【完結】藤丸立香のクラスメイトになった   作:遅い実験

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彼と私の友情の話

  

 藤丸立香は多くの友人たちに見送られ、カルデアへと旅立っていった。

 

 そして、彼はその先で────

 

 

 ◆

 

 

 自室のベッドで寝転がりながら、天井をぼんやりと見つめる。

 

 「あー」

 

 ごろんと寝返りをうつ。

 

 「うー」

 

 心配だ。いや、心配はいらないはずだ。

 

 うん。立香ならきっと大丈夫だ。

 

 …大きな怪我とかしないだろうか。

 

 いや、悩んだところでどうしようもない。

 

 帰ってきたら、目一杯甘やかしてあげよう。私にできるのはそれぐらいだ。

 

 

 帰ってきたら…、帰ってきたら?

 

 うん、まあ、帰ってはくるはずだ。彼には両親がいるのだから、ずっとカルデアに居続けるわけにはいかないだろうし。これからもカルデアに所属するのなら、その説明だって必要だ。

 

 でも、それが済んだら?

 

 正式にカルデアに所属することになって、そうしたらきっと、こっちには滅多に帰ってこれなくなるだろう。

 

 私が彼と会える機会は、とても少なくなるのだろう。

 

 「………」

 

 分かっていたことだ。

 

 分かっていたことだった。

 

 

 

 彼には多くの出会いが待っている。

 

 数多の英霊たちと、

 

 カルデアに所属するスタッフたちと、

 

 どこか頼りないが本当は優秀な上司と、

 

 そして、

 

 愛すべき後輩と。

 

 

 

 彼の居場所。

 

 彼の帰る場所。

 

 それはきっと、『そこ』なのだ。

 

 

 

 

 

 「─────────────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 だけどまあ彼のことだ。世界を救ったってその本質はなにも変わらないだろう。彼は彼のままで歩み続け、だからこそ偉業を為しえたのだから。

 

 それで私への態度が変わることもないだろうしなー。

 

 うんうん。

 

 まあ、ちょっと会える機会が減るだけだ。

 

 寂しいけど、人生にはこんなことはたくさんあるんだし。

 

 だから問題ない。

 

 だから大丈夫だ。

 

 

 

 

 遠くに飾られた写真(思い出)を眺める。手を伸ばしてみるが、ここからでは届かなかった。

 

 そこには友人たちと楽しそうに笑い合う立香が写っている。控えめながら私もその近くで薄く笑っている。

 

 彼ならどこでだってやっていけるだろうし、私ももはや一人ぼっちではないのだ。友達だってたくさんできたし、これからも上手くやっていけるはずだ。

 

 少し疎遠になるだけで、彼ともずっと友達でいられるだろうし。

 

 だから大丈夫。

 

 

 

 

 

 

 無理やりに笑顔を作る。

 

 近くに転がっていたぬいぐるみを抱き締める。

 

 

 沸き上がる⬛⬛に(ふた)をする。

 

 

 そう、

 

 だから、これは、

 

 いずれこうなることが決定していた、

 

 

 

 

────彼と私の友情の話、だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、いつの間にか、私の意識はブレーカーを落とすように唐突に断ち消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
 
 
次からようやく、ぐだ以外のFGOキャラが登場させられる…。流石にぐだのみは辛かった…。と言ってもそんなに出番はないでしょうが。
 
次回投稿は明日の予定です。
 
 
 
 

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