僕の幼馴染がモテないのは僕の責任かもしれない   作:もこっちファンクラブ

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僕喪5  モテないから 一学期を総括する

関係ない話だが、僕の家は両親が共働きである。昔親が忙しい時には黒木家でお世話になることも多かった。だから、黒木家のご両親には今でも頭が上がらない。そんなこともあり我が家と黒木家は付き合いが長い。

だからだろうか、両親と一緒に夕飯を食べていると、母親がこんなことを口にした。

 

「最近智子ちゃんにあったんだけど、綺麗になったわよねー。驚いたわ」

 

母親が飯を食いながら話す。まあ、女らしくはなったかもしれない。中身は汚く…もとい、ひどくなったと思うが。これを智子が聴いたら喜ぶだろうか。智貴が聞いたら顔が引き攣りそうだ。

 

「お母さんに似てきたのかしら」

 

年頃の女子が一番言われたくないセリフだな、それは。智子が聞いたらなんと言うやら。まあ、確かに大きな目やクマとかは似ているような気もする。

 

「あともう少しで花火大会でしょ?智子ちゃん美人だから、今のうちに誘ったほうがいいんじゃないの?」

 

いやあ、その心配はないな。借りに智子に相手ができたのならそれを喜びこそすれ、わざわざ僕が誘って機会を潰す意味がない。補足すると、ここらへんでは毎年夏休み前になると、花火大会が開かれるのだ。夏休み前に開かれるところから、学校帰りの学生やカップルで賑わうまさに「夏の思い出」にふさわしい出来事だ。

 先ほど話題に出てきた智子は去年は彼女の親友の成瀬さんと行ったらしい。今年は成瀬さんは彼氏と行くのだろうから、彼女は一人で行くことになる。

 

相手を探すなら心機一転して明るいキャラを作るべきなのだが、ここ最近のあいつの様子ははっきり言って何もかもがおかしかった。さっきも言ったように、智子と智貴の両親にはいろいろお世話になったから、少しでも智子を真人間にすることで恩を返そうと思ったこともあり。智子に注意しようと思ったのだが。

 

「お前さ、口がもごもごして聞き取りにくかったら人とコミュニケーションが取れないぞ。そうすると友人関係も難しいし、恋人なんて夢のまた夢だ。だから、これから毎日ボイストレーニングをしろ。ほれ、もっと大きな声で。声が暗いから性格も暗くなっちまうぞ。そもそもぼっちじゃないということは相手のために時間を使うことであって」

 

心配のあまりついガミガミ言いすぎてしまった。智子は聞いているうちに顔がうつむいていき、目が潤み始めていた。それに気がついた時には遅く、

 

「うっせーモブ!ちょっと友達がいるからって先輩ズラすんなよ!馬鹿にしやがってよおおお!」

 

そう言い捨てて去っていってしまった。ここ数日、僕が話しかけようとしても智子は口を聞こうとなしない。ちなみに智貴にその話をしたら、

 

「先輩はあいつに甘すぎなんですよ」

 

と注意されてしまった。そんなこんなで智子を誘うどころではないのだ。僕はそんなことを考えながら口を動かしていた。

 

で、結局その夏休み前の前日を迎えることになった。明日から夏休みというだけでも嬉しいのに、花火大会があるので学校全体が浮ついた雰囲気になっていた。

 

「なんだよー花火前にカラオケ行くんじゃなかったのかよ」

 

長髪の男子の鈴木がぼやく。ポニテの女子大松が申し訳しなさそうにしながらも呟く。

 

「んーでも浴衣とか着たいしー」

 

今日は僕らの1-10の(智子曰くチャラ男とバカ女)グループで花火大会の前でカラオケに行く約束をしていたのだ。空気を読んだらしい清田が便乗して答える。

 

「オーいいじゃん浴衣」

 

清田が見方に加わったこともあり、同意するようだ。鈴木も浴衣姿に心惹かれたのだろう。こういう時は女子に配慮したほうが身のためだしな。

 

「じゃあカラオケは野郎だけで行くか」

 

「うわーむっせー」

 

清田のセリフに、おれはひとつ付け加えた。

 

「ムサイだけならいいだろ。今日は周りはカップルだらけだぜ」

 

「おまえそれゆーなって!」

 

その言葉にみんなもどっと笑った。まあ、これが花火会場なら笑い話ではないがな。男同士ですし詰めとか想像したくないし。

 

「あー夏休み前だってのにカップルだらけとかマジでうぜー!」

 

清田が相変わらずテンション高い声で叫んでいる。言葉とは裏腹に楽しそうだ。智子が聞いたら「おまえがうざい」と確実に切れそうだ。

 

「なんか僕にも女性紹介しろよーこいつらみたいなのじゃなくて、今井先輩みたいな人とかさー」

 

根元(ポニテ)や岡田(でこっぱち)女子達たちからうぜーとか言われながら清田が肩を組んでくる。ちなみに、今井先輩とは僕らの1個上の先輩で頼りになると評判の女子生徒である。話によれば気立てがよくスタイルもいいらしいというゆうちゃん張りにすごい人らしい。

話がそれたが、一瞬智子を紹介するとかそんな考えが浮かんだが、良識を疑われるのでやめた。そもそもそんなことをしても骨折り損になるのが目に見えているし、何よりそこまでする義理もない。

あんな女を紹介すれば僕の良識を疑われるし、なによりあいつにあそこまでしてやるのが気に入らない。それに、お互いにわざわざ仲立ちしてやるのもなんか癪だし。クラスメートなのだから仲立ちしてやるというのも変な話だ。

その後集合場所を決め。一旦別れを告げて本を返しに行くべく図書室へ向かった。

 

「……」

 

決心したはずなのに、僕は歩きながら花火のことを考えていた。確かに智子のためにしてやる義理はない。だが、何もしないというのもあまりに冷たすぎる。どうせ彼女に気の利いた態度などは期待していない。しかし、一緒に行ければ得るものはあるかもしれない。

 

教室へ向かうと、案の定智子は一人だった。おれが片手を上げて入ってくると、うさんくさそうな僕を見る。夏だというのに髪を整えることなく前髪も伸び放題だ。

 

「何の用だよ」

 

愛想の一つもないツンケンな態度を取る智子。まだ根に持っているのだろうか。丁度智樹が姉に対する態度に似ている。中身は雲底の差だけどね。本心を隠しつつ、笑顔を浮かべる。

 

「花火大会、一緒に行かないか?一緒に行く相手もいないんだろ?」

 

「いかない」

 

そしてこのにべもない返事である。どうせ家に帰ってゲームでもしに行くのだろう。こいつは人ごみが嫌いそうだし。智子は「お前が居ると邪魔だから付いてくるなよ!」と言い捨ててどこかへ向かった。居るのが邪魔ならこれからもう面倒見なくてもいいのか。なんだかすごくすがすがしい気分だ。さ、本を返しに行き、智子の思い出と共に一学期を精算してしまおう。

 

 

 

*   *   *   *   *   * 

 

 

 

前言撤回。なんであいつは図書室に居るんだ。本を返せねーだろうが。だいたいお前は忙しいのではないのか。僕がイライラしながら待っていたが奴が出てくる気配は無い。本を読むわけでもないのに居座るとはなんてやつだ。

 

「つーか合コン間に合わなくない?」

 

「30分くらい余裕でしょ」

 

イケイケ風の女子高生達が図書室から出て行った。智子が言うところのビッチっぽいやつだ。図書館は待ち合わせ室じゃねーぞ。

 

図書室でスマホをいじってでていかない智子にやきもきしながらも待っていると、アラームがなりだした。この音はまさか…。知子は電話を取り出すと、ドアの前にやってきた。

おれは反対側のドアにいたが、慌てて図書室に入り様子を伺う。

 

僕が室内から見ているのも気づかずにきょろきょろと辺りを見渡すと、スマホを耳に当てた。

 

「あっもしもし?うん今学校だけど!」

 

「え!?今日の花火行けなくなったー!!」

 

演技しているのがバレバレの独り言をつぶやく。お前は何を言っているんだ。声がちび●子ちゃんみたいだぞ。

 

「ひ、ひどいよー今日の花火楽しみにしていたのにー」

 

声が間延びしていて全然ショックを受けているように見えない。だいたい声が緊張でトチっているのがありありとわかる。

図書室にいるメガネの男子はよくスルーできるものだ。

 

「……」

 

沈黙が訪れる。もういい。外に出よう。なにも幼馴染の恥ずかしいところを注意してやるばかりが優しさではない。スルーしてやるのが人情というものだ。本を返して外に出ようとして智子とばったりとあってしまった。

 

入ってきた智子は瞳をとじ、顔を真っ赤にしている。気づかれていない!その隙に反対側のドアに移動しようと僕は後ずさる。

 

「あー…」

 

そのとき知子が口を開いたので、足を止めてしまった。それが命取りだった。

 

「もう誰でもいいから花火に誘ってくれる人いないかなー」

 

「本当に誰でもいいから誘ってくれたらー!嬉しいのになー!!」

 

これが彼氏の前でスラスラ行っているのならば、なんと微笑ましいことだっただろう。だが、これは一人芝居である。

誰にも気づかれてないとも知らず演技をつづける智子にこっちがいたたまれなくなってくる。つぇっペリもモチーフになったサンソンもこんな気持ちだったのだろうか。

と、あれこれ考えているうちに本を落としてしまった。カッと思いのほかでかい音が出てしまう。そのせいで、真っ赤にした智子と目が合ってしまった。

 

「ひぃいいい!」

 

眼を見開いて女の子にあるまじき野太い悲鳴に僕もビビる。

気づくと、僕は手を引っ張られて図書室から連れ出されて人気のない廊下に立っていた。

彼女は睨みつけてくるが、口を開こうとしない。

気まずい沈黙に耐え切れず、僕は禁句を言ってしまった

 

「誰も誘えなかったったんだな」

 

「いや、本気出してなかっただけで」

 

「…誘えなかったんだな」

 

「イイ男がいなくて」

 

「…誘えなかったんだな」

 

「……」

 

「気を落とすなよ…来年頑張れ」

 

「うるせー!お前何だよ、私をディスって楽しいのかよ。大体お前は…!」

 

そこから先は何を言っているのかわからなかった。感情が高ぶりすぎているのもあるが、途中から愚図渦泣き始めたからだ。

 

「ううううう~ひっく… ずず… すん… ずずず…」

 

こいつの泣き顔を見たのは今回初めてではない。結果的に僕の言葉で傷つけた事だってある。(逆も叱り)

なのに、泣き腫らした眼で僕を睨む智子を見ていると、心が痛くなってきた。

 

「悪かったよ…」

 

僕が誤ると、智子は目をゴシゴシすると、ポツポツと語り始めた。

 

「私だって…友達や男の子と花火を見たりしたいんだよ」

 

そういって俯く。長い前髪に隠されて表情は見えない。こいつに振り回されていて見落としていたが、彼女とて一人の少女なのだ。「みんなにちやほやされたい」という思いと「目立たずに安穏とすごしたい」という気持ちに揺れ動いているのだろう。人付き合いが苦手だけど…いや、だからこそ彼女は寂しいのだ。

 

「大体私は生まれたときのから条件が悪すぎた」

 

ふてくされた態度で感傷的な気分が全部吹っ飛んだ。

 

「まじめに聞いていて損したよ、お前はそういう奴だよな」

 

むしろ逆だろう。立地条件としては勝ち組なのにそれを活かせないのはお前の常日頃の努力が足りないからだ。少なくとも(僕にとっては)ブスじゃないのだからそれくらいは活かせよ。

むしろお前の正確のスペックが悪すぎるのはこの際置いておく。

 

「こんなときに私を導いてくれる存在がいれば…もしくは幼馴染が居れば」

 

てめえ、今までの時間を返せ。ついでに智貴や成瀬さんに謝れ。

ああもう、なんというか色々だめすぎる。二次元への扉を開きかけている状態だ。このままでは「夏休みへの扉」が「二次への扉(ひきこもり)」になってしまう。

 

「お前な、幼馴染を何だと思ってんだよ」

 

大きな黒眼でじろっとにらむと、そんなことも知らないのかと馬鹿にしたような顔でため息をつくと、息を吸い込んだ。

 

「幼馴染は主人公に尽くすものだろうが!」

 

うん、はっきり言わせてもらう。

自分で主人公とか、痛いわこの子。それにどちらかといえばモブキャラだろう、お前の性格的に考えて。自信満々で宣言した智子を見ながらどうしてあの家族からこんな性格の娘が育ってしまったのか自問自答していた。

 

タイムマシンがあれば過去に戻って性格を直しに行くのだが…

その後なんと言って別れたのかは覚えていない。幼馴染みのいない諸君、皆も幼馴染に幻想を持つなよ?

 

ちなみに、帰る途中におそらく智子が声をかけようとしていたであろう男子とすれ違って気まずかった。

 

 

 

*   *   *   *   *   * 

 

 

 

清田たちと待ち合わせのために集合場所のカラオケへ向かっていると、柔らかな声が聞こえた。

 

「あー、久しぶりぃ!」

 

よく通る綺麗な声に顔を向けると、可愛らしい少女が立っていた。背格好は智子より頭いっこ分大きく、スタイルもいい。おしゃれな格好に柔らかい茶色の髪がよく似合っていた。彼女は

 

「ああ、成瀬さん!どうしたの、こんなとこで」

 

そう、智子の親友の成瀬優その人だ。もともと愛嬌のある顔立ちだったと思うが、垢抜けして周囲を和ませる雰囲気を漂わせている。

 

「うん、買い物にね。元気にしてた?あ、ごめんね。立ち話して大丈夫かな」

 

この心遣いである。どこかの誰かさんにも見習ってもらいたいものだ。歩きながらお互いの近況を話し合っていた。そのうち智子が励ましてくれたことを話した。

 

「もこっちは自分も苦労しているのに私を励ましてくれてね…私、嬉しかったんだ。もこっちはすごいよ、環境が変わっても自分を保って。私、流されやすいから…」

 

なんという褒め倒し。智子が聴いたのならさぞかし悶絶するであろう。それにしても、ここまで褒められるとはもこっちや(中学生時代友達だった)小宮山さんが惚れるわけである。

成瀬さんは見る人が見つめてしまいそうな溜息を吐くと、ぱっと笑顔になる。

 

「でも、安心したよ。だってもこっちには頼りになる人がいるもんね。これからも、もこっちをよろしくね」

 

いや、僕と智子はそんな綺麗な関係じゃないから。そんな言葉も、成瀬さんの笑顔の前では言葉にできず、僕は手を振って彼女を見送る他なかった。

 

成瀬さんを見て、諦めようとした自分が恥ずかしい。気分を入れ替えて携帯を取り出す。智子を誘おうと電話をかけたが繋がらず、諦める他なかった。

カラオケから出る頃には花火大会の時間が差し迫っていた。

 

「ん?」

 

途中で合流した山中と正田を加えれ清田と鈴木と雑談をしながら歩いていると、ふと智子が廃ビルに入っていくのが見えた。アイツ電話にも出ずに何やってんだ。

 

「そういえば新しいラブホとかできたらしいな」

 

「お前むっつりだな」

 

足を止めるわけにも行かず、浴衣に着替えてきた女子グループも合流して賑やかに話していた。

 

「_____________!」

 

智子と廃ビルを連想したとき、嫌な鳥肌が立った。まさか、あいつ…。

 

「ごめん、ちょっと用事が出来た」

 

僕が言うとみんなが驚いた顔をした。たしかに、今日この日に花火以外を見に行くのは変だろう。だが、清田が笑いながら答えた。

 

「野郎が一人減っても別にこまんねえから気にせず行ってこいよ」

 

そう茶化したおかげでみんなも笑った。

 

「悪いな、今度奢るよ」

 

心の中で清田に礼を言うと、僕はさっきのビルの方まで駆けていった。

 

僕が荒い息を吐きながら着いた頃にはすっかり花火の時間になっていた。疲れた体で階段を上り、心臓の鼓動を早くしながらドアを開けた。

 

そして、心臓が止まりそうになった。うつ伏せになった三人の男女がいたからだ。

 

三人。そのうち二人は中学生でもう一人は…。

僕は静かに近づくと、そこには驚きの光景があった。

 

ラブホである。何を言っているのかわからないだろうが、僕もわからない。ボサボサの髪の少女をとりあえず小突いておく。

 

「_______!…!!」

 

智子は無言で声にならない叫びで僕に何か言っている。一体お前は今日何をしようとしていたんだ。僕には理解できん。

 

視線の方向に目を向けると、中学生らしき二人組が驚いてこちらを見ていた。

 

「おまえな、後輩の邪魔をするなよ。ああ、君たち、邪魔して悪かったな」

 

「いえ…」

 

「別に…」

 

おそらく秘蔵のスポットを覗こうとしてたところ、智子と鉢合わせたのだろう。それがどうしてラブホ覗きを一緒にすることになったのか理解できない。とりあえず、いかにも学校帰りの中学生の二人に謝罪すると、馬鹿の手を引っ張って花火が見える場所に立たせる。まだ腫れが引いていないのかそれともまた泣きでもしたのか、若干眼が赤い。

 

「……」

 

それにしても、僕はどうしてこいつが自殺を考えたと勘違いしたのだろうか。はっきり言って恥ずかしすぎる。

お互いに何かを話すこともなく、二人で花火を眺める。だからだろうか、ここ最近のことが思い出されてきた。

 

「なにあのくそデブ!マジでムカつくんだけど!」

 

「放課後マジで憂鬱…」

 

いきなり他人の悪口を愚痴ったかと思えば、

 

「あいつ絶対私に気があるよな…」

 

アニメ風に書かれた自分の絵を見てニヤニヤしたり。

① 妖怪「アニメ女」

 

「お、おはよう智子」

 

手を上げて智子に挨拶をするが、智子は僅かにうなずいただけだった。

 

智子の顔はまるで能面のように表情がなかった。

 

「……」

 

最初は先週のことを怒っているのかと思っていた。智貴曰く朝からこうらしい。

 

 

「しかもこいつにポカリパクられましたし…」

 

「なるほど…災難だったな。ほれ、僕の水やるよ」

 

「いや、悪いですよそんな!」

 

「気にすんな、部活では水は必須だぞ」

 

「すいません…今度お礼しますから」

 

 

ぐい

 

「……」

 

「やらんぞ。それと少しは反省しろ」

 

 

無表情キャラを貫く事は難しいぞ。だいたいお前はクールビューティーじゃないだろ。

一緒に歩いているときも少しも表情を動かさず、ただ歩いている。

 

「……」

 

能面のような表情で押し黙る智子。まるで洗脳されたかのようだ。

 

「なんだ、それお前の新しいキャラか?」

 

智子は頷く。はっきり言って怖い。

 

「長文喋ってみろ」

 

「あ、ゆ、有機生命体」

 

思いっきり噛んでいる。

 

「とちるようじゃ冷静キャラとは呼べんぞ」

 

「…」

 

いきなりクールキャラを演じたり。

② 妖怪無口女

 

夏の日に歩いてみれば。

 

「おーい、弟!なんで逃げるんだよー」

 

顔にありを張り付けた智子が智貴を追いかけていた。

 

「来るなあああああああ」

 

智貴は珍しく本気で逃げていた。まあ、逃げたくなるよな。

 

③ 妖怪あり女。

 

 

ろくな思い出が無かった。孤独をこじらせると人間はあんな風になってしまうのだろうか。また一つ賢くなれたよ。

 

智子と二人花火を眺めている隣では中坊がラブホを眺めて盛り上がっているのだから、なんともシュールな光景だ。

 

「なんでさ、その…リア充にこだわるわけ?」

 

「だって、みっともないだろ…」

 

花火を見ながら智子が呟く。

この際これまでみっともないというレヴェルでは済まない奇行を目にしてきたのだがそれは黙っておく。

 

まさか、いま地球上でコイツのことを考えているのは僕なんじゃないだろうか。

背筋が寒くなる妄想を抱きつつ、夏休みをどう過ごすかを考えていた。

 

「なあ、あの二人って…」

 

「付き合っているよな…」

 

そこのふたり、変なことを口にするのはやめなさい。真面目に困るから。気まずくなってスマホを取り出すと、清田たちが気を使ってくれたのか、花火の写真がメールで送られてきた。僕は一体何をしているんだろうね。まあ、明日から夏休みだし、今度埋め合わせに何かしよう。

 

それにしても、だ。

 

一学期も終わるというのに僕たちは何をやっているんだろう。もしかして、僕はコイツの成長に対してなんら役に立っていないんじゃないだろうか。実は僕がいなくても何ら変わらないのでは…

 

いや、ここで僕が弱気になってはいけない。ご両親や智貴、成瀬さん、従兄弟のキーちゃん(ついでに中学時代知り合いだった小宮山さんと川本さん)のためにも僕が頑張らなくては。

 

…やっぱりほかの誰でもいい気がしてきた。

 

 

 

 





遅くなりました、もこっちファンクラブです。数ヶ月も音沙汰なくてすいませんでした。
小説も切れが(もともとなかったけど)なくなった感じがして、自分の能力の低さを痛感する日々です。
 それにしても今回もこっちですが、

幼馴染に説教される⇒幼馴染に一人芝居を覗かれる⇒ラブホを年下の男の子と除く⇒結局それを幼なじみに見られる

書いた自分がいのうもなんですが、こ れ は ひ ど い
幼なじみがいて成長を阻害しているのではないかと悩むのも無理がないですね。

今年もそろそろですが、もし許して頂ける寛容な方がいれば、来年もよろしくお願いします。

もこっちファンクラブ
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