として一般的な少女として育ち、彼女もまた幼くして【星】を追い求め続ける探求者となった。
ただただ、【星】を求め続ける毎日が過ぎ、少しづつ近づいているという達成感を一族ぐるみで感じていた。
そして、起こったことは全て突然のことだった。
一族総出で探索した大きな遺跡。
ステラが少し息抜きに夜空を見ようと一人抜け出たその時に、遺跡が崩壊を起こした。
おそらく、侵入者対策の罠がまだ生きていたのだろう。
中で調査を続けているステラを除いた一族全員が巻き込まれた。
文字通り一瞬で全てが消え失せた。
地面に千切りとったような跡を残し、遺跡は丸ごと消失したのだ。
その日、ステラは全てを失った。
父も母も弟も幼馴染も親友も友人も、自分を支えてくれていた仲間を全て失ったのだ。
残ったのはただただ【星】というものを求め続ける狂気じみた想いのみ。
そして、その想いは自分への遺言に思えた。
自身の一族の悲願である【星】に手を伸ばし、何年も経った。
ある日に調べていた遺跡でたまたま一緒にいたトレジャーハンターが緑色のクリスタルを見つけた。
ステラはそれを見た瞬間に【星】への手がかりであると直感した。
迷わずそのクリスタルに手を伸ばし、見つけ出したトレジャーハンターと口論となった。
そうしているうちに、一匹の妙な鳥がクリスタルを持って飛んでいった。
ようやくその願いに手が届きそうだというのに、後一歩のところで邪魔される。
ステラは迷わずその後を追い、発見者であるトレジャーハンターもそれに続いた。
だが、結局その鳥に追いつくことはできなかった。
何故か道を阻んでくる魔物。
前方から飛んでくるメテオ。
魔分を悪質なまでに含んだ雲。
その他様々なものに邪魔をされ、進むことができなくなったのだ。
しかし、それと同時にあのクリスタルが【星】に関するものだという確信が持てた。
進む道程で【星の虚栄】を見ることができるのだ。
どうやら【星の虚栄】はあの鳥が行ったルートを示しており、その【星の虚栄】をなぞることによって危険を回避できた。
そうして、ステラのクリスタルを求めて走り続ける日々が始まったのだ。
☆ ☆ ☆
今、思えばクリスタルを求める者も増えたものだ。
ステラは思った。
初めのうちはステラとあのトレジャーハンターしかいなかったが、そのうちに奇跡の少年と呼ばれている者が増え、最近では冥府の女王、かのダークプリンセスまでもがあの鳥とクリスタルを追っていると聞く。
はたしてあのクリスタルにそれほどの価値があるのだろうか。
ステラ自身には【星】という明確な目的が存在するが、彼らが何故必死でクリスタルを求めているのかわからない。
ただステラにしてみれば強力な競争相手が増えただけだ。
溜め息をつきたくなった。
しかし、そろそろ5キロを超えて走っている。
障害物を躱しながらの全力疾走は疲れるため、そんな余裕はステラにはない。
ステラは目の前の魔分を含んだ雲を避けて、崖を飛び越え、飛来してくるメテオを掻い潜った。
とっくに日は暮れている。
一体いつまでこのような日々が続くのだろう。
走り続けることは辛く、障害物に当たればかなり危険なことになる。
常人ならとっくの昔に諦めているだろう。
それでもステラはあの鳥を追い続けなければならない。
【星】のため、一族のため。
そして、自分のために。
ステラは夜空に輝く星々を見る。
いつか、あれに手が届く、その日を目指して。
決意を糧に、ステラはただ風を切って走り続けた。
もし次回があるのならステラちゃんと神獣の出会いですね。
……ステラちゃんに合う(絵的に)神獣って、どれでしょうか。