僕の幼馴染がモテないのは僕の責任かもしれない   作:もこっちファンクラブ

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投稿が遅れました。今回は多少オリジナル展開も混じっています。ベタベタしすぎると作品の趣旨から外れるので、もこっちとの微妙な距離感を出すのはなかなか難しいですね。彼女の味を出すのは難しいですが、モノローグが多いのである意味小説向けの人材だと思います


喪僕2 モテないから 人生勉強

 

 

 

 

 

「何アレ……メスってあんなにいい匂いするの?」

 

日焼けなし、化生なし、髪染めてなし、色気なしの少女が突っ伏している。うん、のっけから何か意味不明なことを呟いている。

 

 青春系のマンガや映画は最後がバットエンドの作品を除けば、「辛いことはあったけどこれからめげずに頑張ろう」と前向きに終わる物語も多い。もし僕たちの人生が誰かのお話であれば、挨拶が出来て智子がこれからの人生に希望を抱いて最終回を迎えればいいラストになっただろう。見る人もきっと「明日からがんばろう」と言う気持ちになれると思うね。だが、僕たちが生きているのは現実で智子のであって人生はまだまだ始ったばかりなのだ。全く運命という奴は残酷だな。

 なんでそんな話をしているのか説明をさせてもらうと、試験期間が近づいてきたので成績の良い智子に一緒にテスト勉強しようと誘いに来たのだが……。智子の様子がおかしい。机に突っ伏してどんよりと暗い雰囲気を漂わせている。ついでにぶつぶつとやばいつぶやきが口から漏れてきた。このまま放置しているとろくな事にならないな。

 

で、何があったんだ。顔を突っ伏したまま答える。

 

「……ゆうちゃんと久しぶりに遊んできた」

 

それは良かったな。僕は何でお前がダウナーモードなのか聞いているんだけど。そもそもゆうちゃんって誰だよ。

 ああ、成瀬さんのことか。フルネームは成瀬優。智子の親友で眼鏡の子をかけた女の子だ。皮肉屋な智子と違って優しい子だったな。彼女も高校が同じなら智子にも救いはあったのだが。それはそうと、彼女は元気にしていたか?

 

「ゆうちゃんが雌豚になっていた……高校デビューして!何!女の子ってあんないい匂いすんの!?」

 

何だよ、雌豚って。親友になんてことを言うんだお前。お前にとってつがい(恋人)がいる相手は人間じゃないのか。そーか、綺麗になっていた上にいい匂いいだったんだな。

 

「というか、そんなに成瀬さんが変わっていたのなら成瀬さんからアドバイスくらい聞いて置けよ」

 

大人しいオタクな少女から華やかな彼氏持ちの女子高生に転身したなんてまさにお前の目標そのものじゃないのか。今からでも遅くないから化粧の仕方くらい教えてもらえ。

 

「無理を言うな!お前は本当に馬鹿だな!」

 

 がばっと顔を上げて僕に抗議してくる。やれやれ、恥ずかしいのかよ。そうやって心に壁を作るから友人の一つも作れんじゃないのか。まあ、でも親友に悪態をつけない良識があったのは良いことだ。僕が珍しく素直に智子を賞賛しようとすると、智子は別次元に旅立たんとしていた。

 

<良かった、なら二人で行こう……違う世界に……大丈夫、僕もすぐに後を>

 

ヘッドホンから危険な言葉が飛び出してくる。音もれしているぞ。つーかその恍惚とした顔はやめろ。

 

「おい!話の途中で別の世界へ行くな!」

 

生まれ変わってもその世界へいける保証なんか無いぞ。行くとしても経験地を積んでからだ。それが駄目ならせめて勉強を教えてからにしてくれ。

 

 

 

*   *   *   *   *   * 

 

 

 

 あの後智子からなんとか勉強を教えてもらい、テストも無事終える事が出来た。やばいな、開放感半端無い。それは僕だけではなかったようで、クラスの気の置けない連中とお祝いをすることになった。智子も誘おうと思い1-10教室を覗いたがもう帰ったのか出会えなかった。しょうがない奴だ。

 それから暫くして、みんなで遊んで騒いで、気がついたら薄暗くなっていた。

 

「それじゃあまたなー」

 

友人たちと別れ、帰路へと向かう。

 

「おー」

 

行ったところは何時もと変わんない場所だが、大勢で騒ぐっというのも悪くない。今度は智子も誘おう。

 

「……ん?」

 

足取りも軽く。帰る途中で見知った顔が見えた。黒木姉弟だ。珍しいな一緒に帰宅なんて。

 

「おーい」

 

手を上げて二人に近づく。だが距離が縮まるにつれ途中までご機嫌な気分だった僕は二人の表情を見たとたん凍りつくことになった。おお、すげぇ微妙な雰囲気だ。いつもダウナー気分の智子はともかく智貴まで(精神的に)疲れきった顔をしている。

 

「おお……」

 

 それでも智貴が返事を返してくれた。二人ともぐったりしていてこちらにまで疲れてくる。智貴の目つきも疲労の色を隠せていない。つーか智子のあのツインテール姿を再び見ることになるとは。一体何が起きたのだろう……。

 

「実は…」

 

 智貴が重々しく口を開く。智子の話した情報も併せて二人から聞いた情報を断片的に組み合わると、次のような話になる。ハンバーガー店から出ようとしていた智子はそこで智貴達と鉢合わせたらしい。今のツインテール姿に加え、変顔をした状態で。姉弟はお互い知らない振りをしていたがすれ違った瞬間、智貴の友人から「超ブス」呼ばわりされたらしい。それで公園でたそがれていた彼女を智貴が公園まで迎えにいって今に至ると。

 

「うわー」

 

 今の二人の心境を考えるとつらい。突っ込みどころは満載なのだが詮索しても傷を抉るばかりだろう。それにしても女に向かってレアものの超ブス呼ばわりするとは許せん。智貴の友人としても容赦できんぞ。まあ、僕も智貴も5月半ばの時の妖怪変化には心臓が止まるかと思ったが。畜生、再開したあの時に妖怪封印に失敗したばかりに厄災が地上に撒き散らされてしまった。この無力な腕が恨めしい。

それにしても智貴。お前も辛かっただろうによく彼女を迎え入れてくれた。偉いぞ。

 

「本当は気が進まなかったんですけどね……」

 

うん、照れ隠しということにしておこう。そうじゃないと悲惨すぎるからな。つーか智子。

 

「何だよ……」

 

なんで変な顔していたんだよ。あれはやめろって言っただろ。あまり非難がましくならぬように尋ねる。

 

「……」

 

智子は答えようとせず、眺めの眉毛をへの字にして眼を逸らす。まさかとは思うが、知り合いに見つかりそうになったからその変装をしたのか。いやまさかな。

 

「せーな!黙っていろよ!」

 

声が震えているぞ。図星なのか。一人は恥ずかしくないだろ。お前クラスでそんな注目されているわけでもあるまいし。なら……

 

「今度、僕のクラスメートとボーリングに行かないか?」

 

遊ぶのも人生勉強のうちだ。楽しいぞ、ボーリング。クラスにうまい奴いるから一緒に行こうぜ。中には教えるのが上手な奴もいるし。

 

「クラスのバカ連中みたいなこと言うなよ。あんな頭がおめでたい連中とつるむなら一人でいいし」

 

しかし彼女は目つきの悪い瞳を更にしかめ、苦虫を噛み潰したような顔で横を向く。なんで知りもしないのに頭がおめでたいとか分かるんだよ。だいたいおまえ、ボッチ脱出あきらめたのかよ。今遊んどかないと将来後悔することになるぞ。

 

「もう後悔しているわ!誰だよ、高校生になったら楽しいとかいった奴は。全然だし」

 

知らないよ、そんなこと。それならなおさら頑張んないと駄目だろ。いや、皆で遊ぶことを頑張るって変だけどさ。そうでないと前回のトークが無駄になるだろう(主に僕と智貴の努力が)。言い合う僕と智子を見て智貴が発言した。

 

「なら、明日あたり二人で遊びに行けばいいんじゃないですか?」

 

「「はあ?」」

 

なぜ二人ではもった。こんな時に息ぴったりとかありえんわ。

 

「なんでせっかくの休日にコイツなんかと一緒なんだよ!私はゲームとかネットで忙しいんだよ!」

 

智子が狭い肩幅を怒らせて智貴に詰め寄る。僕の存在価値はゲームとかネット以下かよ。僕もしまいにゃ怒るぞ。つーか指差すな。だいたい僕はまだいいとも何も言って無い。つ

ーかお前、成瀬さんはどうした。もしかして一日中部屋にこもるつもりだったのだろうか。

 

「つーか明日家に友達呼んでゲームやるから出ていけ」

 

智貴にすっぱり言われてショックを受けている。ハハ、弟に邪魔とか言われてやんの。だせぇ。智子が裏切ったなと弟を恨めしげに見る。そもそも協力関係でも無いので裏切りも何も無いが。

 

「まあ、そんなに嫌なら仕方が無いけどさ」

 

僕が頭をかきながら言うと、智子がポンと手を打った。何か思いついたようだが、コイツのひらめきはほとんどが外れだ。

 

「前言っていたコーヒーで手を打とう」

 

まだ覚えていたのか。健啖家でもないくせに卑しい奴だ。こうして僕は智子とデート(笑)をすることになった。別に照れ隠しじゃあない。だってあいつ心底嫌そうだし。

 

…だるい。

 

 

 

*   *   *   *   *   * 

 

 

 

早朝。智子の家へ向かう。待ち合わせ場所を作ったほうがいいと思うのだが、デートでもないので家まで迎えに行くことになった。呼び鈴を鳴らすと、また夜更かしでもしたのか、眠そうな顔で出てきた。帽子にズボン、ショルダーバックと言う格好だ。

 

「なんだ、もう来たのかよ」

 

待った?くらい聞けよ。それにしても簡素な格好だな。成瀬さんにショックを受けたのは何だったのか。まあ、ほんの数日で買われる人間はいないと思うが。

 

「ゆうちゃんみたいな格好は無理。難易度が高すぎる」

 

ああ、そう。まあ、そこまでは求めてないからいいけど。正直な話を言えば今の格好のほうが僕は好感が持てる。クラスの女連中のような格好も悪くは無いが、この格好のほうが僕も気楽ではある。だが、こいつもいずれはクラスの女連中のように今時女子高生を目指さねばなるまい。

さて、一緒に歩くと分かるのだが、動きが変だ。歩きながら人目を気にしているのか、帽子を深く被りきょろきょろと眼を動かして周囲を警戒している。コイツも昔はそんなに(多分)人見知りじゃなかったはずなのだが。

 

暫くして、僕たちは最初の目的地に辿り着いた。

 

「なんでカラオケなんだよ」

 

そして目的地に着くなり文句言ってきた。そう、カラオケボックスである。お前前にカラオケ行きたいと言っていただろ。何が不満なんだ。眉間に皺を寄せて智子が答える。

 

「あんな所はクラスのチャラ夫やバカ女なしょーもない連中が歌唱会を開くような場所なんだよ」

 

誰だよそいつら。お前のクラス限定だと分からんぞ。もしかして清田や洋平達か?まあ、チャラやバカは言いすぎだと思うが、確かにノリが合コンに参加している連中みたい、と思う部分はある。どうでもいいけどいちいち人の悪口を言うなよ。性格が歪むぞ。

 

「なんでお前知っているわけ?つーか洋平って誰」

 

クラスメートの名前くらい覚えておけ。あの眼鏡(清田)の友人のことだ。智子は僕と一緒に入るのが気に入らないようだが発声練習とリア充になった時のための経験をつむのにはぴったりな場所だ。

 

「そんなの必要ない。お前は気付いてないかもしれないけど、私は大人しくないし、本当は明るくて面白い性格なんだよ」

 

スレンダーな体系で胸を張る智子。は?誰それ。お前にそんな友達いたっけ?まさか自分のことを言っているんだとしたら真面目に痛い子だぞ、お前。本当は暗くて痛い子の間違いだろ?

 

「痛いって何だよお前!殺すぞ」

 

眼を吊り上げて怒りの声を上げてくるが、迫力はゼロだ。そうムキになるなよ。大体お前が目指すのはモテまくりな今時(リア充だっけ?)女子だろう。親しみやすくておもしろいならともかく道化や汚れ役になったら意味が無いからな。

 

「はいはい分かった。ほら行くぞ」

 

僕は細いが柔らかい腕を掴むと引きずって店に入った。

 

「お前、まさか私にいやらしいことするつもりじゃないだろうな……」

 

智子が後ずさりして言う。うん、今のご時世にそういう警戒心を持つのは悪くない。だがそう言うことを人前で言うのはやめろ。店員が怪訝な眼で見るだろうが。お前の一言で僕の人生終わる可能性があるんだぞ。良く覚えておけ。

 

店に入ってから数分。想像していたよりも会話が少ない。別に会話が弾むとかは思ってなかったけどさ。お互いにドリンクバーのジュースを飲むか歌う曲を探すかだ。人数が少ないとテンポが悪いのはトランプと同じだな。

 

「アニメはあるけどゲームも多いな……」

 

今日はいいけどそのうちアニメ以外の曲も覚えて置けよ。オタバレしたくないみたいだし。ちなみに僕はオタクに対して偏見は持っていない。今でもみんなでゲームをやるし、アニメも全く見なくなったわけではない。ただ、趣味として通じないことも多いのでいろんなことを知っておくことにこしたことは無い。

 

「おい智、なんかいいのあったか?」

 

「話しかけるな、探すのに気が散る」

 

必死に探しているのか、智子がつんけんと返す。

 

ピッ

 

どうやら(無駄な)見栄をはったのか、アニメでは無く最近流行の曲を入れたようだった。だが、サビ以外では歌詞を覚えていないのか声が出ない。おお、すげぇ。歌うたびに音程外しまくっている。サビもグダグダだ。聞いただけの曲をいきなりは歌えないといういい見本だな。

 

そろそろ何かを注文するか。ああ、そうだ。料理の注文はお前がしろ。

 

「はぁ?なんで?女子にやらせるのかよ」

 

知らない人とも喋れるようにするためだ。少なくとも店員にとちらないよう注文できるのは必須技能だ。智子は何か言い募ろうとするが返事も聞かないうちに店員を呼ぶ。隣の部屋から微妙に音程の外した歌声が聞こえてきた。

 

「うるせーな、バカどもが……オンチの癖に歌ってんじゃねーよ」

 

忌々しげにちっと舌打ちする。うん、気持ちはわかるけどカラオケはそういうところだから。自分のことを棚にあげているのは黙っておく。

 

「それでさ、僕A●B歌っちゃうぞーとか言ってるんだろ、見てらんない」

 

遠い眼をしながら智子は文句を言い出す。お得意の妄想タイムか。確かに見てられないな、お前。つーか眼を見て話せよ。

 

「それであれだろ、その内王様ゲームとか初めて、 密室をいいことにエロいことばっかして…………おっと、僕の下のマイクがハウリングしちゃったぞってふざけんな!あぁーん、私のスピーカー、いい音なっちゃうーってかやかましいわ!!」

 

退くわ。お前は何を目指すんだ?地味に他の女の声真似がうまいな。

 

ガチャン

 

あ、店員だ。智子は顔が真っ赤だ。勿論恥辱で。

 

「ご注文は何にしますか」

 

店員の質問が終わる前から既にとちり気味だ。気恥ずかしさを隠そうと無理やり笑みを浮かべて視線をあさっての方向へ向けている。

 

「ぁ……ぇっ…………これ」

 

 

「はい、何でしょう?」

 

当然店員は理解していない。やっぱりもう一度お願いしますと言われた。あー、駄目だな、こりゃ。結局僕が注文を言う羽目になった。まだまだ道は遠いな、頑張れ智子。

 

カラオケから出ると不機嫌そうだ。思うように歌えなかったからか。今度練習して又来るぞ。

 

「黙れ。お前も少しはゆうちゃんの優しさを見習え」

 

はいはい、僕が悪うございました。途中のクレープ屋で買ってやるから黙れ。

 

「ふ……お前もたまには気が利くな」

 

はいはい。お前には毎回気を使っているよ。どうでもいいけど、休日の町だからかカップルが多いな。それを気にしてか、智子は腕こそ組んではこないが、僅かに近寄って自分がボッチじゃないことを必死にアピールしようとしている。残念ながら誰も見ていない上に無駄な動きをして不自然気回り無い。

 

「おい、注文何にする?」

 

ついでにそのバカな動きをやめろ。

 

「んーあれ……」

 

「わかった。すいません!」

 

クレープを二つ注文すると、一つを智子に渡した。こういうことを早く恋人にやってもらえるようになればいいのだが。

 

二人して食べ歩きをしようとするがテンポが悪い。食べ歩きって意外と難しいからな。あ、ぶつかって鼻についた。ティッシュを渡してやるとすれ違ったカップルたちを見て舌打ちをしていた。やめろ、聞こえるだろ。

 

「せめてゆうちゃんといっしょだったら……」

 

僕の方を見て、ため息を吐く。それでいてその成瀬さんにコンプレックスを感じているのだから本当にしょうが無いやつだ。

 

次に向かったのは、デパートの中のブティックだ。ここは女物の店なので、僕もそれほど詳しくない。ところで、お前何着ているんだ?

 

「わからない」

 

えー。

困惑したような顔で言われると僕も困ってしまう。しかも、服のメーカーも見ずに買っているのか。ある意味レベル高いぞ。

 

「この服もお母さんが買ってくる奴だし……」

 

うーむ、言われてみればコイツが服を選ぶ姿が想像つかない。それにしても毎回買ってくれるなんていいお母さんじゃないか。親孝行しろよ。それはそうと、確かお前黒っぽいのが好きだったな。まずは自分の好きな感じで選ぶといいのではないだろうか。

 

「んー」

 

智子は飽きてきたのか携帯をいじっていた。話聞けよ。まあ今日はお互いに金もないことだし値段だけ見ておこう。店内を見て回り、いろいろ見てみる。

 

「え……何これありえない」

 

ちなみに智子の台詞だ。まあ、高い奴をみればそうだわな。安いところで探したほうがいいな。

 

「安いと駄目なんじゃないの?」

 

怪訝そうに聞いてくる智子。いや、自分にあった物を買うのが一番だろ。場合にもよるが。

 

「まあ次回考えればいいや」

 

智子がもじもじし始めた。顔も赤いし。飽きてきたのだろうか。こうして買い物は10分も立たずに終わった。女子の買い物でここまで短いのはある意味珍しいんじゃないだろうか。

 

「貴重な体験をしているな、僕」

 

なぜか独り言を聞きつけたのか、勝ち誇った顔でこちらを見てくる。微妙にうざい。

 

「はぁ?童貞乙」

 

その言い方オタクっぽいぞ。まあ、日常生活でもそんな言い方する奴要るけどさ。考えたが、いっそのことクラスのオタクグルー入りすればいいんじゃないだろうか。駄目か。こいつは(無駄に)プライドが高いしマイノリティーに落ちてはコイツ的には何の意味も無いのだろう。(だがマイナスよりかはいいのではないかという突っ込みはナシだ)

 

あの後、喫茶店によって漫画やアニメの話をした後、古本屋で立ち読みをして解散となった。結局のところ、今日はだらだらと時間を過ごしてしまった。こんな一日はリア充には程遠いかもしれん。

 

「またな、智」

 

歩きつかれたのか、家についたころにはくたくたな智子は普段の三割り増し疲れた顔で家に向かっていった。

 

「じゃあ……」

 

疲労も露にふらふらと歩く背中を見ながら、この一日で何か得る物はあっただろうかと僕は思う。頑張れ智子。いつかいいことはあるさ。

 

 

 

*   *   *   *   *   * 

 

 

 

休み時間に僕が友人とバカ話をしているとメールが来た。教室の前で智子が来ていた。

 

『教科書貸して。それと放課後付き合え』

 

珍しいな。どういう風の吹き回しだ?すると智子が得意げに笑う。

 

「おしゃれグッズを探しに買い物にいくんだ。当然お前は荷物持ちな」

 

決定事項なのかよ。おれはいいともなんとも言っていないぞ。強引な奴だ。

 

「つーか何を買うんだよ。香水か?」

 

「バカだな。人をひきつけるアクセサリーだ」

 

そっちか。まあ、身だしなみに興味を持つのはいい傾向だ。教科書とノートを胸に抱えて歩く智子は一見すると気弱っぽい女子に見える。実際気弱だけど毒舌なのがコイツだ。弟には傍若無人だし。智子と付き合うことになれば、そこら辺でギャップを受けることになるだろう。全く、智子の彼氏には同情するな。

 

「これで人がよってきて……私も皆からいい匂いって言われたりして」

 

頭の中では何の香水使ってんの?えーすごくいい匂いだよとか言われてちやほやされている姿を思い描いているのだろうか……。

 

「それにこの前の事で経験も積んだしな……今は相手がいないから、仕方が無くお前と

一緒だ」

 

そんな簡単に変われるのなら苦労しないだろうに。智子と話しながら歩いていると向こうから男子がやって来た。

 

「今じいちゃん家の匂いがした……」

 

うん、僕は何も聞いていない。そうだ。幻聴に違いない。

 

「あっ僕もばあちゃん家の……」

 

おおう、頼む、それ以上言わないでくれ。智子に聞こえていませんようにと祈りながら、智子のほうを向くと、顔が青ざめていた。

すれ違った男子達の言葉が耳に入ったらしい。あ、涙目になった。くそ、あいつら女の

子になんてことを言うんだ。いや、ちょっと気になっていたけど。目の前にして言われたならともかく彼女だと気付いていないから注意しようが無い。

 

つーかその匂いはあれか。徹夜でゲームしたからかなのか。正直あのブスメイク事件よりショックがでかい。智子は押して図るべきだろう。

 

「今度クラスではやっている香水でも探すか……な」

 

僕がそう声をかけると涙ぐみながら智子は頷く。それにしてもこうも無残な現実が訪れるとは思わなかった。さて、一体何を買えばいいだろうか。そもそも、この娘に何をしてばいいのだろうか。きっとこれは、こういうことだろう。

 来週も大日本ロンリーガール・智子と地獄に付き合ってもらおう……!いや、これか

ら買い物に行くんだけどな。ぼっちだから地獄なのは智子だけだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アニメも好評のようですね。EDのバリエーションも多くて楽しいです。
次回も投稿したいところですが、果たしていつになるかと冷や汗をかいている次第で
す。
 それでは、また次の号で!
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